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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142768
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】冷媒漏洩検知システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
F25B49/02 520A
F25B49/02 520K
F25B49/02 520E
F25B49/02 520D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055080
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 聡士
(72)【発明者】
【氏名】領家 宏
(57)【要約】
【課題】本開示は、外気温や圧縮機の駆動周波数などの外部要因の影響を受けにくく、冷媒漏洩の検知精度の向上を図ることのできる冷媒漏洩検知システムを提供する。
【解決手段】室外機10と、室外機10に冷媒配管を介して接続され被空調空間の空調を行う室内機20とを備えた空気調和装置1の冷媒漏洩を検知するための冷媒漏洩検知システムにおいて、サーバ制御部51を備え、サーバ制御部51は、冷凍サイクルの吐出過熱度、吸入過熱度、高圧飽和温度、低圧飽和温度に基づいて過熱ガス領域の面積を求め、過熱ガス領域の面積が所定のしきい値より高い場合に、冷媒が漏洩していると判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と、前記室外機に冷媒配管を介して接続され被空調空間の空調を行う室内機とを備えた空気調和装置の冷媒漏洩を検知するための冷媒漏洩検知システムにおいて、
制御部を備え、
前記制御部は、冷凍サイクルの吐出過熱度、吸入過熱度、高圧飽和温度、低圧飽和温度に基づいて過熱ガス領域の面積を求め、前記過熱ガス領域の面積が所定のしきい値より高い場合に、冷媒が漏洩していると判定する、
冷媒漏洩検知システム。
【請求項2】
前記制御部は、冷凍サイクルの高圧飽和温度、熱交換器の液冷媒温度、周囲温度に基づいて第1の過冷却度を求め、前記第1の過冷却度の理論最大過冷却度に対する比率が所定のしきい値より低い場合に、冷媒が漏洩していると判定する、
請求項1に記載の冷媒漏洩検知システム。
【請求項3】
前記制御部は、冷凍サイクルの高圧飽和温度、熱交換器の液冷媒温度、低圧飽和温度に基づいて第2の過冷却度を求め、前記第2の過冷却度の高圧飽和温度と低圧飽和温度との差に対する比率が所定のしきい値より低い場合に、冷媒が漏洩していると判定する、
請求項1に記載の冷媒漏洩検知システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記過熱ガス領域の面積の圧縮機の駆動周波数に対する比率を求め、前記過熱ガス領域の面積を前記圧縮機の駆動周波数に対応した前記過熱ガス領域の面積を求める、
請求項1に記載の冷媒漏洩検知システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記過熱ガス領域の面積と、第1の過冷却度および第2の過冷却度とに基づいて、いずれも冷媒が漏洩していると判定した場合に、冷媒が漏洩していると判定する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冷媒漏洩検知システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記過熱ガス領域の面積と、第1の過冷却度または第2の過冷却度のいずれか一方とに基づいて、いずれも冷媒が漏洩していると判定した場合に、冷媒が漏洩していると判定する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冷媒漏洩検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒漏洩検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1は、圧縮機、蒸発器、凝縮器及び膨張弁が設けられ、冷凍サイクルを行う冷媒回路を備え、冷媒不足判別手段で、冷媒