(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014274
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20240125BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116976
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】塩田 了
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087MA07
2H087MA08
2H087PA12
2H087PA13
2H087PA20
2H087PB15
2H087PB16
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】屈折力を適切に配置することで、結像時の諸収差を補正した上で像倍率変動を抑制した光学系を提供する。
【解決手段】物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2を有し、遠距離から近距離への合焦に際し少なくとも第2レンズ群G2が物体側に移動し、第2レンズ群G2は物体側から順に第2レンズ群前群G2Aと第2レンズ群後群G2Bで構成され、第2レンズ群前群G2Aと第2レンズ群後群G2Bはそれぞれ正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズを1枚以上有し、所定の条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2を有し、
遠距離から近距離への合焦に際し少なくとも前記第2レンズ群G2が物体側に移動し、
前記第2レンズ群G2は物体側から順に第2レンズ群前群G2Aと第2レンズ群後群G2Bで構成され、
前記第2レンズ群前群G2Aと前記第2レンズ群後群G2Bはそれぞれ正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズを1枚以上有し、
以下の条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする光学系。
(1)(1/F1-1/F3)×F2 > 0.60
(2)DAB/D2 > 0.050
ただし、
F1:前記第1レンズ群G1の焦点距離
F2:前記第2レンズ群G2の焦点距離
F3:前記第2レンズ群G2と像面の間に配置された光学面すべての焦点距離。ただし、前記第2レンズ群G2と像面との間に光学面が存在しない場合、F3=∞として計算する
DAB:前記第2レンズ群前群G2Aの最も像面側の面と前記第2レンズ群後群G2Bの最も物体側の面との光軸上の間隔
D2:前記第2レンズ群G2の最も物体側の面と最も像面側の面との光軸上の間隔
【請求項2】
請求項1に記載された光学系において、以下の条件式(3)、(4)、(5)および(6)を満足することを特徴とする光学系。
(3)nd2Bp > 1.80
(4)nd2Bn < 1.75
(5)vd2Ap > 60.00
(6)vd2An < 35.00
ただし、
nd2Bp:前記第2レンズ群後群G2Bに含まれる正の屈折力を有するレンズの屈折率の平均値
nd2Bn:前記第2レンズ群後群G2Bに含まれる負の屈折力を有するレンズの屈折率の平均値
vd2Ap:前記第2レンズ群前群G2Aに含まれる正の屈折力を有するレンズのアッベ数の平均値
vd2An:前記第2レンズ群前群G2Aに含まれる負の屈折力を有するレンズのアッベ数の平均値
【請求項3】
請求項1または2に記載された光学系において、前記第2レンズ群後群G2Bが、光軸中心に対し有効光線径の周辺において、正の屈折力が弱くなる、若しくは、負の屈折力が強くなる、または、正の屈折力から負の屈折力へ変化するような非球面を有することを特徴とする光学系。
【請求項4】
請求項1または2に記載された光学系において、前記第1レンズ群G1の群内、または、その像面側に隣接して開口絞りが配置されることを特徴とする光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置や、投影装置などに用いられるレンズに好適な光学系に関し、像倍率変動を効果的に補正することが可能な光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年デジタルカメラの動画機能の向上や、ビデオカメラ等の動画機器の低価格化に伴い、撮像装置などに用いられる光学系に対して、合焦位置の変化に伴う画角の変動を抑制することが求められるようになってきている。
【0003】
従来提案されてきた光学系においては、複数の枚数のレンズで構成された群を合焦時に移動させることで、収差の変動を補正したものが提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/73744号
【特許文献2】国際公開第2021/199923号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では以下のような問題点があった。例えば特許文献1において、複数の枚数のレンズで構成された群を合焦時に移動させることで、収差の変動を補正した光学系が提唱されている。しかしながら、特許文献1に記載の光学系は像倍率変動が大きく、動画を撮影する場合には適さない問題がある。特許文献2も同様の問題を有している。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、屈折力を適切に配置することで、結像時の諸収差を補正した上で像倍率変動を抑制した光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2を有し、遠距離から近距離への合焦に際し少なくとも前記第2レンズ群G2が物体側に移動し、前記第2レンズ群G2は物体側から順に第2レンズ群前群G2Aと第2レンズ群後群G2Bで構成され、前記第2レンズ群前群G2Aと前記第2レンズ群後群G2Bはそれぞれ正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズを1枚以上有し、以下の条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする。
