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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142740
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】圧力検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/14 20060101AFI20241003BHJP
   G01L 23/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01L19/14
G01L23/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055044
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】清水 龍輔
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA23
2F055CC02
2F055DD01
2F055EE23
2F055FF04
2F055GG25
(57)【要約】
【課題】
圧力検出装置の伝導部材の組み込み工程において、その作業性を高め、組み立て性、生産性の向上を図り、良好かつ安定した圧力検出装置を得ることを目的とする。
【解決手段】
第1筐体21の後端開口部に、第2筐体26の内部に収納された処理回路27と接続された伝導部材28a及び伝導部材28bを伝導部材28a側から挿入する。伝導部材28aは、先端が三つ又のフォーク形状の伝導部材28bの中央脚に挿入され、その両側の側脚を中央脚に向かって曲げることで第2伝導部材に予め固定されており、第1筐体21の後端開口部から第1伝導部材の挿入時に紛失することなく、作業が進められる。

【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力の変化を検出する圧力検出素子と、前記圧力検出素子が出力する出力信号を伝達する伝導部材と、を備えた圧力検出装置において、
前記伝導部材は、孔部を有する筒部を備えた第1伝導部材と、第1突出部および第2突出部を備えた第2伝導部材と、を有し、
前記第2伝導部材の前記第1突出部は前記第1伝導部材の前記孔部に挿入され、前記第2突出部は前記第1伝導部材の外周に固定されている、ことを特徴とする圧力検出装置。
【請求項2】
前記第2突出部は前記第1伝導部材に圧着し固定されている請求項1に記載の圧力検出装置。
【請求項3】
前記第1伝導部材は、前記孔部の中心軸方向に伸縮可能であることを特徴とする請求項1に記載の圧力検出装置。
【請求項4】
前記第1伝導部材はコイルスプリングであることを特徴とする請求項3に記載の圧力検出装置。
【請求項5】
前記第2突出部を複数備え、前記第2突出部のいずれか2つは前記第1突出部を挟んで対向して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力検出装置。
【請求項6】
前記第2突出部は、前記第1伝導部材の外周と固定される固定部と、前記固定部と対向する対向部を備え、前記対向部は前記固定部から離れる方向に突出する凸部を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧力検出装置。
【請求項7】
前記第1突出部は、前記孔部の内部と係止する突起部を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧力検出装置。
【請求項8】
圧力の変化を検出する圧力検出素子と、前記圧力検出素子が出力する出力信号を伝達する伝導部材と、を備え、前記伝導部材は、孔部を有する筒部を備えた第1伝導部材と、第1突出部および第2突出部を備えた第2伝導部材と、を有し、前記第2伝導部材の前記第1突出部は前記第1伝導部材の前記孔部に挿入され、前記第2突出部は前記第1伝導部材の外周に固定されており、前記第2突出部は、前記第1伝導部材の外周と固定される固定部と、前記固定部と対向する対向部を備え、前記対向部は前記固定部から離れる方向に突出する凸部を備えた圧力検出装置の製造方法であって、
第1伝導部材の前記孔部に前記第2伝導部材の前記第1突出部を挿入する挿入工程と、
