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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142734
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20241003BHJP
   B66B 1/18 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B66B3/00 M
B66B1/18 K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055035
(22)【出願日】2023-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 寛
(72)【発明者】
【氏名】濱口 萌子
(72)【発明者】
【氏名】平田 智之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】水戸 陵人
(72)【発明者】
【氏名】立岡 利茂弥
(72)【発明者】
【氏名】山田 真太郎
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303AA05
3F303DB03
3F303DC05
3F303DC15
3F502HB02
3F502JA72
3F502MA03
3F502MA43
3F502MA48
3F502MA49
(57)【要約】
【課題】エレベータの1巡目と2巡目を区別して行先階呼びを割り当てることができるエレベータシステムにおいて、利用者が、割り当てられたエレベータの利用を誤る事態を抑制できるエレベータシステムを提供すること。
【解決手段】利用者によって行先階登録装置により登録された行先階呼びを、複数台のエレベータにおけるいずれかの割当号機が、利用者の出発階に向かう何巡目かの運行のうちの特定の運行に割り当てる群管理制御装置と、出発階に設けられ、号機別に、当該号機が出発階に順次到着する予定に関する情報を表示する表示装置と、を備え、群管理制御装置は、行先階呼びの割当結果に基づいて、割当号機と特定の運行との組合せを識別する識別情報を決定して、識別情報を行先階登録装置に表示させ、表示装置において、利用者の行先階を表さずに、割当号機が特定の運行において出発階に到着する順序を表すように識別情報を表示させる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者によって行先階登録装置に入力された情報により登録された行先階呼びを、複数台のエレベータにおけるいずれかの割当号機が、前記利用者の出発階に向かう何巡目かの運行のうちの特定の運行に割り当てる群管理制御装置と、
前記出発階に設けられ、前記複数台のエレベータにおける号機別に、当該号機が前記出発階に順次到着する予定に関する情報を表示する表示装置と、
を備え、
前記群管理制御装置は、
前記行先階呼びの割当結果に基づいて、前記割当号機と前記特定の運行との組合せを識別する識別情報を決定して、前記識別情報を前記行先階登録装置に表示させ、
前記表示装置において、前記利用者の行先階を表さずに、前記割当号機が前記特定の運行において前記出発階に到着する順序を表すように前記識別情報を表示させる、
エレベータシステム。
【請求項2】
前記表示装置は、前記複数台のエレベータにおける各号機に対応して設けられた複数の表示部を含み、
各表示部は、当該表示部に対応する号機が前記出発階に到着する順序における1番目を示す第1表示領域と、2番目を示す第2表示領域と、を有し、
前記群管理制御装置は、
前記行先階呼びを、前記割当号機の1巡目の運行に割り当てると、前記割当号機に対応する表示部の第1表示領域に、前記識別情報を表示させ、
前記行先階呼びを、前記割当号機の2巡目の運行に割り当てると、前記割当号機に対応する表示部の第2表示領域に、前記識別情報を表示させる、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記群管理制御装置は、前記表示装置に前記識別情報を表示させた後で前記割当号機が前記出発階に到着する毎に、前記表示装置における前記識別情報の表示を更新させる、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記表示装置において、前記複数台のエレベータのうちの所定号機の1巡目の運行に関する第1識別情報が表示された状態で、前記群管理制御装置は、
前記所定号機を前記割当号機とする新たな行先階呼びが、前記1巡目の運行に割り当てられたとき、当該新たな行先階呼びに対する第2識別情報を、前記第1識別情報と同一の情報に決定し、
前記新たな行先階呼びが、前記1巡目の後の2巡目以降の運行に割り当てられたとき、前記第2識別情報を、前記第1識別情報とは異なる情報に決定する、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記群管理制御装置は、
前記行先階登録装置に、前記割当号機を表示させずに、前記識別情報を表示させ、
前記出発階に設けられた前記表示装置に同時に表示される、前記複数台のエレベータに関する複数の識別情報が、互いに重複しないように、前記識別情報を決定する、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記群管理制御装置は、
前記複数台のエレベータにおいて、前記行先階呼びを1巡目の運行に割り当てることができる候補号機があるか否かを判断し、
前記候補号機がある場合、前記候補号機を前記割当号機として前記行先階呼びを割り当て、
前記候補号機がない場合、前記行先階呼びを、前記複数台のエレベータにおけるいずれかの号機の2巡目の運行に割り当てることができるか否かを判断する、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記行先階登録装置をさらに備え、
前記行先階登録装置は、
前記利用者による情報の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部における前記情報の入力に応じて、前記群管理制御装置から前記識別情報を取得する通信部と、
取得した前記識別情報を表示する表示部と、
を備える、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
前記識別情報は、前記割当号機と前記特定の運行との組合せ別に決定されるマーク、文字列、記号および色のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項9】
利用者によって行先階登録装置に入力された情報により登録された行先階呼びを、複数台のエレベータにおけるいずれかの割当号機が、前記利用者の出発階に向かう何巡目かの運行のうちの特定の運行に割り当てるエレベータの制御方法であって、
前記行先階呼びの割当結果に基づいて、前記割当号機と前記特定の運行との組合せを識別する識別情報を決定して、前記識別情報を前記行先階登録装置に表示させ、
前記出発階に設けられ、前記複数台のエレベータにおける号機別に、当該号機が前記出発階に順次到着する予定に関する情報を表示する表示装置において、前記利用者の行先階を表さずに、前記割当号機が前記特定の運行において前記出発階に到着する順序を表すように前記識別情報を表示させる、
エレベータの制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載のエレベータの制御方法を演算回路に実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、行先階に向かう利用者の人数を考慮して行先階に対してかごを割り当てることで、各エレベータの輸送力を向上させる通知システムを開示する。当該システムは、所定条件を満たすと行先階を特定かごに割り当てて、当該行先階が当該かごに割り当てられたことをディスプレイに通知する。また、当該システムは、ディスプレイの表示画面で、各かごが割り当てられている次回の行先階と、次々回の行先階とを通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6463401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、エレベータの1巡目と2巡目を区別して行先階呼びを割り当てることができるエレベータシステムにおいて、利用者が、割り当てられたエレベータの利用を誤る事態を抑制できるエレベータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るエレベータシステムは、利用者によって行先階登録装置に入力された情報により登録された行先階呼びを、複数台のエレベータにおけるいずれかの割当号機が、利用者の出発階に向かう何巡目かの運行のうちの特定の運行に割り当てる群管理制御装置と、出発階に設けられ、複数台のエレベータにおける号機別に、当該号機が出発階に順次到着する予定に関する情報を表示する表示装置と、を備え、群管理制御装置は、行先階呼びの割当結果に基づいて、割当号機と特定の運行との組合せを識別する識別情報を決定して、識別情報を行先階登録装置に表示させ、表示装置において、利用者の行先階を表さずに、割当号機が特定の運行において出発階に到着する順序を表すように識別情報を表示させる。
【0006】
本発明に係るエレベータの制御方法は、利用者によって行先階登録装置に入力された情報により登録された行先階呼びを、複数台のエレベータにおけるいずれかの割当号機が、利用者の出発階に向かう何巡目かの運行のうちの特定の運行に割り当てるエレベータの制御方法であって、行先階呼びの割当結果に基づいて、割当号機と特定の運行との組合せを識別する識別情報を決定して、識別情報を行先階登録装置に表示させ、出発階に設けられ、複数台のエレベータにおける号機別に、当該号機が出発階に順次到着する予定に関する情報を表示する表示装置において、利用者の行先階を表さずに、割当号機が特定の運行において出発階に到着する順序を表すように識別情報を表示させる。
【0007】
本発明に係るコンピュータプログラムは、演算回路に本発明に係るエレベータの制御方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エレベータの1巡目と2巡目を区別して行先階呼びを割り当てることができるエレベータシステムにおいて、利用者が、割り当てられたエレベータの利用を誤る事態を抑制できるエレベータシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1におけるエレベータシステムが適用されるビルの特定階における機器配置を示した概略平面図
図2】実施の形態1に係るエレベータシステムの構成例を示すブロック図
図3】行先階登録装置の電気的構成を示すブロック図
図4】行先階登録装置に格納されているマークテーブルの構成の一例を示す図
図5】行先階登録装置の外観を模式的に示した正面図
図6】エレベータ制御装置の電気的構成を示すブロック図
図7】乗場表示装置の電気的構成を示すブロック図
図8】エレベータ乗場の一部を模式的に示した図
図9A】行先階登録装置の表示部の表示の一例を示す図
図9B】行先階登録装置の表示部の表示の一例を示す図
図10】エレベータ乗場に設けられた複数の乗場表示装置の表示の一例を示す図
図11】行先階登録装置による行先階登録処理の一例を示すフローチャート
図12】群管理制御装置による割当処理の一例を示すフローチャート
