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  • 特開-架空配線の引き込み構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142733
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】架空配線の引き込み構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/02 20060101AFI20241003BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02G7/02
E04B9/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055032
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 建造
(72)【発明者】
【氏名】志賀 俊之
【テーマコード(参考)】
5G367
【Fターム(参考)】
5G367DA02
5G367DC02
5G367DC03
(57)【要約】
【課題】意匠性を向上でき、引き込み位置の制約を受けることなく架空配線を引き込むこと。
【解決手段】架空配線の引き込み構造は、屋根軒部(1)内の垂木(11)の下方に位置して内外方向に延在し、軒天ボード(15)を上方から支持する桟部材(5)と、軒天ボードに直交して配置され、垂木および桟部材の側面に上端および下端がそれぞれ固定される板部材(3)と、軒天ボードに交差する外壁(9)から離れて配置され、板部材が固定された桟部材に軒天ボードを介して固定される引き込み具(4)とを備え、引き込み具に、架空配線を係止するための係止部(43)が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根軒部を有する建物における架空配線の引き込み構造であって、
前記屋根軒部内の垂木の下方に位置して内外方向に延在し、軒天ボードを上方から支持する桟部材と、
前記軒天ボードに直交して配置され、前記垂木および前記桟部材の側面に上端および下端がそれぞれ固定される板部材と、
前記軒天ボードに交差する外壁から離れて配置され、前記板部材が固定された前記桟部材に前記軒天ボードを介して固定される引き込み具とを備え、
前記引き込み具に、前記架空配線を係止するための係止部が設けられている、架空配線の引き込み構造。
【請求項2】
前記垂木および前記桟部材を両側から挟み込むように、互いに平行な2枚の前記板部材が固定されている、請求項1に記載の架空配線の引き込み構造。
【請求項3】
前記桟部材は、軒天下地桟と、前記軒天下地桟の上面に載置された補強用の第1増し桟とを含む、請求項1に記載の架空配線の引き込み構造。
【請求項4】
前記第1増し桟を下枠とする補強枠部材をさらに備え、
前記補強枠部材は、前記垂木の下面に面接触する第2増し桟と、前記第1増し桟と前記第2増し桟との間隔を維持する第3増し桟とを有している、請求項3に記載の架空配線の引き込み構造。
【請求項5】
前記引き込み具は、
前記軒天ボードの下方に位置して内外方向に延在し、固定手段により前記桟部材に固定される本体部分と、
前記本体部分よりも屋外側または下方に突出し、先端に前記係止部を有する突出部分とを含む、請求項1に記載の架空配線の引き込み構造。
【請求項6】
前記引き込み具は、前記軒天ボードの底面に沿って、内外方向に直線状に延在するL字状部材により構成されており、
前記引き込み具と前記軒天ボードとの間にスペーサが設けられている、請求項1に記載の架空配線の引き込み構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空配線の引き込み構造に関し、特に、電気ケーブルや通信ケーブルなどの架空配線を家屋等の建物内に引き込むための建物側の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
架空配線を家屋等の建物内に引き込むために、従来は、建物の外壁に取り付けた引き込み金具に架空配線を係止していた。このような引き込み金具は、外壁の柱など建物躯体部に固定されるため、架空配線の張力に耐えることができる。
【0003】
特開2007-116841号公報(特許文献1)に示されるように、引き込み金具を家屋の軒天井の角部に取り付ける技術も提案されている。この金具は、三角形状を有し、所定の固定手段により家屋の軒天井の角部に固定される家屋側固定部材と、三角形状を有し、所定の固定手段により前記家屋側固定部材に固定され、架空引込線が巻回される碍子を係止する係止部を有する引込線係止部材とを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-116841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