回路の冷媒の不足状態を検知して不足状態の原因を判別する冷凍装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-250554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、外気温や圧縮機の駆動周波数などの外部要因の影響を受けにくく、冷媒漏洩の検知精度の向上を図ることのできる冷媒漏洩検知システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示による冷媒漏洩検知システムは、室外機と、前記室外機に冷媒配管を介して接続され被空調空間の空調を行う室内機とを備えた空気調和装置の冷媒漏洩を検知するための冷媒漏洩検知システムにおいて、制御部を備え、前記制御部は、冷凍サイクルの吐出過熱度、吸入過熱度、高圧飽和温度、低圧飽和温度に基づいて過熱ガス領域の面積を求め、前記過熱ガス領域の面積が所定のしきい値より高い場合に、冷媒が漏洩していると判定する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、過熱ガス領域の面積を所定のしきい値と比較して冷媒が漏洩していると判定することで、吐出冷媒および吸入冷媒の両方の過熱状態変化を考慮し、高圧飽和温度および低圧飽和温度のパラメータを組み合わせて冷媒の漏洩を判定することができる。そのため、圧縮機の駆動周波数の変動、室内ファンの回転数の変動、外気温などの外部要因の影響を包括した冷媒漏洩判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における冷媒漏洩検知システムが適用される空気調和装置を示す冷凍サイクル図
図2】実施の形態1における制御構成を示すブロック図
図3】実施の形態1における空気調和装置1の冷凍サイクルのPH線図
図4】実施の形態1における過熱ガス領域の面積を示す説明図
図5】実施の形態1における過冷却度と飽和温度を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、冷媒不足判別手段により、圧縮機の運転周波数、該圧縮機の吸入冷媒の過熱度及び膨張弁の開度に基づいて冷媒の不足状態を検知し、該冷媒の不足状態を検知した場合に、冷媒の過冷却度に基づいて冷媒の不足状態が冷媒漏れを原因とするか冷媒詰まりを原因とするかを判別する技術があった。
【0009】
しかしながら、従来の技術では、過冷却度などの判定パラメータは、外気温や圧縮機の駆動周波数などの外部要因で変化し易く、関連する運転データの状態を考慮した上で基準値を定める必要があり、過冷却度のみで冷媒の漏洩を判断した場合、冷媒漏洩の検知精度に限界があるという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
本開示は、外気温や圧縮機の駆動周波数などの外部要因の影響を受けにくく、冷媒漏洩の検知精度の向上を図ることのできる冷媒漏洩検知システムを提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図1および図2を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
まず、冷媒漏洩検知システムの構成について説明する。
図1は、本開示の冷媒漏洩検知システムが適用される空気調和装置の構成を示す冷凍サイクル図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、室外機10と、室内機20とを備えている。室外機10には、圧縮機11、冷媒流路を切り替える四方弁12、室外熱交換器13、室外ファン14、室外絞り装置15が収容されている。
【0012】
室内機20には、室内熱交換器21、室内絞り装置22、室内ファン23がそれぞれ収容されている。
室外機10の圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、室外絞り装置15、室内機20の室内熱交換器21および室内絞り装置22は、冷媒配管24を介して順次接続され、冷凍サイクルを構成している。
【0013】
圧縮機11の冷媒の吸込側には、冷媒の吸込温度を検出する吸入温度センサ30が設けられている。圧縮機11の冷媒の吐出側には、冷媒の吐出温度を検出する吐出温度センサ31が設けられている。
