(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142757
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】輸送切替装置、輸送システム、および輸送方法
(51)【国際特許分類】
B29C 31/04 20060101AFI20241003BHJP
B65G 53/56 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B29C31/04
B65G53/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055068
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真一
(72)【発明者】
【氏名】清水 健吾
【テーマコード(参考)】
3F047
4F201
【Fターム(参考)】
3F047AA13
3F047BA02
3F047BA08
4F201AJ08
4F201AR12
4F201BA06
4F201BC01
4F201BC02
4F201BC13
4F201BD04
4F201BQ07
4F201BQ12
4F201BQ21
4F201BQ35
4F201BQ54
4F201BQ57
(57)【要約】
【課題】粉粒体を複数の輸送元のうちの選択された1つから複数の輸送先のうちの選択された1つへ輸送する際に、輸送経路の切替えに伴う材料の混入を抑制し、かつ、装置全体を小型化できる技術を提供する。
【解決手段】この輸送切替装置30は、本体流入口540a,540bと本体流出口550a,550bとが形成された平面から成る側壁部を有する本体ハウジング31と、輸送元と本体流入口540a,540bとを繋ぐ流入側分岐管32a,32bと、流入側分岐管32a,32bと本体ハウジング31との連通を切替える流入側開閉弁33a,33bと、輸送先と本体流出口550a,550bとを繋ぐ流出側分岐管34a,34bと、流出側分岐管34a,34bと本体ハウジング31との連通を切替える流出側開閉弁35a,35bと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の輸送元のうちの選択された1つの前記輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの前記輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送システムにおいて、前記複数の輸送元と前記複数の輸送先との間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替装置であって、
複数の本体流入口と複数の本体流出口とがそれぞれ形成された平面の側壁部を有する、本体ハウジングと、
それぞれ、上流側の端部において前記複数の輸送元のうちの1つに接続され、下流側の端部において前記複数の本体流入口のうちの1つに接続される、複数の流入側分岐管と、
前記複数の流入側分岐管のそれぞれの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間との連通を切替える、複数の流入側開閉弁と、
それぞれ、上流側の端部において前記複数の本体流出口のうちの1つに接続され、下流側の端部において前記複数の輸送先のうちの1つに接続される、複数の流出側分岐管と、
前記複数の流出側分岐管のそれぞれの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間との連通を切替える、複数の流出側開閉弁と、
前記本体ハウジングの少なくとも一部に設けられ、前記本体ハウジングの内部空間を外気に対して開放可能にする、外気導入弁と、
を有する、輸送切替装置。
【請求項2】
請求項1に記載の輸送切替装置であって、
前記本体ハウジングは、箱型の立体形状を有する、輸送切替装置。
【請求項3】
請求項2に記載の輸送切替装置であって、
前記本体ハウジングは、長手方向に延びる直方体型の立体形状を有し、
前記本体ハウジングの前記長手方向の両端面のそれぞれに、前記外気導入弁が設けられている、輸送切替装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の輸送切替装置であって、
前記側壁部における前記本体流入口の間隔は、前記本体流入口の直径の1倍以上、かつ、5倍以下であり、
前記側壁部における前記本体流出口の間隔は、前記本体流出口の直径の1倍以上、かつ、5倍以下である、輸送切替装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の輸送切替装置であって、
前記複数の流入側開閉弁はそれぞれ、
前記流入側分岐管が接続される上流側開口が設けられた上流側端と、前記本体流入口に連続する下流側開口が設けられた下流側端と、を有する、ケーシングと、
前記下流側開口を開閉する弁体と、
前記弁体を、前記下流側開口に直交する方向に進退させるエアシリンダと、
を有し、
前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記下流側開口を開放すると、前記ケーシングの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間とが連通し、
前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記下流側開口を閉塞すると、前記ケーシングの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間との連通が遮断される、輸送切替装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の輸送切替装置であって、
前記複数の流出側開閉弁はそれぞれ、
前記本体流出口に連続する上流側開口が設けられた上流側端と、前記流出側分岐管が接続される下流側開口が設けられた下流側端と、を有する、ケーシングと、
前記上流側開口を開閉する弁体と、
前記弁体を、前記上流側開口に直交する方向に進退させるエアシリンダと、
を有し、
前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を開放すると、前記ケーシングの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間とが連通し、
前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を閉塞すると、前記ケーシングの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間との連通が遮断される、輸送切替装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の輸送切替装置であって、
前記本体ハウジングの内部空間に配置され、前記本体ハウジングの内部空間における、気流の流路を狭める、整流部材
をさらに有する、輸送切替装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の輸送切替装置と、
前記複数の輸送元と、
前記複数の輸送先と、
前記輸送経路において、前記輸送元から前記輸送先へ向かう気流を発生させる気流発生手段と、
を有する、輸送システム。
【請求項9】
請求項8に記載の輸送システムであって、
前記気流発生手段は、前記選択された1つの輸送先から空気を吸引することによって、前記輸送経路において、前記輸送元から前記輸送先へ向かう気流を発生させる、輸送システム。
【請求項10】
複数の輸送元のうちの選択された1つの前記輸送元から、本体ハウジングを有する輸送切替装置を介して、複数の輸送先のうちの選択された1つの前記輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送方法であって、
(a)前記本体ハウジングの平面の側壁部に設けられた複数の本体流入口のうち、選択された1つの前記輸送元に接続された本体流入口を開放するとともに、前記本体ハウジングの前記側壁部に設けられた複数の本体流出口のうち、選択された1つの前記輸送先に接続された本体流出口を開放する工程と、
(b)選択された前記輸送元から、開放された前記本体流入口および開放された前記本体流出口を介して、選択された前記輸送先へ、粉粒体を輸送する工程と、
を有し、
前記工程(b)は、前記本体ハウジングに設けられた外気導入弁を閉塞した状態と開放した状態とに切替えつつ、実行する、輸送方法。
【請求項11】
請求項10に記載の輸送方法であって、
前記側壁部における前記本体流入口の間隔は、前記本体流入口の直径の1倍以上、かつ、5倍以下であり、
前記側壁部における前記本体流出口の間隔は、前記本体流出口の直径の1倍以上、かつ、5倍以下である、輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の輸送元のうちの選択された1つの輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの輸送先へ、粉体または粒体からなる材料(以下「粉粒体」と称する)を輸送する輸送システムにおいて、当該複数の輸送元と当該複数の輸送先との間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替装置と、当該輸送切替装置を介して粉粒体を輸送する輸送方法と、当該輸送システムと、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製品の製造工程では、各種の原材料が貯留された複数の原料タンク等からなる輸送元の1つから、射出成形機等の輸送先へ、輸送経路を切替えながら輸送することがある。このような輸送経路の切替装置については、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、各種の原材料を成形機に輸送する際に用いる配管切替装置に関する。特許文献1の配管切替装置は、第1輸送管(2)と、複数の第2輸送管(5)とを、湾曲状の切替配管(4)を介して切替える。具体的には、第1輸送管(2)に切替配管(4)の一端側を接続しつつ、切替配管(4)の他端側を第1輸送管(2)との接続部位を支点として周方向に回転可能とする。また、切替配管(4)の他端が回転して描く周方向の移動軌跡上に、複数の第2輸送管(5)を配設する。また、切替配管(4)の他端と第2輸送管(5)とを、接続筒(6)および付勢手段(7)等を用いて着脱可能とする(段落0006,
