(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142794
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】飲料、飲料の製造方法、及び飲料の風味改善方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/66 20060101AFI20241003BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20241003BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A23L2/66
A23L2/60
A23L2/00 J
A23L2/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055123
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】西島 和弘
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LK01
4B117LK06
4B117LK15
4B117LK17
4B117LK18
4B117LL01
4B117LL02
4B117LL09
(57)【要約】
【課題】
本発明は、コラーゲンペプチドを含む飲料におけるコラーゲン臭を低減することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料であって、前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比が0.001以上である、前記飲料を提供する。また、本発明は、前記飲料の製造方法も提供する。また、本発明は、コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料の風味改善方法も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料であって、
前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比が0.001以上である、
前記飲料。
【請求項2】
前記コラーゲンペプチドの含有質量は、前記飲料の質量に対して1質量%以上である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
前記コラーゲンペプチドの平均分子量は、1000~10000である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
前記ホエイたんぱく質の含有質量は、前記飲料の質量に対して0.1質量%以上である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項5】
前記ホエイたんぱく質は、ホエイたんぱく質濃縮物、ホエイたんぱく質分離物、及びホエイパウダーから選択される一種以上である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項6】
前記飲料は、甘味料をさらに含む、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項7】
前記飲料のpHは、4.5以下である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項8】
前記飲料の脂質含有量は、当該飲料100ml当たり0.5g以下である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項9】
コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料の製造方法であって、
前記飲料中の前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比が0.001以上となるように、前記ホエイたんぱく質及び前記コラーゲンペプチドを含む溶解液を調製する工程を含む、
前記製造方法。
【請求項10】
コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料の風味改善方法であって、
前記飲料中の前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比が0.001以上となるように、前記ホエイたんぱく質及び前記コラーゲンペプチドを含む溶解液を調製する、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料、飲料の製造方法、及び飲料の風味改善方法に関し、特にはコラーゲンペプチドを含む飲料、コラーゲンペプチドを含む飲料の製造方法、及びコラーゲンペプチドを含む飲料の風味改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たんぱく質を効率的に摂取できる飲料についてのニーズがある。そのような飲料において、コラーゲンペプチドが用いられることがある。しかしながら、コラーゲンペプチドは特有の風味を有する。コラーゲン臭とも呼ばれるその風味は、飲料の風味に悪影響を及ぼしうる。そこで、これまでに、コラーゲン臭に対処するための技術がいくつか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「コラーゲンペプチドと、果汁とを含み、前記コラーゲンペプチドの含有量が0.5~3.0質量%であり、前記果汁が混濁果汁を含み、不溶性固形分の含有量が0.02質量%以上である、飲料。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コラーゲンペプチドはたんぱく質原料として有用であるが、前記のとおりコラーゲン臭を有する。そこで、本発明は、コラーゲンペプチドを含む飲料におけるコラーゲン臭を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定の飲料によって、コラーゲン臭を低減することができることを見出した。
すなわち、本発明は以下を提供する。
[1]コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料であって、
前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比が0.001以上である、
前記飲料。
[2]前記コラーゲンペプチドの含有質量は、前記飲料の質量に対して1質量%以上である、[1]に記載の飲料。
[3]前記コラーゲンペプチドの平均分子量は、1000~10000である、[1]又は[2]に記載の飲料。
