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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142746
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】管理システム、管理方法
(51)【国際特許分類】
   G07C 9/38 20200101AFI20241003BHJP
   G07C 9/37 20200101ALI20241003BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G07C9/38
G07C9/37
H04N7/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055053
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】後藤 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】田村 英地
【テーマコード(参考)】
3E138
5C054
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138AA11
3E138BA01
3E138CA03
3E138CB03
3E138EA02
3E138GA02
3E138JA01
3E138JA03
3E138JB03
3E138JB08
3E138JB16
3E138JC05
3E138JC13
3E138JC14
3E138JC19
3E138JC20
3E138JD05
3E138JD07
3E138JD08
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054HA19
(57)【要約】
【課題】管理対象エリアが複数ある場合であっても、ユーザ認証にかかる負担を低減する。
【解決手段】追跡対象領域内に設定される異なる複数の管理領域のそれぞれに設けられ、管理領域に対するユーザの入場と退場の少なくともいずれか一方を管理する認証部と、ユーザ情報を記憶する記憶部と、追跡対象領域を撮像する撮像部から撮像画像を取得する画像取得部と、を有する管理システムであり、認証部は、ユーザ認証に必要なユーザ情報をユーザから取得して認証処理を行い、管理システムは、複数の認証部のうち第1の認証部において登録されたユーザであるとユーザ認証されたユーザについて、カメラによって得られた画像に基づいて、当該ユーザの追跡をし、第2の認証部が設けられた管理領域にユーザが到来した場合に、追跡が継続しているユーザについては、ユーザ操作に基づくユーザ情報を入力してもらうことなく第2の認証部に対して認証許可をする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
追跡対象領域内に設定される異なる複数の管理領域のそれぞれに設けられ、前記管理領域に対するユーザの入場と退場の少なくともいずれか一方を管理する認証部と、
登録されるユーザ情報を登録データとして記憶する登録データ記憶部と、
前記追跡対象領域を撮像する撮像部から撮像画像を取得する画像取得部と、を有する管理システムであり、
前記認証部は、
ユーザ認証に必要なユーザ情報をユーザから取得する取得部と、
取得されたユーザ情報が、前記登録データ記憶部に記憶されている登録データと対応関係にあるか否かに基づいて認証処理を行うユーザ認証処理部とを有し、
前記管理システムは、
複数の認証部のうち第1の認証部において登録されたユーザであるとユーザ認証されたユーザについて、前記撮像部によって得られた画像に基づいて、当該ユーザの追跡をする追跡部と、
前記複数の認証部のうち、第1の認証部とは異なる第2の認証部が設けられた管理領域にユーザが到来した場合に、前記追跡部の追跡状況に基づいて、追跡が継続しているユーザについては、ユーザ操作に基づくユーザ情報を入力してもらうことなく前記第2の認証部に対してユーザ認証されたユーザであることを表す許可通知を送信する認証通知部
を有する管理システム。
【請求項2】
前記追跡部によって追跡されたユーザの移動軌跡を表すトラッキングデータを生成するトラッキングデータ生成部と、
前記生成されたトラッキングデータを記憶するトラッキングデータ記憶部
を有する請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記認証通知部は、
前記トラッキングデータに基づいて、前記追跡されたユーザが前記追跡対象領域の外に出たと判定された場合には、前記複数の認証部のうちいずれの認証部に対しても前記許可通知を送信しない
