(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142671
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】エレベーターの乗場ドア装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/22 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B66B13/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054912
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増澤 聡介
(72)【発明者】
【氏名】石塚 真介
(72)【発明者】
【氏名】木村 祐太
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307CD02
3F307CD03
(57)【要約】
【課題】コネクタをケースで覆わなくてもコネクタを水の浸入から保護できるようにする。
【解決手段】エレベーターの乗場ドア装置は、レール枠と、ドアロックスイッチと、レール枠に取り付けられ、ドアロックスイッチにつながるスイッチ配線と昇降路に設置される制御盤につながる塔内配線をコネクタにより接続して固定するための配線固定用ブラケットと、を備える。配線固定用ブラケットは、レール枠に固定された第1の板状部と、第1の板状部の端部で折り曲げられて垂直に配置された第2の板状部と、第1の板状部よりも下方で折り曲げられた第3の板状部と、を一体に有する。コネクタは、第3の板状部に配置され、スイッチ配線と塔内配線は、第3の板状部よりも下方からコネクタに接続されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場ドアの移動を案内するドアレールが取り付けられるレール枠と、
前記乗場ドアの施錠及び解錠を検出するドアロックスイッチと、
前記レール枠に取り付けられるブラケットであって、前記ドアロックスイッチにつながるスイッチ配線と昇降路に設置される制御盤につながる塔内配線をコネクタにより接続して固定するための配線固定用ブラケットと、
を備えるエレベーターの乗場ドア装置であって、
前記配線固定用ブラケットは、
前記レール枠に固定された第1の板状部と、
前記第1の板状部の端部で折り曲げられて垂直に配置された第2の板状部と、
前記第1の板状部よりも下方で、かつ、前記第2の板状部の表面を伝う水の経路から外れた位置で折り曲げられた第3の板状部と、
を一体に有し、
前記第3の板状部の先端部は前記第3の板状部の基端部と同じ高さ位置かそれよりも高い位置に配置され、
前記コネクタは、前記第3の板状部に配置され、
前記スイッチ配線と前記塔内配線は、前記第3の板状部よりも下方から前記コネクタに接続されている
エレベーターの乗場ドア装置。
【請求項2】
前記第3の板状部は、前記先端部が前記基端部よりも高い位置に配置されるよう、水平面に対して傾斜している
請求項1に記載のエレベーターの乗場ドア装置。
【請求項3】
前記第3の板状部の上面から前記コネクタを浮いた状態で支持するコネクタ支持部材をさらに備える
請求項1に記載のエレベーターの乗場ドア装置。
【請求項4】
前記レール枠は、水平に配置される上板部を有し、
前記第1の板状部は、前記上板部に重ね合わせた状態で前記レール枠に固定され、
前記第3の板状部は、前記レール枠の長手方向から見て、前記第1の板状部と同じ方向に突出するように折り曲げられている
請求項1に記載のエレベーターの乗場ドア装置。
【請求項5】
前記第2の板状部と前記第3の板状部との境界部に水切り溝が形成されている
請求項1に記載のエレベーターの乗場ドア装置。
【請求項6】
前記第3の板状部は、前記第1の板状部よりも前記ドアロックスイッチに近い位置に配置されている
請求項1に記載のエレベーターの乗場ドア装置。
【請求項7】
前記第3の板状部は、前記第1の板状部の下方に、前記第1の板状部よりも幅狭に形成されている
請求項1に記載のエレベーターの乗場ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの乗場ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベーターの乗場ドア装置は、乗場ドアの施錠及び解錠を検出するドアロックスイッチを備えている(例えば、特許文献1)。ドアロックスイッチは、配線を介してエレベーターの制御盤に電気的に接続される。また、ドアロックスイッチと制御盤は、
図8に示すように、昇降路内の制御盤(図示せず)につながる塔内配線101と、ドアロックスイッチにつながるスイッチ配線102とを、コネクタ103によって接続することにより、電気的に接続される。コネクタ103は、
