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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142687
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054937
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊
(72)【発明者】
【氏名】岡田 修
(72)【発明者】
【氏名】酒谷 淳寛
(72)【発明者】
【氏名】滝本 亮介
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL09
5H181LL15
5H181LL16
(57)【要約】
【課題】先行車両の走行情報および路面情報に基づいた、精度の高い速度制御を行う運転支援装置を提供する。
【解決手段】運転支援装置1のプロセッサ10は、車両の乗員が設定した目的地までの走行ルートを算出する走行ルート算出部12と、走行ルートにおける危険区間を特定する危険区間特定部13と、走行ルートの前方を走行している少なくとも1台以上の先行車両から、先行車両が危険区間を走行したときの走行情報および路面情報を取得する情報取得部15と、走行情報および路面情報に基づいて、危険区間を安全に走行可能な速度を決定する速度決定部16と、決定した速度に基づいて、車両が危険区間を走行するときの走行速度を制御する速度制御部17と、を含んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員が設定した目的地までの走行ルートを算出する走行ルート算出部と、
前記走行ルートにおける危険区間を特定する危険区間特定部と、
前記走行ルートの前方を走行している少なくとも1台以上の先行車両から、前記先行車両が前記危険区間を走行したときの走行情報および路面情報を取得する情報取得部と、
前記走行情報および前記路面情報に基づいて、前記危険区間を安全に走行可能な速度を決定する速度決定部と、
前記速度に基づいて、前記車両が前記危険区間を走行するときの走行速度を制御する速度制御部と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記速度決定部は、緊急車両以外の前記先行車両から取得した前記走行情報および路面情報に基づいて、前記速度を決定することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記速度決定部は、前記車両が前記危険区間に到達する前の所定時間以内に前記危険区間を走行した前記先行車両の前記走行情報および前記路面情報に基づいて、前記速度を決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記走行情報および前記路面情報に基づいて、前記危険区間の走行が危険であるか否かを判定する走行判定部を備え、
前記走行ルート算出部は、前記走行判定部から前記危険区間の走行が危険である旨の判定結果を受信したときには、前記危険区間を回避する走行ルートを算出することを特徴とする請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサに通信可能に接続される1つまたは複数のメモリと、を備え、
前記1つまたは複数のプロセッサは、
車両の乗員が設定した目的地までの走行ルートを算出する走行ルート算出部と、
前記走行ルートにおける危険区間を特定する危険区間特定部と、
前記走行ルートの前方を走行している少なくとも1台以上の先行車両から、前記先行車両が前記危険区間を走行したときの走行情報および路面情報を取得する情報取得部と、
前記走行情報および前記路面情報に基づいて、前記危険区間を安全に走行可能な速度を決定する速度決定部と、
前記速度に基づいて、前記車両が前記危険区間を走行するときの走行速度を制御する速度制御部と、
を含むことを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両自体が車両周囲の情報を把握し、運転者に代わって車両を制御するADAS(Advanced DriverAssistance Systems)機能を備えた車両が実用化されている。
【0003】
例えば、この種の技術として、前方を走行する先行車両の走行状態を取得して、自車両の危険状態を判定し、自車両の走行速度等を制御する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-299758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の技術では、前方を走行する先行車両から取得した、ハンドル/ブレーキの操作量、車速等の走行情報に基づいて、自車両の速度制御を行っている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、先行車両が走行している路面情報を取得していないため、例えば、先行車両が走行している路面が未舗装状態や凍結状態等の影