前記挿入工程の後に、前記第2伝導部材の前記第2突出部を前記第1伝導部材の外周に向かって圧接し固定する圧接工程と、を備え、
前記圧接工程において、前記凸部を力点として前記第2突出部を前記第1伝導部材の外周に向かって圧接する、ことを特徴とする圧力検出装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエンジンの燃焼室内等の圧力を測定するための圧力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関には、燃焼状態やノッキングの検出、あるいは、燃料消費率の向上、排気ガスの清浄化などを行うため、燃焼室内の圧力を検出するための圧力検出装置が搭載されていた。内燃機関は、この圧力検出装置による検出結果に基づき、ECU(Engine Control Unit)と呼ばれる制御装置が、内燃機関の動作等に関する制御を行っている。
【0003】
例えば、特許文献1には、圧力を検出する検出部と、検出部による圧力の検出に伴って
得られた電気信号に各種処理を施す処理部を有する圧力検出装置が開示されている。こ
の圧力検出装置は、内燃機関に対し、検出部が燃焼室を向くとともに処理部が外部を向く
ように取り付けられるものである。
【0004】
特許文献1に開示される圧力検出装置の検出部は、先端側に取り付けられたダイアフラ
ムヘッドと、このダイアフラムヘッドが受ける圧力を検出する圧電素子と、この圧電素子
の一方の面でダイアフラムヘッドとの間に設けられる先端電極部材と、この圧電素子の他
方の面に配置される後端電極部材と、圧電素子、先端電極部材および後端電極部材を収納する先端側筐体とで構成されている。先端側筐体は、筒状を成しており、金属材料によって構成されている。
【0005】
処理部は、上述した先端側筐体の後端側とはめ合う後端側筐体の内部に収容されており、処理回路、伝導部材等を備えている。
【0006】
処理回路は、受けた圧力に応じて圧電素子が出力する微弱な電荷による電気信号に、電気回路を用いた各種処理を施すものであって、先端側筐体の内部と後端側筐体の内部とに跨って設けられている。また、この処理回路には、圧電素子が出力する電気信号を処理回路へ導く伝導部材が接続されている。この伝導部材は処理回路から圧電素子側へ向って延伸している。
【0007】
電気信号の経路となる伝導部材は、棒状を成しており、金属材料によって構成される。この伝導部材は、先端側が先端側筐体の内部に挿入配置される構成で、その先端部が圧電素子に接触配置された後端電極部材と当接する。また、伝導部材の後端部は処理回路に設けられた電極端子に接続される。伝導部材は、圧電素子と処理回路とを電気的に接続し、圧電素子からの電気信号を処理回路へ導く役目を成している。
【0008】
また、先端電極部材は圧電素子とダイアフラムヘッドとの間において圧電素子に接触配置され、先端側筐体、後端側筐体の内部で電気的な接続が成され、処理回路のGND電極に接続される構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2017-150976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
内燃機関の燃焼状態やノッキングの検出、燃料消費率の向上、排気ガスの清浄化などの取り組みは、内燃機関自体の小型化や小排気量化に波及し、それを実現するための各種の付帯設備が小型化された内燃機関に取り付けられている。
そして、内燃機関の小型化に伴い、圧力検出装置の取り付け箇所の確保のために、従来よりも小型化された圧力検出装置が前記付帯設備の一つとして求められており、当該圧力検出装置が内蔵する部材にも小型・微細化することが必要になっている。
そのために、圧力検出装置が内蔵する圧力の変化を検出した圧電素子の出力信号を伝導する、少なくとも2つの伝導部材同士を固定することを、前記出力信号を安定的に伝導する接続状態を量産工程に適用することは従来困難であった。
【0011】
本発明は、小型・微細構造を有する伝導部材であっても安定的に電気的接続が可能な圧力検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
圧力の変化を検出する圧力検出素子と、前記圧力検出素子が出力する出力信号を伝達する伝導部材と、を備えた圧力検出装置において、
前記伝導部材は、孔部を有する筒部を備えた第1伝導部材と、第1突出部および第2突出部を備えた第2伝導部材と、を有し、
