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特開2024-142704無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142704
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20241003BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20241003BHJP
   H04W 36/30 20090101ALI20241003BHJP
【FI】
H04W48/18
H04W88/06
H04W36/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054973
(22)【出願日】2023-03-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度 総務省 戦略的情報通信研究開発推進事業(国際標準獲得型(5G高度化))、「製造分野における5G高度化技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】奥野 健司
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067EE02
5K067EE04
5K067EE10
5K067JJ39
(57)【要約】
【課題】種類の異なる複数の無線通信の良好な通信品質を維持することができる無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】無線通信装置100は、種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う無線通信装置であって、無線通信装置100が具備する無線通信の種類と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線通信の通信品質と、無線通信装置100が接続する可能性のある周波数チャネルの数と、無線通信装置100の移動速度に関する情報と、の少なくとも1つを含む要素情報を取得する要素取得部101と、要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定する指標決定部102と、指標に基づいてサーチ範囲を決定する決定部103と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う無線通信装置であって、
前記無線通信装置が具備する無線通信の種類と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線通信の通信品質と、前記無線通信装置が接続する可能性のある周波数チャネルの数と、前記無線通信装置の移動速度に関する情報と、の少なくとも1つを含む要素情報を取得する要素取得部と、
前記要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定する指標決定部と、
前記指標に基づいてサーチ範囲を決定する決定部と、
を備える、無線通信装置。
【請求項2】
前記サーチ範囲でアクセスポイントをサーチするサーチ部と、
前記サーチ部によって新たにサーチされた前記アクセスポイントの通信品質と、接続中のアクセスポイントの通信品質とを比較する比較部と、
前記サーチ部によって新たにサーチされた前記アクセスポイントの通信品質が、接続中の前記アクセスポイントの通信品質より良い場合に、前記サーチ部によって新たにサーチされた前記アクセスポイントへ接続を切り替える切替部と、
を備える、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う無線通信装置と、前記無線通信装置と通信可能なサーバとを備え、
前記無線通信装置は、
前記無線通信装置が具備する無線通信の種類と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線通信の通信品質と、前記無線通信装置が接続する可能性のある周波数チャネルの数と、前記無線通信装置の移動速度に関する情報と、少なくとも1つを含む要素情報を取得する要素取得部と、
前記要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定する指標決定部と、
前記指標に基づいてサーチ範囲を決定する決定部と、
を備える、無線通信システム。
【請求項4】
前記無線通信装置は、
前記サーチ範囲でアクセスポイントをサーチするサーチ部と、
前記サーチ部によって新たにサーチされた前記アクセスポイントの通信品質と、接続中のアクセスポイントの通信品質とを比較する比較部と、
前記サーチ部によって新たにサーチされた前記アクセスポイントの通信品質が、接続中の前記アクセスポイントの通信品質より良い場合に、前記サーチ部によって新たにサーチされた前記アクセスポイントへ接続を切り替える切替部と、
を備える、請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う無線通信装置が、
前記無線通信装置が具備する無線通信の種類と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線通信の通信品質と、前記無線通信装置が接続する可能性のある周波数チャネルの数と、前記無線通信装置の移動速度に関する情報と、の少なくとも1つを含む要素情報を取得し、
