(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142707
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】溶接構造体の製造方法、及び溶接装置
(51)【国際特許分類】
B23K 11/24 20060101AFI20241003BHJP
B23K 11/11 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B23K11/24 315
B23K11/11 540
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054976
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】玉田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】野村 浩二
(72)【発明者】
【氏名】関口 智彦
(72)【発明者】
【氏名】安田 圭吾
【テーマコード(参考)】
4E165
【Fターム(参考)】
4E165AA02
4E165AA04
4E165AB03
4E165AB13
4E165BB02
4E165BB12
4E165CA02
4E165CA05
4E165CA06
(57)【要約】
【課題】バリの発生を抑制することができる溶接構造体の製造方法、及び溶接装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る溶接構造体の製造方法は、3枚以上の金属板W1が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板W1のうち少なくとも1枚の金属板W3が他の金属板W1と比較して薄い積層体W10をスポット溶接することによって形成する溶接構造体の製造方法である。当該製造方法は、積層体W10の溶接打点P1を加圧しつつ通電して、本電流を積層体W10の溶接打点P1に流す工程ST1と、引き続き積層体W10の溶接打点P1を加圧しつつ通電して、本電流と比較して大きい大電流を積層体W10の溶接打点P1に流す工程ST2とを備える。本電流を積層体W10の溶接打点P1に流した期間t
1は、大電流を積層体W10の溶接打点P1に流した期間t
2と比較して長い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接することによって形成する溶接構造体の製造方法であって、
前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、本電流を前記積層体の溶接打点に流す工程と、
引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記本電流と比較して大きい大電流を前記積層体の溶接打点に流す工程と、を備え、
前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t1は、前記大電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t2と比較して長い、
溶接構造体の製造方法。
【請求項2】
前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t1は、前記大電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t2の2.50倍以上である、
請求項1に記載の溶接構造体の製造方法。
【請求項3】
前記大電流の電流値A2は、12kA以上である、
請求項1又は2に記載の溶接構造体の製造方法。
【請求項4】
3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接することによって形成する溶接構造体の製造方法であって、
前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、なじみ電流を前記積層体の溶接打点に流す工程と、
引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、大電流を前記積層体の溶接打点に流す工程と、
引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記大電流と比較して小さい本電流を前記積層体の溶接打点に流す工程と、を備え、
前記なじみ電流の電流値A13は、前記本電流の電流値A11と比較して小さい、
溶接構造体の製造方法。
【請求項5】
前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t11は、前記大電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t12の2.50倍以上である、
請求項4に記載の溶接構造体の製造方法。
【請求項6】
