(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142702
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電動シリンダ装置及びブレーキ液圧制御装置
(51)【国際特許分類】
B60T 13/138 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B60T13/138 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054971
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野田 真吾
【テーマコード(参考)】
3D048
【Fターム(参考)】
3D048BB29
3D048BB31
3D048BB45
3D048BB52
3D048BB53
3D048CC54
3D048DD01
3D048HH15
3D048HH18
3D048HH50
3D048NN03
3D048QQ07
(57)【要約】
【課題】一例として、ピストンと直動部材とが互いに離間してしまうことを抑制できる電動シリンダ装置を得る。
【解決手段】実施形態に係る電動シリンダ装置は、一例として、シリンダが設けられたハウジングと、前記シリンダの内部に配置されたピストンと、回転軸まわりに回転する回転部材と、前記回転部材の回転に応じて前記回転軸に沿う第1の方向又は前記第1の方向の反対の第2の方向に移動するよう前記回転部材に取り付けられ、前記第1の方向に移動することで前記シリンダの液室の容積を縮小させるように前記ピストンを押す、直動部材と、前記ピストンに設けられた第1の係合部と、前記直動部材に設けられ、前記第1の係合部に当接することで前記直動部材が前記ピストンから前記第2の方向に離間することを制限する、第2の係合部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダが設けられたハウジングと、
前記シリンダの内部に配置されたピストンと、
回転軸まわりに回転する回転部材と、
前記回転部材の回転に応じて前記回転軸に沿う第1の方向又は前記第1の方向の反対の第2の方向に移動するよう前記回転部材に取り付けられ、前記第1の方向に移動することで前記シリンダの液室の容積を縮小させるように前記ピストンを押す、直動部材と、
前記ピストンに設けられた第1の係合部と、
前記直動部材に設けられ、前記第1の係合部に当接することで前記直動部材が前記ピストンから前記第2の方向に離間することを制限する、第2の係合部と、
を具備する電動シリンダ装置。
【請求項2】
前記ピストンに、前記第2の方向に開放された凹部が設けられ、
前記直動部材に、前記凹部の内部に位置するとともに前記回転軸まわりに延びる溝が設けられ、
前記第2の係合部は、前記溝に嵌め込まれることで前記直動部材に取り付けられるCリングを有する、
請求項1の電動シリンダ装置。
【請求項3】
前記Cリングは、前記回転軸まわりの両端部と、前記回転軸まわりに前記両端部の間に設けられた中間部と、を有し、
前記回転軸と直交する径方向における前記両端部の外側の縁は、前記径方向における前記中間部の外側の縁よりも、前記回転軸に近い、
請求項2の電動シリンダ装置。
【請求項4】
前記ピストンと前記直動部材とは、前記回転軸と直交する方向に相対的に移動可能である、
請求項1の電動シリンダ装置。
【請求項5】
ホイールシリンダと、
前記液室の容積が縮小されることで前記ホイールシリンダの圧力を増大させることが可能である、請求項1乃至請求項4のいずれか一つの電動シリンダ装置と、
を具備するブレーキ液圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電動シリンダ装置及びブレーキ液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの出力軸の回転運動を直進運動に変換する回転直動変換機構と、当該回転直動変換機構によって前進させられるピストンと、を備える電動シリンダ装置が知られている。回転直動変換機構より前進させられるピストンは、液室の容積を縮小し、当該液室の圧力を増大させる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、回転直動変換機構のうち直動する直動部材と、ピストンとは、互いに結合されていない。