(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142674
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線機及び無線機の取替方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/19 20180101AFI20241003BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20241003BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20241003BHJP
H04W 40/02 20090101ALI20241003BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20241003BHJP
【FI】
H04W76/19
H04W84/20
H04W4/38
H04W40/02 110
H04W84/18 110
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054915
(22)【出願日】2023-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】猪子 照恵
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅文
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】土岐 爽真
(72)【発明者】
【氏名】田村 至
(72)【発明者】
【氏名】青井 司
(72)【発明者】
【氏名】福島 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚利
(72)【発明者】
【氏名】小野 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】田井 貴久
(72)【発明者】
【氏名】畠内 孝明
(72)【発明者】
【氏名】星野 充紀
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB27
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】無線機の取替についての利便性の向上を図ることができる無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線通信システムは、通信ネットワークに属している複数の無線機と、センタ装置と、無線機とセンタ装置との通信を中継する中継器と、を備え、複数の無線機は、第1識別情報により他の通信ネットワークに属する無線機から識別されて中継器を介してセンタ装置と通信される親無線機と、親無線機が属する通信ネットワーク内において第1識別情報よりも情報量が少ない第2識別情報により他の無線機から識別されて親無線機と通信される子無線機とを含み、親無線機を新規の無線機に取り替える取替処理において、親無線機は、自機が属する通信ネットワークにおける通信に関する情報である通信情報をセンタ装置に送信し、新規の無線機は、取替対象の親無線機が属していた通信ネットワークに関する通信情報をセンタ装置から受信するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークに属している複数の無線機と、
センタ装置と、
前記無線機と前記センタ装置との通信を中継する中継器と、を備え、
複数の前記無線機は、
第1識別情報により他の通信ネットワークに属する無線機から識別されて前記中継器を介して前記センタ装置と通信される親無線機と、
前記親無線機が属する前記通信ネットワーク内において前記第1識別情報よりも情報量が少ない第2識別情報により他の前記無線機から識別されて前記親無線機と通信される子無線機とを含み、
前記親無線機を新規の無線機に取り替える取替処理において、前記親無線機は、自機が属する前記通信ネットワークにおける通信に関する情報である通信情報を前記センタ装置に送信し、前記新規の無線機は、取替対象の前記親無線機が属していた前記通信ネットワークに関する前記通信情報を前記センタ装置から受信するように構成されている、
無線通信システム。
【請求項2】
前記子無線機は、前記通信ネットワークにおける前記親無線機までのホップ数と前記第2識別情報とを対応付けたホップ数テーブルを通信可能な他の前記無線機と所定周期で交換する交換処理を実行し、
複数の前記無線機のうち、前記親無線機との間で他の子無線機を介さずに通信可能な子無線機は、前記センタ装置の指示に応じて前記ホップ数テーブルの交換処理の次回の実行タイミングを前記所定周期に基づいた実行タイミングよりも後に延期するよう構成されている、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記取替処理において、前記センタ装置は、前記新規の無線機と取り替えられる前記親無線機に関する前記第1識別情報を取得し、
前記新規の無線機は、自機から通信可能な所定数以下の前記通信ネットワークを特定するネットワーク情報を取得し、前記ネットワーク情報を前記センタ装置へ送信し、
前記センタ装置は、前記ネットワーク情報に基づいて前記新規の無線機と取り替えられる前記親無線機を決定するよう構成されている、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記新規の無線機は、通信可能な無線機から信号を受信し、
前記ネットワーク情報は、前記信号に含まれる前記通信ネットワークを識別するネットワーク識別情報、前記通信ネットワークにおける前記親無線機までのホップ数のうち最小のホップ数を示すランク、及び、前記第2識別情報、並びに、前記信号を受信したときのRSSIのうち少なくとも何れか1つを含む、
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記新規の無線機は、
複数の前記通信ネットワークを選別するための選別情報を有しており、
自機から通信可能な前記通信ネットワークが前記所定数よりも多い場合には、前記選別情報に基づいて前記所定数以下の前記通信ネットワークを選択するように構成されている、
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記センタ装置は、前記新規の無線機から送信された前記ネットワーク情報が、前記取替処理の対象の前記親無線機が属する前記通信ネットワークに関するものでない不一致情報であった場合、次回以降に送信される前記ネットワーク情報から前記不一致情報を除外すべき旨の指示を前記新規の無線機に送信するように構成されている、
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項7】
通信ネットワーク内で子無線機との間で通信可能な第1通信部と、
センタ装置との通信を中継する中継器との間で通信可能な第2通信部と、
制御部と、を備える親無線機を成す無線機であって、
前記制御部は、
前記通信ネットワークに属した状態で動作する第1モード、及び、前記通信ネットワークに既に属している他の親無線機と取り替えられる新規の無線機として動作する第2モード、を有し、
前記第1モードでは、自機が属する前記通信ネットワークにおける通信に関する情報である通信情報を前記センタ装置へ送信し、
前記第2モードでは、取替対象の前記他の親無線機が属していた前記通信ネットワークに関する前記通信情報を前記センタ装置から受信するよう構成されている、
無線機。
【請求項8】
通信ネットワークに属している複数の無線機と、
センタ装置と、
前記無線機と前記センタ装置との通信を中継する中継器と、を備え、
複数の前記無線機は、
第1識別情報により他の通信ネットワークに属する無線機から識別されて前記中継器を介して前記センタ装置と通信される親無線機と、