前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t11は、前記なじみ電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t13の3.00倍以下である、
請求項4又は5に記載の溶接構造体の製造方法。
【請求項7】
前記なじみ電流の電流値A13は、前記本電流の電流値A11の0.95倍以下である、
請求項4又は5に記載の溶接構造体の製造方法。
【請求項8】
前記積層体は、すでに溶接された溶接済み溶接打点を備え、
前記積層体の溶接打点は、前記溶接済み溶接打点から15mm以内にある、
請求項1又は4に記載の溶接構造体の製造方法。
【請求項9】
3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接することによって形成する溶接構造体の製造方法であって、
溶接予定の溶接打点の位置に基づいて、溶接予定の溶接打点を溶接する溶接方法を決定する工程を備え、
前記溶接方法を決定する工程において、
前記溶接予定の溶接打点と溶接済み溶接打点との間の距離が所定の値を超過する場合、前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、大電流を前記積層体の溶接打点に流し、引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記大電流と比較して小さい本電流を前記積層体の溶接打点に流し、
前記溶接予定の溶接打点と溶接済み溶接打点との間の距離が所定の値以下である場合、
前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、本電流を前記積層体の溶接打点に流し、引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記本電流と比較して大きい大電流を前記積層体の溶接打点に流し、前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t1は、前記大電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t2と比較して長い溶接方法を用いて、前記溶接予定の溶接打点を溶接する、
溶接構造体の製造方法。
【請求項10】
3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接することによって形成する溶接構造体の製造方法であって、
溶接予定の溶接打点の位置に基づいて、溶接予定の溶接打点を溶接する溶接方法を決定する工程を備え、
前記溶接方法を決定する工程において、
前記溶接予定の溶接打点と溶接済み溶接打点との間の距離が所定の値を超過する場合、
前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、大電流を前記積層体の溶接打点に流し、引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記大電流と比較して小さい本電流を前記積層体の溶接打点に流し、
前記溶接予定の溶接打点と溶接済み溶接打点との間の距離が所定の値以下である場合、
前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、なじみ電流を前記積層体の溶接打点に流し、引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、大電流を前記積層体の溶接打点に流し、引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記大電流と比較して小さい本電流を前記積層体の溶接打点に流し、前記なじみ電流の電流値A13は、前記本電流の電流値A11と比較して小さい溶接方法を用いて、前記溶接予定の溶接打点を溶接する、
溶接構造体の製造方法。
【請求項11】
3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接する溶接装置であって、
前記積層体の溶接打点を加圧する電極と、
前記電極に加圧された前記積層体の溶接打点に、電流を流す電流生成回路と、
前記電流生成回路を制御することによって、
前記電流を本電流に維持する第1制御と、
前記電流を本電流に維持した後、前記電流を、前記本電流と比較して大きい大電流に維持する第2制御と、を行う電流制御部と、を備え、
前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t1は、前記大電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t2と比較して長い、
溶接装置。
【請求項12】
3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接する溶接装置であって、
前記積層体の溶接打点を加圧する電極と、
前記電極に加圧された前記積層体の溶接打点に、電流を流す電流生成回路と、
前記電流生成回路を制御することによって、
前記電流をなじみ電流に維持する第1制御と、