このため、直動部材とピストンとが互いに離間してしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、ピストンと直動部材とが互いに離間してしまうことを抑制できる電動シリンダ装置及びブレーキ液圧制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る電動シリンダ装置は、一例として、シリンダが設けられたハウジングと、前記シリンダの内部に配置されたピストンと、回転軸まわりに回転する回転部材と、前記回転部材の回転に応じて前記回転軸に沿う第1の方向又は前記第1の方向の反対の第2の方向に移動するよう前記回転部材に取り付けられ、前記第1の方向に移動することで前記シリンダの液室の容積を縮小させるように前記ピストンを押す、直動部材と、前記ピストンに設けられた第1の係合部と、前記直動部材に設けられ、前記第1の係合部に当接することで前記直動部材が前記ピストンから前記第2の方向に離間することを制限する、第2の係合部と、を備える。よって、一例としては、第1の係合部及び第2の係合部は、例えば液室の圧力が低下したときに、負圧により引っ張られたピストンが直動部材から離間してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一つの実施形態に係るブレーキシステムに搭載された電動シリンダ装置を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、上記実施形態のピストン、Cリング、及び直動部材を示す断面図である。
【
図3】
図3は、上記実施形態のピストン、Cリング、及び直動部材を部分的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、上記実施形態のCリングを示す平面図である。
【
図5】
図5は、上記実施形態の組み立て前におけるピストン、Cリング、及び直動部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、一つの実施形態について、
図1乃至
図5を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、一つの実施形態に係るブレーキシステム10に搭載された電動シリンダ装置11を概略的に示す断面図である。ブレーキシステム10は、四輪自動車のような車両1に搭載される。なお、ブレーキシステム10は、この例に限られない。ブレーキシステム10は、ブレーキ液圧制御装置の一例である。
【0010】
ブレーキシステム10は、電動シリンダ装置11と、ホイールシリンダ12と、electronic control unit(ECU)13と、複数の液路14とを有する。ブレーキシステム10は、マスタシリンダ、ポンプ、及び電磁弁のような他の種々の部品をさらに有しても良い。
【0011】
電動シリンダ装置11は、液路14を介してホイールシリンダ12に接続される。電動シリンダ装置11は、ホイールシリンダ12におけるブレーキ液の圧力を増大させ、車両1の制動力を発生させることができる。
【0012】
電動シリンダ装置11は、ハウジング21と、ピストン22と、二つのシール23,24と、リザーバ25と、回転直動変換機構26と、モータ27と、減速機構28と、Cリング29とを有する。Cリング29は、第2の係合部の一例である。
【0013】
ハウジング21は、略円筒状に形成される。ハウジング21の内部に、シリンダ31が設けられる。シリンダ31は、中心軸Axに沿って延びる略円柱状の空間である。中心軸Axは、回転軸の一例である。中心軸Axは、例えば、シリンダ31の仮想的な中心軸である。なお、シリンダ31の中心軸は、中心軸Axと異なっていても良い。
【0014】
本明細書において、便宜上、軸方向、径方向、及び周方向が定義される。軸方向は、中心軸Axに沿う方向である。軸方向は、前方向Dfと、後方向Dbとを含む。前方向Dfは、第1の方向の一例である。後方向Dbは、前方向Dfの反対方向であり、第2の方向の一例である。なお、前方向Df及び後方向Dbは、車両1の前後方向とは異なって良い。径方向は、中心軸Axと直交する方向である。周方向は、中心軸Axまわりの方向である。
【0015】
ハウジング21に、出力ポート32と入力ポート33とがさらに設けられる。出力ポート32及び入力ポート33のそれぞれは、シリンダ31に連通する。軸方向において、出力ポート32は、入力ポート33から前方向Dfに離間している。
【0016】
ピストン22は、シリンダ31の内部に配置される。ピストン22は、シリンダ31の内部において軸方向に移動することができる。ピストン22は、シリンダ31の一部を、液室35として区画する。液室35は、軸方向において、ピストン22と、前方向Dfにおけるシリンダ31の端部31aと、の間に設けられる。
【0017】
出力ポート32は、液室35に連通する。液室35は、出力ポート32及び液路14を通じて、ホイールシリンダ12に接続される。ピストン22は、前方向Dfに移動することで、液室35の容積を縮小させ、液室35及びホイールシリンダ12におけるブレーキ液の圧力を増大させることができる。また、ピストン22は、後方向Dbに移動することで、液室35の容積を拡大させ、液室35及びホイールシリンダ12におけるブレーキ液の圧力を減少させることができる。
【0018】