[4]前記ホエイたんぱく質の含有質量は、前記飲料の質量に対して0.1質量%以上である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の飲料。
[5]前記ホエイたんぱく質は、ホエイたんぱく質濃縮物、ホエイたんぱく質分離物、及びホエイパウダーから選択される一種以上である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の飲料。
[6]前記飲料は、甘味料をさらに含む、[1]~[5]のいずれか一つに記載の飲料。
[7]前記飲料のpHは、4.5以下である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の飲料。
[8]前記飲料の脂質含有割合は、当該飲料の質量に対して0.5質量%以下である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の飲料。
[9]コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料の製造方法であって、
前記飲料中の前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比が0.001以上となるように、前記ホエイたんぱく質及び前記コラーゲンペプチドを含む溶解液を調製する工程を含む、
前記製造方法。
[10]コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料の風味改善方法であって、
前記飲料中の前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比が0.001以上となるように、前記ホエイたんぱく質及び前記コラーゲンペプチドを含む溶解液を調製する、
前記方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、コラーゲンペプチドを含む飲料におけるコラーゲン臭を低減することができる。また、本発明においてコラーゲン臭を低減するために用いられる有効成分はホエイたんぱく質であり、すなわちたんぱく質であるため、飲料中のたんぱく質含有割合を高めつつ、且つ、コラーゲン臭を低減することができる。また、飲料のたんぱく質含有割合を高めるためにコラーゲンペプチドの含有割合を高める場合においては、特にコラーゲン臭が強くなる。そのような場合においては、コラーゲン臭を低減することは特に難しいが、本発明の効果はそのような場合においても奏される。
なお、本発明の効果は、ここに記載された効果に限定されず、本明細書内に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の好ましい実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態のみに限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができる。
【0009】
本発明に従う飲料は、コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む。ホエイたんぱく質によって、当該飲料中のコラーゲンペプチドに起因するコラーゲン臭を低減することができる。さらに、前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比が0.001以上であってよく、このような質量比で両成分を含む場合に、コラーゲン臭低減効果が良好に発揮される。
【0010】
本明細書内において「コラーゲン臭」とは、コラーゲンペプチドに起因する風味であり、例えばコラーゲンペプチドを含む飲料における臭い及び味の両方に基づく風味であってよい。当該コラーゲン臭は、特には臭いとして知覚される風味である。
【0011】
なお、本明細書内において数値範囲に用いられる記号「~」は、前後の数値をそれぞれ下限値、上限値として含む。
【0012】
以下で、前記飲料について、より詳細に説明する。説明の順序は以下のとおりである。
(1)コラーゲンペプチド
(2)ホエイたんぱく質
(3)その他の成分
(3-1)甘味料
(3-2)香料
(3-3)酸味料
(3-4)果汁
(3-5)着色料
(3-6)水
(4)飲料の物性
(5)製造方法
(6)使用方法
(7)風味改善方法
(8)組成の例
(9)実施例
【0013】
(1)コラーゲンペプチド
本発明に従う飲料は、コラーゲンペプチドを含む。コラーゲンペプチドは、コラーゲンを例えば酵素等により分解して低分子化したものである。
【0014】
コラーゲンペプチドの平均分子量は、例えば1000~10000であり、好ましくは2000~9000であり、より好ましくは4000~8000である。
コラーゲンペプチドの平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した、ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量である。
【0015】
コラーゲンペプチドの原料は特に限定されなくてよいが、例えば牛由来、豚由来、又は魚由来のコラーゲンペプチドであってよい。コラーゲンペプチドは、市販入手可能であり、例えば分子量が4000~8000であるコラーゲンペプチドの市販品として、ニッピペプタイドPRA(商品名、(株)ニッピ製、豚由来)、及び、SCP5100(商品名、新田ゼラチン社製、豚由来)等が挙げられる。前記コラーゲンペプチドは、1種のコラーゲンペプチドであってよく、又は、例えば分子量又は原料が異なる2種以上のコラーゲンペプチドの組合せであってもよい。
【0016】
コラーゲンペプチドの含有質量は、飲料の質量に対して、例えば0.5質量%以上であり、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上、さらにより好ましくは3質量%以上、特に好ましくは4質量%以上であってよい。
前記コラーゲンペプチドの含有質量は、前記飲料の質量に対して、例えば15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9質量%以下、さらにより好ましくは8質量%以下、特に好ましくは7質量%以下であってよい。
前記コラーゲンペプチドの含有質量の数値範囲は、これら上限値及び下限値のうちからそれぞれ選択された値により規定されてよく、例えば0.5質量%~15質量%、好ましくは1質量%~10質量%、より好ましくは2質量%~9質量%、よりさらに好ましくは3質量%~8質量%、よりさらに好ましくは4質量%~7質量%であってよい。
前記コラーゲンペプチドの含有質量が前記の下限値以上であることによって、前記飲料のユーザが効率的にたんぱく質を摂取することができる。