前記電流をなじみ電流に維持した後、前記電流を大電流に維持する第2制御と、
前記電流を大電流に維持した後、前記電流を、前記大電流と比較して小さい本電流に維持する第3制御と、を行う電流制御部と、を備え、
前記なじみ電流は、前記本電流と比較して小さい、
溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶接構造体の製造方法、及び溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、3枚以上の金属板を重ねて構成され、3枚以上の金属板の少なくとも1枚の金属板は他の金属板と厚みが異なるように形成された積層体を、パルス電流を用いて接合するスポット溶接方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は、以下の課題を発見した。
溶接済みの溶接打点と溶接される予定の溶接打点との距離が短くなると、バリが発生し易くなる傾向にある。例えば、すでに溶接済みの溶接打点同士の間に位置する溶接打点を加圧しつつ通電すると、電流が溶接済みの溶接打点に分流して、バリが、この通電した溶接打点に発生することある。なお、バリは、例えば、通電時において溶接打点直下に発生した溶融金属が溶接打点の表面から飛び出して固まることによって形成される。
【0005】
本開示は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、バリの発生を抑制することができる溶接構造体の製造方法、及び溶接装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る溶接構造体の製造方法は、
3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接することによって形成する溶接構造体の製造方法であって、
前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、本電流を前記積層体の溶接打点に流す工程と、
引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記本電流と比較して大きい大電流を前記積層体の溶接打点に流す工程と、を備え、
前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t1は、前記大電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t2と比較して長い。
【0007】
また、上述した溶接構造体の製造方法において、前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t1は、前記大電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t2の2.50倍以上であるとよい。
【0008】
また、上述した溶接構造体の製造方法において、前記大電流の電流値A2は、12kA以上であるとよい。
【0009】
本開示に係る溶接構造体の製造方法は、3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接することによって形成する溶接構造体の製造方法であって、
前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、なじみ電流を前記積層体の溶接打点に流す工程と、
引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、大電流を前記積層体の溶接打点に流す工程と、
引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記大電流と比較して小さい本電流を前記積層体の溶接打点に流す工程と、を備え、
前記なじみ電流の電流値A13は、前記本電流の電流値A11と比較して小さい。
【0010】
また、上述した溶接構造体の製造方法において、前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t11は、前記大電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t12の2.50倍以上であるとよい。
【0011】
また、上述した溶接構造体の製造方法において、前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t11は、前記なじみ電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t13の3.00倍以下であるとい。
【0012】
また、上述した溶接構造体の製造方法において、前記なじみ電流の電流値A13は、前記本電流の電流値A11の0.95倍以下であるとよい。
【0013】
また、上述した溶接構造体の製造方法において、前記積層体は、すでに溶接された溶接済み溶接打点を備え、前記積層体の溶接打点は、前記溶接済み溶接打点から15mm以内にあるとよい。
