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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142739
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】高周波増幅回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/19 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H03F3/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055043
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(72)【発明者】
【氏名】紅 貴朗
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AC21
5J500AC92
5J500AF16
5J500AH02
5J500AH19
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH33
5J500AH35
5J500AK68
5J500AQ02
5J500AQ03
5J500AT01
(57)【要約】
【課題】特性の劣化を抑制し、かつ小型化を図ることが可能な高周波増幅回路を提供する。
【解決手段】基板に、複数のドライブ段トランジスタを含むドライブ段増幅回路が配置されている。さらに、基板に、ドライブ段増幅回路から出力された高周波信号を、差動信号に変換するバランが配置されている。さらに、基板に、複数のパワー段トランジスタを含み、バランによって変換された差動信号を増幅するパワー段差動増幅回路が配置されている。ドライブ段電源端子が、バランを経由して複数のドライブ段トランジスタに電源を供給する。基板を平面視したとき、複数のパワー段トランジスタを包含する最小包含長方形が第1方向に長い。バランは、第1方向に関して最小包含長方形の範囲内に配置されている。ドライブ段電源端子と複数のドライブ段トランジスタとは、バランを第1方向に挟む位置に配置されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に配置され、複数のドライブ段トランジスタを含むドライブ段増幅回路と、
前記基板に配置され、前記ドライブ段増幅回路から出力された高周波信号を、差動信号に変換するバランと、
前記基板に配置され、複数のパワー段トランジスタを含み、前記バランによって変換された差動信号を増幅するパワー段差動増幅回路と、
前記バランを経由して前記複数のドライブ段トランジスタに電源を供給するドライブ段電源端子と
を備え、
前記基板を平面視したとき、前記複数のパワー段トランジスタを包含する最小包含長方形が第1方向に長く、
前記バランは、前記第1方向に関して前記最小包含長方形の範囲内に配置されており、
前記ドライブ段電源端子と前記複数のドライブ段トランジスタとは、前記バランを前記第1方向に挟む位置に配置されている高周波増幅回路。
【請求項2】
前記複数のパワー段トランジスタは、前記第1方向に並んで配置されている請求項1に記載の高周波増幅回路。
【請求項3】
前記複数のドライブ段トランジスタは、前記基板の面内において前記第1方向と直交する方向に並んで配置されている請求項1または2に記載の高周波増幅回路。
【請求項4】
前記ドライブ段増幅回路への信号が入力される信号入力端子と、
前記複数のドライブ段トランジスタにバイアスを供給するドライブ段バイアス回路と、
前記複数のパワー段トランジスタにバイアスを供給するパワー段バイアス回路と、
前記ドライブ段バイアス回路及び前記パワー段バイアス回路に電源を供給するバイアス電源端子と
をさらに備え、
前記バランから見て前記信号入力端子は前記ドライブ段増幅回路よりも前記第1方向に遠い位置に配置されており、
前記バイアス電源端子は、前記第1方向に関して前記ドライブ段電源端子及び前記バランが分布する範囲内に配置されている請求項1または2に記載の高周波増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘテロ接合バイポーラトランジスタを用いた高周波増幅回路が公知である(特許文献1)。特許文献1に開示された高周波増幅回路は、ドライブ段増幅回路とパワー段増幅回路との2段構成を有する。パワー段増幅回路として、例えば差動増幅回路が用いられる。ドライブ段増幅回路で増幅されたシングルエンド信号がバランで差動信号に変換され、この差動信号がパワー段増幅回路に入力される。
【0003】
差動回路を構成する2本の差動伝送線路が、1本の仮想直線に関してほぼ線対称に配置されるように、ドライブ段増幅回路、バラン、及びパワー段増幅回路が、この仮想直線に沿って配置される。また、この仮想直線の一方の側に入力整合回路が配置され、他方の側にバイアス回路が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-051054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者が行った高周波増幅回路の複数の構成要素のレイアウト設計によると、基板上に構成要素が配置されないデッドスペースが発生し、このデッドスペースを削減することが困難であることが判明した。デッドスペースが発生することにより、高周波増幅回路の小型化を図ることが困難である。なお、パワー段増幅回路を差動増幅回路にすると、シングルエンド信号及び差動信号の伝送線路の配置の対称性の崩れを抑制することが好ましい。小型化のみに着目して複数の構成要素を配置すると、この対称性の崩れが大きくなり、その結果特性が劣化してしまう。
