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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142705
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】海底ケーブルシステムの敷設方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20241003BHJP
   H04B 10/291 20130101ALI20241003BHJP
【FI】
H04B10/27
H04B10/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054974
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 欣也
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA34
5K102AB06
5K102AL13
5K102MA03
5K102MB11
5K102NA01
5K102PD13
(57)【要約】
【課題】海底ケーブルシステムの構築における順応性が高い海底ケーブルシステムの敷設方法を提供すること。
【解決手段】本開示に係る海底ケーブルシステムの敷設方法は、分岐海底ケーブルL3が接続されていない分岐装置11aを備える第1の幹線海底ケーブルL1を海底に敷設する工程と、分岐海底ケーブルL3が接続されていない分岐装置11bを備える第2の幹線海底ケーブルL2を海底に敷設する工程と、第1の幹線海底ケーブルL1が備える分岐装置11aに対して分岐海底ケーブルL3の一端を接続する工程と、第2の幹線海底ケーブルL2が備える分岐装置11bに対して分岐海底ケーブルL3の他端を接続する工程と、を有する海底ケーブルシステムの敷設方法である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐海底ケーブルが接続されていない分岐装置をそれぞれが備える第1及び第2の幹線海底ケーブルを海底に敷設する工程と、
前記第1の幹線海底ケーブルが備える分岐装置に対して分岐海底ケーブルの一端を接続する工程と、
前記第2の幹線海底ケーブルが備える分岐装置に対して前記分岐海底ケーブルの他端を接続する工程と、を有する、
海底ケーブルシステムの敷設方法。
【請求項2】
前記分岐装置が、
前記幹線海底ケーブルの一方側と接続する第1のスイッチ回路と、
前記幹線海底ケーブルの他方側と接続する第2のスイッチ回路と、
前記分岐海底ケーブルと接続する第3のスイッチ回路と、を備え、
各スイッチ回路が、他の2種のスイッチ回路のいずれかと切り替え可能に接続する、
請求項1に記載の海底ケーブルシステムの敷設方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の幹線海底ケーブルの端部に位置する陸上局のうち、少なくとも1つ以上が、前記第1、第2、及び第3のスイッチ回路を制御する分岐装置制御部を備える、
請求項2に記載の海底ケーブルシステムの敷設方法。
【請求項4】
前記分岐装置制御部が、前記第1の幹線海底ケーブルが備える分岐装置中の前記スイッチ回路と、前記第2の幹線海底ケーブルが備える分岐装置中の前記スイッチ回路と、を制御する、
請求項3に記載の海底ケーブルシステムの敷設方法。
【請求項5】
前記第1の幹線海底ケーブルの一端に位置する陸上局と、前記第2の幹線海底ケーブルの一端に位置する陸上局とが、陸上通信路によって接続されている、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の海底ケーブルシステムの敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、海底ケーブルシステムの敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、幹線海底ケーブルに対して挿入される切替分岐ユニットが記載されている。特許文献1に記載の切替分岐ユニットには、海底分岐ケーブルが接続されており、当該海底分岐ケーブルは、2系統の幹線海底ケーブルを接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-197735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2つの陸上局を結ぶ第1の海底ケーブルと、他の2つの陸上局を結ぶ第2の海底ケーブルとを敷設した場合、通信需要の変化等の要因によって、敷設の完了後に、第1の海底ケーブルに接続された陸上局と、第2の海底ケーブルに接続された陸上局との間で通信を実行したいという要望が生じる場合がある。