【0014】
本開示に係る溶接構造体の製造方法は、3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接することによって形成する溶接構造体の製造方法であって、
溶接予定の溶接打点の位置に基づいて、溶接予定の溶接打点を溶接する溶接方法を決定する工程を備え、
前記溶接方法を決定する工程において、
前記溶接予定の溶接打点と溶接済み溶接打点との間の距離が所定の値を超過する場合、前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、大電流を前記積層体の溶接打点に流し、引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記大電流と比較して小さい本電流を前記積層体の溶接打点に流し、
前記溶接予定の溶接打点と溶接済み溶接打点との間の距離が所定の値以下である場合、
前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、本電流を前記積層体の溶接打点に流し、引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記本電流と比較して大きい大電流を前記積層体の溶接打点に流し、前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t1は、前記大電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t2と比較して長い溶接方法を用いて、前記溶接予定の溶接打点を溶接する。
【0015】
本開示に係る溶接構造体の製造方法は、3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接することによって形成する溶接構造体の製造方法であって、
溶接予定の溶接打点の位置に基づいて、溶接予定の溶接打点を溶接する溶接方法を決定する工程を備え、
前記溶接方法を決定する工程において、
前記溶接予定の溶接打点と溶接済み溶接打点との間の距離が所定の値を超過する場合、
前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、大電流を前記積層体の溶接打点に流し、引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記大電流と比較して小さい本電流を前記積層体の溶接打点に流し、
前記溶接予定の溶接打点と溶接済み溶接打点との間の距離が所定の値以下である場合、
前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、なじみ電流を前記積層体の溶接打点に流し、引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、大電流を前記積層体の溶接打点に流し、引き続き前記積層体の溶接打点を加圧しつつ通電して、前記大電流と比較して小さい本電流を前記積層体の溶接打点に流し、前記なじみ電流の電流値A13は、前記本電流の電流値A11と比較して小さい溶接方法を用いて、前記溶接予定の溶接打点を溶接する。
【0016】
本開示に係る溶接装置は、3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接する溶接装置であって、
前記積層体の溶接打点を加圧する電極と、
前記電極に加圧された前記積層体の溶接打点に、電流を流す電流生成回路と、
前記電流生成回路を制御することによって、
前記電流を本電流に維持する第1制御と、
前記電流を本電流に維持した後、前記電流を、前記本電流と比較して大きい大電流に維持する第2制御と、を行う電流制御部と、を備え、
前記本電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t1は、前記大電流を前記積層体の溶接打点に流した期間t2と比較して長い。
【0017】
本開示に係る溶接装置は、3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、前記3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い積層体をスポット溶接する溶接装置であって、
前記積層体の溶接打点を加圧する電極と、
前記電極に加圧された前記積層体の溶接打点に、電流を流す電流生成回路と、
前記電流生成回路を制御することによって、
前記電流をなじみ電流に維持する第1制御と、
前記電流をなじみ電流に維持した後、前記電流を大電流に維持する第2制御と、
前記電流を大電流に維持した後、前記電流を、前記大電流と比較して小さい本電流に維持する第3制御と、を行う電流制御部と、を備え、
前記なじみ電流は、前記本電流と比較して小さい。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、バリの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態1に係る溶接構造体の製造方法を示すフローチャートである。