響により、路面が滑りやすい状態にあることを検出できず、自車両の速度制御の精度が悪化するという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、先行車両の走行情報および路面情報に基づいた、精度の高い速度制御を行う運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車両の乗員が設定した目的地までの走行ルートを算出する走行ルート算出部と、前記走行ルートにおける危険区間を特定する危険区間特定部と、前記走行ルートの前方を走行している少なくとも1台以上の先行車両から、前記先行車両が前記危険区間を走行したときの走行情報および路面情報を取得する情報取得部と、前記走行情報および前記路面情報に基づいて、前記危険区間を安全に走行可能な速度を決定する速度決定部と、前記速度に基づいて、前記車両が前記危険区間を走行するときの走行速度を制御する速度制御部と、を備えることを特徴とする運転支援装置を提案している。
【0008】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、緊急車両以外の前記先行車両から取得した前記走行情報および路面情報に基づいて、前記速度を決定することを特徴とする運転支援装置を提案している。
【0009】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記車両が前記危険区間に到達する前の所定時間以内に前記危険区間を走行した前記先行車両の前記走行情報および前記路面情報に基づいて、前記速度を決定することを特徴とする運転支援装置を提案している。
【0010】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記走行情報および前記路面情報に基づいて、前記危険区間の走行が危険であるか否かを判定する走行判定部を備え、前記走行ルート算出部は、前記走行判定部から前記危険区間の走行が危険である旨の判定結果を受信したときには、前記危険区間を回避する走行ルートを算出することを特徴とする運転支援装置を提案している。
【0011】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサに通信可能に接続される1つまたは複数のメモリと、を備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、車両の乗員が設定した目的地までの走行ルートを算出する走行ルート算出部と、前記走行ルートにおける危険区間を特定する危険区間特定部と、前記走行ルートの前方を走行している少なくとも1台以上の先行車両から、前記先行車両が前記危険区間を走行したときの走行情報および路面情報を取得する情報取得部と、前記走行情報および前記路面情報に基づいて、前記危険区間を安全に走行可能な速度を決定する速度決定部と、前記速度に基づいて、前記車両が前記危険区間を走行するときの走行速度を制御する速度制御部と、を含むことを特徴とする運転支援装置を提案している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、先行車両の走行情報および路面情報に基づいた、精度の高い速度制御を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る運転支援装置の構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る運転支援装置の情報取得部が取得する情報を示した図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る運転支援装置の処理のフローを示した図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る運転支援装置の構成を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る運転支援装置の処理のフローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図5を用いて、本実施形態に係る運転支援装置について説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1から図3を用いて、本実施形態に係る運転支援装置1について説明する。
【0016】
<運転支援装置1の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援装置1は、プロセッサ10と、メモリ20と、を含んで構成されている。
プロセッサ10は、メモリ20に格納された制御プログラムに従って、運転支援装置1全体の制御を行う。
なお、プロセッサ10の詳細については、後述する。
メモリ20は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含み、ROMには、上述した制御プログラムや地図情報等が格納され、RAMには、プロセッサ10から受信した各種データ等が格納されている。
【0017】