径方向において、ハウジング21とピストン22との間に隙間が設けられる。当該隙間は、ピストン22をハウジング21に対して軸方向に移動可能にする。二つのシール23,24は、当該隙間を封止する。
【0019】
シール23は、シール24から前方向Dfに離間している。軸方向において、出力ポート32は、シール23から前方向Dfに離間した位置で液室35に連通している。軸方向において、入力ポート33は、二つのシール23,24の間でシリンダ31に連通している。シール23は、液室35と入力ポート33との間を封止する。
【0020】
リザーバ25は、液路14を通じて、入力ポート33に接続される。リザーバ25は、ブレーキ液を貯蔵するとともに、大気に開放されて大気圧に保たれる。ピストン22が所定の位置を越えて後方向Dbに移動すると、入力ポート33と液室35とが互いに連通する。これにより、液室35とリザーバ25との間でブレーキ液が自由に流れることが可能になるとともに、液室35の圧力が大気圧まで低下する。
【0021】
回転直動変換機構26は、シリンダ31の内部に配置される。回転直動変換機構26は、回転部材41と、直動部材42と、複数のボール43とを有する。本実施形態における回転直動変換機構26は、例えば、ボールネジである。このため、回転部材41はネジ軸とも称され得る。また、直動部材42は、ナットとも称され得る。なお、回転直動変換機構26は、この例に限られない。
【0022】
回転部材41は、中心軸Axに沿って延びる略円柱状に形成される。回転部材41は、外周面41aと雄ネジ41bとを有する。外周面41aは、中心軸Axに沿って延びる略円筒状の曲面であり、径方向の外側に向く。雄ネジ41bは、外周面41aに設けられる。
【0023】
直動部材42は、ナット部材45と、スペーサ46とを有する。なお、ナット部材45とスペーサ46とが一体に形成されても良い。ナット部材45は、中心軸Axに沿って延びる略円筒状に形成される。複数のボール43は、ナット部材45に転動可能に保持されるとともに、回転部材41の雄ネジ41bに嵌る。このため、ナット部材45は、複数のボール43を介して回転部材41に取り付けられる。スペーサ46は、ナット部材45とピストン22との間に介在する。
【0024】
モータ27は、ハウジング21の外部に配置される。モータ27は、例えば、ブラシレスモータである。なお、モータ27は、他の種類のモータであっても良い。モータ27は、出力軸51を有し、例えばECU13に制御されることで出力軸51を回転させる。
【0025】
減速機構28は、三つのギヤ61,62,63を有する。ギヤ61は、ピストン22及び直動部材42から後方向Dbに離間した位置で、ハウジング21に収容される。ギヤ61は、中心軸Axまわりに回転部材41と一体的に回転可能に、回転部材41に取り付けられる。ギヤ62は、出力軸51と一体に回転可能に、出力軸51に取り付けられる。ギヤ63は、ギヤ61,62と噛み合う。
【0026】
減速機構28は、モータ27の出力軸51の回転を、回転部材41に伝達する。モータ27は、減速機構28を介して、中心軸Axまわりの一方向(以下、正転方向と称する)、又は中心軸Axまわりの他方向(以下、逆転方向と称する)に、回転部材41を回転させる。
【0027】
回転部材41は、正転方向に回転することで、ボール43を介してナット部材45を前方向Dfに押す。ナット部材45は、スペーサ46を介して、ピストン22を前方向Dfに押す。これにより、直動部材42及びピストン22は、前方向Dfに移動(前進)する。すなわち、直動部材42は、前方向Dfに移動することで、液室35の容積を減少させるようにピストン22を押す。
【0028】
一方、回転部材41は、逆転方向に回転することで、ボール43を介してナット部材45を後方向Dbに押す。Cリング29は、ナット部材45がピストン22を後方向Dbに押せるように、ピストン22とナット部材45との間に介在する。このため、ナット部材45は、Cリング29を介して、ピストン22を後方向Dbに押す。これにより、直動部材42及びピストン22は、後方向Dbに移動(後退)する。すなわち、直動部材42は、回転部材41の回転に応じて前方向Df又は後方向Dbに移動する。
【0029】
図2は、本実施形態のピストン22、Cリング29、及び直動部材42を示す断面図である。以下では、ピストン22、Cリング29、及び直動部材42について詳しく説明される。
【0030】
ピストン22は、端壁71と周壁72とを有する。端壁71は、前方向Dfにおけるピストン22の端部22aに設けられる。端壁71は、中心軸Axと略直交する円盤状に形成される。周壁72は、略円筒状に形成され、端壁71の縁から中心軸Axに沿って後方向Dbに延びる。
【0031】
端壁71は、内面71aを有する。内面71aは、略後方向Dbに向く。内面71aは、平面であっても良いし、前方向Dfに窪む球面であっても良い。周壁72は、三つの内周面72a,72b,72cと、突起72dと、二つの傾斜面72e,72fと、外周面72gとを有する。突起72dは、第1の係合部の一例である。