図13】群管理制御装置によるマーク決定処理の一例を示すフローチャート
図14A】群管理制御装置に格納されている管理テーブルの構成の一例を示す図
図14B】群管理制御装置に格納されている管理テーブルの構成の別の例を示す図
図15】群管理制御装置によるマーク更新処理の一例を示すフローチャート
図16】群管理制御装置に格納されている管理テーブルの構成の別の例を示す図
図17】乗場表示装置によるマーク表示処理の一例を示すフローチャート
図18】乗場表示装置の表示の一例を示す図
図19】乗場表示装置の表示の別の例を示す図
図20】乗場表示装置の表示の別の例を示す図
図21】乗場表示装置の表示の別の例を示す図
図22】実施の形態2に係る行先階登録装置の表示の一例を示す図
図23】実施の形態2に係る乗場表示装置の表示の一例を示す図
図24】実施の形態3に係る行先階登録装置の表示の一例を示す図
図25】実施の形態4に係る、エレベータ乗場に設けられた複数の乗場表示装置の表示の一例を示す図
図26】実施の形態5に係る行先階登録装置の表示の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施の形態に限定されない。本発明は、これら実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更、置き換え、付加、省略などが可能である。
【0011】
(実施の形態1)
1.構成
1-1.概要
実施の形態1におけるエレベータシステム100の概要について説明する。図1は、実施の形態1におけるエレベータシステム100が適用されるビル(建物)の特定階における機器配置を示した概略平面図である。特定階は、利用者がエレベータシステム100を利用可能な階である。本実施の形態に係るエレベータシステム100は、利用者が1階からX階の各階床でエレベータを利用できるように構成されている。X階は、エレベータが停止可能な階床の最上階を示す。
【0012】
実施の形態1に係るエレベータシステム100は、複数台のエレベータ50A~50Fと、エレベータ50A~50Fの走行及び運行を統合的に制御する群管理システム1と、を含む。群管理システム1は、各エレベータ50A~50Fを統合的に制御する群管理制御装置10を備える。実施の形態1では、エレベータシステム100が6台のエレベータ50A~50F(以下、適宜「号機」という)を有する例を示している。以下において、エレベータ50A~50Fを適宜A号機~F号機ともいう。各エレベータ50A~50Fの乗車用開口がエレベータ乗場側に設けられており、利用者は、エレベータ乗場からエレベータ50A~50Fに乗車する。なお、以下において、各エレベータ50A~50Fを区別せず「エレベータ50」という場合がある。
【0013】
ビルの特定階には、利用者がエレベータ50に乗車するエレベータ乗場が設けられている。各階床のエレベータ乗場の近傍には、1つ以上の行先階登録装置30、各エレベータ50A~50Fに対応するように設けられた乗場表示装置60A~60Fが配置されている。以下において、各乗場表示装置60A~60Fを区別せず「乗場表示装置60」という場合がある。乗場表示装置60は、表示装置の一例である。
【0014】
実施の形態1におけるエレベータシステム100では、利用者がエレベータ50のかごに乗車する前に行先階登録装置30で行先階を予め登録する行先階登録方式を採用している。群管理制御装置10は、予め登録された行先階に関する呼び(行先階呼び)を、複数台のエレベータ50のうちのいずれかの号機が、利用者の出発階に向かう何巡目かの運行のうちの特定の運行に割り当てる。そして、群管理制御装置10は、割り当てた号機の特定の運行に対応する情報を決定して、当該情報を、利用された行先階登録装置30に報知させる。また、群管理制御装置10は、当該情報を、当該号機が出発階に順次到着する予定に関する情報とともに当該号機に対応する乗場表示装置60に表示させる。なお、本実施の形態において、「到着」は、号機が出発階に停止することに限定されず、号機が出発階を通過することを含んでもよい。
【0015】
それによって、エレベータシステム100は、割り当てた号機を示す情報を利用者に報知し、乗場表示装置60に表示された情報に基づいて利用者に自身が乗車すべき号機を把握させ、利用者を当該号機に乗車させるように構成されている。以下、登録された行先階に関する呼びを、適宜、登録された行先階呼びという。
【0016】
群管理制御装置10は、例えば登録された行先階呼びを複数台のエレベータ50のうちのいずれかの号機の1巡目の運行に割り当てることができない場合、複数台のエレベータ50のうちのいずれかの号機の2巡目の運行に割り当てるように動作できる。これにより、群管理制御装置10は、例えば多くの利用者がエレベータ50に乗車する時間帯であっても、多くの登録された行先階呼びを複数台のエレベータ50のうちのいずれかに割り当てることができる。
【0017】
本実施の形態において、所定階における所定号機の1巡目の運行とは、当該所定号機が当該所定階に到着する順序における1番目に到着する運行を示す。所定階における所定号機の2巡目の運行とは、当該所定号機が当該所定階に到着する順序における2番目に到着する運行を示す。所定号機の1巡目の運行において、当該所定号機が所定階に通過又は所定階に停止して出発すると、所定号機の2巡目の運行は、1巡目の運行に繰り上がる。
【0018】
1-2.エレベータシステムの構成
図2は、本発明の実施の形態1に係るエレベータシステム100の構成例を示すブロック図である。エレベータシステム100は、群管理システム1と、複数台のエレベータ50A~50Fと、これらのエレベータに対応するように各階床に設けられた複数台の乗場表示装置60A~60Fと、を有する。群管理システム1は、群管理制御装置10と、各階床に配置された複数台の行先階登録装置30と、複数台のエレベータ制御装置40A~40Fと、を有する。
【0019】
群管理制御装置10は、行先階登録装置30との間で通信を行いながら、各号機に対する新規の呼びの割当制御を行う。各装置間は、情報伝送可能なネットワークを介して接続されている。当該ネットワークは、例えばEthernet(登録商標)等のLAN(Local Area Network)により構成され得る。各装置間での各種の情報の送受信は、TCP/IP等の各種のプロトコルにしたがって行われる。当該ネットワーク上に接続されている前述の各装置は、装置間において、各装置が有する入出力インタフェース装置により、TCP/IP等の各種のプロトコルにしたがった通信による信号伝送(情報伝送)が可能である。なお、エレベータシステム100を構成する各装置間は、他の信号形式のネットワーク、又は専用の信号網を介して接続されてもよい。
【0020】
各エレベータ50は、かご、巻上機(モータ)、釣合おもり等を有する。
【0021】
1-3.群管理制御装置の構成
群管理制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、入出力インタフェース13と、を備える。
【0022】
制御部11は、群管理制御装置10全体の動作を制御する。制御部11は、例えば、演算回路で構成され得る。制御部11は、プログラムを実行することにより所定の処理又は機能を実現するCPU又はMPUのような汎用プロセッサを含む。制御部11は、記憶部12と通信可能に構成され、当該記憶部12に格納された演算プログラム等を読み出して実行することにより、群管理制御装置10における後述する各種の機能を実現する。
【0023】
例えば、制御部11は、行先階登録装置30で登録された行先階呼びを、複数台のエレベータ50A~50Fのうちのいずれかのエレベータ50に割り当てる機能を実現する。制御部11は、各エレベータ50の運行情報、並びに取得した出発階及び行先階を考慮して、所定の演算処理により、各エレベータ50の中から行先階を割り当てるべきエレベータ50(割当号機)を決定する。各エレベータ50の運行情報は、例えば、各エレベータ50に割り当てられた行先階呼びに関する行先階及び出発階、各エレベータ50のかごの状態、予想される待ち時間、予想されるサービス完了時間、かごの予定される停止回数などを示す情報を含む。
【0024】
制御部11は、ハードウェア資源とソフトウェアとが協働して所定の機能を実現する態様に限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路で構成されてもよい。すなわち、制御部11は、CPU、MPU以外にも、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現され得る。このような制御部11は、例えば、半導体集積回路である信号処理回路で実現され得る。
【0025】
記憶部12は、種々の情報を記憶できる記憶媒体である。情報は、プログラム及びデータを含む。例えば、記憶部12は、実施の形態1に係る群管理制御装置10の各種の機能を実現するための演算プログラムを格納する。また、記憶部12は、各エレベータ50の運行情報を格納する。データは、詳細は後述する管理テーブル12aを含む。また、記憶部12は、後述するマークに関して、使用可能なマーク番号のリストを含むデータを格納する。記憶部12は、例えば、DRAM、SRAM若しくはフラッシュメモリ等のメモリ、HDD、SSD、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。
【0026】
入出力インタフェース13は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース13は、群管理制御装置10が、行先階登録装置30、エレベータ制御装置40A~40F、及び乗場表示装置60A~60Fとの間で各種の信号を送受信するためのインタフェースである。
【0027】
1-4.行先階登録装置の構成
図3は、実施の形態1に係るエレベータシステム100の行先階登録装置30の電気的構成を示すブロック図である。行先階登録装置30は、利用者が行先階の登録を行うための装置である。行先階登録装置30は、制御部31と、記憶部32と、入出力インタフェース33と、表示部34と、操作部35と、を備える。
【0028】
制御部31は、行先階登録装置30の動作を制御する。制御部31は、記憶部32と通信可能に構成され、記憶部32に格納された演算プログラム等を読み出して実行することにより、行先階登録装置30における後述する各種の機能を実現する。制御部31は、上記した制御部11と同様に構成され得る。
【0029】
記憶部32は、種々の情報を記憶できる記憶媒体である。例えば、記憶部32は、実施の形態1に係る行先階登録装置30の各種の機能を実現するための演算プログラム、及び種々のデータを格納する。データは、マークテーブル32aを含む。記憶部32は、上記した記憶部12と同様に構成され得る。
【0030】
図4は、行先階登録装置30の記憶部32に格納されているマークテーブル32aの構成の一例を示す図である。本実施の形態において、マークテーブル32aは、マーク番号に紐付けて、マークを格納している。
【0031】
「マーク番号」は、各マークを一意に識別するために設定された番号である。本実施の形態において、マーク番号は数字であるが、これに限定されず、アルファベット等、任意の情報が使用されてもよい。マーク番号は、識別情報の一例である。
【0032】