前記コラーゲンペプチドの含有質量が前記の上限値以下であることによって、より確実にコラーゲン臭低減効果が発揮される。また、本発明のコラーゲン臭低減効果は、コラーゲンペプチド含有質量がこのように高い場合においても、発揮される。
【0017】
(2)ホエイたんぱく質
本発明に従う飲料は、ホエイたんぱく質を含む。ホエイたんぱく質は、例えば牛乳、脱脂乳、全粉乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等から選ばれるホエイタンパク質含有原料から、常法により精製して得られたホエイたんぱく質であってよい。
ホエイたんぱく質は、前記ホエイたんぱく質含有原料から、チーズ、カゼイン、カゼインナトリウム、ヨーグルト等を製造する過程において、凝固した乳分を取り除いて残る液体部分(ホエイ)に含まれる。ホエイたんぱく質含有原料としては、ウシ、ヒツジ、ヤギ等の哺乳動物の乳が好ましく、ウシの乳が特に好ましい。
【0018】
前記ホエイたんぱく質は、ホエイたんぱく質濃縮物(Whey Protein Concentrate;WPC)、ホエイたんぱく質分離物(Whey Protein Isolate;WPI)、及びホエイパウダーから選択される一種以上であってよい。すなわち、本発明の飲料は、WPC、WPI、及びホエイパウダーからなる群から選択される一種以上のホエイたんぱく質原料を含んでよい。
「WPC」は、ホエイたんぱく質含有割合が25質量%~80質量%であるホエイたんぱく質含有組成物をいう。
「WPI」は、ホエイたんぱく質含有割合が80質量%超であるホエイたんぱく質含有組成物をいう。
「ホエイパウダー」は、ホエイたんぱく質含有割合が25質量%未満であるホエイたんぱく質含有組成物である。
「ホエイパウダー」は、ホエイをセパレーター、分離膜、イオン交換樹脂等を用いて脱脂、脱塩等の成分分離処理を施し、さらに噴霧乾燥や凍結乾燥等の常法により粉末化したものであってもよい。
【0019】
ホエイたんぱく質の精製方法としては、例えば、牛乳又は脱脂粉乳に例えばレンネット等の凝乳酵素を加えてカゼインと乳脂肪とを取り除く工程を含む方法、及び、前記工程の後にゲル濾過法、限外濾過法、又はイオン交換法等による精製処理を行う処理工程をさらに含む方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0020】
ホエイたんぱく質の含有質量は、飲料の質量に対して、例えば0.1質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらにより好ましくは1.5質量%以上、特に好ましくは2.0質量%以上であってよい。
ホエイたんぱく質の含有質量は、飲料の質量に対して、例えば10.0質量%以下、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下、さらにより好ましくは5.0質量%以下、特に好ましくは4.0質量%以下であってよく、さらには3.5質量%以下、3.2質量%以下、又は3.0質量%以下であってもよい。
ホエイたんぱく質の含有質量の数値範囲は、これら上限値及び下限値のうちからそれぞれ選択された値により規定されてよく、例えば0.1質量%~10.0質量%、好ましくは0.5質量%~8.0質量%、より好ましくは1.0質量%~6.0質量%、よりさらに好ましくは2.0質量%~4.0質量%であってよい。
ホエイたんぱく質の含有質量が前記の下限値以上であることによって、本発明のコラーゲン臭低減効果をより確実に発揮することができる。加えて、飲料のユーザが効率的にたんぱく質を摂取することができる。
ホエイたんぱく質の含有質量の上限値は特に限定されなくてよいが、ホエイたんぱく質の含有質量が前記の上限値以下であることは、飲料の飲用感(飲み易さ)を向上することに貢献し、例えば、ざらつきの低減、粘度の低減、又は飲用時の重たさの低減に貢献する。また、ホエイたんぱく質の含有質量が前記の上限値以下であることによって、飲料における乳様のにおいを低減することができる。
【0021】
一実施態様において、コラーゲンペプチドの含有質量に対するホエイたんぱく質の含有質量の比(ホエイたんぱく質の含有質量/コラーゲンペプチドの含有質量)が、好ましくは0.001以上であり、より好ましくは0.01以上であり、さらにより好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上であり、さらには0.2以上であり、さらには0.25以上であり、さらには0.30以上であり、さらには0.35以上であり、さらには0.40以上であり、さらには0.45以上であってよい。
前記比は、例えば3.0以下であり、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.9以下であり、さらには0.7以下であり、さらには0.55以下であってよい。
前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比は、これら上限値及び下限値のうちからそれぞれ選択された値により規定されてよく、例えば0.001~3.0、好ましくは0.01~2.0であり、より好ましくは0.05~1.0であり、さらにより好ましくは0.1~0.9であり、特に好ましくは0.2~0.7であり、さらには0.2~0.55であってよい。
前記比が前記の下限値以上であることによって、本発明のコラーゲン臭低減効果をより確実に発揮することができる。
前記比の上限値は特に限定されなくてよいが、総たんぱく質中のコラーゲンペプチドの割合を高めるために、前記比は前記の上限値以下に設定されてよい。
【0022】
一実施態様において、飲料のたんぱく質含有割合が、飲料の質量に対して、例えば5質量%以上であり、好ましくは6質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上であってよい。
飲料のたんぱく質含有割合は、飲料の質量に対して、例えば15質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよく、さらには9質量%以下であってもよい。
本明細書内において、たんぱく質含有割合は、飲料に含まれるたんぱく質及びたんぱく質分解物の合計含有割合を意味する。例えば、飲料がたんぱく質(たんぱく質及びたんぱく質分解物)としてコラーゲンペプチド及びホエイたんぱく質のみを含む場合において、たんぱく質含有割合は、コラーゲンペプチド及びホエイたんぱく質の合計含有割合である。
【0023】
(3)その他の成分
本発明の飲料は、以上(1)及び(2)において述べた成分以外の成分をさらに含んでよい。以下でそれら成分について説明する。
【0024】
(3-1)甘味料