前記親無線機が属する前記通信ネットワーク内において前記第1識別情報よりも情報量が少ない第2識別情報により他の前記無線機から識別されて前記親無線機と通信される子無線機とを含む無線通信システムにおいて、
前記親無線機を新規の無線機に取り替える取替処理において、前記親無線機は、自機が属する前記通信ネットワークにおける通信に関する情報である通信情報を前記センタ装置に送信し、前記新規の無線機は、取替対象の前記親無線機が属していた前記通信ネットワークに関する前記通信情報を前記センタ装置から受信する、
無線機の取替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システム、無線機及び無線機の取替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線機として、例えば、特許文献1に示す無線端末が知られている。この無線端末は、通信ネットワークに属している無線機として動作する第1モード、及び、通信ネットワークに既に属している無線機に替わって通信ネットワークに参入する無線機として動作する第2モードを有している。この第1モードの既存の無線機は、属している通信ネットワークの通信情報を設定器を介して、第2モードの新規の無線機に渡す。そして、新規の無線機は、この通信情報を用いて通信ネットワークに参入することにより、既存の無線機が属していた通信ネットワークに参入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、上記特許文献1では、通信ネットワークにおいて既に参入している既存の無線端末から新規の無線端末に設定器を介して通信情報を渡すことにより、無線端末が取り替えられている。この通信情報の移譲を容易にして無線機の取替について利便性の向上を図る課題がある。
【0005】
本開示はこのような課題を解決するためになされたものであり、無線機の取替についての利便性の向上を図ることができる無線通信システム、無線機及び無線機の取替方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様に係る無線通信システムは、通信ネットワークに属している複数の無線機と、センタ装置と、前記無線機と前記センタ装置との通信を中継する中継器と、を備え、複数の前記無線機は、第1識別情報により他の通信ネットワークに属する無線機から識別されて前記中継器を介して前記センタ装置と通信される親無線機と、前記親無線機が属する前記通信ネットワーク内において前記第1識別情報よりも情報量が少ない第2識別情報により他の前記無線機から識別されて前記親無線機と通信される子無線機とを含み、前記親無線機を新規の無線機に取り替える取替処理において、前記親無線機は、自機が属する前記通信ネットワークにおける通信に関する情報である通信情報を前記センタ装置に送信し、前記新規の無線機は、取替対象の前記親無線機が属していた前記通信ネットワークに関する前記通信情報を前記センタ装置から受信するように構成されている。
【0007】
本開示のある態様に係る無線機は、通信ネットワーク内で子無線機との間で通信可能な第1通信部と、センタ装置との通信を中継する中継器との間で通信可能な第2通信部と、制御部と、を備える親無線機を成す無線機であって、前記制御部は、前記通信ネットワークに属した状態で動作する第1モード、及び、前記通信ネットワークに既に属している他の親無線機と取り替えられる新規の無線機として動作する第2モード、を有し、前記第1モードでは、自機が属する前記通信ネットワークにおける通信に関する情報である通信情報を前記センタ装置へ送信し、前記第2モードでは、取替対象の前記他の親無線機が属していた前記通信ネットワークに関する前記通信情報を前記センタ装置から受信するよう構成されている。
【0008】
本開示のある態様に係る無線機の取替方法は、通信ネットワークに属している複数の無線機と、センタ装置と、前記無線機と前記センタ装置との通信を中継する中継器と、を備え、複数の前記無線機は、第1識別情報により他の通信ネットワークに属する無線機から識別されて前記中継器を介して前記センタ装置と通信される親無線機と、前記親無線機が属する前記通信ネットワーク内において前記第1識別情報よりも情報量が少ない第2識別情報により他の前記無線機から識別されて前記親無線機と通信される子無線機とを含む無線通信システムにおいて、前記親無線機を新規の無線機に取り替える取替処理において、前記親無線機は、自機が属する前記通信ネットワークにおける通信に関する情報である通信情報を前記センタ装置に送信し、前記新規の無線機は、取替対象の前記親無線機が属していた前記通信ネットワークに関する前記通信情報を前記センタ装置から受信する。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、以上に説明した構成を有し、無線機の取替についての利便性の向上を図ることができる無線通信システム、無線機及び無線機の取替方法を提供することができるという効果を奏する。
【0010】
本開示の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。
【
図2】センタ装置、中継器、無線機の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図3】親無線機と新規の無線機との取替処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の変形例1に係る無線通信システムにおける親無線機と新規の無線機との取替処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態)
<無線通信システム>
図1に示すように、本開示の実施の形態に係る無線通信システム10は、通信ネットワーク11に属している複数の無線機20、通信ネットワーク11を利用するセンタ装置40、及び、無線機20とセンタ装置40との通信を中継する中継器30を備えている。
【0013】
センタ装置40は、ガス事業者や電力事業者などの事業者が有する装置であって、広域通信ネットワーク12に接続され、広域通信ネットワーク12を経由して情報を送受信する。広域通信ネットワーク12は、例えば電気通信事業者が提供されるPHS及びLTEなどの広域通信回線であって、1つ以上の中継器30に接続されている。中継器30は、広域通信ネットワーク12を経由して情報を送受信する通信端末であり、さらに無線機20に接続されている。この無線機20は、マルチホップ式の通信ネットワーク11に接続され、通信ネットワーク11を経由して他の無線機20との間で情報を送受信する。これにより、情報は、無線機20から中継器30に送信され、中継器30から広域通信ネットワーク12を経由してセンタ装置40に送信される。センタ装置40は、このようにして情報を収集する。
【0014】
無線機20及び中継器30は、例えば、ガス、水道及び電気の使用量を計測するメータ13に設けられている。無線機20は、メータ13に導線によって接続されており、メータ13により計測された計測データ及びメータ13の識別情報などを含むメータ情報をメータ13から取得する。また、1つの通信ネットワーク11に属する無線機20は、中継器30と導線により接続された1つの無線機20である親無線機20a、及び、中継器30と接続されていない1以上の無線機20である子無線機20cを有している。なお、無線機20はメータ13と無線通信可能であってもよく、また、親無線機20aは中継器30と無線通信可能であってもよい。
【0015】
複数の無線機20は、互いに無線通信により相互接続して、互いに情報を送信、受信及び中継する多段中継無線端末であって、マルチホップ式の通信ネットワーク11を構築している。このような通信ネットワーク11において、子無線機20cは、他の子無線機20cを介さずに親無線機20aと直接的に、又は、親無線機20aとの間に1つ以上の子無線機20cを介して間接的に無線通信する。