請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記トラッキングデータ生成部は、
前記ユーザが追跡対象領域の外に出たと判定された後、前記取得部によって取得されたユーザ情報に基づいて前記複数の認証部のうちいずれかの認証部によって認証されると、当該ユーザについて新たに生成するトラッキングデータを、当該ユーザが前回認証された際に生成されたトラッキングデータに関連付けて前記トラッキングデータ記憶部に記憶させる
請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記認証部に対してそれぞれ設けられ、設けられた認証部の認証結果に基づいて、ユーザ認証された場合に規制を解除し、ユーザ認証がされなかった場合に規制する規制部
を有する1から請求項4のうちいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
追跡対象領域内に設定される異なる複数の管理領域のそれぞれに設けられ、前記管理領域に対するユーザの入場と退場の少なくともいずれか一方を管理する認証部と、
登録されるユーザ情報を登録データとして記憶する登録データ記憶部と、
前記追跡対象領域を撮像する撮像部から撮像画像を取得する画像取得部と、を有する管理システムにおける管理方法であって、
前記認証部が、
ユーザ認証に必要なユーザ情報をユーザから取得し、
取得されたユーザ情報が、前記登録データ記憶部に記憶されている登録データと対応関係にあるか否かに基づいて認証処理し、
前記管理システムが、
複数の認証部のうち第1の認証部において登録されたユーザであるとユーザ認証されたユーザについて、前記撮像部によって得られた画像に基づいて、当該ユーザの追跡をし、
前記複数の認証部のうち、第1の認証部とは異なる第2の認証部が設けられた管理領域にユーザが到来した場合に、前記追跡の状況に基づいて、追跡が継続しているユーザについては、ユーザ操作に基づくユーザ情報を入力してもらうことなく前記第2の認証部に対してユーザ認証されたユーザであることを表す許可通知を送信する
管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管理対象エリアに対して入場または退場するユーザについて、ユーザからユーザ情報を入力してもらうことでユーザ認証を行い、入場または退場を許可する管理システムがある。例えばユーザは、管理対象エリアの入り口近傍に設置されたカードリーダに、予め発行されたICカードを読み取らせる。これによりカードリーダは、ICカードに記憶された識別情報をユーザ情報として取得し、この識別情報に対して入場が許可されているか否かを判定し、入場が許可されている場合には、セキュリティゲートあるいは扉を開錠する。これにより、ユーザは、管理対象エリアに入ることができる。
このような管理システムとして、ユーザ認証をICカードではなく顔認証によって行うシステムもある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-135970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、管理対象エリアが複数ある場合、ユーザは、ユーザ認証し、ある管理対象エリアに入った後、別の管理対象エリアに入ろうとした場合には、その管理対象エリアの入り口に設けられたカードリーダにICカードを読み取らせる必要がある。また、顔認証をする場合には、カメラに近づき、認証処理を実行可能な位置や向きになるように頭部の姿勢を整える必要がある。そのため、管理対象エリアが複数ある場合には、都度ユーザ認証をする必要があるため、ユーザ認証を行うための負担が増える。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、管理対象エリアが複数ある場合であっても、ユーザ認証にかかる負担を低減することができる管理システム、管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、追跡対象領域内に設定される異なる複数の管理領域のそれぞれに設けられ、前記管理領域に対するユーザの入場と退場の少なくともいずれか一方を管理する認証部と、登録されるユーザ情報を登録データとして記憶する登録データ記憶部と、前記追跡対象領域を撮像する撮像部から撮像画像を取得する画像取得部と、を有する管理システムであり、前記認証部は、ユーザ認証に必要なユーザ情報をユーザから取得する取得部と、取得されたユーザ情報が、前記登録データ記憶部に記憶されている登録データと対応関係にあるか否かに基づいて認証