<プロセッサ10の構成>
プロセッサ10は、現在位置取得部11と、走行ルート算出部12と、危険区間特定部13と、通信部14と、情報取得部15と、速度決定部16と、速度制御部17と、を含んで構成されている。
プロセッサ10の各部およびメモリ20は、バスラインBLを介して、各種情報の送受信を行う。
【0018】
現在位置取得部11は、運転支援装置1を備えた車両の現在位置情報を取得する。
現在位置取得部11は、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波に基づいて、車両の現在位置を取得する。
現在位置取得部11は、取得した車両の現在位置情報をメモリ20に格納する。
【0019】
走行ルート算出部12は、車両の乗員が設定した目的地までの走行ルートを算出する。
走行ルート算出部12は、車両の乗員が設定した目的地情報、メモリ20から取得した現在位置情報および地図情報に基づいて、車両の現在位置から目的地までの走行ルートを算出する。
なお、目的地情報(施設名、住所、緯度経度等)は、例えば、車両に備えられた図示しないナビゲーション装置から取得する。
走行ルート算出部12は、算出した走行ルート情報をメモリ20に格納する。
【0020】
危険区間特定部13は、走行ルートにおける危険区間を特定する。
危険区間特定部13は、メモリ20から走行ルート情報を取得し、取得した走行ルート上の危険区間を特定する。
ここで、危険区間は、運転者が特に慎重に運転する必要がある道路の区間であって、急カーブ、人通りが多い区間、未舗装路区間、大雨による浸水区間、濃霧が発生する頻度が高い区間、対向車とのすれ違いが困難な区間、事故多発区間等を例示することができる。
危険区間特定部13は、予めメモリ20に格納されている危険区間リストと、走行ルート算出部12において算出された走行ルートとを参照し、走行ルートに危険区間があるか否かを判定し、危険区間の特定結果(危険区間の有無、特定した危険区間の位置情報等)をメモリ20に格納する。
なお、危険区間特定部13は、インターネット網に接続されたサーバから、例えば、期間を定めて行われている工事による未舗装路区間等の情報も含んだ、最新の危険区間リストを取得して、走行ルート上の危険区間を特定するようにしてもよい。
【0021】
通信部14は、例えば、車車間通信/路車間通信等を行うための無線通信モジュールであって、後述する情報取得部15が、走行ルートの前方を走行する先行車両から情報を取得するためのインターフェースとして機能する。
また、通信部14は、インターネット網に接続可能な無線通信モジュールであって、インターネット網に接続されたサーバから情報を取得するためのインターフェースとして機能する。
【0022】
情報取得部15は、走行ルートの前方を走行している少なくとも1台以上の先行車両から、先行車両が危険区間を走行したときの走行情報および路面情報を取得する。
情報取得部15は、危険区間特定部13において特定された危険区間を走行する先行車両から、危険区間走行時の走行情報および路面情報を、通信部14を介して取得する。
図2に示すように、情報取得部15が先行車両から取得する走行情報としては、車両識別情報、走行位置情報、車速情報、安全装置作動状況(例えば、横滑り防止機能等のADAS機能の作動状況)、ワイパー/ライト作動状況等を例示することができる。
また、情報取得部15が先行車両から取得する路面情報としては、先行車両に搭載されたカメラ等により撮像された、車両前方画像、路面画像等を例示することができる。
情報取得部15は、先行車両の走行位置と危険区間とが一致している区間の走行情報および路面情報を取得し、取得した情報をメモリ20に格納する。
なお、情報取得部15は、車両が走行予定の危険区間を走行した先行車両から走行情報および路面情報を取得できればよいため、上述した方法に限定されるわけではない。
例えば、情報取得部15は、走行中の各車両から受信した走行情報および路面情報が格納されているサーバに接続し、危険区間を走行した車両を抽出して、走行情報および路面情報を取得するようにしてもよい。
【0023】
速度決定部16は、走行情報および路面情報に基づいて、危険区間を安全に走行可能な速度を決定する。
速度決定部16は、メモリ20に格納された走行情報および路面情報に基づいて、車両が危険区間を安全に走行できる速度を決定し、決定した速度をメモリ20に格納する。
【0024】
また、速度決定部16は、緊急車両以外の先行車両から取得した走行情報および路面情報に基づいて、速度を決定する。
速度決定部16は、先行車両から取得した走行情報の車両識別情報を確認し、救急車や消防車等の緊急車両/特殊車両以外の先行車両から取得した走行情報および路面情報に基づいて、速度を決定する。
【0025】
また、速度決定部16は、車両が危険区間に到達する前の所定時間以内に危険区間を走行した先行車両の走行情報および路面情報に基づいて、速度を決定する。
速度決定部16は、危険区間に車両が到達する直前の時間帯において、危険区間を走行した先行車両から走行情報および路面情報を取得して、安全に走行可能な速度を決定する。