前記要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定し、
前記指標に基づいてサーチ範囲を決定する、
無線通信方法。
【請求項6】
前記無線通信装置が、
前記サーチ範囲でアクセスポイントをサーチし、
新たにサーチした前記アクセスポイントの通信品質と、接続中のアクセスポイントの通信品質とを比較し、
新たにサーチした前記アクセスポイントの通信品質が、接続中の前記アクセスポイントの通信品質より良い場合に、新たにサーチした前記アクセスポイントへ接続を切り替える、
請求項5に記載の無線通信方法。
【請求項7】
種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う無線通信装置に、
前記無線通信装置が具備する無線通信の種類と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線通信の通信品質と、前記無線通信装置が接続する可能性のある周波数チャネルの数と、前記無線通信装置の移動速度に関する情報と、の少なくとも1つを含む要素情報を取得する処理と、
前記要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定する処理と、
前記指標に基づいてサーチ範囲を決定する処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項8】
前記無線通信装置に、
前記サーチ範囲でアクセスポイントをサーチする処理と、
新たにサーチした前記アクセスポイントの通信品質と、接続中のアクセスポイントの通信品質とを比較する処理と、
新たにサーチした前記アクセスポイントの通信品質が、接続中の前記アクセスポイントの通信品質より良い場合に、新たにサーチした前記アクセスポイントへ接続を切り替える処理と、
を実行させる、請求項7に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う無線通信装置を備える無線通信システムにおける通信品質の劣化を抑える技術の開発が行われている。例えば、特許文献1には、列車等の移動体に通信方式の異なる複数の通信媒体を設置し、移動体の位置に対応した各通信媒体の電波状態を監視し、電波状態の良好な通信媒体を選択する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-159873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、無線通信システムにおいて、無線LAN、LTE(Long Term Evolution)、キャリア5G(5th Generation(第5世代移動通信システム))、ローカル5G等の多様なRAT(Radio Access Technology)を使用して通信を行う場合、電波状態のみを監視するだけでは、良好な通信品質を維持することは難しい。
【0005】
本開示の目的は、種類の異なる複数の無線通信の良好な通信品質を維持することができる無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る無線通信装置は、種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う無線通信装置であって、前記無線通信装置が具備する無線通信の種類と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線通信の通信品質と、前記無線通信装置が接続する可能性のある周波数チャネルの数と、前記無線通信装置の移動速度に関する情報と、の少なくとも1つを含む要素情報を取得する要素取得部と、前記要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定する指標決定部と、前記指標に基づいてサーチ範囲を決定する決定部と、を備える。
【0007】
本開示に係る無線通信システムは、種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う無線通信装置と、前記無線通信装置と通信可能なサーバとを備え、前記無線通信装置は、前記無線通信装置が具備する無線通信の種類と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線通信の通信品質と、前記無線通信装置が接続する可能性のある周波数チャネルの数と、前記無線通信装置の移動速度に関する情報と、少なくとも1つを含む要素情報を取得する要素取得部と、前記要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定する指標決定部と、前記指標に基づいてサーチ範囲を決定する決定部と、を備える。
【0008】
本開示に係る無線通信方法は、種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う無線通信装置が、前記無線通信装置が具備する無線通信の種類と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線通信の通信品質と、前記無線通信装置が接続する可能性のある周波数チャネルの数と、前記無線通信装置の移動速度に関する情報と、の少なくとも1つを含む要素情報を取得し、前記要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定し、前記指標に基づいてサーチ範囲を決定する方法である。