図1)。さらに、2基の配管切替装置を、それぞれの第1輸送管(2)側で互いに接続することにより、複数の第2輸送管(5)から複数の第2輸送管(5)へ輸送する構成とする。これにより、各種の原材料を複数の原料タンク(T)から複数の成形機(M)へ輸送することもできる(段落0021,
図7-8)。
【0005】
より具体的には、切替配管(4)における第2輸送管(5)との接続側端部に、接続筒(6)を受け入れ可能な受入筒部(4a)を組付けて、受入筒部(4a)内に接続筒(6)を出退自由に挿嵌する。また、接続筒(6)における第2輸送管(5)との接続側端部外周に、筒状ブラケット(6a)を取り付けて、接続筒(6)を受入筒部(4a)から突出する方向へ移動させる。そして、筒状ブラケット(6a)の下端面を、第2輸送管(5)の開口部外周囲に当接させることで、切替配管(4)を任意の第2輸送管(5)に接続する(段落0015,
図4)。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された切替構造の場合、受入筒部(4a)と接続筒(6)との間や、筒状ブラケット(6a)と第2輸送管(5)との間等に、段差が生じ易い。このため、輸送経路を切替えながら原材料を輸送する過程で、当該段差において原材料残りが発生し、これにより材料の混入に至る虞がある。また、特許文献1に開示された装置は、輸送経路を切替えるために、原材料を輸送する配管の一部を回転させることが必要となる。このため、装置全体が大がかりとなり、スペースの限られた場所に配置することが難しくなる虞がある。
【0007】
本発明は、粉粒体を複数の輸送元のうちの選択された1つの輸送元から複数の輸送先のうちの選択された1つの輸送先へ輸送する際に、輸送経路の切替えに伴う材料の混入を抑制し、かつ、装置全体を小型化して配置スペースを低減できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、複数の輸送元のうちの選択された1つの前記輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの前記輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送システムにおいて、前記複数の輸送元と前記複数の輸送先との間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替装置に係る。前記輸送切替装置は、本体ハウジングと、複数の流入側分岐管と、複数の流入側開閉弁と、複数の流出側分岐管と、複数の流出側開閉弁と、外気導入弁と、を有する。前記本体ハウジングは、複数の本体流入口と複数の本体流出口とがそれぞれ形成された平面の側壁部を有する。前記複数の流入側分岐管はそれぞれ、上流側の端部において前記複数の輸送元のうちの1つに接続され、下流側の端部において前記複数の本体流入口のうちの1つに接続される。前記複数の流入側開閉弁は、前記複数の流入側分岐管のそれぞれの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間との連通を切替える。前記複数の流出側分岐管はそれぞれ、上流側の端部において前記複数の本体流出口のうちの1つに接続され、下流側の端部において前記複数の輸送先のうちの1つに接続される。前記複数の流出側開閉弁は、前記複数の流出側分岐管のそれぞれの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間との連通を切替える。前記外気導入弁は、前記本体ハウジングの少なくとも一部に設けられ、前記本体ハウジングの内部空間を外気に対して開放可能にする。
【0009】
本願の第2発明は、第1発明の輸送切替装置であって、前記本体ハウジングは、箱型の立体形状を有する。
【0010】
本願の第3発明は、第2発明の輸送切替装置であって、前記本体ハウジングは、長手方向に延びる直方体型の立体形状を有し、前記本体ハウジングの前記長手方向の両端面のそれぞれに、前記外気導入弁が設けられている。
【0011】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれか1発明の輸送切替装置であって、前記側壁部における前記本体流入口の間隔は、前記本体流入口の直径の1倍以上、かつ、5倍以下であり、前記側壁部における前記本体流出口の間隔は、前記本体流出口の直径の1倍以上、かつ、5倍以下である。
【0012】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明の輸送切替装置であって、前記複数の流入側開閉弁はそれぞれ、前記流入側分岐管が接続される上流側開口が設けられた上流側端と、前記本体流入口に連続する下流側開口が設けられた下流側端と、を有する、ケーシングと、前記下流側開口を開閉する弁体と、前記弁体を、前記下流側開口に直交する方向に進退させるエアシリンダと、を有し、前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記下流側開口を開放すると、前記ケーシングの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間とが連通し、前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記下流側開口を閉塞すると、前記ケーシングの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間との連通が遮断される。
【0013】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の輸送切替装置であって、前記複数の流出側開閉弁はそれぞれ、前記本体流出口に連続する上流側開口が設けられた上流側端と、前記流出側分岐管が接続される下流側開口が設けられた下流側端と、を有する、ケーシングと、前記上流側開口を開閉する弁体と、前記弁体を、前記上流側開口に直交する方向に進退させるエアシリンダと、を有し、前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を開放すると、前記ケーシングの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間とが連通し、前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を閉塞すると、前記ケーシングの内部空間と前記本体ハウジングの内部空間との連通が遮断される。
【0014】
本願の第7発明は、第1発明から第6発明までのいずれか1発明の輸送切替装置であって、前記本体ハウジングの内部空間に配置され、前記本体ハウジングの内部空間における、気流の流路を狭める、整流部材をさらに有する。
【0015】
本願の第8発明は、第1発明から第7発明までのいずれか1発明の輸送切替装置と、前記複数の輸送元と、前記複数の輸送先と、前記輸送経路において、前記輸送元から前記輸送先へ向かう気流を発生させる気流発生手段と、を有する、輸送システムである。
【0016】
本願の第9発明は、第8発明の輸送システムであって、前記気流発生手段は、前記選択された1つの輸送先から空気を吸引することによって、前記輸送経路において、前記輸送元から前記輸送先へ向かう気流を発生させる。
【0017】
本願の第10発明は、複数の輸送元のうちの選択された1つの前記輸送元から、本体ハウジングを有する輸送切替装置を介して、複数の輸送先のうちの選択された1つの前記輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送方法であって、(a)前記本体ハウジングの平面の側壁部に設けられた複数の本体流入口のうち、選択された1つの前記輸送元に接続された本体流入口を開放するとともに、前記本体ハウジングの前記側壁部に設けられた複数の本体流出口のうち、選択された1つの前記輸送先に接続された本体流出口を開放する工程と、(b)選択された前記輸送元から、開放された前記本体流入口および開放された前記本体流出口を介して、選択された前記輸送先へ、粉粒体を輸送する工程と、を有する。前記工程(b)は、前記本体ハウジングに設けられた外気導入弁を閉塞した状態と開放した状態とに切替えつつ、実行する。
【0018】
本願の第11発明は、第10発明の輸送方法であって、前記側壁部における前記本体流入口の間隔は、前記本体流入口の直径の1倍以上、かつ、5倍以下であり、前記側壁部における前記本体流出口の間隔は、前記本体流出口の直径の1倍以上、かつ、5倍以下である。
【発明の効果】
【0019】
本願の第1発明~第11発明によれば、本体ハウジングの平面の側壁部における、各本体流入口および各本体流出口の付近に生じ得る段差を抑制できる。これにより、輸送経路を切替えながら粉粒体を輸送する過程で、粉粒体残りが発生し難くなる。この結果、輸送経路の切替えに伴う材料の混入を抑制できる。また、本体ハウジングを含む輸送切替装置全体を小型化できるため、配置スペースを低減できる。また、外気導入弁を用いて、本体ハウジングの内部空間へ外気を取り込むことができるため、輸送経路に残る粉粒体の量を抑制しつつ輸送することができる。
【0020】
特に、本願の第5発明によれば、簡易な構造によって、低コストで流入側開閉弁を形成することができる。
【0021】
特に、本願の第6発明によれば、簡易な構造によって、低コストで流出側開閉弁を形成することができる。
【0022】
特に、本願の第7発明によれば、本体ハウジングの内部空間における、気流の流速を局所的に上げることによって、粉粒体の移動を促進することができる。
【0023】