図9にも示すように、乗場ドア装置が備える配線固定用ブラケット104に取り付けられ、配線固定用ブラケット104は、乗場ドア装置が備えるレール枠105に取り付けられる。また、ドアロックスイッチ106は、例えば、図示しないガイドレールとブラケットを介してレール枠105に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベーターの乗場ドア装置においては、
図10に示すように、昇降路の壁面107を伝って流れ落ちる水が、図中矢印で示すようにレール枠105の表面や配線固定用ブラケット104の表面を伝ってコネクタ103に浸入し、接触不良を起こすことが懸念される。また、
図11に示すように、レール枠105や配線固定用ブラケット104に塔内配線101が近接又は接触していると、レール枠105や配線固定用ブラケット104から塔内配線101を伝ってコネクタ103に水が浸入し、接触不良を起こすことも懸念される。
【0005】
そこで、コネクタ103を水の浸入から保護するために、
図12に示すように、配線固定用ブラケット104にケース108を取り付け、このケース108によってコネクタ103を覆うとともに、ケース108の底部からコネクタ103に向かって塔内配線101とスイッチ配線102を接続する構造を採用することが考えられる。しかしながら、この構造を採用すると、ケース108の追加によって部品点数が増えてしまう。なお、本明細書においては、「水」を「液体」と言い換えることができる。
【0006】
本発明の目的は、塔内配線とスイッチ配線を接続するコネクタをケースで覆わなくても、コネクタを水の浸入から保護することができるエレベーターの乗場ドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば、特許請求の範囲に記載された構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一つを挙げるならば、乗場ドアの移動を案内するドアレールが取り付けられるレール枠と、乗場ドアの施錠及び解錠を検出するドアロックスイッチと、レール枠に取り付けられるブラケットであって、ドアロックスイッチにつながるスイッチ配線と昇降路に設置される制御盤につながる塔内配線をコネクタにより接続して固定するための配線固定用ブラケットと、を備えるエレベーターの乗場ドア装置である。配線固定用ブラケットは、レール枠に固定された第1の板状部と、第1の板状部の端部で折り曲げられて垂直に配置された第2の板状部と、第1の板状部よりも下方で、かつ、第2の板状部の表面を伝う水の経路から外れた位置で折り曲げられた第3の板状部と、を一体に有する。第3の板状部の先端部は第3の板状部の基端部と同じ高さ位置かそれよりも高い位置に配置されている。コネクタは、第3の板状部に配置され、スイッチ配線と塔内配線は、第3の板状部よりも下方からコネクタに接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、塔内配線とスイッチ配線を接続するコネクタをケースで覆わなくても、コネクタを水の浸入から保護することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置の正面図である。
【
図2】第1実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置の一部を拡大した正面図である。
【
図3】第1実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置の一部を拡大した側面図である。
【
図4】第3の板状部におけるコネクタの取付構造を説明する拡大図である。
【
図5】第1実施形態における水の移動経路を説明する図である。
【
図6】第2実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置が備える配線固定用ブラケットの構造を示す正面図である。
【
図7】第2実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置が備える配線固定用ブラケットの構造を示す側面図である。
【
図8】従来のエレベーターの乗場ドア装置の一部を拡大した側面図である。
【
図9】従来のエレベーターの乗場ドア装置の一部を拡大した側面図である。
【
図10】従来例における水の移動経路を説明する図(その1)である。
【
図11】従来例における水の移動経路を説明する図(その2)である。
【
図12】コネクタをケースで覆った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置の正面図である。
図1に示すように、エレベーターの乗場ドア装置10は、三方枠11と、三方枠11の枠内に形成される出入口を開閉する乗場ドア12と、乗場ドア12の移動を案内するドアレール13が取り付けられるレール枠14と、ドアレール13の上を回転しながら移動するハンガーローラ15を有し、乗場ドア12を吊った状態で支持するドアハンガー16と、乗場ドア12の施錠及び解錠を検出するドアロックスイッチ17と、レール枠14に取り付けられる配線固定用ブラケット18と、乗場ドア12の移動を案内する溝を有するシル19とを備えている。