「マーク」は、行先階登録装置30及び乗場表示装置60に表示されることで、利用者が、自身に割り当てられた割当号機と特定の運行との組み合わせを識別するための情報である。図4に示すように、本実施の形態において、マークとしては、「猫」、「魚」、「犬」、「宝石」、「車」、「パン」などのマークが用いられる。マークは、識別情報の一例である。識別情報は、本実施の形態におけるマークに限定されず、文字列、記号及び色並びにそれらの組み合わせであってもよい。識別情報は、利用者の所望の行先階(例えば、5階、10階等)を表さない情報である。
【0033】
本実施の形態において図4のマークテーブル32aでは、マーク番号「1」に紐付けてマーク「猫」が格納されている。マーク番号「2」に紐付けてマーク「魚」が格納されている。マーク番号「3」に紐付けてマーク「犬」が格納されている。マーク番号「4」に紐付けてマーク「宝石」が格納されている。マーク番号「5」に紐付けてマーク「車」が格納されている。マーク番号「6」に紐付けてマーク「パン」が格納されている。マークテーブル32aは、上記に限定されず、任意のマーク番号に任意のマークを紐付けて格納できる。
【0034】
入出力インタフェース33は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース33は、行先階登録装置30が群管理制御装置10等の他の装置との間で各種の信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース33は、通信部の一例である。他の入出力インタフェースについても同様である。
【0035】
表示部34は、制御部31から出力される表示信号に基づく画像等の表示を行う。表示部34は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイで構成され得る。
【0036】
操作部35は、行先階登録装置30に対するユーザ操作を受け付けるインタフェースである。操作部35は、入力部の一例である。本実施の形態では、表示部34及び操作部35は、液晶ディスプレイパネル又は有機ELディスプレイパネルを利用したインセル型タッチパネル搭載のディスプレイ等の入出力装置として一体的に構成されている。操作部35は、例えば、テンキーであってもよい。操作部35は、操作内容に応じた信号を制御部31に出力する。なお、表示部34と操作部35とは、表示部34に表示されているボタンとのオブジェクトと同等の指定を行うことが可能であれば、異なる部品を利用して別々に構成されてもよい。
【0037】
図5は、行先階登録装置30の外観を模式的に示した正面図である。
【0038】
図5では、行先階登録装置30の表示部34に、テンキータイプの操作部35が表示されている。具体的には、表示部34は、「0」~「9」の数字がそれぞれ表示された10個の数字ボタンと、「確定」と表記された確定ボタンと、「削除」と表記された削除ボタンと、を有する。表示部34は、避難階を入力するためのボタン又は地下階を入力するためのボタン等を表示してもよい。
【0039】
制御部31は、利用者による操作部35の操作に応じた情報を表示部34に表示する。例えば、利用者が数字ボタンを操作(タッチ)すると、制御部31は、タッチされた数字ボタンに対応する数字を表示部34に表示する。制御部31は、利用者が確定ボタンをタッチすると、表示部34に表示している数字の階床を行先階として確定する。制御部31は、利用者による数字ボタンのタッチ操作後、所定時間経過すると確定ボタンがタッチされていなくても表示部34に表示中の階床を行先階として確定してもよい。所定時間は、例えば、数秒である。所定時間は任意の期間に設定され得る。また、制御部31は、利用者が削除ボタンをタッチすると、表示部34に表示している数字を取り消す。
【0040】
1-5.エレベータ制御装置の構成
図6は、実施の形態1に係るエレベータシステム100のエレベータ制御装置40A~40Fの1つの電気的構成を示すブロック図である。エレベータ制御装置40A~40Fは、エレベータ50A~50Fに対応させて設けられる。エレベータ制御装置40A~40Fは、群管理制御装置10からの制御信号にしたがって、対応するエレベータ50A~50Fの巻上機(モータ)等の動作を制御することにより、エレベータ50A~50Fのかごの上昇、下降、停止等を制御する。また、エレベータ制御装置40A~40Fはそれぞれ、対応するエレベータ50A~50Fのかごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含むかご状態を検知して、検知したかご状態を示す情報を群管理制御装置10に出力する。なお、以下において、各エレベータ制御装置40A~40Fを区別せず「エレベータ制御装置40」という場合がある。
【0041】
エレベータ制御装置40は、制御部41と、記憶部42と、入出力インタフェース43と、を有する。
【0042】
制御部41は、エレベータ制御装置40の動作を制御する。制御部41は、記憶部42と通信可能に構成され、記憶部42に格納された演算プログラム等を読み出して実行することにより、エレベータ制御装置40における後述する各種の機能を実現する。制御部41は、上記した制御部11と同様に構成され得る。
【0043】
記憶部42は、種々の情報を記憶できる記憶媒体である。例えば、記憶部42は、実施の形態1に係るエレベータ制御装置40の各種の機能を実現するための演算プログラムを格納する。記憶部42は、上記した記憶部12と同様に構成され得る。
【0044】
入出力インタフェース43は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース43は、エレベータ制御装置40と群管理制御装置10等の他の装置との間で各種の信号を送受信するためのインタフェースである。
【0045】
1-6.乗場表示装置の構成
図7は、実施の形態1に係るエレベータシステム100の乗場表示装置60A~60Fの1つの電気的構成を示すブロック図である。乗場表示装置60A~60Fは、エレベータ50A~50Fに対応させて設けられる。乗場表示装置60は、群管理制御装置10からの表示信号に応じて、マークを含む所定の情報を表示する。具体的には、乗場表示装置60は、複数台のエレベータ50における号機別に、当該号機が、乗場表示装置60が設けられている出発階に順次到着する予定に関する情報を順次表示する。利用者は、乗場表示装置60に表示された情報を確認することで、自身に割り当てられた号機をエレベータ乗場で把握することができる。乗場表示装置60は、制御部61と、記憶部62と、入出力インタフェース63と、表示部64と、を備える。
【0046】
制御部61は、乗場表示装置60の動作を制御する。制御部61は、記憶部62と通信可能に構成され、記憶部62に格納された演算プログラム等を読み出して実行することにより、乗場表示装置60における各種の機能を実現する。制御部61は、上記した制御部11と同様に構成され得る。
【0047】
記憶部62は、種々の情報を記憶できる記憶媒体である。例えば、記憶部62は、実施の形態1に係る乗場表示装置60の各種の機能を実現するための演算プログラム、及び種々のデータを格納する。記憶部62は、データとして、マークテーブル32aと同様の構成を有するマークテーブル62aを格納している。記憶部62は、上記した記憶部12と同様に構成され得る。
【0048】
入出力インタフェース63は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース63は、乗場表示装置60と群管理制御装置10等の他の装置との間で各種の信号を送受信するためのインタフェースである。
【0049】
表示部64は、制御部61から出力される表示信号に基づく画像等の表示を行う。表示部64は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイで構成され得る。表示部64は、当該乗場表示装置60に対応する号機が出発階に到着する順序における1番目を示す第1表示領域64aと、2番目を示す第2表示領域64bと、を有する。
【0050】
図8は、エレベータ乗場のエレベータ50Aに関する部分を模式的に示した図である。図8は、例として、1階のエレベータ乗場のエレベータ50Aを示す。
【0051】
図8に示すように、エレベータ50Aは、乗車用開口を開放又は閉鎖する扉51を有する。本実施の形態において、乗場表示装置60Aは、扉51の上方に配置される。乗場表示装置60Aは、利用者の行先階を表さずに、割当号機が特定の運行において出発階に到着する順序を表すようにマークを表示する。具体的には、図8に示す乗場表示装置60Aは、「先着」又は「次点」の表示とともに、任意のマークを表示する。先着は、第1表示領域64aに表示される。
【0052】
先着は、マークによって示される割当号機が、乗場表示装置60が配置されている階においてA号機の1巡目の運行であることを示す。次点は、第2表示領域64bに表示される。次点は、マークによって示される割当号機が、乗場表示装置60が配置されている階においてA号機の2巡目の運行であることを示す。本実施の形態において、第1表示領域64aは、「先着」を表示するがこれに限定されない。例えば、エレベータシステム100は、第1表示領域64aがマークのみを表示し、乗場表示装置60Aとは異なる構成要素を用いて、第1表示領域64aに対応する位置に「先着」と記載するように構成されてもよい。第2表示領域64bについても同様である。
【0053】
2.動作
行先階呼びを複数台のエレベータのいずれかの1巡目又は2巡目の運行に割り当てることができる典型的なエレベータシステムとしては、エレベータ乗場の表示装置が、1巡目及び2巡目の行先階を表示するものが考えられる。こうしたエレベータシステムは、上記の表示によって利用者に、自身が乗車すべきエレベータを把握させる。所定出発階で複数の利用者が所定号機に割り当てられた場合、所定号機の1巡目の運行と、2巡目の運行とに、同じ行先階が割り当てられる可能性がある。この場合、表示装置には、1巡目の運行及び2巡目の運行の両方に当該行先階が表示される。そのため、利用者は、エレベータ乗場において、例えば自身に割り当てられたエレベータが1巡目なのか2巡目なのか混乱し、割り当てられたエレベータとは異なるエレベータに乗車する可能性がある。
【0054】
これに対して、実施の形態1に係るエレベータシステム100は、以下に説明するように動作することで、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制できる。
【0055】
以下、実施の形態1に係るエレベータシステム100の動作の概要について説明する。
【0056】
図9Aは、行先階登録装置30の表示部34の表示の一例を示す図である。図9Aの例において、表示部34は、利用者により入力された行先階を表示している。具体的には、図9Aの表示部34では、利用者により数字ボタン「5」がタッチされた状態を示す。利用者が「確定」ボタンをタッチすると行先階を5階とする行先階呼びが登録される。
【0057】
利用者により行先階呼びが登録されると、群管理制御装置10は、当該行先階呼びを複数台のエレベータ50におけるいずれかの1巡目又は2巡目の運行に割り当てて割当号機を決定する。群管理制御装置10は、利用者が、自身が利用する号機を把握できるようにするために、割当号機に対応するマーク番号を決定する。
【0058】
図9Bは、行先階登録装置30の表示部34の表示の一例を示す図である。図9Bの例において表示部34は、割当号機を表示せずに、行先階、並びに群管理制御装置10から受信したマーク番号に対応するマークを表示している。具体的には、図9Bの表示部34には、「5F→マーク「リンゴ」」が表示されている。
【0059】