特に、本願の第9発明によれば、簡易な構成で、輸送元から輸送先へ向かう気流を発生させることができる。
【0024】
特に、本願の第10発明によれば、輸送元から輸送先への粉粒体の輸送を主に行う工程と、外気導入弁を用いて、本体ハウジングの内部空間へ外気を取り込みつつ、本体ハウジングに溜まった粉粒体を排出する工程と、を行うことによって、輸送経路に残る粉粒体の量を抑制しつつ輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】輸送システムの構成を概念的に示した図である。
【
図2】本体ハウジングおよび支持部材の斜視図である。
【
図3】流入側開閉弁および本体ハウジングの断面図である。
【
図4】流出側開閉弁および本体ハウジングの断面図である。
【
図5】整流機構および本体ハウジングの部分断面図である。
【
図6】制御部と各部との接続を示したブロック図である。
【
図7】粉粒体の輸送工程の流れを示したフローチャートである。
【
図8】粉粒体の輸送工程を例示的に説明するための概要図である。
【
図9】粉粒体の輸送工程の流れを示したタイムチャートである。
【
図10】変形例に係る本体ハウジングの断面形状を模式的に示した図である。
【
図11】変形例に係る整流機構および本体ハウジングの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素は、あくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、図面においては、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0027】
<1.輸送システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る輸送システム1の構成を概念的に示した図である。この輸送システム1は、例えば、プラスチック等の樹脂成形品の原料となる樹脂ペレットを含む粉粒体を、輸送元から輸送先へ輸送するシステムである。特に、本実施形態の輸送システム1は、プラスチック製品の製造工程において、複数の輸送元のうちの選択された1つの輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの輸送先へ、粉粒体を輸送する。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の輸送システム1は、輸送元である複数(本実施形態では、2つ)の第1ホッパ10a,10b、輸送先である複数(本実施形態では、2つ)の第2ホッパ20a,20b、輸送切替装置30、複数(本実施形態では、2つ)の排気管40a,40b、複数(本実施形態では、2つ)のブロワ50a,50b、整流機構60(後述する
図5参照)、および制御部70を有する。ただし、輸送システム1が有する第1ホッパ10a,10bの数、および第2ホッパ20a,20bの数は、それぞれ1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、後述のとおり、輸送システム1は、ブロワを1つのみ有し、当該1つのブロワを、第2ホッパ20a,20bのそれぞれに接続して、切替えながら用いてもよい。
【0029】
第1ホッパ10a,10bは、輸送前の粉粒体を内部に貯留する容器である。第1ホッパ10a,10bは、本発明における輸送元の一例となる。本実施形態では、2つの第1ホッパ10a,10bにおいて、互いに異なる種類の粉粒体が貯留される。例えば、一方の第1ホッパ10aには、樹脂成形品の主な原料である樹脂ペレットが貯留され、他方の第1ホッパ10bには、粉砕されたリサイクル材が貯留される。ただし、複数の第1ホッパには、これらの他、樹脂成形品を着色する着色料として用いられるマスターバッチまたは添加剤等の粉粒体が貯留されてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、2つの第1ホッパ10a,10bは、互いに同じ構造を有する。第1ホッパ10a,10bはそれぞれ、略円筒状の側壁11と、側壁11の下端部から下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗状の底部12と、上部を覆う天板部13とを有する。第1ホッパ10a,10bの内部には、粉粒体を貯留するための空間が、設けられている。また、各底部12の中央には、第1ホッパ10a,10bから輸送切替装置30の後述する流入側分岐管32a,32bへ粉粒体を排出するための第1排出口14が設けられている。なお、第1ホッパ10a,10bの形状は、他の形状であってもよい。例えば、側壁11は、矩形の筒状であってもよい。また、輸送システム1が有する複数の第1ホッパは、互いに異なる構造を有していてもよい。
【0031】
また、各第1排出口14には、開閉弁16と、開閉弁16に接続された開閉機構17とが取り付けられている。開閉機構17は、制御部70からの指令に応じてエアシリンダを動作させて、弁体を進退させることによって、開閉弁16を開閉する。ただし、各第1排出口14には、上記の開閉弁16および開閉機構17の替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。
【0032】
第1ホッパ10a,10bの上方には、第1ホッパ10a,10bに対して粉粒体を供給する装置(上流装置)が配置される。各上流装置は、予め決められた種類の粉粒体を、第1ホッパ10a,10bに供給する。したがって、2つの第1ホッパ10a,10bのそれぞれの上方の上流装置から供給される粉粒体の種類は、互いに異なる。各上流装置は第1ホッパ10a,10b内の粉粒体が少なくなった際に補給要求を受けて粉粒体を補給することができる。ただし、各上流装置は、複数種類の粉粒体を、所定の混合比率となるように計量して、第1ホッパ10a,10bに供給してもよい。また、第1ホッパ10a,10bは、必ずしも上流装置に接続されていなくてもよい。例えば、作業者が、第1ホッパ10a,10bに、手動で粉粒体を投入してもよい。
【0033】
第2ホッパ20a,20bは、第1ホッパ10a,10bから輸送切替装置30を介して輸送される粉粒体を、一時的に貯留する容器である。第2ホッパ20a,20bは、本発明における輸送先の一例となる。また、本実施形態では、2つの第2ホッパ20a,20bは、互いに同じ構造を有する。第2ホッパ20a,20bはそれぞれ、略円筒状の側壁21と、側壁21の下端部から下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗状の底部22と、上部を覆う天板部23とを有する。第2ホッパ20a,20bの内部には、粉粒体を一時的に貯留するための空間が、設けられている。なお、第2ホッパ20a,20bの形状は、他の形状であってもよい。例えば、側壁21は、矩形の筒状であってもよい。また、輸送システム1が有する複数の第2ホッパは、互いに異なる構造を有していてもよい。
【0034】
また、各側壁21には、粉粒体を受け入れるための搬入口24が設けられている。また、各底部22の中央には、第2ホッパ20a,20bから粉粒体を排出するための第2排出口25が設けられている。また、各天板部23には、第2ホッパ20a,20bから空気を吸い出すための排気口26が設けられている。
【0035】
また、各第2排出口25には、第2排出口25の開閉を制御する排出弁27が取り付けられている。排出弁27には、例えば、制御部70からの指令に応じてエアシリンダを動作させて、弁体を進退させる機構が用いられる。ただし、排出弁27は、エアシリンダ等の機構により弁体を進退させるものでなくてもよく、例えば、第2排出口25の端部から適切な距離を空けて設けられた板状の弁であり、ブロワ50a,50bが作動して第2ホッパ20a,20bの内部が減圧されることで自動的に移動し第2排出口25を塞ぐようなものであってもよい。また、各第2排出口25には、排出弁27の替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。また、第2ホッパ20a,20bの下方には、それぞれ第2排出口25から排出される粉粒体を受ける装置(下流装置29)が配置される。下流装置29は、例えば、射出成形機である。第2排出口25を開放すると、第2ホッパ20a,20b内の粉粒体が、それぞれ第2排出口25を通って下流装置29へ排出される。
【0036】
輸送切替装置30は、第1ホッパ10a,10bと第2ホッパ20a,20bとの間を繋ぐ輸送経路を切替える装置である。
図1に示すように、輸送切替装置30は、本体ハウジング31、複数(本実施形態では、2つ)の流入側分岐管32a,32b、複数(本実施形態では、2つ)の流入側開閉弁33a,33b、複数(本実施形態では、2つ)の流出側分岐管34a,34b、複数(本実施形態では、2つ)の流出側開閉弁35a,35b、および外気導入弁511,521を有する。ただし、輸送切替装置30が有する流入側分岐管32a,32bの数、流入側開閉弁33a,33bの数、流出側分岐管34a,34bの数、および流出側開閉弁35a,35bの数は、それぞれ1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0037】
本体ハウジング31は、箱型の立体形状を有する中空の容器である。本体ハウジング31の材料には、例えば、内部が視認可能となるような、アクリル等の樹脂が用いられる。ただし、本体ハウジング31の材料には、アクリル以外の、不透明な樹脂が用いられてもよい。また、本体ハウジング31の材料には、樹脂以外の、SUSや鉄等の金属が用いられてもよい。本体ハウジング31は、支持部材36に支持されつつ、配置される。
図2は、本体ハウジング31および支持部材36の斜視図である。
図2に示すように、本体ハウジング31は、長手方向Ldに延びる直方体型の立体形状を有する。また、本体ハウジング31は、長手方向Ldの一方側の端部に位置する端面51と、長手方向Ldの他方側の端部に位置する端面52と、両端面51,52を繋ぐ四角筒状の側壁部53と、を有する。また、支持部材36は、例えば、アルミニウム製のフレームにより構成される。ただし、支持部材36の構造は、これに限定されない。