前記第2伝導部材の前記第1突出部は前記第1伝導部材の前記孔部に挿入され、前記第2突出部は前記第1伝導部材の外周に固定されている圧力検出装置とする。
【0013】
前記第2突出部は前記第1伝導部材に圧着し固定されている圧力検出装置とする。
【0014】
前記第1伝導部材は、その中心軸方向に伸縮可能である圧力検出装置とする。
【0015】
前記第1伝導部材はコイルスプリングである圧力検出装置とする。
【0016】
前記第2突出部を複数備え、前記第2突出部のいずれか2つは前記第1突出部を挟んで対向して配置されている圧力検出装置とする。
【0017】
前記第2突出部は、前記第1伝導部材の外周と固定される固定部と、前記固定部と対向する対向部を備え、前記対向部は前記固定部から離れる方向に突出する凸部を備える圧力検出装置とする。
【0018】
前記第1突出部は、前記孔部の内部と係止する突起部を備える圧力検出装置とする。
【0019】
圧力の変化を検出する圧力検出素子と、前記圧力検出素子が出力する出力信号を伝達する伝導部材と、を備え、前記伝導部材は、孔部を有する筒部を備えた第1伝導部材と、第1突出部および第2突出部を備えた第2伝導部材と、を有し、前記第2伝導部材の前記第1突出部は前記第1伝導部材の前記孔部に挿入され、前記第2突出部は前記第1伝導部材の外周に固定されており、前記第2突出部は、前記第1伝導部材の外周と固定される固定部と、前記固定部と対向する対向部を備え、前記対向部は前記固定部から離れる方向に突出する凸部を備えた圧力検出装置の製造方法であって、第1伝導部材の前記孔部に前記第2伝導部材の前記第1突出部を挿入する挿入工程と、前記挿入工程の後に、前記第2伝導部材の前記第2突出部を前記第1伝導部材の外周に向かって圧接し固定する圧接工程と、を備え、前記圧接工程において、前記凸部を力点として前記第2突出部を前記第1伝導部材の外周に向かって圧接する圧力検出装置の製造方法とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、小型・微細構造を有する伝導部材であっても安定的に電気的接続が可能な圧力検出装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る圧力検出システムの概略構成図
図2】本発明の実施形態に係る圧力検査装置の断面図
図3図2のA部拡大断面図
図4】本発明技術を用いた圧力検出装置の製造方法を示す図
図5】本発明技術の変形例を示す図
図6】本発明技術の変形例を示す図
図7】本発明の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
(圧力検出装置の形態)
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る圧力検出システムの概略構成図である。
圧力検出システム1は、内燃機関10における燃焼室C内の圧力(燃焼圧)を検出する圧力検出装置20と、圧力検出装置20に対する給電を行うとともに圧力検出装置20が検出した圧力に基づいて内燃機関10の動作を制御する制御装置40と、圧力検出装置20と制御装置40とを電気的に接続する接続ケーブル50とを備えている。
【0023】
ここで、圧力の検出対象となる内燃機関10は、内部にシリンダが形成されたシリンダブロック11と、シリンダ内を往復動するピストン12と、シリンダブロック11に締結されてピストン12等とともに燃焼室Cを構成するシリンダヘッド13とを有している。
また、シリンダヘッド13には、燃焼室Cと外部とを連通する連通孔13aが設けられている。この連通孔13aの内部には雌ねじ(図示せず)が形成されており、圧力検出装置20の外周面に形成された雄ねじ(図示せず)をねじ込むことで、内燃機関10に対して圧力検出装置20を取り付けている。なお、連通孔13aの両端部側には、シリンダヘッド13と圧力検出装置20との間に介在して、燃焼室C内の気密性を保つためのシール部材(図示せず)が設けられている。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係る圧力検出装置20の断面図である。また、図3は、図2のA部拡大断面図である。
【0025】
