(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142694
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】回転電機用ステータ製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/12 20060101AFI20241003BHJP
H02K 15/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02K15/12
H02K15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054945
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真乙花
(72)【発明者】
【氏名】後藤 勇一朗
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP13
5H615PP14
5H615QQ03
5H615RR07
5H615SS10
5H615SS16
5H615SS24
5H615SS35
(57)【要約】
【課題】浸漬工程を複数回実行する必要性を低減又は無くしつつ、局所的に薄くなりやすい箇所において絶縁被覆の必要な厚みを確保可能とする。
【解決手段】ステータコアにステータコイルを形成する複数のコイル片を装着してワークを形成する装着工程と、装着工程の後に、ワークにおける軸方向一端側において、一のコイル片と他の一のコイル片のそれぞれの先端部同士を接合する接合工程と、接合工程の後に、接合された先端部における付着対象部位に、第1液状樹脂材料を付着させる付着工程と、付着工程の後に、又は、付着工程の前に、ワークにおける付着対象部を含む含浸対象部位を、第2液状樹脂材料の槽に漬ける浸漬工程と、含浸対象部位の第1液状樹脂材料及び第2液状樹脂材料を硬化させる硬化工程と、を含む、回転電機用ステータ製造方法が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアにステータコイルを形成する複数のコイル片を装着してワークを形成する装着工程と、
前記装着工程の後に、前記ワークにおける軸方向一端側において、一の前記コイル片と他の一の前記コイル片のそれぞれの先端部同士を接合する接合工程と、
前記接合工程の後に、接合された前記先端部における付着対象部位に、第1液状樹脂材料を付着させる付着工程と、
前記付着工程の後に、又は、前記付着工程の前に、前記ワークにおける前記付着対象部位を含む含浸対象部位を、第2液状樹脂材料の槽に漬ける浸漬工程と、
前記含浸対象部位の前記第1液状樹脂材料及び前記第2液状樹脂材料を硬化させる硬化工程と、を含む、回転電機用ステータ製造方法。
【請求項2】
前記浸漬工程は、前記付着工程の後に実行され、
前記浸漬工程の前に、前記付着工程により前記付着対象部位に付着させた前記第1液状樹脂材料を初期硬化させる初期硬化工程を更に含む、請求項1に記載の回転電機用ステータ製造方法。
【請求項3】
前記第1液状樹脂材料は、紫外線の照射により硬化する特性を有し、
前記初期硬化工程は、前記付着工程により前記付着対象部位に付着させた前記第1液状樹脂材料に紫外線を照射する態様で、前記付着工程と並列に実行される、請求項2に記載の回転電機用ステータ製造方法。
【請求項4】
前記コイル片は、断面矩形の平角線であり、
前記付着対象部位は、前記コイル片における軸方向外側を向く部位とともに角部を形成する側面部位の少なくとも一部を含み、前記側面部位は、前記ステータコアの軸方向に対して交差する方向を向く、請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の回転電機用ステータ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電機用ステータ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータコアにステータコイルを形成する複数のコイル片を装着した回転電機用のワークを準備し、ワークにおける軸方向一端側において複数のコイル片の先端部同士を接合し、当該接合部(導体露出部)を含む対象部位に液状樹脂材料を塗布した後、液状樹脂材料を硬化させることで、接合部を樹脂材料の絶縁被覆により覆う回転電機用ステータ製造方法が知られている。この種の製造方法において、対象部位に塗布した液状樹脂材料に紫外線を照射して照射部を硬化させてから、加熱により液状樹脂材料を完全に硬化させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液状樹脂材料の槽に対象部位を漬けることで対象部位に液状樹脂材料を付与する浸漬塗布方法では、対象部位全体に液状樹脂材料を効率的に付与できる反面、対象部位の一部の絶縁被覆が、濡れ性等の影響で局所的に薄くなりやすいという問題点がある。これに対して、一のワークに対して浸漬塗布方法による浸漬工程を複数回実行すれば、かかる問題点が解消するものの、異なる新たな問題が生じる。すなわち、1回目の浸漬塗布により付与される絶縁被覆部と2回目浸漬塗布により付与される絶縁被覆部との間のボイドの発生や、絶縁被覆の局所的な厚肉部の発生等の問題が生じる。
【0005】
そこで、1つの側面では、本開示は、浸漬工程を複数回実行する必要性を低減又は無くしつつ、局所的に薄くなりやすい箇所において絶縁被覆の必要な厚みを確保可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、ステータコアにステータコイルを形成する複数のコイル片を装着してワークを形成する装着工程と、
前記装着工程の後に、前記ワークにおける軸方向一端側において、一の前記コイル片と他の一の前記コイル片のそれぞれの先端部同士を接合する接合工程と、
前記接合工程の後に、接合された前記先端部における付着対象部位に、第1液状樹脂材料を付着させる付着工程と、
前記付着工程の後に、又は、前記付着工程の前に、前記ワークにおける前記付着対象部位を含む含浸対象部位を、第2液状樹脂材料の槽に漬ける浸漬工程と、
前記含浸対象部位の前記第1液状樹脂材料及び前記第2液状樹脂材料を硬化させる硬化工程と、を含む、回転電機用ステータ製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本開示によれば、浸漬工程を複数回実行する必要性を低減又は無くしつつ、局所的に薄くなりやすい箇所において絶縁被覆の必要な厚みを確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】回転電機用ステータ製造方法の一例を示す概略的なフローチャートである。
【
図2】回転電機用ステータを形成するためのワークの全体を模式的に示す図である。
【
図3】ステータコアにコイル片が組み付けられた状態のワークの軸方向に沿った断面図である。
【
図6】接合部の説明図であり、
図2のQ1部の拡大図に対応する。
【
図6A】他の形態の接合部の説明図であり、
図2のQ1部の拡大図に対応する。
【
図6B】他の形態の接合部の説明図であり、