【0038】
また、一方側の端面51には、開口が形成されている。当該開口は、本体ハウジング31の内部空間310の一方側の端部に位置し、内部空間310に連通する。以下では、当該開口を、「外気導入口510」と称することとする。
図1に示すように、外気導入口510には、外気導入弁511と、外気導入弁511に接続された開閉機構512と、フィルタ513とが、取り付けられている。開閉機構512は、制御部70からの指令に応じて、外気導入弁511を開閉する。外気導入弁511を開放すると、外気導入口510およびフィルタ513を介して、本体ハウジング31の内部空間310へ外気を取り込むことができる。ただし、外気導入弁511および開閉機構512の替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。
【0039】
また、他方側の端面52には、開口が形成されている。当該開口は、本体ハウジング31の内部空間310の他方側の端部に位置し、内部空間310に連通する。以下では、当該開口を、「外気導入口520」と称することとする。
図1に示すように、外気導入口520には、外気導入弁521と、外気導入弁521に接続された開閉機構522と、フィルタ523とが、取り付けられている。開閉機構522は、制御部70からの指令に応じて、外気導入弁521を開閉する。外気導入弁521を開放すると、外気導入口520およびフィルタ523を介して、本体ハウジング31の内部空間310へ外気を取り込むことができる。ただし、外気導入弁521および開閉機構522の替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。
【0040】
すなわち、本実施形態では、本体ハウジング31の長手方向Ldの両端面51,52のそれぞれに、外気導入弁511,521が設けられている。ただし、外気導入弁は、本体ハウジング31の長手方向Ldの両端面51,52の一方のみに設けられてもよい。また、外気導入弁は、本体ハウジング31の側壁部53に設けられてもよい。すなわち、輸送切替装置30は、本体ハウジング31の少なくとも一部に設けられ、本体ハウジング31の内部空間310を外気に対して開放可能にする、外気導入弁を有していればよい。
【0041】
図2に示すように、本体ハウジング31における、平面から成る側壁部53には、複数(本実施形態では、2つ)の本体流入口540a,540bと、複数(本実施形態では、2つ)の本体流出口550a,550bと、1または複数(本実施形態では、1つ)の整流部取付口580と、がそれぞれ形成されている。
【0042】
2つの本体流入口540a,540bはそれぞれ、側壁部53のうちの、平面である第1側面531に形成されている。第1側面531は、本体ハウジング31が支持部材36に支持された状態において、側方を向く面である。2つの本体流入口540a,540bはそれぞれ、本体ハウジング31の内部空間310に連通する。また、2つの本体流入口540a,540bは、本体ハウジング31の長手方向Ldに並んで設けられている。以下では、2つの本体流入口540a,540bのうち、長手方向Ldの一方側に設けられるものを「本体流入口540a」と称し、長手方向Ldの他方側に設けられるものを「本体流入口540b」と称することとする。ただし、第1側面531に形成される本体流入口540a,540bの数は、それぞれ1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、本体流入口540a,540bはそれぞれ、本体ハウジング31における第1側面531以外の箇所に形成されてもよい。
【0043】
また、本実施形態の2つの本体流入口540a,540bの直径A1は、互いに略同一であり、それぞれ20mm~100mm程度である。また、第1側面531において、2つの本体流入口540a,540bの間の距離D1は、本体流入口540a,540bの直径A1の1倍以上、かつ、5倍以下である。すなわち、側壁部53における本体流入口540a,540bの間隔は、本体流入口540a,540bの直径A1の1倍以上、かつ、5倍以下である。また、側壁部53における本体流入口540a,540bの間隔は、望ましくは、本体流入口540a,540bの直径A1の2倍以上、かつ、3倍以下である。
【0044】
2つの本体流出口550a,550bはそれぞれ、側壁部53のうちの、平面である第2側面532に形成されている。第2側面532は、本体ハウジング31が支持部材36に支持された状態において、側方を向く面であり、かつ、第1側面531に対向する面である。2つの本体流出口550a,550bはそれぞれ、本体ハウジング31の内部空間310に連通する。また、2つの本体流出口550a,550bは、本体ハウジング31の長手方向Ldに並んで設けられている。以下では、2つの本体流出口550a,550bのうち、長手方向Ldの一方側に設けられるものを「本体流出口550a」と称し、長手方向Ldの他方側に設けられるものを「本体流出口550b」と称することとする。ただし、第2側面532に形成される本体流出口550a,550bの数は、それぞれ1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、本体流出口550a,550bはそれぞれ、本体ハウジング31における第2側面532以外の箇所に形成されてもよい。
【0045】
また、本実施形態の2つの本体流出口550a,550bの直径A2は、互いに略同一であり、それぞれ20mm~100mm程度である。また、第2側面532において、2つの本体流出口550a,550bの間の距離D2は、本体流出口550a,550bの直径A2の1倍以上、かつ、5倍以下である。すなわち、側壁部53における本体流出口550a,550bの間隔は、本体流出口550a,550bの直径A1の1倍以上、かつ、5倍以下である。また、側壁部53における本体流出口550a,550bの間隔は、望ましくは、本体流出口550a,550bの直径A2の2倍以上、かつ、3倍以下である。
【0046】
また、本実施形態では、2つの本体流入口540a,540b、および2つの本体流出口550a,550bは、互いに同じ大きさ、かつ、同じ形状を有する。そして、本実施形態では、側壁部53において、2つの本体流入口540a,540b、および2つの本体流出口550a,550bを、近接して形成することによって、本体ハウジング31を小型化できる。これにより、本体ハウジング31含む輸送切替装置30全体を小型化できるため、配置スペースを低減できる。また、本体ハウジング31の内部空間310において、気流によって粉粒体を輸送する際の圧損を抑制できるため、輸送効率が向上する。また、本体ハウジング31の内部空間310に残る粉粒体自体を低減できるため、輸送効率がさらに向上する。
【0047】
なお、本実施形態では、本体ハウジング31における内部空間310の外側の、本体流入口540a,540bの付近には、流入側開閉弁33a,33bの後述するケーシング331の一部を収容するための流入側収容空間560が形成されている(後述する
図3参照)。また、本体ハウジング31における内部空間310の外側の、本体流出口550a,550bの付近には、流出側開閉弁35a,35bの後述するケーシング351の一部を収容するための流出側収容空間570が形成されている(後述する
図4参照)。
【0048】
整流部取付口580は、側壁部53のうちの、平面である上面533に形成されている。上面533は、本体ハウジング31が支持部材36に支持された状態において、上方を向く面である。整流部取付口580は、本体ハウジング31の内部空間310に連通する。ただし、上面533に形成される整流部取付口580の数は、2つ以上であってもよい。
【0049】
2つの流入側分岐管32a,32bは、第1ホッパ10a,10bと、本体ハウジング31に形成された2つの本体流入口540a,540bと、を繋ぐ配管である。2つの流入側分岐管32a,32bはそれぞれ、例えば、金属製の円管から構成される。流入側分岐管32aは、粉粒体の輸送方向における上流側の端部において、第1ホッパ10aの第1排出口14に接続され、下流側の端部において、流入側開閉弁33aを介して、本体流入口540aに接続される。流入側分岐管32bは、粉粒体の輸送方向における上流側の端部において、第1ホッパ10bの第1排出口14に接続され、下流側の端部において、流入側開閉弁33bを介して、本体流入口540bに接続される。すなわち、2つの流入側分岐管32a,32bはそれぞれ、上流側の端部において2つの第1ホッパ10a,10bのうちの1つに接続され、下流側の端部において2つの本体流入口540a,540bのうちの1つに接続される。
【0050】
また、流入側分岐管32a,32bはそれぞれ、第1排出口14の近傍に、開口320を有する。開口320には、輸送元弁321と、輸送元弁321に接続された開閉機構322と、フィルタ323とが、取り付けられている。開閉機構322は、制御部70からの指令に応じてエアシリンダを動作させて、弁体を進退させることによって、輸送元弁321を開閉する。輸送元弁321を開放すると、フィルタ323を介して流入側分岐管32a,32bの内部空間へ外気を取り込むことができる。ただし、輸送元弁321および開閉機構322の替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。
【0051】
2つの流入側開閉弁33a,33bは、2つの流入側分岐管32a,32bのそれぞれの内部空間と、本体ハウジング31の内部空間310と、の連通を切替える機構である。より具体的には、流入側開閉弁33aは、流入側分岐管32aの内部空間と、本体ハウジング31の内部空間310と、の連通を切替える。流入側開閉弁33bは、流入側分岐管32bの内部空間と、本体ハウジング31の内部空間310と、の連通を切替える。
図3は、流入側開閉弁33a,33bと本体ハウジング31とを、本体流入口540a,540bの位置において、長手方向Ldに直交する方向に切断した断面図である。