【0012】
乗場ドア12は、2つのドアパネルによって構成され、各々のドアパネルが所定の速度比で
図1の左右方向に移動することにより、乗場の出入口を開閉する。
図1は乗場ドア12を閉じた状態を示している。
【0013】
レール枠14は、乗場ドア12の移動方向(開閉方向)に長い長尺状の部材である。レール枠14は、図示はしないが、昇降路の壁面にブラケット、ボルト等を用いて取り付けられる。
【0014】
ドアロックスイッチ17は、レール枠14の長手方向の一端側に配置されている。ドアロックスイッチ17は、ドアフック20がドアロック爪(図示せず)に係合した状態を乗場ドア12の施錠状態として検出するとともに、ドアフック20がドアロック爪から離脱した状態を乗場ドア12の解錠状態として検出する。ドアロックスイッチ17は、例えば、乗場ドア12の施錠状態を検出しているときにオン状態となり、乗場ドア12の解錠状態を検出しているときにオフ状態となる検出信号を出力する。
【0015】
ドアロックスイッチ17は、例えば、ドアレール13とスイッチ取付用ブラケット(図示せず)を介してレール枠14に取り付けられる。ドアフック20は、ドアハンガー16に回動可能に取り付けられ、ドアハンガー16と共に移動する。ドアロック爪は、ドアロックスイッチ17と共にレール枠14に取り付けられる。
【0016】
図2は、第1実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置の一部を拡大した正面図であり、
図3は、第1実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置の一部を拡大した側面図である。
図3は、レール枠14の長手方向から配線固定用ブラケット18等を見た場合を示している。
【0017】
図2及び
図3に示すように、レール枠14は、上板部21と下板部22とを一体に有する。レール枠14は、例えば、1枚の金属板をプレス加工(剪断加工、曲げ加工等)して得られる一体構造物である。上板部21は、水平に配置されている。下板部22は、上板部21から直角に折り曲げられている。下板部22は、垂直に配置されている。
【0018】
配線固定用ブラケット18は、ドアロックスイッチ17につながるスイッチ配線31と制御盤(図示せず)につながる塔内配線32をコネクタ33により接続して固定するためのブラケットである。スイッチ配線31は、上述した検出信号を出力するためにドアロックスイッチ17から引き出されている。制御盤は、エレベーターを統括的に制御する装置である。制御盤は、昇降路の上部(例えば、機械室など)に設置される。
【0019】
配線固定用ブラケット18は、レール枠14に固定される第1の板状部25と、第1の板状部25の端部で折り曲げられた第2の板状部26と、第1の板状部25よりも下方で折り曲げられた第3の板状部27と、を一体に有する。配線固定用ブラケット18は、例えば、1枚の金属板をプレス加工(剪断加工、曲げ加工等)して得られる一体構造物である。
【0020】
第1の板状部25は、水平に配置されている。第1の板状部25は、レール枠14の上板部21の上に重ね合わせた状態で、図示しない固定ボルト等によりレール枠14に固定される。
【0021】
第2の板状部26は、第1の板状部25の端部で直角に折り曲げられている。第2の板状部26は、レール枠14の下板部22と対向する状態で垂直に配置されている。
【0022】
第3の板状部27は、
図3に示すように、レール枠14の長手方向から見て、第1の板状部25と同じ方向に突出するように折り曲げられている。これにより、第3の板状部27の上方空間は、レール枠14の上板部21によって覆われている。
【0023】
第3の板状部27は、レール枠14の長手方向で第1の板状部25よりもドアロックスイッチ17に近い位置に配置されている。また、第3の板状部27は、第2の板状部26の表面を伝う水の経路(
図2に破線の矢印で示す経路)から外れた位置に配置されている。第2の板状部26と第3の板状部27との境界部には水切り溝28(
図2)が形成されている。水切り溝28は、第2の板状部26の表面を伝って流れ落ちる水が第3の板状部27に伝わらないようにするための溝である。
【0024】
第3の板状部27は、
図3に示すように、第3の板状部27の先端部27aが第3の板状部27の基端部27bよりも高い位置に配置されるよう、水平面に対して傾斜している。第2の板状部26を基準とする第3の板状部27の折り曲げ角度θは、90度超180度未満の角度、すなわち鈍角である。この折り曲げ角度θは、第2の板状部26の表面を基準面とし、この基準面に対して第3の板状部27の下面がなす角度として規定される。
【0025】
コネクタ33は、配線固定用ブラケット18の第3の板状部27の上面側に配置されている。また、コネクタ33は、コネクタ支持部材35(詳細は後述)により、第3の板状部27の上面から浮いた状態で支持されている。これに対して、スイッチ配線31と塔内配線32は、第3の板状部27よりも下方からコネクタ33に接続されている。