【0009】
本開示に係るプログラムは、種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う無線通信装置に、前記無線通信装置が具備する無線通信の種類と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線通信の通信品質と、前記無線通信装置が接続する可能性のある周波数チャネルの数と、前記無線通信装置の移動速度に関する情報と、の少なくとも1つを含む要素情報を取得する処理と、前記要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定する処理と、前記指標に基づいてサーチ範囲を決定する処理を実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
種類の異なる複数の無線通信の良好な通信品質を維持することができる無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施の形態2に係る無線通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施の形態2に係るステーションの構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施の形態2に係る無線通信方法を示すフローチャートである。
図5】実施の形態2に係る指標の決定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
図1は、本実施の形態1に係る無線通信装置100の構成を示すブロック図である。
本実施の形態1における無線通信装置100は、種類の異なる複数の無線通信を使用して通信を行う。例えば、無線通信装置100は、無線LAN、LTE、キャリア5G、ローカル5G、Sub-GHz無線等の多様なRATを使用して通信を行う。無線通信装置100は、図1に示すように、要素取得部101、指標決定部102、決定部103を備える。
【0013】
要素取得部101は、要素情報を取得する。ここで、要素情報は、無線通信装置100が具備している無線通信の種類と、無線通信装置100において現時点において接続している無線インターフェイス(以下、「無線IF」とも称する。)の本数と、無線通信装置100が現時点において接続している無線通信の通信品質と、無線通信装置100が接続する可能性がある周波数チャネルの数と、無線通信装置100の移動速度に関する情報と、の少なくとも1つを含む。また、要素取得部101は無線通信装置100のインターフェイスごとに設定された無線通信の種類を取得することで、無線インターフェイスの種類及びその数を取得する。また、無線通信の種類とは、無線LAN、LTE、キャリア5G、ローカル5G、Sub-GHz無線等のRATの種類である。また、通信品質は、無線通信装置100の通信帯域、又は通信遅延を計測し、通信可能な無線インターフェイスの状態を表す数値である。また、通信品質は、通信遅延の有無や、受信電界強度(RSSI;Received Signal Strength Indicator)、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)等であってもよい。
【0014】
指標決定部102は、要素取得部101によって取得された要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定する。例えば、現時点において接続している無線インターフェイスの本数が多い場合、指標は高く決定される。また、現時点において接続している無線通信に、通信安定度が高い通信、例えば、LTEが含まれる場合も、指標は高く決定される。また、移動速度が低速の場合にも指標は高く決定される。
【0015】
決定部103は、指標決定部102によって決定された指標に基づいて、サーチ範囲を決定する。例えば、指標が低い場合、サーチ範囲は狭く決定される。ここで、サーチ範囲とは、サーチするチャネル数である。
【0016】
以上に説明した本実施の形態1によれば、種類の異なる複数の無線通信の良好な通信品質を維持することができる無線通信装置100を提供することができる。無線通信装置100が、種類の異なる複数の無線通信を用いて通信する場合、それぞれのRATの特徴を踏まえて無線インターフェイスのサーチ範囲を設定しないと、良好な通信品質を維持することは難しい。
【0017】
例えば、無線LANでは、1つの無線LANインターフェイスにおいてチャネルサーチをする場合、当該無線LANインターフェイスを用いて接続していたアクセスポイントとのデータ通信は不可能となる。さらに、無線LANでは、アクセスポイントを繋ぎ変えるローミング処理に時間がかかる。また、無線LANアクセスポイント毎に使用されている周波数チャネルが異なる。そのため、無線通信装置100が移動すると、無線通信装置100が接続すべき周波数チャネルは時々刻々と変化し、変化の度にローミングを行うと、その間、データ不通が生じてしまう。一方で、無線LANは分散制御型の無線システムであることから、無線通信装置100側からローミング先やローミングのタイミングを制御することが可能である。
【0018】