図3に示すように、流入側開閉弁33a,33bはそれぞれ、ケーシング331、弁体332、およびエアシリンダ333を有する。
【0052】
ケーシング331は、中空の金属製の枠体である。ケーシング331において、粉粒体の輸送方向tdにおける下流側端72には、円形の下流側開口720が設けられている。下流側開口720の径は、弁体332の外径よりも僅かに大きい。また、ケーシング331における下流側開口720の付近の周囲には、フランジ部721が形成されている。本実施形態では、フランジ部721を含むケーシング331の下流側端72付近の部位が、本体ハウジング31の流入側収容空間560に収容される。そして、フランジ部721は、本体ハウジング31の内部の取付面に、例えば、ボルト止めによって固定される。これにより、ケーシング331の下流側開口720は、本体流入口540a,540bに連続する。
【0053】
また、ケーシング331において、粉粒体の輸送方向tdにおける上流側端71には、円形の上流側開口710が設けられている。上流側開口710は、ケーシング331の内部空間と外部空間とを連通する。上流側開口710には、流入側分岐管32a,32bの下流側の端部が接続される。ただし、上流側開口710には、流入側分岐管32a,32bの下流側の端部が、別途用意される連結部材を介して間接的に接続されてもよい。また、本実施形態では、上流側端71が本体ハウジング31よりも下方に位置するように、ケーシング331が固定される。ただし、ケーシング331を固定する向きは、これに限定されない。
【0054】
弁体332は、下流側開口720を開閉する金属製の部材である。弁体332は、先端側に平板部81を含む。平板部81の周縁部には、図示を省略したOリングが取り付けられている。平板部81は、本体流入口540a,540bと略平行であり、かつ、平板部81のOリングを含む外径は、本体流入口540a,540bの外径と略同一である。これにより、平板部81が、本体流入口540a,540bに嵌まり、または本体流入口540a,540bから離間することによって、本体流入口540a,540bと、本体ハウジング31に収容されたケーシング331の下流側開口720とが、それぞれ開閉される。また、本実施形態の弁体332は金属製である。このため、弁体332が粉粒体に圧接した場合でも、弁体332の破損や摩耗が抑制される。ただし、弁体332は、樹脂製であってもよい。
【0055】
エアシリンダ333は、弁体332を、下流側開口720に直交する方向(
図3中の白抜き矢印の方向)に進退させる装置である。エアシリンダ333は、弁体332を、下流側開口720の中心を通り、かつ、下流側開口720に直交する弁体軸810の方向に、往復移動させる。エアシリンダ333は、エアシリンダ本体82、変位ロッド83、および支持機構84を有する。エアシリンダ333は、エアシリンダ本体82の内部空間のうち、変位ロッド83の押し側に位置する押し側内部空間821への空気の供給および押し側内部空間821からの空気の排出と、エアシリンダ本体82の内部空間のうち、変位ロッド83の引き側に位置する引き側内部空間822からの空気の排出および引き側内部空間822への空気の供給とを行うことによって、変位ロッド83を弁体軸810の方向に沿って変位させる動力を生成する。
【0056】
エアシリンダ本体82は、ボルト・ナット構造を含む支持機構84によって、ケーシング331に固定される。また、変位ロッド83の先端には、弁体332が取り付けられている。エアシリンダ333は、制御部70からの指令に応じて、上記の押し側内部空間821への空気の供給および押し側内部空間821からの空気の排出と、引き側内部空間822からの空気の排出および引き側内部空間822への空気の供給とを行うことによって、変位ロッド83を変位させつつ、弁体332を弁体軸810の方向に沿って往復移動させる。
【0057】
図3に示すように、弁体332は、本体流入口540a,540bに対して、弁体軸810の方向に対向する。また、上記のとおり、平板部81は、本体流入口540a,540bと略平行であり、かつ、平板部81の外径は、本体流入口540a,540bの外径と略同一である。このため、弁体332の平板部81が、エアシリンダ333の駆動によって、下流側端72に向かって前進し、下流側開口720を通って、本体流入口540a,540bに嵌まると、本体流入口540a,540bと、本体ハウジング31に収容されたケーシング331の下流側開口720とが、閉塞される。これにより、ケーシング331の内部空間と本体ハウジング31の内部空間310との連通が遮断される。この結果、ブロワ50a,50bの駆動によって、輸送経路内に、輸送元である第1ホッパ10a,10bのうちの選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20a,20bのうちの選択された1つへ向かう気流が発生した場合でも、下流側開口720を介した本体ハウジング31の内部空間310への粉粒体の流入が停止される。
【0058】
一方、弁体332の平板部81が、エアシリンダ333の駆動によって、下流側端72から後退し、平板部81が本体流入口540a,540bから離間すると、本体流入口540a,540bと、本体ハウジング31に収容されたケーシング331の下流側開口720とが、開放される。これにより、ケーシング331の内部空間と本体ハウジング31の内部空間310とが連通する。この結果、後述するブロワ50a,50bの駆動によって、輸送経路内に、輸送元である第1ホッパ10a,10bのうちの選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20a,20bのうちの選択された1つへ向かう気流が発生した場合に、下流側開口720および本体流入口540a,540bを介して、本体ハウジング31の内部空間310に粉粒体が流入する。本実施形態では、このような簡易な構造によって、低コストで流入側開閉弁33a,33bを構成することができる。
【0059】
本実施形態では、上記のとおり、粉粒体の輸送経路を切替えるため、弁体332の平板部81が、本体ハウジング31の本体流入口540a,540bにほぼ隙間無く嵌まり(嵌まった時に、本体ハウジング31の内部における内部空間310に面する面と概ね面一となり)、または離間する構成を有する。これにより、本体ハウジング31の平面の側壁部53における、本体流入口540a,540bの付近に生じ得る段差を抑制できる。この結果、後述のとおり輸送経路を切替えながら粉粒体を輸送する過程で、本体流入口540a,540bの付近に粉粒体残りが発生し難くなる為、輸送経路を切替えに伴う、異なる種類の粉粒体の混入を抑制できる。
【0060】
2つの流出側分岐管34a,34bは、本体ハウジング31に形成された2つの本体流出口550a,550bと、第2ホッパ20a,20bと、を繋ぐ配管である。2つの流出側分岐管34a,34bはそれぞれ、例えば、金属製の円管から構成される。流出側分岐管34aは、粉粒体の輸送方向における上流側の端部において、流出側開閉弁35aを介して、本体流出口550aに接続され、下流側の端部において、第2ホッパ20aの搬入口24に接続される。流出側分岐管34bは、粉粒体の輸送方向における上流側の端部において、流出側開閉弁35bを介して、本体流出口550bに接続され、下流側の端部において、第2ホッパ20bの搬入口24に接続される。すなわち、2つの流出側分岐管34a,34bはそれぞれ、上流側の端部において2つの本体流出口550a,550bのうちの1つに接続され、下流側の端部において2つの第2ホッパ20a,20bのうちの1つに接続される。
【0061】
2つの流出側開閉弁35a,35bは、2つの流出側分岐管34a,34bのそれぞれの内部空間と、本体ハウジング31の内部空間310と、の連通を切替える機構である。より具体的には、流出側開閉弁35aは、流出側分岐管34aの内部空間と、本体ハウジング31の内部空間310と、の連通を切替える。流出側開閉弁35bは、流出側分岐管34bの内部空間と、本体ハウジング31の内部空間310と、の連通を切替える。
図4は、流出側開閉弁35a,35bと本体ハウジング31とを、本体流出口550a,550bの位置において、長手方向Ldに直交する方向に切断した断面図である。
図4に示すように、流出側開閉弁35a,35bはそれぞれ、ケーシング351、弁体352、およびエアシリンダ353を有する。流出側開閉弁35a,35bは、流入側開閉弁33a,33bと同等の構成を有する。
【0062】
ケーシング351は、中空の金属製の枠体である。ケーシング351において、粉粒体の輸送方向tdにおける上流側端71には、円形の上流側開口710が設けられている。上流側開口710の径は、弁体352の外径よりも僅かに大きい。また、ケーシング351における上流側開口710の付近の周囲には、フランジ部711が形成されている。本実施形態では、フランジ部711を含むケーシング351の上流側端71付近の部位が、本体ハウジング31の流出側収容空間570に収容される。そして、フランジ部711は、本体ハウジング31の内部の取付面に、例えば、ボルト止めによって固定される。これにより、ケーシング351の上流側開口710は、本体流出口550a,550bに連続する。
【0063】
また、ケーシング351において、粉粒体の輸送方向tdにおける下流側端72には、円形の下流側開口720が設けられている。下流側開口720は、ケーシング351の内部空間と外部空間とを連通する。下流側開口720には、流出側分岐管34a,34bの上流側の端部が接続される。ただし、下流側開口720には、流出側分岐管34a,34bの上流側の端部が、別途用意される連結部材を介して間接的に接続されてもよい。また、本実施形態では、下流側端72が本体ハウジング31よりも下方に位置するように、ケーシング351が固定される。ただし、ケーシング351を固定する向きは、これに限定されない。
【0064】