具体的には、速度決定部16は、例えば、車両が危険区間に到達する予想到達時刻を算出し、予想到達時刻から所定時間遡った時間帯に危険区間を走行した先行車両の走行情報および路面情報に基づいて、安全に走行可能な速度を決定する。
より具体的には、速度決定部16は、算出した予想到達時刻が10時00分であり、所定時間が30分間であった場合には、9時30分から10時00分までの時間帯に危険区間を走行した少なくとも1台以上の先行車両の走行情報および路面情報に基づいて、安全に走行可能な速度を決定する。
【0026】
速度決定部16は、例えば、少なくとも1台以上の先行車両から取得した路面情報を分析し、危険区間の視界の確保状況(降雨降雪、霧、土煙等による視界不良の発生)、路面状況(積雪、凍結、浸水等の発生、降水量、未舗装路面等)を判定し、その判定結果と先行車両の走行情報とに基づいて、安全に走行可能な速度を決定する。
具体的には、速度決定部16は、画像分析の結果において、例えば、路面凍結が発生していると判定し、取得した走行情報において、横滑り防止機能が作動している車両の存在を検出した場合には、時速20km以下を安全に走行可能な速度に設定する。
また、速度決定部16は、画像分析の結果において、例えば、降雨がなく路面が乾いた状態にあると判定された場合には、安全装置が作動していない先行車両の車速の平均値を、安全に走行可能な速度に決定する。
ここで、速度決定部16は、危険区間を走行した先行車両から取得した走行情報と、路面情報とを組み合わせて、車両が安全に走行可能できる速度を決定できればよいため、上述した決定方法に限定されるわけではない。
速度決定部16は、決定した速度をメモリ20に格納する。
【0027】
速度制御部17は、速度決定部16において決定された速度に基づいて、車両が危険区間を走行するときの走行速度を制御する。
速度制御部17は、車両の現在位置情報および危険区間の位置情報を確認し、車両が危険区間に進入するときに、速度決定部16が決定した速度以下になるように、車両の走行速度を制御し、さらに、車両が危険区間を通過するまで速度制御を継続する。
なお、速度制御部17は、車両が危険区間に進入する前において、運転者に対して危険区間における速度制御の実行を提案し、運転者が速度制御の実行に同意した場合に、車両の速度制御を行うようにしてもよい。
【0028】
<運転支援装置1の処理>
図3を用いて、運転支援装置1の処理について説明する。
【0029】
プロセッサ10は、乗員が目的地を設定したか否かを判定する(ステップS110)。
プロセッサ10は、乗員が目的地を設定していないと判定する場合(ステップS110の「NO」)には、処理を戻し、待機状態に移行する。
【0030】
一方で、プロセッサ10において、乗員が目的地を設定したと判定された場合(ステップS110の「YES」)には、走行ルート算出部12は、車両の現在位置から目的地までの走行ルートを算出し(ステップS120)、処理をステップS130に移行させる。
【0031】
危険区間特定部13は、ステップS120において算出された走行ルート上の危険区間を特定し(ステップS130)、処理をステップS140に移行させる。
【0032】
プロセッサ10は、危険区間特定部13において、走行ルート上に危険区間が検出されたか否かを判定する(ステップS140)。
プロセッサ10は、メモリ20に格納された危険区間の特定結果を確認し、危険区間特定部13において、危険区間が検出されなかったと判定する場合(ステップS140の「NO」)には、処理を終了させる。
一方で、プロセッサ10は、メモリ20に格納された危険区間の特定結果を確認し、危険区間特定部13において、危険区間が検出されたと判定する場合(ステップS140の「YES」)には、処理をステップS150に移行させる。
【0033】
情報取得部15は、走行ルートの前方を走行する先行車両から、危険区間を走行したときの走行情報および路面情報を取得し(ステップS150)、処理をステップS160に移行させる。
【0034】
速度決定部16は、ステップS150において取得した走行情報および路面情報に基づいて、危険区間を安全に走行可能な速度を決定し(ステップS150)、処理をステップS170に移行させる。
【0035】
速度制御部17は、ステップS160において決定された速度に基づいて、危険区間の車両の走行速度を制御し(ステップS170)、処理を終了させる。
【0036】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る運転支援装置1のプロセッサ10は、車両の乗員が設定した目的地までの走行ルートを算出する走行ルート算出部12と、走行ルートにおける危険区間を特定する危険区間特定部13と、走行ルートの前方を走行している少なくとも1台以上の先行車両から、先行車両が危険区間を走行したときの走行情報および路面情報を取得する情報取得部15と、走行情報および路面情報に基づいて、危険区間を安全に走行可能な速度を決定する速度決定部16と、決定した速度に基づいて、車両が危険区間を走行するときの走行速度を制御する速度制御部17と、を含んでいる。