【
図2】実施の形態1に係る溶接構造体の製造方法の一工程を示す概略図である。
【
図3】実施の形態1に係る溶接構造体の製造方法における電流の変化を示すグラフである。
【
図4】溶接済み溶接打点と、溶接予定溶接打点との位置関係を示す概略図である。
【
図5】実施の形態2に係る溶接構造体の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態2に係る溶接構造体の製造方法における電流の変化を示すグラフである。
【
図7】本開示に関連する技術に係る溶接構造体の製造方法を示すフローチャートである。
【
図8】本開示に関連する技術に係る溶接構造体の製造方法の一工程を示す概略図である。
【
図9】本開示に関連する技術に係る溶接構造体の製造方法における電流曲線を示すグラフである。
【
図10】溶接済み溶接打点において発生したバリを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<関連する技術>
本開示を適用した具体的な実施形態に先立って、
図7~9を参照して、本開示に関連する技術に係る溶接構造体の製造方法について説明する。
図7は、本開示に関連する技術に係る溶接構造体の製造方法を示すフローチャートである。
図8は、
図7に示す溶接構造体の製造方法の一工程を示す概略図である。
図9は、
図7に示す溶接構造体の製造方法における電流曲線を示すグラフである。
【0021】
図7及び
図8に示すように、積層体W910の溶接打点P91を加圧しつつ通電して、大電流を積層体W910の溶接打点P91に流す(工程ST91)。具体的には、積層体W910は、3枚以上の金属板が積層されて形成され、かつ、3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い。
図8に示す積層体W910の一例は、金属板W91、W92、W93がこの順に積層することによって形成される。電極E91、電極E92が溶接打点P91を押し当てたまま、大電流を流す。大電流を期間t
91の間、積層体W910の溶接打点P91に流す。大電流の電流値は、工程ST92において流れる本電流の電流値と比較して大きい。
図9に示す電流曲線CA9が、本製造方法における電流値の変化を示す。大電流の電流値は、電流値A91である。
【0022】
続いて、引き続き積層体W910の溶接打点P91を加圧しつつ通電して、本電流を積層体W910の溶接打点P91に流す(工程ST92)。本電流の電流値は、
図9に示す電流値A92であり、電流値A91と比較して小さい。具体的には、電流値A91から電流値A92になるまで電流を減少させ、引き続き溶接打点P91を加圧しつつ通電する。本電流を期間t
92の間、積層体W910の溶接打点P91に流す。また、期間t
92は、期間t
91と比較して長い。
【0023】
上記した本開示に関連する技術に係る溶接構造体の製造方法では、バリが発生することが多い。
図8に示すように、工程ST91では、大電流が溶接打点P91から積層体W910の平面方向(ここでは、X軸方向)に溶接済み溶接打点WP91、WP92に分かれて流れることがある。電流が溶接済み溶接打点WP91、WP92に分かれて流れると、溶接打点P91においてバリが発生することが多い。また、溶接打点P91と溶接済み溶接打点WP91、WP92との距離が短いと、電流が溶接済み溶接打点WP91、WP92に分かれて流れ易くなり、溶接打点P91においてバリが発生し易い。
【0024】
本発明者等は、電流がバリの発生に影響を与えることに着目し、電流の大きさ、期間、順番等の様々な因子を鋭意検討し、本発明を想到するに至った。
【0025】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0026】
<実施の形態1>
図1~
図4を参照して実施の形態1について説明する。
図1は、実施の形態1に係る溶接構造体の製造方法を示すフローチャートである。
図2は、
図1に示す溶接構造体の製造方法の一工程を示す概略図である。
図3は、
図1に示す溶接構造体の製造方法における電流の変化を示すグラフである。
図4は、溶接済み溶接打点と、溶接予定溶接打点との位置関係を示す概略図である。
【0027】
なお、当然のことながら、
図2及びその他の図面に示した右手系XYZ座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、Z軸プラス向きが鉛直上向き、XY平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0028】
本実施の形態1に係る溶接構造体の製造方法では、