また、モバイル通信であるLTE/5G、ローカル5Gでは、隣接セルも同一周波数で運用されていることが多く、サーチによるデータ通信の不通時間のインパクトは無線LANと比較すると小さい。さらに、接続セルを繋ぎ変えるローミング処理は、無線LANと比較すると高速である。一方で、モバイル通信であるLTE/5G、ローカル5Gは、集中制御型の無線システムであることから、基本的に無線通信装置100側からローミング先やローミングのタイミングを制御することが困難である。
【0019】
本実施の形態1に係る無線通信装置100では、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標が、無線通信装置が具備する無線通信のインターフェイスの種類及びその数と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線インターフェイスの通信品質と、無線通信装置100が接続する可能性がある周波数チャネルの数と、無線通信装置100の移動速度に関する情報と、の少なくとも1つに基づいて決定される。そして、当該指標に基づいて、サーチ範囲が決定される。そのため、例えば、無線通信装置100が、無線LANとLTEとを使用して無線通信している場合、無線LANにおいてチャネルサーチを行ってもLTEにおいてデータ通信を継続することができるため、指標を高く決定し、サーチ範囲を広くすることで多くのチャネルのサーチを行うことが可能となる。また、無線通信装置100の移動速度が低速の場合には、指標を高く設定し、チャネルサーチを行うことが可能となる。一方、無線通信装置100が無線LANとLTEとを使用して無線通信していてもLTEの通信品質が十分ではない場合、指標を低く決定し、サーチ範囲を狭くすることにより、データ通信の不通時間を短くすることができる。また、無線通信装置100が接続する可能性がある周波数チャネルの数が多く、通信品質が十分ではない場合に、サーチ範囲を狭くすることにより、データ通信の不通時間を短くすることができる。よって、種類の異なる複数の無線通信の良好な通信品質を維持することができる無線通信装置100を提供することができる。
【0020】
実施の形態2
図2は、本実施の形態2に係る無線通信システム200の構成の一例を示すブロック図である。無線通信システム200は、無線通信装置としてのステーション300、サーバとしてのアプリケーションサーバ400、LTE基地局500、ゲートウェイ600、複数のAP(Access Point)700_1,700_2,700_3,700_4,・・・、インターネット800等を備える。以下、AP700_1,700_2,700_3,700_4,・・・を特に区別する必要がない場合、単に、AP700と称する。アプリケーションサーバ400、ゲートウェイ600、複数のAP700は、インターネット800を介して、LTE基地局500と通信可能となっている。
【0021】
本実施の形態2では、ステーション300が、無線LANの無線インターフェイスを2つ、LTEの無線インターフェイスを1つ使用して無線通信をし、建物10_1から建物10_2へ移動する場合を例に挙げて説明する。ステーション300は、AP700を経由してアプリケーションサーバ400と無線LAN通信を行う。また、ステーション300は、ゲートウェイ600を経由してアプリケーションサーバ400とLTE通信を行う。ステーション300とゲートウェイ600との間は、無線経路をトンネル経路として仮想化することにより、アプリケーションサーバ400に対して無線経路の切り替えを隠蔽する。これにより、無線経路のシームレスな切り替えを実現することができる。
【0022】
建物10_1、10_2の内部には、無線LANのAP700が設置されている。そのため、建物10_1、10_2の内部は、無線LAN及びLTEを使用した無線通信が可能なエリアである。一方、建物10_1、10_2の外部は、AP700が設置されておらず、LTE基地局500のみが存在するエリアであり、LTEを使用した無線通信のみが可能なエリアである。
【0023】
図3に、実施の形態2に係るステーション300の構成の一例を示す。ステーション300は、図3に示すように、第1通信部301A、第2通信部301B、第3通信部302、品質測定部303、仮想化機能部304、環境計測部305、状態制御部306等を備える。また、ステーション300は、アプリケーションサーバ400との間で送受信したアプリケーション307を格納している。また、仮想化機能部304は、状態監視部304A、指標決定部304B、通信分配部304Cを備える。品質測定部303、状態監視部304A、環境計測部305が要素取得部として機能する。また、通信分配部304Cが決定部として機能する。また、状態制御部306が、サーチ部、比較部、切替部として機能する。
【0024】
第1通信部301A及び第2通信部301Bは、ステーション300側においてローミング先やローミングのタイミングを制御することが可能な通信部である。具体的には、第1通信部301A及び第2通信部301Bは、それぞれ、無線LANインターフェイスを備え、本実施の形態2では、無線LAN通信を行う。
【0025】
第3通信部302は、ステーション300側においてローミング先やローミングのタイミングを制御することが不可能な通信部である。具体的には、LTEの無線インターフェイスを備え、本実施の形態2では、LTE通信を行う。
【0026】
品質測定部303は、第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302の通信品質を推定し、当該通信品質を状態監視部304Aへ供給する。例えば、品質測定部303は、ゲートウェイ600側のトンネル経路と第3通信部302との間の通信帯域に基づいて通信品質を推定する。なお、品質測定部303は、それぞれの通信部が接続している(通信可能かどうか)を含めて測定する。