家屋の外壁に取り付けた引き込み金具を介して架空配線を引き込む構造においては、配線を引き込む方向(角度)によって屋根や軒部に干渉することがある。そのため、このような干渉対策として、図5に示すように引き込みポールPを設置して架空配線Cを中継している。引き込みポールPを設置する場合、施工時間およびコストが増えるだけでなく、意匠性が低下することから、引き込みポールを用いることなく架空配線を建物内に引き込むことのできる技術が求められていた。
【0006】
特許文献1の引き込み金具は、軒天井の角部に固定されるものであるため、架空配線の引き込み位置が建物の角部に限定され、周辺環境等により、架空配線を建物の角部に引き込むことが困難な場合がある。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、意匠性を向上でき、引き込み位置の制約を受けることなく架空配線を引き込むことのできる引き込み構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従う架空配線の引き込み構造は、屋根軒部を有する建物における架空配線の引き込み構造であって、屋根軒部内の垂木の下方に位置して内外方向に延在し、軒天ボードを上方から支持する桟部材と、軒天ボードに直交して配置され、垂木および桟部材の側面に上端および下端がそれぞれ固定される板部材と、軒天ボードに交差する外壁から離れて配置され、板部材が固定された桟部材に軒天ボードを介して固定される引き込み具とを備え、引き込み具に、架空配線を係止するための係止部が設けられている。
【0009】
好ましくは、垂木および桟部材を両側から挟み込むように、互いに平行な2枚の板部材が固定されている。
【0010】
好ましくは、桟部材は、軒天下地桟と、軒天下地桟の上面に載置された補強用の第1増し桟とを含む。
【0011】
好ましくは、架空配線の引き込み構造は、上記第1増し桟を下枠とする補強枠部材をさらに備える。この場合、補強枠部材は、垂木の下面に面接触する第2増し桟と、第1増し桟と第2増し桟との間隔を維持する第3増し桟とを有していることが望ましい。
【0012】
好ましくは、引き込み具は、軒天ボードの下方に位置して内外方向に延在し、固定手段により桟部材に固定される本体部分と、本体部分よりも屋外側または下方に突出し、先端に係止部を有する突出部分とを含む。
【0013】
引き込み具は、たとえば、軒天ボードの底面に沿って、内外方向に直線状に延在するL字状部材により構成されている。この場合、引き込み具と軒天ボードとの間にスペーサが設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、引き込み位置の制約を受けることなく架空配線を引き込むことができる。また、引き込み具が目立たないため、意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る架空配線の引き込み構造を示す図であり、(A),(B)はそれぞれ、建物の屋根軒部の縦断面および横断面を示す。
図2】(A),(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態における補強枠部材および板部材を示す図である。
図3】引き込み具の他の形状例を示す図である。
図4】引き込み具の他の形状例を示す図である。
図5】一般的な架空配線の引き込み構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0017】
(概要について)
図1を参照して、家屋などの建物における架空配線の引き込み構造の概要について説明する。図1は、本実施の形態に係る架空配線の引き込み構造を示す図であり、(A),(B)はそれぞれ、建物の屋根軒部1の縦断面および横断面を示す。以下の説明において、屋根軒部1の出方向(勾配屋根の水下側)を屋外側、その反対側(勾配屋根の水上側)を屋内側といい、屋根軒部1の出方向に沿う方向を内外方向という。また、内外方向に直交する方向(軒桁方向)を左右方向という。図1において、矢印A1は屋外側を示し、矢印A2は上下方向を示し、矢印A3は左右方向を示している。
【0018】
図1(A)に示されるように、本実施の形態では、架空配線C(想像線で示す)を建物内に引き込むための引き込み具4が、建物の外壁9ではなく、屋根軒部1の軒天ボード15を介して桟部材5に固定されている。引き込み具4は、典型的には金属製(金具)である。