なお、以下の説明では、図2において、図中左側を圧力検出装置20の「先端側」と称し、図中右側を圧力検出装置20の「後端側」と称する。そして前記先端側と前記後端側とを直線で結ぶ圧力検出装置20の中心軸に沿う方向を圧力検出装置20の「長さ方向」と称する。また、前記長さ方向に直交する方向を圧力検出装置20の「径方向」と称する。
【0026】
圧力検出装置20は、先端側に第1筐体21を有しており、その先端部には、ダイアフラムヘッド22が取り付けられている。また、第1筐体21の内部には、その先端側より先端電極部材23a、圧電素子24、後端電極部材23b、後端電極23c、および絶縁リング25が収容され、ダイアフラムヘッド22とともに圧力検出部を構成している。また、圧力検出装置20の後端側には第2筐体26を有しており、その内部には処理回路27、処理回路27の後端側に配置され処理回路27と接続ケーブル50とを接続する接続部材29が収納されている。処理回路27は、圧力検出部による圧力の検出に伴って得られた電気信号に各種処理を施す処理部を構成するものである。処理部の処理回路27と圧力検出部の後端電極23cとは、両者の間に配置された伝導部材28によって電気的に接続されている。そして、この圧力検出装置20は、図1に示す内燃機関10に対し、第1筐体21の先端部に取り付けられたダイアフラムヘッド22が燃焼室C(図1において下方)を向くとともに第2筐体26の後端が外部(図1において上方)を向くように取り付けられる。
【0027】
第1筐体21は、中空構造且つ全体として筒状を成す部材である。第1筐体21は、その中心軸に沿った貫通孔21bを有し、貫通孔21bの中間部には段差部21cを備える。この第1筐体21は、導電性を有するともに耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。そして、第1筐体21の先端部には、レーザ溶接によってダイアフラムヘッド22が取り付けられ、第1筐体21の後端側には、はめ合いによって第2筐体26が取り付けられる。なお、第1筐体21の一部外周面には、シリンダヘッド13の連通孔13a(図1参照)の内周面に設けられた雌ねじ(図示せず)と噛み合う雄ねじ21aが形成されている。
【0028】
ダイアフラムヘッド22は、全体として円板状を成す部材である。このダイアフラムヘッド22は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。このダイアフラムヘッド22は、外部(燃焼室C側)に露出することで圧力を受ける圧力受面22aと、圧力受面22aの裏側となる裏面を環状に切り欠くことによって設けられた凹部22cの存在により、結果として圧力受面22aの裏面の中央部から後端側に向けて突出する凸部22bとを有している。このダイアフラムヘッド22は、第1筐体21の先端側の開口部を塞ぐように設けられている。そして、ダイアフラムヘッド22と第1筐体21との境界部には、外周面の一周にわたってレーザ溶接が施されている。
【0029】
第1筐体21の内部には、圧力検出素子となる圧電素子24を有している。この圧電素子24は、全体として円柱状を成す部材で、圧電縦効果の圧電作用を示す圧電体を備えている。圧電縦効果とは、圧電体の電荷発生軸と同一方向の応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。この圧電素子24は、第1筐体21の内側であって、ダイアフラムヘッド22の後端側に配置されている。この圧電素子24は、中心軸方向が応力印加軸の方向となるように、第1筐体21内に収容されている。そして、圧電素子24の先端側の面は、先端電極部材23aの後端側の面と接触している。一方、圧電素子24の後端側の面は、後端電極部材23bの先端側の面と接触している。
【0030】
前記圧電素子24で使用可能な圧電体としては、圧電縦効果及び圧電横効果を有するランガサイト系結晶(ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、LGTA)や水晶、ガリウムリン酸塩などを例示することができる。なお、本実施形態の圧電素子24では、圧電体としてランガサイト系単結晶を用いている。
【0031】
