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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142818
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/02 20060101AFI20241003BHJP
   A47L 9/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A47L9/02 B
A47L9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055159
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】猿田 拓未
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大介
【テーマコード(参考)】
3B061
【Fターム(参考)】
3B061AA06
3B061AA35
3B061AD05
3B061AD12
(57)【要約】
【課題】吸引体に回転車輪が備えられた電機掃除機において、回転車輪や車輪軸に塵埃が絡みつきメンテナンスする必要があった。
【解決手段】本開示の電機掃除機は、一端が車輪収納室の壁面に固定され他端となる先端部が車輪収納室内に突出した車輪軸と、車輪軸に回転可能に支持された回転車輪と、先端部側に配置され回転車輪が先端部から抜け外れることを規制する規制部と、を備えることにより、回転車輪だけを取り外して車輪軸に絡んだ毛髪や糸くず等を除去することができるので、メンテナンスを容易にすることができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を内蔵する本体と、前記電動送風機が生成する負圧により被清掃面の塵埃を吸引する吸引体と、を備える電気掃除機であって、
前記吸引体は、
前記被清掃面側に開口した車輪収納室を形成し、
前記車輪収納室に、
円筒状の軸体であり、一端が前記車輪収納室の壁面に固定され他端となる先端部が前記車輪収納室内に突出した車輪軸と、
軸穴に挿通された前記車輪軸によって回転可能に支持され、前記被清掃面と前記吸引体の底面の距離を確保する回転車輪と、
前記先端部側に突出する突起部を有し、前記突起部が前記先端部側に設けられることにより前記回転車輪が前記先端部から抜け外れることを規制する規制部と、を備える、
電気掃除機。
【請求項2】
前記規制部は、
前記突起部を前記車輪軸の前記先端部から離れる方向へ力をかけることにより移動可能に構成し、前記突起部が前記車輪軸から離れることにより前記回転車輪を前記車輪軸から取り外すことが可能となる
請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記規制部は、
前記突起部と、前記突起部に収納されたばね等の伸縮部と、を備え、
前記伸縮部は、
前記突起部を前記先端部側に押し出すよう取り付けられている
請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記規制部は、
前記突起部へ前記車輪軸の軸方向とは異なる方向に力をかけることで移動して前記回転車輪の取り外しが可能となる
請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記規制部は、
前記突起部が前記車輪軸の直径および前記回転車輪の軸穴より大きい構造である
請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記車輪収納室は、
その上方および後方が開口している
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、電気掃除機に関するものであり、特に吸引体の走行部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機に接続されて使用される床用吸込具には、被掃除面上を移動性よく移動させるために走行用車輪が配設されている。
例えば、特許文献1に記載された床用吸込具には、下ケースに車輪収納部を形成し、車輪収納部の両側壁に開口を形成するとともに、車輪収納部に隣接して凹部を形成し、一方の凹部の側壁と他方の開口端との寸法を車輪の軸寸法よりも大きく形成するとともに、両開口端間の寸法を車輪の軸寸法よりも小さく形成し、車輪の軸を開口に配設した状態で凹部に配設されて車輪の軸を他方の凹部側へ押圧するストッパー部材を設けることにより、後車輪を容易に吸込具本体に取り付けることができる床用吸込具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-276391