図2のQ1部の拡大図に対応する。
【
図6C】他の形態の接合部の説明図であり、
図2のQ1部の拡大図に対応する。
【
図7】先付け工程の概要の説明図として、先付け工程中のワークを上方から示す斜視図である。
【
図7A】先付け工程における滴下工程の説明図であり、滴下工程中のワークの一部を示す断面図である。
【
図8】直立姿勢の場合の先付け工程中のワークを上方から示す斜視図である。
【
図8A】先付け工程における滴下工程の説明図であり、滴下工程中のワークの一部を示す断面図である。
【
図9】先付け工程における樹脂硬化工程の説明図であり、樹脂硬化工程中のワークの一部を示す断面図である。
【
図10】先付け工程における周方向範囲の変化態様の説明図であり、8分割した周方向範囲とともにワークを上面視で模式的に示す図である。
【
図11】液状樹脂材料の槽に浸漬される前のワークを側面視で模式的に示す図である。
【
図12】液状樹脂材料の槽に浸漬された状態のワークを側面視で模式的に示す図である。
【
図12A】
図12のQ8部の拡大図であり、ワークの含浸対象部位の一部(接合部及びその周辺部)を拡大して模式的に示す図である。
【
図13】液切り回転工程中の位置から更に上方へ引き上げたワークの状態を側面視で模式的に示す図である。
【
図14】再付着回転工程を受ける斜め下向き姿勢のワークの状態を側面視で模式的に示す図である。
【
図15】樹脂硬化処理が実行されている状態のワークを側面視で模式的に示す図である。
【
図16】加熱工程でのワークの状態を側面視で模式的に示す図である。
【
図17】本実施例による製造方法により製造される液状樹脂材料の絶縁被覆の説明図である。
【
図18】比較例による製造方法により製造される液状樹脂材料の絶縁被覆の説明図である。
【
図19】先付け対象部位のその他の例の説明図である。
【
図20】本実施例による製造方法(浸漬工程は1回)により形成した絶縁被覆の断面写真の図である。
【
図21】比較例(先付け工程を有さない構成)により2回の浸漬工程を経て形成した絶縁被覆の断面写真の図である。
【
図22】冷却構造の一例を模式的に示す図であり、回転電機の断面構造の一部を概略的に示す図である。
【
図23】後処理工程(ステップS220)に係る上面樹脂硬化工程に後続して実行されてもよい滴下工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率はあくまでも一例であり、これに限定されるものではなく、また、図面内の形状等は、説明の都合上、部分的に誇張している場合がある。
【0010】
以下で説明する回転電機用ステータ製造方法は、コイルエンド部においてコイル片の接合部を有する限り任意の回転電機用ステータに適用可能である。以下では、好適な適用例として、車両の推進力を発生する動力源として機能できる回転電機用ステータ製造方法について説明する。
【0011】
図1は、回転電機用ステータ製造方法の一例を示す概略的なフローチャートである。なお、
図1は、概略的な流れを示すフローチャートであり、更なる追加の工程を任意の段階で含んでもよい。
図2から
図6Cは、ワークWの説明図である。
図2は、回転電機用ステータ10を形成するためのステータコア112及びステータコイル114を備えるワークWの全体を模式的に示す図である。
図3は、ステータコア112にコイル片52が組み付けられた状態のワークWの軸方向に沿った断面図である。
図4は、複数のコイル片52のうちの、一のコイル片52の正面図である。
図5は、コイル片52の概略的な断面図である。
図6は、接合部400の説明図であり、
図6Aから
図6Cは、接合部400及びそのバリエーションの説明図であり、それぞれ、
図2のQ1部の説明図である。
図7から
図16は、本製造方法の説明図であり、
図7は、先付け工程の概要の説明図として、先付け工程中のワークWを上方から示す斜視図である。
図7Aは、先付け工程における滴下工程の説明図であり、滴下工程中のワークWの一部を示す断面図である。
図8は、直立姿勢の場合の先付け工程中のワークWを上方から示す斜視図である。
図8Aは、先付け工程における滴下工程の説明図であり、滴下工程中のワークの一部を示す断面図である。
図9は、先付け工程における樹脂硬化工程の説明図であり、樹脂硬化工程中のワークWの一部を示す断面図である。なお、
図8A及び
図9は、ワークWの中心軸Iを通る断面図である。なお、
図8A及び
図9では、説明の都合上、ステータコイル114のコイルエンド部114Aのうちの軸方向端部だけ省略せずに概略的に図示されている。
図10は、先付け工程における周方向範囲の変化態様の説明図であり、8分割した周方向範囲とともにワークWを上面視で模式的に示す図である。
図11は、液状樹脂材料M0の槽600に浸漬される前のワークWを側面視で模式的に示す図である。
図12は、液状樹脂材料M0の槽600に浸漬された状態のワークWを側面視で模式的に示す図である。
図12Aは、
図12のQ8部の拡大図であり、ワークWの含浸対象部位の一部(接合部400及びその周辺部)を拡大して模式的に示す図である。
図13は、液切り回転工程中の位置から更に上方へ引き上げたワークWの状態を側面視で模式的に示す図である。
図14は、再付着回転工程を受ける斜め下向き姿勢のワークWの状態を側面視で模式的に示す図である。
図15は、樹脂硬化処理が実行されている状態のワークWを側面視で模式的に示す図である。
図16は、加熱工程でのワークWの状態を側面視で模式的に示す図である。
【0012】
図2等には、Z方向が示されている。Z方向は、上下方向に対応し、Z1側及びZ2側は、それぞれ、上側と下側に対応する。また、
図3等には、Y方向が示されている。Y方向は、径方向に対応し、Y1側が径方向外側に対応し、Y2側が径方向内側(ステータコア112の中心軸Iに近い側)を表す。
【0013】
以下の説明において、特に言及しない限り、軸方向とは、ステータコア112の中心軸I(=ワークWの中心軸)が延在する方向を指し、径方向とは、中心軸Iを中心とした径方向を指す。従って、径方向外側とは、中心軸Iから離れる側を指し、径方向内側とは、中心軸Iに近い側を指す。また、軸方向外側とは、ステータコア112の軸方向の中心から離れる側を指し、軸方向内側とは、ステータコア112の軸方向の中心に近い側を指す。また、周方向とは、中心軸Iまわりの回転方向に対応する。
【0014】
本製造方法は、まず、ステータコア112にステータコイル114を形成する複数のコイル片52を装着して組立体(以下、「ワークW」とも称する)を形成する装着工程(ステップS200)を含む。
【0015】
ここで、ステータコイル114は、U相コイル、V相コイル、及びW相コイル(以下、U、V、Wを区別しない場合は「相コイル」と称する)を含む。各相コイルの基端は、入力端子(図示せず)に接続されており、各相コイルの末端は、他の相コイルの末端に接続されて中性点を形成する。すなわち、ステータコイル114は、スター結線される。ただし、ステータコイル114の結線態様は、必要とするモータ特性等に応じて、適宜、変更してもよく、例えば、ステータコイル114は、スター結線に代えて、デルタ結線されてもよい。
【0016】