先端電極部材23aは、全体として円柱状を成す部材である。この先端電極部材23aは、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。この先端電極部材23aは、圧電素子24の先端側に配置される構成となっている。先端電極部材23aの先端側の面は、前述のダイアフラムヘッド22の凸部22bと接触し、先端電極部材23aの後端側の面は、圧電素子24の先端側の面に接触している。当該構成により、ダイアフラムヘッド22の受圧面22aで受けた圧力が、凸部22bを介して先端電極部材23a、さらにはこれと接触する圧電素子24へと伝えられる。なお、先端電極部材23aは、ダイアフラムヘッド22、第1筐体21、第2筐体26を介して処理回路27のGND電極に接続されている。先端電極23aは、処理回路27のGND電極と接続せず、第1筐体21を接続経路としてエンジンヘッドに接地する構成であっても良い。
【0032】
後端電極部材23bは、全体として円柱状を成す部材である。この後端電極部材23bは、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。この後端電極部材23bの先端側の面は、圧電素子24の後端側の面と接触している。一方、後端電極部材23bの後端側の面は後端電極23cの先端側に接触している。後端電極部材23bと後端電極23cとは溶接によって固定しても良い。
【0033】
後端電極23cは、全体として円柱状を成す部材であり、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。後端電極23cは、先端側の円柱部23c1と、円柱部23c1より外径が小さく円柱部23c1から後端側に突出する凸部23c2とを有する。凸部23c2は、円柱部23c1と接続されていない端部に向かうにしたがい徐々に外径が小さくなっている。円柱部23c1の後端側は絶縁リング25の先端側と接触し、凸部23c2は絶縁リング25の中心部に設けられた孔25aに挿入されている。また、凸部23c2は、絶縁リング25の孔25a内において、伝導部材28と接触する。より具体的には、凸部23c2は伝導部材28の第1伝導部材28aと接触する。
【0034】
絶縁リング25は、全体として環状を成す部材であり、その中心部に孔25aを有する。この絶縁リング25は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。絶縁リング25の先端側の面は後端電極23cの円柱部23c1の後端側の面と接触する。また、絶縁リング25の後端側の面は第1筐体21の段差部21cと接触する。第1筐体21の内部に収容された先端電極部材23a、圧電素子24、後端電極部材23b、後端電極23c、および絶縁リング25は、第1筐体21の段差部21cと第1筐体21の先端部に取り付けられたダイアフラムヘッド22との間で挟持され、所定の圧力(予荷重)を印加された状態で第1筐体21の内部に固定される。
【0035】
伝導部材28は、筒状の第1伝導部材28aと、全体として棒状を成す第2伝導部材28bとによって構成されている。第1伝導部材28aは、中心軸上に孔部を備え、孔部の外周に素線が螺旋状に巻かれた中心軸方向に伸縮可能なコイルスプリングから成る。この第1伝導部材28aは、導電性を有するとともに第1筐体21よりも導電性が高い真ちゅう等の金属材料によって構成されている。この第1伝導部材28aの先端部は、絶縁リング25の孔25aに挿入され、後端電極23cの凸部23c2と接触する。また、第1伝導部材28aの後端部は、第2伝導部材28bと接触する。
【0036】
第2伝導部材28bは、断面矩形の棒状の部材であり、導電性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されている。この第2伝導部材28bは、一端が三つ又のフォーク形を呈しており、第2伝導部材28bの中心軸上で長手方向端部に延出した第1突出部の一例としての中央脚28b1と、中央脚28b1との間に隙間を有し第2伝導部材28bの径方向端部において長手方向に延出した第2突出部の一例としての2つの側脚28b2を有する。2つの側脚28b2のそれぞれは、中央脚28b1を挟んで互いに対向している。また、側脚28b2は、その先端部に凸部の一例として径方向外側へ突出した半円形の凸部28b3を有する。ここで、第2伝導部材28bは、中央脚28b1が第1伝導部材28aの孔部に挿入され、第1伝導部材28aの後端側の端部が中央脚28b1と側脚28b2との間の又部に接触する。また、第2伝導部材28bは、側脚28b2の先端側が第1伝導部材28aの外周と接触し、第1伝導部材28aと第2伝導部材28bとが固定されている。第2伝導部材28bの後端側は処理回路27の先端側と接続されている。ここで、第2電極部材28bの後端側における処理回路27との接続部近傍は、処理回路27の接続箇所に合わせ、処理回路27の面と水平な方向にてL字型に屈曲した屈曲部を有する。第2電極部材27の後端側の形状は、処理回路27の配線状態に合わせて適宜変更することができ、例えば屈曲部を有さない直線形状とすることもできる。また、本実施形態では、側脚28b2を2つ備えた第2伝導部材28bを例示したが、例えば、側脚28b2は1つでも良く、中央脚28b1を中心として周囲に3つ以上の側脚28b2を配置した構成としても良い。