【0019】
屋根軒部1の一般的な構成について簡単に説明すると、屋根軒部1は、屋根下地10を下方から支持する垂木11と、垂木11の屋外側端部に接続されて左右方向に延在する鼻隠し12と、外壁9の上端部から鼻隠し12まで屋外方向に延在する縦野縁13と、縦野縁13に直交して左右方向に延在する横野縁14と、縦野縁13および横野縁14の少なくとも一方に固定される軒天ボード15とを含む。野縁13,14は軒天ボード15を支持するための軒天下地桟である。なお、屋根軒部1の出寸法が比較的大きい場合には、縦野縁13または横野縁14に吊り木(図示せず)が設けられることがある。
【0020】
引き込み具4は、軒天ボード15の底面15bに沿って内外方向に直線状に延在しており、その先端(屋外側端部)に、架空配線Cを係止するための係止部43が設けられている。係止部43は、たとえば、架空配線Cを挿通する挿通孔を少なくとも2個有している。架空配線Cを係止部43に係止した状態(以下「取り付け状態」という)においては、架空配線Cの張力により、引き込み具4を固定した構造物、すなわち軒天ボード15に電柱(図示せず)の線路方向への荷重が掛かる。軒天ボード15は軒天下地桟である野縁13,14に支持されているものの、荷重(架空配線Cの張力)に耐え切れず、軒天ボード15が脱落するおそれがある。
【0021】
そこで、本実施の形態に係る架空配線の引き込み構造は、軒裏空間に補強枠部材2および板部材3を設けて軒天ボード15を支持する構造物(縦野縁13等)を補強し、これによって架空配線Cの張力に耐え得るようにしている。以下、補強枠部材2、板部材3、および引き込み具4について詳細に説明する。
【0022】
(補強枠部材について)
まず、図1および図2(A)を参照して、補強枠部材2について説明する。図2(A)は補強枠部材2を示す図である。
【0023】
補強枠部材2は、内外方向に沿って水平に延びる水平桟21と、水平桟21の屋外側端部に一端が接続され、垂木11と平行に延びる傾斜桟22と、水平桟21と傾斜桟22との間隔を維持する垂直桟23とを一体的に含む。補強枠部材2は、直角三角形状の枠体であり、水平桟21が補強枠部材2の下枠となっている。
【0024】
補強枠部材2の各桟21~23は、屋根軒部1に予め備え付けられた軒天下地桟(縦野縁13)に追加して設けられた、補強用の増し桟である。各桟21~23は、垂木11の幅寸法と同等の幅を有する角材である。同等とは、完全同一に限定されず、加工誤差を許容するものとする。また、本明細書に記載の水平、垂直、直交、平行という表現は、若干の誤差(たとえば10度未満の誤差)を許容するものとする。
【0025】
図1に示されるように、補強枠部材2は、垂木11と鼻隠し12と縦野縁13とに囲まれた空間に配置される。水平桟21は「第1増し桟」であり、縦野縁13の上面に載置されている。水平桟21は、縦野縁13に固定されている(図示せず)。水平桟21は縦野縁13と一体化され、軒天ボード15を支持する桟部材5を構成する。軒天ボード15は、図1(A)に示すように、水平桟21まで貫通するビス60により固定されていてもよい。
【0026】
傾斜桟22は「第2増し桟」であり、一端から他端まで垂木11の下面に面接触している。傾斜桟22は、垂木11に固定されている。垂直桟23は「第3増し桟」であり、下端が水平桟21に固定され、上端が傾斜桟22に固定されている。これにより、垂直桟23は、水平桟21と傾斜桟22との間隔を維持することができる。本実施の形態では、傾斜桟22は、水平桟21の屋外側端部に一端が接続され、水平桟21と傾斜桟22との交差部が鼻隠し12に接触している。
【0027】
補強枠部材2は、事前に三角形状に組まれていてもよいし、現場で一つずつ桟21~23を固定してもよい。後者の場合、垂直桟23の上端は、垂木11に直接固定されてもよい。同様に垂直桟23の下端は野縁13に直接固定されてもよい。なお、垂直桟23は軒天ボード15に直交していればよく、水平桟21は軒天ボード15と平行であればよい。
【0028】
屋根軒部1の出寸法が比較的大きい場合、補強枠部材2は、水平桟21の長手方向中央部から傾斜桟22まで垂直に延びる垂直桟24をさらに含んでいてもよい。この垂直桟24もまた「第3増し桟」として機能する。また、傾斜桟22と水平桟21とが直接接続される形態に限定されず、水平桟21の屋外側端部と傾斜桟22の屋外側端部とを接続する他の垂直桟が設けられていてもよい(図示せず)。
【0029】
補強枠部材2を屋根軒部1の構造物に固定するための固定手段(締結部材)は、ビス、ネジ、および釘などの棒状固着具であってもよいし、接着剤などであってもよい。なお、本明細書では、棒状固着具を単に「ビス」という。