ステータコイル114の各相コイルは、複数のコイル片52を結合して構成される。コイル片52は、相コイルを、組み付けやすい単位(例えば2つのスロット23に挿入される単位)で分割したセグメントコイル(セグメント導体)の形態である。コイル片52は、
図5に示すように、断面略矩形の線状導体(平角線)120を、絶縁膜130で被覆してなる。ここでは、線状導体120は、一例として、銅により形成される。ただし、変形例では、線状導体120は、鉄のような他の導体材料により形成されてもよい。また、線状導体120の断面形状は、矩形以外であってもよい。
【0017】
図4に示す例では、一のコイル片52は、一対の直線状のスロット収容部50と、当該一対のスロット収容部50を連結する渡り部54と、を有した略U字状に成形されてよい。軸方向の他方側(
図4の上側)の渡り部54は、
図4に示す状態から、周方向に成形することで形成されてよい。軸方向の他方側(
図4の上側)の渡り部54の端部には、他のコイル片52の渡り部54の接合用先端部40と結合される接合用先端部40が設定される。なお、接合用先端部40は、絶縁膜130が除去された部位(すなわち線状導体120が露出した部位)である。
【0018】
コイル片52をステータコア112に組み付ける際、一対のスロット収容部50は、それぞれ、ティース22間のスロット23に挿入される(
図3参照)。この場合、コイル片52は、例えば軸方向に組み付けることができる。
【0019】
一のスロット23には、
図4に示すコイル片52のスロット収容部50が複数、径方向に並んで挿入される。従って、ステータコア112の軸方向の両端には、周方向に延びる渡り部54が複数、径方向に並ぶ。なお、渡り部54(及びその一部である接合用先端部40)は、ステータコア112の軸方向端面から軸方向外側に突出する部位であるコイルエンド部114Aを形成する。
【0020】
なお、コイル片52は、例えば、重ね巻の形態でステータコア112に巻装されてよい。
図4に示す例では、下側の渡り部54は、径方向に1層分だけ互いに離間する方向にオフセットするオフセット部521Bを有してよい。上側の渡り部54も、同様のオフセット部521A(
図3参照)を有してよい。
【0021】
なお、
図2~
図5では、特定の構造のステータコア112及びステータコイル114が示されるが、ステータコア112及びステータコイル114の構造は、ステータコイル114が接合用先端部40を有する限り、任意である。また、ステータコイル114の巻き方も任意であり、波巻の形態等のような、上述したような重ね巻の形態以外の巻き方であってもよい。
【0022】
ついで、本製造方法は、ワークWにおける軸方向一端側において、一のコイル片52と他の一のコイル片52のそれぞれの先端部である接合用先端部40同士を接合する接合工程(ステップS202)を含む。接合用先端部40同士は、重ね合わせられ、互いに対向する側が接合されてよい。接合用先端部40同士の接合方法は、任意であるが、例えば溶接が利用されてもよい。この場合、溶接は、レーザ溶接やTIG溶接のような任意の方法で実現されてよい。
図6Aから
図6Cには、径方向に重ねられた2つの接合用先端部40に形成された溶接箇所401(接合箇所)を含む接合部400が模式的に示されている。
【0023】
例えば、複数のコイル片52が、ステータコア112の各スロット23に4つ以上、径方向に重なる態様で装着されている場合、接合工程は、径方向で隣接する2つの接合用先端部40(先端部)同士を一の組として、径方向で複数組を接合してよい。
【0024】
なお、接合用先端部40同士の接合範囲や、接合する際の接合用先端部40同士の姿勢(重ね合わせる際の姿勢)等は、任意である。例えば、
図6に示すように、斜め方向の姿勢で接合用先端部40同士だけが径方向に重ね合わせられてもよい。
図6に示す例では、接合用先端部40は、径方向に視て、先端に向かうにつれて先細る円弧状の外形部分402を有する。この場合、接合工程は、コイル片52の接合用先端部40同士における円弧状の外形部分402同士の径方向の当接面に対して溶接用の熱(例えばレーザー照射による熱)を付与することで実現されてよい。この場合、リード側のコイルエンド部114Aの軸方向の体格を低減できる。あるいは、接合用先端部40同士は、
図6Aに示すように、上下方向に直立して径方向に重ね合わせられてもよいし、
図6Bに示すように、径方向に視てX字状に交差する態様で重ね合わせられてもよいし、
図6Cに示すように、周方向に延在する部分のうちの接合用先端部40同士だけが径方向に重ね合わせられてもよい。また、図示しないが、接合用先端部40同士は、径方向に延在する姿勢で、軸方向に重ね合わせられてもよい。
【0025】
接合工程では、コイル片52同士の接合だけでなく、コイル片52とバスバーや端子台(図示しないインバータとの接続用の出力バスバー)との間の接合が実現されてもよい。例えば、かかるバスバーは、上述した中性点を形成するバスバーを含んでよい。
【0026】
本実施例では、一例として、ステータコア112の軸方向一方側だけに接合部400を有する。以下では、区別のため、ステータコア112の軸方向両側(又はワークWの軸方向両側)のうちの、接合部400を有する側を、リード側とも称する。なお、変形例では、ステータコア112の軸方向両側に接合部400が設定されてもよい。以下の説明では、適宜、
図6から
図6C等を参照して上述したいくつかの種類の接合部400のうちの、特定の接合部400を図示して説明する場合があるが、本実施例が適用可能な接合部400の種類は任意である。
【0027】
ついで、本製造方法は、ワークWを先付け工程用の開始位置(ワーク搬入位置)にセットする(ステップS204)。この際、ワークWは、リード側が上側になる姿勢(すなわち接合部400が上側になる姿勢)でセットされてよい。以下、このようにリード側が上側になる姿勢を、「ワークWの上向き姿勢」とも称する。また、リード側が下側になる姿勢を、「ワークWの下向き姿勢」とも称する。
【0028】
ついで、本製造方法は、ワークWの特定部位である先付け対象部位(付着対象部位の一例)に液状樹脂材料M0を付着させ、かつ、先付け対象部位に付着させた液状樹脂材料M0を部分的に硬化させる先付け工程(ステップS206からステップS216)を含む。
【0029】
本実施例では、液状樹脂材料M0は、好ましい例として、加熱により硬化する特性とともに、紫外線を照射すると重合反応により硬化する特性を有する樹脂材料である。これにより、後述する滴下工程と並列的に液状樹脂材料M0を紫外線照射により硬化させることができる。
【0030】
ワークWの先付け対象部位は、ワークWのうちの複数のコイル片52の部位に設定される。先付け対象部位は、後述する浸漬工程において液状樹脂材料M0の厚みが薄くなりやすい部位を含む。また、先付け対象部位は、後述する浸漬工程(後出のステップS218)において液状樹脂材料M0の槽600に浸漬される部位(含浸対象部位)の一部を形成する。
【0031】
本実施例による先付け工程(ステップS206からステップS216)は、ワークWの先付け対象部位に液状樹脂材料M0を滴下して付着させる滴下工程(付着工程の一例)と、先付け対象部位の液状樹脂材料M0を硬化させる樹脂硬化工程(初期硬化工程の一例)とを含み、かつ、一のワークWに対して滴下工程が実行される時間(期間)と、同ワークWに対して樹脂硬化工程が実行される時間(期間)とは、オーバラップする(後出のステップS210)。なお、この場合のオーバラップとは、部分的なオーバラップや完全なオーバラップのいずれの態様をも含む。