【0026】
図2に示すように、スイッチ配線31は、配線留め具36,37により配線固定用ブラケット18に留め付けられている。配線留め具36は、配線留め具37よりも下方に配置されている。配線留め具37は、レール枠14の長手方向で第3の板状部27の一端側に配置されている。ドアロックスイッチ17から引き出されたスイッチ配線31は、配線留め具36と配線留め具37を順に経由してコネクタ33まで延在している。
【0027】
塔内配線32は、配線留め具38,39により配線固定用ブラケット18に留め付けられている。配線留め具38は、配線留め具39よりも下方に配置されている。配線留め具39は、レール枠14の長手方向で第3の板状部27の他端側(配線留め具37と反対側)に配置されている。制御盤から引き出された塔内配線32は、昇降路の壁面に沿って乗場ドア装置10のレール枠14及び配線固定用ブラケット18まで延ばされ、配線留め具38と配線留め具39を順に経由してコネクタ33まで延在している。また、塔内配線32の余長部は、配線留め具38によって配線固定用ブラケット18の第2の板状部26に留め付けられている。
【0028】
図4は、第3の板状部におけるコネクタの取付構造を説明する拡大図である。
図4に示すように、コネクタ33は、第3の板状部27の上面271側に配置されるとともに、複数(図例では2つ)のコネクタ支持部材35によって支持されている。コネクタ支持部材35は、コネクタ33を間に挟んで、コネクタ33の両側に1つずつ配置されている。
【0029】
コネクタ支持部材35は、クリップ部35aと、スペーサ部35bと、結束部35cとを有している。クリップ部35aは、径方向に適度な可撓性を有しており、第3の板状部27に設けられた貫通孔29を通して第3の板状部27の下面272に係止されている。スペーサ部35bは、クリップ部35aと結束部35cとの間に配置されている。スペーサ部35bは、クリップ部35aとスペーサ部35bとの間に第3の板状部27を挟むように配置されている。スペーサ部35bは、所定の高さ寸法Tを有し、この高さ寸法Tにより、第3の板状部27の上面271とコネクタ33との間に所定の空間を確保している。そして、コネクタ33は、スペーサ部35bの高さ寸法Tに対応して、第3の板状部27の上面271から浮いた状態に配置されている。結束部35cは、スイッチ配線31や塔内配線32を結束する部分である。
【0030】
上述した第1実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置10では、配線固定用ブラケット18の構成として、第1の板状部25よりも下方で、かつ、第2の板状部26の表面を伝う水の経路から外れた位置に第3の板状部27を折り曲げによって形成し、この第3の板状部27にコネクタ33を配置するとともに、スイッチ配線31と塔内配線32を第3の板状部27の下方からコネクタ33に接続した構成を採用している。これにより、
図5に示すように、昇降路の壁面40を伝って移動する水が、図中矢印で示すように、第3の板状部27を経由することなく、レール枠14の表面や配線固定用ブラケット18の表面を伝って流れ落ちるようになる。このため、スイッチ配線31と塔内配線32を接続するコネクタ33をケースで覆わなくても、コネクタ33を水の浸入から保護することができる。また、ケースが不要になることで、ケースの購入に必要な機器費用を削減できるとともに、ケースに配線を固定する作業やケースを配線固定用ブラケット18に固定する作業を削減できる。
【0031】
また、第1実施形態に係る乗場ドア装置10において、第3の板状部27は、先端部27aが基端部27bよりも高い位置に配置されるよう、水平面に対して傾斜している。これにより、配線固定用ブラケット18の表面を伝って移動する水が第3の板状部27の基端部27bに達した場合でも、第3の板状部27の基端部27bから先端部27aに向かう水の移動を、第3の板状部27の傾斜によって抑制することができる。
【0032】
また、第1実施形態に係る乗場ドア装置10は、第3の板状部27の上面271からコネクタ33を浮いた状態で支持するコネクタ支持部材35を備えている。これにより、仮に、第3の板状部27の上面271に水(水滴、水膜など)が存在する場合でも、コネクタ33が水に接触することを避けることができる。
【0033】
また、第1実施形態に係る乗場ドア装置10において、第3の板状部27は、レール枠14の長手方向から見て、第1の板状部25と同じ方向に突出するように折り曲げられている。これにより、第3の板状部27の上方に配置されるレール枠14の上板部21や配線固定用ブラケット18の第1の板状部25が、いわゆる傘の役目を果たすため、防滴の面で有利になる。
【0034】
また、第1実施形態に係る乗場ドア装置10では、第2の板状部26と第3の板状部27との境界部に水切り溝28が形成されている。これにより、第2の板状部26から第3の板状部27への水の浸入を、より確実に抑制することができる。
【0035】