【0005】
しかしながら、関連技術においては、海底ケーブルの敷設の完了後に、当該海底ケーブルの接続関係を変更することができず、上記のような要望に応じることはできなかった。
つまり、関連技術においては、海底ケーブルシステムの構築における順応性が十分でないという課題があった。
特許文献1には、このような課題を解決可能な技術は記載されていない。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、海底ケーブルシステムの構築における順応性が高い海底ケーブルシステムの敷設方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る海底ケーブルシステムの敷設方法は、
分岐海底ケーブルが接続されていない分岐装置をそれぞれが備える第1及び第2の幹線海底ケーブルを海底に敷設する工程と、
前記第1の幹線海底ケーブルが備える分岐装置に対して分岐海底ケーブルの一端を接続する工程と、
前記第2の幹線海底ケーブルが備える分岐装置に対して前記分岐海底ケーブルの他端を接続する工程と、を有する、
海底ケーブルシステムの敷設方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によって、海底ケーブルシステムの構築における順応性が高い海底ケーブルシステムの敷設方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る海底ケーブルシステムの構成を示す模式俯瞰図である。
図2】第1の実施形態に係る海底ケーブルシステムの敷設方法を示すフローチャートである。
図3】第2の実施形態に係る海底ケーブルシステムの構成を示す模式俯瞰図である。
図4】第2の実施形態に係る分岐装置の構成を示す模式回路図である。
図5】第2の実施形態に係る分岐装置の構成を示す模式回路図である。
図6】第2の実施形態に係る分岐装置の構成を示す模式回路図である。
図7】第2の実施形態に係る陸上局の構成を示すブロック図である。
図8】第2の実施形態に係る海底ケーブルシステムの敷設方法を示すフローチャートである。
図9】その他の実施形態に係る海底ケーブルシステムの構成を示す模式俯瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
<海底ケーブルシステムの構成>
以下、図面を参照して、第1の実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法について詳細に説明する。まず始めに、第1の実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法によって敷設される海底ケーブルシステムの構成について、詳細に説明する。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法によって敷設される海底ケーブルシステムの構成を示す模式俯瞰図である。
本実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法によって敷設される海底ケーブルシステム1は、第1の幹線海底ケーブルL1と、第2の幹線海底ケーブルL2と、分岐海底ケーブルL3と、分岐装置11aと、分岐装置11bとを備える。
【0012】
第1の幹線海底ケーブルL1は、分岐装置11aを備える幹線海底ケーブルである。
第1の幹線海底ケーブルL1は、分岐装置11aにおいて、分岐海底ケーブルL3と接続している。言い換えると、分岐装置11aにより、第1の幹線海底ケーブルL1から、分岐海底ケーブルL3が分岐する。
【0013】
第2の幹線海底ケーブルL2は、分岐装置11bを備える幹線海底ケーブルである。
第2の幹線海底ケーブルL2は、分岐装置11bにおいて、分岐海底ケーブルL3と接続している。言い換えると、分岐装置11bにより、第2の幹線海底ケーブルL2から、分岐海底ケーブルL3が分岐する。
【0014】
分岐装置11aは、第1の幹線海底ケーブルL1中に挿入された分岐装置である。分岐装置11aは、分岐海底ケーブルL3の一端と接続されている。分岐装置11aは、第1の幹線海底ケーブルL1と、分岐海底ケーブルL3とを接続する。