処理を行うユーザ認証処理部とを有し、前記管理システムは、複数の認証部のうち第1の認証部において登録されたユーザであるとユーザ認証されたユーザについて、前記撮像部によって得られた画像に基づいて、当該ユーザの追跡をする追跡部と、前記複数の認証部のうち、第1の認証部とは異なる第2の認証部が設けられた管理領域にユーザが到来した場合に、前記追跡部の追跡状況に基づいて、追跡が継続しているユーザについては、ユーザ操作に基づくユーザ情報を入力してもらうことなく前記第2の認証部に対してユーザ認証されたユーザであることを表す許可通知を送信する認証通知部を有する管理システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、追跡対象領域内に設定される異なる複数の管理領域のそれぞれに設けられ、前記管理領域に対するユーザの入場と退場の少なくともいずれか一方を管理する認証部と、登録されるユーザ情報を登録データとして記憶する登録データ記憶部と、前記追跡対象領域を撮像する撮像部から撮像画像を取得する画像取得部と、を有する管理システムにおける管理方法であって、前記認証部が、ユーザ認証に必要なユーザ情報をユーザから取得し、取得されたユーザ情報が、前記登録データ記憶部に記憶されている登録データと対応関係にあるか否かに基づいて認証処理し、前記管理システムが、複数の認証部のうち第1の認証部において登録されたユーザであるとユーザ認証されたユーザについて、前記撮像部によって得られた画像に基づいて、当該ユーザの追跡をし、前記複数の認証部のうち、第1の認証部とは異なる第2の認証部が設けられた管理領域にユーザが到来した場合に、追跡状況に基づいて、追跡が継続しているユーザについては、ユーザ操作に基づくユーザ情報を入力してもらうことなく前記第2の認証部に対してユーザ認証されたユーザであることを表す許可通知を送信する管理方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、管理対象エリアが複数ある場合であっても、ユーザ認証にかかる負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態による管理システムSが管理する対象の施設Fの一例を示す概略図である。
図2】管理システムSの構成を示す概略構成図である。
図3】管理システムSの処理の流れを表す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による管理システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による管理システムSが管理する対象の施設Fの一例を示す概略図である。
施設Fは、展示会場の建物、オフィスビル、工場、公共施設等であってもよい。ここでは一例として施設Fが展示会場である場合について説明する。施設Fの内部は、異なる複数の管理領域に区切られている。この実施形態において施設Fの内部は、管理領域の一例として、会場EHa、会場EHb、会場EHc、会場EHdが設けられている。会場EHaにはテーマAに関する展示、会場EHbにはテーマBに関する展示、会場EHcにはテーマCに関する展示、会場EHdにはテーマDに関する展示がされている。
施設Fに来場するユーザは、来場するための事前受け付けを管理システムに行っており、施設Fに到着した後、後述するユーザ認証の処理をし、各会場を任意の巡回ルートで回遊することができる。
【0011】
各会場の入り口には、入り口には認証機器が設けられる。例えば、会場EHaには認証機器10a、会場EHbには認証機器10b、会場EHcには認証機器10c、会場EHdには認証機器10dが設けられる。また各会場の入り口には、ゲートまたは扉が設けられていてもよく、この場合、認証装置によってユーザ認証がなされた場合に、ゲートまたは扉が開き、ユーザが入場できてもよい。
【0012】
また、施設Fには複数のカメラが異なる場所に設けられ、施設F内の概ね全体を撮像できるようになっている。例えば、会場EHaの入り口近傍であって会場の外側を撮像するカメラ20a1、会場EHaの入り口からみて奥側であって会場EHa内を撮像するカメラ20a2、会場EHa内の入り口近傍であって会場内におけるカメラ20a2とは異なる領域を撮像するカメラ20a3が設けられている。
【0013】
また、会場EHbには、カメラ20b1、カメラ20b2、カメラ20b3、カメラ20b4の4つのカメラが互いに異なる位置に設けられ、それぞれ会場EHbの内部または外部を撮像する。
会場EHc、会場EHdについても、それぞれカメラが複数設置される。