また、第1実施形態に係る乗場ドア装置10において、第3の板状部27は、第1の板状部25よりもドアロックスイッチ17に近い位置に配置されている。これにより、作業者がスイッチ配線31と塔内配線32をコネクタ33によって接続する場合に、エレベーターの出入口付近に設定される作業者の立ち位置の近くにコネクタ33を配置することができる。このため、コネクタ接続作業の視認性及び施工性を改善することができる。
【0036】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る乗場ドア装置は、上述した第1実施形態の場合と比べて、配線固定用ブラケットの構成が異なる。
図6は、第2実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置が備える配線固定用ブラケットの構造を示す正面図であり、
図7は、第2実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置が備える配線固定用ブラケットの構造を示す側面図である。
図7は、レール枠の長手方向から配線固定用ブラケットを見た場合を示している。
【0037】
図6及び
図7に示すように、配線固定用ブラケット18Aは、レール枠(図示せず)に固定される第1の板状部25Aと、第1の板状部25Aの端部で折り曲げられた第2の板状部26Aと、第1の板状部25Aよりも下方で折り曲げられた第3の板状部27Aとを一体に有するブラケットである。
【0038】
第1の板状部25Aは、水平に配置されている。第1の板状部25Aは、上記第1実施形態と同様にレール枠の上に重ね合わせた状態で、図示しない固定ボルト等によりレール枠に固定される。
【0039】
第2の板状部26Aは、第1の板状部25Aの端部で直角に折り曲げられている。第2の板状部26Aは、上記第1実施形態と同様にレール枠の下板部と対向する状態で垂直に配置される。
【0040】
第3の板状部27Aは、上記第1実施形態と同様に、水平面に対して傾斜している。また、第3の板状部27Aは、第1の板状部25Aの下方(図例では真下)に、第1の板状部25Aよりも幅狭に形成されている。具体的には、第3の板状部27Aは、
図6に示すように、第2の板状部26Aの中央部をくり抜いた状態で、第1の板状部25Aと同じ方向に突出するように折り曲げられている。また、第3の板状部27Aは、第2の板状部26Aの表面を伝う水の経路(
図6に二点鎖線の矢印で示す経路)から外れた位置に配置されている。第2の板状部26Aと第3の板状部27Aとの境界部には水切り溝28A(
図6)が形成されている。
【0041】
なお、コネクタの取付構造や配線の引き回しについては、上記第1実施形態の場合と基本的に同様であるため説明を省略する。
【0042】
上述した第2実施形態において、第3の板状部27Aは、第1の板状部25Aの下方に、第1の板状部25Aよりも幅狭に形成されている。このため、上記第1実施形態と比較して、配線固定用ブラケット18Aのサイズを小さくすることができる。
【0043】
<変形例等>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。たとえば、上述した実施形態では、本発明の内容を理解しやすいように詳細に説明しているが、本発明は、上述した実施形態で説明したすべての構成を必ずしも備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、これを削除し、または他の構成を追加し、あるいは他の構成に置換することも可能である。
【0044】
また、上記実施形態においては、好ましい例として、配線固定用ブラケット18の第3の板状部27を水平面に対して傾斜させた構成を採用したが、これに限らず、第3の板状部27の先端部27aが基端部27bと同じ高さ位置に配置された構成、すなわち第3の板状部27を水平に配置した構成を採用してもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、好ましい例として、第3の板状部27が、レール枠14の長手方向から見て、第1の板状部25と同じ方向に突出するように折り曲げられているが、これに限らず、第3の板状部27は第1の板状部25と反対方向に突出するように折り曲げられていてもよい。
【0046】
また、上記実施形態においては、レール枠14の上板部21の上に配線固定用ブラケット18の第1の板状部25を重ね合わせているが、これに限らず、レール枠14の上板部21の下に配線固定用ブラケット18の第1の板状部25を重ね合わせた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
10…乗場ドア装置、12…乗場ドア、13…ドアレール、14…レール枠、17…ドアロックスイッチ、18,18A…配線固定用ブラケット、21…上板部、25,25A…第1の板状部、26,26A…第2の板状部、27,27A…第3の板状部、27a…先端部、27b…基端部、28,28A…水切り溝、31…スイッチ配線、32…塔内配線、33…コネクタ、35…コネクタ支持部材