【0032】
具体的には、本製造方法は、先付け工程において、まず、ワークWの先付け対象部位に液状樹脂材料M0を滴下する滴下工程(ステップS206)を含む。ステップS206での滴下工程は、ワークWに対して液状樹脂材料M0を滴下し始める際の初期の工程であるので、後述するステップS210の工程とは異なり、樹脂硬化工程と同時に実行されなくてよい。滴下工程は、任意の態様で実現されてよい。
【0033】
本実施例では、先付け対象部位は、接合用先端部40における接合部エッジ122に対応付けて設定されてもよい。これは、接合部エッジ122は濡れ性(線状導体120の角部の濡れ性)が低いことから、後述する浸漬工程(後出のステップS218)によって付与される液状樹脂材料M0の厚みが薄くなりやすいためである。
【0034】
先付け対象部位は、接合用先端部40におけるすべての接合部エッジ122に対応付けて設定されてもよいが、本実施例では、接合用先端部40におけるすべての接合部エッジ122のうちの、特定の接合部エッジ122に対応付けて設定される。
【0035】
具体的には、本実施例では、特定の接合用先端部40は、径方向最も内側又は外側に周方向で周期的に配置される接合部400を形成する。そして、先付け対象部位は、特定の接合用先端部40における軸方向外側かつ径方向内側又は径方向外側を向く接合部エッジ122に対応付けて設定される。
【0036】
より具体的には、径方向最も内側に周方向で周期的に配置される接合部400を形成する特定の接合用先端部40を、以下、「最内径側の特定の接合用先端部40」とも称する。最内径側の特定の接合用先端部40に対しては、先付け対象部位は、当該最内径側の特定の接合用先端部40における軸方向外側かつ径方向内側を向く接合部エッジ122(以下、「最内径側の接合部エッジ122」とも称する)に対応付けて設定される。この場合、先付け対象部位は、最内径側の接合部エッジ122を含む部位又はその近傍の側面部位440であってよい。なお、接合部エッジ122を含む部位とは、接合部エッジ122に係る角部を含み、当該角部は、軸方向外側を向く部位と側面部位440とからなる。
【0037】
また、径方向最も外側に周方向で周期的に配置される接合部400を形成する特定の接合用先端部40を、以下、「最外径側の特定の接合用先端部40」とも称する。最外径側の特定の接合用先端部40に対しては、先付け対象部位は、当該最外径側の特定の接合用先端部40における軸方向外側かつ径方向外側を向く接合部エッジ122(以下、「最外径側の接合部エッジ122」とも称する)に対応付けて設定される。この場合、先付け対象部位は、最外径側の接合部エッジ122を含む部位又はその近傍の側面部位440であってよい。なお、接合部エッジ122を含む部位とは、接合部エッジ122に係る角部を含み、当該角部は、軸方向外側を向く部位と側面部位440とからなる。
【0038】
なお、接合用先端部40を形成する接合部エッジ122のうちの、最内径側の接合部エッジ122及び最外径側の接合部エッジ122以外は、径方向に隣り合う他の部位(コイル片52の部位)の存在に起因して、後述する浸漬工程において液状樹脂材料M0の厚みが比較的大きくなりやすい。
【0039】
図7には、斜めの姿勢のワークWに対して滴下工程(ステップS206)が実行されている状態が示されている。なお、滴下工程等を実現するための製造装置は、例えばワークWを掴むハンドを有する多関節ロボットであってよく、製造装置の一部のワーク把持部1000が
図7等に示されている。
図7には、最外径側の接合部エッジ122に係る先付け対象部位と、最内径側の接合部エッジ122に係る先付け対象部位のそれぞれに対して、紫外線照射装置900及びノズル920が配置されている。
図7Aは、
図7のQ7部に対応する拡大図である。
【0040】
図7Aに示す例では、
図7に示したノズル920から液状樹脂材料M0が滴下されている(矢印R8参照)。なお、ノズル920には、図示しない液状樹脂材料M0の供給源が接続されている。
図7に示す例では、2本のノズル920がそれぞれの先付け対象部位に対応付けて、その上方に配置されている。この場合、
図7の上側のノズル920は、最外径側の接合部エッジ122を含む部位を、先付け対象部位(以下、区別する際は、「外径側の先付け対象部位」とも称する)として対応付けられている。また、
図7の下側のノズル920は、最内径側の接合部エッジ122を、先付け対象部位(以下、区別する際は、「内径側の先付け対象部位」とも称する)として対応付けられている。
図7に示すように斜めの姿勢のワークWに対して滴下工程(ステップS206)を実行する場合、接合部エッジ122に向けて当該先付け対象部位に精度良く液状樹脂材料M0を滴下することが容易となる。
【0041】
ただし、滴下工程(ステップS206)を行う際のワークWの姿勢は、斜めの姿勢以外であってもよい。例えば、
図8に示す例では、中心軸Iが上下方向に平行となる直立姿勢のワークWに対して滴下工程(ステップS206)が実行されている。なお、
図8に示す例では、ノズル920は、1本であるが、ノズル920は、径方向に沿って及び/又は周方向に沿って、複数本配置されてもよい。これは、
図7に示す例の場合も同様である。
【0042】
本実施例では、ノズル920がワークWに対して位置付けられる周方向範囲は、ワークWの円環状の先付け対象部位に対応した360度の全周範囲ではなく、一部の周方向範囲である。以下では、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの、ある時点でノズル920から滴下される液状樹脂材料M0が含浸される周方向範囲を、その時点での「滴下範囲」とも称する。また、以下では、ある時点での滴下範囲(周方向範囲)は、角度β(以下、「滴下範囲角度β」とも称する)であるとする。滴下範囲角度βは、360度よりも有意に小さい任意の角度であり、例えば、45度等であってよい。
【0043】
ついで、本製造方法は、ワークWを中心軸Iまわりに一定の角度γ(以下、「ワーク回転角度γ」とも称する)だけ回転させる回転工程(ステップS208)を含む。
【0044】
本実施例では、一例として、回転工程は、
図7及び
図8に矢印R7で模式的に示すように、ワークWを上面視で反時計回りに回転させる。なお、変形例では、ワークWをワーク回転角度γだけ上面視で一方向(反時計回り又は時計回り)に回転させることに代えて、ノズル920(及び後述の紫外線照射装置900)をワークWに対して上面視で逆方向にワーク回転角度γだけ回転させることとしてもよい。ワーク回転角度γは、滴下範囲角度βと同じであってもよいし、滴下範囲角度βよりもわずかに小さくてもよい。なお、ワークWを回転させる設備側の装置は、任意であり、例えば
図7に模式的に示すような多関節ロボットが利用されてもよいし、
図8に模式的に示すような回転テーブル940が利用されてもよい。
【0045】