【0006】
本発明の目的は、特性の劣化を抑制し、かつ小型化を図ることが可能な高周波増幅回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によると、
基板と、
前記基板に配置され、複数のドライブ段トランジスタを含むドライブ段増幅回路と、
前記基板に配置され、前記ドライブ段増幅回路から出力された高周波信号を、差動信号に変換するバランと、
前記基板に配置され、複数のパワー段トランジスタを含み、前記バランによって変換された差動信号を増幅するパワー段差動増幅回路と、
前記バランを経由して前記複数のドライブ段トランジスタに電源を供給するドライブ段電源端子と
を備え、
前記基板を平面視したとき、前記複数のパワー段トランジスタを包含する最小包含長方形が第1方向に長く、
前記バランは、前記第1方向に関して前記最小包含長方形の範囲内に配置されており、
前記ドライブ段電源端子と前記複数のドライブ段トランジスタとは、前記バランを前記第1方向に挟む位置に配置されている高周波増幅回路が提供される。
【発明の効果】
【0008】
ドライブ段電源端子、ドライブ段増幅回路、及びパワー段差動増幅回路を、上述のように配置することにより、デッドスペースを削減し、高周波増幅回路の特性の劣化を抑制しつつ小型化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例による高周波増幅回路のブロック図である。
図2図2は、信号入力端子からバランまでの複数の構成要素の等価回路図である。
図3図3は、バランから非反転信号出力端子及び反転信号出力端子までの複数の構成要素の等価回路図である。
図4図4は、ドライブ段バイアス回路及びパワー段バイアス回路の等価回路図である。
図5図5Aは、1つのパワー段トランジスタの概略平面図であり、図5Bは、図5Aの一点鎖線5B-5Bにおける断面図である。
図6図6は、パワー段差動増幅回路の複数の構成要素の平面視における位置関係を示す図である。
図7図7は、ドライブ段増幅回路の複数の構成要素及びバランの平面視における位置関係を示す図である。
図8図8は、高周波増幅回路の複数の構成要素の平面視における配置を示す図である。
図9図9は、比較例による高周波増幅回路の複数の構成要素の平面視における配置を示す図である。
図10図10は、図8に示した実施例による高周波増幅回路と、図9に示した比較例による高周波増幅回路とのAMAM特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
図11図11は、他の比較例による高周波増幅回路のドライブ段増幅回路、バラン、及びドライブ段電源端子の平面視における位置関係を示す図である。
図12図12は、図8に示した実施例による高周波増幅回路と、図11に示した比較例による高周波増幅回路とのAMAM特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から図12までの図面を参照して、一実施例による高周波増幅回路について説明する。
図1は、実施例による高周波増幅回路のブロック図である。実施例による高周波増幅回路の複数の構成要素は、1枚の共通の基板上に形成されている。信号入力端子RFinからシングルエンド信号である高周波信号が高周波増幅回路に入力される。信号入力端子RFinから入力された高周波信号は、入力整合回路44を経由してドライブ段増幅回路20に入力される。
【0011】
ドライブ段増幅回路20で増幅された高周波信号が、バラン40で差動信号に変換され、差動信号がパワー段差動増幅回路50に入力される。具体的には、ドライブ段増幅回路20の出力ノードが、バラン40の1次コイル40Aの一方の端部に接続されており、他方の端部はドライブ段電源端子Vccに接続されている。バラン40の2次コイル40Bの2つの端部が、それぞれパワー段差動増幅回路50の非反転信号増幅回路50A及び反転信号増幅回路50Bの入力ノードに接続されている。ドライブ段電源端子Vccからバラン40の1次コイル40Aを介してドライブ段増幅回路20に電源が供給される。なお、バラン40の2次コイル40Bの中間タップは接地されていてもよい。この場合、バラン40の対称性をより高めることができる。
【0012】
パワー段差動増幅回路50は、入力された差動信号を増幅する。非反転信号増幅回路50Aの出力ノードが非反転信号出力端子RFout+に接続されており、反転信号増幅回路50Bの出力ノードが反転信号出力端子RFout-に接続されている。
【0013】
信号入力端子RFinとグランドとの間に入力保護回路43が接続されている。ドライブ段増幅回路20の出力ノードとグランドとの間にドライブ段保護回路45が接続されている。非反転信号増幅回路50A及び反転信号増幅回路50Bの出力ノードとグランドとの間に、それぞれパワー段保護回路46が接続されている。さらに、非反転信号増幅回路50A及び反転信号増幅回路50Bの出力ノードとグランドとの間に、それぞれ高調波終端回路47が接続されている。