このように、施設Fには複数のカメラが設置されており、それぞれが別の領域を撮像することで、施設F内について全体的に撮像できる。なお、複数のカメラの撮像領域は、別のカメラの撮像領域と一部重なる領域があってもよい。これら複数のカメラは、周囲の映像を撮影することができればよく、360°カメラであってもよく、その他の魚眼レンズカメラであってもよく、通常の画角のカメラであってもよい。施設Fの天井や、壁面等のいずれの位置に設置される。
【0014】
次に、図2は、管理システムSの構成を示す概略構成図である。図2に示す管理システムSは、図1に示す施設Fにおいて用いた場合の一例を示す。また、図2では、会場EHa、会場EHbについて示し、会場EHc、会場EHdについては、省略されているが、会場EHaあるいは会場EHbと同様の構成を有する。
管理システムSは、図1に示す施設F内に設けられた各機器と人物照合追跡システムTSとが通信可能に接続される。
【0015】
認証機器10aは、追跡対象領域内に設定される異なる複数の管理領域のそれぞれに設けられる認証機器のうちの1つであり、管理領域に対するユーザの入場と退場の少なくともいずれか一方を管理する。追跡対象領域は、施設Fの内部である。追跡対象領域は施設Fの外部であって施設Fの周縁を含んでいてもよい。管理領域は、施設Fの各会場のいずれかであればよい。
認証機器10b、認証機器10c、認証機器10dについては、認証機器10aとは設置場所が異なるが、認証機器10aと機能は同様である。
【0016】
認証機器10aは、取得部11を有する。
取得部11は、ユーザ認証に必要なユーザ情報をユーザから取得する。ユーザ情報は、ユーザを識別することが可能な情報であればよい。例えばユーザ情報は、ICカードに記憶された識別情報、来場者であるユーザの指紋、顔画像、虹彩等のうちいずれかであってもよい。認証機器10aが例えばカードリーダである場合、取得部11は、ユーザによって読み取りされるICカードの識別情報をユーザ情報として取得する。また、認証機器10aが例えば指紋認証機器である場合には、ユーザによってタッチされる指の指紋を読み取ることでユーザ情報として取得する。
取得部11は、取得したユーザ情報を人物照合追跡システムTSに送信する。ここでは、取得部11は、取得部11が設けられた認証機器を識別可能な機器IDもユーザ情報ともに送信することで、いずれの認証機器(いずれの会場)においてユーザ認証を行おうとしているかを識別することができる。
【0017】
認証機器10a、認証機器10b、認証機器10c、認証機器10dは、人物照合追跡システムTSに通信可能に接続される。
【0018】
各カメラ20a1、20b1、・・・は、追跡対象領域(施設F内)を撮像する。
【0019】
規制装置30aは、会場EHaの入り口の通過を規制する。規制装置30aは、規制部の入り口であり、例えば、セキュリティゲートや扉であってもよい。また、図1に規制装置30aが図示されていないが、会場EHaに規制装置30aが設けられていてもよい。また、ユーザの認証処理を行うが、規制はしない場合には、規制装置30aが設けられていなくてもよい。
規制装置30bは、会場EHbの入り口の通過を規制する。この規制装置30bは、規制装置30aと同様の機能を有する。規制装置30bは、規制装置30aと同様に必ずしも設けられていなくてもよい。
規制装置30aは、認証機器10aに対して設けられ、設けられた認証機器10aの認証結果を規制装置30aまたは人物照合追跡システムTSから取得し、取得した認証結果に基づいて、ユーザ認証された場合に規制を解除し、ユーザ認証がされなかった場合に規制する。規制装置30bは、認証機器10bに対して通信可能に設けられ、設けられた認証機器10bの認証結果に基づいて、ユーザ認証された場合に規制を解除し、ユーザ認証がされなかった場合に規制する。
規制装置30a、規制装置30bは、人物照合追跡システムTSに通信可能に接続される。
【0020】
施設F内であって各会場の外(例えば通路)の領域Faには、複数のカメラ21、カメラ22が設けられてもよい。
各カメラ20a1、カメラ20b1、・・・カメラ21、カメラ22は、人物照合追跡システムTSに通信可能に接続される。
【0021】
人物照合追跡システムTSは、記憶部50と、サーバ60とを有する。
記憶部50は、登録データ記憶部51と、トラッキングデータ記憶部52とを含む。
登録データ記憶部51は、予め登録されるユーザ情報を登録データとして記憶する。