【0032】
内周面72a,72b,72cは、中心軸Axに沿って延びる略円筒状の曲面である。内周面72a,72b,72cは、中心軸Axに向く。三つの内周面72a,72b,72cは、軸方向に並んでいる。
【0033】
内周面72aは、端壁71の内面71aに接続される。内周面72cは、後方向Dbにおけるピストン22の端部22bに接続される。内周面72bは、軸方向において、内周面72aと内周面72cとの間に位置する。内周面72bの直径は、内周面72aの直径より大きく、且つ内周面72cの直径よりも小さい。
【0034】
突起72dは、後方向Dbにおける内周面72bの端部から、径方向の内側に突出している。突起72dは、中心軸Axまわりに延びる円環状に形成される。なお、突起72dは、この例に限られない。突起72dの最小の直径は、内周面72aの直径と同じか、より大きい。
【0035】
傾斜面72eは、内周面72aと内周面72bとの間に設けられる。傾斜面72eは、内周面72bから内周面72aに向かって先細る略円錐状の曲面である。なお、傾斜面72eの代わりに、中心軸Axと直交する面が内周面72aと内周面72bとの間に設けられても良い。
【0036】
傾斜面72fは、内周面72cと突起72dとの間に設けられる。傾斜面72fは、内周面72cから突起72dに向かって先細る略円錐状の曲面である。傾斜面72fの一部は、突起72dに含まれても良い。
【0037】
外周面72gは、内周面72a,72b,72cの反対側に位置し、径方向の外側に向く。
図1の二つのシール23,24は、外周面72gに接触し、外周面72gとハウジング21との間の隙間を封止する。
【0038】
図2に示すように、ピストン22に、凹部75が設けられる。凹部75は、端壁71の内面71aと、周壁72の内周面72a,72b,72c、突起72d、及び傾斜面72e,72fによって形成(規定、区画)される。なお、凹部75は、ピストン22の他の部分によって形成されても良い。凹部75は、後方向Dbにおけるピストン22の端部22bに開口する。すなわち、凹部75は、後方向Dbに開放されている。
【0039】
さらに、ピストン22に、係合溝76が設けられる。係合溝76は、凹部75の内部に位置する。係合溝76は、軸方向において、突起72dと傾斜面72eの間に設けられる。係合溝76は、内周面72aと、径方向の内側における突起72dの端部とから、径方向の外側に窪む。係合溝76は、中心軸Axまわりに延びる円環状に形成される。
【0040】
直動部材42は、ピストン22の凹部75の内部に配置される。なお、例えば、直動部材42の一部が、凹部75の外部に位置しても良い。直動部材42のナット部材45は、端面45aと、内周面45bと、二つの外周面45c,45dとを有する。
【0041】
端面45aは、前方向Dfにおけるナット部材45の端部に設けられ、前方向Dfに向く。内周面45bは、端面45aの内側の縁から、中心軸Axに沿って後方向Dbに延びる略円筒状の曲面である。外周面45c,45dは、中心軸Axに沿って延びる略円筒状の曲面である。外周面45cは、端面45aの外側の縁から後方向Dbに延びている。外周面45dは、外周面45cから後方向Dbに離間している。
【0042】
内周面45bの直径は、回転部材41の外周面41aの直径よりも僅かに大きい。外周面45cの直径は、外周面45dの直径よりも小さい。さらに、外周面45cの直径は、ピストン22の内周面72aの直径と同じか、より大きく、且つ突起72dの最小の直径よりも短い。外周面45dの直径は、ピストン22の突起72dの最小の直径よりも大きく、且つ内周面72cの直径よりも小さい。
【0043】
外周面45cは、ピストン22の内周面72b、突起72d、及び傾斜面72fに向く。外周面45cと突起72dとの間に、隙間が設けられる。外周面45dは、ピストン22の内周面72cに向く。外周面45dと内周面72cとの間に、隙間が設けられる。このため、ピストン22とナット部材45とは、径方向に相対的に移動可能である。
【0044】
内周面45bに、複数の保持部45eが設けられる。複数の保持部45eは、複数のボール43を、転動可能に保持する。保持部45eは、例えば、雌ネジであっても良いし、略半球状の窪みであっても良い。
【0045】
図3は、本実施形態のピストン22、Cリング29、及び直動部材42を部分的に示す断面図である。
図3に示すように、ナット部材45に、溝81が設けられる。溝81は、外周面45cから径方向の内側に窪む。このため、溝81は、ピストン22の凹部75の内部に位置する。溝81は、中心軸Axまわりに延びる円環状の溝である。
【0046】
ナット部材45は、溝81を形成する二つの側面81a,81b及び底面81cをさらに有する。二つの側面81a,81bは、略平行に配置された円環状の平面である。側面81aは、前方向Dfに向く。側面81bは、側面81aから前方向Dfに離間し、後方向Dbに向く。二つの側面81a,81bは、互いに向かい合う。底面81cは、径方向の内側における側面81aの縁と側面81bの縁との間で、中心軸Axに沿って延びる略円筒状の曲面である。