群管理制御装置10は、マーク番号を決定すると、このように行先階登録装置30を通じて当該マーク番号に対応するマークを利用者に報知する。それにより、利用者は、自身が乗車する号機を示すマークを把握できる。
【0060】
本システム100において、群管理制御装置10は、各階床のエレベータ乗場にエレベータ50ごとに設けられた乗場表示装置60に、対応する号機が当該階床に到着する順序を示す情報とともに当該マークを表示させる。
【0061】
図10は、エレベータ乗場に設けられた複数の乗場表示装置60A~60Fの表示の一例を示す図である。図10に示すように、A号機からF号機のそれぞれに対応する乗場表示装置60A~60Fは、それぞれ異なるマークを第1表示領域64a又は第2表示領域64bに表示している。このように、本実施の形態に係る群管理制御装置10は、所定階に設けられた乗場表示装置60に同時に表示される、複数台のエレベータ50に関するマークが、互いに重複しないように決定する。
【0062】
行先階登録装置30から図9Bに示すマークを報知された利用者は、エレベータ乗場に移動する。そして、利用者は、報知されたマークに基づき、エレベータ乗場で各乗場表示装置60の表示を確認することで、自身が乗車すべき号機とその運行状況を把握することができる。図10に示すA号機に関する乗場表示装置60Aでは、第1表示領域64aに先着としてマーク「猫」が表示されており、第2表示領域64bに次点としてマーク「リンゴ」が表示されている。したがって、利用者は、自身が乗車すべき号機の運行が、その号機における1巡目の運行ではなく2巡目の運行であると把握できる。このように、エレベータシステム100は、A号機の2巡目の運行(マーク「リンゴ」に対応する運行)とは異なる運行(マーク「猫」に対応する運行)においてA号機がエレベータ乗場に停止した際に利用者が誤って乗車する事態を抑制することができる。
【0063】
また、利用者は、第2表示領域64bに表示されていたマーク「リンゴ」が第1表示領域64aでの表示に切り替わると、次にエレベータ乗場に停止する号機(A号機)に乗車すればよいことを把握できる。したがって、当該利用者は、混乱することなく自身が乗車すべきエレベータ50に乗車することができる。
【0064】
上記した例において、マーク「猫」で示される運行と、マーク「リンゴ」で示される運行と、に同じ行先階が割り当てられていたとしても、利用者は、乗場表示装置60に示された情報を見ても各号機が停止する階を把握できない。マーク「リンゴ」の運行に割り当てられた利用者は、マーク「猫」の運行が所望の行先階に停止するかわからないため、当該利用者がマーク「猫」で示される1巡目に乗車する可能性が低減される。また、利用者は、自身に報知されたマークを把握しておけば、自身が乗車するエレベータ50を把握できる。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制する。
【0065】
また、上記した例において、所定出発階で複数の利用者がA号機の1巡目及び2巡目の運行に割り当てられた場合、1巡目に割り当てられた利用者はマーク「猫」で報知され、2巡目に割り当てられた利用者はマーク「リンゴ」で報知される。乗場表示装置60は、第1表示領域64aに先着として1つのマーク「猫」を、第2表示領域64bに次点として別の1つのマーク「リンゴ」を表示する。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0066】
2-1.行先階登録装置の動作
図11は、行先階登録装置30による行先階登録処理の一例を示すフローチャートである。
【0067】
行先階登録装置30の制御部31は、行先階呼びが登録されたか否かを判断する(S11)。本実施の形態において、行先階呼びは、利用者が操作部35を操作して所望の行先階を入力することで登録される。行先階呼びが登録されていない場合(S11:NO)、制御部31は、ステップS11の処理を再度実行する。
【0068】
行先階呼びが登録された場合(S11:YES)、制御部31は、行先階呼びに基づいて呼び信号を生成し、呼び信号を群管理制御装置10に送信する(S12)。呼び信号は、登録された行先階呼びを、複数台のエレベータ50A~50Fのうちのいずれかに割り当てることを要求する信号である。呼び信号は、行先階登録装置30ごとに固有の登録装置ID、出発階及び行先階を含む。なお、詳細は後述するが、群管理制御装置10は、呼び信号を受信すると、当該行先階呼びを割り当てた割当号機の運行に対応するマークを示すマーク番号を決定し、当該マーク番号を含む割当結果信号を行先階登録装置30に送信する。
【0069】
次に、制御部31は、群管理制御装置10から割当結果信号を受信したか否かを判断する(S13)。割当結果信号を受信していない場合(S13:NO)、制御部31は、ステップS13の処理を再度実行する。制御部31は、呼び信号の送信後、所定時間(例えば、5秒)経過しても割当結果信号を受信しない場合、表示部34に「ただいま混み合っています。しばらくお待ちください」のように表示してもよい。所定時間は、数秒など、任意の期間に設定され得る。
【0070】
割当結果信号を受信した場合(S13:YES)、制御部31は、行先階と、割当結果信号に含まれるマーク番号に対応するマークとを表示部34に表示する(S14)。これにより、行先階登録装置30は、行先階呼びを登録した利用者に、自身に割り当てられた割当号機を示すマークを表示する。
【0071】
制御部31は、例えば所定時間(例えば3秒)、図9Bに例示したような画面表示(S14)を表示部34に行わせてから、行先階登録処理を終了する。その後、制御部31は、例えばステップS11以降の処理を再び実行する。
【0072】
以上の行先階登録処理によると、行先階登録装置30は、利用者による行先階呼びが登録されると(S11:YES)、当該利用者に、行先階呼びを何巡目かに割り当てた割当号機に対応するマークを報知できる(S14)。
【0073】
2-2.群管理制御装置の動作
図12は、群管理制御装置10による割当処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
まず、群管理制御装置10の制御部11は、行先階登録装置30から呼び信号を受信したか否かを判断する(S21)。呼び信号を受信していない場合(S21:NO)、制御部11は、ステップS21の処理を再度実行する。
【0075】
呼び信号を受信した場合(S21:YES)、制御部11は、複数台のエレベータ50の運行情報などに基づいて、呼び信号の行先階呼びを1巡目に割当可能なエレベータ50(「1巡目の候補号機」という)があるか否かを判断する(S22)。
【0076】
1巡目の候補号機がある場合(S22:YES)、制御部11は、1巡目の候補号機の中から最適号機を決定する(S23)。最適号機は、割当号機において最適と想定される号機である。最適号機を決定する方法は、任意の方法でよく、制御部11は、例えば、待ち時間を候補号機ごとに算出し、利用者の待ち時間が最小となる候補号機を最適号機として決定してもよい。
【0077】
次に、制御部11は、決定した割当号機に基づいて、マーク決定処理を実行する(S24)。ステップS24のマーク決定処理では、1巡目の割当号機を示すマーク番号が決定される。マーク決定処理の詳細は後述する。
【0078】
次に、制御部11は、マーク決定処理で決定されたマーク番号を含む割当結果信号を生成し、受信した呼び信号に含まれる登録装置IDに対応する行先階登録装置30に当該割当結果信号を送信する(S25)。
【0079】
また、制御部11は、出発階及び行先階を含む呼び登録信号を生成し、割当号機のエレベータ制御装置40に1巡目の運行に関する当該呼び登録信号を送信する(S26)。
【0080】
また、制御部11は、1巡目の割当号機であることを示す情報及び決定されたマーク番号を含む表示信号(「第1表示信号」という)を生成して、出発階における割当号機に対応する乗場表示装置60に当該表示信号を送信する。
【0081】
制御部11は、割当結果信号、呼び登録信号及び表示信号を送信すると、割当処理を終了する。
【0082】
制御部11は、1巡目の候補号機がない場合(S22:NO)、複数台のエレベータ50の運行情報などに基づいて、当該行先階呼びを2巡目に割当可能なエレベータ50(「2巡目の候補号機」という)があるか否かを判断する(S28)。2巡目の候補号機がない場合(S28:NO)、制御部11は、ステップS22の処理を再度実行する。なお、制御部11は、このような場合に3巡目以降に割当可能なエレベータ50があるか否かを判断するように構成されてもよい。この場合、乗場表示装置60の第2表示領域64bは、2巡目以降の運行に対応するマークを表示できるように構成され得る。また、3巡目以降の運行を表示する第3表示領域等が設けられてもよい。
【0083】
2巡目の候補号機がある場合(S28:YES)、制御部11は、2巡目の候補号機の中から最適号機を決定する(S29)。
【0084】
次に、制御部11は、ステップS24~S27の処理と同様にして、処理を実行する(S30~S33)。なお、制御部11は、ステップS24~S27の処理において1巡目として実行した処理を、ステップS30~S33においては2巡目として実行する。第1表示信号と同様、2巡目の割当号機であることを示す情報を含む表示信号を、適宜、第2表示信号ともいう。
【0085】
制御部11は、割当処理を終了すると、例えばステップS21以降の処理を再び実行する。
【0086】
図13は、群管理制御装置10によるマーク決定処理の一例を示すフローチャートである。
【0087】
制御部11は、管理テーブル12aから、出発階、号機、1巡目又は2巡目の運行であることを示す情報が同じデータを抽出する(S41)。
【0088】
図14Aは、群管理制御装置10の記憶部12に格納されている管理テーブル12aの構成の一例を示す図である。本実施の形態において、管理テーブル12aは、出発階、号機、及び1巡目又は2巡目を示す情報に紐付けて、マーク番号を格納している。管理テーブル12aは、群管理制御装置10が、各階床において、各号機の1巡目及び2巡目の運行に割り当てられたマーク番号を管理するためのテーブルである。なお、管理テーブル12aにおいて、「No.」が格納されているが、これは説明を簡便にするために設けられており、管理テーブル12aは、「No.」を含まなくてもよい。
【0089】
「出発階」は、該当するデータが、どの出発階に関するデータであるかを示す情報である。
【0090】
「号機」は、該当するデータが、どの号機に関するデータであるかを示す情報である。
【0091】
「1巡目又は2巡目」は、該当するデータが、該当する出発階において該当する号機の1巡目の運行であるのか2巡目の運行であるのかを示す情報である。
【0092】
「マーク番号」は、マークテーブル32aのマーク番号に対応する情報である。
【0093】
例えば、図14Aに示す管理テーブル12aにおいて、「出発階」、「号機」、「1巡目又は2巡目」が「1階」、「A号機」、「1」のデータ(「No.」が「1-1」のデータ)は、「マーク番号」として「1」を格納する。これは、1階から出発するA号機の1巡目の運行には、マーク番号1(つまり、マーク「猫」)が割り当てられていることを示す。また、これは、利用者が1階で当該運行に乗車予定であることを示す。
【0094】
「マーク番号」が空欄であるデータは、当該データの「出発階」、「号機」、「1巡目又は2巡目」に示される号機の運行には、マーク番号が割り当てられていないことを示す。例えば、図14Aに示す管理テーブル12aにおいて、「1-2」のデータは、1階から出発するA号機の2巡目の運行には、マーク番号が割り当てられていないことを示す。