登録データは、ユーザに割り当てられたICカードの識別情報、ユーザの指紋画像、ユーザの顔画像、ユーザの虹彩画像等である。施設Fが展示会の会場である場合、登録データは、展示会に入場する前にユーザに入館登録をしてもらうことで登録される。入館登録は、スマートフォン、タブレット、PC等の端末装置を利用して行われる。展示会の会場では、ICカード、顔画像、指紋、虹彩のうちいずれを用いた認証方式であってもよいが、採用される認証方式に応じたユーザ情報が登録データとして端末装置を介して登録データ記憶部51に記憶されることで、登録される。ユーザ登録については、サーバ60が端末装置から登録要求を受信したことに応じて、登録処理を行ってもよい。
【0022】
トラッキングデータ記憶部52は、サーバ60によって生成されたトラッキングデータを記憶する。
トラッキングデータは、ユーザの位置と、その位置に存在した時刻との組み合わせのデータについて時系列で把握可能なデータである。
【0023】
サーバ60は、ユーザ認証処理部61、追跡部62、認証通知部63、トラッキングデータ生成部64を有する。サーバ60は、追跡対象領域を撮像するカメラから撮像画像を取得する。
【0024】
ユーザ認証処理部61は、認証機器10から送信されたユーザ情報が、登録データ記憶部51に記憶されている登録データと対応関係にあるか否かに基づいて認証処理を行う。また、ユーザ認証処理部61は、取得されたユーザ情報が、登録データ記憶部51に記憶されている登録データと対応関係にあると判定された場合には、ユーザ認証が成功したと判定し、対応関係にない場合には、ユーザ認証が失敗したと判定する。ユーザ認証処理部12は、対応関係について、取得されたユーザ情報と、登録データ記憶部51に記憶されている登録データとが一致する場合に対応関係がある(ユーザ認証が成功)と判定してもよいし、指紋認証や顔認証を行う場合には、一致する度合いが予め決められた閾値に到達していた場合にユーザ認証が成功したと判定し、一致する度合いが閾値未満である場合にユーザ認証が失敗したと判定してもよい。
【0025】
追跡部62は、複数の認証部のうち第1の認証部において登録されたユーザであるとユーザ認証されたユーザについて、カメラによって得られた画像に基づいて、当該ユーザの追跡をする。この画像に基づく追跡は、カメラによって得られた画像から来場者を表す画像を抽出し、抽出された画像に基づいて、来場者を追跡してもよい。また、画像に基づく追跡は、第1のカメラによって得られた画像に来場者を表す画像が含まれていることが検出された後、来場者を表す画像が別のカメラ(第2のカメラ)から得られる画像に同じ来場者を表す画像が含まれている場合には、第1のカメラと第2のカメラの位置を利用することで、第1のカメラによって撮像された領域から第2のカメラによって撮像された領域に当該来場者が歩いて移動したと推定し、同一人物であると人物同定し、追跡することができる。
【0026】
認証通知部63は、複数の認証部のうち、第1の認証部とは異なる第2の認証部が設けられた管理領域にユーザが到来した場合に、追跡部62の追跡状況に基づいて、追跡が継続しているユーザについては、ユーザ操作に基づくユーザ情報を入力してもらうことなく第2の認証部に対してユーザ認証されたユーザであることを表す許可通知を送信する。
認証通知部63は、トラッキングデータに基づいて、追跡されたユーザが追跡対象領域の外に出たと判定された場合には、複数の認証部のうちいずれの認証部に対しても許可通知を送信しない。
【0027】
トラッキングデータ生成部64は、追跡部62によって追跡されたユーザの移動軌跡を表すトラッキングデータを生成する。
トラッキングデータ生成部64は、ユーザが追跡対象領域の外に出たと判定された後、取得部11によって取得されたユーザ情報に基づいて複数の認証部のうちいずれかの認証部によって認証されると、当該ユーザについて新たに生成するトラッキングデータを、当該ユーザが前回認証された際に生成されたトラッキングデータに関連付けてトラッキングデータ記憶部52に記憶させる。
【0028】
次に、上述した管理システムSの処理の流れについて説明する。
図3は、管理システムSの処理の流れを表す流れ図である。この図3では、図1及び図2において説明した管理システムSにおいてさらにトラッキング情報分析システムTAS、情報端末TEが設けられている。
<利用者>
来場者(ユーザ)は、施設Fに出向く前に、予め来場登録をすることで、ユーザ情報を人物照合追跡システムTSに登録しておく。
