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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142678
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】メモリ装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 29/34 20060101AFI20241003BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20241003BHJP
   G11C 16/08 20060101ALI20241003BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20241003BHJP
   G01R 31/3185 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G11C29/34
G11C16/04 130
G11C16/08 110
G01R31/28 B
G01R31/3185
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054923
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼ 敬重
【テーマコード(参考)】
2G132
5B225
5L206
【Fターム(参考)】
2G132AA08
2G132AK07
2G132AL09
5B225BA02
5B225CA01
5B225DB02
5B225DB04
5B225DC03
5B225DE07
5B225EA01
5B225EC06
5B225FA05
5L206AA10
5L206DD06
5L206EE02
(57)【要約】
【課題】製品出荷前の工程において、テスト時間を短縮でき、かつ必要なデータの書き込みタイミングの自由度を向上させることができるメモリ装置を提供する。
【解決手段】メモリ装置(5)は、アドレス選択部(3)を備え、前記アドレス選択部は、アドレス一部非選択信号に基づいてワードラインのうち一部を非選択とするためのアドレス選択信号を生成して前記ワードラインに出力可能に構成されるワードライン一部非選択部(33)を有し、前記アドレス選択信号によって選択された単位ビット記憶部(11)においては、データセル(CL)に対して一括消去および一括書き込みが行われ、前記アドレス選択信号によって非選択とされた前記単位ビット記憶部においては、前記一括消去および前記一括書き込みは行われない。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ビットのデータを記憶するための少なくとも1つのデータセルから構成される単位ビット記憶部を有し、当該単位ビット記憶部が複数並んで構成されるデータ記憶部と、
前記単位ビット記憶部のそれぞれに対応するワードラインを選択するように構成されるアドレス選択部と、
を備え、
前記アドレス選択部は、
アドレス制御信号が入力可能であり、前記アドレス制御信号に基づいて1本の前記ワードラインを選択するための第1出力信号を生成可能に構成されるワードライン選択部と、
アドレス全選択信号と前記第1出力信号とが入力可能であり、前記アドレス全選択信号に基づいてすべての前記ワードラインを選択するための第2出力信号を生成可能に構成されるワードライン全選択部と、
アドレス一部非選択信号と前記第2出力信号とが入力可能であり、前記アドレス一部非選択信号に基づいて前記ワードラインのうち一部を非選択とするためのアドレス選択信号を生成して前記ワードラインに出力可能に構成されるワードライン一部非選択部と、
を有し、
前記アドレス選択信号によって選択された前記単位ビット記憶部においては、前記データセルに対して一括消去および一括書き込みが行われ、
前記アドレス選択信号によって非選択とされた前記単位ビット記憶部においては、前記一括消去および前記一括書き込みは行われない、メモリ装置。
【請求項2】
前記アドレス一部非選択部は、前記アドレス制御信号、前記アドレス全選択信号、および前記アドレス一部非選択信号の組み合わせに応じて、1本の前記ワードラインの選択、すべての前記ワードラインの選択、一部の前記ワードラインの非選択を切替えて前記アドレス選択信号を出力する、請求項1に記載のメモリ装置。
【請求項3】
前記ワードライン全選択部は、すべての前記ワードラインを選択することを示す前記アドレス全選択信号が入力された場合、前記第1出力信号にかかわらず、すべての前記ワードラインを選択するための前記第2出力信号を生成する、請求項1に記載のメモリ装置。
【請求項4】
前記ワードライン一部非選択部は、一部の前記ワードラインを非選択とすることを示す前記アドレス一部非選択信号が入力された場合、1本の前記ワードラインを選択するための前記第1出力信号を論理反転させて前記アドレス選択信号を生成する、請求項1に記載のメモリ装置。
【請求項5】
前記アドレス一部非選択信号は、第1信号と第2信号とを含み、
前記ワードライン一部非選択部は、一部の前記ワードラインを非選択とすることを示す前記第1信号が入力された場合、すべての前記ワードラインを選択するための前記第2出力信号と、前記第2信号に基づいた論理値との論理積によって前記アドレス選択信号を生成する、請求項1に記載のメモリ装置。
【請求項6】
前記データ記憶部は、2つ以上の前記データセルを含む前記単位ビット記憶部が前記複数並べられて構成されるメモリアレイである、請求項1に記載のメモリ装置。
【請求項7】