【0095】
このように、制御部11は、行先階呼びを割り当てた割当号機に対応するマーク番号を、出発階ごと及び号機ごとに、各号機の1巡目と2巡目を区別して、管理テーブル12aを用いて管理する。本実施の形態における管理テーブル12aにおいて、マーク番号は、出発階が異なれば、重複してもよい。
【0096】
制御部11は、ステップS41の処理によりデータを抽出すると、抽出したデータにマーク番号が登録されているか否かを判断する(S42)。抽出したデータにマーク番号が登録されている場合(S42:YES)、制御部11は、後述するステップS46の処理を実行する。
【0097】
抽出したデータにマーク番号が登録されていない場合(S42:NO)、制御部11は、管理テーブル12aから出発階が同じデータを抽出し、各データのマーク番号の値を取得する(S43)。例えば、図14Aに示す管理テーブル12aの状況において、1階で行先階呼びが登録されると、制御部11は、少なくとも1、7、9、30のマーク番号を取得する。
【0098】
次に、制御部11は、使用可能なマーク番号の中から、取得したマーク番号を除いたいずれかを選択する(S44)。
【0099】
マーク番号を選択すると、制御部11は、管理テーブル12aにおける、行先階呼びに対応するデータの「マーク番号」に、当該マーク番号の値を入力する(S45)。
【0100】
例えば、1階で行先階呼びが登録された場合、割当号機が「A号機の2巡目の運行」に決定され、割当号機を示すマーク番号として「29」が選択されると、制御部11は、管理テーブル12aの該当するデータの「マーク番号」に「29」を入力する。なお、マーク番号「29」は、マーク「リンゴ」を示す。図14Bは、群管理制御装置10の記憶部12に格納されている管理テーブル12aの構成の別の例を示す図である。図14Bに示す管理テーブル12aは、図14Aに示す管理テーブル12aに対して、「1-2」のデータにマーク番号「29」が入力されている。
【0101】
そして、制御部11は、ステップS23又はS29で決定した割当号機を示すマーク番号を、管理テーブル12aにおいて対応するデータに格納されている「マーク番号」の値として決定する(S46)。
【0102】
以上のようにして、群管理制御装置10は、行先階呼びが登録されると、行先階呼びを割り当てる割当号機を1巡目と2巡目を区別して決定し、当該割当号機を示すマーク番号を決定できる。そして、群管理制御装置10は、決定したマーク番号に対応するマークを行先階登録装置30に報知させることができる。また、群管理制御装置10は、決定したマーク番号に対応するマークを乗場表示装置60に表示させることができる。
【0103】
また、乗場表示装置60において所定号機の1巡目の運行に関する第1マークが表示された状態で、当該所定号機を割当号機とする新たな行先階呼びが、登録される可能性がある。群管理制御装置10は、当該行先階呼びを1巡目の運行に割り当てたとき、当該行先階呼びに対する第2マークを第1マークと同じマークに決定する。また、群管理制御装置10は、当該行先階呼びを、1巡目の後の2巡目(又はそれ以降)の運行に割り当てたとき、第2マークを第1マークとは異なるマークに決定する。また、この場合、群管理制御装置10は、第2マークを、当該行先階呼びが登録された出発階において当該所定号機以外の号機のいずれかの運行に割り当てられているマークとも異なるマークに決定する。第1マークは、第1識別情報の一例である。第2マークは、第2識別情報の一例である。
【0104】
これにより、群管理制御装置10は、所定階で複数の利用者がエレベータ50を利用する場合、所定号機の同一の特定の運行に割り当てられた利用者に、行先階登録装置30を介して同じマークを報知する。特定の運行ごとに1つのマークが割り当てられるため、乗場表示装置60の第1表示領域64a及び第2表示領域64bには、1つのマークが表示される。また、当該マークは、同じ階床に設けられた他の乗場表示装置60に表示されているマークとも重複しない。したがって、利用者は、エレベータ乗場で混乱することなく、エレベータ50を利用することができる。
【0105】
図15は、群管理制御装置10によるマーク更新処理の一例を示すフローチャートである。下記するマーク更新処理は例としてA号機に関する処理を示すが、群管理制御装置10は、各号機についてマーク更新処理を実行する。
【0106】
群管理制御装置10の制御部11は、A号機がビルのいずれかの階を通過したか否かを判断する(S51)。制御部11は、A号機がいずれかの階を通過したと判断すると(S51:YES)、後述するステップS53の処理を実行する。
【0107】
A号機がいずれかの階を通過していないと判断すると(S51:NO)、制御部11は、A号機がビルのいずれかの階から出発したか否かを判断する(S52)。具体的には、制御部11は、A号機が、ビルのいずれかの階に停止し、停止した階から出発したか否かを判断する。制御部11は、A号機がいずれかの階から出発していないと判断すると(S52:NO)、ステップS51の処理を再び実行する。
【0108】
A号機がいずれかの階から出発したと判断すると(S52:YES)、制御部11は、管理テーブル12aにおける、A号機に関するマーク番号の情報を更新する(S53)。具体的には、制御部11は、管理テーブル12aにおいて、通過した階又は停止した階の、A号機の1巡目の運行に関するデータのマーク番号を削除する。また、制御部11は、当該階の、A号機の2巡目の運行に関するデータのマーク番号の値を1巡目の運行に関するデータのマーク番号に入力し、2巡目の運行に関するデータのマーク番号を削除する。
【0109】
図16は、群管理制御装置10の記憶部12に格納されている管理テーブル12aの構成の別の例を示す図である。図16に示す管理テーブル12aは、図14Bに示す管理テーブル12aと比較すると、「1-1」のデータにおいてマーク番号「1」に代えてマーク番号「29」が入力されている。また、図16に示す管理テーブル12aにおいて、「1-2」のデータのマーク番号は空欄(NULL)である。制御部11は、A号機が1階から出発したと判断すると、図14Bに示す管理テーブル12aを、図16に示す管理テーブル12aのように更新する。
【0110】
また、制御部11は、通過した階又は出発した階に配置された、A号機に対応する乗場表示装置60Aに更新信号を送信する(S54)。更新信号は、表示信号の一例である。制御部11は、管理テーブル12aにおいて、通過した階又は出発した階の、A号機の1巡目及び2巡目に関するデータのそれぞれにマーク番号が入力されていない場合、更新信号を送信しなくてもよい。
【0111】
更新信号を送信すると、制御部11は、マーク更新処理を終了する。その後、制御部11は、例えばステップS51以降の処理を再び実行する。
【0112】
以上のマーク更新処理によると、群管理制御装置10は、所定階の乗場表示装置60にマークを表示させた後で、号機が当該所定階に到着する毎に(S51又はS52:YES)、乗場表示装置60におけるマークの表示を更新させる(S54)。
【0113】
2-3.乗場表示装置の動作
図17は、乗場表示装置60によるマーク表示処理の一例を示すフローチャートである。本実施の形態において、乗場表示装置60は、各階床において、エレベータ50ごとに設けられる。したがって、各階床のエレベータ乗場に設けられた複数台の乗場表示装置60はそれぞれ、対応するエレベータ50の、自身が設けられている階床における表示に関してマーク表示処理を実行する。
【0114】
乗場表示装置60の制御部61は、群管理制御装置10から第1表示信号を受信したか否かを判断する(S61)。
【0115】
第1表示信号を受信すると(S61:YES)、制御部61は、第1表示信号に含まれるマーク番号のマークを表示部64の第1表示領域64aに表示しているか否かを判断する(S62)。当該マークを第1表示領域64aに表示している場合(S62:YES)、制御部61は、マーク表示処理を終了する。
【0116】
当該マークを第1表示領域64aに表示していない場合(S62:NO)、制御部61は、当該マークを第1表示領域64aに表示する(S63)。本実施の形態において、乗場表示装置60は、表示するマークが示す割当号機が当該号機における1巡目の運行であることを示すために、「先着」の表示とともにマークを第1表示領域64aに表示するように構成されている。
【0117】
図18は、乗場表示装置60の表示の一例を示す図である。
【0118】
図18、及び後述する図19図21に示す乗場表示装置60は、例として、1階に設けられた、A号機に関する乗場表示装置60Aを示す。1階のA号機に行先階呼びが割り当てられていない場合、図18に示すように、乗場表示装置60Aにおいてマークは表示されない。
【0119】
図19は、乗場表示装置60Aの表示の別の例を示す図である。なお、図19に示す乗場表示装置60Aの表示は、図14Aに示す管理テーブル12aのマーク番号に対応している。図18に示す状況において、利用者が1階で行先階呼びを登録し、群管理制御装置10が当該行先階呼びをA号機の1巡目の運行に割り当ててマーク番号を決定すると、群管理制御装置10は、第1表示信号を1階の乗場表示装置60Aに送信する。第1表示信号に含まれるマーク番号がマーク「猫」に対応する場合、乗場表示装置60Aは、図19に示すように、第1表示領域64aにマーク「猫」を先着として表示する。
【0120】
第1表示信号を受信していない場合(S61:NO)、制御部61は、群管理制御装置10から第2表示信号を受信したか否かを判断する(S64)。
【0121】
第2表示信号を受信すると(S64:YES)、制御部61は、第2表示信号に含まれるマーク番号のマークを表示部64の第2表示領域64bに表示しているか否かを判断する(S65)。当該マークを第2表示領域64bに表示している場合(S65:YES)、制御部61は、マーク表示処理を終了する。
【0122】
当該マークを第2表示領域64bに表示していない場合(S65:NO)、制御部61は、当該マークを第2表示領域64bに表示する(S66)。本実施の形態において、乗場表示装置60は、表示するマークが示す割当号機が当該号機における2巡目の運行であることを示すために、「次点」の表示とともにマークを第2表示領域64bに表示するように構成されている。
【0123】
図20は、乗場表示装置60Aの表示の別の例を示す図である。なお、図20に示す乗場表示装置60Aの表示は、図14Bに示す管理テーブル12aのマーク番号に対応している。図19に示す状況において、利用者が1階で行先階呼びを登録し、群管理制御装置10が当該行先階呼びをA号機の2巡目の運行に割り当ててマーク番号を決定すると、群管理制御装置10は、第2表示信号を1階の乗場表示装置60Aに送信する。第2表示信号に含まれるマーク番号がマーク「リンゴ」に対応する場合、乗場表示装置60Aは、図20に示すように、第2表示領域64bにマーク「リンゴ」を次点として表示する。
【0124】
第2表示信号を受信していない場合(S64:NO)、制御部61は、群管理制御装置10から更新信号を受信したか否かを判断する(S67)。更新信号を受信していない場合(S67:NO)、制御部61は、マーク表示処理を終了する。
【0125】
更新信号を受信すると(S67:YES)、制御部61は、第1表示領域64aに表示中のマークがある場合、制御部61は当該マークを消去する。また、制御部61は、第2表示領域64bに表示中のマークがある場合、当該マークを先着として第1表示領域64aに表示する(S68)。つまり、制御部61は、表示部64におけるマークの表示を繰り上げる。この場合、乗場表示装置60の表示部64には、1つのマークが1巡目であることを示す情報とともに表示される。