本発明の飲料は、甘味料をさらに含んでよい。甘味料を含む飲料、特には甘い嗜好性飲料であれば気軽にたんぱく質補給のために摂取することができるため好ましい。また、甘い飲料においてはコラーゲン臭は目立ちやすく、甘い飲料においてコラーゲン臭を低減することは特に重要である。本発明は、このような甘い飲料においてもコラーゲン臭の低減のために有用である。すなわち、一実施態様において、本発明の飲料は、コラーゲンペプチド、ホエイたんぱく質、及び甘味料を含む。
【0025】
甘味料は、例えば高甘味度甘味料を含んでよい。当該高甘味度甘味料は、非糖質系甘味料とも呼ばれる。当該高甘味度甘味料として、例えばスクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ステビア、及びカンゾウを挙げることができる。前記飲料は、これら列挙された高甘味度甘味料のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせを含んでよい。
一実施態様において、飲料は、スクラロースを含む。特に好ましい実施態様において、飲料は、スクラロースとアセスルファムカリウムとの組み合わせを含んでよい。
高甘味度甘味料の含有割合は、所望の甘味の程度に応じて当業者により適宜設定されてよいが、飲料の質量に対して、例えば0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってよい。当該含有割合がこのような下限値以上であることで、適切な甘味が発現する。
また、高甘味度甘味料の含有割合は、飲料の質量に対して、例えば1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、0.3質量%以下、又は0.2質量%以下であってよい。当該含有割合がこのような上限値以下であることで、過度な甘味の発現を防ぐことができる。
【0026】
甘味料は、糖質系甘味料を含んでよいが、含まなくてもよい。糖質系甘味料は、炭水化物である甘味料であり、より具体的には砂糖、でん粉由来の糖甘味料、その他の糖甘味料、及び糖アルコール甘味料であり、砂糖、でん粉由来の糖甘味料、その他の糖甘味料、及び糖アルコール甘味料のうちの2以上を含む甘味料も含まれる。
砂糖は、ショ糖(スクロース)を主成分とする甘味料である。砂糖は、例えば分みつ糖(例えば上白糖、グラニュー糖、白ざら糖、及び液糖等)及び含みつ糖(例えば黒糖及び和三盆等)に分類されうる。
でん粉由来の糖甘味料は、ブドウ糖、麦芽糖、果糖、水飴、異性化糖、イソマルトオリゴ糖、及びトレハロースを包含する。
その他の糖甘味料は、例えばフラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、及びキシロオリゴ糖等の甘味料として用いられるオリゴ糖及び乳糖を包含する。
糖アルコール甘味料は、例えばソルビトール、マンニトール、及びマルチトール等、甘味料として用いられる糖アルコールを包含する。
砂糖、でん粉由来の糖甘味料、その他の糖甘味料、及び糖アルコール甘味料のうちの2以上を含む甘味料は、例えば砂糖混合果糖ぶどう糖液糖である。
【0027】
糖質系甘味料の含有割合は、所望の甘味の程度に応じて当業者により適宜設定されてよいが、前記飲料の質量に対して、例えば0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。当該含有割合がこのような下限値以上であることで、適切な甘味が発現する。
また、糖質系甘味料の含有割合は、飲料の質量に対して、例えば15質量%以下、好ましくは10質量%以下であってよく、例えば5質量%以下であってもよい。
糖質系甘味料は、高甘味度甘味料と組み合わせて用いられてもよい。すなわち、飲料は、高甘味度甘味料及び前記糖質系甘味料の両方を含んでもよい。
【0028】
(3-2)香料
本発明に従う飲料は、香料をさらに含んでよい。当該香料によって、所望の風味が飲料に付与される。当該香料は、例えば、フルーツ系香料、ナッツ系香料、嗜好飲料系香料、甘味系香料、乳製品系香料、及びバニラ系香料のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせであってよいが、これら以外の香料であってもよい。すなわち、一実施態様において、本発明の飲料は、コラーゲンペプチド、ホエイたんぱく質、及び香料を含む。
当該香料は、好ましくはフルーツ系香料である。フルーツ系香料を有する飲料、特にはフルーツ風味飲料においてコラーゲン臭は特に目立ちやすいが、本発明により、そのような飲料におけるコラーゲン臭を低減することができる。また、後述の実施例において示されるとおり、本発明による効果は種々のフルーツ系香料が用いられた場合において得られる。すなわち、一実施態様において、本発明の飲料は、コラーゲンペプチド、ホエイたんぱく質、及びフルーツ系香料を含む。
【0029】
フルーツ系香料は、例えば、柑橘類香料、仁果類香料、核果類香料、ベリー類香料、ウリ類香料、及びトロピカルフルーツ類香料のうちの1つまたは2つ以上の組み合わせを含んでよい。
柑橘系香料は、例えばオレンジ香料、レモン香料、グレープフルーツ香料、ライム香料、及びみかん香料のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせであってよい。
仁果類香料は、例えばりんご香料又はなし香料であってよい。
核果類香料は、例えばもも香料、あんず香料、又は、さくらんぼ香料であってよい。
ベリー類香料は、例えばストロベリー香料、ラズベリー香料、ブルーベリー香料、又はぶどう香料(例えばマスカット香料等)であってよい。
ウリ類香料は、例えばメロン香料又はスイカ香料であってよい。
トロピカルフルーツ類香料は、例えばバナナ香料、キウイフルーツ香料、パイナップル香料、又はマンゴー香料であってよい。
【0030】
ナッツ系香料は、アーモンド香料、マロン香料、及びヘーゼルナッツ香料であってよい。
嗜好飲料系香料は、例えばコーヒー香料(例えばカフェオレ香料等)、紅茶香料、ココア香料、チョコレート香料、茶香料(例えば抹茶香料又は緑茶香料等)であってよい。
甘味系香料は、例えばメープル香料、蜂蜜香料、又はシュガー香料であってよい。
乳製品系香料は、例えばミルク香料、バター香料、ヨーグルト香料、又はキャラメル香料であってよい。
【0031】
香料の含有割合は、飲料の質量に対して例えば0.001質量%以上であってよく、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上、0.04質量%以上、0.06質量%以上、又は0.08質量%以上であってよく、さらには0.1質量%以上であってもよい。
香料の含有割合は、飲料の質量に対して例えば2質量%以下であってよく、好ましくは1質量%以下であってよく、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下、0.4質量%以下、又は0.2質量%以下であってよい。
