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  • 特開-火災感知端末 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142709
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】火災感知端末
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/06 20060101AFI20241003BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08B17/06 K
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054978
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】入江 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AA03
5C085AA13
5C085FA13
5G405AA01
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB05
5G405FA07
(57)【要約】
【課題】再設置の際に、誤接続を効率良く防止し、信頼性の高い設置作業を実行することができる火災感知端末を提供する。
【解決手段】取付け面に固定可能な感知器設置用ベースと、回転動作により前記感知器設置用ベースに取り付け可能な感知器本体と、からなる火災感知端末において、感知器本体の感知器設置用ベースに接合される面の所定位置に、検出対象に応じて検出手段が異なる種類ごとに形状が設定されたキーが設けられ、感知器設置用ベースの前記キーに対応する位置に、最初に取り付けられた感知器本体に設けられているキーの種類を物理的に記憶するキー記憶手段が設けられており、キー記憶手段は、最初に感知器本体を感知器設置用ベースに取り付ける際の回転操作によって、キー記憶手段の構成部品が当該キーの種類によって決定される状態に変換されることによりキーの種類を記憶するように構成した。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け面に固定可能な感知器設置用ベースと、
回転動作により前記感知器設置用ベースに取り付け可能な感知器本体と、からなる火災感知端末であって、
前記感知器本体の前記感知器設置用ベースに接合される面の所定位置には、仕様の異なる感知器の種類ごとに形状が設定されたキーが設けられ、
前記感知器設置用ベースの前記キーに対応する位置には、最初に取り付けられた感知器本体に設けられている前記キーの種類を物理的に記憶するキー記憶手段が設けられ、
前記キー記憶手段は、最初に感知器本体を前記感知器設置用ベースに取り付ける際の感知器本体の回転操作によって、前記キーが前記キー記憶手段の構成部品を当該キーの種類によって決定される状態に変換させることにより前記キーの種類を記憶するように構成されていることを特徴とする火災感知端末。
【請求項2】
前記キー記憶手段は、移動可能なコマを有しており、最初に感知器本体を前記感知器設置用ベースに取り付ける際の感知器本体の回転操作によって、前記キーが前記コマを前記キーの種類によって決定される方向へ移動させることにより前記キーの種類を記憶するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の火災感知端末。
【請求項3】
前記コマは、三角形の頂点部と該頂点部を挟む2つの傾斜辺を有し、1つの頂点が感知器本体の取付けの際の回転方向と逆を向いた状態で回転可能に前記感知器設置用ベースに取り付けられており、
前記キーは、前記コマに対向する部位に傾斜面が設けられ、前記感知器本体の種類に応じて前記傾斜面の傾きの方向が異なるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の火災感知端末。
【請求項4】
前記キー記憶手段を複数個備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の火災感知端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器本体と感知器設置用ベースとからなる火災感知端末に関し、特にそれぞれの設置場所において特定種類の感知器のみを設置可能な火災感知端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災感知器には、煙を感知して火災を検出する煙感知器や熱を感知して火災を検出する熱感知器、炎を感知して火災を検出する炎感知器等がある。熱感知器は、大きく分けて2種類あり、所定の温度で作動する「定温式」や温度差を検出して作動する「差動式」がある。そして、これらの感知器は一般に、感知器設置用ベース(以下、必要に応じ感知器ベースあるいは単にベースと記す)を介して建造物の天井面等に設置されている。