【0126】
図21は、乗場表示装置60Aの表示の別の例を示す図である。なお、図21に示す乗場表示装置60Aの表示は、図16に示す管理テーブル12aのマーク番号に対応している。図20に示す状況において、更新信号を受信すると、乗場表示装置60Aは、図21に示すように、第2表示領域64bに次点として表示されていたマーク「リンゴ」を、第1表示領域64aに先着として表示する。また、乗場表示装置60Aは、第1表示領域64aに先着として表示していたマーク「猫」及び第2表示領域64bに次点として表示していたマーク「リンゴ」をそれぞれ消去する。このように、乗場表示装置60は、更新信号を受信すると、表示部64の第2表示領域64bに表示されたマークを当該第2表示領域64bから消去して、当該マークを表示部64の第1表示領域64aに表示させる。
【0127】
なお、本実施の形態において、乗場表示装置60は、更新信号の受信に応じて、第1表示領域64aに記載していたマーク「猫」の位置にマーク「リンゴ」を表示しているがこれに限定されない。例えば、乗場表示装置60は、「次点」という文字を「先着」に変更することで、表示するマークを更新してもよい。つまり、制御部61は、更新信号を受信すると、第2表示領域64bとしていた領域を第1表示領域64aとして扱い、第1表示領域64aとしていた領域を第2表示領域64bとして扱ってもよい。この場合、例えば、表示されているマーク「猫」は消去され、表示されている「先着」という文字は、「次点」に変更され得る。
【0128】
制御部61は、マーク表示処理を終了すると、例えばステップS61以降の処理を再び実行する。
【0129】
3.まとめ
以上説明したように、実施の形態1に係るエレベータシステム100は、利用者によって行先階登録装置30に入力された情報により登録された行先階呼びを、複数台のエレベータ50におけるいずれかの割当号機が、利用者の出発階に向かう何巡目かの運行のうちの特定の運行に割り当てる群管理制御装置10と、出発階に設けられ、複数台のエレベータ50における号機別に、当該号機が出発階に順次到着する予定に関する情報を表示する表示装置60と、を備え、群管理制御装置10は、行先階呼びの割当結果に基づいて、割当号機と特定の運行との組合せを識別する識別情報を決定して、識別情報を行先階登録装置30に表示させ、表示装置60において、利用者の行先階を表さずに、割当号機が特定の運行において出発階に到着する順序を表すように識別情報を表示させる。
【0130】
エレベータシステムにおいて乗場表示装置が行先階を表す場合、所定号機の1巡目の運行及び2巡目の運行に同じ行先階を含む行先階呼びが割り当てられると、2巡目に乗車するべき利用者が1巡目に誤って乗車する可能性がある。
【0131】
本実施の形態に係るエレベータシステム100によれば、乗場表示装置60は、行先階を表さないため、2巡目に割り当てられた第1利用者は、1巡目の行先階が把握できない。所定号機の2巡目に割り当てられた利用者は、当該号機の1巡目が所望の行先階に停止するか分からないため、当該利用者が1巡目に乗車する可能性が低減される。また、利用者は、少なくとも識別情報を把握しておけば、自身が乗車するエレベータ50を把握できるため、利用者がその他のエレベータ50に乗車する可能性が低減される。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0132】
また、本実施の形態に係るエレベータシステム100において、表示装置60は、複数台のエレベータ50における各号機に対応して設けられた複数の表示部64を含み、各表示部64は、当該表示部64に対応する号機が出発階に到着する順序における1番目を示す第1表示領域64aと、2番目を示す第2表示領域64bと、を有し、群管理制御装置10は、行先階呼びを、割当号機の1巡目の運行に割り当てると、割当号機に対応する表示部64の第1表示領域64aに、識別情報を表示させ、行先階呼びを、割当号機の2巡目の運行に割り当てると、割当号機に対応する表示部64の第2表示領域64bに、識別情報を表示させてもよい。
【0133】
このように動作させることで、エレベータシステム100は、利用者に、割当号機が出発階に1番目に到着するのか、2番目に到着するのかを表示装置60により表示できる。割当号機の1巡目又は2巡目に割り当てられた利用者は、表示された情報を確認することで、自身が乗車するエレベータ50が、出発階に1番目又は2番目に到着すると把握できる。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0134】
また、本実施の形態に係るエレベータシステム100において、群管理制御装置10は、表示装置60に識別情報を表示させた後で割当号機が出発階に到着する毎に、表示装置60における識別情報の表示を更新させてもよい。
【0135】
このように動作させることで、エレベータシステム100は、割当号機が出発階を通過、又は出発階に停止し出発階を出発すると、表示装置60の表示をする。更新すると、2巡目の運行として表示されていた識別情報が1巡目の運行として表示されるため、利用者は、次に停止するエレベータ50に乗車すればよいことを把握できる。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0136】
また、本実施の形態に係るエレベータシステム100において、表示装置60において、複数台のエレベータ50のうちの所定号機の1巡目の運行に関する第1識別情報が表示された状態で、群管理制御装置10は、所定号機を割当号機とする新たな行先階呼びが、1巡目の運行に割り当てられたとき、当該新たな行先階呼びに対する第2識別情報を、第1識別情報と同一の情報に決定し、新たな行先階呼びが、1巡目の後の2巡目以降の運行に割り当てられたとき、第2識別情報を、第1識別情報とは異なる情報に決定してもよい。
【0137】
このように動作させることで、エレベータシステム100において、所定階で複数の利用者がエレベータ50を利用する場合、所定号機の同一の特定の運行に割り当てられた複数の利用者は、群管理制御装置10によって同じ識別情報が報知される。エレベータシステム100は、各階において特定の運行ごとに1つの識別情報を割り当てるため、表示装置60には、運行ごとに1つのマークが表示される。本実施の形態に係るエレベータシステム100によれば、表示装置60において、行先階は表されないが、エレベータ50の特定の運行は、運行ごとに区別して、利用者の行先階の数によらず単一の識別情報で表される。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0138】
また、本実施の形態に係るエレベータシステム100において、群管理制御装置10は、行先階登録装置30に、割当号機を表示させずに、識別情報を表示させ、出発階に設けられた表示装置60に同時に表示される、複数台のエレベータ50に関する複数の識別情報が、互いに重複しないように、識別情報を決定してもよい。
【0139】
このように動作させることで、エレベータシステム100は、所定階におけるエレベータ乗場に配置された表示装置60において、同じ識別情報を表示しない。利用者は、行先階登録装置30で報知された識別情報がエレベータ乗場の表示装置60で1つしか表示されていないため、容易に自身が乗車するエレベータ50を把握できる。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0140】
また、本実施の形態に係るエレベータシステム100において、群管理制御装置10は、複数台のエレベータ50において、行先階呼びを1巡目の運行に割り当てることができる候補号機があるか否かを判断し、候補号機がある場合、候補号機を割当号機として行先階呼びを割り当て、候補号機がない場合、行先階呼びを、複数台のエレベータ50におけるいずれかの号機の2巡目の運行に割り当てることができるか否かを判断してもよい。
【0141】
このように動作させることで、エレベータシステム100は、複数台のエレベータ50において、行先階呼びを1巡目の運行に割り当てることができない場合、2巡目の運行に割り当てる。そのため、エレベータシステム100は、不要に利用者を待たせないように割当号機を決定できる。したがって、エレベータシステム100によれば、利用者は、効率的にエレベータ50を利用することができる。
【0142】
また、本実施の形態に係るエレベータシステム100は、行先階登録装置30をさらに備え、行先階登録装置30は、利用者による情報の入力を受け付ける入力部(例えば、操作部35)と、入力部における情報の入力に応じて、群管理制御装置10から識別情報を取得する通信部(例えば、入出力インタフェース33)と、取得した識別情報を表示する表示部34と、を備えてもよい。
【0143】
このように構成することで、利用者が、行先階登録装置30を用いて行先階呼びを登録すると、行先階登録装置30により、自身が乗車する割当号機の識別情報が表示される。利用者は、自身が乗車すべき号機を示す識別情報を把握できる。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0144】
また、本実施の形態に係るエレベータシステム100において、識別情報は、割当号機と特定の運行との組合せ別に決定されるマーク、文字列、記号および色のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0145】
このように構成することで、利用者は、容易に識別情報を把握できる。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0146】
本実施の形態に係るエレベータの制御方法は、利用者によって行先階登録装置30に入力された情報により登録された行先階呼びを、複数台のエレベータ50におけるいずれかの割当号機が、利用者の出発階に向かう何巡目かの運行のうちの特定の運行に割り当てるエレベータの制御方法であって、行先階呼びの割当結果に基づいて、割当号機と特定の運行との組合せを識別する識別情報を決定して、識別情報を行先階登録装置30に表示させ、出発階に設けられ、複数台のエレベータ50における号機別に、当該号機が出発階に順次到着する予定に関する情報を表示する表示装置60において、利用者の行先階を表さずに、割当号機が特定の運行において出発階に到着する順序を表すように識別情報を表示させる。
【0147】
このようなエレベータの制御方法によれば、利用者が、自身に割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0148】
本実施の形態に係るコンピュータプログラムは、上記のエレベータの制御方法を演算回路に実行させることができる。
【0149】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るエレベータシステム100について説明する。実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2において、実施の形態1と同一又は同等の構成については、同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略することがある。実施の形態2に係るエレベータシステム100は、実施の形態1に係るエレベータシステム100と同等の構成を有する。後述する実施の形態についても同様である。