香料の含有割合の数値範囲は、これら上限値及び下限値のうちからそれぞれ選択された値により規定されてよく、例えば0.001質量%~2質量%、0.001質量%~1質量%、0.01質量%~0.8質量%、又は0.01質量%~0.6質量%であってよい。
【0032】
(3-3)酸味料
本発明に従う飲料は、酸味料をさらに含んでよい。当該酸味料によって、前記飲料に酸味が付与され、又は、前記飲料のpHが調整される。当該酸味料として、例えばアジピン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、及びリン酸、並びにこれらの塩を挙げることができる。
また、当該酸味料として、これらの酸又はその塩を含む、酸味付与用食品原料が用いられてもよい。例えば、前記酸味付与用食品原料として、果汁(特には柑橘系果汁)及び酢(特には果実酢)を挙げることができる。
これら酸味料のうちの1種又は2種以上の組合せが、前記飲料に含まれてよい。
いくつかの実施態様においては、前記飲料は、酸味料を含まなくてもよい。
【0033】
酸味料の含有割合は、飲料の質量に対して例えば0.1質量%以上であってよく、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
酸味料の含有割合は、飲料の質量に対して例えば5質量%以下であってよく、好ましくは4.5質量%以下であってよく、好ましくは4質量%以下であってよい。
酸味料の含有割合の数値範囲は、これら上限値及び下限値のうちからそれぞれ選択された値により規定されてよく、例えば0.1質量%~5質量%、0.5質量%~4.5質量%、1質量%~4質量%であってよい。
【0034】
(3-4)果汁
本発明に従う飲料は、果汁をさらに含んでもよい。果汁により、果汁由来の風味が前記飲料に与えられる。果汁は、例えば、柑橘類果汁、仁果類果汁、核果類果汁、ベリー類果汁、ウリ類果汁、及びトロピカルフルーツ類果汁のうちの1つまたは2つ以上の組み合わせを含んでよい。
いくつかの実施態様においては、前記飲料は、果汁を含まなくてもよい。
【0035】
柑橘系果汁は、例えばオレンジ果汁、レモン果汁、グレープフルーツ果汁、ライム果汁、及びみかん果汁のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせであってよい。
仁果類果汁は、例えばりんご果汁又はなし果汁であってよい。
核果類果汁、例えばもも果汁、あんず果汁、又は、さくらんぼ果汁であってよい。
ベリー類果汁は、例えばストロベリー果汁、ラズベリー果汁、ブルーベリー果汁、又はぶどう果汁(例えばマスカット果汁等)であってよい。
ウリ類果汁は、例えばメロン果汁又はスイカ果汁であってよい。
トロピカルフルーツ類果汁は、例えばバナナ果汁、キウイフルーツ果汁、パイナップル果汁、又はマンゴー果汁であってよい。
【0036】
果汁の含有割合は、飲料の質量に対して、例えば0.1質量%以上であってよく、好ましくは1質量%以上であってよい。
果汁の含有割合は、飲料の質量に対して例えば10質量%以下であってよく、特には5質量%以下であってよい。
酸味料の含有割合の数値範囲は、これら上限値及び下限値のうちからそれぞれ選択された値により規定されてよく、例えば0.1質量%~10質量%、又は1質量%~5質量%であってよい。
【0037】
(3-5)着色料
本発明に従う飲料は、さらに着色料を含んでよい。前記着色料は、例えば前記飲料が有する風味に対応した色を前記飲料に与えるように、当業者に適宜選択されてよい。例えば、前記香料が、フルーツ風味を飲料に与える場合、前記着色料は、当該フルーツの外観を表す色を飲料に与えるように当業者により適宜選択されてよい。
例えば、当該飲料がベリー類の風味を有するものである場合は、当該飲料は赤みがかっていてよい。また、本発明の飲料は、透明であってよく、又は、透明でなくてもよい。すなわち、当該飲料は、濁っていてもよい。
いくつかの実施態様においては、前記飲料は、着色料を含まなくてもよい。
【0038】
(3-6)水
前記飲料は、さらに水を含み、特には水溶液として構成される。すなわち、前記飲料は、前記コラーゲンペプチド及び前記ホエイたんぱく質並びに水を含む。
前記飲料中の水の含有割合は、前記飲料の質量に対して、例えば75質量%以上、77質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、又は87質量%以上であってよい。
前記飲料の水の含有割合は、前記飲料の質量に対して、例えば99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、96質量%以下、又は95質量%以下であってよい。
【0039】
(4)飲料の物性
前記のように、本発明の飲料は、前記コラーゲンペプチド及び前記ホエイたんぱく質が水に溶解した水溶液として構成されてよい。また、本発明の飲料において、前記コラーゲンペプチド及び前記ホエイたんぱく質は、前記飲料中において、それらの全てが溶解していてよいが、それらの一部が溶解していなくてもよい。
【0040】
本発明の飲料の20℃における粘度は、例えば100mPa・s以下、好ましくは50mPa・s以下であり、特には20mPa・s以下であってよい。
【0041】
本発明の飲料の20℃におけるpHは、例えば5.0以下であり、特には4.5以下であり、より特には4.0以下であり、さらには3.5以下であってもよい。
前記pHは、例えば1.5以上であってよく、特には2.0以上であってもよい。
【0042】
本発明の飲料の20℃における比重は、例えば1.0~1.2、特には1.01~1.1であってよい。
【0043】
本発明の飲料の固形分含有割合は、例えば15%以下であり、特には14%以下、より特には12%以下であってよい。
前記固形分含有割合は、例えば5%以上、特には6%以上、より特に7%以上であってよい。
【0044】
一実施態様において、本発明の飲料は、乳飲料又は乳酸菌飲料であってもよい。これらの飲料は、例えば乳固形分が3.0%以上であってよい。
他の実施態様において、本発明の飲料は、例えば清涼飲料水であってよく、例えばフルーツの風味を有する清涼飲料水であってよい。当該清涼飲料水は、乳製品類(乳飲料、乳酸菌飲料、乳、及び乳製品)でなく且つアルコール飲料でない飲料であってよい。前記清涼飲料水は、乳固形分が3.0%未満の飲料であってよい。また、前記清涼飲料水は、アルコール分が1%未満である飲料であってよい。
さらに他の実施態様において、本発明の飲料は、果汁入り飲料であってもよい。当該果汁入り飲料は、果汁の含有割合が10質量%以上である飲料を意味する。当該果汁入り飲料は、特には乳飲料、乳酸菌飲料、又はアルコール飲料でない飲料である。