図2に示す溶接装置E10を利用することができる。溶接装置E10は、電極E1、E2と、電流生成回路E3と、制御部E4とを備える。電極E1、E2は、図示しない可動アーム等によって、移動可能に把持される。電極E1、E2は、当該可動アーム等によって、積層体W10の溶接打点P1を挟持して押し当てることによって、加圧する。電流生成回路E3は、図示しない電源に電気的に接続されて、電源から電流を生成する。電流生成回路E3は、電極E1、E2に加圧された積層体W10の溶接打点P1に、電流を流す。制御部E4は、当該可動アーム等を介して電極E1、E2の動作を制御してもよい。制御部E4は、電流制御部E41を備える。電流制御部E41は、電流生成回路E3を制御し、時間経過に応じて、電流生成回路E3が流す電流の大きさを変化することができる。
【0029】
図2に示すように、積層体W10の溶接打点P1を加圧しつつ通電して、本電流を積層体W10の溶接打点P1に流す(工程ST1)。具体的には、積層体W10は、3枚以上の金属板が積層されて形成される。また、積層体W10は、3枚以上の金属板のうち少なくとも1枚の金属板が他の金属板と比較して薄い。つまり、積層体W10は、高板厚比の板組である。
図2に示す積層体W10の一例は、金属板W1、W2、W3がこの順に積層することによって形成される。金属板W3は、金属板W1、及び金属板W2と比較して薄い。金属板W1、W2、W3は、例えば、それぞれ種類の異なる鋼板であってもよい。電極E1、電極E2が溶接打点P1を押し当てたまま、本電流を流す。
図2及び
図3に示すように、本電流を電流値A1で期間t
1において積層体W10の溶接打点P1に流す。電極E1、電極E2は、図示しない電源に電気的に接続されるとよい。当該電源が、適宜、電流を電極E1、電極E2を介して積層体W10に流すとよい。また、電極E1、電極E2の径、及び、電極E1、電極E2が溶接打点P1を押し当てる加圧力は、広く利用されている規格に基づいて、適宜、選択してもよい。
【0030】
また、本電流を期間t1において積層体W10の溶接打点P1に流し、大電流を期間t2において積層体W10の溶接打点P1に流す。期間t1は期間t2と比較して長いと、バリが発生し難くてよい
【0031】
図4に示すように、溶接打点P1と溶接済み溶接打点WP1と間の距離L1、及び溶接打点P1と溶接済み溶接打点WP2と間の距離L2は、適宜決定してもよい。距離L1、及び距離L2は、特に限定されず、広い範囲の値から選択可能であり、例えば、15mm、30mmである。
【0032】
工程ST1において、
図2に示すように、本電流を積層体W10の溶接打点P1に流すと、本電流は溶接打点P1を通過し積層体W10の厚さ方向(ここでは、Z方向)に流れる。電流が電極E1から溶接打点P1及び積層体W10を通過して電極E2へ流れるように、通電経路を確保する。ナゲットN1が積層体W10の溶接打点P1から積層体W10内部に形成する。具体的には、ナゲットN1は、金属板W1、及び金属板W2に形成する。ナゲットN1は、主に積層体W10の平面方向(ここでは、XY方向)に成長する。なお、工程ST1において、多くの場合、ナゲットN1は、金属板W1、及び金属板W2の内部において成長するものの、金属板W3の内部に到達しない。
【0033】
続いて、工程ST1から引き続き、積層体W10の溶接打点P1を加圧しつつ通電して、大電流を積層体W10の溶接打点P1に流す(工程ST2)。具体的には、電流値A1から電流値A2になるまで電流を増大させ、引き続き溶接打点P1を加圧しつつ通電する。
図2及び
図3に示すように、大電流を電流値A2で期間t
2において積層体W10の溶接打点P1に流す。これによって、ナゲットN1は成長し、金属板W3の内部にまで到達する。その結果、ナゲットN1は金属板W1、金属板W2、及び金属板W3の内部において、十分な大きさになるまで成長する。
【0034】
図3に示す電流曲線CA1が、本製造方法における電流値の変化を示す。
図3に示すように、本電流の電流値A1は、大電流の電流値A2と比較して小さい。電流値A2と電流値A1との電流比A2/A1は、例えば、1.4以上であるとよく、具体的には、1.4以上1.7以下であるとよい。電流値A2は、例えば、11kA以上であるとよく、具体的には、12kA以上であるよい。金属板W3の厚みが小さくても、良好な溶接品質で溶接し得てよい。
【0035】
また、期間t1は期間t2と比較して長いと、バリが発生し難くてよい。また、期間t1は期間t2の1.00倍以上であるとよく、期間t2の2.50倍以上であるとさらによい。また、期間t1は、期間t2の2.8倍以上5.0倍以下であるとよい。また、期間t2は、4cyc以上7cyc以下であるとよい。このように、期間t1の範囲と期間t2の範囲とを規定すると、バリの発生の抑制をさらに図ることができる。
【0036】
以上より、ナゲットN1が凝固して、積層体W10の金属板W1、W2、及びW3が溶接される。すなわち、積層体W10の金属板W1、W2、及びW3が溶接された溶接構造体を製造することができる。上記した実施の形態1に係る溶接構造体の製造方法では、本電流及び大電流が、溶接打点P1から積層体W10の平面方向に溶接済み溶接打点WP1、WP2に分かれて流れることが殆ど無く、溶接打点P1から積層体W10の厚さ方向に流れる。そのため、溶接打点P1においてバリの発生を抑制することができる。
【0037】
また、