【0150】
図22は、実施の形態2に係る行先階登録装置30の表示部34の表示の一例を示す図である。図22の表示部34は、割当結果画面の一例であり、行先階、及び群管理制御装置10から受信した割当号機及びマークを表示している。具体的には、表示部34には、「5F→A号機 マーク「リンゴ」」が表示されている。図22に示す表示部34の表示は、図9Bに示す表示部34の表示と比較すると、「A号機」が追加されている。この場合、群管理制御装置10から行先階登録装置30に送信される割当結果信号は、マーク番号に加えて割当号機の情報を含む。
【0151】
実施の形態2に係るエレベータシステム100において、群管理制御装置10は、図22に示すように、行先階登録装置30を通じて利用者に報知する際、マークに加えて、利用者に乗車するエレベータ50の号機名(例えばA号機等)を報知する。したがって、乗場表示装置60が対応するエレベータ50の号機名を表示することで、利用者は、自身が乗車する号機に関する情報を表示する乗場表示装置60をエレベータ乗場で容易に把握できる。
【0152】
図23は、実施の形態2に係る乗場表示装置60の表示の一例を示す図である。図23に示す乗場表示装置60は、例として、A号機に関する乗場表示装置60Aを示す。図23に示す乗場表示装置60Aの表示は、図10に示す実施の形態1に係る乗場表示装置60Aの表示に相当する。図23に示す乗場表示装置60Aの表示は、図10に示す乗場表示装置60Aの表示と比較すると、当該乗場表示装置60Aが対応するエレベータ50Aの号機名(つまりA号機)が追加されている。
【0153】
実施の形態2に係るエレベータシステム100において、群管理制御装置10は、図22に示すように、行先階登録装置30を通じて利用者に報知する際、マークに加えて、利用者に乗車するエレベータ50の号機名(例えばA号機等)を報知する。したがって、乗場表示装置60が対応するエレベータ50の号機名を表示することで、利用者は、自身が乗車する号機に関する情報を表示する乗場表示装置60をエレベータ乗場で容易に把握できる。また、利用者は、乗場表示装置60においてマークに紐付けられている先着又は次点の情報を確認することで、自身が乗車するエレベータ50が1巡目であること(又は2巡目であること)を把握することができる。
【0154】
このように構成することで、エレベータシステム100は、利用者に割当号機とともにマークを伝達する。実施の形態2に係るエレベータシステム100によれば、利用者は、割当号機及びマークで自身が乗車する号機を把握する。利用者が例えばA号機の2巡目の運行に割り当てられている場合、利用者は、A号機に関する乗場表示装置60Aを確認し、乗場表示装置60Aの表示に基づいてマークが2巡目であることを把握できる。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50を混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0155】
(実施の形態3)
実施の形態3に係るエレベータシステム100について説明する。
【0156】
図24は、実施の形態3に係る行先階登録装置30の表示部34の表示の一例を示す図である。図24の表示部34は、割当結果画面の一例であり、行先階、及び群管理制御装置10から受信した、割当号機が当該号機における2巡目の運行であることを示す情報並びにマークを表示している。具体的には、表示部34には、「5F→次点 マーク「リンゴ」」が表示されている。図24に示す表示部34の表示は、図22に示す表示部34の表示と比較すると、「A号機」に代えて「次点」が表示されている。このように、実施の形態3に係る群管理制御装置10は、行先階登録装置30を通じて、利用者が乗車する割当号機が、当該号機における1巡目又は2巡目の運行であることを示す情報及び当該割当号機を示すマークを利用者に報知する。
【0157】
実施の形態3に係る行先階登録装置30は、実施の形態1に係る行先階登録装置30と同様、利用者が乗車するエレベータ50の号機名を利用者に報知しない。したがって、実施の形態3に係る乗場表示装置60は、図8に示すように表示し得る。
【0158】
このように構成することで、エレベータシステム100は、割当号機を報知することなく、利用者に自身が乗車するエレベータ50を示すマークを伝達する。また、エレベータシステム100は、利用者に、割当号機が当該号機における1巡目又は2巡目の運行であることを示す情報を伝達する。実施の形態3に係るエレベータシステム100によれば、利用者は、マークのみで自身が乗車するエレベータ50を把握する。また、利用者は、自身が乗車するエレベータ50を知るタイミングで当該エレベータ50が1巡目なのか2巡目なのかを把握する。そのため、実施の形態3に係るエレベータシステム100によれば、利用者が例えばA号機の2巡目に割り当てられていたにもかかわらずA号機の1巡目に乗車する可能性が低減される。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0159】
(実施の形態4)
実施の形態4に係るエレベータシステム100について説明する。
【0160】
図25は、実施の形態4に係るエレベータ乗場に設けられた複数の乗場表示装置60A~60Fの表示の一例を示す図である。図25に示す乗場表示装置60の表示は、図10と同様に表示されている。図25に示す乗場表示装置60の表示は、図10に示す乗場表示装置60の表示と比較すると、各乗場表示装置60が対応する号機の号機名が追加されている。また、図25に示す乗場表示装置60の表示は、乗場表示装置60Fの第1表示領域64aに表示されているマークに関して、マーク「さくらんぼ」に代えてマーク「リンゴ」を含む。マーク「リンゴ」は、乗場表示装置60Aの第2表示領域64bにも表示されているため、同一階の乗場表示装置60A、60Fにおいて、マークが重複して表示されている。
【0161】
実施の形態4に係るエレベータシステム100において、群管理制御装置10は、図22に示すように、行先階登録装置30を通じて割当号機、及び割当号機を示すマークを利用者に報知する。例えば図22に示すように、行先階登録装置30は、A号機及びマーク「リンゴ」を利用者に報知する。行先階登録装置30が割当号機とそのマークとの組み合わせを利用者に報知するため、所定階において複数の乗場表示装置60が同じマークを表示していたとしても、利用者は、自身に割り当てられたエレベータ50の号機を把握できる。また、利用者は、エレベータ乗場で乗場表示装置60を確認することで、自身が乗車するエレベータ50がA号機の1巡目なのか2巡目なのかを把握できる。このように、エレベータシステム100は、行先階呼びを登録した利用者に行先階登録装置30を通じて割当号機及びそのマークの組み合わせを報知することで、同一階であっても、異なる号機であればマークを重複して使用できる。
【0162】
(実施の形態5)
実施の形態5に係るエレベータシステム100について説明する。
【0163】
図26は、実施の形態5に係る行先階登録装置30の表示部34の表示の一例を示す図である。図26の表示部34は、割当結果画面の一例であり、行先階、及び群管理制御装置10から受信した、割当号機、当該割当号機が当該号機における2巡目の運行であることを示す情報並びにマークを表示している。具体的には、表示部34には、「5F→A号機 次点 マーク「リンゴ」」が表示されている。図26に示す表示部34の表示は、図22に示す表示部34の表示と比較すると、「次点」が追加されている。このように、実施の形態5に係る群管理制御装置10は、行先階登録装置30を通じて、割当号機、当該割当号機が1巡目又は2巡目の運行であることを示す情報及び当該割当号機を示すマークを利用者に報知する。
【0164】
実施の形態5に係るエレベータシステム100によれば、利用者は、行先階呼びを登録した時点で、自身が乗車するエレベータ50の号機名、マーク、及び当該エレベータ50が1巡目なのか2巡目なのかを把握できる。そのため、実施の形態5に係るエレベータシステム100によれば、利用者が例えばA号機の2巡目に割り当てられていたにもかかわらずA号機の1巡目に乗車する可能性が低減される。したがって、エレベータシステム100は、利用者がエレベータシステム100により割り当てられたエレベータ50について混乱する可能性を低減し、利用者が、当該エレベータ50の利用を誤る事態を抑制することができる。
【0165】
(他の実施の形態)
上記した実施の形態1では、利用者が行先階登録装置30で行先階を入力することで行先階呼びが登録されるがこれに限定されない。例えば、エレベータシステム100において、行先階登録装置30がカードリーダを備え、利用者を一意に識別可能なカードIDを有するIDカードを利用者がカードリーダに読み込ませることで、行先階呼びを登録してもよい。この場合、群管理制御装置10がカードIDと利用者の行先階とを紐付けたデータベースを記憶部12に格納することで、群管理制御装置10は、カードIDに基づいて利用者の行先階呼びを取得できる。また、エレベータシステム100は、行先階登録装置30が顔認証カメラを有し、利用者が顔認証カメラにより顔認証を実行することで、行先階呼びが登録されるように構成されてもよい。カードリーダ及び顔認証カメラはそれぞれ入力部の一例である。
【0166】
また、エレベータシステム100は、セキュリティシステムに接続されてもよい。例えば、セキュリティシステムのセキュリティサーバが上記したデータベースを有し、行先階登録装置30で行先階呼びが登録されると、セキュリティサーバが行先階呼びを登録した利用者が正規の利用者か否かを判断してもよい。
【0167】
また、エレベータシステム100は、行先階登録装置30ではなく、セキュリティゲートにより利用者が行先階呼びを登録するように構成されてもよい。セキュリティゲートは、行先階登録装置の一例である。例えば、エレベータシステム100は、セキュリティゲートがカードリーダ及び表示器を備え、利用者がIDカードをカードリーダに読み込ませると群管理制御装置10により決定されたマーク番号に対応するマーク等が表示器に表示されるように構成されてもよい。エレベータシステム100は、セキュリティゲートを通過する利用者が顔認証により行先階呼びを登録できるように構成されてもよい。
【0168】
上記した実施の形態1において、図9Bに示す行先階登録装置30の表示部34の割当結果画面の表示と、図10に示す乗場表示装置60の表示部64の表示と、の組み合わせのみが記載されているがこれに限定されない。例えば、群管理制御装置10は、行先階呼びに対する割当結果を図9Bに示すように行先階登録装置30に表示させ、図23に示すように乗場表示装置60に表示させてもよい。このように、実施の形態1~5に記載した、行先階登録装置30の表示と乗場表示装置60の表示とは、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0169】
上記した実施の形態は、エレベータシステム100は、複数のバンクを有しないがこれに限定されず、エレベータシステム100は、複数のバンクを有してもよい。例えば、エレベータシステム100は、1階~10階に停止する低層階バンク、1階及び10階~20階に停止する中層階バンク、1階及び20階~30階に停止する高層階バンクを有し得る。低層階バンクは、複数台のエレベータ(A号機~F号機)を含む。中層階バンクは、複数台のエレベータ(G号機~L号機)を含む。高層階バンクは、複数台のエレベータ(M号機~R号機)を含む。このようなエレベータシステム100の場合、10階が低層階バンク及び中層階バンクで、20階が中層階バンク及び高層階バンクで共通となる。