【0014】
入力保護回路43、ドライブ段保護回路45、及びパワー段保護回路46は、サージ電圧や過大な高周波信号から素子を保護する。高調波終端回路47は、パワー段差動増幅回路50から出力される高調波を終端する。
【0015】
図2は、信号入力端子RFinからバラン40までの複数の構成要素の等価回路図である。入力側グランド端子GND-IN及びドライブ段グランド端子GND-Drvからグランド導体にグランド電位が与えられる。
【0016】
信号入力端子RFinとグランドとの間に接続された入力保護回路43は、ダイオードD1が2段に接続された2つのクランプ回路を含む。2つのクランプ回路は、相互に逆極性になる向きに並列接続されている。入力整合回路44は、キャパシタC1、C2及びインダクタL1、L2を含む。
【0017】
次に、ドライブ段増幅回路20の構成について説明する。
ドライブ段増幅回路20は、相互に並列接続された複数のセル20CLを含む。図2では、代表して1つのセル20CLを示している。セル20CLの各々は、ドライブ段トランジスタT1、入力キャパシタC4、及びバラスト抵抗素子R1を含む。入力整合回路44を経由した高周波信号が、入力キャパシタC4を介してドライブ段トランジスタT1のベースに入力される。ドライブ段バイアス回路81からバラスト抵抗素子R1を介してドライブ段トランジスタT1のベースにバイアスが供給される。
【0018】
ドライブ段増幅回路20の入力ノードと出力ノードとの間に、キャパシタC3と抵抗素子R2との直列回路が接続されている。ドライブ段増幅回路20の入力ノードとバラスト抵抗素子R1のドライブ段バイアス回路81側の端部との間に、キャパシタC5が接続されている。
【0019】
ドライブ段電源端子Vccから、バラン40の1次コイル40Aを経由して、ドライブ段トランジスタT1のコレクタに、電源が供給される。
【0020】
次に、ドライブ段保護回路45の構成について説明する。
ドライブ段保護回路45は、ダイオードD2が2段接続されたクランプ回路と、ダイオードD3が多段接続されたクランプ回路とを含む。ダイオードD2を含むクランプ回路は、ドライブ段増幅回路20の出力ノードからグランドに向って逆バイアスになる向きに接続されている。ダイオードD3を含むクランプ回路は、ドライブ段増幅回路20の出力ノードからグランドに向って順バイアスになる向きに接続されている。ドライブ段増幅回路20の出力ノードとグランドとの間にキャパシタC16が接続されている。
【0021】
図3は、バラン40から非反転信号出力端子RFout+及び反転信号出力端子RFout-までの複数の構成要素の等価回路図である。図3に丸付き数字で示した結合子は、後述する図4に示した対応する数字の結合子に接続されることを意味する。2つのパワー段グランド端子GND-Pwrからグランド導体にグランド電位が与えられる。
【0022】
バラン40の2次コイル40Bの一方の端部が非反転信号増幅回路50Aの入力ノードに接続されており、他方の端部が反転信号増幅回路50Bの入力ノードに接続されている。非反転信号増幅回路50Aの構成と反転信号増幅回路50Bの構成とは同一であるため、以下、非反転信号増幅回路50Aの構成について説明する。
【0023】
非反転信号増幅回路50Aは、相互に並列接続された複数のセル50CLA及び複数のセル50CLBを含む。セル50CLA、50CLBの各々は、パワー段トランジスタT2、入力キャパシタC6、バラスト抵抗素子R3、パワー段トランジスタT2のベースエミッタ間に接続されたキャパシタC7を含む。複数のセル50CLAとセルCLBには、相互に独立してバイアスを印加することができる。図3では、セル50CLAとセル50CLBとを1つずつ示している。
【0024】
非反転信号増幅回路50Aの入力ノードに入力された非反転信号が、入力キャパシタC6を介してパワー段トランジスタT2のベースに入力される。結合子1で示すように、パワー段バイアス回路82A(図4)から、セル50CLAのバラスト抵抗素子R3を介してパワー段トランジスタT2のベースにバイアスが供給される。結合子2で示すように、他のパワー段バイアス回路82B(図4)から、セル50CLBのバラスト抵抗素子R3を介してパワー段トランジスタT2のベースにバイアスが供給される。
【0025】
反転信号増幅回路50Bにおいても非反転信号増幅回路50Aと同様に、結合子3で示すように、セル50CLAのバラスト抵抗素子R3がパワー段バイアス回路82A(図4)に接続されており、結合子4で示すように、セル50CLBのバラスト抵抗素子R3がパワー段バイアス回路82B(図4)に接続されている。
【0026】
次に、パワー段保護回路46の構成について説明する。
パワー段保護回路46は、ダイオードD4が2段接続されたクランプ回路と、ダイオードD5が多段接続された2つのクランプ回路とを含む。非反転信号増幅回路50A及び反転信号増幅回路50Bのそれぞれの出力ノードからグランドに向って逆バイアスになる向きに、ダイオードD4を含むクランプ回路が接続されている。非反転信号増幅回路50A及び反転信号増幅回路50Bのそれぞれの出力ノードからグランドに向って順バイアスになる向きに、ダイオードD5を含む2つのクランプ回路が並列に接続されている。