前記データセルは、2つのメモリセルを有する相補型セルである、請求項1に記載のメモリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メモリセルを有するメモリ装置が知られている。メモリセルは、メモリトランジスタを含む。メモリトランジスタには、例えば、コントロールゲートおよびフローティングゲートを有し、上記フローティングゲートに隣接した酸化膜に高電圧を印加することでフローティングゲートに対して電子の注入・引き抜きを行い、消去(イレース)・書き込み(プログラム)を行うものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-174485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メモリ装置においては、1ビットのデータを記憶するためのデータセルがメモリセルによって構成される。例えば、相補型セルと呼ばれるデータセルは、2つのメモリセルによって構成される。
【0005】
メモリ装置では、すべてのデータセルについて正常にデータをプログラムできるかを確認するテストを製品出荷前に行う必要がある。上記のようなテストのテスト時間を短縮することが要望される。また、必要なデータを書き込むタイミングが、テスト工程よりも後の工程に限定されることは望ましくない。
【0006】
上記状況に鑑み、本開示は、製品出荷前の工程において、テスト時間を短縮でき、かつ必要なデータの書き込みタイミングの自由度を向上させることができるメモリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば、本開示に係るメモリ装置は、
1ビットのデータを記憶するための少なくとも1つのデータセルから構成される単位ビット記憶部を有し、当該単位ビット記憶部が複数並んで構成されるデータ記憶部と、
前記単位ビット記憶部のそれぞれに対応するワードラインを選択するように構成されるアドレス選択部と、
を備え、
前記アドレス選択部は、
アドレス制御信号が入力可能であり、前記アドレス制御信号に基づいて1本の前記ワードラインを選択するための第1出力信号を生成可能に構成されるワードライン選択部と、
アドレス全選択信号と前記第1出力信号とが入力可能であり、前記アドレス全選択信号に基づいてすべての前記ワードラインを選択するための第2出力信号を生成可能に構成されるワードライン全選択部と、
アドレス一部非選択信号と前記第2出力信号とが入力可能であり、前記アドレス一部非選択信号に基づいて前記ワードラインのうち一部を非選択とするためのアドレス選択信号を生成して前記ワードラインに出力可能に構成されるワードライン一部非選択部と、
を有し、
前記アドレス選択信号によって選択された前記単位ビット記憶部においては、前記データセルに対して一括消去および一括書き込みが行われ、
前記アドレス選択信号によって非選択とされた前記単位ビット記憶部においては、前記一括消去および前記一括書き込みは行われない構成としている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るメモリ装置によれば、製品出荷前の工程において、テスト時間を短縮でき、かつ必要なデータの書き込みタイミングの自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、メモリセルの構成を示す図である。
図2図2は、メモリトランジスタの縦構造を示す図である。
図3A図3Aは、プログラム状態(書き込み状態)としたメモリトランジスタを含むメモリセルを示す図である。
図3B図3Bは、イレース状態(消去状態)としたメモリトランジスタを含むメモリセルを示す図である。
図4図4は、プログラム状態とイレース状態におけるゲート電圧とドレイン電流との関係を示す図である。
図5図5は、データセル(相補型セル)を示す図である。
図6図6は、データセルのデータ状態(記憶状態)と、各データ状態に対応するゲート電圧Vcg-ドレイン電流Idの特性を示す図である。
図7図7は、第1比較例に係るデータ記憶部およびその周辺回路の構成を示す図である。
図8図8は、第2比較例に係るデータ記憶部およびその周辺回路の構成を示す図である。
図9図9は、メモリ装置の製品出荷前におけるテスト工程の一例を示す図である(比較例)。
図10図10は、本開示の例示的な実施形態に係るデータ記憶部およびその周辺回路の構成を示す図である。
図11図11は、メモリ装置の製品出荷前におけるテスト工程の一例を示す図である(本開示の実施形態)。
図12図12は、本開示の例示的な実施形態に係るメモリ装置のブロック図である。
図13図13は、ワードラインが4本である場合のアドレス選択部の内部構成を示す図である。
図14A図14Aは、図13におけるWL選択部の回路構成例を示す図である。
図14B図14Bは、図14Aに示す回路構成による真理値表である。
図15A図15Aは、図13におけるWL選択部およびWL全選択部の回路構成例を示す図である。
図15B図15Bは、図15Aに示す回路構成による真理値表である。
図16A図16Aは、図13におけるWL選択部、WL全選択部、およびWL一部非選択部の回路構成例を示す図である。
図16B図16Bは、図16Aに示す回路構成による真理値表である。
図17A図17Aは、アドレス一部非選択部の変形例を示す図である。
図17B図17Bは、図17Aに示す回路構成による真理値表である。
図18図18は、図13に示す構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
<1.相補型セル>
図1は、メモリセルMCの構成を示す図である。メモリセルMCは、メモリトランジスタMTと、選択トランジスタSTと、を有する。メモリトランジスタMTは、NMOSトランジスタ(NチャネルMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor))により構成され、データを記憶するための素子である。メモリトランジスタMTは、コントロールゲートCgと、フローティングゲートFgと、を有する。