図4に示す距離L1、及び距離L2が短い場合がある。このような場合でも、上記した実施の形態1に係る溶接構造体の製造方法において、本電流及び大電流が、溶接打点P1から積層体W10の平面方向に溶接済み溶接打点WP1、WP2に分かれて流れ難く、溶接打点P1から積層体W10の厚さ方向に流れ易い。その結果、ナゲットN1が金属板W1、W2、W3の内部において成長し、金属板W1、W2、W3が良好な溶接品質で溶接される。そのため、溶接打点P1においてバリが発生することが殆ど無い。すなわち、
図4に示す距離L1、及び距離L2が短い場合にも、上記した実施の形態1に係る溶接構造体の製造方法は好適である。
【0038】
<実施の形態2>
図2、
図5及び
図6を参照して実施の形態2について説明する。
図5は、実施の形態2に係る溶接構造体の製造方法を示すフローチャートである。
図6は、
図5に示す溶接構造体の製造方法における電流の変化を示すグラフである。
【0039】
本実施の形態2に係る溶接構造体の製造方法では、上記した実施の形態1に係る溶接構造体の製造方法と同様に、
図2に示す溶接装置E10を利用することができる。
【0040】
図2に示すように、積層体W10の溶接打点P1を加圧しつつ通電して、なじみ電流を積層体W10の溶接打点P1に流す(工程ST11)。具体的には、電極E1、電極E2が溶接打点P1を押し当てたまま、なじみ電流を流す。
図2及び
図6に示すように、なじみ電流を電流値A13で期間t
13において積層体W10の溶接打点P1に流す。また、電極E1、電極E2の径、及び、電極E1、電極E2が溶接打点P1を押し当てる加圧力は、広く利用されている規格に基づいて、適宜、選択してもよい。
【0041】
工程ST11において、なじみ電流を積層体W10の溶接打点P1に流すと、なじみ電流は溶接打点P1から積層体W10の厚さ方向(ここでは、Z方向)に流れる。これによって、積層体W10の温度が高まり、積層体W10の電気抵抗率が低下する。電流が電極E1から溶接打点P1及び積層体W10を通過して電極E2へ流れるように、通電経路を確保する。なお、ナゲットN1が積層体W10に殆ど発生しない。
【0042】
続いて、引き続き積層体W10の溶接打点P1を加圧しつつ通電して、大電流を積層体W10の溶接打点P1に流す(工程ST12)。具体的には、電流値A13から電流値A12になるまで電流を増大させ、引き続き溶接打点P1を加圧しつつ通電する。
図2及び
図6に示すように、大電流を電流値A12で期間t
12において積層体W10の溶接打点P1に流す。これによって、ナゲットN1が積層体W10に発生し、積層体W10の厚さ方向(ここでは、Z軸方向)に成長する。その結果、ナゲットN1は金属板W1、金属板W2、及び金属板W3の内部において成長する。
【0043】
最後に、引き続き積層体W10の溶接打点P1を加圧しつつ通電して、本電流を積層体W10の溶接打点P1に流す(工程ST13)。具体的には、電流値A12から電流値A11になるまで電流を減少させ、引き続き溶接打点P1を加圧しつつ通電する。
図2及び
図6に示すように、本電流を電流値A11で期間t
11において積層体W10の溶接打点P1に流す。これによって、ナゲットN1が積層体W10の平面方向(ここでは、XY方向)に成長する。その結果、ナゲットN1は金属板W1、金属板W2、及び金属板W3の内部において、十分な大きさになるまで成長する。
【0044】
図6に示す電流曲線CA2が、本製造方法における電流値の変化を示す。
図6に示すように、なじみ電流の電流値A13は、本電流の電流値A11と比較して小さい。本電流の電流値A11は、大電流の電流値A12と比較して小さい。電流値A13と電流値A11との電流比A13/A11は、例えば、0.95以下であるとよく、具体的には、0.65以上0.95以下であるとよい。このように、電流比A13/A11の範囲を規定すると、バリの発生の抑制を図ることができる。
【0045】
また、期間t11は、期間t12の2.50倍以上であるとよく、期間t12の2.86倍以上5.00倍以下であるとさらによい。また、期間t11は期間t13の3.00倍以下であるとよく、期間t13の2.00倍以上2.90倍以下であるとさらによい。このように、期間t11、期間t12、及び期間t13の範囲を規定すると、バリの発生の抑制を図ることができる。
【0046】
以上より、ナゲットN1が凝固して、積層体W10の金属板W1、W2、及びW3が溶接される。すなわち、積層体W10の金属板W1、W2、及びW3が溶接された溶接構造体を製造することができる。上記した実施の形態2に係る溶接構造体の製造方法では、本電流及び大電流が、溶接打点P1から積層体W10の平面方向に溶接済み溶接打点WP1、WP2に分かれて流れることが殆ど無く、溶接打点P1から積層体W10の厚さ方向に流れる。そのため、溶接打点P1においてバリの発生を抑制することができる。
【実施例0047】
次に、上記した実施の形態1及び2に係る溶接構造体の製造方法について実施した実施例について説明する。
【0048】