このようにしてワークWが回転されると、ノズル920の下方には、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの、ステップS206で液状樹脂材料M0が滴下された周方向範囲の部分とは異なる周方向範囲の部分が位置することになる。すなわち、ノズル920の下方には、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの、ワーク回転角度γだけ周方向範囲がずれた部分が位置する。
【0046】
ついで、本製造方法は、滴下工程と樹脂硬化工程とを同時に実行する工程(ステップS210)を含む。
図7及び
図8には、滴下工程と樹脂硬化工程とが同時(並列的)に実行されているときのワークWの状態が模式的に示されている。
図7及び
図8において、滴下工程によりワークWの先付け対象部位に含浸された液状樹脂材料M0がハッチング領域M1により模式的に示されている。また、
図7及び
図8には、ワークWの回転方向が矢印R7で模式的に示されている。
【0047】
本実施例では、樹脂硬化工程は、ワークWの先付け対象部位に紫外線を照射することを含む。
図7及び
図8に示す例では、紫外線照射装置900は、ワークWの先付け対象部位上の液状樹脂材料M0に対して紫外線を照射している。これにより、ワークWの先付け対象部位に滴下した液状樹脂材料M0のうちの、表面側の部分が硬化される。
図7及び
図8に示す例では、紫外線照射装置900は、一の先付け対象部位に対して1つであるが、紫外線照射装置900は、一の先付け対象部位(例えば外径側の先付け対象部位)に対して、径方向に沿って及び/又は周方向に沿って、複数本配置されてもよい。なお、
図7には、ワークWの内径側の先付け対象部位を照射する紫外線照射装置900Aと、ワークWの外径側の先付け対象部位を照射する紫外線照射装置900Bが模式的に示されている。また、紫外線照射装置900は、紫外線照射装置900A、900Bのような位置への移動が可能(可動)とされてもよい。
【0048】
本実施例では、紫外線照射装置900がワークWに対して位置付けられる周方向範囲は、ノズル920がワークWに対して位置付けられる周方向範囲と同様に、ワークWの360度の全周範囲ではなく、一部の周方向範囲である。以下では、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの、ある時点で紫外線照射装置900からの紫外線が照射される実効的な周方向範囲を、その時点での「照射範囲」とも称する。また、以下では、ある時点での照射範囲(周方向範囲)は、角度η(以下、「照射範囲角度η」とも称する)であるとする。照射範囲角度ηは、360度よりも有意に小さい任意の角度である。照射範囲角度ηは、好ましくは、上述した滴下範囲角度βと略同じである。
【0049】
ある時点での照射範囲は、好ましくは、同時点での滴下範囲と周方向で隣接する。この場合、後述するように、ある時点で滴下された液状樹脂材料M0に対して、当該時点から比較的短い経過時間内に樹脂硬化工程(紫外線の照射)を行うことができる。なお、照射範囲の境界が不明確となりうるため、例えば、ある時点での照射範囲は、同時点での滴下範囲に対して、周方向で部分的に重複する態様で、隣接してもよい。
【0050】
例えば、
図10に示す例で、ある時点での滴下範囲が周方向範囲SC1であるとき、同時点での照射範囲は、周方向範囲SC8であってよい。ただし、同時点での照射範囲は、周方向範囲SC8よりもわずかに周方向範囲SC1の周方向端部(周方向範囲SC8側の端部)を含んでもよい。
【0051】
ついで、本製造方法は、再び、ワークWを中心軸Iまわりにワーク回転角度γだけ回転させる回転工程(ステップS212)を含む。なお、ステップS212での回転工程に係る回転方向は、上述したステップS208での回転工程に係る回転方向と同じである。
【0052】
ついで、本製造方法は、ワークWの先付け対象部位の360度の全周範囲に対して液状樹脂材料M0が滴下されたか否かを判定する判定工程(ステップS214)を含む。ここでは、説明の都合上、ワーク回転角度γ、滴下範囲角度β、及び照射範囲角度ηは、すべて45度であるとする。この場合、
図10に模式的に示すように、滴下範囲角度β(及び照射範囲角度η)は、8分割された周方向範囲のそれぞれをカバーできる。従って、この場合、本判定工程は、一のワークWに対して7回だけ、ワーク回転角度γの回転工程を実行したか否かを判定してもよい。ワークWの先付け対象部位の360度の全周範囲に対して液状樹脂材料M0が滴下された場合は、次工程(ステップS216)へと進む。他方、ワークWの先付け対象部位の360度の全周範囲に対して液状樹脂材料M0が滴下されていない場合は、ワークWの先付け対象部位の360度の全周範囲に対して液状樹脂材料M0が滴下されるまで、ステップS210からの工程が繰り返される。
【0053】
ついで、本製造方法は、ワークWの先付け対象部位のうちの、最後に液状樹脂材料M0が滴下された周方向範囲(滴下範囲)に対する樹脂硬化工程(ステップS216)を含む。樹脂硬化工程は、上述したステップS210における樹脂硬化工程(紫外線照射)と同じである。なお、ステップS216での樹脂硬化工程は、当該ワークWに対して液状樹脂材料M0の滴下工程が終了した後の工程であるので、滴下工程とは同時に実行されない。
【0054】
このようにして、ワークWの円環状の先付け対象部位は、ワークWが回転しながら(
図7及び
図8の矢印R7参照)、全周にわたって液状樹脂材料M0が滴下されかつ紫外線が照射される。すなわち、滴下工程及び樹脂硬化工程は、周方向に沿って先付け対象部位の一部ずつ、それぞれ順に実行されていく。この際、樹脂硬化工程は、周方向に沿って先付け対象部位の一部ずつ、滴下工程が実行された順に、実行される。従って、一の滴下工程が実行された周方向範囲の部分に対する樹脂硬化工程は、当該一の滴下工程の次の滴下工程中に実行される。これにより、滴下工程及び樹脂硬化工程を効率的に実行できる。
【0055】
例えば、
図10に示す例で説明すると、まず、初回の滴下工程(ステップS206)が、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの周方向範囲SC1の部分に対して実行される。ついで、ワークWが
図10の方向視で反時計回りに45度回転してから(ステップS208)、滴下工程と樹脂硬化工程とが同時に実行される(ステップS210)。このとき、滴下工程は、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの周方向範囲SC2の部分に対して実行され、樹脂硬化工程は、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの周方向範囲SC1の部分に対して実行される。それぞれの周方向範囲の部分に対する滴下工程と樹脂硬化工程が終了すると、ワークWが