弁体352は、上流側開口710を開閉する金属製の部材である。弁体352は、先端側に平板部81を含む。平板部81の周縁部には、図示を省略したOリングが取り付けられている。平板部81は、本体流出口550a,550bと略平行であり、かつ、平板部81のOリングを含む外径は、本体流出口550a,550bの外径と略同一である。これにより、平板部81が、本体流出口550a,550bに嵌まり、または本体流出口550a,550bから離間することによって、本体流出口550a,550bと、本体ハウジング31に収容されたケーシング351の上流側開口710とが、それぞれ開閉される。
【0065】
エアシリンダ353は、弁体352を、上流側開口710に直交する方向(
図4中の白抜き矢印の方向)に進退させる装置である。エアシリンダ353は、弁体352を、上流側開口710の中心を通り、かつ、上流側開口710に直交する弁体軸810の方向に、往復移動させる。エアシリンダ353は、エアシリンダ本体82、変位ロッド83、および支持機構84を有する。エアシリンダ353は、エアシリンダ本体82の内部空間のうち、変位ロッド83の押し側に位置する押し側内部空間821への空気の供給および押し側内部空間821からの空気の排出と、エアシリンダ本体82の内部空間のうち、変位ロッド83の引き側に位置する引き側内部空間822からの空気の排出および引き側内部空間822への空気の供給とを行うことによって、変位ロッド83を弁体軸810の方向に沿って変位させる動力を生成する。
【0066】
エアシリンダ本体82は、ボルト・ナット構造を含む支持機構84によって、ケーシング351に固定される。また、変位ロッド83の先端には、弁体352が取り付けられている。エアシリンダ353は、制御部70からの指令に応じて、上記の押し側内部空間821への空気の供給および押し側内部空間821からの空気の排出と、引き側内部空間822からの空気の排出および引き側内部空間822への空気の供給とを行うことによって、変位ロッド83を変位させつつ、弁体352を弁体軸810の方向に沿って往復移動させる。
【0067】
図4に示すように、弁体352は、本体流出口550a,550bに対して、弁体軸810の方向に対向する。また、上記のとおり、平板部81は、本体流出口550a,550bと略平行であり、かつ、平板部81の外径は、本体流出口550a,550bの外径と略同一である。このため、弁体352の平板部81が、エアシリンダ353の駆動によって、上流側端71に向かって前進し、上流側開口710を通って、本体流出口550a,550bに嵌まると、本体流出口550a,550bと、本体ハウジング31に収容されたケーシング351の上流側開口710とが、閉塞される。これにより、ケーシング351の内部空間と本体ハウジング31の内部空間310との連通が遮断される。この結果、ブロワ50a,50bの駆動によって、輸送経路内に、輸送元である第1ホッパ10a,10bのうちの選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20a,20bのうちの選択された1つへ向かう気流が発生した場合でも、上流側開口710を介したケーシング351の内部空間への粉粒体の流入が停止される。
【0068】
一方、弁体352の平板部81が、エアシリンダ353の駆動によって、上流側端71から後退し、平板部81が本体流出口550a,550bから離間すると、本体流出口550a,550bと、本体ハウジング31に収容されたケーシング351の上流側開口710とが、開放される。これにより、ケーシング351の内部空間と本体ハウジング31の内部空間310とが連通する。この結果、後述するブロワ50a,50bの駆動によって、輸送経路内に、輸送元である第1ホッパ10a,10bのうちの選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20a,20bのうちの選択された1つへ向かう気流が発生した場合に、本体流出口550a,550bおよび上流側開口710を介して、ケーシング351の内部空間に粉粒体が流入して下流側開口720から流出する。本実施形態では、このような簡易な構造によって、低コストで流出側開閉弁35a,35bを構成することができる。
【0069】
本実施形態では、上記のとおり、粉粒体の輸送経路を切替えるため、弁体352の平板部81が、本体ハウジング31の本体流出口550a,550bにほぼ隙間無く嵌まり(嵌まった時に、本体ハウジング31の内部における内部空間310に面する面と概ね面一となり)、または離間する構成を有する。これにより、本体ハウジング31の平面の側壁部53における、本体流出口550a,550bの付近に生じ得る段差を抑制できる。この結果、後述のとおり輸送経路を切替えながら粉粒体を輸送する過程で、本体流出口550a,550bの付近に粉粒体残りが発生し難くなる為、輸送経路を切替えに伴う、異なる種類の粉粒体の混入を抑制できる。
【0070】
排気管40a,40bは、第2ホッパ20a,20bから空気を吸い出すための配管である。排気管40aの上流側の端部は、第2ホッパ20aの排気口26に接続されている。排気管40aの下流側の端部は、ブロワ50aに接続されている。また、排気管40bの上流側の端部は、第2ホッパ20bの排気口26に接続されている。排気管40bの下流側の端部は、ブロワ50bに接続されている。
【0071】
ブロワ50a,50bは、粉粒体を吸引輸送するための気流を発生させる機構である。ブロワ50a,50bは、本発明における気流発生手段の一例となる。ブロワ50a,50bは、制御部70から入力される駆動信号に応じてインペラを回転させることによって、排気管40a,40b内に気流を発生させる。なお、本実施形態のように、第2ホッパ20a,20bのそれぞれについて個別にブロワ50a,50bが接続される形態のほか、1つのブロワを第2ホッパ20a,20bのそれぞれに繋ぎ、適宜切替えながら用いてもよい。
【0072】
第2ホッパ20a,20bのうち、粉粒体の輸送先として第2ホッパ20aが選択された場合、第2ホッパ20aに排気管40aを介して接続されたブロワ50aが駆動される。そうすると、第2ホッパ20a内の空気が吸引され、排気管40aへ吸い出され、ブロワ50aを通って外部へ排出される。これにより、第2ホッパ20a内の気圧が、外気圧よりも低い負圧となる。これにより、第1ホッパ10a,10bのうちの粉粒体の輸送元として選択された1つにおける第1排出口14に接続された流入側分岐管(流入側分岐管32aおよび流入側分岐管32bの一方)の開口320から、輸送経路内に外気が取り込まれる。この結果、輸送経路において、第1ホッパ10a,10bのうちの粉粒体の輸送元として選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20aへ向かう気流が発生する。
【0073】
また、第2ホッパ20a,20bのうち、粉粒体の輸送先として第2ホッパ20bが選択された場合、第2ホッパ20bに排気管40bを介して接続されたブロワ50bが駆動される。そうすると、第2ホッパ20b内の空気が吸引され、排気管40bへ吸い出され、ブロワ50bを通って外部へ排出される。これにより、第2ホッパ20b内の気圧が、外気圧よりも低い負圧となる。これにより、第1ホッパ10a,10bのうちの粉粒体の輸送元として選択された1つにおける第1排出口14に接続された流入側分岐管(流入側分岐管32aおよび流入側分岐管32bの一方)の開口320から、輸送経路内に外気が取り込まれる。この結果、輸送経路において、第1ホッパ10a,10bのうちの粉粒体の輸送元として選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20bへ向かう気流が発生する。本実施形態では、このような簡易な構造によって、輸送元である第1ホッパ10a,10bから、輸送先である第2ホッパ20a,20bへ向かう気流を、低コストで発生させることができる。
【0074】
なお、第2ホッパ20a,20bのそれぞれの排気口26には、フィルタ28が設けられている。フィルタ28は、空気の通過を許容しつつ、粉粒体が排気管40a,40bへ流れ込むことを防止する。フィルタ28には、例えば、粉粒体よりも小さい複数の貫通孔を有するパンチングメタルプレートが用いられる。
【0075】
本実施形態では、まず、第1ホッパ10a,10bのうちの1つを粉粒体の輸送元として選択し、第2ホッパ20a,20bのうちの1つを粉粒体の輸送先として選択する。さらに、選択された輸送元から選択された輸送先までの経路上に位置する流入側開閉弁(流入側開閉弁33aおよび流入側開閉弁33bの一方)を開放することによって、ケーシング331の内部空間と本体ハウジング31の内部空間310とを連通し、経路に含まれない流入側開閉弁(流入側開閉弁33aおよび流入側開閉弁33bの他方)を閉塞することによって、ケーシング331の内部空間と本体ハウジング31の内部空間310との連通を遮断する。また、選択された輸送元から選択された輸送先までの経路上に位置する流出側開閉弁(流出側開閉弁35aおよび流出側開閉弁35bの一方)を開放することによって、ケーシング351の内部空間と本体ハウジング31の内部空間310とを連通し、経路に含まれない流出側開閉弁(流出側開閉弁35aおよび流出側開閉弁35bの他方)を閉塞することによって、ケーシング351の内部空間と本体ハウジング31の内部空間310との連通を遮断する。
【0076】
これにより、選択された輸送元から選択された輸送先までの粉粒体の輸送経路を形成することができる。そして、このような簡易な構造によって、複数の輸送元である第1ホッパ10a,10bから複数の輸送先である第2ホッパ20a,20bへの輸送経路の切替を、低コストで実現できる。すなわち、本実施形態では、上記の構造によって、複数の輸送元のうちの選択された1つの輸送元から、本体ハウジング31を有する輸送切替装置30を介して、複数の輸送先のうちの選択された1つの輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送方法が構成される。
【0077】
さらに、上記のとおり、輸送切替装置30は、整流機構60をさらに有する。
図5は、整流機構60と本体ハウジング31とを、整流部取付口580の位置において、長手方向Ldに切断した部分断面図である。
図5に示すように、整流機構60は、固定部61および整流部材62を有する。
【0078】