(1)(1/F1-1/F3)×F2 > 0.60
(2)DAB/D2 > 0.050
ただし、
F1:前記第1レンズ群G1の焦点距離
F2:前記第2レンズ群G2の焦点距離
F3:前記第2レンズ群G2と像面の間に配置された光学面すべての焦点距離。ただし、前記第2レンズ群G2と像面との間に光学面が存在しない場合、F3=∞として計算する
DAB:前記第2レンズ群前群G2Aの最も像面側の面と前記第2レンズ群後群G2Bの最も物体側の面との光軸上の間隔
D2:前記第2レンズ群G2の最も物体側の面と最も像面側の面との光軸上の間隔
【0008】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、以下の条件式(3)、(4)、(5)および(6)を満足することを特徴とする。
(3)nd2Bp > 1.80
(4)nd2Bn < 1.75
(5)vd2Ap > 60.00
(6)vd2An < 35.00
ただし、
nd2Bp:前記第2レンズ群後群G2Bに含まれる正の屈折力を有するレンズの屈折率の平均値
nd2Bn:前記第2レンズ群後群G2Bに含まれる負の屈折力を有するレンズの屈折率の平均値
vd2Ap:前記第2レンズ群前群G2Aに含まれる正の屈折力を有するレンズのアッベ数の平均値
vd2An:前記第2レンズ群前群G2Aに含まれる負の屈折力を有するレンズのアッベ数の平均値
【0009】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記第2レンズ群後群G2Bが、光軸中心に対し有効光線径の周辺において、正の屈折力が弱くなる、若しくは、負の屈折力が強くなる、または、正の屈折力から負の屈折力へ変化するような非球面を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記第1レンズ群G1の群内、または、その像面側に隣接して開口絞りが配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る光学系によれば、屈折力を適切に配置することで、結像時の諸収差を補正した上で像倍率変動を抑制した光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1の光学系の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図2】実施例1の光学系の無限遠における縦収差図である。
【
図3】実施例1の光学系の撮影距離275mmにおける縦収差図である。
【
図4】実施例1の光学系の無限遠における横収差図である。
【
図5】実施例1の光学系の撮影距離275mmにおける横収差図である。
【
図6】実施例2の光学系の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図7】実施例2の光学系の無限遠における縦収差図である。
【
図8】実施例2の光学系の撮影距離395mmにおける縦収差図である。
【
図9】実施例2の光学系の無限遠における横収差図である。
【
図10】実施例2の光学系の撮影距離395mmにおける横収差図である。
【
図11】実施例3の光学系の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図12】実施例3の光学系の無限遠における縦収差図である。
【
図13】実施例3の光学系の撮影距離276.15mmにおける縦収差図である。
【
図14】実施例3の光学系の無限遠における横収差図である。
【
図15】実施例3の光学系の撮影距離276.15mmにおける横収差図である。
【
図16】実施例4の光学系の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図17】実施例4の光学系の無限遠における縦収差図である。
【
図18】実施例4の光学系の撮影距離275mmにおける縦収差図である。
【
図19】実施例4の光学系の無限遠における横収差図である。
【
図20】実施例4の光学系の撮影距離275mmにおける横収差図である。
【
図21】実施例5の光学系の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図22】実施例5の光学系の無限遠における縦収差図である。
【
図23】実施例5の光学系の撮影距離276.15mmにおける縦収差図である。
【
図24】実施例5の光学系の無限遠における横収差図である。
【
図25】実施例5の光学系の撮影距離276.15mmにおける横収差図である。
【
図26】実施例6の光学系の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図27】実施例6の光学系の無限遠における縦収差図である。
【
図28】実施例6の光学系の撮影距離275mmにおける縦収差図である。
【
図29】実施例6の光学系の無限遠における横収差図である。
【
図30】実施例6の光学系の撮影距離275mmにおける横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる光学系の実施例について詳細に説明する。なお、以下の実施例の説明は、本発明の光学系の一例を説明したものであり、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において本実施例に限定されるものではない。
【0014】
本発明の光学系は、
図1、
図6、