来場登録がされた後、来場者は、施設F内に入り、最初に訪れた会場の入口に設置された認証機器にICカードを読み取らせることで、認証機器にユーザ認証を行わせる。例えば、ユーザが会場EHaに最初に訪問した場合には、ICカードを認証機器10aに読み取らせる。認証機器10aは、ユーザによって通信距離内に近づけられたICカードから識別情報を読み取り、人物照合追跡システムTSに送信する(ステップS101)。ここでは、来場者が最初に訪れた会場の入り口において認証機器にICカードを読み取らせるようにしてもよいし、二次元バーコードを読み取らせるようにしてもよい。二次元バーコードを読み取らせる場合、来場者は、来場登録をした際に、来場者を識別する識別情報を特定可能な二次元バーコードを人物照合追跡システムTSのサーバ60から予め発行してもらい、発行された二次元バーコードをスマートフォンあるいはタブレット等の端末装置の表示画面に表示させ、認証機器に読み取らせるようにしてもよい。また、発行された二次元バーコードを印刷媒体に印刷し、認証機器に読み取らせるようにしてもよい。このようにして、二次元バーコードを用いた場合であっても、識別情報を人物照合追跡システムTSに認識してもらうことができる。
人物照合追跡システムTSのサーバ60は、認証機器10aから送信された識別情報と、登録データ記憶部51に記憶された登録データと照合し、一致する場合には、ユーザ認証が成功したと判定し、判定結果を規制装置30aに送信する(ステップS102)。
規制装置30aは、ユーザ認証が成功したことを示す判定結果を受信すると、セキュリティゲートを開き(開錠)、来場者がセキュリティゲートを通過すると、規制装置30aは、セキュリティゲートを閉じる(施錠)。このようにして、来場者は、会場EHaに入場することができ、会場EHa内を回遊し、目的のブース等を見ることができる。
【0029】
一方、カメラ20a1及び会場EHaに設けられた各カメラは、所定のフレームレートに従って撮像をし、撮像画像を人物照合追跡システムTSに送信する(ステップS103)。
追跡部62は、ユーザ認証が成功したことを示す判定結果が得られたことに応じて、撮像画像から来場者を表す画像を抽出し、抽出された画像に基づいて、来場者を追跡する。例えば、抽出された画像の特徴量を求め、順次カメラから送信される撮像画像に含まれる来場者の画像から求まる特徴量と比較し、特徴量が一致する(或いは一致度合いが閾値以上である)ことに基づいて、人物を追跡する追跡処理を行う。この追跡処理は、既存のトラッキング技術(マルチカメラトラッキング)を用いるようにしてもよい。このようなトラッキング技術は、画像の特徴量ではなく、人物の画像から当該人物の骨格を表す骨格データを抽出し、骨格データを用いてトラッキングをしてもよいし、人物の歩き方等の動作パターンを用いてトラッキングしてもよい。
【0030】
このように認証機器10aによって認証されたユーザは、会場EHaを回遊したとしても、会場EHa内の複数のカメラから得られる撮像画像に基づいて、継続的に追跡される。
ここで追跡部62が来場者を追跡できている間においては、認証機器10aによってユーザ認証が成功していることを表すデータ(例えば認証フラグ)を記憶する。これにより、追跡されているユーザについては、ユーザ認証が成功していることについても、継続的にデータとして保持することができる。
【0031】
トラッキングデータ生成部64は、追跡部62によって追跡が行われると、トラッキングデータを生成し、トラッキングデータ記憶部52に記憶させる。これにより、来場者が会場EHaにおいて回遊した移動軌跡に沿って、ユーザの位置と時刻がログとして書き込まれる。
【0032】
来場者が会場EHaから出ると、領域Faを撮像するカメラ21、カメラ22等によって来場者が撮像される(ステップS201、ステップS202)。追跡部62は、領域Faを撮像するカメラ21、カメラ22等から得られる撮像画像にもとづいて、来場者の追跡を継続する。ここでは、来場者は会場EHaから出ているが、認証機器10aによって認証されたことを示す認証フラグも保持されていることから、ユーザ認証が成功しているユーザであることを識別できるようになっている。また、例えば、別の来場者が施設Fに入場したが、いずれの会場にも入場していない場合には、ユーザ認証がされてない状態でカメラ21等によって撮像され、撮像画像に基づいて、来場者が存在する位置が人物照合追跡システムTSによって検出されるが、認証フラグが設定されていないため、ユーザ認証されていない来場であることを識別できるようになっている。なお、ユーザ認証されていない来場者については、カメラの撮像画像に基づいて来場者であることを検出されたとしても、追跡部62は、追跡しなくてもよい。
【0033】
そして、追跡されている来場者が別の会場(例えば会場EHb)に到達すると、到達した会場EHbの入り口に設置されたカメラ20b1により来場者が撮像されることで(ステップS104)、認証通知部63は、カメラ20b1から得られる撮像画像に基づいて、追跡されている来場者が会場EHbの入り口に到達したことを検知し、会場EHbの規制装置30bに対して許可通知を送信する(ステップS105)。規制装置30bは、この許可通知を受信すると、セキュリティゲートを開く。これにより、来場者は、会場EHbの認証機器10bに対してICカードを読み取らせる等のユーザ情報を読み取らせることを行うことなく、規制装置30bのセキュリティゲートが開くため、通過することができる。このようにして、追跡部62がカメラの撮像画像に基づいて追跡をすることにより、管理領域(セキュリティエリア)に入るにあたり、新たに個人認証をすることなく開錠され、別の会場に入場することができる。