【0027】
次に、高調波終端回路47の構成について説明する。高調波終端回路47は、相互に直列接続されたキャパシタC8及びインダクタL4を含む。非反転信号増幅回路50A及び反転信号増幅回路50Bのそれぞれの出力ノードとグランドとの間に、キャパシタC8とインダクタL4との直列接続回路が接続されている。
【0028】
非反転信号出力端子RFout+から非反転信号増幅回路50Aのパワー段トランジスタT2のコレクタに、電源が供給される。反転信号出力端子RFout-から反転信号増幅回路50Bのパワー段トランジスタT2のコレクタに、電源が供給される。
【0029】
図4は、ドライブ段バイアス回路81、パワー段バイアス回路82A、82Bの等価回路図である。バイアス電源端子Vbattからドライブ段バイアス回路81及びパワー段バイアス回路82A、82Bにバイアス用の電源が供給される。バイアスグランド端子GND-Biasから、ドライブ段バイアス回路81及びパワー段バイアス回路82A、82Bのグランド導体にグランド電位が与えられる。
【0030】
バイアス電源端子Vbattとグランドとの間にキャパシタC10が接続されている。さらに、バイアス電源端子Vbattからグランドに向って順バイアスになる向きにダイオードD10が接続されている。
【0031】
ドライブ段バイアス回路81は、トランジスタT3、T4、T5、キャパシタC11、及び抵抗素子R4を含む。トランジスタT3のエミッタが、バラスト抵抗素子R1(図2)を介してドライブ段トランジスタT1(図2)のベースに接続されている。ドライブ段バイアス回路81は、ドライブ段バイアス制御端子IB1から入力される制御信号に基づいて、ドライブ段増幅回路20にバイアスを供給する。
【0032】
パワー段バイアス回路82Aは、トランジスタT6、T7、T8、T9、T10、キャパシタC12、C13、抵抗素子R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11を含む。結合子1で示されているように、トランジスタT8、T10のエミッタが、非反転信号増幅回路50Aのセル50CLAのバラスト抵抗素子R3(図3)を介してパワー段トランジスタT2のベースに接続されている。結合子3で示されているように、トランジスタT7、T9のエミッタが、反転信号増幅回路50Bのセル50CLAのバラスト抵抗素子R3(図3)を介してパワー段トランジスタT2のベースに接続されている。
【0033】
パワー段バイアス回路82Aは、パワー段バイアス制御端子IB2から入力される制御信号に基づいて、パワー段差動増幅回路50のセル50CLAにバイアスを供給する。
【0034】
他のパワー段バイアス回路82Bは、トランジスタT11、T12、T13、キャパシタC14、C15、抵抗素子R12、R13、R14を含む。結合子2で示されているように、トランジスタT13のエミッタが、非反転信号増幅回路50Aのセル50CLBのバラスト抵抗素子R3(図3)を介してパワー段トランジスタT2のベースに接続されている。結合子4で示されているように、トランジスタT12のエミッタが、反転信号増幅回路50Bのセル50CLBのバラスト抵抗素子R3(図3)を介してパワー段トランジスタT2のベースに接続されている。
【0035】
パワー段バイアス回路82Bは、パワー段バイアス制御端子IB3から入力される制御信号に基づいて、パワー段差動増幅回路50のセル50CLBにバイアスを供給する。
【0036】
図5Aは、1つのパワー段トランジスタT2の概略平面図であり、図5Bは、図5Aの一点鎖線5B-5Bにおける断面図である。図5Aにおいて、半導体層に直接接触する電極に右上がりの相対的に濃いハッチングを付し、1層目の配線層に含まれる配線に右下がりの相対的に淡いハッチングを付している。図5Bにおいて、層間絶縁膜の記載を省略している。なお、ドライブ段トランジスタT1の基本的な構成は、パワー段トランジスタT2の基本的な構成と同一である。
【0037】
図5Bに示すように、基板70の一方の面である第1面70Aにサブコレクタ層71が配置されている。以下、高周波増幅回路の各構成要素の、第1面70Aと同一方向を向く面を上面ということとする。基板70は、半絶縁性の化合物半導体からなる基板であり、サブコレクタ層71は、例えば基板70の第1面70Aの上に、基板70と同一の化合物半導体からなる層をエピタキシャル成長させることにより形成される。サブコレクタ層71には、n型導電性が付与されている。一例として、基板70はGaAs基板であり、サブコレクタ層71は、n型GaAsで形成される。
【0038】
基板70の第1面70Aに平行な面をxy面とするxy直交座標系を定義する。サブコレクタ層71の上面に、複数のパワー段トランジスタT2がx方向に並んで配置されている。パワー段トランジスタT2は、サブコレクタ層71側から順番に積層されたコレクタ層51C、ベース層51B、及びエミッタ層51Eを含む。パワー段トランジスタT2として、ヘテロ接合バイポーラトランジスタが用いられる。例えば、コレクタ層51Cはn型GaAsで形成され、ベース層51Bはp型GaAsで形成され、エミッタ層51Eはn型InGaPで形成される。
【0039】