【0012】
選択トランジスタSTは、NMOSトランジスタにより構成され、メモリトランジスタMTを選択するための素子である。メモリトランジスタMTのソースは、グランド電位の印加端に接続される。メモリトランジスタMTのドレインは、選択トランジスタSTのソースに接続される。選択トランジスタSTのドレインは、ビットラインBLに接続される。選択トランジスタSTは、リードゲートRgを有する。リードゲートRgに印加される電圧に応じて選択トランジスタSTのオンオフが切り替えられる。
【0013】
図2は、メモリトランジスタMTの縦構造を示す図である。図2に示すように、半導体基板においてPウェル領域PWが形成される。Pウェル領域PWの表面には、2つのN領域が形成される。2つのN領域に挟まれるチャネル領域の直上に酸化膜Oxが形成される。酸化膜Oxの直上にはフローティングゲートFgが形成される。フローティングゲートFgの直上に図示しないコントロールゲートCgが配置される。
【0014】
図3Aは、プログラム状態(書き込み状態)としたメモリトランジスタMTを含むメモリセルMCを示す図である。図3Aに示すように、プログラム状態では、フローティングゲートFgは正孔リッチの状態となる。
【0015】
一方、図3Bは、イレース状態(消去状態)としたメモリトランジスタMTを含むメモリセルMCを示す図である。図3Bに示すように、イレース状態では、フローティングゲートFgに電子が注入され、フローティングゲートFgは電子リッチの状態となる。
【0016】
図4には、リードゲートRgに印加するゲート電圧Vrgにより選択トランジスタSTをオン状態とした状態で、プログラム状態PG、イレース状態ERとしたメモリトランジスタMTのコントロールゲートCgに印加するゲート電圧Vcgと、メモリトランジスタMTに流れるドレイン電流Idとの関係を示す図である。図4に示すように、プログラム状態PGでは、閾値電圧Vtが負の値となり、イレース状態ERでは、閾値電圧Vtが正の値となる。
【0017】
このようなプログラム状態とイレース状態の特性により、コントロールゲートCgに読み出し用のゲート電圧Vcgを印加すると、プログラム状態とイレース状態とでドレイン電流Idの大小が現れることになる。従って、選択トランジスタSTをオン状態としたうえでコントロールゲートCgに読み出し用のゲート電圧Vcgを印加することで、ビットラインBLにドレインIdが流れ、ドレイン電流Idの大小によりデータを読み出すことが可能となる。
【0018】
本開示の実施形態においては、図5に示すように、メモリセルを2つ並べていわゆる相補型のセルとしてデータセルCLを構成する。データセルCLには、1ビット分のデータが記憶可能である。
【0019】
データセルCLは、第1メモリセルMC1と第2メモリセルMC2を有する。第1メモリセルMC1は、第1選択トランジスタST1と第1メモリトランジスタMT1を有する。第2メモリセルMC2は、第2選択トランジスタST2と第2メモリトランジスタMT2を有する。第1選択トランジスタST1には、第1ビットラインBL1が接続される。第2選択トランジスタST2には、第2ビットラインBL2が接続される。ビットラインBL1,BL2は、センスアンプSAに接続される。センスアンプSAは、リードゲートに印加されるゲート電圧Vrgにより選択トランジスタST1,ST2がオン状態、かつメモリトランジスタMT1,MT2のコントロールゲートに読み出し用のゲート電圧Vcgを印加した状態で、第1メモリセルMC1に流れる第1ドレイン電流Id1と第2メモリセルMC2に流れる第2ドレイン電流Id2の大小関係を検知することで、1ビット分のデータDTを読み出す。コントロールゲートに印加するゲート電圧Vcgを図4に実線矢印で示す範囲に設定することで、イレース状態、プログラム状態の間に図4に破線矢印で示す電流差を発生させ、データ判定を行うことができる。
【0020】
図6は、相補型セルCLのデータ状態(記憶状態)と、各データ状態に対応するゲート電圧Vcg-ドレイン電流Idの特性を示す。なお、図6において、実線は、第1メモリトランジスタMT1の特性を示し、破線は、第2メモリトランジスタMT2の特性を示す。
【0021】
図6に示すように、メモリトランジスタMT1,MT2ともにイレース状態ERとした場合は、センスアンプSAで読み出されるデータDTは不定となり、データセルCLが消去状態となる。
【0022】
第1メモリトランジスタMT1をプログラム状態、第2メモリトランジスタMT2をイレース状態ERとした場合は、第1ドレイン電流Id1>第2ドレイン電流Id2となるため、センスアンプSAによりデータDT=“1”が読み出される。すなわち、データセルCLにデータ“1”が記憶された状態となる。
【0023】
第2メモリトランジスタMT2をプログラム状態、第1メモリトランジスタMT1をイレース状態ERとした場合は、第1ドレイン電流Id1<第2ドレイン電流Id2となるため、センスアンプSAによりデータDT=“0”が読み出される。すなわち、データセルCLにデータ“0”が記憶された状態となる。
【0024】
図6に示すように、消去状態からメモリトランジスタMT1,MT2のどちらをプログラム状態にするかによって、相補型セルCLにデータ“1”または“0”が記憶される。データ“1”または“0”の記憶状態において、プログラム状態のメモリトランジスタをイレース状態にすることで、相補型セルCLは消去状態とされる。
【0025】
<2.データ記憶部および周辺回路>