トラッキングデータ生成部64は、来場者が会場EHaを出て、通路を通って会場EHbに入場し、会場EHbを回遊する間においても継続的にトラッキングデータを生成し、トラッキングデータ記憶部52に記憶する。
【0034】
一方、別の来場者が、施設Fに入り、来場登録をしていないICカードを会場EHcの認証機器10cに読み取らせた場合には、ICカードから読み出された識別情報が認証機器10cから人物照合追跡システムTSに送信される。そして人物照合追跡システムTSにおいてユーザ認証処理が行われるが、識別情報が登録データ記憶部51に登録されていないため、ユーザ認証が失敗したと判定される。この場合、規制装置30cには許可通知が送信されないため、規制装置30cのセキュリティゲートは閉じたままである。ここでは、人物照合追跡システムTSは、来場登録されたICカードを読み取らせることを通知する通知信号を認証機器10cに送信するようにしてもよい。これにより認証機器10cからは、「来場登録されたICカードを読み取らせて下さい」等のメッセージを認証機器10cの表示画面に表示させたり、スピーカから音声として出力させたりするようにしてもよい。来場者は、このメッセージを元に、来場登録されたICカードを認証機器10cに読み取らせることでユーザ認証してもらうことができる。
【0035】
追跡部62は、ユーザ認証された来場者が施設Fの外に出たことをカメラの撮像画像を元に検出した場合には、ユーザが追跡対象領域の外に出たことを検出し、保持していた認証フラグを認証されていないことを表すフラグに書き換える。来場者は、施設Fの外に出た後、再度施設Fに入り、いずれかの会場に入ろうとしても、ユーザ認証がされていない状態となっているため、認証機器10にICカードを読み取らせることでユーザ認証をしてもらい、会場内に入ることができる。このとき、追跡部62は、来場者が追跡対象領域の外に出た時点から一定期間において認証フラグを保持しておき、来場者が施設Fの外に出てから再度施設Fに入ったことが検出された場合、認証フラグを引き継ぐことで、1度ユーザ認証すれば継続的に追跡をし、規制装置を開錠してもよい。この場合、来場者は、再度施設Fに入る場合、認証機器10でのICカードの読み取りをしてもらう必要がない。トラッキングデータ生成部64は、読み取られたICカードの識別情報を元に、既にトラッキングデータ記憶部52に記憶されたトラッキングデータに対し、新たにユーザ認証された時点から生成されたトラッキングデータを、当該ユーザが前回認証された際に生成されたトラッキングデータに関連付けて記憶させる。これにより、ユーザ認証がされていない期間があったとしても、継続的なトラッキングデータを得ることができる。
【0036】
<主催者>
トラッキングデータ記憶部52にトラッキングデータが記憶されると、トラッキング情報分析システムTASは、トラッキングデータ記憶部52からトラッキングデータを読み出し、ユーザ毎のトラッキングデータを分析する。例えば、ユーザが回遊した回遊ルートの特定、会場を訪問した順序、最初に入場した会場、回遊ルートにおけるいずれかの位置(ブース等)において来場者が滞在した滞在時間(通り過ぎただけ、長時間滞在等)を分析した分析結果を生成し、情報端末TEに送信する。
ここで、情報端末TEは、例えば、展示会の主催者によって利用される。展示会の主催者は、トラッキング情報分析システムTASによって分析された結果を情報端末TEによって受信し、表示画面において分析結果を確認する。これにより、ユーザが回遊した回遊ルートの特定、会場を訪問した順序、最初に入場した会場、回遊ルートにおけるいずれかの位置(ブース等)において来場者が滞在した滞在時間(通り過ぎただけ、長時間滞在等)を把握することができる。これにより主催者は、得られた分析結果を元に、次回の展示会でのレイアウトの検討などに活用することができる。また、あるブースに長時間滞在した来場者に対して、そのブースに関する情報を提示しつつアプローチするか否かの参考にすることができる。
このように、主催者としては、管理システムSを入場者情報追跡システムとして活用することもできる。
【0037】