【0003】
具体的には、火災検出用の感知器は、煙や熱を感知する感知器本体と感知器ベースとから構成されており、設置の際には、先ず感知器ベースを天井面に据え付け、配線を行った後に、感知器本体をベースに嵌合させ取り付ける方法がとられている。
感知器本体とベースには、両者の嵌合の際に、電気的接続と機械的接続が同時に行える構造が設けられており、感知器本体をベースに接合させ、規定の方向に回転させることで、電気的、機械的接続を伴う嵌合が実現される。一方、取り外すときは、上記と逆方向に感知器本体を回転させることで成される。
【0004】
しかし、感知器ベースを複数種類の感知器に対して共通に使用できるようにすると、部品の共通化によるコスト低減のメリットがある一方、感知器の設置工事あるいは感知器の交換作業時や点検時に、一旦取り外した感知器を再度ベースに取り付ける際に、種類を間違えて設置してしまうおそれがある。そして、誤った種類の感知器が取り付けられると、期待される条件で火災発生の検出動作をすることができないため、例えば誤報(非火災報)や失報の発生につながりかねない。
【0005】
従来、感知器の設置工事の際における誤った種類の感知器の取付けを防止する技術として、ベースに感知器の種類に応じた複数のネジ穴を用意しておき、設置時に施工図面に従い取り付けられるべき感知器の種類に応じたネジ穴を選択してネジを取り付けるようにした技術がある(例えば特許文献1)。
この先行技術によれば、最初の設置工事の際に正しくネジ穴と感知器本体の種類の組み合わせを選んでおけば、以後は異なる種類の感知器本体をベースに取り付けることができないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭57-7101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された技術にあっては、設置時に施工図面を確認しながら取り付けられるべき感知器の種類に応じたネジ穴を選択してネジを取り付ける必要があるため、作業効率が悪いという課題がある。
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、再設置の際に、誤接続を効率良く防止し、信頼性の高い設置作業を実行することができる火災感知端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、
取付け面に固定可能な感知器設置用ベースと、
回転動作により前記感知器設置用ベースに取り付け可能な感知器本体と、からなる火災感知端末において、
前記感知器本体の前記感知器設置用ベースに接合される面の所定位置には、仕様の異なる感知器の種類ごとに形状が設定されたキーが設けられ、
前記感知器設置用ベースの前記キーに対応する位置には、最初に取り付けられた感知器本体に設けられている前記キーの種類を物理的に記憶するキー記憶手段が設けられ、
前記キー記憶手段は、最初に感知器本体を前記感知器設置用ベースに取り付ける際の感知器本体の回転操作によって、前記キーが前記キー記憶手段の構成部品を当該キーの種類によって決定される状態に変換させることにより前記キーの種類を記憶するように構成したものである。
【0009】
上記のような構成を有する火災感知端末によれば、感知器設置用ベース(感知器ベース)に最初に感知器本体を取り付けた際に、取り付けた感知器本体に設けられている感知器の種類に応じたキーの種類を感知器ベースが記憶するため、再設置の際に、誤接続を効率良く防止し、信頼性の高い設置作業を実行することができる。また、一旦感知器ベースに感知器本体を取り付けると以後記憶したキーと異なる種類の感知器を取り付けることができないようにすることができる。
【0010】
ここで、望ましくは、前記キー記憶手段は、移動可能なコマを有しており、最初に感知器本体を前記感知器設置用ベースに取り付ける際の感知器本体の回転操作によって、前記キーが前記コマを前記キーの種類によって決定される方向へ移動させることにより前記キーの種類を記憶するように構成する。
かかる構成によれば、比較的簡単な部品を感知器設置用ベースと感知器本体にそれぞれ取り付けるだけで、キーの種類を記憶し、一旦感知器設置用ベースに感知器本体を取り付けると以後記憶したキーと異なる種類の感知器本体が取り付けられないようにすることができる。
【0011】
より具体的には、前記コマは、三角形の頂点部と該頂点部を挟む2つの傾斜辺を有し、1つの頂点が感知器本体の取付けの際の回転方向と逆を向いた状態で回転可能に前記感知器設置用ベースに取り付けられており、