【0030】
(板部材について)
次に、図1および図2(B)を参照して、板部材3について説明する。図2(B)は板部材3を示す図である。
【0031】
板部材3は、軒天ボード15に直交して配置され、垂木11および桟部材5の側面に上端および下端がそれぞれ固定されている。板部材3の板厚寸法は、たとえば10mm以上20mm以下である。板部材3の下端部31が、ビス61により桟部材5の側面に固定され、板部材3の上端部33が、ビス62により垂木11の側面に固定されている。板部材3は、典型的には合板により構成される。なお、板部材3の材質は特に問わないが、垂直方向に伸縮性を有さず、板厚方向に剛性を有していることが望ましい。板部材3は、たとえば鋼板により構成されてもよい。
【0032】
板部材3の下端部31は、第1増し桟である水平桟21の側面に固定されている。そのため、縦野縁13の幅が垂木11の幅より小さい場合にも対応可能である。なお、板部材3と縦野縁13とが面接触した状態においては、板部材3の下端部31を縦野縁13の側面に固定してもよい。
【0033】
板部材3は、取り付け状態において、補強枠部材2の水平桟21および傾斜桟22に面接触する。図1(A)に示されるように、板部材3は、側方(左右方向一方側)から見て、補強枠部材2と完全に重なるように配置されていることが望ましい。この場合、板部材3は、水平桟21の側面だけでなく、垂直桟23の側面にもビス63により固定されていることが望ましい。板部材3は、傾斜桟22の側面にもビス固定されていてもよい(図示せず)。
【0034】
板部材3の形状は、平面視において直角台形を90度回転させた形状となっている。取り付け状態における板部材3の下端部(台形の脚に相当する部分)31に、切欠き部33が設けられている。切欠き部33は、野縁14に対応する箇所に設けられている。これにより、内外方向における板部材3の下端面31aの全体が、軒天空間に露出している軒天ボード15の上面15aに面接触する。また、板部材3の傾斜した上端面32aの全体が、屋根下地10の下面に面接触することが望ましい。
【0035】
図1(B)に示されるように、板部材3は、垂木11および桟部材5の両側に設けられることが望ましい。つまり、垂木11および桟部材5を両側から挟み込むように、互いに平行な2枚の板部材3が固定されていることが望ましい。2枚の板部材3の形状および大きさは互いに同じ(同等)であり、2枚の板部材3の両方が、垂木11および補強枠部材2(少なくとも水平桟21)の側面に面接触した状態で固定されていることが望ましい。
【0036】
(引き込み具について)
図1(B)に示すように、引き込み具4は、桟部材5の真下の位置に、外壁9から離れて配置されている。引き込み具4は、軒天ボード15を介して桟部材5に固定されている。引き込み具4を桟部材5に固定するための固定手段は、典型的にはビス(棒状固着具)64である。
【0037】
引き込み具4は、軒天ボード15の底面15bに沿って、内外方向に直線状に延在している。引き込み具4は、屋外側端部が鼻隠し12よりも屋外方向に突出するように取り付けられている。具体的には、引き込み具4は、軒天ボード15の配置領域内に位置する本体部分40aと、当該本体部分40aよりも屋外方向に突出した突出部分40bとを有している。突出部分40bに係止部43が設けられている。
【0038】
本実施の形態では、引き込み具4は、L字状部材により構成されており、軒天ボード15の底面15bに対面する対面部41と、対面部41から下方に垂れ下がる垂下部42とを有している。対面部41は、長手方向の少なくとも2箇所において、ビス64によって桟部材5に固定されている。係止部43は、垂下部42の屋外側端部に設けられている。対面部41および垂下部42には、長手方向(内外方向)に沿って複数の貫通孔が設けられていることが望ましく、これらの貫通孔が、ビス64の挿通と架空配線Cの係止とに用いられてもよい。
【0039】
本実施の形態のように、引き込み具4が内外方向に延在する直線状部材により構成されている場合、軒樋7に干渉するおそれがある。そのため、図1(A)に示されるように、引き込み具4の対面部41と軒天ボード15との間にスペーサ65が設けられてもよい。スペーサ65は、たとえばビス64に嵌合する1つまたは複数のナットにより構成されていてもよい。
【0040】
上述のように、引き込み具4が屋根軒部1から屋外方向に突出する突出部分40bを有しており、この部分40bに架空配線Cが係止されるため、従来のような引き込みポールを不要とすることができる。
【0041】