以上説明した実施形態では、施設Fが展示会場である場合について説明したが、施設Fが工場であってもよい。その場合、施設内にある複数の管理領域のそれぞれについてユーザ毎に入場を許可するか否かのセキュリティレベルを設定しておくようにしてもよい。これにより、ユーザ毎に、入場可能な管理領域と、入場できない管理領域とに分けることができる。そして、ある管理領域においてユーザ認証されたユーザについては、人物照合追跡システムTSが工場内に設けられたカメラから得られる撮像画像に基づいて追跡をし、別の入場可能な管理領域に到達した場合には、その管理領域に設けられた規制装置を開錠させることができる。また、入場できない管理領域に入ろうとしても、規制装置が開錠されないため、ユーザが入場されることを防止することができる。
また、各管理領域においてセキュリティレベルが異なるようにしてもよい。例えば、第1の管理領域については、第1ユーザから第10ユーザまでの10人のユーザに対して入場可能として設定され、第2管理領域は、第1ユーザから第3ユーザまでの3人のユーザに対して入場可能として設定されるようにしてもよい。
【0038】
なお、上述した実施形態において、来場者が施設Fにおいて最初にICカードを読み取らせる会場が会場EHaである場合について説明したが、例えば会場EHd等の別の会場であってもよい。この場合、会場EHdの認証機器10dにおいてユーザ認証された後は、上述と同様に追跡部62によって追跡され、会場EHc等の次の会場に入場する場合であっても、ユーザ認証のためのICカードの読み取り操作をすることなく、入場することができる。すなわち、第1の管理領域の認証機器によって認証された場合には、第2の管理領域の認証機器においてユーザ認証のためのICカードの読み取り操作をしなくても、規制装置を開錠してもらうことができる。これにより、来場者が複数の管理領域に順次入るような場合であっても、2つめ以降に入る管理領域については、ユーザ情報を認証機器に対して意識的に読み取らせる必要がなく省略できるため、ユーザ認証にかかる負担を低減することができる。
【0039】
また、上述の実施形態において、認証機器10は、ユーザ情報としてICカードの認証情報を取得するようにしたが、ユーザの顔画像をユーザ情報として取得することで顔認証をするようにしてもよい。これにより、ユーザは、最初の管理領域に入る場合にユーザ情報を入力させるにあたり、ICカードを取り出す必要がなく、顔が撮影されることで、認証処理を行ってもらうことができる。例えば、認証方式が顔認証である場合には、ICカードなどを一度も取り出すことなく、規制装置を開錠できる。
【0040】
また、上述した実施形態において、複数日にわたって開催される展示会などでは、開催期間中は認証フラグを保持しておき、異なる日であっても、認証フラグを引き継ぐことで、初日に1度ユーザ認証しておくことで、別の日にも継続的に追跡をし、規制装置を開錠してもよい。
また、工場などのようにあるセキュリティレベルを確保する必要がある施設では、一日ごとに改めてユーザ認証をしてもらうようにしてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態において、記憶部50は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
この記憶部50は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
【0042】
また、サーバ60は、コンピュータであって、例えばCPU(中央処理装置)等の処理装置若しくは専用の電子回路で構成されてよい。
【0043】
また、上述した実施形態において、ユーザ認証処理部61がサーバ60に設けられている場合について説明したが、認証機器10に設けられていてもよい。追跡部62がサーバ60に設けられている場合について説明したが、カメラに設けられていてもよい。また、サーバ60に設けられた各機能は、1つのコンピュータの中に設けられていてもよいし、クラウドサーバなどのように、複数のコンピュータに分散して設けられていてもよい。
【0044】
上述した実施形態におけるサーバ60をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0045】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10,10a,10b,10c,10d…認証機器、11…取得部、12…ユーザ認証処理部、20a1,20a2,20a3,20b1,20b2,20b3,20b4,21,22…カメラ、30a,30b,30c…規制装置、50…記憶部、51…登録データ記憶部、52…トラッキングデータ記憶部、60…サーバ、61…ユーザ認証処理部、62…追跡部、63…認証通知部、64…トラッキングデータ生成部、管理システムS
図1
図2
図3