【0047】
図2に示すように、スペーサ46は、端壁91と周壁92とを有する。端壁91は、前方向Dfにおけるスペーサ46の端部46aに設けられる。端壁91は、中心軸Axと略直交する円盤状に形成される。周壁92は、略円筒状に形成され、端壁91の縁から中心軸Axに沿って後方向Dbに延びる。
【0048】
端壁91は、外面91aを有する。外面91aは、略前方向Dfに向く。外面91aは、例えば、前方向Dfに膨らんだ球面である。周壁92は、内周面92a及び外周面92bを有する。内周面92aは、中心軸Axに沿って延びる略円筒状の曲面であり、中心軸Axに向く。外周面92bは、内周面92aの反対側に位置する。外周面92bは、外面91aの縁から中心軸Axに沿って後方向Dbに延びる略円筒状の曲面である。
【0049】
スペーサ46は、ナット部材45の端面45aと、ピストン22の内面71aとの間に介在する。外面91aは、ピストン22の内面71aに向く。外周面92bは、ピストン22の内周面72a,72b及び傾斜面72eに向く。
【0050】
内周面92aの直径は、回転部材41の外周面41aの直径よりも僅かに大きい。外周面92bの直径は、ピストン22の内周面72aの直径よりも小さい。外周面92bと内周面72aとの間に、隙間が設けられる。このため、ピストン22とスペーサ46とは、径方向に相対的に移動可能である。
【0051】
以上のように、ピストン22と直動部材42とは、径方向に相対的に移動可能である。なお、ピストン22と直動部材42とは、径方向に相対的に移動することで、部分的に接触しても良い。
【0052】
球面である外面91aが、端壁71の内面71aに当接し、又は内面71aから僅かに離間している。このため、ピストン22は、当該ピストン22の中心軸が直動部材42の中心軸(中心軸Ax)に対して傾斜するように、直動部材42に対して揺動することができる。
【0053】
図4は、本実施形態のCリング29を示す平面図である。Cリング29は、中心軸Axまわりに延びるとともに、一部が欠けた略円環状に形成される。
図4に示すように、Cリング29は、二つの端部101,102と、中間部103とを有する。
【0054】
端部101,102は、中心軸AxまわりのCリング29の両端に設けられる。なお、端部101,102は、中心軸AxまわりのCリング29の端面のみならず、当該端面の近傍の部分をも含む。中間部103は、中心軸Axまわりに両端部101,102の間に設けられる。
【0055】
中間部103の外縁103aは、中心軸Axまわりに略正円状に延びている。言い換えると、外縁103aの直径は、略一定である。外縁103aは、径方向における中間部103の外側の縁である。
【0056】
端部101,102のそれぞれの外縁101a,102aは、中間部103の外縁103aよりも、中心軸Axに近い。言い換えると、外縁101a,102aの直径は、外縁103aの直径よりも短い。なお、Cリング29の外径は一定であっても良い。
【0057】
両端部101,102は、周方向に互いに離間している。このため、Cリング29は、両端部101,102を互いに近づけ又は互いから遠ざけることで、内径及び外径を縮小又は拡大するように弾性変形することができる。
【0058】
図3に示すように、Cリング29は、二つの側面29a,29bと、内縁29cと、曲面29dとをさらに有する。端部101,102及び中間部103のそれぞれは、側面29a,29b、内縁29c、及び曲面29dのそれぞれの一部を有する。
【0059】
二つの側面29a,29bは、略平行に配置された略円環状の平面である。側面29aは、後方向Dbに向く。側面29bは、側面29aから前方向Dfに離間し、前方向Dfに向く。側面29aと側面29bとの間の距離は、溝81の側面81aと側面81bとの間の距離よりも短い。
【0060】
内縁29cは、径方向の内側における側面29aの縁と側面29bの縁との間で、中心軸Axに沿って延びる略円筒状の曲面である。内縁29cは、外縁101a,102a,103aの反対側に位置する。内縁29cは、中心軸Axに向く。
【0061】
曲面29dは、外縁101a,102a,103aと、側面29bとの間に設けられる。曲面29dは、いわゆるR面取りがされた外縁101a,102a,103aと側面29bとの間の角部分であり、略円弧状の曲面である。なお、曲面29dは、この例に限られない。
【0062】
Cリング29は、溝81に嵌め込まれることで、ナット部材45に取り付けられる。言い換えると、Cリング29は、ナット部材45に設けられる。Cリング29の側面29aは、ナット部材45の側面81aに向く。Cリング29の側面29bは、ナット部材45の側面81bに向く。Cリング29の内縁29cは、ナット部材45の底面81cに向く。