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の床用吸込具は、車輪を取り外すための工程が多く、メンテナンス性が高くないという問題があった。
本開示は、上記問題を解決するためになされたものであり、床用吸込具から車輪を容易に取り外すことができる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る電気掃除機は、電動送風機を内蔵する本体と、前記電動送風機が生成する負圧により被清掃面の塵埃を吸引する吸引体と、を備える電気掃除機であって、前記吸引体は、前記被清掃面側に開口した車輪収納室を形成し、前記車輪収納室に、円筒状の軸体であり、一端が前記車輪収納室の壁面に固定され他端となる先端部が前記車輪収納室内に突出した車輪軸と、前記先端部から挿通されて前記車輪軸に回転可能に支持され、前記被清掃面と前記吸引体の底面の距離を確保する回転車輪と、前記先端部側に突出する突起部により構成され、前記突起部が前記先端部側に設けられることにより前記回転車輪が前記先端部から抜け外れることを規制する規制部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、規制部を移動させるだけで吸引体に設けられた回転車輪を取り外すことができるので、回転車輪や車輪軸に巻き付いた毛髪や糸を容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態における電気掃除機を示す斜視図である。
図2】実施の形態1における吸引体の斜視図である。
図3】実施の形態1における吸引体の側面図である。
図4】実施の形態1における吸引体の背面図である。
図5】実施の形態1における回転清掃体の斜視図である。
図6】実施の形態1における規制部の詳細図である。
図7】実施の形態1における規制部の断面図である。
図8】実施の形態1における規制部の断面図である。
図9】実施の形態1における規制部の変形例である。
図10】実施の形態1における規制部の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示を実施するための形態について図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化又は省略化される。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態における電気掃除機1を示す斜視図である。
【0010】
電気掃除機1は、ホース2、ハンドル部3、掃除機本体4、延長管5、吸引体6で構成する。なお、電気掃除機1は、各構造内に風洞を有しており、被清掃面上に置かれる吸引体6から、延長管5、ハンドル部3、ホース2、掃除機本体4の順に内部の風洞で通風可能な構造となっている。
【0011】
掃除機本体4は、負圧を生成する電気送風機、当該電動送風機を制御する制御回路、電気送風機の負圧で吸引した含塵空気から塵埃と空気を分離して塵埃を捕集する集塵フィルタなどを内蔵する。
【0012】
ホース2は、一端が掃除機本体4に接続し、他端側は延長管5との接続が可能な構造を有する。ホース2は、当該構造により、吸引体6から延長管5、ホース2、集塵フィルタ、電気送風機の順に、通風可能な状態にする。また、ホース2は、通風可能なホース体とは別に、使用者が把持するハンドル部3を備える。ハンドル部3には、電動送風機のON、OFFや吸引体6に配置される回転清掃体9を回転駆動するブラシモータのON、OFFを操作する手元操作部10を備えている。
【0013】
図2は、実施の形態1における吸引体6の斜視図である。図3は、実施の形態1における吸引体6の側面図である。図4は、実施の形態1における吸引体6の背面図である。なお、図4は、後ろから見て右側半分の吸引体6を示したものであり、左側にも右側と同様の構造を有しているものとして説明する。
吸引体6は、床用吸込具であり、被清掃面側に開口された吸引口7が形成され、延長管5と接続可能な角度変更ができる継手部8を備えている。吸引体6は、その内部に風洞を有しており、風洞によって吸引口7と継手部8の先にある延長管5と通風可能な構造を有する。
【0014】
また、吸引体6は、当該風洞内に回動可能な回転清掃体9を備える。図5は、実施の形態1における回転清掃体9の斜視図である。
