(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142791
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ビスの取付構造およびそれを用いた積層構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20241003BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E04F13/08 101B
E04B2/56 621H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055115
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 誠樹
【テーマコード(参考)】
2E002
2E110
【Fターム(参考)】
2E002EA08
2E002FB02
2E002FB08
2E002GA01
2E002MA04
2E110AA42
2E110AB04
2E110AB22
2E110BB22
2E110BC02
2E110CA03
2E110DC12
2E110EA09
2E110GB01Y
2E110GB23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】軟質面材からのビスの突出寸法を均一にすることのできる、ビスの取付構造を提供する。
【解決手段】本発明のビスの取付構造(1)は、ビスを挿通するための貫通孔を有する硬質面材(11)と、硬質面材上に載置された軟質面材(12)と、軟質面材上に載置された外壁パネル(13)とがビス(2)により固定される構造である。ビス(2)は、硬質面材と螺合するネジ部(21)と、ネジ部の上端に連なり、軟質面材の厚み以上の長さを有する無ネジ部(22)と、ネジ部と無ネジ部との間に設けられた貫通孔よりも大きな径を有する鍔部(23)と、無ネジ部の上端に位置する頭部(24)とを含み、ビスの頭部は外壁パネル内に位置し、鍔部は硬質面材に接している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスを挿通するための貫通孔を有する硬質面材と、前記硬質面材上に載置された軟質面材と、前記軟質面材上に載置された外壁パネルとがビスにより固定されるビスの取付構造であって、
前記ビスは、前記硬質面材と螺合するネジ部と、前記ネジ部の上端に連なり、前記軟質面材の厚み以上の長さを有する無ネジ部と、前記ネジ部と無ネジ部との間に設けられた前記貫通孔よりも大きな径を有する鍔部と、前記無ネジ部の上端に位置する頭部とを含み、
前記ビスの頭部は前記外壁パネル内に位置し、前記鍔部は前記硬質面材に接している、ビスの取付構造。
【請求項2】
前記ビスは、前記頭部よりも大きな直径を有する座金をもつ座金付きビスであり、
前記外壁パネルは、前記軟質面材に対面する裏面に前記座金よりも大きな直径を有する受入れ穴と、前記受入れ穴に連なり、前記座金の直径よりも小さな幅寸法を有するガイド穴とを備えており、
前記座金は、前記ガイド穴に位置している、請求項1に記載のビスの取付構造。
【請求項3】
ビスを挿通するための貫通孔を有する硬質面材と、前記硬質面材上に載置された軟質面材とがビスにより固定されるビスの取付構造であって、
前記ビスは、前記硬質面材と螺合するネジ部と、前記ネジ部の上端に連なり、前記軟質面材の高さ以上の長さを有する無ネジ部と、前記ネジ部と無ネジ部との間に設けられた前記貫通孔よりも大きな径を有する鍔部と、前記無ネジ部の上端に位置する頭部とを含み、
前記ビスの頭部は前記軟質面材の表面に突出して位置し、前記鍔部は前記硬質面材に接している、ビスの取付構造。
【請求項4】
ビスを挿通するための貫通孔を有する硬質面材と、前記硬質面材上に載置された軟質面材と、前記軟質面材上に載置された外壁パネルとを含む積層構造を製造する方法であって、
ネジ部と、前記ネジ部の上端に連なり、前記軟質面材の厚み以上の長さを有する無ネジ部と、前記ネジ部と無ネジ部との間に設けられた前記貫通孔よりも大きな径を有する鍔部と、前記無ネジ部の上端に位置する頭部とを含むビスを準備する工程と、
前記ビスの前記頭部よりも大きな直径を有する座金を、前記ビスの頭部と鍔部との間に位置させる工程と、
前記外壁パネルとして、前記軟質面材に対面する裏面に前記座金よりも大きな直径を有する受入れ穴と、前記受入れ穴に連なり、前記座金の直径よりも小さな幅寸法を有するガイド穴とを有する外壁パネルを準備する工程と、