また、圧縮機11の吸込側には、冷媒の低圧側の圧力を検出する低圧センサ32が設けられている。圧縮機11の吐出側には、冷媒の高圧側の圧力を検出する高圧センサ33が設けられている。
室外熱交換器には、冷媒の室外熱交換器における液冷媒温度を検出する室外熱交換温度センサ34が設けられている。室内熱交換器には、冷媒の室内熱交換器における液冷媒温度を検出する室内熱交換温度センサ35が設けられている。
さらに、周囲温度を検出する外気温センサ36および被空調空間内の温度を検出する室内気温センサ37が設けられている。
【0014】
[1-2.制御構成]
次に、本実施の形態の制御構成について説明する。
図2は、本実施の形態の制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、空気調和装置1は、制御装置40を備えている。制御装置40は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、を備えている。
制御部41は、例えば、CPUやMPUなどのプログラムを実行するプロセッサおよびROM、RAMなどのメモリを備え、プロセッサが、メモリに記憶された制御プログラムを読み出して処理を実行するように、ハードウェア及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。
【0015】
記憶部42は、圧縮機11、室外絞り装置15、室外ファン14、室内絞り装置22、室内ファン23などの動作状態を記憶する。
通信部43は、無線通信あるいは有線通信を介してクラウドサーバ50と通信する。
制御装置40には、吸入温度センサ30、吐出温度センサ31、低圧センサ32、高圧センサ33、室外熱交換温度センサ34、室内熱交換温度センサ35による検出信号が入力される。
【0016】
制御部41は、制御プログラムに基づいて、各種センサの検出信号を入力し、圧縮機11、室外絞り装置15、室外ファン14、室内絞り装置22、室内ファン23などを駆動制御する。
制御部41による動作状況、各種センサの検出信号は、通信部43を介してクラウドサーバ50に送信される。
【0017】
クラウドサーバ50は、サーバ制御部51と、サーバ記憶部52と、サーバ通信部53とを備えている。
サーバ制御部51は、例えば、CPUやMPUなどのプログラムを実行するプロセッサおよびROM、RAMなどのメモリを備え、プロセッサが、メモリに記憶された制御プログラムを読み出して処理を実行するように、ハードウェア及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。サーバ制御部51は、本開示の制御部として機能する。
【0018】
サーバ記憶部52は、空気調和装置1の冷媒の漏洩を判定するための判定式が記憶されている。
サーバ通信部53は、無線通信あるいは有線通信を介して空気調和装置1の通信部43と通信する。
【0019】
図3は、空気調和装置1の冷凍サイクルのPH線図である。
図3に示すように、通常の運転では、図中実線で示される冷凍サイクルで動作される。
これに対して、冷媒漏洩が発生し、冷凍サイクル内の冷媒量が減少すると、図中破線で示すように、吐出過熱度および吸込過熱度が増加するとともに、過冷却度が減少し、冷媒の低圧圧力が低下する傾向にあることがわかっている。
そのため、本実施の形態においては、吐出過熱度、吸入過熱度、高圧飽和温度、低圧飽和温度で表される過熱ガス領域の面積が増加するか否かに基づいて、冷媒が漏洩したか否かを判定するように構成されている。
【0020】
図4は、過熱ガス領域の面積を示す説明図である。
図4に示すように、過熱ガス領域の面積は、図中高圧飽和温度および低圧飽和温度より右側の領域である。この過熱ガス領域の面積は、以下の式で表すことができる。
過熱ガス領域の面積=((吐出過熱度+吸入過熱度)/2)×(高圧飽和温度-低圧飽和温度)
ここで、吐出過熱度および吸入過熱度は、それぞれ以下の式で求められる。
吐出過熱度=吐出温度-高圧飽和温度
吸入過熱度=吸入温度-高圧飽和温度
この過熱ガス領域の面積を求める式は、サーバ記憶部52に格納されている。
そして、サーバ制御部51は、過熱ガス領域の面積が所定のしきい値より高くなった場合には、冷媒が漏洩していると判定する。
【0021】