固定部61は、本体ハウジング31の上面533における、整流部取付口580の周囲に、例えば、ボルト止めによって固定される。整流部材62は、固定部61の下面から、整流部取付口580を貫通しつつ下方へ延びる柱状の部材である。すなわち、整流部材62は、本体ハウジング31の内部空間に配置される。ただし、整流部材62は、板状であってもよい。また、本実施形態では、整流部材62の下端部は、本体ハウジング31の内部空間310の下端部付近に位置する。これにより、本体ハウジング31の内部空間310における、気流の流路を狭めることができる。この結果、本体ハウジング31の内部空間310における、気流の流速を局所的に上げることによって、粉粒体の移動を促進することができる。本実施形態では、整流部材62は、本体ハウジング31の外気導入口520の付近に配置される。ただし、整流部材62が配置される位置は、これに限定されない。
【0079】
制御部70は、輸送システム1の各部を動作制御する制御手段である。
図6は、制御部70と、輸送システム1内の各部との接続を示したブロック図である。
図6中に示すように、制御部70は、第1ホッパ10a,10bの各第1排出口14に取り付けられている開閉弁16に接続された開閉機構17、流入側分岐管32a,32bの開口320に取り付けられている輸送元弁321に接続された開閉機構322、本体ハウジング31の外気導入口510に取り付けられている外気導入弁511に接続された開閉機構512、本体ハウジング31の外気導入口520に取り付けられている外気導入弁521に接続された開閉機構522、流入側開閉弁33a,33bがそれぞれ有するエアシリンダ333、流出側開閉弁35a,35bがそれぞれ有するエアシリンダ353、第2ホッパ20a,20bの各第2排出口25に取り付けられている排出弁27、およびブロワ50a,50bと、それぞれ電気的に接続されている。制御部70は、CPU等の演算処理部701、メモリ702、および記憶装置703を有するコンピュータにより構成されている。
【0080】
制御部70は、記憶装置703に記憶された、予め設定された動作シーケンスSおよびパラメータPや、外部からの入力信号に基づき、上記の各部を動作制御する。これにより、輸送システム1における粉粒体の輸送が進行する。ただし、開閉弁16、輸送元弁321、外気導入弁511,521、流入側開閉弁33a,33b、流出側開閉弁35a,35b、排出弁27、およびブロワ50a,50bは、制御部70から切り離して、作業者が手動で操作するようにしてもよい。
【0081】
<2.輸送システムの動作>
続いて、上述した輸送システム1において、粉粒体を輸送するときの動作について説明する。
図7は、粉粒体の輸送工程の流れを示したフローチャートである。
図8は、粉粒体の輸送工程を例示的に説明するための概要図である。
図9は、粉粒体の輸送工程の流れを示したタイムチャートである。
【0082】
上記のとおり、本実施形態の輸送システム1を用いた輸送工程においては、複数の輸送元のうちの選択された1つの輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの輸送先へ、粉粒体を輸送する。具体的には、まず、第1ホッパ10a,10bのうちの1つを粉粒体の輸送元として選択し、第2ホッパ20a,20bのうちの1つを粉粒体の輸送先として選択する。以下では、一例として、第1ホッパ10a,10bのうち、第1ホッパ10bを輸送元として選択し、第2ホッパ20a,20bのうち、第2ホッパ20aを輸送先として選択する場合について、説明する。
【0083】
粉粒体の輸送を開始するときには、まず、制御部70から駆動信号を供給して、流入側開閉弁33bを開放することによって、本体ハウジング31の側壁部53に設けられた複数の本体流入口540a,540bのうち、選択された1つの輸送元である第1ホッパ10bに接続された本体流入口540bを開放するとともに、残りの本体流入口540aを閉塞する。また、制御部70から駆動信号を供給して、流出側開閉弁35aを開放することによって、本体ハウジング31の側壁部53に設けられた複数の本体流出口550a,550bのうち、選択された1つの輸送先である第2ホッパ20aに接続された本体流出口550aを開放するとともに、残りの本体流出口550bを閉塞する。
【0084】
次に、制御部70から、選択された輸送元である第1ホッパ10bの第1排出口14に取り付けられている開閉機構17へ駆動信号を供給して、開閉弁16を開放する。また、制御部70から、選択された輸送元である第1ホッパ10bに接続されている流入側分岐管32bの開口320に取り付けられている開閉機構322へ駆動信号を供給して、輸送元弁321を開放する。これにより、粉粒体を、第1ホッパ10bから、流入側分岐管32b、流入側開閉弁33b、本体ハウジング31、流出側開閉弁35a、および流出側分岐管34aから構成される輸送切替装置30を通って、第2ホッパ20aまで輸送する輸送経路を形成することができる。また、制御部70から駆動信号を供給して、第2ホッパ20a,20bの各第2排出口25に取り付けられている排出弁27を閉塞する。
【0085】
また、本体ハウジング31の外気導入口510に取り付けられている外気導入弁511と、外気導入口520に取り付けられている外気導入弁521とを、閉塞した状態とする。そして、時刻t0にて、制御部70から駆動信号を供給して、選択された輸送先である第2ホッパ20aに排気管40aを介して接続されたブロワ50aを駆動させる(ステップS1)。そうすると、第2ホッパ20a内から空気が吸引されて、第2ホッパ20a内の気圧が低下する。これにより、開口320から流入側分岐管32bの内部空間に外気が取り込まれ、第1ホッパ10bの第1排出口14から第2ホッパ20aの搬入口24へ向かう気流が発生する。この結果、粉粒体が、選択された輸送元である第1ホッパ10bから、開放された本体流入口540bおよび開放された本体流出口550aを介して、選択された輸送先である第2ホッパ20aへ、輸送される。以下では、このような輸送元内の粉粒体を輸送先へ輸送する工程を「本輸送」と称する。
【0086】
上記のとおり、制御部70には、輸送工程において各部を動作させるための動作シーケンスSが、予め設定されている。ブロワ50aの駆動を開始させた後、制御部70は、駆動開始(時刻t0)から第1動作時間t1が経過したかどうかを監視する。そして、第1動作時間t1が経過すると、制御部70は、本体ハウジング31の外気導入口510に取り付けられている開閉機構512へ駆動信号を供給して、外気導入弁511を開放する。
【0087】
制御部70は、その後、動作開始(時刻t0)から第2動作時間t2が経過したかどうかを監視する。そして、第2動作時間t2が経過すると、制御部70は、本体ハウジング31の外気導入口510に取り付けられている開閉機構512へ駆動信号を供給して、外気導入弁511を閉塞する。一方、本体ハウジング31の外気導入口520に取り付けられている開閉機構522に駆動信号を供給して、外気導入弁521を開放する。同様に、制御部70は、動作開始(時刻t0)から第3動作時間t3が経過すると、外気導入弁511を開放して、外気導入弁521を閉塞する。また、制御部70は、動作開始(時刻t0)から第4動作時間t4が経過すると、外気導入弁511を閉塞して、外気導入弁521を開放する。また、制御部70は、動作開始(時刻t0)から第5動作時間t5が経過すると、外気導入弁511を開放して、外気導入弁521を閉塞する。また、制御部70は、動作開始(時刻t0)から第6動作時間t6が経過すると、外気導入弁511を閉塞して、外気導入弁521を開放する。
【0088】
すなわち、本実施形態において、本輸送は、最初に2つの外気導入弁511,521をそれぞれ閉塞した後、一方の外気導入弁511を開放しつつ、他方の外気導入弁521を閉塞した状態と、一方の外気導入弁511を閉塞しつつ、他方の外気導入弁521を開放した状態とを、複数回切替えつつ、実行する(ステップS2)。ただし、本輸送は、本体ハウジング31の少なくとも一部に設けられた外気導入弁を閉塞した状態と開放した状態とに切替えつつ、実行すればよい。
【0089】
ここで、上記のとおり、第1ホッパ10b内の粉粒体が、輸送切替装置30を通って、第2ホッパ20aへ輸送される際、本体ハウジング31の内部空間310において滞留し、またはオーバーランした粉粒体が、本体ハウジング31の内部空間310における様々な箇所に留まったり堆積したりする場合がある。そこで、本実施形態では、上記のとおり、外気導入弁511,521を交互に開放することによって、外気導入弁511,521からフィルタ513,523を介して本体ハウジング31の内部空間310へ外気を取り込むことができる。これにより、本体ハウジング31の内部空間310において、外気導入口510,520から本体流出口550aへ向かう気流が発生する。この結果、本体ハウジング31の内部空間310において粉粒体が留まっていた場合でも、粉粒体を、本体流出口550a、流出側開閉弁35a、および流出側分岐管34aを介して第2ホッパ20aへ輸送することができる。
【0090】
また、上記のとおり、本実施形態では、小型化された本体ハウジング31を介して、粉粒体を輸送することができるため、本体ハウジング31の内部空間310において、気流によって粉粒体を輸送する際の圧損を抑制できる。これにより、輸送効率が向上する。また、本体ハウジング31の内部空間310に残る粉粒体自体を低減できるため、輸送効率がさらに向上する。また、上記のとおり、本実施形態では、本体ハウジング31の外気導入口520の付近の内部空間310に、整流部材62が配置されている。これにより、外気導入弁521から本体ハウジング31の内部空間310へ外気を取り込む際に、粉粒体の移動をさらに促進することができる。
【0091】