前記キーは、前記コマに対向する部位に傾斜面が設けられ、前記感知器本体の種類に応じて前記傾斜面の傾きの方向が異なるように設定されているようにする。
【0012】
さらに、望ましくは、前記キー記憶手段を複数個備えているようにする。
かかる構成によれば、キーの組み合わせにより3種類以上の感知器本体を識別して、所定の種類の感知器本体のみを感知器設置用ベースに取り付けることができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る火災感知端末によれば、再設置の際に、誤接続を効率良く防止し、信頼性の高い設置作業を実行することができる。そして、一旦感知器設置用ベースに感知器を取り付けると以後異なる種類のキーの感知器が取り付けられないようにすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の火災感知端末を構成する感知器ベースの構成例を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態の火災感知端末を構成する感知器本体の底壁裏面の構成例を示す斜視図である。
図3】実施形態の火災感知端末の要部の構成を示す要部拡大平面図である。
図4】実施形態の火災感知端末におけるコマとキーとの関係を示すもので、(A)は感知器ベースに設けられるコマと火災感知器本体の底壁裏面に設けられるキーの構成例を示す平面図、(B)は(A)の状態の後に異なるキーの感知器本体を設置しようとした時の状態を示す平面図である。
図5】変形例の火災感知端末における要部の構成を示す要部拡大平面図である。
図6】変形例の火災感知端末におけるコマとキーとの関係を示すもので、(A)は最初に感知器を嵌合した際の状態を示す平面図、(B)は異なる種類のキーの感知器本体を取り付けようとした際のコマとキーとの関係を示す平面図である。
図7】他の変形例の火災感知端末におけるコマの構成例を示す斜視図である。
図8】他の変形例の火災感知端末におけるキーの構成例を示すもので、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る火災感知端末の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本発明に係る火災感知端末は、感知器本体と感知器設置用ベース(感知器ベース)とにより構成される。図1は、本発明を適用して有効な感知器ベース10の構成を、図2図1の感知器ベース10に結合される感知器本体20の底板の構成を示す。
なお、上記感知器ベース10に取り付けられる感知器本体20は、温度センサ(例えば、サーミスタ)を備えた熱感知器、光電素子を備えた煙感知器、赤外線センサを備えた炎感知器などどのような検知方式の感知器であっても良い。
【0016】
ここで、図1は感知器ベース10の天井と反対側の面の構成を、図2は感知器本体20の底板の天井側の面の構成を示している。つまり、図2において感知器本体20の底板21の見えている面が、図1において感知器ベース10の見えている面に接合した状態で両者が結合される。つまり、感知器ベース10が取付け面としての天井面に固定される場合、感知器本体20は、感知器ベース10を介して天井面に設置されることとなる。
【0017】
本発明の実施形態の要部の詳細を説明する前に、図1に示す感知器ベース10の構成と、図2に示す感知器本体20の底板の構成について説明する。
感知器ベース10は、合成樹脂で形成されており、図1に示されているように、高さの小さい有底円筒状をなすベース本体11と、該ベース本体11の内側の円形状をなす底板11a上に放射状に並んで配設された接続端子12A~12Fと、接続端子12A~12Fを上記底板11a上に固定するためのビス13A~13Fと、配線の芯線を端子12A~12Fに電気的に接続するためのビス14A~14Fおよびセフティワッシャ15A~15Fを備える。
【0018】
上記接続端子12A~12Fは、それぞれ反L字状の形状を有しており、短い方の辺と長い方の辺との交差部に上記ビス13A~13Fが挿通される挿通孔が形成され、短い方の辺に上記ビス14A~14Fが挿通される挿通孔が形成されている。
上記底板11aの周囲には外周壁11bが設けられ、この外周壁11bの内側には、外周壁11bと僅かな隙間を有して同一高さの内側壁11cが形成されており、外周壁11bと内側壁11cとの間に、感知器本体20のケースの底部に設けられている円形状の壁体が入ることで、ベース本体11に感知器本体20のケースが嵌合されるように構成されている。
【0019】