図10の方向視で反時計回りに45度回転してから(ステップS212)、滴下工程と樹脂硬化工程とが同時に再び実行される(ステップS210)。このとき、滴下工程は、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの周方向範囲SC3の部分に対して実行され、樹脂硬化工程は、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの周方向範囲SC2の部分に対して実行される。このようにしてステップS210及びステップS212の各工程が繰り返される。そして、終盤では、滴下工程は、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの周方向範囲SC8の部分に対して実行され、樹脂硬化工程は、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの周方向範囲SC7の部分に対して実行されることになる。その後、ワークWが
図10の方向視で反時計回りに45度回転してから(ステップS212)、ワークWの円環状の先付け対象部位のうちの周方向範囲SC8の部分に対して樹脂硬化工程が実行され(ステップS216)、当該ワークWに対する先付け工程が終了となる。
【0056】
このような本実施例による樹脂硬化工程によれば、ワークWの円環状の先付け対象部位の全周に対して滴下工程を実行した後に、ワークWの円環状の先付け対象部位の全周に対して樹脂硬化工程を行う場合(以下、「非同時型の樹脂硬化工程」とも称する)に比べて、CTの大幅な低減(例えば、約半分の低減)を図ることができる。すなわち、本実施例による樹脂硬化工程によれば、一のワークWに対して滴下工程が実行される時間(期間)と、同ワークWに対して樹脂硬化工程が実行される時間(期間)とがオーバラップするので、オーバラップしない構成に比べて、CTの大幅な低減を図ることができる。
【0057】
なお、本製造方法では、上述したように、ステップS208及びステップS212の回転工程によってワークWはワーク回転角度γごとに間欠的に回転されるが、これに限られない。例えばワークWを低速で連続的に回転させながら、滴下工程と樹脂硬化工程とが同時に実行されてもよい。
【0058】
また、非同時型の樹脂硬化工程では、樹脂硬化工程を行うまでの間に、液状樹脂材料M0が自重で垂れると(
図9の矢印R9、矢印R10参照)、絶縁被覆の必要な厚み(例えば絶縁性能を確保するための必要な厚さ)を確保できないおそれがある。特にコイル片52における平角断面の角部である接合部エッジ122は、濡れ性(線状導体120の角部の濡れ性)が低いことから、接合部エッジ122上の絶縁被覆(液状樹脂材料M0の硬化物)は、絶縁性能を確保するための必要な厚さよりも有意に小さくなりやすい。
【0059】
この点、滴下工程の直後に樹脂硬化工程を実行すれば、液状樹脂材料M0が自重で垂れる前に硬化されやすくなる。すなわち、
図9の矢印R9や矢印R10に示すような液状樹脂材料M0の垂れを防止できる。このようにして、本実施例による樹脂硬化工程によれば、上述したように、滴下工程の直後に樹脂硬化工程を実行するので、濡れ性が低いコイル片52の接合部エッジ122に対しても、絶縁被覆(液状樹脂材料M0の硬化物)の必要な厚みを確保することが可能となる。
【0060】
また、非同時型の樹脂硬化工程では、滴下工程を実行した後から樹脂硬化工程を行うまでの間に、液状樹脂材料M0が自重で垂れると(
図9の矢印R9、矢印R10参照)、コイルエンド部114Aの側面における露出範囲(樹脂部材で覆われない範囲)が不要に狭くなるおそれがある。コイルエンド部114Aの側面における露出範囲が不足すると、回転電機1の動作時にコイルエンド部114Aの側面に対して冷媒(例えば油)を供給した際の冷却効率が低下するおそれがある(
図22を参照して後述)。また、先付け対象部位の径方向の側面から液状樹脂材料M0が下方へと垂れると、ステータコア112の軸方向端面(上側の端面)に付着する可能性がある。この場合、ステータコア112に付着した液状樹脂材料M0はスクレーパ等で別途除去する必要がある。
【0061】
この点、本実施例による樹脂硬化工程によれば、上述したように、滴下工程の直後に樹脂硬化工程を実行するので、自重で垂れる液状樹脂材料M0に起因してコイルエンド部114Aの側面における露出範囲(樹脂部材で覆われない範囲)が不要に狭くなってしまう可能性を、効果的に低減できる。また、ステータコア112に液状樹脂材料M0が付着してしまう可能性を、効果的に低減できる。
【0062】
なお、変形例では、非同時型の樹脂硬化工程が実現されてもよい。この場合でも、後述する先付け工程に起因した効果を依然として得ることができる。
【0063】
ついで、本製造方法は、ワークWを、液状樹脂材料M0の槽600に浸漬する浸漬工程(ステップS218)を含む。
図11は、液状樹脂材料M0の槽600に浸漬される前のワークWを側面視で模式的に示す図であり、
図12は、液状樹脂材料M0の槽600に浸漬された状態のワークWを側面視で模式的に示す図である。
【0064】
浸漬工程は、ワークWが下向き姿勢を維持したまま、ワークWの軸方向端部(下向き姿勢で下側の端部)の含浸対象部位が液状樹脂材料M0に浸かるように(すなわち、液状樹脂材料M0の液面601よりも下方に位置するように)実行される。ワークWの含浸対象部位は、ワークWのうちの複数のコイル片52の部位に設定される。具体的には、ワークWの含浸対象部位は、複数のコイル片52のうちの、軸方向端部(リード側端部)であり、接合部400を含む。より具体的には、ワークWの含浸対象部位は、ワークWの各コイル片52のうちの、導体(線状導体120に係る導体部)が露出している部分(接合部400を含む部分)を含む。含浸対象部位は、軸方向に視て、中心軸Iまわりの環状の形態であり、コイルエンド部114Aの一部(軸方向端部側の一部)を含む。本実施例では、ワークWの含浸対象部位は、上述したワークWの先付け対象部位の全体を含む。ワークWの含浸対象部位は、上述したワークWの先付け対象部位を包含する態様で、先付け対象部位よりも広い範囲の部位であってよい。
【0065】
なお、含浸対象部位は、中性線バスバー59を含むように設定されてもよい。この場合、中性線バスバー59を液状樹脂材料M0で包み込むことで、中性線バスバー59の電気的な絶縁性を確保できる。すなわち、中性線バスバー59は、あらかじめ樹脂材料のような絶縁材料によりインサート成形等により絶縁被覆された形態である必要がなく、板金の形態(導体材料全体が露出した形態)であることができる。これにより、中性線バスバー59の電気的な絶縁性を効率的に確保できる。
【0066】
図12Aは、
図12のQ8部の拡大図であり、ワークWの含浸対象部位の一部(接合部400及びその周辺部)を拡大して模式的に示す図である。浸漬工程では、上述した滴下工程とは異なり、接合部400の上面420への比較的狭い流路(
図12Aの矢印R8参照)への液状樹脂材料M0の流入が促進される。従って、浸漬工程では、上述した滴下工程とは異なり、接合部400の上面420を適切に覆うことが可能となる。
【0067】
接合部400の上面420への比較的狭い流路への液状樹脂材料M0の流入が促進されるように、浸漬工程は、槽600内の液状樹脂材料M0の温度が、周囲温度よりも有意に高い状態で実行されてもよい。液状樹脂材料M0の粘度が比較的低い状態で浸漬工程を開始できるので、接合部400の上面420等へ液状樹脂材料M0を効率的に行き渡らせることが可能となる。
【0068】
ついで、本製造方法は、槽600からワークWを引き上げるとともに、槽600から引き上げたワークWに対して、後処理を行う後処理工程(ステップS220)を含む。