つまり、分岐装置11aは、第1の幹線海底ケーブルL1から、分岐海底ケーブルL3を分岐する。
【0015】
分岐装置11bは、第2の幹線海底ケーブルL2中に挿入された分岐装置である。分岐装置11bは、分岐海底ケーブルL3の他端と接続されている。分岐装置11bは、第2の幹線海底ケーブルL2と、分岐海底ケーブルL3とを接続する。
つまり、分岐装置11bは、第2の幹線海底ケーブルL2から、分岐海底ケーブルL3を分岐する。
【0016】
分岐海底ケーブルL3は、一端が分岐装置11aに接続されており、他端が分岐装置11bに接続されている海底ケーブルである。分岐海底ケーブルL3は、第1の幹線海底ケーブルL1と、第2の幹線海底ケーブルL2とを相互接続する。
【0017】
<海底ケーブルシステムの敷設方法>
次に、図面を参照して、第1の実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法について詳細に説明する。図2は、第2の実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法を示すフローチャートである。なお、以降の説明においては、適宜図1を参照する。
【0018】
まず始めに、第1の幹線用海底ケーブルL1を敷設する(ステップST101)。次に、第2の幹線用海底ケーブルL2を敷設する(ステップST102)。
なお、ステップST101及びステップST102を実行する順序は逆でもよい。また、ステップST101及びステップST102は、並行して実行されてもよい。
【0019】
次に、第1の幹線海底ケーブルL1が備える分岐装置11aに対して、分岐海底ケーブルL3の一端を接続する(ステップST103)。
最後に、第2の幹線海底ケーブルL1が備える分岐装置11bに対して、分岐海底ケーブルL3の他端を接続し(ステップST104)、本実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法は完了する。
【0020】
以上、説明したように、本実施形態に係る海底ケーブルシステムの敷設方法は、分岐装置をそれぞれが備える第1及び第2の幹線海底ケーブルを敷設した後に、当該分岐装置に対して分岐用海底ケーブルを接続するようにしている。
このような敷設方法によれば、通信需要の変化に応じて、適宜相互接続する幹線海底ケーブルを変更できるため、海底ケーブルシステムの構築における順応性を高めることができる。
【0021】
(第2の実施形態)
<海底ケーブルシステムの構成>
以下、図面を参照して、第2の実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法について詳細に説明する。まず始めに、第2の実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法によって敷設される海底ケーブルシステムの構成について、詳細に説明する。
【0022】
図3は、第1の実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法によって敷設される海底ケーブルシステムの構成を示す模式俯瞰図である。
本実施形態に係る海底ケーブルシステム1は、2系統の幹線海底ケーブルが、分岐海底ケーブルによって相互接続されている。
本実施形態に係る海底ケーブルシステム1は、陸上局12a~12dと、分岐装置11a及び11bと、幹線海底ケーブルL1及びL2と、分岐海底ケーブルL3とを備える。
【0023】
幹線海底ケーブルL1及びL2は、両端が陸上局に接続された海底ケーブルである。第1の幹線海底ケーブルL1は、一端が陸上局12aと接続されており、他端が陸上局12bと接続されている。また、第2の幹線海底ケーブルL2は、一端が陸上局12cと接続されており、他端が陸上局12dと接続されている。
【0024】
幹線海底ケーブルL1には、分岐装置11aが挿入されており、幹線海底ケーブルL2には、分岐装置11bが挿入されている。また、幹線海底ケーブルL1及びL2には、図示しない中継装置が必要に応じて適宜挿入されている。
【0025】
幹線海底ケーブルL1は、分岐装置11aにおいて、分岐海底ケーブルL3の一端と接続している。また、幹線海底ケーブルL2は、分岐装置11bにおいて、分岐海底ケーブルL3の多端と接続している。つまり、幹線海底ケーブルL1及びL2は、分岐海底ケーブルL3によって相互接続されている。