【0063】
Cリング29の一部は、ナット部材45の外周面45cから径方向の外側に突出している。Cリング29の当該一部は、ピストン22の係合溝76に嵌め込まれる。言い換えると、Cリング29は、周壁72の突起72dと傾斜面72eとの間に位置する。
【0064】
Cリング29の側面29aは、周壁72の突起72dに向く。Cリング29の外縁101a,102a,103aは、周壁72の内周面72bに向く。Cリング29の曲面29dは、間隔を介して周壁72の傾斜面72eに向く。
【0065】
Cリング29は、外径を縮小されるように弾性変形された状態で、係合溝76及び溝81に嵌め込まれている。中間部103の外縁103aは、周壁72の内周面72bに接触する。Cリング29は、内周面72bを弾性変形の復元力により押すことで、がたつきを抑制できる。なお、中間部103の外縁103aが、周壁72の内周面72bから離間しても良い。
【0066】
Cリング29の内縁29cは、ナット部材45の底面81cから離間している。Cリング29の内縁29cとナット部材45の底面81cとの間の距離は、径方向における突起72dの長さよりも長い。すなわち、例えばCリング29の弾性変形により内縁29cが底面81cに接触するとき、中間部103の外縁103aの直径は、突起72dの最小の直径よりも小さくなる。
【0067】
図2に示すように、ナット部材45が前方向Dfに移動すると、ナット部材45の端面45aがスペーサ46を前方向Dfに押す。これにより、スペーサ46の外面91aが、ピストン22の内面71aに接触し、ピストン22を前方向Dfに押す。
【0068】
以上のように、ナット部材45は、スペーサ46を介してピストン22を前方向Dfに押す。これにより、ナット部材45、スペーサ46、及びピストン22は、前方向Dfに一体的に移動する。
【0069】
図3に示すように、ナット部材45が後方向Dbに移動すると、ナット部材45の側面81bがCリング29の側面29bに接触し、Cリング29を後方向Dbに押す。これにより、Cリング29の側面29aがピストン22の突起72dに接触し、ピストン22を後方向Dbに押す。さらに、ピストン22の内面71aが、スペーサ46の外面91aに接触し、スペーサ46を後方向Dbに押す。
【0070】
以上のように、ナット部材45は、Cリング29を介してピストン22を後方向Dbに押す。さらに、ナット部材45は、Cリング29及びピストン22を介して、スペーサ46を後方向Dbに押す。これにより、ナット部材45、スペーサ46、及びピストン22は、後方向Dbに一体的に移動する。
【0071】
別の表現によれば、Cリング29は、突起72dに当接することで、直動部材42がピストン22から後方向Dbに離間することを制限する。Cリング29が突起72dに引っ掛かることで、後方向Dbに移動する直動部材42は、ピストン22を従動させる。
【0072】
中間部103の外縁103aが周壁72の内周面72bに接触するため、Cリング29の側面29aとピストン22の突起72dとの接触面積は略一定に保たれる。このため、Cリング29は、突起72dとの係合の耐荷重を確保し、係合溝76から外れることを抑制できる。
【0073】
以下、
図5を参考に、電動シリンダ装置11の製造方法の一部である、ピストン22と直動部材42との組み立て方法の一部について例示される。なお、ピストン22と直動部材42との組み立て方法は以下の方法に限らず、他の方法が用いられても良い。
【0074】
図5は、本実施形態の組み立て前におけるピストン22、Cリング29、及び直動部材42を示す断面図である。
図5に示すように、弾性変形していないCリング29において、Cリング29の内縁29cの直径は、ナット部材45の外周面45cの直径よりも短い。さらに、中間部103の外縁103aの直径は、周壁72の内周面72bの直径よりも大きい。
【0075】
まず、Cリング29が、ナット部材45の溝81に嵌め込まれる。次に、スペーサ46がピストン22の内面71aとナット部材45の端面45aとの間に配置された状態で、直動部材42がピストン22の凹部75に挿入される。
【0076】
直動部材42が凹部75に挿入されるとき、ナット部材45の外周面45dは、周壁72の内周面72cによってガイドされる。直動部材42がピストン22に対して前方向Dfに進むと、Cリング29の曲面29dが、周壁72の傾斜面72fに当接する。
【0077】
直動部材42がピストン22に対して前方向Dfにさらに進むと、傾斜面72fが曲面29dを中心軸Axに向かって押す。これにより、Cリング29は、中間部103の外縁103aが縮小するように、弾性変形する。曲面29dが傾斜面72fに接触することで、Cリング29は、傾斜面72fに食い込んでしまうことを抑制できる。
【0078】
直動部材42がピストン22に対して前方向Dfにさらに進むと、中間部103の外縁103aの直径が突起72dの最小の直径よりも小さくなる。直動部材42がさらに進むと、Cリング29が突起72dを乗り越える。