図7は、第1比較例に係るデータ記憶部およびその周辺回路の構成を示す図である。データ記憶部1は、相補型のデータセルCLをアレイ状に並べたメモリアレイとして構成される。データセルCLがX方向に所定ビット数だけ並べられて単位ビット記憶部11が構成される。単位ビット記憶部11は、上記所定ビット数のデータを記憶可能である。例えば上記所定ビット数=32の場合は、データセルCLが32個並べられて単位ビット記憶部11が構成され、単位ビット記憶部11には32ビットのデータが記憶可能である。
【0026】
ワードラインWLは、単位ビット記憶部11を選択するための選択信号線である。単位ビット記憶部11がX方向に直交するY方向に並べられてメモリアレイが構成される。1本のワードラインWLが1つの単位ビット記憶部11に対応する。図7の構成では、一例として、単位ビット記憶部11がY方向に4つ並べられているため、ワードラインWLは4本設けられる。
【0027】
アドレス選択部3は、入力されるアドレス制御信号Sadに応じてワードラインWLを用いていずれかの単位ビット記憶部11を選択する。1本のワードラインWLが1つのアドレスに相当する。1本のワードラインWLにより書き込み(プログラム)対象、消去(イレース)対象、あるいは読み出し(リード)対象の単位ビット記憶部11を選択可能である。
【0028】
ここで、図5に示すように、ワードラインWLは、選択トランジスタST1,ST2の各ゲートに接続される。なお、1本のワードラインWLは、単位ビット記憶部11における各データセルCLにおける選択トランジスタST1,ST2の各ゲートに共通接続される。また、図5に示すように、ワードラインWLは、スイッチSWのゲートに接続される。スイッチSWは、単位ビット記憶部11において共通して1個設けられる。スイッチSWの第1端は、メモリトランジスタMT1,MT2の各ゲートに接続される。なお、スイッチSWの第1端は、単位ビット記憶部11における各データセルCLにおけるメモリトランジスタMT1,MT2の各ゲートに共通接続される。スイッチSWの第2端は、図示しない高電圧印加回路に接続される。
【0029】
データセルCLの消去(イレース)を行う場合には、ワードラインWLに印加するアドレス選択信号Sadslをハイレベルとすることで、選択トランジスタST1,ST2をオン状態とする。この場合、スイッチSWがオン状態となり、高電圧印加回路によって高電圧である電圧VPがゲート電圧VcgとなってメモリトランジスタMT1,MT2のゲートに印加される。このとき、ビットラインBL1,BL2には、負電圧が印加される。これにより、メモリトランジスタMT1,MT2のフローティングゲートFgに電子が注入される。
【0030】
事前に消去が行われた後に、データセルCLに書き込み(プログラム)が行われる。データセルCLの書き込みを行う場合には、ワードラインWLに印加するアドレス選択信号Sadslをハイレベルとすることで、選択トランジスタST1,ST2をオン状態とする。この場合、スイッチSWがオン状態となり、高電圧印加回路によってグランド電位である電圧VPがゲート電圧VcgとなってメモリトランジスタMT1,MT2のゲートに印加される。このとき、ビットラインBL1,BL2のいずれか一方に、高電圧が印加される。これにより、メモリトランジスタMT1,MT2のいずれか一方において、フローティングゲートFgから電子が引き抜かれる。このように、メモリトランジスタMT1,MT2のいずれに書き込むかによってデータセルCLに0または1のデータが書き込まれる。
【0031】
なお、ワードラインWLで選択することにより、選択された単位ビット記憶部11における各データセルCLに対して一度に消去・書き込みを行うことができる。
【0032】
また、データセルCLから読み出す場合には、ワードラインWLに印加するアドレス選択信号Sadslをハイレベルとすることで、選択トランジスタST1,ST2をオン状態とする。この場合、スイッチSWがオン状態となり、高電圧印加回路によってリード用の電圧VPがゲート電圧VcgとしてメモリトランジスタMT1,MT2のゲートに印加される。これにより、センスアンプSAによってデータDTを読み出すことができる。
【0033】
なお、図7に示す読出回路2には、センスアンプSAが上記所定ビット数だけ設けられる。例えば、上記所定ビット数=32の場合、32個のセンスアンプSAが設けられる。ワードラインWLにより選択された単位ビット記憶部11における各データセルCLから各センスアンプSAによりデータDTが読み出されることにより、読出回路2からは上記所定ビット数の出力データDoutが出力される。
【0034】
<3.テストについて>
メモリ装置では、製品出荷前にデータ記憶部1(メモリアレイ)におけるすべてのデータCLについて正常に書き込みが行えるかを確認するテストを行う必要がある。第1比較例(図7)においては、アドレス制御信号SadによってワードラインWLによって1つの単位ビット記憶部11を選択し、選択された単位ビット記憶部11におけるすべてのデータセルCLに対して1度に消去および書き込みを行う。ワードラインWLによって1つの単位ビット記憶部11を選択しつつ、消去および書き込みを行うので、ワードラインWLの本数に対応する回数だけ消去および書き込みが行われる(図7の例では4回)。消去および書き込みが行われるたびに、読出回路2によりデータの読み出しが行われ、正常にデータが書き込まれているかを確認する。
【0035】
なお、データセルCLに0,1データの両方が書き込めることを確認する必要があるため、データセルCLごとに消去→0,1データの一方の書き込み→消去→0,1データの他方の書き込みの順に行う必要がある。
【0036】