このしきい値は、個々の冷凍サイクルにより異なるため、個々の冷凍サイクルごとに試運転などを行った際に、吐出過熱度、吸入過熱度、高圧飽和温度、低圧飽和温度の検出値を求めておき、これらの検出値に基づいて当該冷凍サイクルにおいて、冷媒が漏洩していると判定するためのしきい値が決定される。
一般的には、例えば、冷媒量が通常の冷媒量の70%程度に減少した場合に、冷媒が漏洩していると判定する。
すなわち、冷媒量が70%程度になった場合の過熱ガス領域の面積をあらかじめ求めておくことで、しきい値を設定することが可能となる。
【0022】
このように過熱ガス領域の面積を求めることで、吐出冷媒および吸入冷媒の両方の過熱状態変化を考慮し、高圧飽和温度および低圧飽和温度のパラメータを組み合わせて冷媒の漏洩を判定することができる。そのため、圧縮機11の駆動周波数の変動、室内ファン23の回転数の変動、外気温などの外部要因の影響を包括した冷媒漏洩判定を行うことができる。
【0023】
なお、サーバ制御部51は、過熱ガス領域の面積の圧縮機11の駆動周波数に対する比率を求め、過熱ガス領域の面積を圧縮機11の駆動周波数に対応した過熱ガス領域の面積を求めるようにしてもよい。
具体的には、過熱ガス領域の面積/圧縮機11駆動周波数を求める。これにより、圧縮機11の駆動周波数が異なる場合の過熱ガス領域の面積であっても、対比することが可能となる。
【0024】
また、サーバ制御部51は、冷凍サイクルの高圧飽和温度、熱交換器の液冷媒温度、外気温度に基づいて第1の過冷却度を求める。
図5は、過冷却度と飽和温度を示す説明図である。
第1の過冷却度は、以下の式で求められる。
第1の過冷却度=(高圧飽和温度-熱交液温度)/(高圧飽和温度-周囲温度)
これは、実際の過冷却度の理論最大過冷却度に対する比率(第1の過冷却度÷理論最大過冷却度)を求めている。なお、理論最大過冷却度は、当該冷凍サイクルにおいて、周囲温度に基づく理論上最大となる過冷却度である。
【0025】
ここで、熱交換液温度は、冷房運転時には、室外熱交換温度センサ34による検出値が用いられ、暖房運転時には、室内熱交換温度センサ35による検出値が用いられる。
また、周囲温度は、冷房運転時には、外気温センサ35による検出値が用いられ、暖房運転時には、室内気温センサ37による検出値が用いられる。
サーバ制御部51は、第1の過冷却度で表される理論最大過冷却度に対する比率が所定のしきい値より低い場合に、冷媒が漏洩していると判定する。
このように実際の過冷却度を理論最大値との比率で表すことで外気温変動や室内ファン23の回転数変動を考慮した指標とすることができる。
【0026】
また、サーバ制御部51は、冷凍サイクルの高圧飽和温度、熱交換器の液冷媒温度、低圧飽和温度に基づいて第2の過冷却度を求める。
第2の過冷却度は、以下の式で求められる。
第2の過冷却度=(高圧飽和温度-熱交液温度)/(高圧飽和温度-低圧飽和温度)
これは、実際の過冷却度の高低圧飽和温度差に対する比率を求めている。
サーバ制御部51は、第2の過冷却度で表される高低圧飽和温度差に対する比率が所定のしきい値より低い場合に、冷媒が漏洩していると判定する。
このように実際の過冷却度を高低圧飽和温度差との比率で表すことで高圧影響(過冷却度のとりやすさ)、低圧影響(比容積の大小)を盛り込むことができ、圧縮機11の駆動周波数、室外ファン14の回転数変動、室内ファン23の回転数変動などの外部要因を考慮した指標とすることができる。
【0027】
[1-2.動作]
次に、本実施の形態の動作について説明する。
空気調和装置1を動作させた場合、制御装置40の制御部41は、制御プログラムに基づいて、各種センサの検出信号を入力し、圧縮機11、室外絞り装置15、室外ファン14、室内絞り装置22、室内ファン23などを駆動制御する。
制御部41による動作状況、各種センサの検出値は、通信部43およびサーバ通信部53を介してクラウドサーバ50に送信される。
【0028】
クラウドサーバ50のサーバ制御部51は、サーバ通信部53を介して送られた空気調和装置1の動作状況、各種センサの検出値に基づいて、サーバ記憶部52に記憶された判定式を用いて、空気調和装置1の冷媒が漏洩しているか否かの判定を行う。
【0029】
すなわち、過熱ガス領域の面積、第1の過冷却度および第2の過冷却度を算出し、それぞれしきい値と比較することで、冷媒が漏洩しているか否かを判定する。