【0026】
幹線海底ケーブルL1及びL2は、光信号を伝送するための光ファイバ伝送路を備える。幹線海底ケーブルL1及びL2が備える光ファイバ伝送路は、2本の光ファイバを1組としたファイバペアから構成されている。幹線海底ケーブルL1及びL2が備える光ファイバ伝送路は、ファイバペアを複数備える。
【0027】
1つのファイバペアを構成する2本の光ファイバは、同じ陸上局同士を接続しており、信号の送受信の向きが逆向きとなっている。例えば、ファイバペアが、陸上局12aと陸上局12bとを接続している場合、当該ファイバペアを構成する光ファイバの一方は、陸上局12aから送信された光信号を陸上局12bに対して送信する。そして、当該ファイバペアを構成する光ファイバの他方は、陸上局12bから送信された光信号を陸上局12aに対して送信する。
【0028】
幹線海底ケーブルL1が備えるファイバペアは、分岐装置11aの内部において、幹線海底ケーブルL3が備えるファイバペアと必要に応じて適宜接続される。また、幹線海底ケーブルL2が備えるファイバペアは、分岐装置11bの内部において、幹線海底ケーブルL3が備える光ファイバと必要に応じて適宜接続される。
【0029】
なお、幹線海底ケーブルL1は、分岐海底ケーブルL3が接続されていない状態においても、陸上局12a及び陸上局12b間の通信が実行可能に構成されている。
また、幹線海底ケーブルL2は、分岐海底ケーブルL3が接続されていない状態においても、陸上局12c及び陸上局12d間の通信が実行可能に構成されている。
つまり、幹線海底ケーブルL1及びL2は、分岐海底ケーブルL3が接続されていない場合、独立した2系統の幹線海底ケーブルとして機能するように構成されている。
【0030】
分岐海底ケーブルL3は、一端が分岐装置11aに接続されており、他端が分岐装置11bに接続されている海底ケーブルである。つまり、分岐海底ケーブルL3は、分岐装置11aによって幹線海底ケーブルL1から分岐する海底ケーブルであり、分岐装置11bによって幹線海底ケーブルL2から分岐する海底ケーブルである。
【0031】
より詳細には、分岐海底ケーブルL3は、一端が分岐装置11aに設けられた接続用海底ケーブルの端部と接続されており、他端が分岐装置11bに設けられた接続用海底ケーブルの端部と接続されている。接続用海底ケーブルについては後述する。
【0032】
分岐海底ケーブルL3は、光信号を伝送するための光ファイバ伝送路を備える。分岐海底ケーブルL3が備える光ファイバ伝送路は、2本の光ファイバを1組としたファイバペアから構成されている。分岐海底ケーブルL3が備える光ファイバ伝送路は、ファイバペアを複数備える。
【0033】
分岐海底ケーブルL3が備えるファイバペアは、分岐装置11aにおいて、幹線海底ケーブルL1が備えるファイバペアと必要に応じて適宜接続される。また、分岐海底ケーブルL3が備えるファイバペアは、分岐装置11bにおいて、幹線海底ケーブルL2が備える光ファイバと必要に応じて適宜接続される。
【0034】
つまり、分岐海底ケーブルL3を介して、幹線海底ケーブルL1が有する光ファイバ伝送路と、幹線海底ケーブルL2が有する光ファイバ伝送路とが相互接続されている。
このような構成によって、幹線海底ケーブルL1に接続された陸上局、即ち陸上局12a及び12bと、幹線海底ケーブルL2に接続された陸上局、即ち陸上局12c及び12dとの間で通信を実行することができる。
【0035】
分岐装置11aは、幹線海底ケーブルL1に挿入される分岐装置である。分岐装置11aは、幹線海底ケーブルL1から分岐海底ケーブルL3を分岐させる。
分岐装置11bは、幹線海底ケーブルL2に挿入される分岐装置である。分岐装置11bは、幹線海底ケーブルL2から分岐海底ケーブルL3を分岐させる。
【0036】
本実施形態に係る分岐装置11a及び11bは、図示しない接続用海底ケーブルが設けられている。接続用海底ケーブルは、分岐装置11a及び11bの本体に一端が接続された海底ケーブルであり、他端が分岐海底ケーブルL3と接続されている。接続用海底ケーブルの長さは、特に限定されないが、例えば、1~10キロメートル程度の長さであってもよい。
【0037】
図4~6は、分岐装置11aの構成を示す模式回路図である。なお、分岐装置11bも分岐装置11aと同様の構成を備える。
【0038】
本実勢形態に係る分岐装置11aは、幹線海底ケーブルL1の一方側と接続する第1のスイッチ回路S1aと、幹線海底ケーブルL1の他方側と接続する第2のスイッチ回路S2aと、接続用海底ケーブルを介して分岐海底ケーブルL3と接続する第3のスイッチ回路S3aとを備える。