【0027】
状態監視部304Aは、品質測定部303から、第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が現時点において接続している各RATの通信品質を受け取る。そして、状態監視部304Aは、第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が現時点において接続しているRATの種類、無線インターフェイスの本数、及びその通信品質を指標決定部304Bに供給する。
【0028】
環境計測部305は、ステーション300の移動経路とAP設計資料(アクセスポイント設計資料)から、予め設定されている、接続する可能性がある周波数チャネル数を取得する。移動経路とAP設計資料は、予め、ステーション300に格納されている。AP設計資料は、例えば、移動経路のエリアの識別情報と、当該エリアに具備された無線通信の種類、周波数チャネル及びその数等とが対応付けられた情報を含む。また、環境計測部305は、同様に、予め設定されている、ステーション300の移動速度に関する情報も取得してもよい。例えば、移動速度に関する情報は、静止、低速移動、高速移動などの移動速度のカテゴリであってもよい。また、移動速度に関する情報は、例えば、ステーション300のユーザがUI(User Interface)を操作することにより、ステーション300に予め入力されてもよい。また、環境計測部305は、ステーション300の位置を計測してもよい。ステーション300の位置は、GPS(Global Positioning System)等、既存の技術を用いて計測可能である。そして、環境計測部305は、当該位置を含むエリア又は当該位置の周辺のエリアに設置されたAP700の周波数チャネルとAP700の数を推定してもよい。また、環境計測部305は、AP700の周波数チャネルとAP700の数を指標決定部304Bに供給してもよい。本実施の形態2では、ステーション300の位置を含むエリアとは、建物10_1の内部であり、当該位置の周辺のエリアとは、建物10_1、10_2の外部及び建物10_2の内部である。
【0029】
指標決定部304Bは、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定する。具体的には、指標決定部304Bは、状態監視部304Aから、第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が現時点において接続しているRATの種類、無線インターフェイスの本数、及びその通信品質を受け取る。また、指標決定部304Bは、環境計測部305から、接続する可能性がある周波数チャネル数及びステーション300の移動速度に関する情報を受け取る。そして、指標決定部304Bは、第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が現時点において接続しているRATの種類、無線インターフェイスの本数、及びその通信品質と、接続する可能性がある周波数チャネル数及び/又はステーション300の移動速度に関する情報とに基づいて、指標を決定する。また、指標決定部304Bは、決定した指標を通信分配部304Cに供給する。さらに詳細な指標の決定方法については、後述する。
【0030】
通信分配部304Cは、指標決定部304Bから受け取った指標に基づいて、チャネルサーチのサーチ範囲を決定する。また、通信分配部304Cは、決定したサーチ範囲を状態制御部306に供給する。
【0031】
状態制御部306は、通信分配部304Cから受け取ったサーチ範囲でAPをサーチする。また、状態制御部306は、新たにサーチしたAPの通信品質と、現時点において接続中のAPの通信品質とを比較する。そして、状態制御部306は、新たにサーチしたAPの通信品質が、接続中のAPの通信品質より良い場合に、新たにサーチしたAPへ第1通信部301A及び第2通信部301Bの無線インターフェイスの接続を切り替える。
【0032】
次に、図4を参照しながら、本実施の形態2に係る無線通信方法について説明する。
まず、ステーション300の第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が、無線IFを使用して対応するRATに無線リンクを確立する(ステップS101)。具体的には、第1通信部301A及び第2通信部301Bは、無線IFを使用して無線LANに無線リンクを確立する。また、第3通信部302は、無線IFを使用してLTEに無線リンクを確立する。
【0033】
次に、品質測定部303、状態監視部304A、環境計測部305が、それぞれ対応する要素情報を取得する(ステップS102)。具体的には、品質測定部303が、第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302の通信品質を推定する。また、状態監視部304Aが、品質測定部303から、第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が現時点において接続している各RATの通信品質と、第1通信部301A及び第2通信部301Bが現時点において接続しているRATの種類及び無線インターフェイスの本数と、を受け取る。また、環境計測部305が、ステーション300が接続する可能性がある周波数チャネル数及び/又はステーション300の移動速度に関する情報を取得する。