実施例1~5では、実施の形態1に係る溶接構造体の製造方法の一例を用いて、以下の表1に示す条件で、積層体を溶接して、溶接構造体を製造した。軟鋼板、ホットスタンプ材からなるホットスタンプ用鋼板、及び、超高張力鋼板が積層することによって、当該積層体は形成される。詳細な製造条件は、当該軟鋼板の厚み0.65mm、当該ホットスタンプ用鋼板の厚み1.8mm、当該超高張力鋼板の厚み1.6mm、当該積層体の総板厚4.50mm、当該積層体の板厚比6.23、電極の径6mm、電極が積層体を押し圧する加圧力3820kN、溶接打点と溶接済み溶接打点と間の距離15mmである。なお、比較例1では、表1に示すように、大電流の期間t2を除いて、実施例1と同じ製造条件である。
【0049】
実施例6~12では、実施の形態2に係る溶接構造体の製造方法の一例を用いて、以下の表2に示す条件で、積層体を溶接して、溶接構造体を製造した。当該積層体は、実施例1~5において用いた積層体と同じ構成である。詳細な製造条件は、実施例1~5と同じである。なお、比較例2~5では、表2に示す電流及び期間を除いて、実施例6~12と同じ製造条件である。例えば、比較例2では、工程ST11の実施が省略されている。
【0050】
実施例及び比較例にかかる溶接構造体の溶接品質を評価した。具体的には、溶接品質は、実施例及び比較例にかかる溶接構造体の溶接打点において、バリが発生しなかった場合に良好(OK)と評価し、バリが発生した場合に不良(NG)と評価した。
図10に、バリの一具体例B1を示す。この評価した結果を表1及び表2に示した。
【0051】
【0052】
実施例1~5では、評価がOKであり、バリが発生しなかった。一方、比較例1では、評価がNGであり、バリが発生した。この一因として、比較例1の期間比t1/t2が0.91であり、実施例1~5のそれと比較して小さいことが挙がられる。
【0053】
【0054】
実施例6では、評価がOKであり、バリが発生しなかった。一方、比較例2では、評価がNGであり、バリが発生した。この一因として、実施例6では、工程ST11が実施された一方、比較例2では、工程ST11の実施が省略されていることが挙げられる。
【0055】
実施例6~10では、評価がOKであり、バリが発生しなかった。一方、比較例3では、評価がNGであり、バリが発生した。この一因として、実施例6~10の期間比t11/t12が2.86~5.00であり、比較例3のそれと比較して大きいことが挙げられる。
【0056】
実施例11では、評価がOKであり、バリが発生しなかった。一方、比較例4では、評価がNGであり、バリが発生した。この一因として、実施例11の電流比A13/A11が0.95であり、比較例4のそれと比較して小さいことが挙げられる。
【0057】
実施例12では、評価がOKであり、バリが発生しなかった。一方、比較例5では、評価がNGであり、バリが発生した。この一因として、実施例12の期間比t11/t13が2.50であり、比較例5のそれと比較して小さいことが挙げられる。
【0058】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、上記実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。
【0059】
例えば、上記した実施の形態1及び2にかかる溶接構造体の製造方法は、溶接予定の溶接打点P1の位置に基づいて、溶接予定の溶接打点P1を溶接する溶接方法を決定する工程をさらに備えてもよい。
【0060】
この溶接方法を決定する工程において、溶接予定の溶接打点P1と溶接済み溶接打点WP1、P2との間の距離L1、L2が所定の値を超過する場合、積層体W10の溶接打点P1を加圧しつつ通電して、大電流を積層体W10の溶接打点P1に流す。引き続き積層体W10の溶接打点P1を加圧しつつ通電して、大電流と比較して小さい本電流を積層体W10の溶接打点P1に流す。
【0061】
一方、距離L1,L2が所定の値以下である場合、上記した実施の形態1にかかる溶接構造体の製造方法の工程ST1及び工程ST2を実施して、溶接予定の溶接打点P1を溶接してもよい。
【0062】
また、距離L1,L2が所定の値以下である場合、上記した実施の形態2にかかる溶接構造体の製造方法の工程ST11、工程ST12、及び工程ST13を実施して、溶接予定の溶接打点P1を溶接してもよい。
【0063】
また、溶接装置E10の制御部E4は、記録部と、溶接方法決定部とを備えてもよい。当該記録部は、距離L1、L2を予め記録する。溶接方法決定部は、距離L1、L2に基づいて、溶接予定の溶接打点P1を溶接する溶接方法を決定する。
【0064】
以上より、上記した実施の形態1及び2にかかる溶接構造体の製造方法は、溶接予定の溶接打点P1の位置に基づいて、溶接予定の溶接打点P1を溶接する溶接方法を決定する工程をさらに備える場合がある。このような場合、距離L1,L2に応じた溶接方法を用いて溶接予定の溶接打点P1を溶接することができる。具体的には、バリの発生するおそれの少ない溶接断点に、本開示に関連する技術に係る溶接構造体の製造方法を用いて溶接を行う。一方、バリの発生するおそれのある溶接打点に、実施の形態1及び2にかかる溶接構造体の製造方法を用いて、溶接を行うことができる。