スイッチ回路S1a~S3aは、他の2種のスイッチ回路のいずれかと切り替え可能に接続している。
【0039】
より詳細には、スイッチ回路S1aは、幹線海底ケーブルL1が備える光ファイバのうち、陸上局a側から伸びる光ファイバF1と接続する。ここで、分岐装置11aは、スイッチ回路S1aを複数備える。より詳細には、分岐装置11aは、幹線海底ケーブルL1が備える光ファイバF1の本数と同数のスイッチ回路S1aを備える。各スイッチ回路S1aは、陸上局12aからの制御に基づいて、スイッチ回路S2a又はスイッチ回路S3aのいずれかと接続する。
なお、スイッチ回路S2aと接続するスイッチ回路S1aと、スイッチ回路S3aと接続するスイッチ回路S1aとの割合は、陸上局12a又は12bにより制御されている。
【0040】
また、スイッチ回路S2aは、幹線海底ケーブルL1が備える光ファイバのうち、陸上局b側から伸びる光ファイバF2と接続する。ここで、分岐装置11aは、スイッチ回路S2aを複数備える。より詳細には、分岐装置11aは、幹線海底ケーブルL1が備える光ファイバF2の本数と同数のスイッチ回路S2aを備える。各スイッチ回路S2aは、陸上局12aからの制御に基づいて、スイッチ回路S1a又はスイッチ回路S3aのいずれかと接続する。
なお、スイッチ回路S1aと接続するスイッチ回路S2aと、スイッチ回路S3aと接続するスイッチ回路S2aとの割合は、陸上局12a又は12bにより制御されている。
【0041】
また、スイッチ回路S3aは、接続用海底ケーブルを介して分岐海底ケーブルL3が備える光ファイバが備える光ファイバF3と接続する。ここで、分岐装置11aは、スイッチ回路S3aを複数備える。より詳細には、分岐装置11aは、分岐海底ケーブルL3が備える光ファイバF3の本数と同数のスイッチ回路S3aを備える。各スイッチ回路S3aは、陸上局12aからの制御に基づいて、スイッチ回路S1a又はスイッチ回路S2aのいずれかと接続する。
なお、スイッチ回路S1aと接続するスイッチ回路S3aと、スイッチ回路S2aと接続するスイッチ回路S3aとの割合は、陸上局12a又は12bにより制御されている。
【0042】
例えば、図4に図示された分岐装置11aにおいては、スイッチ回路S1aと、スイッチ回路S2aとが相互に接続している。
この場合、図4に図示された光ファイバF1及びF2を介して、陸上局12a及び陸上局12bが接続されている。
【0043】
また、例えば、図5に図示された分岐装置11aにおいては、スイッチ回路S1aと、スイッチ回路S3aとが相互に接続している。
この場合、図5に図示された光ファイバF1及びF3を介して、陸上局12aと、陸上局12c又は陸上局12dとが接続されている。
【0044】
また、例えば、図6に図示された分岐装置11aにおいては、スイッチ回路S2aと、スイッチ回路S3aとが相互に接続している。
この場合、図6に図示された光ファイバF2及びF3を介して、陸上局12bと、陸上局12c又は陸上局12dとが接続されている。
【0045】
なお、本実施形態に係る分岐装置11a及び11bは、分岐海底ケーブルL3が接続されていない状態においても機能するように構成されている。
分岐装置11a及び11bに対して分岐海底ケーブルL3が接続されていない場合、全てのスイッチ回路S1aがスイッチ回路S2aと接続するようにしてもよい。また、この場合、全てのスイッチ回路S2aがスイッチ回路S1aと接続するようにしてもよい。つまり、このような場合、スイッチ回路S1a及びS2aは、スイッチ回路S3aと接続しないようにしてもよい。
【0046】
図3の説明に戻る。
陸上局12a~12dは、幹線海底ケーブルL1及びL2と、分岐海底ケーブルL3とを介して相互通信を行う。
【0047】
より詳細には、陸上局12a及び陸上局12bが、両者間で通信を行う場合、第1の幹線海底ケーブルL1を介して通信を行う。また、陸上局12c及び陸上局12dが、両者間で通信を行う場合、第2の幹線海底ケーブルL2を介した通信が実行される。
【0048】
また、陸上局12a又は陸上局12bと、陸上局12c又は陸上局12dとが、両者間で通信を行う場合、第1の幹線海底ケーブルL1、第2の幹線海底ケーブルL2、及び分岐海底ケーブルL3の全てを介した通信が実行される。
【0049】
つまり、第1の幹線海底ケーブルL1に接続された陸上局と、第2の幹線海底ケーブルL2に接続された陸上局とが通信を実行する場合、分岐海底ケーブルL3を介した通信が実行される。