図11、
図16、
図21、
図26に示すレンズ構成図からわかるように、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2を有し、遠距離から近距離への合焦に際し少なくとも第2レンズ群G2が物体側に移動することを特徴とする。
【0015】
本発明は合焦時の像倍率変動と収差の変動の両方を抑制した光学系の提供を目的としており、合焦時に移動する群の配置を適切に選択することが重要となる。
【0016】
特にインナーフォーカスの光学系においては、合焦の手段として、光学系全体の主点の位置を変動させる手段が知られている。しかし、このような手段を用いた場合、合焦の際、軸外主光線の通過する位置の光軸からの距離が大きく変動し、軸外収差特に歪曲収差を大きく変動させてしまう。歪曲収差が変動すると、像倍率が変動し、画角を一定に固定することができなくなる。
【0017】
そこで、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2を配置し、遠距離から近距離への合焦に際し少なくとも前記第2レンズ群G2を物体側に移動させ、各群の屈折力を適切な範囲にすることで、光学系の焦点距離の変動によって合焦させて主点位置の変化を抑え、像倍率変動を抑制することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明の光学系は、以下の条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする。
(1)(1/F1-1/F3)×F2 > 0.60
(2)DAB/D2 > 0.050
ただし、
F1:第1レンズ群G1の焦点距離
F2:第2レンズ群G2の焦点距離
F3:第2レンズ群G2と像面の間に配置された光学面すべての焦点距離。ただし、第2レンズ群G2と像面との間に光学面が存在しない場合、F3=∞として計算する
DAB:第2レンズ群前群G2Aの最も像面側の面と第2レンズ群後群G2Bの最も物体側の面との光軸上の間隔
D2:第2レンズ群G2の最も物体側の面と最も像面側の面との光軸上の間隔
【0019】
条件式(1)は、合焦時の光学系の焦点距離の変化について好ましい範囲を規定するものである。
【0020】
このような条件を設定することにより、第2レンズ群G2が物体側に移動する際に光学系全体の正の屈折力が強くなり、合焦時の主点位置の変化が小さくなる結果、軸外主光線が通過する位置の光軸からの距離の変化も小さくなり、像倍率変動を抑制することが可能となる
【0021】
条件式(1)の下限値を超え、第1レンズ群G1の正の屈折力と第2レンズ群G2より像側のレンズ群の負の屈折力の合計が小さくなると、合焦時に光学系の焦点距離の変化が十分でなく、焦点の移動を主点位置の移動に頼ることになるため、像倍率変動を抑制することが困難になる。
【0022】
また、条件式(1)の下限値を0.80にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0023】
条件式(2)は、第2レンズ群前群G2Aと第2レンズ群後群G2Bの最も物体側の面との間隔について好ましい範囲を規定するものである。
【0024】
このような条件を設定することにより、マージナル光線と光軸との距離が第2レンズ群後群G2Bよりも相対的に高い第2レンズ群前群G2Aでは軸上収差の補正をおこない、軸外主光線と光軸との距離が第2レンズ群前群G2Aよりも相対的に高い第2レンズ群後群G2Bでは主に像面湾曲等の補正を行うように、各々の群で別の収差の補正を制御することが可能となる。
【0025】
条件式(2)の下限値を超え、第2レンズ群前群G2Aの最も像面側の面と第2レンズ群後群G2Bの最も物体側の面との光軸上の間隔が小さくなると、第2レンズ群前群G2Aにおいて軸外主光線の光軸からの距離が長くなるか、もしくは、第2レンズ群後群G2Bにおいてマージナル光線の光軸からの距離が長くなるため、第2レンズ群前群G2Aにおいて軸上色収差を補正すると同時に第2レンズ群後群G2Bにおいて像面湾曲を補正することが困難になる。
【0026】
また、条件式(2)の下限値を0.100にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0027】
さらに、本発明の光学系は、光学系の有するレンズLAは以下の条件式(3)、(4)、(5)および(6)を満足することが望ましい。
(3)nd2Bp > 1.80
(4)nd2Bn < 1.75
(5)vd2Ap > 60.00
(6)vd2An < 35.00
ただし、
nd2Bp:第2レンズ群後群G2Bに含まれる正の屈折力を有するレンズの屈折率の平均値
nd2Bn:第2レンズ群後群G2Bに含まれる負の屈折力を有するレンズの屈折率の平均値
vd2Ap:第2レンズ群前群G2Aに含まれる正の屈折力を有するレンズのアッベ数の平均値
vd2An:第2レンズ群前群G2Aに含まれる負の屈折力を有するレンズのアッベ数の平均値
【0028】
条件式(3)は、第2レンズ群後群G2Bに含まれる正の屈折力を有するレンズの屈折率の平均値について好ましい範囲を規定するものである。
【0029】
条件式(3)の下限値を超え、第2レンズ群後群G2Bに含まれる正の屈折力を有するレンズの屈折率の平均値が小さくなると、像面湾曲を補正することが困難になる。
【0030】
また、条件式(3)の下限値を1.85にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0031】
条件式(4)は、第2レンズ群後群G2Bに含まれる負の屈折力を有するレンズの屈折率の平均値について好ましい範囲を規定するものである。
【0032】
条件式(4)の上限値を超え、第2レンズ群後群G2Bに含まれる負の屈折力を有するレンズの屈折率の平均値が大きくなると、像面湾曲を補正することが困難になる。
【0033】