【0079】
Cリング29は、突起72dを乗り越えると、弾性変形からの復元により中間部103の外縁103aの直径を拡大させる。これにより、
図3に示すように、外縁103aが周壁72の内周面72bに接触する。
【0080】
図2に示すように、ナット部材45の端面45aがスペーサ46に接触し、且つスペーサ46の外面91aがピストン22の内面71aに接触するとき、Cリング29の側面29aは、突起72dから離間している。このため、Cリング29は、確実に突起72dを乗り越えることができる。
【0081】
図3に示すように、Cリング29の曲面29dは、ピストン22の傾斜面72eから後方向Dbに離間している。このため、例えばスペーサ46の端壁91が摩耗したとしても、曲面29dは、傾斜面72eに接触してしまうことを抑制できる。
【0082】
本実施形態において、突起72dは、ピストン22と一体に形成されている。しかし、突起72d(第1の係合部)は、ピストン22と異なる部品であっても良い。例えば、突起72dは、内周面72bの溝に嵌め込まれたCリングであっても良い。この場合、Cリング29の代わりに、外周面45cから突出する突起(第2の係合部)がナット部材45に設けられても良い。すなわち、第2の係合部は、直動部材42と一体に形成されても良い。
【0083】
第1の係合部がピストン22と一体に形成され、第2の係合部がナット部材45と一体に形成されても良い。この場合、第1の係合部及び第2の係合部のうち少なくとも一方が、例えばスリットを設けられることで、弾性的に径方向に変形可能に形成される。
【0084】
以上説明された本実施形態に係るブレーキシステム10において、直動部材42は、回転部材41の回転に応じて中心軸Axに沿う前方向Df又は後方向Dbに移動するよう回転部材41に取り付けられる。直動部材42は、前方向Dfに移動することでシリンダ31の液室35の容積を縮小させるようにピストン22を押す。突起72dが、ピストン22に設けられる。Cリング29は、直動部材42に設けられ、突起72dに当接することで当該直動部材42がピストン22から後方向Dbに離間することを制限する。言い換えると、Cリング29は、ピストン22が直動部材42から前方向Dfに離間することを制限する。これにより、突起72d及びCリング29は、例えば液室35の圧力が低下したときに、負圧により引っ張られたピストン22が直動部材42から離間してしまうことを抑制できる。従って、回転部材41が直動部材42を前方向Dfに移動させることに対する、液室35の圧力増加の応答性が向上する。さらに、ピストン22と直動部材42との衝突による騒音の発生が抑制される。また、液室35のスプリングがピストン22を直動部材42に押し付ける場合に比べ、直動部材42は、スプリングによる抵抗を受けることなくピストン22を前方向Dfに移動させることができる。従って、回転部材41が直動部材42を前方向Dfに移動させることに対する、液室35の圧力増加の応答性が向上する。
【0085】
ピストン22に、後方向Dbに開放された凹部75が設けられる。直動部材42に、凹部75の内部に位置するとともに中心軸Axまわりに延びる溝81が設けられる。第2の係合部としてのCリング29は、溝81に嵌め込まれることで直動部材42に取り付けられる。これにより、電動シリンダ装置11は、第2の係合部が直動部材42と一体に形成される場合に比べ、第2の係合部を簡素化でき、ひいては第2の係合部の寸法精度及び耐久性を容易に向上させることができるとともにコストを低減することができる。
【0086】
Cリング29は、中心軸Axまわりの両端部101,102と、中心軸Axまわりに当該両端部101,102の間に設けられた中間部103と、を有する。両端部101,102の外縁101a,102aは、中間部103の外縁103aよりも、中心軸Axに近い。これにより、Cリング29は、両端部101,102がピストン22の内周面72c及び傾斜面72fを傷つけてしまうことを抑制できる。
【0087】
ピストン22と直動部材42とは、径方向に相対的に移動可能である。これにより、ピストン22と直動部材42との偏心やピストン22と直動部材42との相対的な傾きが生じたとしても、ピストン22と直動部材42との間で互いに作用する荷重が増大することが抑制される。従って、電動シリンダ装置11は、直動部材42及びピストン22が移動不可能になることを抑制できるとともに、当該荷重によりピストン22及び直動部材42の摩耗が増大することを抑制できる。
【0088】
電動シリンダ装置11は、液室35の容積が縮小されることで、ホイールシリンダ12の圧力を増大させる。例えば、ホイールシリンダ12によって、又はホイールシリンダ12と液室35との間の種々の要素によって、液室35の圧力が低下することがある。上述のように、電動シリンダ装置11は、液室35の圧力が低下したときに、ピストン22が直動部材42から離間してしまうことを抑制できる。従って、回転部材41が直動部材42を前方向Dfに移動させることに対する、液室35の圧力増加の応答性が向上する。さらに、ピストン22と直動部材42との衝突による騒音の発生が抑制される。