図13には、ワークWを引き上げた際のワークWの状態が模式的に示されている。
【0069】
本製造方法では、ワークWを引き上げた直後では、液状樹脂材料M0の自重による垂れ落ちが生じうる。
図13では、自重により垂れ落ちつつある液状樹脂材料M0が、符号M22で示されている。以下、ワークWの含浸対象部位に含浸されている液状樹脂材料M0のうちの、自重により垂れ落ちつつある液状樹脂材料M0を、垂下部M22とも称する。垂下部M22は、いわゆる“つらら(氷柱)”状の形態であり、液状樹脂材料M0の比較的高い粘度に起因して、すぐには落下しない傾向がある(すなわち“つらら”状の形態のまま、下に伸びていく傾向がある)。
【0070】
後処理は、任意であるが、好ましくは、ワークWの中心軸IまわりにワークWを回転させる回転工程を含む。以下、後処理の回転工程を、「再付着回転工程」とも称する。
図14には、再付着回転工程による回転が模式的に矢印R15で示されている。なお、
図14において、一点鎖線Hは、水平ラインを表す。
【0071】
再付着回転工程は、垂下部M22が通常部(垂下部M22以外の部分、すなわち液状樹脂材料M0が正常な状態である部分)に吸収されるように、ワークWを回転させることを含む。すなわち、再付着回転工程は、含浸対象部位における一の周方向位置から下方に垂れる液状樹脂材料M0(すなわち垂下部M22)が、含浸対象部位における他の周方向位置に付着するように、ワークWを回転させることを含む。
【0072】
再付着回転工程は、好ましくは、斜め下向き姿勢のワークWに対して実行される。斜め下向き姿勢の角度α(
図14参照)は、比較的小さいほうが望ましい。例えば、斜め下向き姿勢の角度α(
図14参照)は、好ましくは、45度よりも小さく、かつ、-20度よりも大きくてよい。
【0073】
後処理は、更に、ワークWの姿勢を上向き姿勢とする反転工程と、上向き姿勢のワークWに対して、含浸対象部位の上面に対して液状樹脂材料M0の樹脂硬化処理を行う上面樹脂硬化工程とを含んでよい。
【0074】
図15には、樹脂硬化処理が実行されている状態が模式的に示されている。
図15に示す例では、紫外線照射装置900は、ワークWの含浸対象部位の上面に対して紫外線を照射している(矢印R13参照)。これにより、ワークWの含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0のうちの、上側部分(主に上側の表面部分)が硬化される。
【0075】
紫外線照射装置900は、好ましくは、ワークWの含浸対象部位の上面に対して、全周にわたって紫外線を照射する。これにより、含浸対象部位の全周にわたって、上側部分の液状樹脂材料M0を硬化させることができる。この場合、ワークWが中心軸Iまわりに回転されてもよいし、紫外線照射装置900が回転されてもよい。あるいは、紫外線照射装置900がワークWの上側に円周状に複数個分散して配置されてもよい。
【0076】
紫外線照射装置900は、好ましくは、多様な方向からの照射が可能なように、
図15に示すように、複数設けられる。この場合、ワークWの含浸対象部位における上側部分の液状樹脂材料M0を効率的に硬化させることができる。
【0077】
このようにして、本製造方法によれば、ワークWは、上向き姿勢で、含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0の上側部分(軸方向端部)が硬化される。従って、槽600から引き上げたワークWに対して下向き姿勢のまま樹脂硬化処理が実行された場合に生じうる不都合を低減できる。具体的には、槽600から引き上げたワークWに対して下向き姿勢のまま含浸対象部位の下面に対して樹脂硬化処理が実行されると、ワークWの含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0が、自重により、下方へと垂れつつ、硬化されるおそれがある。この場合、硬化しつつある液状樹脂材料M0が槽600に戻り、槽600内の液状樹脂材料M0の流動性に影響を与えるおそれがある。これに対して、本製造方法によれば、上述したように上向き姿勢で樹脂硬化処理が実行されるので、かかる不都合を低減できる。
【0078】
なお、樹脂硬化処理は、
図15に模式的に示すように、紫外線照射装置900は、主に、ワークWの含浸対象部位の上面を照射しているが、これに代えて又は加えて、径方向内側及び/又は径方向外側の側面を照射してもよい。これにより、ワークWの含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0のうちの、径方向内側及び/又は径方向外側の部分(主に表面部分)が硬化されるので、コイルエンド部114Aの側面における露出範囲(樹脂部材で覆われない範囲)が不要に狭くなってしまう可能性を、更に効果的に低減できる。
【0079】
ついで、本製造方法は、ワークWの全体における液状樹脂材料M0が硬化するようにワークWを加熱する加熱工程(ステップS222)を含む。本加熱工程は、上述した樹脂硬化工程では硬化していない液状樹脂材料M0の部分(例えば表面よりも内側の部分)を完全に硬化させる機能を有する。加熱工程における加熱方法は、任意であり、例えば、炉内にワークWを配置することで実現されてもよい。ワークWの含浸対象部位を含む含浸部位に含浸された液状樹脂材料M0は、加熱されることで、完全に硬化される。これにより、ステータコイル114に液状樹脂材料M0の絶縁被覆が形成される。
【0080】
加熱工程におけるワークWの姿勢は、任意であるが、好ましくは、
図16に模式的に示すように、下向き姿勢である。なお、
図16には、複数のワークWが下向きの姿勢で並んで配置されつつ、加熱工程を受けている様子が模式的に示されている。なお、
図16では、製造装置の一部のワーク把持部1000が複数のワークWを挟持する様子が模式的に示されているが、ワークWは、ステータコア112の端面が台の上面(図示せず)に当接する態様で台に支持されてもよい。また、
図16では、一例として、ワークWに対して下側から熱が放射されているが(矢印R17参照)、熱の放射方向は任意である。
【0081】
次に、
図17から
図21を参照して、本実施例の効果について説明する。
【0082】
図17は、本実施例による製造方法により製造される液状樹脂材料M0の絶縁被覆の説明図であり、
図18は、比較例による製造方法により製造される液状樹脂材料M0の絶縁被覆の説明図であり、いずれも、ワークWの中心軸Iを通る断面図である。なお、
図17及び
図18では、説明の都合上、ステータコイル114のコイルエンド部114Aのうちの軸方向端部だけ省略せずに概略的に図示されている。また、
図17では、先付け工程により付与された液状樹脂材料M0がわかるように、浸漬工程によって付与される液状樹脂材料M0が、ハッチング領域M2で示されるとともに、先付け工程により付与された液状樹脂材料M0(ハッチング領域M1)がわかるように、ハッチング領域M2が透視で示されている。
【0083】
比較例は、本実施例による製造方法に対して、先付け工程が省略された点が異なる。このような比較例では、