制御部70は、その後、動作開始(時刻t0)から第7動作時間t7が経過したかどうかを監視する(ステップS3)。そして、第7動作時間t7が経過していない場合(ステップS3=no)、引き続き本輸送を行い、外気導入弁511,521の開放と閉塞とを交互に繰り返す。一方、第7動作時間t7が経過すると(ステップS3=yes)、本輸送が完了し、第1ホッパ10bから所定量の粉粒体が排出されたと判断する。このとき、制御部70から、第1ホッパ10bの第1排出口14に取り付けられている開閉機構17へ駆動信号を供給して、開閉弁16を閉塞する。また、開閉弁16を閉塞してから所定時間経過後に、制御部70から、第1ホッパ10bに接続されている流入側分岐管32bの開口320に取り付けられている開閉機構322へ駆動信号を供給して、輸送元弁321を閉塞する。ただし、制御部70は、第1ホッパ10bに別途設けるレベルセンサ(図示省略)の検出信号に基づいて、本輸送が完了し、第1ホッパ10bから所定量の粉粒体が排出されたと判断してもよい。
【0092】
また、制御部70は、動作開始(時刻t0)から第7動作時間t7が経過すると、制御部70から駆動信号を供給して、流入側開閉弁33bを閉塞することによって、本体ハウジング31の本体流入口540bを閉塞する。なお、本体流入口540bの閉塞は、上記の開閉弁16および輸送元弁321を閉塞した後に実行される。そして、引き続きブロワ50aを駆動させ、第2ホッパ20a内から空気を吸引する(ステップS4)。また、ステップS4は、本体ハウジング31の2つの外気導入弁511,521をそれぞれ開放した状態で、実行する。これにより、フィルタ513,523を介して本体ハウジング31の内部空間310へ外気が取り込まれ、内部空間310において、外気導入口510,520から本体流出口550aへ向かう気流が発生する。この結果、本体ハウジング31の内部空間310、流出側開閉弁35aの内部空間、および流出側分岐管34aの内部空間を含む輸送切替装置30内に残る粉粒体を、第2ホッパ20aへ輸送することができる。以下では、このような輸送切替装置30内に残る粉粒体を輸送先へ輸送する工程を「残輸送」と称する。
【0093】
続いて、制御部70は、動作開始(時刻t0)から第8動作時間t8が経過したかどうかを監視する。そして、第8動作時間t8が経過すると、制御部70は、2つの外気導入弁511,521のうち、外気導入弁521のみを閉塞する。同様に、制御部70は、動作開始から第9動作時間t9が経過すると、外気導入弁511を閉塞して、外気導入弁521を開放する。また、制御部70は、動作開始から第10動作時間t10が経過すると、外気導入弁511を開放して、外気導入弁521を閉塞する。また、制御部70は、動作開始から第11動作時間t11が経過すると、外気導入弁511を閉塞して、外気導入弁521を開放する。
【0094】
すなわち、本実施形態において、残輸送は、最初に2つの外気導入弁511,521をそれぞれ開放した後、一方の外気導入弁511を開放しつつ、他方の外気導入弁521を閉塞した状態と、一方の外気導入弁511を閉塞しつつ、他方の外気導入弁521を開放した状態とを、複数回切替えつつ、実行する(ステップS5)。ただし、残輸送において、2つの外気導入弁511,521を開放し、および再び閉塞するタイミングや時間は、これに限定されない。また、残輸送は、本体ハウジング31の少なくとも一部に設けられた外気導入弁を閉塞した状態と開放した状態とに切替えつつ、実行すればよい。
【0095】
なお、上記の本輸送が終了した時点においても、本体ハウジング31の内部空間310において依然として粉粒体が残留したままとなる場合がある。しかしながら、本実施形態では、残輸送として、本体流入口540bを閉塞した状態で、最初に、2つの外気導入弁511,521をそれぞれ開放した後、外気導入弁511と外気導入弁521とを交互に開放することによって、外気導入口510,520から内部空間310へ外気を取り込むことができる。これにより、内部空間310において、外気導入口510,520から本体流出口550aへ向かう気流が繰り返し発生する。この結果、内部空間310に依然として残留する粉粒体を、本体流出口550aを経由して、第2ホッパ20aへ輸送することができる。ただし、残輸送では、2つの外気導入弁511,521をそれぞれずっと閉塞した状態に維持してもよく、ずっと開放した状態に維持してもよい。また、残輸送の工程は、必ずしも設けられなくてもよい。
【0096】
制御部70は、その後、動作開始(時刻t0)から第12動作時間t12が経過したかどうかを監視する(ステップS6)。そして、第12動作時間t12が経過していない場合(ステップS6=no)、引き続き残輸送を行い、2つの外気導入弁511,521の開放と閉塞とを繰り返す。一方、第12動作時間t12が経過すると(ステップS6=yes)、最後に、2つの外気導入弁511,521をそれぞれ再び開放する(ステップS7)。その後、所定時間が経過する(動作開始から第13動作時間t13が経過する)と、残輸送が完了し、本体ハウジング31の内部空間310、流出側開閉弁35aの内部空間、および流出側分岐管34aの内部空間を含む輸送切替装置30内に残る粉粒体を、第2ホッパ20aへ輸送することができたと判断する。
【0097】
また、制御部70から駆動信号を供給して、輸送システム1におけるブロワ50a,50bの駆動を停止するとともに、各弁を閉塞する。本実施形態では、制御部70から駆動信号を供給して、ブロワ50aの駆動を停止するとともに、外気導入弁511,521、および流出側開閉弁35aを、それぞれ開放状態から閉塞状態に切替える。これにより、輸送システム1における、選択された輸送元である第1ホッパ10bから選択された輸送先である第2ホッパ20aへの粉粒体の輸送工程を終了する。さらにその後、再び、複数の第1ホッパのうちの1つを粉粒体の輸送元として選択し、複数の第2ホッパのうちの1つを粉粒体の輸送先として選択して、同様にステップS1~ステップS7を実行することによって、輸送システム1における粉粒体の多方向の輸送を実現できる。
【0098】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0099】
上記の実施形態では、本体ハウジング31は、長手方向Ldに延びる直方体型の立体形状を有していた。しかしながら、本体ハウジング31を長手方向Ldに直交する方向に切断した断面形状は、
図10の変形例の本体ハウジング31cに示すように、長方形であってもよい。また、本体ハウジング31dに示すように、U字形状であってもよい。また、本体ハウジング31eに示すように、台形であってもよい。また、本体ハウジング31fに示すように、三角形であってもよい。また、本体ハウジング31gに示すように、菱形であってもよい。また、本体ハウジング31c~31gに設けられる本体流入口540c~540gおよび本体流出口550c~550gについても、
図10に示すように、様々な位置を選択することができる。
【0100】
また、上記の実施形態にて用いられた本体ハウジング31を2つ用意し、上下に2段重ねに配置してもよい。この場合、上段の本体ハウジング31には、複数の本体流入口のみを形成し、下段の本体ハウジング31には、複数の本体流出口のみを形成してもよい。また、上記の実施形態にて用いられた本体ハウジング31を2つ用意し、上面視において、T字形状となるように交差させて配置してもよい。
【0101】
上記の実施形態では、整流機構60として、整流部材62の鉛直方向の位置が固定された「固定式」が用いられていた。しかしながら、
図11の変形例の整流機構60bのように、整流部材62bの鉛直方向の位置を可変に制御可能な「可動式」が用いられてもよい。
図11の整流機構60bは、固定部61b、整流部材62b、およびエアシリンダ63bを有する。
【0102】
固定部61bは、本体ハウジング31の上面533における、整流部取付口580の周囲に固定され、整流部材62bおよびエアシリンダ63bをそれぞれ支持する。整流部材62bは、整流部取付口580を貫通しつつ鉛直方向に延びる。エアシリンダ63bは、整流部材62bを、鉛直方向に往復移動させる。なお、本変形例の整流部材62bは、本体ハウジング31における、粉粒体の輸送経路上に在る本体流入口と本体流出口との間の内部空間310に配置することが望ましい。そして、整流部材62bの鉛直方向の位置を制御することによって、内部空間310に堆積され得る粉粒体の量を調整することができる。これにより、内部空間310に残る粉粒体を、より効率良く輸送することができる。
【0103】
上記の実施形態では、輸送先を負圧にして粉粒体を吸引輸送していた。しかしながら、本発明における粉粒体の輸送方式は、輸送元の付近を陽圧にして、粉粒体を輸送先へ圧送するものであってもよい。この場合、例えば、ブロワ50a,50bを、開口320付近に配置すればよい。また、気流を発生させるための手段は、必ずしもブロワでなくてもよい。
【0104】
また、本発明の輸送システムは、樹脂成形品の材料である樹脂ペレットやリサイクル材以外の粉粒体を輸送対象とするものであってもよい。例えば、医薬品、化学製品、食品、建材等の様々の分野で用いられる粉粒体を輸送対象としてもよい。
【0105】
輸送切替装置および輸送システムの細部の構成については、本願の各図に示された構成と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 輸送システム
10a,10b 第1ホッパ
20a,20b 第2ホッパ
30 輸送切替装置
31,31c,31d,31e,31f,31g 本体ハウジング
32a,32b 流入側分岐管
33a,33b 流入側開閉弁
34a,34b 流出側分岐管
35a,35b 流出側開閉弁
40a,40b 排気管
50a,50b ブロワ
51 (本体ハウジングの一方側の)端面
52 (本体ハウジングの他方側の)端面
53 (本体ハウジングの)側壁部
62,62b 整流部材
71 (流入側開閉弁および流出側開閉弁の)上流側端
72 (流入側開閉弁および流出側開閉弁の)下流側端
310 (本体ハウジングの)内部空間
510 (本体ハウジングの一方側の)外気導入口
511 外気導入弁
520 (本体ハウジングの他方側の)外気導入口
521 外気導入弁
540a~540g (本体ハウジングの)本体流入口
550a~550g (本体ハウジングの)本体流出口
710 (流入側開閉弁および流出側開閉弁の)上流側開口
720 (流入側開閉弁および流出側開閉弁の)下流側開口
Ld (本体ハウジングの)長手方向
td (粉粒体の)輸送方向