この場合に、サーバ制御部51は、判定式に基づいて、過熱ガス領域の面積がしきい値より高くなった場合、および、第1の過冷却度および前記第2の過冷却度がしきい値より低くなった場合に、空気調和装置1の冷媒漏洩が発生したと判断する。
【0030】
なお、例えば、サーバ制御部51は、判定式に基づいて、過熱ガス領域の面積がしきい値より高くなった場合、および、第1の過冷却度または前記第2の過冷却度のいずれか一方がしきい値より低くなった場合に、空気調和装置1の冷媒漏洩が発生したと判断するようにしてもよい。
【0031】
[1-3.効果等]
以上説明したように、本実施の形態によれば、室外機10と、室外機10に冷媒配管を介して接続され被空調空間の空調を行う室内機20とを備えた空気調和装置1の冷媒漏洩を検知するための冷媒漏洩検知システムにおいて、サーバ制御部51(制御部)を備え、サーバ制御部51は、冷凍サイクルの吐出過熱度、吸入過熱度、高圧飽和温度、低圧飽和温度に基づいて過熱ガス領域の面積を求め、過熱ガス領域の面積が所定のしきい値より高い場合に、冷媒が漏洩していると判定する。
これにより、過熱ガス領域の面積を所定のしきい値と比較して冷媒が漏洩していると判定することで、吐出冷媒および吸入冷媒の両方の過熱状態変化を考慮し、高圧飽和温度および低圧飽和温度のパラメータを組み合わせて冷媒の漏洩を判定することができる。そのため、圧縮機11の駆動周波数の変動、室内ファン23の回転数の変動、外気温などの外部要因の影響を包括した冷媒漏洩判定を行うことができる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、サーバ制御部51(制御部)は、冷凍サイクルの高圧飽和温度、熱交換器の液冷媒温度、周囲温度に基づいて第1の過冷却度を求め、第1の過冷却度の理論最大過冷却度に対する比率が所定のしきい値より低い場合に、冷媒が漏洩していると判定する。
これにより、実際の過冷却度を理論最大値との比率で表すことで外気温変動や室内ファン23の回転数変動を考慮した指標とすることができる。そのため、外部要因の影響を包括した冷媒漏洩判定を行うことができる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、サーバ制御部51(制御部)は、冷凍サイクルの高圧飽和温度、熱交換器の液冷媒温度、低圧飽和温度に基づいて第2の過冷却度を求め、第2の過冷却度の高圧飽和温度と低圧飽和温度との差に対する比率が所定のしきい値より低い場合に、冷媒が漏洩していると判定する。
これにより、実際の過冷却度を高低圧飽和温度差との比率で表すことで高圧影響や低圧影響を盛り込んだ状態で冷媒の漏洩を判定することができる。そのため、外部要因の影響を包括した冷媒漏洩判定を行うことができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、サーバ制御部51(制御部)は、過熱ガス領域の面積の圧縮機11の駆動周波数に対する比率を求め、過熱ガス領域の面積を圧縮機11の駆動周波数に対応した過熱ガス領域の面積を求める。
これにより、圧縮機11の駆動周波数が異なる場合の過熱ガス領域の面積であっても、対比して冷媒の漏洩を判定することができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、サーバ制御部51(制御部)は、過熱ガス領域の面積と、第1の過冷却度および第2の過冷却度とに基づいて、いずれも冷媒が漏洩していると判定した場合に、冷媒が漏洩していると判定する。
これにより、冷媒の漏洩を精度よく判定することができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、サーバ制御部51(制御部)は、過熱ガス領域の面積と、第1の過冷却度または第2の過冷却度のいずれか一方とに基づいて、いずれも冷媒が漏洩していると判定した場合に、冷媒が漏洩していると判定する。
これにより、冷媒の漏洩を精度よく判定することができる。
【0037】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0038】
例えば、前記実施の形態においては、制御部としてサーバ制御部51が冷媒の漏洩を判定するようにしたが、例えば、空気調和装置1の制御部41が空気調和装置1の運転状況および各種センサの検出値を取得し、冷媒の漏洩を判定するようにしてもよい。この場合には、制御装置40の記憶部42に判定式が格納される。