また、取り付け状態において、引き込み具4は、補強枠部材2および板部材3により補強された軒天下地桟(縦野縁13)に、ビス64によって固定されているため、架空配線Cの張力による電柱の線路方向への荷重に十分に耐えることができる。これにより、引き込み具4を介して入力する荷重を外壁9に分担させることなく、引き込み具4を取り付けることができるので、屋根軒部1の出寸法に関わらず、共通の形状および長さの引き込み具4を適用することができる。つまり、内外方向における引き込み具4の軒天ボード15への取り付け位置を調整するだけで、係止部43を屋根軒部1(および軒樋7)よりも屋外側に突出させることができる。
【0042】
また、引き込み具4は、屋根軒部1の左右方向に沿って間隔をあけて配置された縦野縁13に対して固定する構造であるため、設置位置の自由度が高い。そのため、本実施の形態によれば、引き込み位置の制約を受けることなく架空配線Cを引き込むことができる。また、引き込み具4は目立たないため、意匠性を向上させることができる。
【0043】
(引き込み具の他の形状例)
図3および図4を参照して、引き込み具の他の形状例について説明する。なお、これらの図において、補強枠部材2および板部材3の図示は省略している。
【0044】
上記実施の形態における引き込み具4は、図3(A)に示すように屋内側端部から屋外側端部まで直線状に延びる部材により形成されることとしたが、図3(B)に示す引き込み具4Aのように、側方から見て段差を有していてもよい。
【0045】
引き込み具4Aは、軒天ボード15に面接触して内外方向に延在する本体部分40aと、本体部分40aの屋外側端部から下方に延びる連結部分40cと、連結部分40cの下端から屋外側に突出する突出部分40bとを含む。このように、突出部分40bは、本体部分40aよりも下方位置において、本体部分40aよりも屋外側に突出する。この引き込み具4Aによれば、突出部分40bが本体部分40aよりも下段に位置するので、本体部分40aと軒天ボード15との間にスペーサ65を設けなくても、突出部分40bが軒樋7に干渉することを防止できる。また、本体部分40aを軒天ボード15に密着させて固定できるため、引き込み具4Aの桟部材5への固定強度を向上させることができる。
【0046】
また、図4(A)に示す引き込み具4Bのように、側方から見てL字状に形成されていてもよい。引き込み具4Bは、軒天ボード15に面接触して内外方向に延在する本体部分40aと、本体部分40aの屋外側端部から下方に突出する突出部分40dとを含む。突出部分40dの下端部(先端部)に、架空配線Cを係止するための係止部43が設けられている。この引き込み具4Bによれば、本体部分40aおよび突出部分40dの全体が軒天ボード15の配置領域内に配置されるため、突出部分40dの軒樋7への干渉を確実に防止できる。
【0047】
なお、突出部分40dが鉛直下向きに延在する例に限定されず、屋外側に向かって斜め下方向に延在していてもよい。つまり、本体部分40aと突出部分40dとがなす角度は、直角である例に限定されず、鈍角であってもよい。
【0048】
あるいは、図4(B)に示す引き込み具4Cのように、本体部分40aの内外方向中央部から支柱形状の突出部分40eが下向きに設けられていてもよい。この場合、本体部分40aは平板であってもよい。
【0049】
(引き込み構造の変形例)
架空配線の引き込み構造は、引き込み具4を固定する構造物(軒天ボード15、縦野縁13等)の補強のため、上述のように補強枠部材2と板部材3の両方を備えることが望ましいものの、このような例に限定されない。たとえば、補強枠部材2を構成する傾斜桟22および垂直桟23,24を設けなくてもよい。つまり、水平桟21のみを増し桟として用いてもよい。このように、引き込み具4を介して架空配線Cの荷重を受ける桟部材5は、縦野縁13と水平桟21とを含んでいることが望ましい。
【0050】
あるいは、架空配線の引き込み構造は、引き込み具4を固定する構造物(軒天ボード15、縦野縁13等)の補強のために、少なくとも1枚の板部材3を備えていればよい。また、板部材3は、側方から見て軒裏空間の全範囲に亘って設けられることが望ましいものの、軒裏空間の内外方向の一部の範囲(少なくとも、桟部材5の全長のうちビス64による引き込み具4の固定領域を含む範囲)にのみ設けられていてもよい。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 屋根軒部、2 補強枠部材、3 板部材、4,4A,4B,4C 引き込み具、5 桟部材、9 外壁、10 屋根下地、11 垂木、13,14 野縁(軒天下地桟)、15 軒天ボード、21~24 増し桟、40a 本体部分、40b,40d,40e 突出部分、41 対面部、42 垂下部、43 係止部、65 スペーサ。
図1
図2
図3
図4
図5