前記硬質面材上に前記軟質面材を載置する工程と、
前記軟質面材の表面側から前記ビスを差し込み、前記ビスのネジ部を前記硬質面材の貫通孔に螺合させた状態でねじ込み、前記ビスの鍔部が前記硬質面材に接触するまでねじ込み操作を続行する工程と、
前記軟質面材上に露出している前記ビスの頭部および座金を前記受入れ穴に受入れるように前記外壁パネルを前記軟質面材上に載置する工程と、
前記軟質面材上に載置された外壁パネルをガイド穴が設けられた方向に移動させ、前記座金を前記外壁パネルのガイド穴上に位置させる工程とを備える、積層構造の製造方法。
【請求項5】
前記ねじ込み操作を続行する工程は、
前記ビスの鍔部が前記硬質面材に接触した状態のまま前記ビスを空回りさせること、および
空回り後に前記ビスのねじ込み操作を終了することを含む、請求項4に記載の積層構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質面材からの突出寸法を均一にすることのできるビスの取付構造およびそれを用いた積層構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013-96094号公報(特許文献1)には、外壁パネルを断熱パネルに固定する方法であって、断熱パネルの裏面から外壁パネルの裏面に向けてビスをねじ込むことで固定することが開示されている。
【0003】
特許文献1の外壁パネル固定方法は、断熱パネルの裏面からビスを打ち込む方法であるが、断熱パネルの表面から突出するように設けられたビスの頭部に外壁パネルの裏面を取り付ける方法も知られている。
【0004】
後者の場合、断熱パネル表面からのビスの突出長さは均一にする必要がある。ビスの突出長さを均一にする手段として、NC(Numerical Control;数値制御)装置を用いる方法が知られている。NC装置は、ビスの突出長さを自動で均一化するように調整できる装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、NC装置は非常に高額であり、何台も導入することが困難であった。NC装置ではなく、手動でビスをねじ込む場合、作業途中で何度もビスの突出長さを確認しなければならず、作業が煩雑であった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、NC装置等を使用しなくても、ビスの軟質面材からの突出長さを容易に均一化することのできるビスの取付構造、およびそれを用いた積層構造の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従うビスの取付構造は、ビスを挿通するための貫通孔を有する硬質面材と、硬質面材上に載置された軟質面材と、軟質面材上に載置された外壁パネルとがビスにより固定される構造である。ビスは、硬質面材と螺合するネジ部と、ネジ部の上端に連なり、軟質面材の厚み以上の長さを有する無ネジ部と、ネジ部と無ネジ部との間に設けられた貫通孔よりも大きな径を有する鍔部と、無ネジ部の上端に位置する頭部とを含む。また、ビスの頭部は外壁パネル内に位置し、鍔部は硬質面材に接している。
【0009】
好ましくは、ビスは、頭部よりも大きな直径を有する座金をもつ座金付きビスである。また、外壁パネルは、軟質面材に対面する裏面に座金よりも大きな直径を有する受入れ穴と、受入れ穴に連なり、座金の直径よりも小さな幅寸法を有するガイド穴とを備えている。外壁パネルを所定の位置となるように取付けた状態では、座金はガイド穴に位置している。
【0010】
本発明の他の局面に従うビスの取付構造は、ビスを挿通するための貫通孔を有する硬質面材と、硬質面材上に載置された軟質面材とがビスにより固定される構造である。ビスは、硬質面材と螺合するネジ部と、ネジ部の上端に連なり、軟質面材の高さ以上の長さを有する無ネジ部と、ネジ部と無ネジ部との間に設けられた貫通孔よりも大きな径を有する鍔部と、無ネジ部の上端に位置する頭部とを含む。ビスの頭部は、軟質面材の表面に突出して位置し、鍔部は硬質面材に接している。
【0011】