例えば書き込みに要する時間(プログラム時間)が1ms、消去に要する時間(イレース時間)が1msとして、上記所定ビット数=32とした場合、データ記憶部1(メモリアレイ)の容量が例えば2048ビットであれば、テスト時間は少なくとも(2048/32)×(1+1)×2=256msとなる。また、データ記憶部1の容量が例えば65536ビットであれば、テスト時間は少なくとも(65536/32)×(1+1)×2=8192msとなる。
【0037】
このように、大容量に対応するため、データセルCLをアレイ状に並べて面積効率を向上させる場合、テスト時間が長くなる課題が生じる。
【0038】
<4.第2比較例>
図8は、第2比較例に係るデータ記憶部およびその周辺回路の構成を示す図である。第2比較例の第1比較例(図7)との相違点は、アドレス選択部3にアドレス制御信号Sadに加えてアドレス全選択信号Salを入力可能であることである。
【0039】
第2比較例では、アドレス選択部3は、アドレス全選択信号Salに基づき、すべてのワードラインWLによりすべてのビット記憶部11を1度に選択することができる。これにより、データ記憶部1におけるすべてのデータセルCLに対して1度に消去・書き込みを行うことが可能となる。このような一括消去および一括書き込みが行えることにより、第2比較例においては、先述のように例えばプログラム時間=1ms、イレース時間=1msの場合で上記所定ビット数=32とした場合、データ記憶部1の容量が2048ビットおよび65536ビットのいずれの場合でも、テスト時間は少なくとも(1+1)×2=4msとなる。従って、テスト時間を大幅に短縮することができる。
【0040】
図9は、メモリ装置の製品出荷前におけるテスト工程の一例を示す図である。図9に示すように、環境温度を温度Taとする第1工程において、データ記憶部1(メモリアレイ)に第1データパターンPt1(チェッカーパターン)でデータが書き込まれる。その後、ベーク工程(Bake)で環境温度が高温である温度Tcとされる。その後、環境温度を温度Tbとする第2工程に進む。なお、Ta≦Tb≦Tcである。第2工程においては、第1工程において書き込まれた第1データパターンPt1がベーク工程を経ても正常に保持されているかが確認される。その後、第2工程において、データ記憶部1に第2データパターンPt2(チェッカーバーパターン)でデータが書き込まれる。第2データパターンPt2は、第1データパターンPt1を反転させたものである。
【0041】
このように第1データパターンPt1と第2データパターンPt2の両方が正常に書き込まれているかが確認される。このようなテストにおけるデータ書き込みは、先述したように一括消去および一括書き込みにより行われるため、テスト時間は短縮される。しかしながら、必要なデータ(トリミングデータ、Lot情報など)の書き込みは、第2工程の後に行う必要があり、書き込むタイミングが制限される。
【0042】
<5.本開示の実施形態>
<5-1.データ記憶部およびその周辺回路>
図10は、本開示の例示的な実施形態に係るデータ記憶部およびその周辺回路の構成を示す図である。本実施形態の第2比較例(図8)との相違点は、アドレス選択部3にアドレス制御信号Sad、アドレス全選択信号Salに加えて、アドレス一部非選択信号Sptが入力可能なことである。
【0043】
アドレス選択部3は、アドレス一部非選択信号Sptによってデータ記憶部1における一部の単位ビット記憶部11を一括消去および一括書き込みの対象として非選択とすることが可能である。これにより、一部非選択された単位ビット記憶部11以外の単位ビット記憶部11(すなわちアドレス選択部3により選択された単位ビット記憶部11)において、一括消去および一括書き込みが行われる。
【0044】
なお、図10において、各ワードラインWLごとに印加されるアドレス選択信号WL[3],WL[2] ,WL[1] ,WL[0] により、各単位ビット記憶部11を選択できる。選択する場合は、アドレス選択信号を「1」(ハイレベル)とし、非選択の場合は、アドレス選択信号を「0」(ローレベル)とする。
【0045】
図11は、メモリ装置の製品出荷前におけるテスト工程の一例を示す図である。図11は、先述した図9と対比される図であり、本開示の実施形態(図10)の場合の図である。図11では、一例としてアドレス選択部3は、アドレス選択信号WL[0]によって単位ビット記憶部11Aを非選択としている。これにより、非選択とされた単位ビット記憶部11A以外の単位ビット記憶部11(WL[3],WL[2] ,WL[1]により選択)において一括消去および一括書き込みが行われる。従って、テスト時間を短縮しつつ、非選択である単位ビット記憶部11Aには、第1工程および第2工程において必要なデータを書き込むことが可能である。従って、必要なデータの書き込みタイミングの自由度が向上される。
【0046】
<5-2.アドレス選択部の構成>
図12は、本開示の例示的な実施形態に係るメモリ装置5のブロック図を示す。図12に示すメモリ装置5は、データ記憶部1と、アドレス選択部3と、制御ロジック部4と、を備える。なお、メモリ装置5は、図示しない読出回路2を備える。
【0047】
図12においては、アドレス選択部3の内部構成を示す。アドレス選択部3は、WL(ワードライン)選択部31と、WL全選択部32と、WL一部非選択部33と、を有する。制御ロジック部4から出力されるアドレス制御信号Sadは、WL選択部31に入力される。制御ロジック部4から出力されるアドレス全選択信号Salは、WL全選択部32に入力される。制御ロジック部4から出力されるアドレス一部非選択信号Sptは、WL一部非選択部33に入力される。
【0048】
WL選択部31は、アドレス制御信号Sadに応じて、いずれか1本のワードラインWLを選択することを可能とする。例えば、図10の構成例であれば、4本のワードラインWLのうちいずれか1本が選択される。なお、ワードラインWLの選択は、対応する単位ビット記憶部11の選択に相当する。
【0049】