【0016】
これにより、無線通信システム10は、例えば、通信ネットワーク11における無線機20から情報をセンタ装置40に収集する情報収集処理、通信ネットワーク11における無線機20同士でホップ数テーブルを交換する交換処理、及び、通信ネットワーク11における無線機20を取り替える取替処理を実行する。これらの処理は後述する。
【0017】
<センタ装置>
図2に示すように、センタ装置40は、センタ制御部41、センタ記憶部42及びセンタ通信部43を備えている。センタ記憶部42は、センタ制御部41からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。センタ記憶部42は、取替処理等の各種処理を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられる情報、並びに、各種処理の実行時の情報を記憶している。
【0018】
また、センタ記憶部42は、情報収集処理により収集された無線機20を識別する第1識別情報と、この無線機20に接続されたメータ13のメータ情報とを対応付けて記憶している。さらに、センタ記憶部42は、交換処理などに基づいて取得された無線機20の第1識別情報及びランク、ネットワークID及び中継IDなどの情報を互いに対応付けて記憶している。ここで、ネットワークIDは、無線通信システム10に備えられた複数の通信ネットワーク11において他の通信ネットワーク11から、自機の通信ネットワーク11を識別するための情報である。中継IDは、情報を無線機20からセンタ装置40に送信するために経由する中継器30を、他の中継器30と識別する情報であって、無線機20が所属している通信ネットワーク11の親無線機20aに接続されている中継器30の識別情報である。これにより、センタ装置40は、通信ネットワーク11に属している無線機20から送信されるメータ情報などの情報、及び、無線機20に関する情報を管理している。なお、ランクについては後述する。
【0019】
センタ制御部41は、コンピュータであって、例えば、CPU等のプロセッサ、又は、マイクロコンピュータなどにより構成されている。センタ制御部41は、センタ記憶部42に記憶されたプログラムを実行することにより、各種処理を実行する。なお、センタ制御部41は、単独の制御装置により構成されていてもよく、又は、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働してセンタ制御部41の動作を行うよう構成されていてもよい。
【0020】
また、センタ通信部43は、広域通信ネットワーク12との通信インターフェースであって、広域通信ネットワーク12を経由して情報を中継器30との間で送受信する。例えば、センタ通信部43は、広域通信ネットワーク12とケーブルなどにより接続され、中継器30は広域通信ネットワーク12の基地局のアンテナに無線通信で接続されている。これにより、センタ装置40は広域通信ネットワーク12により中継器30と通信可能に接続されている。
【0021】
<中継器>
中継器30は、中継制御部31、中継記憶部32、第1中継通信部33、第2中継通信部34及びアンテナ35を備えている。中継記憶部32は、中継制御部31からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。中継記憶部32は、各種処理を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられる情報、並びに、各種処理の実行における情報を記憶している。また、中継制御部31は、コンピュータであって、例えば、CPU等のプロセッサ、又は、マイクロコンピュータなどにより構成されている。中継制御部31は、中継記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、各種処理を実行する。
【0022】
第1中継通信部33は、無線通信の通信インターフェースであって、アンテナ35により広域通信ネットワーク12を経由してセンタ装置40との間で情報を送受信する。また、第2中継通信部34は、無線機20に導線によって接続されており、無線機20との間で情報を送受信する。なお、中継器30は無線機20と無線通信により接続されていてもよい。
【0023】
<無線機>
無線機20は、制御部21、記憶部22、第1通信部23、第2通信部24及びアンテナ25を備えている。記憶部22は、制御部21からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。記憶部22は、各種処理を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられる情報、並びに、各種処理の実行時の情報を記憶している。制御部21は、例えば、CPU等のプロセッサ、又は、マイクロコンピュータにより構成されており、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、各種処理を実行する。
【0024】
第1通信部23は、無線通信の通信インターフェースであって、アンテナ25により通信ネットワーク11を経由して他の無線機20との間で情報を送受信する。また、第2通信部24は、メータ13及び中継器30の第2中継通信部34に導線によって接続されており、メータ13及び中継器30のそれぞれとの間で情報を送受信する。
【0025】
このような無線機20のうち親無線機20aは、通信ネットワーク11に新規に参入する無線機20に対して第2識別情報を発行する発行機能を有している。このため、親無線機20aの記憶部22には、自機が属している通信ネットワーク11における自機及び他の無線機20の第1識別情報と第2識別情報を対応付けて記憶されている。第1識別情報は、無線機20の製造番号及びMACアドレスなどの無線機20の固有の情報である。第2識別情報は、同一の通信ネットワーク11を構成している複数の無線機20のそれぞれの無線機20を他の無線機20と識別する情報であって、第1識別情報よりも情報量が少ない。
【0026】
中継器30を介したセンタ装置40と無線機20との間の通信のうち、広域通信ネットワーク12を経由したセンタ装置40と中継器30との間の通信には、無線機20の識別に第1識別情報が用いられる。また、通信ネットワーク11を経由した複数の無線機20間の通信には、無線機20の識別に第2識別情報が用いられる。このため、親無線機20aは、無線機20をセンタ装置40との間の通信において、第1識別情報と第2識別情報との変換を行う。例えば、第1識別情報は14桁のデータであるのに対し、第2識別情報は2桁のデータである。この情報量が少ない第2識別情報を通信ネットワーク11における無線機20間の通信に用いることにより、通信量を低減でき、通信のための無線機20の電池の消耗を抑制することができる。
【0027】
<ランク>
ランクは、通信ネットワーク11において自機の無線機20から親無線機20aまでのホップ数のうち最小のものである。例えば、0h~Fhがランクとして設定される。ランクは、ホップ数テーブルの交換処理毎に更新される。このホップ数テーブル及び交換処理については後述する。
【0028】
例えば、親無線機20aのランクは0hと設定される。親無線機20aと1ホップで隣接する子無線機20cのランクは、1hが設定される。親無線機20aとの間に中継する子無線機20cの数が増えるほど、無線機20のランクが大きくなる。さらに、親無線機20aまでの通信ルートが複数ある場合、各通信ルートにおけるホップ数のうちの最も小さいものがランクとして設定される。また、無線機20が通信ネットワーク11に属していない場合、及び、故障等により通信ネットワーク11において親無線機20aを認識できない場合、ランクはFhに設定される。
【0029】
<間欠通信>