【0037】
前記第2筐体26は、中空構造を有し全体として筒状を成す部材である。この第2筐体26は、導電性を有するとともに耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。この第2筐体26の先端側は、第1筐体21の後端側にはめ合わせによって固定されている。第2筐体26と第1筐体21とは、第2筐体26の先端側と第1筐体21の後端側の境界部の外周面を一周にわたってレーザ溶接することによって固定しても良い。
【0038】
処理回路27は、全体として矩形板状を成す部材である。この処理回路27は、受けた圧力に応じて圧電素子24が出力する微弱な電荷による電気信号に、電気回路を用いた各種処理を施すものであって、所謂プリント配線基板と各種電子部品によって構成されている。処理回路27は、その先端側において第2伝導部材28bの後端側と機械的、電気的に接続されている。また、処理回路27の後端側には、接続部材29と電気的な接続をなす端子が設けられており、接続部材29の後述する端子と機械的、電気的に接続される。また、処理回路27は、外部との接続を成す一部のリード端子を除き、モールド樹脂30により包囲、保護されている。
【0039】
モールド樹脂30は、全体として筒状を成す部材である。このモールド樹脂30は、絶縁性を有する樹脂材料(PPS、PBT、PPT等)によって構成されている。本実施形態のモールド樹脂30では、絶縁性を有する樹脂材料としてPPSを用いている。このモールド樹脂30は、処理回路27と、処理回路27と接続された第2伝導部材28bの先端側を除く部分を一体的に包囲している。モールド樹脂30の外周面は段階的に外径サイズが異なる構成になっており、先端側を第1筐体21の貫通孔21bに圧入することで固定される。
【0040】
支持部材29は、全体として筒状を成す部材であり、支持部材29の内部に配置された導電性を有する端子と、端子の外周を包囲する絶縁性の樹脂部材より成る。支持部材29の先端側において、処理回路27の端子と支持部材29の端子とが機械的、電気的に接続され、後端側において、支持部材29の端子と接続ケーブル50とが機械的、電気的に接続される。そして、支持部材29を介して処理回路27から出力された信号が接続ケーブル50へ伝送される。
【0041】
次に、第1伝導部材28aと第2伝導部材28bとの固定について詳述する。本実施形態では、第2伝導部材28bの先端部に形成された中央脚28b1が筒状の第1伝導部材28aの孔部に挿入され、第2伝導部材28bの側脚28b2の先端側が第1伝導部材28aの外周と接触することで、第1伝導部材28aと第2伝導部材28bとが固定されている。図4は、本実施形態の第1伝導部材と第2伝導部材の固定方法を示す図である。第1伝導部材28aと第2伝導部材28bの固定は、まず、第2伝導部材28bの中央脚28b1に第1伝導部材28aの孔部に挿入する。そして、中央脚28b1に第1伝導部材28aが挿入された状態で、側脚28b2に設けられた凸部28b3に押圧部材60を接触させ、押圧部材60を第1伝導部材28aに向かって所定量移動させる。なお、図4においては、押圧部材60を所定量移動させる前の状態の側脚28bを破線で示し、押圧部材60を移動させた後の状態の側脚28b2を実線で示している。押圧部材60の移動によって側脚28b2は、凸部28b3における押圧部材60との接触部を力点、側脚28b2と中央脚28b1との間の又部を屈曲点として折り曲がり、側脚28b2は第1伝導部材28aの外周に圧接される。そして、第1伝導部材28aは、第2伝導部材28bの中央脚28b1と側脚28b2との間で挟持されるとともに、2つの側脚28b2の間でも挟持され第2伝導部材28bに固定される。
【0042】