WL全選択部32は、アドレス全選択信号Salに基づいて、すべてのワードラインWLを選択することを可能とする。
【0050】
WL一部非選択部33は、アドレス一部非選択信号Sptに基づいて、一部のワードラインWLを非選択とすることを可能とする。
【0051】
WL選択部31、WL全選択部32、およびWL一部非選択部33の順に前段側から後段側へ向かって配置される。アドレス制御信号Sad、アドレス全選択信号Sal、およびアドレス一部非選択信号Sptに応じて、最も後段側のWL一部非選択部33からアドレス選択信号Sadslが出力される。アドレス選択信号SadslによりワードラインWL、ひいてはデータ記憶部1における単位ビット記憶部11が選択される。
【0052】
図13は、図10に示すようにワードラインWLが4本である場合のアドレス選択部3の内部構成を示す図である。図13に示す構成では、WL選択部31に入力されるアドレス制御信号Sadは、A[1],A[0]を含む。A[1],A[0]は、それぞれ1ビットの信号(0または1)である。A[1],A[0]に基づきWL選択部31から第1出力信号WLA[3],WLA[2],WLA[1],WLA[0]が出力され、WL全選択部32に入力される。WL全選択部32に入力されるアドレス全選択信号Salは、SEL_ALLを含む。SEL_ALLは、1ビットの信号である。
【0053】
WLA[3],WLA[2],WLA[1],WLA[0]およびSEL_ALLに基づきWL全選択部32から第2出力信号WLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]が出力され、WL一部非選択部33に入力される。WL一部非選択部33に入力されるアドレス一部非選択信号Sptは、NSELを含む。NSELは、1ビットの信号である。WLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]およびNSELに基づきWL一部非選択部33からアドレス選択信号SadslがワードラインWLに出力され、データ記憶部1に入力される。アドレス選択信号Sadslは、WL[3],WL[2],WL[1],WL[0]を含む。WL[3],WL[2],WL[1],WL[0]は、それぞれ1ビットの信号である。
【0054】
図14Aは、図13におけるWL選択部31の回路構成例を示す図である。図14Aに示すように、WL選択部31は、インバータ311A,311Bと、AND回路312A~312Dと、を有する。AND回路312A,312Bの各第1入力端には、A[1]が入力される。AND回路312C,312Dの各第1入力端には、A[1]をインバータ311Aにより反転した信号が入力される。AND回路312A,312Cの各第2入力端には、A[0]が入力される。AND回路312B,312Dの各第2入力端には、A[0]をインバータ311Bにより反転した信号が入力される。AND回路312A~312DからはそれぞれWLA[3],WLA[2],WLA[1],WLA[0]が出力される。
【0055】
このような回路構成によるA[1] ,A[0]とWLA[3],WLA[2],WLA[1],WLA[0]の真理値表を図14Bに示す。このように、A[1] ,A[0]の値の組み合わせに応じて、WLA[3],WLA[2],WLA[1],WLA[0]のうちいずれか1つの値を1とするパターンを作成することができる。これにより、4本のワードラインWLのうちいずれか1本を選択することが可能となる。
【0056】
図15Aは、図13におけるWL選択部31およびWL全選択部32の回路構成例を示す図である。図15は、図14AのWL選択部31に加えてWL全選択部32を図示したものである。図15に示すように、WL全選択部32は、OR回路321A~321Dを有する。OR回路321A~321Dの各第1入力端には、WL選択部31から出力されるWLA[3],WLA[2],WLA[1],WLA[0]のそれぞれが入力される。OR回路321A~321Dの各第2入力端には、SEL_ALLが入力される。OR回路321A~321DからそれぞれWLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]が出力される。
【0057】
このような回路構成によるA[1] ,A[0]とSEL_ALLとWLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]の真理値表を図15Bに示す。図15Bに示すように、SEL_ALLが0の場合は、WLA[3],WLA[2],WLA[1],WLA[0]がそのままWLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]として出力される。一方、SEL_ALLが1の場合は、WLA[3],WLA[2],WLA[1],WLA[0]の値によらず、WLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]はすべて1となる。このように、SEL_ALLを1とすることにより、4本のワードラインWLすべてを選択することが可能となる。
【0058】
図16Aは、図13におけるWL選択部31、WL全選択部32、およびWL一部非選択部33の回路構成例を示す図である。図16Aは、図15AのWL選択部31およびWL全選択部32に加えてWL一部非選択部33を図示したものである。
【0059】
図16Aに示すように、WL一部非選択部33は、XOR回路331A~331Dを有する。XOR回路331A~331Dの各第1入力端には、WL全選択部32から出力されるWLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]のそれぞれが入力される。XOR回路331A~331Dの各第2入力端には、NSELが入力される。XOR回路331A~331DからそれぞれWL[3],WL[2],WL[1],WL[0]が出力される。