通信ネットワーク11に属している複数の無線機20同士は、例えば、RIT方式による間欠通信を行う。無線機20は、ネットワークID、自機の第2識別情報及びランク、並びに、無線情報を記憶部22に記憶している。無線情報は、通信ネットワーク11において無線機20の無線通信に用いられる情報であって、その無線通信の周波数帯及び出力を含んでいる。この無線通信の周波数帯は、通信ネットワーク11において他の無線機20と無線通信する際に用いられる電波の周波数帯(チャネル)である。無線通信の出力は、通信ネットワーク11において他の無線機20と無線通信する際に用いられる電波の強さである。
【0030】
通信ネットワーク11に属している複数の無線機20のそれぞれの無線機20は、ネットワークID、ランク及び第2識別情報を含んだRIT信号(RIT Data Request)を所定の信号周期(例えば、5秒間隔)で同報送信する。そして、無線機20は、この送信後に、所定の信号周期よりも短い所定時間、情報を受信可能な状態になる。さらに、無線機20は、この受信可能時間の経過後に所定時間、休止状態になる。このように、無線機20は、RIT信号の送信、受信可能状態及び休止状態を繰り返す。
【0031】
ここで、無線機20において、例えば、メータ情報及びホップ数テーブルなどの送信情報が発生すると、無線機20は受信可能状態に移行する。そして、この無線機20が、受信可能状態において、他の無線機20からRIT信号を受信すると、このRIT信号に含まれる情報により送信相手か否かを判定する。このRIT信号のネットワークIDが自身が属している通信ネットワーク11のネットワークIDに一致すれば、無線機20は、他の無線機20が送信相手であると判定して、送信情報を他の無線機20に送信する。この送信情報は、他の無線機20がRIT信号を送信した後の受信可能状態で送信されるため、他の無線機20に受信される。他の無線機20は、送信情報を受信すると、受信可能状態から送信可能状態に移行し、送信情報の送信元の無線機20に応答信号を送信する。それから、無線機20及び他の無線機20は、RIT信号の送信、受信可能状態及び休止状態を再び繰り返す。
【0032】
このように、通信ネットワーク11に属している複数の無線機20同士は、情報収集処理及び交換処理などの各種処理において間欠通信により情報を送受信する。この情報の送信及び受信には、記憶部22に記憶された無線情報に規定された電波を用いた無線通信により行われる。なお、受信可能時間は所定の信号周期以上に延長されてもよい。また、他の無線機20は、受信したRIT信号のネットワークIDが自身が属している通信ネットワーク11と異なる場合、受信可能状態を延長してもよい。
【0033】
<メータ情報の情報収集処理>
メータ情報の情報収取処理では、無線機20は、接続されているメータ13からメータ情報を取得すると、メータ情報を記憶部22に記憶する。そして、無線機20のうち子無線機20cはメータ情報及び自機の第2識別情報を直接、又は、1つ以上の子無線機20cを中継して親無線機20aに送信する。また、無線機20のうち親無線機20aは、自機及び子無線機20cの第2識別情報を第1識別情報に変換し、第1識別情報をメータ情報に対応付けて中継器30に送信する。そして、中継器30は、広域通信ネットワーク12により、受信したメータ情報及び無線機20の第1識別情報をセンタ装置40に送信する。センタ装置40は、メータ情報及び第1識別情報を対応付けてセンタ記憶部42に記憶する。
【0034】
<ホップ数テーブルの交換処理>
ホップ数テーブルは、通信ネットワーク11に属している無線機20の第2識別情報と、その無線機20のホップ数とを対応付けた情報である。ホップ数は、通信ネットワーク11内の通信において自機と親無線機20aとの間で経由する無線機20の数である。ホップ数テーブルは、自機のホップ数だけでなく、通信ネットワーク11における他の無線機20のホップ数も保持している。
【0035】
ホップ数テーブルの交換処理は、無線機20が通信ネットワーク11に参入した際、及び、所定の交換周期(例えば、3日間隔)で、通信ネットワーク11における通信可能な他の無線機20との間において行われる。無線機20がホップ数テーブルを送信すると、この無線機20と通信可能な他の無線機20は、ホップ数テーブル及び送信元の第2識別情報を受信する。そして、この無線機20は、例えば、受信したホップ数テーブルにおけるホップ数のうち、送信元の無線機20のホップ数に1hを足して、自機のホップ数として記憶部22に記憶する。
【0036】
これにより、通信ネットワーク11における無線機20の参入及び離脱に応じて、その無線機20と無線通信する他の無線機20から順にホップ数テーブルが更新される。そして、親無線機20aは、交換処理により更新されたホップ数テーブルに基づいた無線機20の第1識別情報及びランク、ネットワークID並びに中継IDを、中継器30を介してセンタ装置40により送信する。これにより、センタ装置40は、無線機20の第1識別情報及びランク、ネットワークID並びに中継IDを対応付けてセンタ記憶部42に記憶する。なお、無線機20は、通信ネットワーク11に参入する前に自機のホップ数テーブルを初期化した後、他端末からホップ数テーブルを受信する。
【0037】
<取替処理>
通信ネットワーク11における無線機20の取替処理では、親無線機20aから、これとは別の無線機20である新規の無線機20bに取り替えられる。この無線機20の動作モードは、通信ネットワーク11に属した状態で動作する第1モード、及び、通信ネットワーク11に既に属している他の親無線機20aと取り替えられる新規の無線機20bとして動作する第2モードを有している。親無線機20aは、通信ネットワーク11に既に属しており、第1モードで動作する無線機20である。新規の無線機20bは、親無線機20aに替わって通信ネットワーク11に参入するために、第2モードで動作する無線機20である。なお、新規の無線機20bは、未使用の無線機20に限定されず、今までに使用されたことがある無線機20であってもよい。この場合には、取替処理前に無線機20を初期状態にリセットして、新規の無線機20bとして利用される。
【0038】
なお、
図2に示すように、親無線機20aから新規の無線機20bに取り替えられる際に、中継器30も取り替えられる。これにより、中継器30は、親無線機20aに接続されている中継器30である既存中継器30aから、新規の無線機20bに接続されている中継器30である新規中継器30bに取り替えられる。
【0039】
既存中継器30aの第2中継通信部34は、親無線機20aの第2通信部24に導線によって接続されており、導線を介して親無線機20aとの間で情報を送受信する。これにより、親無線機20a及びセンタ装置40は既存中継器30aを介して通信することができる。そして、親無線機20aが新規の無線機20bに取り替えられる前では、子無線機20cは親無線機20a及び既存中継器30aを順に介してセンタ装置40と通信可能である。また、新規中継器30bの第2中継通信部34は、新規の無線機20bの第2通信部24に導線によって接続されており、導線を介して新規の無線機20bとの間で情報を送受信する。これにより、新規の無線機20b及びセンタ装置40は新規中継器30bを介して通信することができる。そして、新規の無線機20bが親無線機20aに取り替えられた後では、子無線機20cは新規の無線機20b及び新規中継器30bを順に介してセンタ装置40と通信可能である。なお、既存中継器30aと親無線機20aとは無線通信により接続されていてもよく、新規中継器30bと新規の無線機20bとは無線通信により接続されていてもよい。
【0040】
このような無線機20の取替処理は、
図3に示すフローチャートの一例に従って実行される。無線通信システム10においてセンタ装置40は、親無線機20aの取替日と第1識別情報とを対応付けてセンタ記憶部42に記憶している。また、センタ装置40は、既存中継器30aの中継ID、この既存中継器30aに接続される親無線機20aの第1識別情報、並びに、親無線機20aが属している通信ネットワーク11における複数の無線機20の第1識別情報及びランクを対応付けてセンタ記憶部42に記憶している。