【0045】
(5)製造方法
本発明の飲料は、当該飲料に含まれる成分を水(成分が添加される水を溶解水ともいう)に添加して混合することを含む製造方法によって製造することができる。当該製造方法は、より具体的には、ホエイたんぱく質原料(前記のWPC、WPI、又はホエイパウダー等)及びコラーゲンペプチド原料が溶解された溶解液を調製する溶解液調製工程を含む。当該溶解液調製工程において、前記ホエイたんぱく質原料及び前記コラーゲンたんぱく質原料が水に添加及び混合されて前記溶解液が得られる。
前記溶解液が得られる前に、前記ホエイたんぱく質原料は予め水に溶解されていてもよく、すなわちホエイたんぱく質水溶液が、前記溶解液調製のために用いられてもよい。また、前記溶解液が得られる前に、前記コラーゲンペプチド原料は予め水に溶解されていてもよく、すなわちコラーゲンペプチド水溶液が、前記溶解液調製のために用いられてもよい。
前記ホエイたんぱく質水溶液及び前記コラーゲンペプチド水溶液が混合されて、前記溶解液が調製されてもよい。
【0046】
前記溶解液には、例えば甘味料、香料、酸味料、及び着色料等他の成分が添加及び混合されてよい。これらの他の成分のうちいずれが用いられるかは、所望される飲料の風味及び/又は外観に応じて当業者により適宜設計されてよい。これらの他の成分が添加及び混合されるタイミングは、当業者により適宜選択されてよい。
【0047】
前記溶解液調製工程は、当該溶解液が前記(1)~(4)で説明した飲料の組成及び/又は物性を有するように実行されてよい。その説明が、当該溶解液調製工程についても当てはまる。各成分の添加順序や添加方法及び混合方法は、当業者が適宜選択することができる。
【0048】
一実施態様において、前記溶解液調製工程において、前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比(ホエイたんぱく質の含有質量/コラーゲンペプチドの含有質量)が、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上、さらにより好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上、さらには0.2以上であり、さらには0.25以上であり、さらには0.30以上であり、さらには0.35以上であり、さらには0.40以上であり、さらには0.45以上となるように、前記溶解液は調製される。
また、前記比が例えば3.0以下、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.9以下、さらには0.7以下、さらには0.55以下となるように前記溶解液は調製されてよい。
前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比は、これら上限値及び下限値のうちからそれぞれ選択された値により規定されてよく、例えば0.001~3.0、好ましくは0.01~2.0であり、より好ましくは0.05~1.0であり、さらにより好ましくは0.1~0.9であり、特に好ましくは0.2~0.7であり、さらには0.2~0.55であってよい。
このような比を有する溶解液を調製することによって、当該溶解液から得られる飲料におけるコラーゲン臭を低減することができる。これらの含有割合及び比については、前記(1)~(2)で説明したとおりであり、その説明が本製造方法についても当てはまる。
【0049】
前記溶解液における前記他の成分(甘味料、香料、酸味料、果汁、着色料)の含有割合は、前記(3)で述べた、これら他の成分の含有割合に関して説明したとおりであってよい。
【0050】
前記溶解液調製工程において、製造されるべき飲料中の各成分の含有割合よりも高い含有割合を有する溶解液が調製されてもよい。この場合において、当該溶解液の調製後に、当該溶解液に水が添加及び混合されて、各成分の含有割合が前記飲料における値へと調整されてもよい。本発明において、このようにメスアップされて、飲料における各成分の含有割合へと調整されてもよい。
【0051】
前記製造方法は、前記溶解液を殺菌する殺菌工程をさらに含んでよい。当該殺菌工程は、例えばレトルト式殺菌、間接加熱殺菌(プレート式、チューブラー式、又はかきとり式)、直接加熱殺菌(スチームインジェクション式又はスチームインフュージョン式)等、当技術で既知のいずれかの手法により行われてよい。殺菌処理において採用される温度及び処理時間は、殺菌手法に応じて当業者により適宜選択されてよい。
【0052】
前記製造方法は、前記溶解液を均質化する均質化工程をさらに含んでよいが、含まなくてもよい。当該均質化工程は、均質機を用いて実行されてよい。当該均質機は、当技術分野において既知の装置であってよい。当該均質化処理におけるトータル圧力は、例えば10MPa~30MPaであってよく、好ましくは15MPa~25MPaであってよい。当該均質化処理における2段目圧力は例えば1MPa~10MPa、好ましくは2MPa~8MPaであってよい。
【0053】
前記均質化工程が実行された後に前記殺菌工程が実行されよく、又は、前記殺菌工程の後に前記均質化工程が実行されてもよい。
【0054】
前記製造方法は、前記殺菌工程の後に(前記殺菌工程に加えて均質化工程が行われる場合はこれらの工程が行われた後に)、前記溶解液を冷却する冷却工程をさらに含んでよい。当該冷却は、当該溶解液の殺菌された状態が維持されるように実行される。当該冷却工程は、当技術分野で既知の手法により適宜実行されてよく、公知の冷却装置が利用されてよい。
【0055】
前記製造方法は、前記冷却工程後に、前記溶解液を容器に充填する充填工程をさらに含んでよい。前記充填工程は、前記殺菌工程を実行した後に実行されてよく、又は、前記殺菌工程の前に実行されてもよい。前記充填工程を前記殺菌工程の後に行う場合、前記充填工程は、無菌的に行われてよい。前記容器は、例えば紙パック、プラスチックバッグ、プラスチックボトル、プラスチックカップ、アルミパウチ、金属缶、又はガラス容器であってよい。当該充填工程によって容器に充填された状態の前記溶解液が、本発明の飲料としてユーザに提供されてよい。すなわち、本発明の飲料は、容器に充填された状態で販売されてよい。
【0056】
前記充填工程において、1つの容器当たり、例えば50ml~2000ml、特には50ml~1000ml、より特には80ml~600ml、さらにより特には100ml~500mlの本発明の飲料が充填されてよい。
【0057】