エミッタ層51Eは、ベース層51Bの上面に、x方向に間隔を隔てて2個配置されている。本明細書において、コレクタ層51C及びベース層51Bからなるメサ構造体を、コレクタメサということとする。
【0040】
2つのエミッタ層51Eの上に、それぞれエミッタ電極52Eが配置されている。ベース層51Bの上面のうち2つのエミッタ層51Eの間の領域にベース電極52Bが配置されている。サブコレクタ層71の上面のうちコレクタメサをx方向に挟むように、2つのコレクタ電極52Cが配置されている。コレクタ電極52Cは、サブコレクタ層71を介してコレクタ層51Cに電気的に接続されている。なお、コレクタ電極52Cは、x方向に並ぶ2つのパワー段トランジスタT2の間に配置されており、2つのパワー段トランジスタT2で共用される。
【0041】
2つのエミッタ電極52Eの上に1層目のエミッタ配線53Eが配置されている。エミッタ配線53Eは、ベース電極52Bの上方を通過して2つのエミッタ電極52E同士を電気的に接続する。コレクタ電極52Cの上に、1層目のコレクタ配線53Cが配置されている。
【0042】
2層目のエミッタ配線54Eが1層目のエミッタ配線53Eに電気的に接続されている。2層目のエミッタ配線54Eの上に、パワー段グランド端子GND-Pwrが配置されている。パワー段グランド端子GND-Pwrは、ピラー部55Aと、その上面に配置されたハンダ層55Bとを含む。なお、必要に応じて、ピラー部55Aと2層目のエミッタ配線54Eとの間に、アンダーバンプメタル層を配置してもよい。
【0043】
図5Aに示すように、平面視において、サブコレクタ層71内にコレクタ層51C及びベース層51Bからなるコレクタメサが配置されている。コレクタメサをx方向に挟むように、2つのコレクタ電極52Cが配置されている。コレクタ電極52Cのそれぞれに、1層目のコレクタ配線53Cが重なる。1層目のコレクタ配線53Cは、y軸の負の向きにサブコレクタ層71の外側まで延びている。
【0044】
コレクタメサの内部にy方向に長い2つのエミッタ電極52Eが、x方向に間隔を隔てて配置されており、2つのエミッタ電極52Eの間に、y方向に長いベース電極52Bが配置されている。2つのエミッタ電極52Eと重なるように1つの1層目のエミッタ配線53Eが配置されている。1層目のエミッタ配線53Eは、一方のエミッタ電極52Eから、ベース電極52Bと交差して他方のエミッタ電極52Eまで達する。ベース電極52Bの端部に1層目のベース配線53Bが重なるように配置されている。1層目のベース配線53Bは、y軸の正の方向に、サブコレクタ層71の外側まで延びている。
【0045】
1層目のエミッタ配線53Eと重なるように、2層目のエミッタ配線54Eが配置されている。2層目のエミッタ配線54Eはx方向に延びており、パワー段トランジスタT2ごとに配置された1層目のエミッタ配線53E同士を接続する。
【0046】
図6は、パワー段差動増幅回路50の複数の構成要素の平面視における位置関係を示す図である。複数のパワー段トランジスタT2がx方向に並んで配置されている。図6に示した複数のパワー段トランジスタT2のそれぞれは、コレクタ層51C及びベース層51B(図5A図5B)からなるコレクタメサの平面視における位置及び形状を表している。x方向に並ぶ複数のパワー段トランジスタT2からなるトランジスタ列の中央を境として一方の側に配置された複数のパワー段トランジスタT2は、非反転信号増幅回路50A(図3)を構成し、他方の側に配置された複数のパワー段トランジスタT2は、反転信号増幅回路50B(図3)を構成する。
【0047】
複数のパワー段トランジスタT2のそれぞれに対応して、キャパシタC7、入力キャパシタC6、及びバラスト抵抗素子R3が1つずつ配置されている。キャパシタC7、入力キャパシタC6、及びバラスト抵抗素子R3は、対応するパワー段トランジスタT2からy軸の正の方向に延びる直線に沿って、この順番に配置されている。
【0048】
非反転信号増幅回路50A及び反転信号増幅回路50Bのそれぞれに、櫛歯状のコレクタ配線53Cが接続されている。パワー段トランジスタT2は、コレクタ配線53Cの櫛歯部分の間に配置されている。
【0049】
平面視において、複数のパワー段トランジスタT2を包含する最小包含長方形60を定義する。最小包含長方形60は、複数のパワー段トランジスタT2のコレクタメサを包含する凸包である。最小包含長方形60の長辺はx軸に平行であり、短辺はy軸に平行である。
【0050】
図7は、ドライブ段増幅回路20の複数の構成要素及びバラン40の平面視における位置関係を示す図である。複数のドライブ段トランジスタT1がy方向に並んで配置されている。すなわち、パワー段トランジスタT2の並び方向と、ドライブ段トランジスタT1の並び方向とは、相互に直交する。図7において、複数のドライブ段トランジスタT1のそれぞれは、ドライブ段トランジスタT1のコレクタ層及びベース層からなるコレクタメサの平面視における位置及び形状を表している。
【0051】
平面視において、複数のドライブ段トランジスタT1を包含する最小包含長方形30を定義する。最小包含長方形30は、複数のパワー段トランジスタT2のコレクタメサを包含する凸包である。最小包含長方形30の長辺はy軸に平行であり、短辺はx軸に平行である。
【0052】