【0039】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)室外機と、前記室外機に冷媒配管を介して接続され被空調空間の空調を行う室内機とを備えた空気調和装置の冷媒漏洩を検知するための冷媒漏洩検知システムにおいて、制御部を備え、前記制御部は、冷凍サイクルの吐出過熱度、吸入過熱度、高圧飽和温度、低圧飽和温度に基づいて過熱ガス領域の面積を求め、前記過熱ガス領域の面積が所定のしきい値より高い場合に、冷媒が漏洩していると判定する、冷媒漏洩検知システム。
この構成により、過熱ガス領域の面積を所定のしきい値と比較して冷媒が漏洩していると判定することで、吐出冷媒および吸入冷媒の両方の過熱状態変化を考慮し、高圧飽和温度および低圧飽和温度のパラメータを組み合わせて冷媒の漏洩を判定することができる。そのため、圧縮機の駆動周波数の変動、室内ファンの回転数の変動、外気温などの外部要因の影響を包括した冷媒漏洩判定を行うことができる。
【0040】
(技術2)前記制御部は、冷凍サイクルの高圧飽和温度、熱交換器の液冷媒温度、周囲温度に基づいて第1の過冷却度を求め、前記第1の過冷却度の理論最大過冷却度に対する比率が所定のしきい値より低い場合に、冷媒が漏洩していると判定する、技術1に記載の冷媒漏洩検知システム。
この構成により、第1の過冷却度を理論最大値との比率で表すことで外気温変動や室内ファンの回転数変動を考慮した指標とすることができる。そのため、外部要因の影響を包括した冷媒漏洩判定を行うことができる。
【0041】
(技術3)前記制御部は、冷凍サイクルの高圧飽和温度、熱交換器の液冷媒温度、低圧飽和温度に基づいて第2の過冷却度を求め、前記第2の過冷却度の高圧飽和温度と低圧飽和温度との差に対する比率が所定のしきい値より低い場合に、冷媒が漏洩していると判定する、技術1または技術2に記載の冷媒漏洩検知システム。
この構成により、第2の過冷却度を理論最大値との比率で表すことで高圧影響や低圧影響を盛り込んだ状態で冷媒の漏洩を判定することができる。そのため、外部要因の影響を包括した冷媒漏洩判定を行うことができる。
【0042】
(技術4)前記制御部は、前記過熱ガス領域の面積の圧縮機の駆動周波数に対する比率を求め、前記過熱ガス領域の面積を前記圧縮機の駆動周波数に対応した前記過熱ガス領域の面積を求める、技術1から技術3のいずれか一項に記載の冷媒漏洩検知システム。
この構成により、圧縮機の駆動周波数が異なる場合の過熱ガス領域の面積であっても、対比して冷媒の漏洩を判定することができる。
【0043】
(技術5)前記制御部は、前記過熱ガス領域の面積と、前記第1の過冷却度および前記第2の過冷却度とに基づいて、いずれも冷媒が漏洩していると判定した場合に、冷媒が漏洩していると判定する、技術1から技術4のいずれか一項に記載の冷媒漏洩検知システム。
この構成により、冷媒の漏洩を精度よく判定することができる。
【0044】
(技術6)前記制御部は、前記過熱ガス領域の面積と、前記第1の過冷却度または前記第2の過冷却度のいずれか一方とに基づいて、いずれも冷媒が漏洩していると判定した場合に、冷媒が漏洩していると判定する、技術1から技術4のいずれか一項に記載の冷媒漏洩検知システム。
この構成により、冷媒の漏洩を精度よく判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示に係る冷媒漏洩検知システムは、外気温や圧縮機の駆動周波数などの外部要因の影響を受けにくく、冷媒漏洩の検知精度の向上を図ることのできる冷媒漏洩検知システムとして好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 空気調和装置
10 室外機
11 圧縮機
12 四方弁
13 室外熱交換器
14 室外ファン
15 室外絞り装置
20 室内機
21 室内熱交換器
22 室内絞り装置
23 室内ファン
24 冷媒配管
30 吸入温度センサ
31 吐出温度センサ
32 低圧センサ
33 高圧センサ
34 室外熱交換温度センサ
35 室内熱交換温度センサ
36 外気温センサ
37 室内気温センサ
40 制御装置
41 制御部
42 記憶部
43 通信部
50 クラウドサーバ
51 サーバ制御部
52 サーバ記憶部
53 サーバ通信部
図1
図2
図3
図4
図5