また、条件式(4)の上限値を1.70にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0034】
条件式(5)は、第2レンズ群前群G2Aに含まれる正の屈折力を有するレンズのアッベ数の平均値について好ましい範囲を規定するものである。
【0035】
条件式(5)の下限値を超え、第2レンズ群前群G2Aに含まれる正の屈折力を有するレンズのアッベ数の平均値が小さくなると、軸上色収差を補正することが困難になる。
【0036】
また、条件式(5)の下限値を63.00にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0037】
条件式(6)は、第2レンズ群前群G2Aに含まれる負の屈折力を有するレンズのアッベ数の平均値について好ましい範囲を規定するものである。
【0038】
条件式(6)の上限値を超え、第2レンズ群前群G2Aに含まれる負の屈折力を有するレンズのアッベ数の平均値が大きくなると、軸上色収差を補正することが困難になる。
【0039】
また、条件式(6)の上限値を33.00にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0040】
さらに、本発明の光学系は、第2レンズ群後群G2Bが、光軸中心に対し有効光線径の周辺において、正の屈折力が弱くなる、若しくは、負の屈折力が強くなる、または、正の屈折力から負の屈折力へ変化するような非球面を有することが望ましい。
【0041】
本発明の光学系をこのような構成とすることで、歪曲収差を効果的に補正することが可能になる。
【0042】
さらに、本発明の光学系は、第1レンズ群G1の群内、または、その像面側に隣接して開口絞りが配置されることが望ましい。
【0043】
本発明の光学系をこのような構成とすることで、口径食を抑制しつつ、合焦の際に移動する群である第2レンズ群G2を軽量化することが可能になる。
【0044】
以下に、本発明の光学系に係る各実施例のレンズ構成、数値実施例及び条件式対応値について説明する。なお、以下の説明ではレンズ構成を物体側から像面側の順番で記載する。
【0045】
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面または開口絞りの番号、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面の間隔、ndはd線(波長587.56nm)に対する屈折率、vdはd線に対するアッベ数を示している。
【0046】
面番号に付した*(アスタリスク)は、そのレンズ面形状が非球面であることを示している。また、BFはバックフォーカス、物面の距離は被写体からレンズ第1面までの距離を示している。
【0047】
面番号に付した(絞り)は、その位置に開口絞りが位置していることを示している。平面又は開口絞りに対する曲率半径には∞(無限大)を記入している。
【0048】
[非球面データ]には、[面データ]において*を付したレンズ面の非球面形状を与える各係数の値を示している。非球面の形状は、下記の式で表される。以下の式において、光軸に直交する方向への光軸からの変位をy、非球面と光軸の交点から光軸方向への変位(サグ量)をz、基準球面の曲率半径をr、コーニック係数をKで表している。また、4、6、8、10、12次の非球面係数をそれぞれA4、A6、A8、A10、A12で表している。
【0049】
【0050】
[各種データ]には、各焦点距離状態または各撮影距離合焦状態における焦点距離等の値を示している。
【0051】
[可変間隔データ]には、各焦点距離状態または各撮影距離合焦状態における可変間隔およびBFの値を示している。
【0052】
[レンズ群データ]には、各レンズ群を構成する最も物体側の面番号および群全体の合成焦点距離を示している。
【0053】
また、各実施例に対応する収差図において、d、g、Cはそれぞれd線、g線、C線を表しており、△S、△Mはそれぞれサジタル像面、メリジオナル像面を表している。
【0054】
なお、以下の全ての諸元の値において、記載している焦点距離f、曲率半径r、レンズ面間隔d、その他の長さの単位は特記のない限りミリメートル(mm)を使用するが、光学系では比例拡大と比例縮小とにおいても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【実施例0055】
図1は、実施例1の光学系の無限遠におけるレンズ構成図である。
【0056】
実施例1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、負の屈折力を有する第3レンズ群G3から構成される。
【0057】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL2と、両凹レンズL3と、両凸レンズL4と、両凹レンズL5と両凸レンズL6からなる接合レンズと、両凸レンズL7と像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL8からなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL9から構成される。物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL8と物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL9の間には開口絞りが配置される。