【0034】
次に、指標決定部304Bが、ステップS102で取得された要素情報に基づいて、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標を決定する(ステップS103)。
【0035】
次に、通信分配部304Cが、ステップS103において決定された指標に基づいて、チャネルサーチのサーチ範囲を決定する。(ステップS104)。例えば、指標が「高」である場合、1つの無線LANの無線インターフェイスを使用してチャネルサーチするサーチ範囲を10チャネルとし、その結果、サーチ時間が2000m秒となる。また、指標が「中」である場合、1つの無線LANの無線インターフェイスを使用してチャネルサーチするサーチ範囲を5チャネルとし、その結果、サーチ時間が1000m秒となる。また、指標が「低」である場合、1つの無線LANの無線インターフェイスを使用してチャネルサーチするサーチ範囲を1チャネルとし、その結果、サーチ時間が200m秒となる。
【0036】
次に、状態制御部306が、ステップS104において決定されたサーチ範囲でAPをサーチする(ステップS105)。
【0037】
状態制御部306は、新たにサーチしたAPの通信品質と、現時点において接続中のAPの通信品質とを比較する(ステップS106)。
【0038】
ステップS106において、新たにサーチしたAPの通信品質が、接続中のAPの通信品質より悪い又は同程度である場合(ステップS106;No)、本処理を終了する。
【0039】
ステップS106において、新たにサーチしたAPの通信品質が、接続中のAPの通信品質より良い場合(ステップS106;Yes)、状態制御部306は、新たにサーチしたAPへ第1通信部301A及び第2通信部301Bの無線インターフェイスの接続を切り替え(ステップS107)、本処理を終了する。
【0040】
次に、図5を参照しながら、図4のステップS103における指標の決定方法について説明する。
まず、指標決定部304Bは、ステーション300の第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が接続している無線インターフェイスは2本以上か否かを判断する(ステップS201)。
【0041】
ステップS201において、ステーション300の第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が接続している無線インターフェイスが1本以下である場合(ステップS201;No)、ステップS203の処理に進む。
【0042】
ステップS201において、ステーション300の第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が接続している無線インターフェイスが2本以上である場合(ステップS201;Yes)、指標決定部304Bは、第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が接続している無線通信の通信品質が所定の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS202)。
【0043】
ステップS202において、第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が接続している無線通信の通信品質が所定の閾値未満である場合(ステップS202;No)、指標決定部304Bは、指標を「低」と決定し(ステップS203)、本処理を終了する。
【0044】
ステップS202において、第1通信部301A及び第2通信部301B並びに第3通信部302が接続している無線通信の通信品質が所定の閾値以上である場合(ステップS202;Yes)、指標決定部304Bは、サーチするチャネル数が所定の数以上か否かを判断する(ステップS204)。換言すれば、指標決定部304Bは、ステーション300が接続する可能性がある周波数チャネル数が所定の数以上か否かを判断する。
【0045】
ステップS204において、サーチする周波数チャネルの数が所定の数未満である場合(ステップS204;No)、ステップS206の処理に進む。
【0046】
ステップS204において、サーチする周波数チャネルの数が所定の数以上である場合(ステップS204;Yes)、指標決定部304Bは、接続中の無線通信に安定した無線通信を含むか否かを判断する(ステップS205)。例えば、接続中の無線通信にLTEを含む場合、指標決定部304Bは、安定した無線通信を含むと判断する。また、接続中の無線LANの通信品質が良好である場合、又は、通信品質が良好な無線LANの無線IFを複数含む場合、指標決定部304Bは、安定した無線通信を含むと判断する。なお、移動速度に関する情報を用いて、停止又は低速移動の場合には安定した無線通信を含むと判断してもよい。
【0047】
ステップS205において、接続中の無線通信に安定した無線通信を含まない場合(ステップS205;No)、指標決定部304Bは、指標を「中」と決定し(ステップS206)、本処理を終了する。
【0048】
ステップS205において、接続中の無線通信に安定した無線通信を含む場合(ステップS205;Yes)、指標決定部304Bは、指標を「高」と決定し(ステップS207)、本処理を終了する。
【0049】