本発明のある局面に従う積層構造の製造方法は、ビスを挿通するための貫通孔を有する硬質面材と、硬質面材上に載置された軟質面材と、軟質面材上に載置された外壁パネルとを含む積層構造の製造方法である。積層構造の製造方法は、ネジ部と、ネジ部の上端に連なり、軟質面材の厚み以上の長さを有する無ネジ部と、ネジ部と無ネジ部との間に設けられた貫通孔よりも大きな径を有する鍔部と、無ネジ部の上端に位置する頭部とを含むビスを準備する工程と、ビスの頭部よりも大きな直径を有する座金を、ビスの頭部と鍔部との間に位置させる工程と、外壁パネルとして、軟質面材に対面する裏面に座金よりも大きな直径を有する受入れ穴と、受入れ穴に連なり、座金の直径よりも小さな幅寸法を有するガイド穴とを有する外壁パネルを準備する工程と、硬質面材上に軟質面材を載置する工程と、軟質面材の表面側からビスを差し込み、ビスのネジ部を硬質面材の貫通孔に螺合させた状態でねじ込み、ビスの鍔部が硬質面材に接触するまでねじ込み操作を続行する工程と、軟質面材上に露出しているビスの頭部および座金を受入れ穴に受入れるように外壁パネルを軟質面材上に載置する工程と、軟質面材上に載置された外壁パネルをガイド穴が設けられた方向に移動させ、座金を外壁パネルのガイド穴上に位置させる工程とを備える。
【0012】
好ましくは、ねじ込み操作を続行する工程は、ビスの鍔部が硬質面材に接触した状態のままビスを空回りさせること、および空回り後にビスのねじ込み操作を終了することを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビスのねじ込み終了を知る手段を設けることで、軟質面材からのビスの突出寸法を均一にすることのできる、ビスの取付構造及びこれを用いた積層構造の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係るビスの取付構造を示す説明図である。
【
図2】本実施形態に係る外壁パネルの裏面を示す図であり、(a)は正面視斜視図であり、(b)は
図2(a)中IIbで示す穴部を正面から見た図である。
【
図3】他の実施形態におけるビスの取付構造を示す説明図である。
【
図4】本実施形態に係る積層構造の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態に係るビスの取付構造について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
(構成について)
図1、2を参照して、本実施の形態に係るビスの取付構造1について説明する。図中矢印A1はビスの貫通方向、すなわち外壁パネルの厚み方向を示し、矢印A2は外壁パネルの面方向を示す。
【0017】
本発明のある局面に従うビスの取付構造1は、ビス2を挿通するための貫通孔11aを有する硬質面材11と、硬質面材11上に載置された軟質面材12と、軟質面材12上に載置された外壁パネル13とがビス2により固定される構造である。また、本実施形態に係るビス2は、頭部24よりも大きな直径を有する座金3をもつ「座金付きビス」である。
【0018】
硬質面材11は、ビス2と螺合する貫通孔11aが設けられた金属製の下地部材であり、建物の躯体を構成する梁に固定される。
【0019】
軟質面材12は、たとえば断熱面材、遮音面材などの緩衝部材であり、軟性であることから雌ネジを形成することができない部材である。そのため、軟質面材12は、硬質面材11と外壁パネル13とで挟み込むように固定される。
【0020】
図2(a)を参照して、外壁パネル13は、たとえばALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)といった軽量気泡コンクリートや、フレキシブルボードなどの窯業系材料で形成されたパネルである。外壁パネル13は、表面の意匠性を保つため、ビスなどの固定具は裏面に取り付けられる。裏面は、軟質面材12と対面しており、ビス2と対面する位置に穴部14が設けられている。
【0021】
図2(b)を参照して、外壁パネル13の穴部14は、座金3よりも大きな直径を有する受入れ穴14aと、受入れ穴14aに連なり、座金3の直径よりも小さな幅寸法を有するガイド穴14bとを備えている。すなわち、本実施形態の穴部14は「ひょうたん型」のような形状をしている。なお、外壁パネル13の設置完了時における座金3は、ガイド穴14bに位置している。
【0022】
なお、本実施形態における硬質面材11および軟質面材12は、説明の便宜上単層構造として説明したが、多層構造であっても適用可能である。
【0023】
ビス2は、硬質面材11と螺合するネジ部21と、軟質面材12の厚み以上の長さを有する無ネジ部22と、ネジ部21と無ネジ部22との間に設けられた鍔部23と、無ネジ部22の上端に位置する頭部24とを含む。また、取付構造1において、ビス2の頭部24は外壁パネル13内に位置し、鍔部23は硬質面材11上に接している。