【0060】
このような回路構成によるA[1] ,A[0]とSEL_ALLとNSELとWL[3],WL[2],WL[1],WL[0]の真理値表を図16Bに示す。図16Bに示すように、SEL_ALL=0かつNSEL=0の場合は、WLA[3],WLA[2],WLA[1],WLA[0]がそのままWL[3],WL[2],WL[1],WL[0]として出力される。すなわち、4本のワードラインWLのうち1本のワードラインWLを選択可能である。なお、WL[3],WL[2],WL[1],WL[0](アドレス選択信号Sadsl)の値が1の場合にワードラインWLの選択を示し、0の場合にワードラインWLの非選択を示す。
【0061】
図16Bに示すように、SEL_ALL=1かつNSEL=0の場合は、すべて1となるWLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]がそのままWL[3],WL[2],WL[1],WL[0]として出力される。すなわち、4本すべてのワードラインWLが選択される。
【0062】
図16Bに示すように、SEL_ALL=0かつNSEL=1の場合は、WLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]がそれぞれ反転されてWL[3],WL[2],WL[1],WL[0]として出力される。この場合、WL[3],WL[2],WL[1],WL[0]のうちいずれか1つのみが0とされるので、4本のワードラインWLのうちいずれか1本のみを非選択とすることができる。
【0063】
図17Aは、アドレス一部非選択部33の変形例を示す図である。図17Aにおいては、先述した回路構成のアドレス選択部31およびアドレス全選択部32も図示している。図17Aにおけるアドレス一部非選択部33は、AND回路332A~332Dと、インバータ333A,333Bと、OR回路334A,334Bと、を有する。
【0064】
AND回路332A~332の各第1入力端には、アドレス全選択部32から出力されるWLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]がそれぞれ入力される。本変形例においては、アドレス一部非選択信号Sptは、NSELに加えてNAを含む。OR回路334Aの第1入力端には、NAをインバータ333Aにより反転した信号が入力される。OR回路334Aの第2入力端には、NSELをインバータ333Bにより反転した信号が入力される。OR回路334Bの第1入力端には、NAが入力される。OR回路334Bの第2入力端には、NSELをインバータ333Bにより反転した信号が入力される。AND回路332A,332Bの各第2入力端には、OR回路334Aの出力が入力される。AND回路332C,332Dの各第2入力端には、OR回路334Bの出力が入力される。AND回路332A~332DのそれぞれからWL[3],WL[2],WL[1],WL[0]が出力される。
【0065】
このような回路構成によるA[1] ,A[0]とSEL_ALLとNAとNSELとWL[3],WL[2],WL[1],WL[0]の真理値表を図17Bに示す。図17Bに示すように、SEL_ALL=0かつNSEL=0(NAは任意)の場合は、NAの値にかかわらずOR回路334A,334Bの出力が1となり、AND回路332A~332Dは、WLA[3],WLA[2],WLA[1],WLA[0]の値をそのままWL[3],WL[2],WL[1],WL[0]として出力する。すなわち、4本のワードラインWLのうち1本のワードラインWLを選択可能である。
【0066】
また、図17Bに示すように、SEL_ALL=1かつNSEL=0(NAは任意)の場合は、NAの値にかかわらずOR回路334A,334Bの出力が1となり、AND回路332A~332Dは、すべて1となるWLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]をそのままWL[3],WL[2],WL[1],WL[0]として出力する。すなわち、4本すべてのワードラインWLを選択する。
【0067】
また、図17Bに示すように、SEL_ALL=1かつNSEL=1の場合は、OR回路334A,334Bの出力がNAの値に応じた値となり、A[1],A[0]の値にかかわらずWLB[3],WLB[2],WLB[1],WLB[0]がすべて1となり、AND回路332A~332Dの出力はOR回路334A,334Bの出力に応じた値となる。これにより、WL[3],WL[2],WL[1],WL[0]のうち、WL[3],WL[2]=1、WL[1],WL[0]=0のパターンまたはWL[3],WL[2]=0、WL[1],WL[0]=1のパターンが作成される。従って、4本のワードラインWLのうち2本のワードラインWLを非選択とすることができる。
【0068】
<5-3.データ記憶部の変形例>
図18は、図13に示す構成の変形例を示す図である。図18図13との相違点は、データ記憶部1がメモリアレイではなく、ビットメモリコア12から構成されることである。ワードライン1本ごとに1個のビットメモリコア12が対応し、1個のビットメモリコア12には1ビット分のデータが記憶可能である。本変形例では、1個のビットメモリコア12を1個のデータセルと捉えれば、単位ビット記憶部11が1個のデータセルから構成されることに相当する。なお、ビットメモリコアを選択する選択信号線の名称を、本明細書では「ワードライン」と称することとする。このような実施形態によれば、一部のビットメモリコア12を非選択とすることができる。
【0069】
<6.その他>