本実施の形態2によれば、種類の異なる複数の無線通信の良好な通信品質を維持することができる無線通信システム200、ステーション300、無線通信方法、及びプログラムを提供することができる。本実施の形態2に係るステーション300では、ローミングをどの程度積極的に行うかを表す指標が、無線通信装置が具備する無線通信のインターフェイスの種類と、接続中の無線インターフェイスの本数と、接続中の無線インターフェイスの通信品質と、ステーション300が接続する可能性がある周波数チャネル数及び/又はステーション300の移動速度に関する情報と、の少なくとも1つに基づいて決定される。そして、当該指標に基づいて、サーチ範囲が決定される。そのため、例えば、ステーション300が、無線LANとLTEとを使用して無線通信している場合、無線LANにおいてチャネルサーチを行ってもLTEにおいてデータ通信を継続することができるため、指標を高く決定し、サーチ範囲を広くすることで多くのチャネルのサーチを行うことが可能となる。また、ステーション300の移動速度が低速の場合には、指標を高く設定し、チャネルサーチを行うことが可能となる。一方、ステーション300が無線LANとLTEとを使用して無線通信していてもLTEの通信品質が十分ではない場合、指標を低く決定し、サーチ範囲を狭くすることにより、データ通信の不通時間を短くすることができる。また、ステーション300が接続する可能性がある周波数チャネル数が多く、通信品質が十分ではない場合に、サーチ範囲を狭くすることにより、データ通信の不通時間を短くすることができる。よって、種類の異なる複数の無線通信の良好な通信品質を維持することができる無線通信システム200、ステーション300、無線通信方法、及びプログラムを提供することができる。
なお、上記の実施形態2では、無線LANの無線インターフェイスを2つ、LTEの無線インターフェイスを1つ使用する構成で説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。無線インターフェイスの種類や数は任意に設定しても、実現することが可能である。
【0050】
また、新たにサーチされたAPの通信品質と、現時点において接続中のAPの通信品質とが比較され、新たにサーチしたAPの通信品質が、接続中のAPの通信品質より良い場合に、第1通信部301A及び第2通信部301Bの無線インターフェイスの接続が切り替えられる。そのため、新たにサーチしたAPの通信品質が現状の通信品質より悪い場合に、無駄に、無線インターフェイスの接続先を切り替えることを防ぐことができ、通信品質の劣化を確実に防止できる。
【0051】
上述の実施の形態では、本開示をハードウェアの構成として説明したが、本開示は、これに限定されるものではない。本開示は、図4及び図5のフローチャートに記載の処理手順及びその他の実施の形態に記載の処理手順を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0052】
上記の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-Transitory Computer Readable Medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(Tangible Storage Medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等である。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory Computer Readable Medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0053】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、無線通信装置100及びステーション300に備えられる無線インターフェイスは、ローカル5G、キャリア5G、サブギガHz帯の無線通信(WiSun(登録商標)、WiFi(登録商標)、Halow(登録商標)、LoRa(登録商標)等)に対して無線リンクを確立するものであってもよい。
【0054】
さらに、無線通信装置の移動が階層間の移動を含む場合、接続先のアクセスポイントが常時切り替わる際に、接続中の無線インターフェイスを2本と判定してしまう恐れがある。その場合には、無線通信装置の位置情報から将来的に予測されるインターフェイスの状態として無線LANのインターフェイスを利用不可とし、指標を「低」と決定すればよい。これにより、急激な変化が予測される階層移動の際には無線LANが接続状態であっても品質が安定しないことを考慮できる。
【符号の説明】
【0055】
100 無線通信装置
101 要素取得部
102、304B 指標決定部
103 決定部
200 無線通信システム
300 ステーション(無線通信装置)
301A 第1通信部
301B 第2通信部
302 第3通信部
303 品質測定部(要素取得部)
304 仮想化機能部
304A 状態監視部(要素取得部)
304C 通信分配部(決定部)
305 環境計測部(要素取得部)
306 状態制御部(サーチ部、比較部、切替部)
400 アプリケーションサーバ(サーバ)
500 LTE基地局
600 ゲートウェイ
700_1,700_2,700_3,700_4,・・・ AP
800 インターネット
10_1、10_2 建物
図1
図2
図3
図4
図5