【0041】
ここで、通信ネットワーク11における無線機20同士は、所定の交換周期(例えば、3日間隔)でホップ数テーブルの交換処理を行い、属している通信ネットワーク11の構成情報を得ている。この交換処理が、通信ネットワーク11に既に属している親無線機20aを新規の無線機20bに取り替える処理中に行われると、親無線機20aが交換処理を行えない。これにより、親無線機20aが欠落すると、子無線機20cは親無線機20aを介してセンタ装置40と通信できずにセンタ装置40から孤立するため、属している通信ネットワーク11から他の通信ネットワーク11に参入を試みるようになる。この場合、親無線機20aが属している通信ネットワーク11の状態が変化し、通信ネットワーク11の再構築が必要になるため、取替処理後の通信ネットワーク11の回復に時間を要するおそれがある。
【0042】
そこで、親無線機20aの取替処理中に親無線機20aとの交換処理が行われないように、親無線機20aとの間で他の子無線機20cを介さずに通信可能な子無線機20c(すなわち、ランク1hの子無線機20c)は、センタ装置40の指示に応じてホップ数テーブルの交換のタイミングを変更する。ここで、センタ装置40は、取替処理の対象の通信ネットワーク11における無線機20のうち、親無線機20aと通信可能な無線機20であるランク1hの子無線機20cの第1識別情報を取得する。そして、センタ装置40は、親無線機20aの取替日の朝又はその前日などの取替処理前に、ホップ数テーブルの交換処理の次回の実行タイミングの延期指示をランク1hの子無線機20cに送信する(ステップS1)。この延期指示は、センタ装置40から既存中継器30a及び親無線機20aを順に介してランク1hの子無線機20cに送信される。
【0043】
ランク1hの子無線機20cは、延期指示を受信すると、この延期指示に応じてホップ数テーブルの交換処理の次回の実行タイミングを所定の交換周期に基づいた実行タイミングよりも後に延期する(ステップS2)。例えば、子無線機20cが延期指示を受信していない状態では、親無線機20a及び子無線機20cは、交換処理を実行すると、その実行からの経過時間をカウントし、この経過時間が所定の交換周期(例えば、3日)に達すると、交換処理を実行する。これにより、親無線機20a及び子無線機20cは、所定の交換周期毎に交換処理を実行する。
【0044】
これに対し、ランク1hの子無線機20cは、延期指示を受信すると、前回の交換処理の実行からカウントされた経過時間を0にリセットし、経過時間のカウントを開始し、経過時間が所定の交換周期(例えば、3日)に達すると、交換処理を実行する。これにより、延期指示の受信から所定の交換周期(例えば、3日)後に親無線機20aとランク1hの子無線機20cとの交換処理が実行されるため、この次回の実行タイミングは、所定の交換周期に基づいた実行タイミングよりも、リセット直前の経過時間の分だけ後に延期される。
【0045】
このようにホップ数テーブルの交換処理の次回の実行タイミングが延期されると、例えば取替処理が1日で行われるのに対し、次回の交換処理は延期指示から3日後になるため、取替処理中に親無線機20aとの交換処理が行われない。よって、取替処理により親無線機20aが通信ネットワーク11から欠落しても、それがホップ数テーブルに反映されず、親無線機20aが属している通信ネットワーク11は維持される。また、親無線機20aとランク1hの子無線機20cとの交換処理以外の交換処理は、所定の交換周期毎に行われる。従って、取替処理後に新規の無線機20bは、この通信ネットワーク11に親無線機20aに替わって参入することができる。
【0046】
続いて、新規の無線機20bが親無線機20aの近傍において起動する(ステップS3)。新規の無線機20bの起動は、ユーザによる手動、又は、新規の無線機20bと通信可能な設定器などの無線端末からの電文により行われてもよい。また、起動は、起動日時が予め設定されており、この設定に従って自動的に行われてもよい。そして、新規の無線機20bは、起動すると、第2モード動作する(ステップS4)。
【0047】
新規の無線機20bは、センタ装置40と情報を送受信するために、センタ装置40との間の通信を中継する新規中継器30bの中継IDを要求する属性要求を新規中継器30bに送信する(ステップS5)。これに対し、新規中継器30bは、中継記憶部32に記憶している自機の中継IDを取得し、この中継IDを含む属性応答を新規の無線機20bに送信する(ステップS6)。新規の無線機20bは、新規中継器30bから属性応答を取得すると、この中継IDを記憶部22に記憶する。これ以降、新規の無線機20b及びセンタ装置40は、この新規中継器30bの中継IDを用いることにより新規中継器30bを介して通信することができる。なお、属性要求の送信先は、新規中継器30bに限定されずに、新規の無線機20bと有線又は無線で通信可能な通信機器であって且つ中継IDを記憶する機器、例えばメータ13などであってもよい。
【0048】
続いて、新規の無線機20bは、中継IDを取得すると、取替処理の対象の親無線機20aの通信ネットワーク11を決定するために、周囲に存在する無線機20からその通信ネットワーク11に関するネットワーク情報を収集する(ステップS7)。このネットワーク情報の収集では、新規の無線機20bは、所定時間、例えば、信号周期の3倍の時間、受信可能状態となり、無線情報の無線通信により通信可能な無線機20が発するRIT信号を受信する。新規の無線機20bは、RIT信号を受信しなかった場合には、受信可能状態の時間を延長する。新規の無線機20bは、所定回数、受信可能状態の時間を延長しても、RIT信号を受信しなかった場合には、ネットワーク情報の収集を終了してもよい。
【0049】
新規の無線機20bは、通信可能な無線機20からRIT信号を受信すると、RIT信号に含まれる送信元の無線機20の第2識別情報及びランク、並びに、その無線機20が属している通信ネットワーク11のネットワークIDを取得し記憶部22に記憶する。また、新規の無線機20bは、RIT信号を受信すると、RIT信号を受信した際の信号の強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))を測定する。そして、新規の無線機20bは、このRSSI、並びに、無線機20の第2識別情報、ランク及びネットワークIDを対応付けてネットワーク情報として取得し記憶部22に記憶する。なお、ネットワーク情報は、無線機20の第2識別情報、ランク及びネットワークID、並びに、RSSIのうち少なくとも何れか1つを含んでいてもよい。
【0050】
親無線機20aのネットワーク情報のランクは、親無線機20aが通信ネットワーク11に属しているため、Fhではない。また、RSSIは、新規の無線機20bとRIT信号の送信元の無線機20との間の距離に対応しており、新規の無線機20bは親無線機20aの近傍でRIT信号を受信したため、親無線機20aのネットワーク情報のRSSIは大きくなる。よって、新規の無線機20bは、取得したネットワーク情報のうち、RSSIが所定レベル未満のネットワーク情報、及び、ランクがFhのネットワーク情報を記憶部22から消去し、RSSIが所定レベル以上であり、且つ、ランクがFh以外であるネットワーク情報を記憶部22に残す。
【0051】
この残ったネットワーク情報において、ネットワークIDが同一である複数のネットワーク情報がある場合には、新規の無線機20bは、このネットワークIDが同一のネットワーク情報から、ランクが最も小さいネットワーク情報を記憶部22に残し、それ以外のネットワーク情報を記憶部22から消去する。これにより、互いに同じ通信ネットワーク11に属している複数の無線機20のうち、親無線機20a又はこれに近い無線機20のネットワーク情報が取得される。