【0058】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凸レンズL10と両凹レンズL11からなる接合レンズと、両凸レンズL12と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL13と、両凹レンズL14と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15から構成される。像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。両凸レンズL10と両凹レンズL11からなる接合レンズが請求項1における第2レンズ群前群G2Aに、両凸レンズL12から像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15が請求項1における第2レンズ群後群G2Bにそれぞれ相当する。第2レンズ群G2は、無限遠物体距離から近距離へのフォーカシングに際して全体が物体側へ移動する。
【0059】
第3レンズ群G3は、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL16のみから構成される。
【0060】
以下に実施例1に係る光学系の諸元値を示す。
数値実施例1
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd
物面 ∞ (d0)
1* 104.4625 2.9172 1.51633 64.06
2* 79.3939 0.5000
3 48.5008 1.4000 1.43700 95.10
4 21.6406 11.6812
5 -63.9370 1.2000 1.59270 35.45
6 133.3628 0.2684
7 78.6364 4.2917 2.00100 29.13
8 -134.2859 6.5845
9 -34.1778 1.2000 1.65412 39.68
10 31.0506 10.0000 1.59282 68.62
11 -46.0527 0.1500
12 58.0532 9.4131 2.00100 29.13
13 -38.4363 1.2000 1.85451 25.15
14 -146.3292 1.0000
15(絞り) ∞ 1.0000
16 75.2553 1.2000 1.85451 25.15
17 39.1284 (d17)
18 29.5172 9.7714 1.55032 75.50
19 -27.4980 1.0000 1.85451 25.15
20 51.5833 4.8476
21 48.4938 5.5110 2.00100 29.13
22 -54.9615 0.1794
23 1419.4634 0.9000 1.61340 44.27
24 70.2041 1.7992
25 -370.3402 0.9000 1.56732 42.84
26 64.5030 3.2849
27* -400.0000 2.3554 1.80610 40.73
28* -79.5075 (d28)
29 -65.5518 1.0000 1.51680 64.20
30 -1000.0000 (BF)
像面 ∞
[非球面データ]
1面 2面 27面 28面
K 0.00000 -1.75000 0.00000 0.00000
A4 1.04188E-05 1.30115E-05 -2.03589E-05 -1.95833E-06
A6 -1.27178E-08 -1.32789E-08 -3.29116E-08 -1.40472E-08
A8 4.78718E-12 -4.04021E-12 4.49014E-10 3.51441E-10
A10 -1.13623E-14 -5.71250E-15 -1.69529E-12 -8.37574E-13
A12 1.10745E-17 1.53201E-17 2.21191E-15 4.41164E-16
[各種データ]
INF 275mm
焦点距離 34.10 31.45
Fナンバー 1.46 1.65
全画角2ω 65.36 62.88
像高Y 21.63 21.63
レンズ全長 112.00 112.00
[可変間隔データ]
INF 275mm
d0 ∞ 163.0000
d17 7.3813 1.7352
d28 3.0637 8.7098
BF 16.0000 16.0000
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 78.48
G2 18 51.21
G3 29 -135.79
G2A 18 -176.76
G2B 21 36.36
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL1と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL2と、両凹レンズL3と、両凸レンズL4と、両凹レンズL5と両凸レンズL6からなる接合レンズと、両凸レンズL7と像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL8からなる接合レンズから構成される。像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL8の像面側に隣接して開口絞りが配置される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凸レンズL9と両凹レンズL10からなる接合レンズと、両凸レンズL11と、両凹レンズL12と、両凹レンズL13と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14から構成される。像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。両凸レンズL9と両凹レンズL10からなる接合レンズが請求項1における第2レンズ群前群G2Aに、両凸レンズL11から像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14が請求項1における第2レンズ群後群G2Bにそれぞれ相当する。第2レンズ群G2は、無限遠物体距離から近距離へのフォーカシングに際して全体が物体側へ移動する。