以上のとおり、本発明は、コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料の製造方法も提供する。当該製造方法は、前記溶解液調製工程を含んでよい。一実施態様において、当該溶解液調製工程は、例えば、前記飲料中の前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比が0.001以上となるように、前記ホエイたんぱく質及び前記コラーゲンペプチドを含む溶解液を調製する工程であってよい。当該溶解液が、適宜殺菌工程に付された後に、飲料としてユーザに提供されてよい。
【0058】
(6)使用方法
本発明の飲料は、様々な場面で飲用されてよい。当該飲料は、例えば食事の前、間、又は後に飲用されてもよい。また、当該飲料は、例えば起床後又は就寝前に飲用されてもよい。また、当該飲料は、例えばトレーニング、スポーツ、又は入浴等の前、間、又は後に飲用されてよい。
また、本発明の飲料は、健康の維持又は増進のために飲用されてよい。また、本発明は、美容のために飲用されてもよい。また、本発明の飲料は、たんぱく質を補給するために飲用されてもよい。本発明の飲料は、水分補給のために飲用されてもよい。
【0059】
(7)風味改善方法
本発明は、コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料の風味改善方法も提供する。
前記方法は、前記飲料中の前記コラーゲンペプチドの含有質量に対する前記ホエイたんぱく質の含有質量の比が0.001以上となるように、前記ホエイたんぱく質及び前記コラーゲンペプチドを含む溶解液を調製する溶解液調製工程を含んでよい。このように溶解液調製工程を実行することによって、当該溶解液は飲料として用いられた場合における風味が改善されており、特にはコラーゲンペプチドによるコラーゲン臭が低減される。
当該溶解液調製工程は、前記(5)において本発明の製造方法に関して説明したとおりに実行されてよく、その説明が本発明の風味改善方法についても当てはまる。
【0060】
(8)組成の例
本発明の飲料は、例えば以下のとおりの栄養組成を有してよい。
前記飲料の100ml当たりの熱量は、例えば50kcal以下であり、好ましくは45kcal以下、より好ましくは40kcal以下であってよい。前記飲料の100ml当たりの熱量は、例えば5kcal以上、特には10kcal以上であってよい。
前記飲料の100ml当たりのたんぱく質含有量は、例えば3g以上、好ましくは4g以上、又は5g以上であってよい。前記飲料の100ml当たりのたんぱく質含有量は、例えば15g以下、特には12g以下、より特には10g以下であってよい。
前記飲料の100ml当たりの脂質含有量は、例えば2g以下、特には1g以下、より特には0.5g以下であってもよい。
前記飲料の100ml当たりの炭水化物含有量は、例えば6g以下、好ましくは5g以下、4g以下、又は3g以下であってよい。前記飲料の100ml当たりの糖質含有量は、例えば0.1g以上、特には0.2g以上、より特には0.3g以上であってよい。
前記飲料の100ml当たりの食塩相当量は、例えば0.3g以下、好ましくは0.2g以下、0.1g以下、又は0.08g以下であってよい。前記飲料の100ml当たりの食塩相当量は、例えば0.001g以上、特には0.01g以上、より特には0.02g以上であってよい。
【0061】
(9)実施例
【0062】
<試験例1>
1.目的
試験例1は、コラーゲンペプチドを含む飲料にホエイたんぱく質を加えた場合におけるコラーゲンペプチドに由来する臭気(コラーゲン臭ともいう)の低減を検証するために行われた。また、試験例1は、当該飲料におけるコラーゲンペプチドの含有質量に対するホエイたんぱく質の含有質量の比とコラーゲンペプチドに由来する臭気との関係を検討するためにも行われた。
【0063】
2.試料の調製
(1)試料1~7の調製
以下の表1に示される配合となるよう、試料1~7を調製した。具体的には、ホエイたんぱく質原料(MILEI(登録商標) 80、MILEI社、たんぱく質含有量77.7質量%)を水に溶解して得られた溶液、及び、コラーゲンペプチド(ニッピペプタイドPRA-P、株式会社ニッピ、コラーゲンペプチド含有量94.9質量%)を水に溶解し得られた溶液をミキサーを用いて混合し、当該混合により得られた混合物に、さらに酸味料(燐酸)及び高甘味度甘味量(サンスイートSA-5050、スクラロース及びアセスルファムカリウムを含む、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)をミキサーを用いて混合及び溶解して溶解液を得た。当該溶解液に対して85℃で10分間加熱殺菌を行った後に10℃以下に冷却して試料1~7を得た。同表に示されるように、試料1~7は、ホエイたんぱく質の含有量が互いに異なること以外は同じである。
【0064】
【0065】
(2)官能評価の基準試料の調製
コラーゲン臭の官能評価のための基準試料A~Fを調製した。これら基準試料の組成は以下の表2に示されるとおりであった。同表に示されるとおり、基準試料A~Fはコラーゲンペプチドの含有量が異なること以外は同じ組成を有する試料群である。これら試料は、前記の試料1~7と同様に調製された。すなわち、コラーゲンペプチドを水に溶解した溶液を用意し、当該溶液へ、さらに酸味料及び高甘味度甘味料をミキサーにて添加及び混合して溶解液を調製し、その後、当該溶解液を85℃で10分間加熱殺菌を行った後に10℃以下に冷却して得られた。
【0066】
【0067】
3.官能評価試験
飲料の評価に関してよく訓練されたパネル12名により、試料1~7の官能評価試験を行った。当該官能評価試験のために、前記基準試料A~Fが用いられた。試料1~7及び基準試料A~Fはいずれも、10℃以下に冷蔵保存された状態で官能評価試験に用いられた。
基準試料A~Fは、前記表2に示されるとおり、それぞれ1~6の評価点が予め割り当てられている。
各パネルは、基準試料A~Fを事前に飲み、各基準試料のコラーゲンペプチドに由来する臭気を評価基準として把握した。
次に、各パネルは、試料1~7をそれぞれ飲み、各試料を飲んだ際に感じられるコラーゲンペプチドに由来する臭気が基準試料A~Fのいずれと同等であるかを評価し、各試料へ、同等であると判断された基準試料に割り当てられている評価点を付与した。
【0068】
4.結果
前記官能評価試験の結果が下の表3に示されている。
【0069】
【0070】
同表に示される結果より、ホエイたんぱく質を含有しない試料1の評価点と比べて、ホエイたんぱく質を含有する試料2~7はいずれも、コラーゲン臭がより弱いと感じられている傾向があることが分かる。
また、ホエイたんぱく質の含有割合が最も低い試料2でさえ、コラーゲン臭が低減されていると評価された。
さらに、ホエイたんぱく質の含有割合がより高くなるにつれて、コラーゲン臭がより大きく低減されていることが分かり、例えば試料3では平均点が3以下となっている。さらに、試料4~7に関しては平均点が2以下である。
【0071】