つまり、運転支援装置1は、目的地までの走行ルート上にある危険区間を安全に走行できるように、走行ルートの前方を走行している先行車両が危険区間を走行したときの走行情報および路面情報に基づいて、危険区間を安全に走行できる速度を決定し、危険区間の走行速度を制御する。
これにより、車両が危険区間に進入するまでに、危険区間の走行速度を決定して、車両の速度制御が行われるため、運転者は、安心して危険区間を走行することができる。
また、情報取得部15は、先行車両から、走行情報(車両識別情報、走行位置情報、車速情報、安全装置作動状況、ワイパー/ライト作動状況)と、路面情報(車両前方画像、路面画像等)とを取得する。
つまり、速度決定部16は、先行車両から取得した路面情報の解析を実行し、走行情報からは把握することができない、視界の確保状態(降雨降雪、霧、土煙等による視界不良の発生)、路面状態(積雪、凍結、浸水等の発生、未舗装路面等)等を把握して、危険区間を安全に走行できる速度を決定する。
これにより、先行車両の走行情報および路面情報に基づいた、精度の高い速度制御を行うことができるため、運転者は安心して危険区間を走行することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る運転支援装置1の速度決定部16は、緊急車両以外の先行車両から取得した走行情報および路面情報に基づいて、速度を決定する。
つまり、救急車や消防車等の緊急車両の走行速度等の走行情報は、同じ道路を走行する他の車両の走行情報と大きく異なる場合があるため、速度決定部16は、緊急車両以外の先行車両から取得した走行情報および路面情報に基づいて、速度を決定する。
これにより、危険区間を安全に走行可能な速度を精度高く決定することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る運転支援装置1の速度決定部16は、車両が危険区間に到達する前の所定時間以内に危険区間を走行した先行車両の走行情報および路面情報に基づいて、速度を決定する。
つまり、路面状況は、天候等の変化により急激に変化するため、速度決定部16は、車両が危険区間を通過する直前の所定時間内に危険区間を走行した先行車両の走行情報および路面状情報に基づいて、危険区間を安全に走行できる速度を決定する。
これにより、危険区間を安全に走行可能な速度を精度高く決定することができる。
【0039】
<第2の実施形態>
図4および図5を用いて、本実施形態に係る運転支援装置1Aについて説明する。
第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0040】
<運転支援装置1Aの構成>
図4に示すように、本実施形態に係る運転支援装置1Aは、プロセッサ10Aと、メモリ20と、を含んで構成されている。
【0041】
<プロセッサ10Aの構成>
プロセッサ10Aは、現在位置取得部11と、走行ルート算出部12Aと、危険区間特定部13と、通信部14と、情報取得部15と、速度決定部16と、速度制御部17と、走行判定部18と、を含んで構成されている。
【0042】
走行判定部18は、走行情報および路面情報に基づいて、危険区間の走行が危険であるか否かを判定する。
走行判定部18は、走行情報および路面情報に基づいて、速度を下げて走行しても、危険区間を通過することが危険であると判定した場合には、バスラインBLを介して、危険区間の走行は危険である旨の判定結果を走行ルート算出部12Aに送信する。
具体的には、走行判定部18は、取得した路面情報の分析から、例えば、霧による車両前方の視界不良を検出した場合には、危険区間の走行が危険であると判定する。
また、走行判定部18は、例えば、危険区間の急カーブにおける路面凍結を検出し、複数の先行車両の走行情報から安全装置の作動を検出したときには、危険区間の走行が危険であると判定する。
なお、走行判定部18は、危険区間の走行が危険であるか否かを判定できればよいため、上述した方法に限定されるわけではない。
【0043】
走行ルート算出部12Aは、走行判定部18から危険区間の走行が危険である旨の判定結果を受信したときには、危険区間を回避する走行ルートを算出する。
走行ルート算出部12Aは、走行判定部18から危険区間の走行が危険である旨の判定結果を受信したときには、車両の現在位置情報と目的地情報とに基づいて、走行が危険であると判定された危険区間を回避する走行ルートを算出し、算出した走行ルートをメモリ20に格納する。
【0044】
<運転支援装置1Aの処理>
図5を用いて、運転支援装置1Aの処理について説明する。
【0045】
プロセッサ10Aは、乗員が目的地を設定したか否かを判定する(ステップS210)。
プロセッサ10Aは、乗員が目的地を設定していないと判定する場合(ステップS210の「NO」)には、処理を戻し、待機状態に移行する。
【0046】
一方で、プロセッサ10Aにおいて、乗員が目的地を設定したと判定された場合(ステップS210の「YES」)には、走行ルート算出部12Aは、車両の現在位置から目的地までの走行ルートを算出し(ステップS220)、処理をステップS230に移行させる。
【0047】