回転清掃体9は、周部に複数の螺旋状の溝が形成された軸部11を備え、その溝に清掃部12が埋め込まれている。回転清掃体9は、清掃部12の一部が吸引口7から被清掃面側に突出する位置に設けている。吸引体6は、回転清掃体9を駆動するモータを備え、ベルトなどを介してモータの動力を回転清掃体9に伝達させ、所定の方向に回転させる。
【0015】
回転清掃体9は、回転によって清掃部12を被清掃面上に接触させながら移動させ、被清掃面の塵埃を掻き上げる。掻き上げられた被清掃面の塵埃は、電気送風機によって発生した気流により吸引口7に吸い込まれ、継手部8、延長管5、ホース2を介して集塵フィルタによって保塵される。上記のような回転清掃体9が回転することで、少ない力でかつ短時間で被清掃面から塵埃を除去可能となり、掃除作業が容易となる。
【0016】
吸引体6について、さらに詳細に説明する。
吸引体6は、上ケース13と下ケース14で外郭を構成し、後方で且つ継手部8の両側に車輪収納室15を形成している。
車輪収納室15は、少なくとも吸引体6の底面側が開口する部屋状の構造であり、その内部に後述する回転車輪17と車輪軸18と規制部23とを備えている。また、車輪収納室15は、上方と後方も開口した構造であり、利用者が掃除中に目視で車輪収納室15内に設けられた回転車輪17が存在することを確認できる構造となっている。
【0017】
回転車輪17は、被清掃面を傷つけにくい素材によって車輪状に形成したものである。回転車輪17は、円筒中心に形成された軸穴に挿入された車輪軸18によって回転可能に支持され、吸引体6の底面よりも車輪の一部が突出する位置に設けられる。回転車輪17は、掃除動作時に回転車輪17が回転することで吸引体6の前後方向への移動を容易にし、吸引体6の操作性向上と擦れによる被清掃面への傷防止の効果を得る。
【0018】
車輪軸18は、その一端側が車輪収納室15の側壁に固定され、他端側から回転車輪17を挿通可能な構成となっている。車輪軸18は、車輪収納室15に固定されている側を固定部19、他端側で開放している軸の先端を先端部20と称する。つまり、車輪軸18は、回転車輪17の軸穴に対して先端部20側から挿入して回転車輪17を回転可能に支持する軸である。
【0019】
ここで、吸引体6は、電動送風機が生成する負圧の影響により被清掃面側に引き付けられる力が発生するが、回転車輪17があることによって被清掃面側と一定の隙間を形成することができるとともに、回転車輪17が回転することによって前後への移動を容易にすることができる。一方、回転車輪17は、上記のように、被清掃面に押し付けられる状態で回転するので、被清掃面上にある毛髪や糸くずを拾い上げてしまうことがある。そして、拾い上げてしまった毛髪や糸くずは、回転車輪17や車輪軸18に絡まってしまうことがある。
【0020】
規制部23は、車輪軸18の先端部20の近くまで突出する突起部22を有するものである。突起部22は、通常状態では車輪軸18の先端部20の近くに位置するが、利用者が力をかけることで車輪軸18との間に隙間ができる位置まで移動する構造となっている。規制部23は、このように構成することにより、掃除中に車輪軸18の先端部20から回転車輪17が抜けるのを規制するものである。
つまり、規制部23は、通常状態では回転車輪17が車輪軸18の先端部20から抜け出るのを規制する位置に配置され、利用者が力を付加することにより先端部20との間に隙間を形成して回転車輪17を車輪軸18から取り外せるようにするものである。
【0021】
図6は、実施の形態1における、規制部23の詳細図である。図7図8は、実施の形態1における、規制部23の断面図である。
【0022】
規制部23は、ばね等の伸縮部材で形成された伸縮部21と突起部22で構成する。
伸縮部21は、突起部22内に内蔵されるばね等の伸縮部材で形成されたものであり、突起部22を車輪軸18の先端部20側に押し出すよう付加するものである。
突起部22は、内部に空洞を有する一方が塞がった円筒形状であり、内部の空洞に伸縮部21を収納する。また、突起部22は、車輪軸18が固定されている車輪収納室15壁面以外から車輪軸18の先端部20に向けて突起部22が突出するように設置している。突起部22は、車輪軸18の軸径および回転車輪17の軸穴よりも大きい円筒形状となっている。
このように、規制部23は、通常状態では、図7に示すように、伸縮部21のばね力によって突起部22が車輪軸18に向かって押し出され、先端部20に近接する位置で保持される。したがって、回転車輪17は、規制部23によって、車輪軸18の先端部20から抜け出る方向への移動が規制される。規制部23は、このような構成を備えることにより、回転車輪17を掃除作業中に意図せず車輪軸18から脱落することを防止する。