これらの結果より、ホエイたんぱく質をコラーゲンペプチド含有飲料に含めることによって、コラーゲンペプチドに由来する臭気(コラーゲン臭)を低減することができることが分かる。
【0072】
さらに、試料1と試料2の対比より、(ホエイたんぱく質含有質量/コラーゲンペプチド含有質量)の比が、例えば0.001以上、特には0.01以上、より特には0.10以上であることによって、コラーゲン臭を低減できることが分かる。
さらに、試料2と試料3との対比より、(ホエイたんぱく質含有質量/コラーゲンペプチド含有質量)の比が、例えば0.20以上、特には0.25以上、より特には0.30以上であることによって、コラーゲン臭をさらに低減できることが分かる。
さらに、試料3と試料4~7との対比より、(ホエイたんぱく質含有質量/コラーゲンペプチド含有質量)の比が、例えば0.35以上、特には0.40以上、特には0.45以上であることによって、コラーゲン臭をさらに低減できることが分かる。
このように、前記比を調節することによって(特には前記比の値を高くすることによって)、より大きくコラーゲン臭低減効果を発揮できることも分かる。
【0073】
また、試料1~7のコラーゲンペプチド含有量は約6質量%と高い。このようにコラーゲンペプチド含有量が高い場合は、コラーゲン臭は特に顕著に感じられる。このようにコラーゲンペプチド含有量が高くさらに甘味料を含む飲料に関しては、コラーゲン臭は目立ちやすく、甘い飲料においてコラーゲン臭を低減することは特に重要である。また、嗜好性飲料として気軽にたんぱく質補給のために摂取することができるため非常に有用である。
前記表3に示されるように、本発明よって、このようにコラーゲンペプチド含有割合が高く且つ甘味料を含む場合においても、コラーゲン臭低減効果が発揮されることが分かる。
【0074】
また、試料5~7については、ホエイたんぱく質に由来する乳の臭いが感じられたが、試料2~4においては、その臭いは低減され又は感じられなかった。そのため、ホエイたんぱく質含有割合を低くすることによって、例えば3.5質量%以下、3.2質量%以下、又は3.0質量%以下とすることによって、乳の臭いを低減することができる。
さらに、試料6及び7と比べて、試料2~5では、ざらつきが低減され、飲料の粘度も低減され、さらに、飲用時の重たさも低減された。そのため、ホエイたんぱく質含有割合を低くすることによって、例えば4.5質量%以下、4.0質量%以下、又は3.5質量%以下、3.2質量%以下、又は3.0質量%以下とすることによって、飲料の飲用感を向上させることができると考えられる。
【0075】
<試験例2>
1.目的
試験例2は、コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料において、原料のホエイたんぱく質の種類と、コラーゲンペプチドに由来する臭気との関係を検討するために行った。
【0076】
2.試料の調製
試験例1と同様の手順にて、以下の表4に示す配合の試料8~10を調製した。試料8は試験例1の試料4と同じである。WPI895は、ホエイたんぱく質分離物(WPI、Fonterra社、たんぱく質含有量94.9質量%)である。なお、ホエイたんぱく質濃縮物(WPC、MILEI社、たんぱく質含有量77.7質量%)、ホエイたんぱく質分離物(WPI)、及びホエイパウダー(森永乳業、たんぱく質含有量12.5質量%)の含有割合が異なるが、これはこれらの原料に含まれるホエイたんぱく質の割合を考慮し、試料8~10の間で、含まれるホエイたんぱく質の量を同じとするためにこれらの含有割合が調整された。
【0077】
【0078】
3.官能評価試験
試験例1と同様の手順にて官能評価試験を実施した。
【0079】
4.結果
試験例2の官能評価試験の結果を以下の表5に示す。
【0080】
【0081】
同表に示されるように、ホエイたんぱく質の原料種類に関わらず、コラーゲンペプチドに由来する臭気が低減されることが明らかとなった。
【0082】
<製造例1>
コラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含むマスカット風味飲料を製造した。当該飲料の組成は以下の表6に示されている。具体的には、溶解水にMILEI80、及びニッピペプタイドPRA-Pを順次添加し、よく溶解した。次いでサンスイートSA-5050、85%燐酸、マスカット香料を添加し、ミキサーを用いて混合した。その後、85℃で10分間加熱殺菌を行った後に10℃以下に冷却した。
MILEI80を添加しないこと以外は同様の手順を行い、コラーゲンペプチドを含むがホエイたんぱく質を含まない飲料を製造した。当該飲料の組成も以下の表6に示されている。
製造された2種類の飲料を試飲したところ、ホエイたんぱく質を含む飲料は、ホエイたんぱく質を含まない飲料と比較して、コラーゲンペプチドに由来する臭気が低減されていた。
【0083】
【0084】
<製造例2>
ミックスベリー風味のコラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料を製造した。配合を前記表6に示す。具体的には、溶解水にMILEI80、及びニッピペプタイドPRA-Pを順次添加し、よく溶解した。次いでサンスイートSA-5050、85%燐酸、ミックスベリー香料を添加し、ミキサーを用いて混合した。その後、85℃で10分間加熱殺菌を行った後に10℃以下に冷却した。
MILEI80を添加しないこと以外は同様の手順を行い、コラーゲンペプチドを含むがホエイたんぱく質を含まない飲料を製造した。当該飲料の組成も前記の表6に示されている。
2種類の飲料を試飲したところ、ホエイたんぱく質を含む飲料は、ホエイたんぱく質を含まない飲料と比較して、コラーゲンペプチドに由来する臭気が低減されていた。
【0085】
<製造例3>
オレンジ風味のコラーゲンペプチドとホエイたんぱく質とを含む飲料を製造した。配合を前記表6に示す。具体的には、溶解水にMILEI80、及びニッピペプタイドPRA-Pを順次添加し、よく溶解した。次いでサンスイートSA-5050、85%燐酸、オレンジ香料を添加し、ミキサーを用いて混合した。その後、85℃で10分間加熱殺菌を行った後に10℃以下に冷却した。
MILEI80を添加しないこと以外は同様の手順を行い、コラーゲンペプチドを含むがホエイたんぱく質を含まない飲料を製造した。当該飲料の組成も前記の表6に示されている。
2種類の飲料を試飲したところ、ホエイたんぱく質を含む飲料は、ホエイたんぱく質を含まない飲料と比較して、コラーゲンペプチドに由来する臭気が低減されていた。
【0086】
以上製造例1~3に示される結果より、ホエイたんぱく質によるコラーゲンペプチド由来臭の低減効果は、種々の風味を有する飲料において発揮されることが分かる。また、本発明の効果は、例えばフルーツ風味を有する飲料において発揮されることが分かる。