【0024】
ネジ部21は、硬質面材11の厚みよりも十分に長く設けられる。これにより、ビスを十分ねじ込むことができ、面材からの抜け落ちを防止できる。
【0025】
無ネジ部22は、ネジ部21の上端に連なり、軟質面材12の厚みよりも長くなるように設けられる。ここで、軟質面材12にはねじが切られていない。そのため、硬質面材11へのビス2のねじ込み操作が完了するとビス2が空転し、ねじ込みの終了を容易に知ることができる。
【0026】
鍔部23は、ネジ部21の上端に設けられ、頭部24の面材からの突出寸法に応じて所望の位置に設けることができる。鍔部23は、硬質面材11の貫通孔11aよりも直径が大きく、貫通孔11aを通過できない。そのため、鍔部23が硬質面材11と接することで、作業者はビスのねじ込み作業の終了を容易に知ることができる。
【0027】
頭部24の直径は、ネジ部21の直径よりも大きい。頭部24の頂面には十字状に凹む図示しない溝が設けられている。この溝にドライバ等の先端部を噛み合わせ、ビス2を回転させる。頭部24は、外壁パネル13を引っ掛けるため、軟質面材12から突出するように設けられる。
【0028】
本実施形態に係るビスの取付方法は、安価でありながら容易にビスの突出長さを均一化することができる。従来の裏面固定型外壁パネルは、張替作業時以外では手作業でビスを取り付けることについて想定していなかった。また、この外壁パネルの張替作業時には手作業でビスの突出高さが調整されるため、非常に煩雑な作業を要していた。本実施形態に係るビスの場合、ビスの突出高さを気にせずに、電動ドライバなどでビスをねじ込むだけでよく、ねじ込み深さがねじの鍔部と硬質面材との接触によって決定されるので、手動でありながらも確実に突出高さを均一化することができる。
【0029】
(寸法について)
次に、
図1,2を参照して、本実施形態のビスの取付構造1における、各構成の寸法関係について説明する。
【0030】
無ネジ部22の高さ寸法L1は、軟質面材12の厚み寸法L2よりも長くなるように設けられる。また、無ネジ部22の突出寸法(L1-L2)は、1~5mm程度設けられることが好ましい。これにより、ビス2の頭部24を外壁パネル13の底壁に設けられたガイド穴14b上に位置させることができる。
【0031】
外壁パネル13の受入れ穴14aの直径W5は、座金3の直径W1よりも大きく、座金3の直径W1は、ビスの頭部の直径W2よりも大きい。また、外壁パネル13のガイド穴14bの直径W6は、無ネジ部22の直径W3よりも大きく、ビスの頭部の直径W2よりも小さい。これにより、受入れ穴14aで受け入れられたビス2および座金3は、スムーズにガイド穴14bへ案内されるため、外壁パネル13を容易に取り付けることができる。また、張替作業においても、外壁パネル13を上方にずらすだけで容易に取り外すことができる。このように、本実施形態におけるビスの取付構造は、外壁パネルの施工性を向上することができる。
【0032】
鍔部23の直径W4は、硬質面材11の貫通孔11aの直径よりも大きい。これにより、ビスのねじ込み操作を続けることで鍔部23は必ず硬質面材11上に接することとなり、ねじ込み操作の終了に伴って硬質面材11より下方における突出寸法、および軟質面材12より上方における突出寸法を均一化することができる。
【0033】
(他の実施形態)
次に、
図3を参照して、他の実施形態に係るビスの取付構造1Aについて説明する。ビスの取付構造1Aは、
図1に示した実施形態1に係るビスの取付構造1とは、主に軟質面材12Aの形態が異なっており、また外壁パネル13を備えないことが異なっている。本実施形態に係るビス2は、ビス2を挿通するための貫通孔を有する硬質面材11と、硬質面材11上に載置された軟質面材12Aとがビス2により固定される構造である。なお、ビス2の基本的な構成は実施形態1と同様である。
【0034】
本実施形態における軟質面材12Aは、波形形状の屋根パネル12Aである。屋根パネル12Aは、たとえばポリカーボネートなどの樹脂で形成された板材であり、ビスのねじ込み操作を手作業で行う場合、ねじ込みすぎると軟質面材に容易に食い込んでしまう。そのため、従来のビスでは、手作業で軟質面材の高さ寸法を一定に保つようにビス止めすることは困難であった。本実施形態におけるビス2は、軟質面材12Aの高さ寸法L3が所望高さとなるように位置決めされた鍔部23を有している。これにより、ビス2のねじ込み操作を行うだけで、ビス2の突出寸法を均一化することができる。