複数のドライブ段トランジスタT1のそれぞれに対応して、入力キャパシタC4及びバラスト抵抗素子R1が1つずつ配置されている。入力キャパシタC4及びバラスト抵抗素子R1は、対応するドライブ段トランジスタT1からx軸の正の方向に延びる直線に沿って、この順番に配置されている。複数のドライブ段トランジスタT1のそれぞれは、櫛歯型のコレクタ配線23Cの複数の櫛歯部分の間に配置されている。
【0053】
バラン40は、複数の配線層に配置された1次コイル40Aと2次コイル40Bとで構成される。図7において、1次コイル40A及びコレクタ配線53Cに、右上がりの相対的に濃いハッチングを付し、2次コイル40Bに右下がりの相対的に淡いハッチングを付している。1次コイル40A及び2次コイル40Bのそれぞれのターン数は約2である。1次コイル40Aの配線同士の交差箇所、2次コイル40Bの配線同士の交差箇所、及び1次コイル40Aと2次コイル40Bとの交差箇所において、配線同士の絶縁性が確保されている。
【0054】
1次コイル40Aの一方の端部にコレクタ配線23Cが接続されており、他方の端部にドライブ段電源端子Vccが接続されている。2次コイル40Bの一方の端部に非反転信号増幅回路50Aの入力ノードが接続されており、他方の端部に反転信号増幅回路50Bの入力ノードが接続されている。
【0055】
図8は、本実施例による高周波増幅回路の複数の構成要素の平面視における配置を示す図である。平面視において基板70は、正方形または長方形である。基板70の1つの辺に平行な方向をx方向とするxy直交座標系を定義する。パワー段差動増幅回路50が、基板70のx方向のほぼ全域に亘って配置されている。平面視においてパワー段差動増幅回路50が配置された領域内に、複数のパワー段トランジスタT2を包含する最小包含長方形60が定義される。最小包含長方形60と重なるように、パワー段グランド端子GND-Pwrが配置されている。
【0056】
パワー段差動増幅回路50が配置された領域に対してy軸の正の側に、ドライブ段増幅回路20、バラン40、ドライブ段バイアス回路81、パワー段バイアス回路82A、82B、入力保護回路43、入力整合回路44、ドライブ段保護回路45、信号入力端子RFin、ドライブ段電源端子Vcc、入力側グランド端子GND-IN、バイアスグランド端子GND-Bias、バイアス電源端子Vbatt、ドライブ段バイアス制御端子IB1、パワー段バイアス制御端子IB2、IB3、及びキャパシタC16(図2)が配置されている。パワー段差動増幅回路50が配置された領域に対してy軸の負の側に、パワー段保護回路46、高調波終端回路47が配置されている。パワー段保護回路46が配置されている領域内に、非反転信号出力端子RFout+及び反転信号出力端子RFout-が配置されている。
【0057】
バラン40は、x方向に関して複数のパワー段トランジスタT2の最小包含長方形60の範囲内に配置されている。より具体的には、バラン40は、最小包含長方形60の中心位置からy方向に延びる仮想直線上に配置されている。言い換えると、バラン40のx方向の範囲内に、非反転信号増幅回路50A(図6)のパワー段トランジスタT2が分布する領域と、反転信号増幅回路50B(図6)のパワー段トランジスタT2が分布する領域との境界が配置されている。
【0058】
ドライブ段電源端子Vccと複数のドライブ段トランジスタT1(すなわち、最小包含長方形30(図7))とは、バラン40をx方向に挟む位置に配置されている。言い換えると、バラン40はドライブ段電源端子Vccよりもx軸の正の側に配置されており、ドライブ段増幅回路20はバラン40よりもx軸の正の側に配置されている。y方向に関しては、ドライブ段電源端子Vcc、最小包含長方形30、及びバラン40のy方向に占める範囲が、相互に部分的に重なっている。
【0059】
バラン40から見て、ドライブ段増幅回路20よりx方向に遠い位置に入力整合回路44が配置されている。すなわち、入力整合回路44はドライブ段増幅回路20よりx軸の正の側に配置されている。パワー段差動増幅回路50から見て入力整合回路44よりもy方向に遠い位置に信号入力端子RFinが配置されている。すなわち、信号入力端子RFinが入力整合回路44のy軸の正の側に配置されている。信号入力端子RFinは、バラン40から見てドライブ段増幅回路20よりもx方向に遠い位置に配置されていることになる。
【0060】
バイアス電源端子Vbattは、x方向に関してドライブ段電源端子Vcc及びバラン40が分布する範囲90内に配置されている。x方向に関して、バイアス電源端子Vbattと信号入力端子RFinとの間に、入力側グランド端子GND-INが配置されている。
【0061】
y方向に関してドライブ段バイアス回路81、及びパワー段バイアス回路82A、82Bが配置された範囲と、バラン40が配置された範囲は、相互に部分的に重なりを持つ。
【0062】
次に、本実施例の優れた効果について、図9に示した比較例と比較して説明する。
図9は、比較例による高周波増幅回路の複数の構成要素の平面視における配置を示す図である。図8に示した実施例では、ドライブ段増幅回路20、バラン40、及びドライブ段電源端子Vccが、x方向に並んで配置されており、パワー段差動増幅回路50に対してy軸の正の側に配置されている。
【0063】