【0170】
例えば、利用者が20階を行先階とする行先階呼びを1階で登録すると、当該行先階呼びは、中層階バンクのエレベータ又は高層階バンクのエレベータに割り当てられる可能性がある。したがって、このような場合、群管理制御装置10は、行先階登録装置30を通じて利用者に割当号機及びマークを報知することで、利用者は、乗車するエレベータの号機名及びそのバンクを把握することができる。
【0171】
上記した実施の形態において、各エレベータ50A~50Fに対応するように設けられた乗場表示装置60A~60Fが各階のエレベータ乗場に配置されているがこれに限定されない。1つの乗場表示装置60が各階のエレベータ乗場に設けられて、当該乗場表示装置60が各エレベータ50A~50Fに関する情報を表示してもよい。また、複数の乗場表示装置60が各階のエレベータ乗場に設けられて、乗場表示装置60のそれぞれが1つ以上のエレベータ50A~50Fに関する情報を表示してもよい。この場合、乗場表示装置60は、複数台のエレベータにおける各号機に対応して設けられた複数の表示部64を有する。各表示部64は、当該表示部64に対応する号機が出発階に順次到着する予定に関する情報を表示する。
【0172】
上記した実施の形態において、群管理制御装置10は、所定階で登録された行先階呼びを所定号機の2巡目の運行に割り当てると、当該所定階の乗場表示装置60の第2表示領域64bに、当該運行を示すマークを次点として表示させるがこれに限定されない。群管理制御装置10は、当該所定階で登録された他の行先階呼びが当該所定号機の1巡目に割り当てられていない場合、上記した所定号機の2巡目を示すマークを先着として乗場表示装置60の第1表示領域64aに表示させてもよい。
【0173】
このように動作させる場合、図15に示すマーク更新処理において、群管理制御装置10は、ステップS51の処理を実行せずにステップS52の処理を実行する。つまり、群管理制御装置10は、エレベータ50がビルのいずれかの階に停止して当該階を出発した場合にのみ、出発した階に配置された当該エレベータ50に対応する乗場表示装置60に表示しているマークを更新する。
【0174】
また、この場合、乗場表示装置60の制御部61は、図17に示すマーク表示処理において、第2表示信号を受信した後(S64:YES)、任意のマークが第1表示領域64aに表示されているか否かを判断する。表示されていない場合、制御部61は、受信したマーク番号に対応するマークを第1表示領域64aに先着として表示する。表示されている場合、制御部61は、受信したマーク番号に対応するマークが第1表示領域64a又は第2表示領域64bにすでに表示されているか否かを判断する。そして、第1表示領域64a又は第2表示領域64bに表示されている場合、制御部61は、処理を終了する。第1表示領域64a又は第2表示領域64bに表示されていない場合、制御部61は、当該マークを第2表示領域64bに次点として表示する。
【0175】
このように構成することで、エレベータシステム100は、割当号機が所定号機の2巡目の運行であったとしても、当該所定階で当該所定号機の1巡目に乗車する利用者がいない場合、第1表示領域64aに表示される。これにより、エレベータシステム100は、所定階で当該所定号機の1巡目に乗車する利用者がいないにも関わらず、割当号機のマークが第2表示領域64bに表示されるのを避けることができるため、利用者は、容易に自身が乗車するエレベータ50を把握できる。
【0176】
上記した実施の形態では、乗場表示装置60は、対応する号機の1巡目の運行又は2巡目の運行に行先階呼びが割り当てられていなかったとしても、第1表示領域64aに「先着」を、第2表示領域64bに「次点」を表示しているがこれに限定されない。乗場表示装置60は、マークを表示しない場合は「先着」及び「次点」の文字を消去し、マークを表示する場合にのみ、各領域にマークとともに対応する「先着」又は「次点」の文字を表示してもよい。
【0177】
上記した実施の形態において、群管理制御装置10は、所定階で行先階呼びが登録されると当該所定階において割当号機の運行を示すマーク番号を決定し、マーク番号を含む信号を行先階登録装置30及び乗場表示装置60に送信する。そして、各装置30、60は、自身が格納するマークテーブル32a、62aを参照してマーク番号に対応するマークを表示するが、これに限定されない。群管理制御装置10は、マークテーブル32aと同様のデータを有するマークテーブルを備え、マーク番号に代えて割当号機の運行を示すマークを決定し、当該マークのデータ(画像情報等)を送信してもよい。このように構成することで、各装置30、60は、マークテーブル32a、62aを格納する必要がなく、受信したマークのデータに基づいてマークを表示できる。
【0178】
上記した実施の形態において、乗場表示装置60は、受信した表示信号に基づいて表示するマークを更新したがこれに限定されない。例えば、乗場表示装置60はディスプレイとして機能し、群管理制御装置10が、乗場表示装置60に表示させる情報を送信して乗場表示装置60の表示を制御してもよい。
【0179】
上記した実施の形態2、4において、乗場表示装置60は、対応するエレベータ50の号機名を表示したがこれに限定されない。例えば、エレベータシステム100は、乗場表示装置60に号機名を表示するのではなく、各エレベータ乗場の各号機の扉51の付近に号機名を記載したプレート等を配置することで、各号機の号機名を表示してもよい。
【0180】
(態様のまとめ)
以上の説明から明らかなように、本発明は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0181】
(態様1)本発明に係るエレベータシステムは、
利用者によって行先階登録装置に入力された情報により登録された行先階呼びを、複数台のエレベータにおけるいずれかの割当号機が、利用者の出発階に向かう何巡目かの運行のうちの特定の運行に割り当てる群管理制御装置と、
出発階に設けられ、複数台のエレベータにおける号機別に、当該号機が出発階に順次到着する予定に関する情報を表示する表示装置と、
を備え、
群管理制御装置は、
行先階呼びの割当結果に基づいて、割当号機と特定の運行との組合せを識別する識別情報を決定して、識別情報を行先階登録装置に表示させ、
表示装置において、利用者の行先階を表さずに、割当号機が特定の運行において出発階に到着する順序を表すように識別情報を表示させる。
【0182】
(態様2)態様1のエレベータシステムにおいて、
表示装置は、複数台のエレベータにおける各号機に対応して設けられた複数の表示部を含み、
各表示部は、当該表示部に対応する号機が出発階に到着する順序における1番目を示す第1表示領域と、2番目を示す第2表示領域と、を有し、
群管理制御装置は、
行先階呼びを、割当号機の1巡目の運行に割り当てると、割当号機に対応する表示部の第1表示領域に、識別情報を表示させ、
行先階呼びを、割当号機の2巡目の運行に割り当てると、割当号機に対応する表示部の第2表示領域に、識別情報を表示させてもよい。
【0183】
(態様3)態様1又は態様2のエレベータシステムにおいて、群管理制御装置は、表示装置に識別情報を表示させた後で割当号機が出発階に到着する毎に、表示装置における識別情報の表示を更新させてもよい。
【0184】
(態様4)態様1から態様3のエレベータシステムにおいて、
表示装置において、複数台のエレベータのうちの所定号機の1巡目の運行に関する第1識別情報が表示された状態で、群管理制御装置は、
所定号機を割当号機とする新たな行先階呼びが、1巡目の運行に割り当てられたとき、当該新たな行先階呼びに対する第2識別情報を、第1識別情報と同一の情報に決定し、
新たな行先階呼びが、1巡目の後の2巡目以降の運行に割り当てられたとき、第2識別情報を、第1識別情報とは異なる情報に決定させてもよい。
【0185】
(態様5)態様1から態様4のエレベータシステムにおいて、群管理制御装置は、
行先階登録装置に、割当号機を表示させずに、識別情報を表示させ、
出発階に設けられた表示装置に同時に表示される、複数台のエレベータに関する複数の識別情報が、互いに重複しないように、識別情報を決定してもよい。
【0186】
(態様6)態様1から態様5のエレベータシステムにおいて、群管理制御装置は、
複数台のエレベータにおいて、行先階呼びを1巡目の運行に割り当てることができる候補号機があるか否かを判断し、
候補号機がある場合、候補号機を割当号機として行先階呼びを割り当て、
候補号機がない場合、行先階呼びを、複数台のエレベータにおけるいずれかの号機の2巡目の運行に割り当てることができるか否かを判断してもよい。
【0187】
(態様7)態様1から態様6のエレベータシステムは、行先階登録装置をさらに備え、
行先階登録装置は、
利用者による情報の入力を受け付ける入力部と、
入力部における情報の入力に応じて、群管理制御装置から識別情報を取得する通信部と、
取得した識別情報を表示する表示部と、
を備えてもよい。
【0188】
(態様8)態様1から態様7のエレベータシステムにおいて、識別情報は、割当号機と特定の運行との組合せ別に決定されるマーク、文字列、記号および色のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0189】
(態様9)本発明に係るエレベータの制御方法は、利用者によって行先階登録装置に入力された情報により登録された行先階呼びを、複数台のエレベータにおけるいずれかの割当号機が、利用者の出発階に向かう何巡目かの運行のうちの特定の運行に割り当てるエレベータの制御方法であって、
行先階呼びの割当結果に基づいて、割当号機と特定の運行との組合せを識別する識別情報を決定して、識別情報を行先階登録装置に表示させ、
出発階に設けられ、複数台のエレベータにおける号機別に、当該号機が出発階に順次到着する予定に関する情報を表示する表示装置において、利用者の行先階を表さずに、割当号機が特定の運行において出発階に到着する順序を表すように識別情報を表示させる。
【0190】
(態様10)本発明に係るコンピュータプログラムは、態様9のエレベータの制御方法を演算回路に実行させる。
【0191】
本明細書において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性又は技術的特徴の順位を明示又は暗示するものとして理解されるべきではない。「第1」と「第2」と限定されている特徴は、1つ又はさらに多くの当該特徴を含むことを明示又は暗示するものである。
【0192】
本発明に係るエレベータの群管理システムは、ハードウェア資源、例えば、プロセッサ、メモリ、と、ソフトウェア資源(コンピュータプログラム)との協働などによって実現される。
【符号の説明】
【0193】
1 群管理システム
10 群管理制御装置
11 制御部
30 行先階登録装置
34 表示部
40、40A~40F エレベータ制御装置
50、50A~50F エレベータ(号機)
60 乗場表示装置
64a 第1表示領域
64b 第2表示領域
100 エレベータシステム
図1
図2
図3
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図9A
図9B
図10
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図14A
図14B
図15
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