【0050】
図7は、陸上局12aの構成を示すブロック図である。陸上局12aは、送受信部121a及び分岐装置制御部122aを備える。
なお、他の陸上局12b~12dについても、陸上局12aと同様の構成を備える。
【0051】
送受信部121aは、他の陸上局12b~12cに対して送信する情報を光信号へと変換し、当該情報の送信先に対応する光ファイバに対して出力する。
また、送受信部121aは、他の陸上局12b~12cから送信された光信号を、当該光信号の送信元に対応する光ファイバから取得する。
【0052】
分岐装置制御部122aは、前述した分岐装置11aが備えるスイッチ回路S1a、スイッチ回路S2a、及びスイッチ回路S3aを制御する。
【0053】
分岐装置制御部122aは、例えば、陸上局間の通信量に基づいて、スイッチ回路S1a、スイッチ回路S2a、及びスイッチ回路S3aを制御してもよい。
この場合、分岐装置制御部122aは、例えば、陸上局12aと陸上局12bとの間の通信量が増加している場合、スイッチ回路S2aと接続するスイッチ回路S1aの割合と、スイッチ回路S1aと接続するスイッチ回路S2aの割合とを増加させる。
このような構成によると、通信量に基づいて、通信リソースを適切に割り当てることができ、その結果として、陸上局間の通信速度を維持できる。
【0054】
つまり、第1及び第2の幹線海底ケーブルの端部に位置する陸上局のうち、少なくとも1つ以上が、第1、第2、及び第3のスイッチ回路を制御する分岐装置制御部を備えるようにするとよい。
【0055】
また、分岐装置制御部122aは、幹線海底ケーブルL1が備える分岐装置11a中のスイッチ回路と、幹線海底ケーブルL2が備える分岐装置中のスイッチ回路との両方を制御してもよいし、どちらか片方のみを制御してもよい。
【0056】
なお、本実施形態に係る陸上局12a~12dは、それぞれが分岐装置制御部を備えているが、分岐装置制御部は、少なくとも1つ以上の陸上局に備えられていればよい。
言い換えると、第1及び第2の幹線海底ケーブルの端部に位置する陸上局のうち、少なくとも1つ以上が、第1、第2、及び第3のスイッチ回路を制御する分岐装置制御部を備えていればよい。
【0057】
また、分岐装置制御部122aは、分岐装置11aに対して、分岐海底ケーブルL3が接続されているか否かを判定してもよい。そして、分岐装置11aに対して、分岐海底ケーブルL3が接続されていないと判定した場合、スイッチ回路S3aと接続しないように、スイッチ回路S1a及びS2aを制御してもよい。
【0058】
<海底ケーブルシステムの敷設方法>
次に、図面を参照して、第1の実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法について詳細に説明する。図8は、第2の実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法を示すフローチャートである。なお、以降の説明においては、適宜図3を参照する。
【0059】
まず始めに、陸上局同士を接続する第1の幹線海底ケーブルL1を敷設する(ステップST201)。より詳細には、分岐海底ケーブルL3が接続されていない分岐装置11aを備える幹線海底ケーブルL1を海底に敷設する。
次に、陸上局同士を接続する第2の幹線海底ケーブルL2を敷設する(ステップST202)。より詳細には、分岐海底ケーブルL3が接続されていない分岐装置11bを備える幹線海底ケーブルL2を海底に敷設する。
なお、ステップST201及びステップST202を実行する順序は逆でもよい。また、ステップST201及びステップST202は、並行して実行されてもよい。
【0060】
ここで、ステップST201及びステップST202の実行後、幹線海底ケーブルL1及びL2は、それぞれ独立して光信号による通信を開始してもよい。つまり、幹線海底ケーブルL1及びL2を相互接続する前に、陸上局12a及び12b間の通信と、陸上局12c及び12d間の通信を開始してもよい。
言い換えると、ステップST203以降の工程は、幹線海底ケーブルL1及びL2が光信号による通信を開始した後に実行される工程であってもよい。
また、ステップST203以降の工程は、幹線海底ケーブルL1及びL2を相互接続する必要性が生じるまで、実行を中断されてもよい。
【0061】