ここで、第1伝導部材28aは非常に微細な部材であり、第2伝導部材28bと溶接によって接続すると第1伝導部材28aが破損してしまうことがある。また、接着による固定では、接着剤塗布量の管理が難しい。そのため、第1伝導部材28aと第2伝導部材28bとの接続を機械的、電気的に安定させることが難しく、特に、本実施形態のように第1伝導部材28aがコイルスプリングのような弾性を備えたものである場合は顕著である。また、量産工程において第1伝導部材28aと第2伝導部材28bとの安定した接続状態を維持して生産することは更に困難であった。しかし、本実施形態における伝導部材28の構造とすることで、量産工程においても第1伝導部材28aと第2伝導部材28bとの接続状態を機械的、電気的に安定させることが可能となった。
【0043】
また、本実施形態では、押圧部材60を側脚28b2の凸部28b3に当接させ押圧を行っている。凸部28b3は半円形であり、この半円形の円弧の部分に押圧部材60を接触させ側脚28b2を折り曲げている。このように円弧を持つ凸部28b3に押圧部材60を当接させ折り曲げることで、側脚28b2の折り曲げの進行に伴って凸部28b3と押圧部材60との接触部は円弧に沿って移動するため、押圧部材60から側脚28b2に印加される力は、長手方向等に分散されずに常に中心軸に対し直交する径方向に働く。したがって、押圧部材60から側脚28b2に印加される力を一定となり、側脚28b2の折り曲げをばらつきなく行うことができる。
【0044】
次に、上記実施形態における第2伝導部材28bの変形例を説明する。図5は、第2伝導部材の変形例を示しており、第2伝導部材の中央脚の部分拡大図である。ここで説明する変形例は、第2伝導部材28bにおける中央脚28b1の形状の変形例である。上記実施形態において、図3図4に示した中央脚28b1は、伝導部材28の中心軸上で長手方向端部に延出し、幅、厚みが均一であり各辺が直線なストレート形状である。これに対して変形例は、中央脚28b1の側面に径方向外側に突出する突起を備える。
【0045】
図5(a)に示す変形例1は、中央脚28b1の対向する2つの側面に突起28baを備える。突起28baは、中央脚28b1の対向する側面のそれぞれに1つ配置され、それぞれの側面に配置された突起28baは中心軸を挟み互いに対向する。また、突起28baは、先端側から後端側に向かい中心軸からの距離が大きくなる傾斜面と、傾斜面の後端側に位置し中心軸からの距離が一様な直線部を備える。
【0046】
図5(b)に示す変形例2は、中央脚28b1の対向する2つの側面に突起28bbを備える。突起28bbは、中央脚28b1の対向する側面のそれぞれにおいて長手方向に並んで2つ配置され、一方の側面に配置された後端側の突起28bbと他方の側面に配置された後端側の突起28bbは中心軸を挟み互いに対向する。また、突起28bbは、先端側から後端側に向かい中心軸からの距離が大きくなる傾斜面を備える。
【0047】
図5(c)に示す変形例3は、変形例2における突起部28bbの配置位置を変更したものであり、中央脚28b1の対向する2つの側面にそれぞれ突起部の一例としての2つの突起28bcを備える。突起28bcは、一方の側面に配置された先端側の突起28bcと他方の側面に配置された先端側の突起28bc、一方の側面に配置された後端側の突起28bbと他方の側面に配置された後端側の突起28bbとは中心軸を挟み互いに対向せず、中央脚28b1の長さ方向の異なる位置に配置されている。
【0048】
前述の実施形態においては、中央脚28b1はストレート形状であるため、中央脚28b1に第1伝導部材28aの孔部は引っ掛かりなく滑らかに挿入することが可能である。しかしその反面、中央脚28b1に第1伝導部材28aを挿入後から第1伝導部材28aと第2伝導部材28bとの固定に至るまでの搬送等において、中央脚28b1から第1伝導部材28aが外れて抜け落ちてしまうことがある。変形例1~3は、中央脚28b1に設けた突起28ba、28bb、28bcが第1伝導部材28aにおける孔部の内側へと引っ掛かり係止されることで、第1伝導部材28aの抜け落ちを抑制することができる。この効果は第1伝導部材28aを孔部の内壁に隙間を有したコイルスプリング等で構成した場合、特に有効である。また、突起28ba、28bb、28bcは、先端側から後端側に向かい中心軸からの距離が大きくなる傾斜面を備えることで、中央脚28b1に第1伝導部材28aを滑らかに挿入することが可能である。