危険区間特定部13は、ステップS220において算出された走行ルート上の危険区間を特定し(ステップS230)、処理をステップS240に移行させる。
【0048】
プロセッサ10Aは、危険区間特定部13において、走行ルート上に危険区間が検出されたか否かを判定する(ステップS240)。
プロセッサ10Aは、メモリ20に格納された危険区間の特定結果を確認し、危険区間特定部13において、危険区間が検出されなかったと判定する場合(ステップS240の「NO」)には、処理を終了させる。
一方で、プロセッサ10Aは、メモリ20に格納された危険区間の特定結果を確認し、危険区間特定部13において、危険区間が検出されたと判定する場合(ステップS240の「YES」)には、処理をステップS250に移行させる。
【0049】
情報取得部15は、走行ルートの前方を走行する先行車両から、危険区間を走行したときの走行情報および路面情報を取得し(ステップS250)、処理をステップS260に移行させる。
【0050】
走行判定部18は、ステップS250において取得した走行情報および路面情報に基づいて、危険区間の走行が危険であるか否かを判定する(ステップS260)。
走行判定部18において、危険区間の走行が危険であると判定された場合(ステップS260の「YES」)には、走行ルート算出部12Aは、危険区間を回避した走行ルートを算出し(ステップS270)、処理をステップS230に戻す。
【0051】
一方で、走行判定部18において、危険区間の走行が危険でないと判定された場合(ステップS260の「YES」)には、速度決定部16は、ステップS250において取得した走行情報および路面情報に基づいて、危険区間を安全に走行可能な速度を決定する(ステップS280)。
【0052】
速度制御部17は、ステップS280において決定された速度に基づいて、危険区間の車両の走行速度を制御し(ステップS290)、処理を終了させる。
【0053】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る運転支援装置1Aは、走行情報および路面情報に基づいて、危険区間の走行が危険であるか否かを判定する走行判定部18を備え、走行ルート算出部12Aは、走行判定部18から危険区間の走行が危険である旨の判定結果を受信したときには、危険区間を回避する走行ルートを算出する。
つまり、走行判定部18において、危険区間の走行が危険であると判定された場合には、走行ルート算出部12Aは、走行が危険であると判定された危険区間を回避する走行ルートを再度算出する。
これにより、運転者は、危険を回避した新しい走行ルートにおいて、目的地まで走行できるため、安心して運転することができる。
また、走行ルート算出部12Aにおいて、危険区間を回避した走行ルートを算出された場合には、危険区間特定部13は、危険を回避した新しい走行ルートにおける危険区間を特定する。
これにより、走行ルートが変わった場合であっても、危険区間を特定し、危険区間を安全に走行できる速度制御が行われるため、運転者は安心して走行することができる。
【0054】
<変形例1>
上述した本実施形態に係る運転支援装置1、1Aの速度決定部16の処理は、画像解析等の高速な演算処理が可能なプロセッサ10や、その演算処理のための大きなメモリサイズのメモリ20等のリソースが必要となるため、その処理をサーバにおいて実行させるようにしてもよい。
具体的には、情報取得部15は、車車間通信等により先行車両から取得した走行情報および路面情報をサーバに送信し、サーバは、受信した情報に基づいて、危険区間を安全に走行できる速度を決定し、決定した速度を速度制御部17に送信する。
高速な演算処理を行うためのリソースを十分に備えたサーバは、より精度の高い情報分析を行うことができるため、危険区間を安全に走行できる速度を精度高く決定することができる。
また、これにより、プロセッサ10、10Aの消費電力削減、および、メモリ20のメモリサイズの削減を行うことができる。
【0055】
なお、上述した走行ルート算出部12、危険区間特定部13、通信部14、情報取得部15、速度決定部16、速度制御部17等の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをメモリに読み込ませ、実行することによって本発明の運転支援装置1を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0056】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0057】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0058】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1;運転支援装置
1A;運転支援装置
10;プロセッサ
10A;プロセッサ
11;現在位置取得部
12;走行ルート算出部
12A;走行ルート算出部
13;危険区間特定部
14;通信部
15;情報取得部
16;速度決定部
17;速度制御部
18;走行判定部
20;メモリ
図1
図2
図3
図4
図5