【0052】
さらに、残ったネットワーク情報が所定数(例えば、3つ)よりも多い場合には、新規の無線機20bから通信可能な通信ネットワーク11が所定数よりも多いことを意味する。この場合、新規の無線機20bは、複数の通信ネットワーク11を選別するための選別情報に基づいて、所定数以下の通信ネットワーク11を選択する。これにより、所定数以下の通信ネットワーク11を特定するネットワーク情報が選別される。この選別情報は、登録情報が新規の無線機20bの記憶部22に予め記憶されている場合には、ネットワークID、ランク及びRSSIであって、この順で優先度が高い。なお、登録情報が記憶部22に記憶されていない場合には、選別情報はランク及びRSSIであって、この順で優先度が高い。
【0053】
登録情報は、参入可能な通信ネットワーク11のネットワークIDを含み、通信ネットワーク11及びそれを特定するネットワーク情報の選別に用いられる。例えば、このネットワークIDが8桁のデータである場合、この8桁のうち、全ての桁のデータが登録情報として記憶(登録)されていてもよいし、最初の3桁など、一部の桁が登録情報として記憶(登録)されていてもよい。新規の無線機20bは、登録情報のネットワークIDを選別情報として用い、このネットワークIDに基づいてネットワーク情報を選別する。ここで、新規の無線機20bは、登録情報のネットワークIDと一致するネットワークIDのネットワーク情報を記憶部22に残し、登録情報のネットワークIDと一致しないネットワークIDのネットワーク情報を記憶部22から消去する。
【0054】
そして、記憶部22に残ったネットワーク情報が所定数よりも多い場合、新規の無線機20bは、次に優先度が高い選別情報であるランクに基づいてネットワーク情報を選別する。ここで、新規の無線機20bは、複数のネットワーク情報のランクのうち、ランクが所定のランクよりも小さい、例えば、ランクが0又は1である、ネットワーク情報を記憶部22に残し、これ以外のランクのネットワーク情報を記憶部22から消去する。これにより、通信ネットワーク11に属する複数の無線機20のうち、親無線機20a又は親無線機20aと通信可能なランク1hの子無線機20cのネットワーク情報が選別される。
【0055】
さらに、記憶部22に残ったネットワーク情報が所定数よりも多い場合、新規の無線機20bは、次に優先度が高い選別情報であるRSSIに基づいてネットワーク情報を選別する。ここで、新規の無線機20bは、記憶部22に記憶されているネットワーク情報のうち、RSSIが大きい所定数以下のネットワーク情報を記憶部22に残し、残りのネットワーク情報を記憶部22から消去する。
【0056】
このように、新規の無線機20bは、所定数以下のネットワーク情報を選別すると、ステップS6で取得した新規中継器30bの中継IDを宛先とし、記憶部22に記憶されている自機の第1識別情報を送信元として、取得したネットワーク情報をセンタ装置40に送信する(ステップS8)。なお、新規の無線機20bは、ネットワーク情報を取得できない場合も、その内容を示す電文をセンタ装置40に送信してもよい。
【0057】
センタ装置40は、ネットワーク情報を受信すると、このネットワーク情報に基づいて取替処理の対象の親無線機20aを決定する。例えば、センタ装置40のセンタ記憶部42には、取替日、親無線機20aの第1識別情報及び通信ネットワーク11のネットワークIDが対応付けて記憶されている。ネットワーク情報の受信日が取り替え予定日となっている通信ネットワーク11が多数存在する場合、ネットワークIDだけでは取替処理の対象の通信ネットワーク11を決定できない場合がある。このため、センタ装置40は、ネットワークIDに加えて、ランク及びRSSIに基づいて取替処理の対象の通信ネットワーク11及び親無線機20aを決定する。例えば、センタ装置40は、センタ記憶部42に記憶されている取替処理の対象のネットワークIDを含み、ランクが小さく、且つ、RSSIが大きいネットワーク情報を取得し、このネットワークIDに対応付けられた第1識別情報から取替処理の対象の親無線機20aを決定する。
【0058】
このように、センタ装置40は、親無線機20aの第1識別情報を取得し、また、新規の無線機20bからネットワーク情報を取得し、これらの情報に基づいて取替処理を行う親無線機20aと新規の無線機20bとの組み合わせを決定する。そして、センタ装置40は、セッション終了指示を新規の無線機20bに送信する(ステップS9)。新規の無線機20bは、セッション終了指示を受信すると、ネットワーク情報の収集を終了する。また、センタ装置40は、取替処理の対象の親無線機20aのネットワーク情報を、ネットワーク情報に含まれる新規の無線機20bの第1識別情報と対応付けてセンタ記憶部42に記憶する(ステップS10)。
【0059】
そして、センタ装置40は、通信情報の要求指示を取替処理の対象の親無線機20aに送信する(ステップS11)。親無線機20aは、通信情報の要求指示を受信すると、通信情報を記憶部22から抽出し、センタ装置40に送信する(ステップS12)。ここで、通信情報が大きい場合には、親無線機20aは通信情報を複数に分割してセンタ装置40に送信する。例えば、通信情報は、ネットワークID、第1識別情報、通信用チャネル、無線出力、中継ID、無線機機能及び状態などを含んでいる。この通信情報は、親無線機20aの記憶部22に記憶されている情報のうち、親無線機20aが属している通信ネットワーク11における通信のための最小限の情報であって、この通信ネットワーク11において親無線機20aとして動作するための情報である。このため、親無線機20aとセンタ装置40との通信時間を短くし、親無線機20aの電力消耗を抑制することができる。
【0060】
そして、センタ装置40は、全ての通信情報を受信すると、完了指示を親無線機20aに送信する(ステップS13)。親無線機20aは、センタ装置40からの完了指示を受信すると、休止する(ステップS14)。この完了指示の受信から休止までの間に、親無線機20aは、情報を送受信する通信機能をオフにし、記憶部22に記憶されているネットワーク情報を消去してもよい。このように休止することにより、親無線機20aは、子無線機20cとの通信ができなくなる。このため、新規の無線機20bの通信ネットワーク11への参入が親無線機20aによって阻害され難くなり、新規の無線機20bは、親無線機20aが属していた通信ネットワーク11に参入し易くなる。
【0061】
センタ装置40は、通信情報を受信すると、親無線機20aの通信情報を新規の無線機20bの第1識別情報及び新規中継器30bの中継IDと対応付けてセンタ記憶部42に記憶する(ステップS15)。また、センタ装置40は、親無線機20aの通信情報を新規の無線機20bに送信する(ステップS16)。なお、通信情報が大きい場合には、センタ装置40は通信情報を複数に分割して送信してもよい。
【0062】
そして、新規の無線機20bは、センタ装置40から送信された通信情報を受信し、通信情報を記憶部22に記憶する(ステップS17)。そして、センタ装置40は、通信情報の送信後に、移行指示を新規の無線機20bに送信する(ステップS18)。新規の無線機20bは、移行指示を受信すると、動作モードを第2モードから第1モードに変更する(ステップS19)。そして、新規の無線機20bは、取替処理を終了し、メータ13に接続され、RIT信号を信号周期で同報送信し、情報収集処理及び交換処理など各種処理を開始する。ここで、新規の無線機20bは、記憶した通信情報を用いることにより、既存の親無線機20aに替わって通信ネットワーク11において属し、この通信ネットワーク11において親無線機20aとして動作する。なお、新規の無線機20bは、新規中継器30bの中継IDを用いて、新規中継器30bを介してセンタ装置40と通信を行う。
【0063】