図18に模式的に示すように、外径側及び内径側の接合部エッジ122においては、浸漬工程によって付与される液状樹脂材料M0の厚みが薄くなりやすい。これは、上述したように、かかる部位は濡れ性(線状導体120の角部の濡れ性)が低いためであり、また、径方向に隣り合う他の部位(コイル片52の部位)を有しないためである。このため、比較例では、例えば、浸漬工程を2回以上繰り返す必要性が高くなる。その結果、サイクルタイムの増加等が問題となる。
【0084】
これに対して、本実施例によれば、上述したように、先付け工程において、浸漬工程によって付与される液状樹脂材料M0の厚みが薄くなりやすい部位(すなわち先付け対象部位)に対して、液状樹脂材料M0が付与される。先付け工程により先付け対象部位に液状樹脂材料M0の薄膜が形成されると、液状樹脂材料M0に対する先付け対象部位の濡れ性を高めることができる。これにより、その後の浸漬工程の際には、先付け対象部位に対して液状樹脂材料M0が付着されやすくなる。その結果、1回目の浸漬工程によっても接合部エッジ122上の絶縁被覆(液状樹脂材料M0の硬化物)の厚みを効果的に増加できる。すなわち、一回の浸漬工程で比較的厚い膜厚を確保することが容易となり、浸漬工程の回数の低減(及びそれ伴うサイクルタイムの短縮)を図ることができる。例えば、浸漬工程の回数を1回だけに低減することも可能となりうる。
【0085】
このようにして、本実施例によれば、浸漬工程を複数回実行する必要性を低減又は無くしつつ、局所的に薄くなりやすい箇所において絶縁被覆の必要な厚みを確保可能とする。
【0086】
なお、上述した製造方法では、先付け対象部位は、接合部エッジ122を含む部位であるが、これに限らない。例えば、先付け対象部位は、
図19に示す液状樹脂材料M0で示すように、接合部エッジ122近傍の側面部位440であってもよい。具体的には、先付け対象部位は、最外径側の接合部エッジ122に連続する側面部位440(径方向外側を向く側面部位440)であってもよい。また、先付け対象部位は、最内径側の接合部エッジ122に連続する側面部位440(径方向内側を向く側面部位440)であってもよい。この場合、先付けされた液状樹脂材料M0が堰として機能し、その近傍の接合部エッジ122への液状樹脂材料M0の付着を促進できる。従って、この場合も、最外径側の接合部エッジ122や最内径側の接合部エッジ122において、液状樹脂材料M0の絶縁被覆の必要な厚みを確保できる。
【0087】
ここで、
図20及び
図21を参照して、本実施例による更なる効果を説明する。
【0088】
図20は、本実施例による製造方法(浸漬工程は1回)により形成した絶縁被覆200の断面写真の図であり、
図21は、上述した比較例(先付け工程を有さない構成)により2回の浸漬工程を経て形成した絶縁被覆200’の断面写真の図である。
【0089】
比較例では、1回目の浸漬工程(浸漬塗布)により付与される絶縁被覆部と2回目浸漬塗布により付与される絶縁被覆部との間のボイド220の発生や、絶縁被覆200’の局所的な厚肉部の発生(
図21の高さH3参照)の問題が生じる。例えば、
図21に示す例では、絶縁被覆200’は、径方向両側での高さH2に対して中央部の高さH3が有意に大きくなる。
【0090】
これに対して、本実施例によれば、このような比較例において生じる不都合を防止することが可能である。すなわち、本実施例によれば、上述したように、浸漬工程の回数を1回だけに低減することが可能であり、その場合、2回以上の浸漬工程を行うことに起因して生じる不都合(ボイド220や中央部の高さH3が過大となる問題)を解消できる。また、浸漬工程の回数の低減を図ることで、絶縁被覆200を形成するのに要する液状樹脂材料M0の量の低減を図ることもできる。
【0091】
次に、
図22を参照して、本製造方法により製造される回転電機用ステータ10を組み込む回転電機1に好適な冷却構造を説明する。
【0092】
図22は、冷却構造の一例を模式的に示す図であり、回転電機1の断面構造の一部を概略的に示す図である。
【0093】
図22に示す例では、ステータコイル114の軸方向両端のコイルエンド部114Aには、径方向外側及び径方向内側から油が供給される。具体的には、ケース2のケース内油路60に供給される油(矢印R20A参照)は、径方向内側に向けて貫通する油孔62を介して、コイルエンド部114Aの径方向外側の側面に供給される(矢印R20参照)。なお、油孔62は、重力による油の滴下が促進されるように、鉛直方向上側に配置されてよい。また、ロータシャフト112Aの軸心油路64に供給される油(矢印R21A参照)は、径方向外側に向けて貫通する油孔66を介して、コイルエンド部114Aの径方向内側の側面に供給される(矢印R21参照)。これにより、上述した油孔66からの油によるコイルエンド部114Aの冷却性能を効果的に高めることができる。
【0094】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0095】
例えば、上述した実施例では、滴下工程の後に浸漬工程を実行しているが、浸漬工程を、滴下工程よりも先に実行してもよい。この場合、滴下工程は、後処理工程(ステップS220)に係る上面樹脂硬化工程に後続して実行されてもよい。
図23には、後処理工程(ステップS220)に係る上面樹脂硬化工程に後続して実行される滴下工程の様子が模式的に示されている。この場合も、先付け対象部位に対してノズル920を位置付けることで、先付け対象部位に対して液状樹脂材料を付与できる。なお、この場合、先付け対象部位や先付け工程は、「後付け対象部位」や「後付け工程」と読み替えてよい。なお、このような後付け工程は、上述した先付け工程と同様の態様で実行されてもよい。この際、樹脂硬化工程(先付け工程における樹脂硬化工程に対応する樹脂硬化工程)は、加熱工程が後続することを考慮して、簡略化又は省略されてもよい。
【0096】
また、上述した実施例では、先付け工程においてワークWに付与される液状樹脂材料M0(第1液状樹脂材料の一例)と、浸漬工程においてワークWに付与される液状樹脂材料M0(第2液状樹脂材料の一例)とは、同じ材料であるが、異なる材料が利用されてもよいし、実質的に同じであるが温度などを異ならせることで特性(例えば粘度)が異なってもよい。例えば、先付け工程においてワークWに付与される液状樹脂材料M0は、浸漬工程においてワークWに付与される液状樹脂材料M0よりも、粘度が高くてもよい。
【0097】
また、上述した実施例において、ワークWは、先付け工程に先立って加熱されてもよい。すなわち、ワークWを加熱する予熱工程が、先付け工程に先立って実行されてもよい。あるいは、ワークWを加熱する予熱工程は、浸漬工程の前(例えばステップS216の樹脂硬化工程の後)に実行されてもよい。
【0098】
また、上述した実施例において、先付け工程における滴下工程に代えて、先付け工程における塗布工程等が実行されてもよい。すなわち、先付け対象部位に液状樹脂材料M0を付着させる方法は、滴下だけでなく、塗布等のような他の方法であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
40・・・結合部(先端部)、52・・・コイル片、112・・・ステータコア、114・・・ステータコイル、W・・・ワーク、M0・・・液状樹脂材料