また、ベース本体11の底板11a上には、上記内側壁11cよりも高さの低い円弧状の端子支持用リブ11e1,11e2が形成されており、この端子支持用リブ11e1,11e2に、上記接続端子12A~12Fの長い方の辺が接触するように接続端子12A~12Fが配設されている。これにより、接続端子12A~12Fの長い方の辺とベース本体11の底板11aの内表面との間に隙間が形成され、これらの隙間に感知器側の端子22A~22F(図2参照)が入り込んで接触し、電気的な接続がなされるように構成されている。なお、図1には、6本の端子22A~22Fを持つ例を示しているが、感知器として利用しない端子、その端子自体を設置しなくてもよい。
【0020】
感知器本体20の底板21には、図2に示されているように、図1の感知器ベース10に設けられている接続端子12A~12Fに接続される外部端子22A~22Fが設けられている。外部端子22A~22Fは、互いに近づく方向へ折曲された接触片を有する内側端子と外側端子とを備えており、接触片同士が重なるように配置され、内側端子と外側端子の接触片間に感知器ベース10の接続端子12E-12Fが挿入されることで、感知器本体20と感知器ベース10の対応する端子間が電気的に接続される。
【0021】
また、感知器本体20の底板21の周縁部には、感知器ベース10の周縁部の外周壁11bと内側壁11cとの隙間に入る円弧状のガイド片23が設けられており、このガイド片23を感知器ベース10の外周壁11bと内側壁11cとの隙間に所定部位に嵌合させてから、感知器本体20全体を回転させると、底板21が本体ケースと共に回転する。これにより、外部端子22A~22Fが接続端子12E-12Fと底板11aとの間に入り込み所定の位置に達することで、感知器本体20が感知器ベース10に機械的に結合されると同時に、対応する端子間が電気的に接続される。
【0022】
ここで、上記所定部位のひとつは、図1に示す破線Aで囲まれた部分であり、ガイド片23をこの部位に差し込むと、外部端子22A~22Fの先端が、対応する接続端子12A~12Fの側方に位置するため、感知器本体20を少し回転させると、外部端子22A~22Fが接続端子12E-12Fと底板11aとの間に入り込むこととなる。
なお、感知器ベース10の接続端子12E-12Fには、天井裏に配設されている配線が接続される。また、図示しないが、感知器本体20はセンサおよび回路基板を内蔵しており、火災を検出すると、外部端子22A~22Fおよび接続端子12E-12Fを介して、検出信号を図示しない火災受信機へ送出する。
【0023】
本実施形態の火災感知端末は、特定の種類の感知器を感知器ベースに一旦取り付けると、以後その特定種類の感知器以外の種類の感知器を感知器ベースに取り付けることができないようにするものである。
具体的には、図3に拡大して示すように、感知器ベース10の内側壁11cとリブ11eとにより形成されている溝内に三角形をなすコマ17がピン18によって回転可能に設けられている。なお、コマ17は図1に示す破線Aで囲まれた部分にて、内側壁11cの背部に設けられる。一方、感知器本体20の底板21の対応する部位には、台形状をなすキー24が固着もしくは底板21と一体に形成されている(図2参照)。
【0024】
コマ17は、ピン18と反対側に位置する頂点が、感知器本体20側の上記キー24を向くように配設されているとともに、幅が内側壁11cとリブ11eとの間の溝の幅よりも僅かに小さくなるように設定されており、感知器本体20を取り付ける前は左右の頂点が内側壁11cとリブ11eの間で、僅かな抵抗を持って回転するようにされており、図示しないロック構造(ピン18とピン穴との間の摩擦力によるものを含む)で、中立位置と回転後の位置にロックされ、それ以上回転しないようになっている。
キー24は、コマ17と対向する面が感知器の半径方向に対して傾斜するように形成されている。そして、キー24のこの傾斜は、図4(A)と(B)に示すように、感知器の種類によって逆の傾きとなるように設定される。
【0025】
以上説明したように、上記実施形態の火災感知端末においては、感知器ベース10に回転可能なコマ17が設けられ、感知器本体20にキー24が設けられていることにより、感知器本体20のガイド片23を感知器ベース10の外周壁11bと内側壁11cとの隙間に所定部位に嵌合させてから、図3に示されている矢印の向きの方向に、感知器本体20全体を回転させると、図4(A)に示すように、キー24の傾斜面がコマ17を回転させ、頂点が内側壁11cの側面に当接することでそれ以上の回転を阻止する。このとき、外部端子22A~22Fが、対応する接続端子12A~12Fに係合した状態となるように、コマ17とキー24の位置が設定されている。
【0026】