このように、取替処理において、既存の親無線機20aは、属している通信ネットワーク11の通信情報をセンタ装置40を介して、新規の無線機20bに渡す。このため、通信情報を移すための専用の設定器などを用いずに、この通信情報の移譲を容易にして無線機20の取替について利便性の向上を図ることができる。また、新規の無線機20bは、親無線機20aの通信情報を用いることにより、親無線機20aが属していた通信ネットワーク11において親無線機20aと同一の無線機20として参入することができる。よって、通信ネットワーク11の再構築に時間を要さずに無線機20の取替時間の短縮化を図ることができる。
【0064】
<変形例1>
変形例1に係る無線通信システム10では、上記実施の形態において、センタ装置40は、新規の無線機20bから送信されたネットワーク情報が、取替処理の対象の親無線機20aが属する通信ネットワーク11に関するものでない不一致情報であった場合、次回以降に送信されるネットワーク情報から不一致情報を除外すべき旨の指示を新規の無線機20bに送信するように構成されている。
【0065】
具体的には、
図4に示すフローチャートの一例に従って無線通信システム10における無線機20の取替処理が行われる。この
図4のフローチャートでは、
図3のフローチャートのステップS8とステップS9との間に、ステップS20~S22の処理が実行される。
図4のフローチャートにおけるこれ以外の処理は、
図3のフローチャートにおける処理と同様である。
【0066】
図4のステップS8において、新規の無線機20bは、所定数以下のネットワーク情報をセンタ装置40に送信する。センタ装置40は、ネットワーク情報を受信すると、ネットワーク情報が取替処理の対象のネットワーク情報であるか否かを判定する。ここで、センタ装置40は、センタ記憶部42に記憶されている取替処理の対象のネットワークIDとネットワーク情報のネットワークIDが異なる場合、そのネットワーク情報を、取替処理の対象の親無線機20aが属する通信ネットワーク11に関するものでない不一致情報と判定する。そして、センタ装置40は、その不一致情報のネットワークIDを、次回以降に送信されるネットワーク情報から不一致情報を除外すべき旨の除外指示として新規の無線機20bに送信する(ステップS20)。
【0067】
新規の無線機20bは、除外指示を受信すると、不一致情報のネットワークIDを記憶部22に記憶し、また、ネットワーク情報の収集を再開する(ステップS21)。新規の無線機20bは、通信可能な無線機20からRIT信号を受信すると、RIT信号に含まれる送信元の無線機20の第2識別情報及びランク、及び、無線機20が属している通信ネットワーク11のネットワークIDを取得し、また、RIT信号を受信した際のRSSIを測定し、これらの情報をネットワーク情報として記憶部22に記憶する。
【0068】
そして、新規の無線機20bは、取得したネットワーク情報のネットワークIDが不一致情報のネットワークIDに一致するか否かを判定する。新規の無線機20bは、取得したネットワークIDが不一致情報のネットワークIDに一致すれば、このネットワークIDは取替処理の対象の通信ネットワーク11のネットワークIDではないため、このネットワークIDを含むネットワーク情報を記憶部22から消去する。これにより、このネットワークIDを含むネットワーク情報は、新規の無線機20bの送信対象から除外される。
【0069】
一方、新規の無線機20bは、取得したネットワーク情報のネットワークIDが不一致情報のネットワークIDに一致しなければ、このネットワークIDは取替処理の対象の通信ネットワーク11のネットワークIDの可能性がある。このため、ステップS7のネットワーク情報の収集時と同様に、新規の無線機20bは、ランク、RSSI及び選別情報に基づいて、所定数以下のネットワーク情報を取得して、センタ装置40に送信する(ステップS22)。センタ装置40は、ネットワーク情報を受信すると、不一致情報をセンタ記憶部42から消去し、また、セッション終了指示を新規の無線機20bに送信する(ステップS9)。新規の無線機20bは、セッション終了指示を受信すると、不一致情報のネットワークIDを記憶部22から消去し、ネットワーク情報の収集を終了する。そして、センタ装置40はステップS10以降の処理を実行する。
【0070】
このように、センタ装置40は、新規の無線機20bから取得したネットワーク情報に基づいて不一致情報を生成し、新規の無線機20bは、この不一致情報に基づいて取替処理の対象でないネットワーク情報を除外する。これにより、より効率的に取替処理の対象のネットワーク情報を取得することができるため、取替処理を迅速に行うことができる。
【0071】
<変形例2>
変形例2に係る無線通信システム10では、上記実施の形態及び変形例1において、通信情報は、情報の送信回数を含んでいてもよい。新規の無線機20bは、鍵情報をセンタ装置40から受信し、通信ネットワーク11の参入後において通信情報に基づいた他の無線機20との無線通信において鍵情報及び送信回数により情報を暗号化して送信してもよい。
【0072】
具体的には、親無線機20aは、情報の送信回数及び鍵情報を記憶部22に記憶している。鍵情報は、セッション鍵等であって、親無線機20aから送信不可能に設定されている。親無線機20aは、情報収集処理、交換処理及び取替処理などの各種処理において第1通信部23から情報を送信する度に、記憶部22に記憶されている送信回数に1を加えて、記憶部22に記憶されている送信回数を更新していく。そして、親無線機20aは、この送信回数及び鍵情報により情報を暗号化して送信する。
【0073】
取替処理では、
図3のステップS12において、親無線機20aは、ネットワークID、第1識別情報、通信用チャネル、無線出力、中継ID、無線機機能及び状態に加えて、情報の送信回数を通信情報としてセンタ装置40に送信する。センタ装置40のセンタ記憶部42には、無線機20の第1識別情報と対応付けて鍵情報が予め記憶されている。このため、ステップS16において、センタ装置40は、親無線機20aの鍵情報をセンタ記憶部42から取得し、この鍵情報を通信情報と共に新規の無線機20bに送信する。
【0074】
ステップS17において、新規の無線機20bは通信情報及び鍵情報を受信して記憶部22に記憶する。そして、ステップS19において、新規の無線機20bは、動作モードを第1モードに変更して取替処理を終了した後、情報収集処理等の各種処理において、記憶部22に記憶している通信情報の送信回数、及び、鍵情報を用いて情報を暗号化して送信する。
【0075】
このように、鍵情報は、親無線機20aから送信不可能であって、センタ装置40から新規の無線機20bに送信される。このため、鍵情報の漏洩が防止され、新規の無線機20bにおける通信のセキュリティの向上が図られる。さらに、このセンタ装置40で管理された鍵情報に加えて、親無線機20aから取得した送信回数が情報の暗号化に用いている。このような取得元が異なる2つの情報によって、通信のセキュリティの向上が図られる。
【0076】
なお、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良及び他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更することができる。
【0077】
(他の実施の形態)
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
第1の技術は、通信ネットワークに属している複数の無線機と、センタ装置と、前記無線機と前記センタ装置との通信を中継する中継器と、を備え、複数の前記無線機は、第1識別情報により他の通信ネットワークに属する無線機から識別されて前記中継器を介して前記センタ装置と通信される親無線機と、前記親無線機が属する前記通信ネットワーク内において前記第1識別情報よりも情報量が少ない第2識別情報により他の前記無線機から識別されて前記親無線機と通信される子無線機とを含み、前記親無線機を新規の無線機に取り替える取替処理において、前記親無線機は、自機が属する前記通信ネットワークにおける通信に関する情報である通信情報を前記センタ装置に送信し、前記新規の無線機は、取替対象の前記親無線機が属していた前記通信ネットワークに関する前記通信情報を前記センタ装置から受信するように構成されている、無線通信システムである。