なお、本開示に係る種々の技術的特徴は、上記実施形態の他、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0070】
例えば、メモリセルにおけるデータ記憶方式は、先述した酸化膜を通した電子のトンネル現象を利用した方式に限らず、例えばサイドウォールにホットチャージをトラップする方式でもよい。また、データセルは、相補型に限ることはない。なお、データセルにおけるメモリセルを1個とした場合は、データセルの消去・書き込みが0,1データの書き込みに相当する。また、すべてのデータセルを一括で消去した後に、部分的にデータセルを一括で書き込む場合も、一括書き込みに含まれる。
【0071】
<7.付記>
以上の通り、例えば、本開示の一態様に係るメモリ装置(5)は、
1ビットのデータを記憶するための少なくとも1つのデータセル(CL)から構成される単位ビット記憶部(11)を有し、当該単位ビット記憶部が複数並んで構成されるデータ記憶部(1)と、
前記単位ビット記憶部のそれぞれに対応するワードライン(WL)を選択するように構成されるアドレス選択部(3)と、
を備え、
前記アドレス選択部は、
アドレス制御信号(Sd)が入力可能であり、前記アドレス制御信号に基づいて1本の前記ワードラインを選択するための第1出力信号(WLA)を生成可能に構成されるワードライン選択部(31)と、
アドレス全選択信号(Sal)と前記第1出力信号とが入力可能であり、前記アドレス全選択信号に基づいてすべての前記ワードラインを選択するための第2出力信号(WLB)を生成可能に構成されるワードライン全選択部(32)と、
アドレス一部非選択信号(Spt)と前記第2出力信号とが入力可能であり、前記アドレス一部非選択信号に基づいて前記ワードラインのうち一部を非選択とするためのアドレス選択信号(Sadsl)を生成して前記ワードラインに出力可能に構成されるワードライン一部非選択部(33)と、
を有し、
前記アドレス選択信号によって選択された前記単位ビット記憶部においては、前記データセルに対して一括消去および一括書き込みが行われ、
前記アドレス選択信号によって非選択とされた前記単位ビット記憶部においては、前記一括消去および前記一括書き込みは行われない構成としている(第1の構成)。
【0072】
また、上記第1の構成において、前記アドレス一部非選択部(33)は、前記アドレス制御信号、前記アドレス全選択信号、および前記アドレス一部非選択信号の組み合わせに応じて、1本の前記ワードラインの選択、すべての前記ワードラインの選択、一部の前記ワードラインの非選択を切替えて前記アドレス選択信号を出力する構成としてもよい(第2の構成)。
【0073】
また、上記第1または第2の構成において、前記ワードライン全選択部(32)は、すべての前記ワードラインを選択することを示す前記アドレス全選択信号が入力された場合、前記第1出力信号にかかわらず、すべての前記ワードラインを選択するための前記第2出力信号を生成する構成としてもよい(第3の構成)。
【0074】
また、上記第1から第3のいずれかの構成において、前記ワードライン一部非選択部(33)は、一部の前記ワードラインを非選択とすることを示す前記アドレス一部非選択信号が入力された場合、1本の前記ワードラインを選択するための前記第1出力信号を論理反転させて前記アドレス選択信号を生成する構成としてもよい(第4の構成)。
【0075】
また、上記第1から第3のいずれかの構成において、前記アドレス一部非選択信号は、第1信号(NSEL)と第2信号(NA)とを含み、
前記ワードライン一部非選択部(33)は、一部の前記ワードラインを非選択とすることを示す前記第1信号(NSEL)が入力された場合、すべての前記ワードラインを選択するための前記第2出力信号と、前記第2信号に基づいた論理値との論理積によって前記アドレス選択信号を生成する構成としてもよい(第5の構成)。
【0076】
また、上記第1から第5のいずれかの構成において、前記データ記憶部(1)は、2つ以上の前記データセル(CL)を含む前記単位ビット記憶部(11)が前記複数並べられて構成されるメモリアレイである構成としてもよい(第6の構成)。
【0077】
また、上記第1から第6のいずれかの構成において、前記データセル(CL)は、2つのメモリセルを有する相補型セルである構成としてもよい(第7の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本開示は、各種用途のメモリ装置に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 データ記憶部
2 読出回路
3 アドレス選択部
4 制御ロジック部
5 メモリ装置
11 単位ビット記憶部
11A 単位ビット記憶部
12 ビットメモリコア
31 WL(ワードライン)選択部
32 WL全選択部
33 WL一部非選択部
311A,311B インバータ
312A~312D AND回路
321A~321D OR回路
331A~331D XOR回路
332A,332B AND回路
332A~332D AND回路
333A,333B インバータ
334A,334B OR回路
BL ビットライン
BL1 第1ビットライン
BL2 第2ビットライン
CL データセル
Cg コントロールゲート
Fg フローティングゲート
MC メモリセル
MC1 第1メモリセル
MC2 第2メモリセル
MT メモリトランジスタ
MT1 第1メモリトランジスタ
MT2 第2メモリトランジスタ
Ox 酸化膜
Rg リードゲート
SA センスアンプ
ST 選択トランジスタ
ST1 第1選択トランジスタ
ST2 第2選択トランジスタ
SW スイッチ
WL ワードライン
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18