そして、一旦図4(A)に示すような状態になると、その後、感知器本体20を逆方向へ回転して外してもコマ17は図示しないロック構造により元の姿勢に戻らなくなる。つまり、コマ17は感知器の種類を記憶した状態となる。そのため、その後傾斜面の傾きが逆である他の種類の感知器本体20を感知器ベース10に嵌合させるべく回転させたときに、図4(B)に示すように、キー24の先端がコマ17の頂点に当たってしまい、充分な角度まで感知器本体20を回転させることができないので、作業者は感知器の種類が異なることを認識することができるので、誤設置を防止することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、コマ17とキー24を1組設けた場合について説明したが、コマ17とキー24を複数組設けるようにしても良い。コマ17とキー24を複数組設けた場合、一の組と他の組とではキー24の先端の傾斜面の傾き方向を逆に設定することが可能である。従って、コマ17とキー24の組を2組設けた場合には、最大で4種類の感知器を区別して、いずれか1種類の感知器のみを感知器ベースに取り付けることができるように制限することができる。
【0028】
(変形例)
次に、上記実施形態の火災感知端末の変形例について、図5および図6を用いて説明する。
上記実施形態の火災感知端末においては、感知器ベース10に三角形をなすコマ17がピン18によって回転可能に設けられているのに対し、本変形例においては、内側壁11cとリブ11eとの間の溝の底面に、当該溝と直交する方向のスリット11hを形成し、このスリット11h内にピン状のコマ17’をスリット11hに沿って移動可能に収納したものである。感知器本体20側のキー24は、上記実施形態と同様であり、感知器の種類に応じて先端の傾斜面の傾きが逆のものが設けられている。
【0029】
本変形例においては、感知器本体20を感知器ベース10に取り付ける前は、図5に示すように、コマ17’はスリット11hの中央に位置されている。この状態で、矢印の向きの方向に、感知器本体20全体を回転させると、図6(A)に示すように、キー24の傾斜面がコマ17’をスリット11hの一方の端へ移動させ、コマ17’が停止することでそれ以上の回転を阻止する状態となる。
【0030】
そして、一旦図6(A)に示すような状態になると、その後感知器本体20を逆方向へ回転して外しても図示しないロック構造によりコマ17’は元の位置に戻らない。つまり、コマ17’は感知器の種類を記憶した状態となる。そのため、その後傾斜面の傾きが逆である他の種類の感知器本体20を感知器ベース10に嵌合させるべく回転させたときに、図6(B)に示すように、キー24の先端がコマ17’に当たってしまい、充分な角度まで感知器本体20を回転させることができないので、作業者は感知器の種類が異なることを認識することができるので、誤設置を防止することができるようになる。
【0031】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではない。例えば、前記実施形態における三角形のコマ17の代わりに、図7に示すように回転可能な円板17aの偏心した位置にピン17bを立てたものを使用するとともに、内側壁11cとリブ11eの側面に上記ピン17bと干渉することで回転を阻止するストッパとなる突起を形成し、当初はピン17bが図3における三角形のコマ17の頂点の位置と同じ位置に来るように設置しておく。そして、感知器本体20を感知器ベース10に嵌合させると、感知器の種類(キーの傾き)に応じて、駒としての円板17aが回転してピン17bが左または右のいずれかに移動するように構成してもよい。
【0032】
また、前記実施形態においては、キー24を感知器本体20の底板21に固着または一体に形成すると説明したが、ビスによってキー24を感知器本体20の底板21に固定するように構成しても良い。そして、その場合、図8に示すように、キー24にビスの挿通キー24aを設けるとともに、キー24の前端面と後端面にそれぞれ傾斜面を形成したものを使用し、表裏を変えて180度回転させて取り付けることで前端の傾きを変えられるようにすることによって、1つの形状のキーを異なる種類の感知器に利用し、コストを下げるように構成することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 感知器ベース(感知器設置用ベース)
11 ベース本体
11a 底板
11b 外周壁
11c 内側壁
11e リブ
11h スリット
12A~12F 接続端子
13A~13F 固定用ビス
14A~14F 配線接続用ビス
15A~15F セフティワッシャ
17 コマ
20 感知器本体(火災感知器本体)
21 底板
21a 突起
22A~22F 外部端子
23 ガイド片
24 キー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8