ここで、ステップST201及びステップST202から、後述するステップST203及びステップST204を実行するまで、分岐装置11a及び11bが備える接続用海底ケーブルの分岐装置本体と接続されていない側の端部には、何も接続されていない状態となっている。
【0062】
そのため、ステップST201及びステップST202から、後述するステップST203及びステップST204を実行するまで、接続用海底ケーブルの端部には、端部を海水から保護する防水機構が設けられている。
【0063】
次に、第1の幹線海底ケーブルが備える分岐装置に対して分岐海底ケーブルの一端を接続する(ステップST203)。より詳細には、ステップST203においては、分岐装置11aに対して分岐海底ケーブルL3を接続する。
更に詳細には、ステップST203においては、まず始めに分岐装置11aから伸びる接続用ケーブルの端部を作業船上に引き上げる。そして、引き揚げた接続用ケーブルの端部と、分岐海底ケーブルの一端とを接続し、これらを海底に敷設する。
【0064】
最後に、第2の幹線海底ケーブルが備える分岐装置に対して分岐海底ケーブルの他端を接続し(ステップST204)、本実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法は完了する。より詳細には、ステップST204においては、分岐装置11bに対して分岐海底ケーブルL3を接続する。
更に詳細には、ステップST204においては、まず始めに分岐装置11bから伸びる接続用ケーブルの端部を作業船上に引き上げる。そして、引き揚げた接続用ケーブルの端部と、分岐海底ケーブルの他端とを接続し、これらを海底に敷設する。
【0065】
なお、ステップST203及びステップST204を実行する順序は逆でもよい。また、ステップST203及びステップST204は、並行して実行されてもよい。
【0066】
以上、説明したように、本実施形態に係る海底ケーブルの敷設方法においては、分岐海底ケーブルが接続されていない分岐装置をそれぞれが備える幹線海底ケーブルL1及びL2を敷設するようにしている。そして、幹線海底ケーブルL1及びL2の敷設後に、両者を分岐海底ケーブルL3によって接続するようにしている。
このような構成によると、通信需要の変化に応じて、幹線海底ケーブルを相互接続できるため、海底ケーブルシステムの構築における順応性を高めることができる。
【0067】
(その他の実施形態)
図9は、その他の実施形態に係る海底ケーブルシステムの構成を示す模式俯瞰図である。図9に示す海底ケーブルシステム1は、第2の陸上局12bと、第4の陸上局12dとが陸上伝送路L4によって接続されている点で、第2の実施形態と異なる。
つまり、図9に示す海底ケーブルシステムは、第1の幹線海底ケーブルL1の一端に位置する第2の陸上局12bと、第2の幹線海底ケーブルL2の一端に位置する第4の陸上局12dとが、陸上通信路によって接続されている海底ケーブルシステムである。
このような構成によると、例えば、分岐海底ケーブルL3が損傷した場合であっても、幹線海底ケーブルL1及びL2間の相互接続を維持できる。
本開示に係る海底ケーブルシステムの敷設方法は、このような海底ケーブルシステムの敷設方法に対しても適用できる。
【0068】
また、第2の実施形態に係る海底ケーブルシステムにおいて、幹線海底ケーブルL1及びL2を相互接続する必要が無くなった場合、分岐海底ケーブルL3と、分岐装置11a及び11bとの接続を解除し、分岐海底ケーブルL3を回収してもよい。
【0069】
また、第2の実施形態に係る海底ケーブルシステムにおいて、幹線海底ケーブルL1及びL2を相互接続する必要が無くなった場合、分岐海底ケーブルL3一端と、対応する分岐装置11a又は11bとの接続を解除してもよい。そして、分岐装置との接続を解除した分岐海底ケーブルの端部を、幹線海底ケーブルL1及びL2以外の他の幹線海底ケーブルに挿入された分岐装置に対して接続してもよい。
【0070】
なお、本開示に係る海底ケーブルシステムの敷設方法は、海底ケーブルシステムの製造方法として理解される。
【0071】
以上、本開示を上記実施形態に即して説明したが、本開示は上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1 海底ケーブルシステム
11a、11b 分岐装置
12a~12d 陸上局
L1、L2 幹線海底ケーブル
L3 分岐海底ケーブル
L4 陸上通信路
S1a~S3a スイッチ回路
F1~F3 光ファイバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9