【0035】
本実施形態におけるビス2の無ネジ部22の高さ寸法L4は、軟質面材12Aの厚み寸法L3よりも大きい。これにより、軟質面材12Aの高さ寸法L3を容易に均一に保つことができる。すなわち、鍔部23が硬質面材11上に接した際、ビス2がその場で空転するため、ビスのねじ込み操作の終了を知ることができる。したがって、本実施形態におけるビスの取付構造1Aは、屋根パネルのような波形形状のパネルであっても容易に取り付けることができる。
【0036】
なお、本実施形態における軟質面材12Aは、説明の便宜上、樹脂製の単層構造であるとして説明したが、多層構造であっても適用可能である。また、波形形状でなく、単純な板形状であっても適用可能である。この場合であっても、ビス2の軟質面材12Aへの食い込みを防止でき、ビスのねじ込み操作を容易に行うことができる。
【0037】
(製造方法について)
次に、
図4を参照して、ビスを挿通するための貫通孔を有する硬質面材と、前記硬質面材上に載置された軟質面材と、前記軟質面材上に載置された外壁パネルとを含む積層構造の製造方法について説明する。
図4は、本実施形態に係る積層構造の製造方法を示すフローチャートである。
【0038】
初めに、ビス準備工程(ステップS1)を行う。ビス準備工程S1では、ネジ部と、ネジ部の上端に連なり、軟質面材の厚み以上の長さを有する無ネジ部と、ネジ部と無ネジ部との間に設けられた貫通孔よりも大きな径を有する鍔部と、無ネジ部の上端に位置する頭部とを含むビスを準備する。ビスは、鍔部の位置および無ネジ部の長さが、製造される積層構造の軟質面材の厚みに応じて決定されたものを準備する。
【0039】
次に、座金位置決め工程(ステップS2)を行う。座金位置決め工程S2では、ビスの頭部よりも大きな直径を有する座金を、ビスの頭部と鍔部との間に位置させる。座金を予めビスに取り付けておくことで、座金がビスから離脱してしまったり、所定位置からずれてしまうことによる作業の煩雑さを解消することができる。
【0040】
次に、外壁パネル準備工程(ステップS3)を行う。外壁パネル準備工程S3では、軟質面材に対面する裏面に座金よりも大きな直径を有する受入れ穴と、受入れ穴に連なり、座金の直径よりも小さな幅寸法を有するガイド穴とを有する外壁パネルを準備する。
【0041】
次に、面材載置工程(ステップS4)を行う。面材載置工程S4では、ビスを挿通するための貫通孔を有する硬質面材上に軟質面材を載置する。その後、ビスねじ込み工程(ステップS5)を行う。ビスねじ込み工程S5では、ステップS4で硬質面材上に載置された軟質面材の表面側からビスを差し込み、ビスのネジ部を硬質面材の貫通孔に螺合させた状態でねじ込む。ビスねじ込み工程S5は、ビスの鍔部が硬質面材に接触した状態のままビスが空回りすることで、ビスのねじ込み操作を終了する。ねじ込み操作は、ビスの鍔部が硬質面材上に接触するまで続行される。これにより、軟質面材はビスによって硬質面材上に固定されることとなり、ビスの頭部および座金は軟質面材上に露出されることとなる。
【0042】
次に、外壁パネル載置工程(ステップS6)を行う。外壁パネル載置工程S6では、外壁パネルの裏面に設けられた受入れ穴と、ビスの頭部および座金とが合うように位置決めされ、ビスの頭部および座金を受け入れ穴に受入れるように載置される。載置された後、外壁パネル位置決め工程(ステップS7)を行う。外壁パネル位置決め工程S7では、ガイド穴の延在方向に沿って、ビスの頭部および座金がガイド穴上に位置するように外壁パネルを動かすことで固定する。これにより、硬質面材上に軟質面材、外壁パネルが固定された積層構造が製造される。
【0043】
公知の手法として用いられていたNC装置は、非常に高額であり、何台も導入することが困難であった。本実施形態に係る積層構造の製造方法によれば、NC装置を用いなくても、電動ドライバでビスをねじ込むだけで、ビスの突出長さを均一にすることができる。したがって、公知の手法と比較して、非常に安価な手法でありながらも容易にビスの突出長さを均一化することができる。
【0044】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ビスの取付構造、2 ビス、3 座金、11硬質面材、12 軟質面材、13 外壁パネル、14 穴部、14a 受入れ穴、14b ガイド穴、21 ネジ部、22 無ネジ部、23 鍔部、24 頭部。