これに対して図9に示した比較例では、差動回路の対称性を考慮して、ドライブ段増幅回路20、バラン40、及びパワー段差動増幅回路50が、y方向に並んで配置されている。特に、ドライブ段増幅回路20、バラン40、及びパワー段差動増幅回路50が、y軸に平行な仮想直線に関してほぼ線対称となるように配置されている。高周波信号は、ドライブ段増幅回路20からバラン40を経由してパワー段差動増幅回路50まで、y方向に伝送される。
【0064】
基板70の表面内で相対的に大きな面積を占めるドライブ段増幅回路20、バラン40、及びパワー段差動増幅回路50がy方向に並んで配置されるため、基板70のy方向の寸法を小さくすることが困難である。例えば、図9に示すように、素子が配置されないデッドスペース91が発生してしまう。
【0065】
図8に示した実施例では、ドライブ段増幅回路20とバラン40とをx方向に並べて配置することにより、デッドスペースを縮小し、基板70のy方向の寸法を小さくすることが可能になる。本願の発明者によるレイアウト設計では、図8に示した実施例による高周波増幅回路のチップのy方向の寸法を、図9に示した比較例による高周波増幅回路のチップのy方向の寸法の約95%まで小さくできることが確認された。なお、基板70のx方向の寸法は、パワー段差動増幅回路50のx方向の寸法によって律速されるため、図8に示した実施例と図9に示した比較例とで、基板70のx方向の寸法に差はない。
【0066】
また、本実施例(図7)では、バラン40を介してドライブ段増幅回路20に電源を供給するためのドライブ段電源端子Vccを、バラン40から見てドライブ段増幅回路20とは反対側に配置している。ドライブ段増幅回路20から出力されたシングルエンド信号は、x軸の正の側からバラン40の1次コイル40Aに入力され、1次コイル40Aを経由してx軸の負の側に出力される。差動信号を構成する非反転信号及び反転信号は、バラン40の2次コイル40Bからy軸の負の側に出力される。このため、y軸に平行な仮想直線に関する差動回路の対称性の崩れが抑制される。
【0067】
次に、図10を参照して、図8に示した実施例による高周波増幅回路と図9に示した比較例による高周波増幅回路とのAMAM特性のシミュレーション結果について説明する。図10は、AMAM特性のシミュレーション結果を示すグラフである。横軸は出力電力を単位[dBm]で表し、縦軸は出力電力が30dBmのときの利得を基準とした利得変化量を単位[dB]で表す。図10のグラフ中の実線及び破線は、それぞれ図8に示した実施例による高周波増幅回路及び図9に示した比較例による高周波増幅回路のAMAM特性を示す。シミュレーションは、周波数1710MHz、1850MHz、及び2025MHzの3つの周波数で行った。
【0068】
図8に示した実施例による高周波増幅回路のAMAM特性は、図9に示した比較例による高周波増幅回路のAMAM特性と比べて遜色がないことがわかる。さらに、図8に示した実施例では、図9に示した比較例と比べて飽和出力の改善がみられる。
【0069】
次に、図11に示した他の比較例と比較して、本実施例の優れた効果について説明する。図11は、他の比較例による高周波増幅回路のドライブ段増幅回路20、バラン40、及びドライブ段電源端子Vccの平面視における位置関係を示す図である。
【0070】
図7に示した実施例では、バラン40を基準として、ドライブ段増幅回路20とドライブ段電源端子Vccとがx方向に関して相互に反対側に配置されている。これに対して図11に示した比較例では、バラン40を基準として、ドライブ段増幅回路20とドライブ段電源端子Vccとがx方向に関して相互に同じ側に配置されており、両者がy方向に並んで配置されている。具体的には、バラン40から見て、ドライブ段増幅回路20及びドライブ段電源端子Vccが、共にx軸の正の側に配置されている。このため、ドライブ段増幅回路20から出力されたシングルエンド信号は、x軸の正の側からバラン40の1次コイル40Aに入力され、1次コイル40Aを経由してx軸の正の側に出力される。このため、y軸に平行な仮想直線に関する差動回路の対称性の崩れが大きくなる。
【0071】
図12は、図8に示した実施例による高周波増幅回路と、図11に示した比較例による高周波増幅回路とのAMAM特性のシミュレーション結果を示すグラフである。横軸は出力電力を単位[dBm]で表し、縦軸は出力電力が30dBmのときの利得を基準とした利得変化量を単位[dB]で表す。図12のグラフ中の実線及び破線は、それぞれ図8に示した実施例による高周波増幅回路及び図11に示した比較例による高周波増幅回路のAMAM特性を示す。シミュレーションは、周波数1710MHz、1850MHz、及び2025MHzの3つの周波数で行った。
【0072】
図11に示した比較例では、図8に示した実施例と比べて利得の低下量が大きく、飽和出力も低下していることがわかる。図12に結果を示したシミュレーションにより、図8に示した実施例のようにバラン40をx方向に挟むようにドライブ段増幅回路20及びドライブ段電源端子Vccを配置することにより、対称性の崩れを軽減させることの優れた効果が確認された。
【0073】
また、上記実施例(図7)の構成では、比較例(図11)の構成と比べて、ドライブ段電源端子Vccからドライブ段増幅回路20までの距離が長い。このため、ドライブ段電源端子Vccとドライブ段増幅回路20との間の寄生容量が低減される。これにより、寄生容量に起因する特性の劣化が抑制される。また、比較例(図11)のようにドライブ段電源端子Vccとドライブ段増幅回路20とをy方向に並べて配置することは、チップのy方向の寸法を小さくするという観点からも不利である。