【0023】
また、規制部23は、伸縮部21を圧縮する方向に力をかけると、突起部22が車輪軸18から離れる方向に移動し、車輪軸18の先端部20と突起部22との間に回転車輪17の厚み以上の隙間ができる構造となっている。
このような構成を備えることにより、利用者は、このように突起部22を押しこむだけで回転車輪17移動規制を解除して車輪軸18から取り外すことができる。つまり、利用者は、車輪軸18やその他部品などを取り外すことなく回転車輪17を取り外すことができる。
【0024】
このように、吸引体6は、走行部の構造を上記の構成にすることにより、吸引体6から回転車輪17だけを取り外すことができるので、回転車輪17や車輪軸18に絡まった毛髪や糸くずを除去する際に回転車輪17以外の部品を取り外すことが無いのでメンテナンス作業が容易になる。これにより、利用者は、容易に回転車輪17や車輪軸18に絡まった毛髪や糸くずを除去する作業を行うことができる。
【0025】
また、規制部23は、上記の構造に限ったものではなく、回転車輪17が回転軸18から抜け出るのを抑制し、且つ回転車輪17以外の部品を取り外すことなく回転車輪17を取り外すことができる構造であればよい。
例えば、図9図10は、規制部23の変形例を示した図である。
【0026】
図9は、規制部23の突起部22を、突出させる方向を変えた変形例である。具体的には、突起部22は、車輪軸18の先端部20に対向する車輪収納室15の壁面ではなく、側方の車輪収納室15の壁面、つまり吸引体6の後方に向けて突出させた変形例である。なお、図9は、吸引体6を上方から見た図であり、後ろから見て右側半分の車輪収納室15周囲を拡大した図である。また、記載されていない左側は、右側と同様の構造を有している。
このように、規制部23は、突起部22の突出方向を車輪軸18とは異なる方向から突出させる構造にすることで、利用者が突起部22を押し込みやすくなることで、メンテナンス作業を更に容易にすることができる。また、規制部23を当該構造にすることにより、先端部20に対向する車輪収納室15の壁面を無くすことができるので、更に規制部23の突起部22を押し込みやすい構造にすることができる。
【0027】
図10は、伸縮部21に代わりに突起部22を回転可能に支持する支持部24を備えた変形例である。なお、図10は、吸引体6を後方から見た図であり、後ろから見て右側半分の車輪収納室15周囲を拡大した図である。また、記載されていない左側は、右側と同様の構造を有している。
この変形例において、突起部22は、吸引体6の底面側に向けて力をかけられると、支持部23を回転中心として下方向に回動する。この時、突起部22は、先端部20との間に回転車輪17の幅よりも広い隙間ができる位置まで移動可能な構造となっている。このように、規制部23は、突起部22を移動させる際に押し込む方向を車輪軸18の軸方向とは異なる方向にすることで、利用者が突起部22を押し込みやすくなり、メンテナンス作業を更に容易にすることができる。
【0028】
このように、実施の形態1の電気掃除機1は、車輪軸18を取り外すことなく回転車輪17を取り外し可能な規制部23を備えることで、車輪軸18に絡んだ毛髪や糸くずを除去するメンテナンス作業を容易に実施することができる。また、回転車輪17を取り付ける場合も、回転車輪17以外に取り外す部品が無いことから、取り付け作業を容易に実施することができる。
【0029】
なお、本実施の形態における電気掃除機1は、被清掃面上を走行する吸引体6と負圧を生成する掃除機本体4をホース2と延長管5で接続したキャニスター型掃除機であるが、吸引体6を使って被清掃面上を走行させる掃除機であれば上記の効果を奏することができる。例えば、本開示の構造を有する吸引体6を、アップライト型、スティック型、ハンディ型の掃除機に用いてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 電気掃除機、
2 ホース、
3 ハンドル部、
4 掃除機本体、
5 延長管、
6 吸引体、
7 吸引口、
8 継手部、
9 回転清掃体、
10 手元操作部、
11 軸部、
12 清掃部、
13 上ケース、
14 下ケース、
15 車輪収納室、
17 回転車輪、
18 車輪軸、
19 固定部、
20 先端部、
21 伸縮部、
22 突起部、
23 規制部、
24 支持部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10