【0049】
なお、中央脚28b1に設ける位置、形状は変形例1~3に限定されるものではなく、例えば、変形例1における突起28baを変形例2の突起28bbの形状としても良く、変形例1においてそれぞれの側面に配置された突起28baは中心軸を挟み互いに対向させたが、変形例3の突起28bcのようにそれぞれの側面に配置された突起を長さ方向の異なる位置に配置しても良い。
【0050】
次に、上記実施形態における第2伝導部材28bの変形例を説明する。図6及び図7は、第2伝導部材の変形例を示しており、第2伝導部材の先端部の部分拡大図である。なお、図6及び図7では、第2伝導部材28bの側脚28b2を第1伝導部材28aの外周に圧接する前の状態を示す。図6に示す変形例4は、第2伝導部材28bにおける側脚28b2の形状の変形例である。変形例4は、側脚28b2を第1伝導部材28aの外周に圧接する前の状態において、側脚28b2がその径方向外側に位置する側面が伝導部材28の中心軸と平行な面であり、径方向内側に位置する側面が又部28b4から先端側に向かうに従い中心軸に近づく傾斜面である。また、側脚26b2の先端面は中心軸に向かうに従い後端側に傾斜した面である。変形例4では、径方向内側側面を先端側に向かうに従い中心軸に近づく傾斜面とすることで、中央脚28b1に第1伝導部材28aを挿入後から第1伝導部材28aと第2伝導部材28bとの固定に至るまでの搬送等において、第1伝導部材28aの抜け落ちを抑制することができる。
【0051】
さらに、変形例4の側脚28b2は、側脚28b2の径方向外側側面を中心軸に平行な面、径方向内側側面を先端側に向かうに従い中心軸に近づく傾斜面とする、すなわち側脚28b2は又部28b4との接続箇所の幅が最も小さい構成とすることで、側脚28b2を折り曲げて第1伝導部材28aの外周に圧接される際に、側脚28b2は又部28b4との接続箇所において折り曲げを確実に行うことができ、量産工程において折り曲げ箇所のばらつきが少ない加工が可能となる。
【0052】
図7は、第2伝導部材の変形例を示しており、第2伝導部材の先端部の部分拡大図である。図7に示す変形例5は、第2伝導部材28bにおける側脚28b2の形状、特に突起部28b3の変形例である。変形例5は、側脚28b2を第1伝導部材28aの外周に圧接する前の状態において、側脚28b2の側面は中心軸と平行な面であり、先端面は中心軸に向かうに従い後端側に傾斜した面である。また、中央脚28b1を挟んで対向した2つの側脚28b2のそれぞれの径方向の外側に位置する側面には、径方向外側へ突出した半円形の凸部28b3を有する。そして、一方の側脚28b2に設けられた凸部28b3と他方の側脚28b2に設けられた凸部28b3とは長手方向の異なる位置に配置されている。このように凸部28b3の長手方向の位置を異ならせることで、側脚28b2の曲げる度合いを制御できる。これにより、例えばコイルスプリング等のように孔部内壁に隙間を有した第1伝導部材28aにおいて孔部の隙間に合わせて側脚28b2を簡便に曲げることができる。これは、第1伝導部材28aにおいて孔部の隙間に側脚28b2の端部等の一部を入り込ませ、側脚28b2により第1伝導部材28aを係止することに有効である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る圧力検出装置は、エンジンに装着して燃焼室内の圧力測定、燃焼圧検出を行う際に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 圧力検出システム
10 内燃機関
11 シリンダブロック
12 ピストン
13 シリンダヘッド
13a 連通孔
20 圧力検出装置
21 第1筐体
21a 端部外周部
22 ダイアフラムヘッド
22a 受圧面
22b 凸部
22c 凹部
23a 先端電極部材
23b 後端電極部材
23c 後端電極
23c1 円柱部
23c2 凸部
24 圧電素子
25 絶縁リング
25a 孔
26 第2筐体
27 処理回路
28a コイルスプリング
28b 伝導部材
28ba 突起
28bb 突起
28bc 突起
28b1 中央脚
28b2 側脚
28b3 凸部
28b4 又部
29 接続部材
30 モールド樹脂
40 制御装置
50 接続ケーブル
60 押圧部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7