【0089】
以上説明された少なくとも一つの実施形態に係る電動シリンダ装置は、一例として、シリンダが設けられたハウジングと、前記シリンダの内部に配置されたピストンと、回転軸まわりに回転する回転部材と、前記回転部材の回転に応じて前記回転軸に沿う第1の方向又は前記第1の方向の反対の第2の方向に移動するよう前記回転部材に取り付けられ、前記第1の方向に移動することで前記シリンダの液室の容積を縮小させるように前記ピストンを押す、直動部材と、前記ピストンに設けられた第1の係合部と、前記直動部材に設けられ、前記第1の係合部に当接することで前記直動部材が前記ピストンから前記第2の方向に離間することを制限する、第2の係合部と、を備える。よって、一例としては、第1の係合部及び第2の係合部は、例えば液室の圧力が低下したときに、負圧により引っ張られたピストンが直動部材から離間してしまうことを抑制できる。従って、回転部材が直動部材を第1の方向に移動させることに対する、液室の圧力増加の応答性が向上する。さらに、ピストンと直動部材との衝突による騒音の発生が抑制される。また、スプリングがピストンを直動部材に押し付ける場合に比べ、直動部材は、スプリングによる抵抗を受けることなくピストンを第1の方向に移動させることができる。従って、回転部材が直動部材を第1の方向に移動させることに対する、液室の圧力増加の応答性が向上する。
【0090】
上記電動シリンダ装置では、一例として、前記ピストンに、前記第2の方向に開放された凹部が設けられ、前記直動部材に、前記凹部の内部に位置するとともに前記回転軸まわりに延びる溝が設けられ、前記第2の係合部は、前記溝に嵌め込まれることで前記直動部材に取り付けられるCリングを有する。よって、一例としては、電動シリンダ装置は、第2の係合部が直動部材と一体に形成される場合に比べ、第2の係合部を簡素化でき、ひいては第2の係合部の寸法精度及び耐久性を容易に向上させることができるとともにコストを低減することができる。
【0091】
上記電動シリンダ装置では、一例として、前記Cリングは、前記回転軸まわりの両端部と、前記回転軸まわりに前記両端部の間に設けられた中間部と、を有し、前記回転軸と直交する径方向における前記両端部の外側の縁は、前記径方向における前記中間部の外側の縁よりも、前記回転軸に近い。よって、一例としては、Cリングは、両端部がピストンの内面を傷つけてしまうことを抑制できる。
【0092】
上記電動シリンダ装置では、一例として、前記ピストンと前記直動部材とは、前記回転軸と直交する方向に相対的に移動可能である。よって、一例としては、ピストンと直動部材との偏心やピストンと直動部材との相対的な傾きが生じたとしても、ピストンと直動部材との間で互いに作用する荷重が増大することが抑制される。従って、電動シリンダ装置は、直動部材及びピストンが移動不可能になることを抑制できるとともに、当該荷重によりピストン及び直動部材の摩耗が増大することを抑制できる。
【0093】
以上説明された少なくとも一つの実施形態に係るブレーキ液圧制御装置は、一例として、ホイールシリンダと、前記液室の容積が縮小されることで前記ホイールシリンダの圧力を増大させることが可能である、上記電動シリンダ装置と、を備える。よって、一例としては、例えば、ホイールシリンダによって、又はホイールシリンダと液室との間の種々の要素によって、液室の圧力が低下することがある。上述のように、電動シリンダ装置は、液室の圧力が低下したときに、ピストンが直動部材から離間してしまうことを抑制できる。従って、回転部材が直動部材を第1の方向に移動させることに対する、液室の圧力増加の応答性が向上する。さらに、ピストンと直動部材との衝突による騒音の発生が抑制される。
【0094】
以上の説明において、「抑制する」は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。また、以上の説明において、「制限する」は、例えば、移動若しくは回転を防ぐこと、又は移動若しくは回転を所定の範囲内で許容するとともに当該所定の範囲を超えた移動若しくは回転を防ぐこと、として定義される。
【0095】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0096】
10…ブレーキシステム(ブレーキ液圧制御装置)、11…電動シリンダ装置、12…ホイールシリンダ、21…ハウジング、22…ピストン、29…Cリング(第2の係合部)、31…シリンダ、35…液室、41…回転部材、42…直動部材、72d…突起(第1の係合部)、75…凹部、81…溝、101,102…端部、101a,102a…外縁(縁)、103…中間部、103a…外縁(縁)、Ax…中心軸(回転軸)、Df…前方向(第1の方向)、Db…後方向(第2の方向)。