【0074】
次に、上記実施例の他の優れた効果について説明する。上記実施例(図8)では、バイアス電源端子Vbattが、x方向に関してドライブ段電源端子Vcc及びバラン40が分布する範囲90内に配置されている。さらに、信号入力端子RFinは、入力整合回路44に対してy方向に並んで配置されている。すなわち、x方向に関して信号入力端子RFinが配置された位置と、バイアス電源端子Vbattが配置された位置との間に、ドライブ段増幅回路20が配置される。このため、信号入力端子RFinからバイアス電源端子Vbattまでの距離が、ドライブ段増幅回路20のx方向の寸法より長い。
【0075】
また、x方向に関して信号入力端子RFinが配置された位置と、ドライブ段電源端子Vccが配置された位置との間に、バラン40及びドライブ段増幅回路20が配置される。このため、信号入力端子RFinからドライブ段電源端子Vccまでの距離が、バラン40とドライブ段増幅回路20とのx方向の合計の寸法より長い。
【0076】
このように、上記実施例では、信号入力端子RFinが、電源端子から離れて配置されている。これにより、信号の回り込みの影響による発振を抑制することができる。
【0077】
上述の実施例は例示であり、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0078】
本明細書に記載した上記実施例に基づき、以下の発明を開示する。
<1>
基板と、
前記基板に配置され、複数のドライブ段トランジスタを含むドライブ段増幅回路と、
前記基板に配置され、前記ドライブ段増幅回路から出力された高周波信号を、差動信号に変換するバランと、
前記基板に配置され、複数のパワー段トランジスタを含み、前記バランによって変換された差動信号を増幅するパワー段差動増幅回路と、
前記バランを経由して前記複数のドライブ段トランジスタに電源を供給するドライブ段電源端子と
を備え、
前記基板を平面視したとき、前記複数のパワー段トランジスタを包含する最小包含長方形が第1方向に長く、
前記バランは、前記第1方向に関して前記最小包含長方形の範囲内に配置されており、
前記ドライブ段電源端子と前記複数のドライブ段トランジスタとは、前記バランを前記第1方向に挟む位置に配置されている高周波増幅回路。
【0079】
<2>
前記複数のパワー段トランジスタは、前記第1方向に並んで配置されている<1>に記載の高周波増幅回路。
【0080】
<3>
前記複数のドライブ段トランジスタは、前記基板の面内において前記第1方向と直交する方向に並んで配置されている<1>または<2>に記載の高周波増幅回路。
【0081】
<4>
前記ドライブ段増幅回路への信号が入力される信号入力端子と、
前記複数のドライブ段トランジスタにバイアスを供給するドライブ段バイアス回路と、
前記複数のパワー段トランジスタにバイアスを供給するパワー段バイアス回路と、
前記ドライブ段バイアス回路及び前記パワー段バイアス回路に電源を供給するバイアス電源端子と
をさらに備え、
前記バランから見て前記信号入力端子は前記ドライブ段増幅回路よりも前記第1方向に遠い位置に配置されており、
前記バイアス電源端子は、前記第1方向に関して前記ドライブ段電源端子及び前記バランが分布する範囲内に配置されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高周波増幅回路。
【符号の説明】
【0082】
20 ドライブ段増幅回路
20CL ドライブ段増幅回路のセル
23C コレクタ配線
30 ドライブ段トランジスタの最小包含長方形
40 バラン
40A 1次コイル
40B 2次コイル
43 入力保護回路
44 入力整合回路
45 ドライブ段保護回路
46 パワー段保護回路
47 高調波終端回路
50 パワー段差動増幅回路
50A 非反転信号増幅回路
50B 反転信号増幅回路
50CLA、50CLB パワー段増幅回路のセル
51B ベース層
51C コレクタ層
51E エミッタ層
52B ベース電極
52C コレクタ電極
52E エミッタ電極
53B 1層目のベース配線
53C 1層目のコレクタ配線
53E 1層目のエミッタ配線
54E 2層目のエミッタ配線
55a ピラー部
55b ハンダ層
60 パワー段トランジスタの最小包含長方形
70 基板
70A 第1面
71 サブコレクタ層
81 ドライブ段バイアス回路
82A、82B パワー段バイアス回路
90 ドライブ段電源端子及びバランが分布するx方向の範囲
91 デッドスペース
GND-Bias バイアスグランド端子
GND-Drv ドライブ段グランド端子
GND-IN 入力側グランド端子
GND-Pwr パワー段グランド端子
IB1 ドライブ段バイアス制御端子
IB2、IB3 パワー段バイアス制御端子
RFin 信号入力端子
RFout+ 非反転信号出力端子
RFout- 反転信号出力端子
T1 ドライブ段トランジスタ
T2 パワー段トランジスタ
Vbatt バイアス電源端子
Vcc ドライブ段電源端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12