【0078】
この構成によれば、親無線機から新規の無線機に通信情報を移すための専用の機器を用いずに、センタ装置を介して既存の親無線機から新規の無線機に通信情報が移される。このため、専用の機器を操作などがなく親無線機から新規の無線機へ取り替えられ、無線機の取替についての利便性の向上を図ることができる。
【0079】
第2の技術は、前記子無線機は、前記通信ネットワークにおける前記親無線機までのホップ数と前記第2識別情報とを対応付けたホップ数テーブルを通信可能な他の前記無線機と所定周期で交換する交換処理を行い、複数の前記無線機のうち、前記親無線機との間で他の子無線機を介さずに通信可能な子無線機は、前記センタ装置の指示に応じて前記ホップ数テーブルの交換処理の次回の実行タイミングを前記所定周期に基づいた実行タイミングよりも後に延期するよう構成されている、第1技術に記載の無線通信システムである。
【0080】
この構成によれば、無線機同士はホップ数テーブルを交換することにより、属している通信ネットワークにおける無線機の構成情報をこれらの無線機と共有している。このホップ数テーブルの交換時に親無線機が取り替えられると、この親無線機とこれに通信可能な子無線機とはホップ数テーブルを交換できない。このため、例えば、子無線機は、属している通信ネットワークから親無線機が欠けているとして、属している通信ネットワークとは別の通信ネットワークに参入を試みる。これにより、親無線機が属している通信ネットワークが変更されてしまい、取替処理後に新規の無線機は通信ネットワークの再構築が必要になってしまう。
【0081】
これに対し、親無線機と通信可能な子無線機のホップ数テーブルの交換処理の次回の実行タイミングを所定周期に基づいた実行タイミングよりも後に延期する。これにより、取替処理中に親無線機とのホップ数テーブルの交換が行われない。このため、通信ネットワークにおける親無線機の欠落がなく、親無線機が属している通信ネットワークが維持され、取替処理後に新規の無線機はその通信ネットワークに親無線機として動作することができる。
【0082】
第3の技術は、前記取替処理において、前記センタ装置は、前記新規の無線機と取り替えられる前記親無線機に関する前記第1識別情報を取得し、前記新規の無線機は、自機から通信可能な所定数以下の前記通信ネットワークを特定するネットワーク情報を取得し、前記ネットワーク情報を前記センタ装置へ送信し、前記センタ装置は、前記ネットワーク情報に基づいて前記新規の無線機と取り替えられる前記親無線機を決定するよう構成されている、第1又は第2技術に記載の無線通信システムである。
【0083】
この構成によれば、センタ装置は、取替処理の対象の親無線機の第1識別情報、及び、新規の無線機からのネットワーク情報に基づいて、親無線機とこれに取り替えられる新規の無線機との組み合わせを決定することができる。
【0084】
第4の技術は、前記新規の無線機は、通信可能な無線機から信号を受信し、前記ネットワーク情報は、前記信号に含まれる前記通信ネットワークを識別するネットワーク識別情報、前記通信ネットワークにおける前記親無線機までのホップ数のうち最小のホップ数を示すランク、及び、前記第2識別情報、並びに、前記信号を受信したときのRSSIのうち少なくとも何れか1つを含む、第3技術に記載の無線通信システムである。
【0085】
この構成によれば、ネットワーク識別情報により取替処理の対象のネットワーク情報か否かを判定することができる。また、ランクにより、ネットワーク情報の送信元が親無線機であるか否かを判定することができる。さらに、例えば新規の無線機が親無線機の近傍で信号を受信した場合には、信号の送信元との距離に対応するRSSIにより信号の送信元が親無線機であるか否かを判定することができる。
【0086】
第5の技術は、前記新規の無線機は、複数の前記通信ネットワークを選別するための選別情報を有しており、自機から通信可能な前記通信ネットワークが前記所定数よりも多い場合には、前記選別情報に基づいて前記所定数以下の前記通信ネットワークを選択するように構成されている、第3又は第4技術に記載の無線通信システムである。
【0087】
この構成によれば、通信ネットワークが所定数以下に選別されるため、通信ネットワークを特定するネットワーク情報が所定数以下に抑えられる。これにより、新規の無線機からのネットワーク情報の送信処理、及び、このネットワーク情報に基づいたセンタ装置による取替処理の対象の親無線機の決定処理が迅速に行われる。
【0088】
第6の技術は、前記センタ装置は、前記新規の無線機から送信された前記ネットワーク情報が、前記取替処理の対象の前記親無線機が属する前記通信ネットワークに関するものでない不一致情報であった場合、次回以降に送信される前記ネットワーク情報から前記不一致情報を除外すべき旨の指示を前記新規の無線機に送信するように構成されている、第3~第5技術のいずれかに記載の無線通信システムである。
【0089】
この構成によれば、不一致情報を用いることによって、取替処理の対象でない通信ネットワークのネットワーク情報が何度も新規の無線機からセンタ装置に送信されることが抑制される。これにより、より迅速に取替処理が行われる。
【0090】
第7の技術は、通信ネットワーク内で子無線機との間で通信可能な第1通信部と、センタ装置との通信を中継する中継器との間で通信可能な第2通信部と、制御部と、を備える親無線機を成す無線機であって、前記制御部は、前記通信ネットワークに属した状態で動作する第1モード、及び、前記通信ネットワークに既に属している他の親無線機と取り替えられる新規の無線機として動作する第2モード、を有し、前記第1モードでは、自機が属する前記通信ネットワークにおける通信に関する情報である通信情報を前記センタ装置へ送信し、前記第2モードでは、取替対象の前記他の親無線機が属していた前記通信ネットワークに関する前記通信情報を前記センタ装置から受信するよう構成されている、無線機である。
【0091】
この構成によれば、無線機は、動作モードに応じて親無線機又は新規の無線機として動作するため、動作ごとの無線機を用意せずに、通信ネットワークにおける無線機を取り替えることができる。
【0092】
第8の技術は、通信ネットワークに属している複数の無線機と、センタ装置と、前記無線機と前記センタ装置との通信を中継する中継器と、を備え、複数の前記無線機は、第1識別情報により他の通信ネットワークに属する無線機から識別されて前記中継器を介して前記センタ装置と通信される親無線機と、前記親無線機が属する前記通信ネットワーク内において前記第1識別情報よりも情報量が少ない第2識別情報により他の前記無線機から識別されて前記親無線機と通信される子無線機とを含む無線通信システムにおいて、前記親無線機を新規の無線機に取り替える取替処理において、前記親無線機は、自機が属する前記通信ネットワークにおける通信に関する情報である通信情報を前記センタ装置に送信し、前記新規の無線機は、取替対象の前記親無線機が属していた前記通信ネットワークに関する前記通信情報を前記センタ装置から受信する、無線機の取替方法である。
【0093】
この方法によれば、既存の親無線機から新規の無線機にセンタ装置を介して通信情報を移すことにより、専用の機器を用いずに通信情報が移されるため、無線機の取替についての利便性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0094】
1 :ランク
10 :無線通信システム
11 :通信ネットワーク
20 :無線機
20a :親無線機
20b :無線機
20c :子無線機
21 :制御部
23 :第1通信部
24 :第2通信部
30 :中継器
40 :センタ装置