(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142822
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】防災用照明装置及び、防災用照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 45/10 20200101AFI20241003BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20241003BHJP
H05B 45/385 20200101ALI20241003BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B47/16
H05B45/385
H02J9/06 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055167
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】篠田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】今▲吉▼ ちづる
(72)【発明者】
【氏名】江口 健太郎
【テーマコード(参考)】
3K273
5G015
【Fターム(参考)】
3K273PA08
3K273QA28
3K273QA36
3K273QA37
3K273RA12
3K273RA13
3K273SA08
3K273SA33
3K273SA47
3K273SA60
3K273TA09
3K273TA13
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA51
3K273TA57
3K273TA78
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA27
3K273UA29
5G015FA04
5G015GA07
5G015KA01
5G015KA08
(57)【要約】
【課題】 蓄電池から供給する電力を低く抑えるように制御するタイミングから任意に設定した時間において光源を点灯させる防災用照明器具を提供する。
【解決手段】 防災用照明器具は、非常用光源10、蓄電池20、非常用光源10を高輝度で点灯させる第1点灯時間において蓄電池20から第1電力を非常用光源10に供給させ、非常用光源10を低輝度で点灯させる第2点灯時間において蓄電池20から第1電力より低い第2電力を非常用光源10に供給させる制御ユニット36を備える。制御ユニット36は、第2点灯時間の長さを可変に設定でき、第2点灯時間が長くなるにしたがって第2電力の値を低くするとともに、第1点灯時間及び第2点灯時間が経過した場合の蓄電池20の電池電圧が蓄電池からの電力の供給によって光源が点灯可能な値であるように第2電力の値を設定する設定部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源に供給される電力を有する蓄電池と、
前記蓄電池からの電力供給により前記光源の点灯が開始され前記光源を高輝度で点灯させる第1点灯時間において、前記蓄電池から第1電力を前記光源に供給させ、前記第1点灯時間が経過してから前記光源の点灯が停止するまでの時間であり前記光源を前記高輝度よりも低い低輝度で点灯させる第2点灯時間において、前記第1電力よりも低い第2電力を前記蓄電池から前記光源に供給させる制御ユニットと、を備えた防災用照明装置であって、
前記制御ユニットは、
前記第2点灯時間の長さを可変に設定でき、前記第2点灯時間の長さが長くなるにしたがって、前記第2電力の値を小さくするとともに、前記第1点灯時間と設定された前記第2点灯時間とが経過した場合の前記蓄電池の電池電圧が前記蓄電池からの電力の供給によって前記光源が点灯可能な値であるように前記第2電力の値を設定する設定部を備えた防災用照明装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記第1点灯時間と前記第2点灯時間との合計点灯時間が設定されるとともに、前記蓄電池の電池電圧に基づいて前記第1点灯時間の長さを計測し、計測した前記第1点灯時間と設定された前記合計点灯時間との差分を用いて、前記第2点灯時間を可変に設定することを特徴とする請求項1に記載の防災用照明装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記蓄電池の電池電圧が定められた基準電圧になったときに前記第1点灯時間が経過したと判断し、設定された前記第2点灯時間において前記蓄電池の電池電圧が前記基準電圧から前記蓄電池の過放電防止電圧に低下するように前記第2電力を設定するとともに、
前記制御ユニットは、前記設定部が設定した前記第2電力に従って、前記第2点灯時間の長さが短くなるに従って前記第2電力が大きくなるように、前記光源に供給される電力を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の防災用照明装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、複数の前記第2点灯時間と、各第2点灯時間に対応する前記第2電力の制御データとを記憶した記憶部をさらに有し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記制御データを用いて前記第2電力を制御することを特徴とする請求項3に記載の防災用照明装置。
【請求項5】
前記設定部は、設定された前記第2点灯時間の初期における前記蓄電池の電池電圧が大きくなるにしたがって、前記第2電力が大きくなるように、前記第2電力の値を設定することを特徴とする請求項1に記載の防災用照明装置。
【請求項6】
前記設定部は、設定された前記第2点灯時間において、前記蓄電池の電圧が前記第2点灯時間の初期における電圧から前記蓄電池の過放電防止電圧に低下するように前記第2電力を設定するとともに、
前記制御ユニットは、前記設定部が設定した前記第2電力に従って、前記第2点灯時間の初期における前記蓄電池の電圧が大きくなるに従って、前記第2電力が大きくなるように前記光源に供給される電力を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項5に記載の防災用照明装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、複数の前記蓄電池の電池電圧と、各電池電圧に対応する前記第2電力の制御データとを記憶した記憶部をさらに有し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記制御データを用いて前記第2電力を制御することを特徴とする請求項6に記載の防災用照明装置。
【請求項8】
前記光源に接続された抵抗を有する検出部をさらに有し、
前記制御部は、前記検出部で検出された電圧の値が電圧目標値よりも大きい場合に、前記蓄電池から前記光源に供給される電流を小さくし、前記検出部で検出された電圧の値が前記電圧目標値よりも小さい場合に、前記蓄電池から前記光源に供給される電流を大きくするとともに、前記光源が点灯してから前記第1点灯時間が経過した場合に前記第2電力に対応する前記電圧目標値を用いて前記電流を制御することを特徴とする請求項3又は6に記載の防災用照明装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記光源が点灯してから前記第1点灯時間が経過した場合に前記電圧目標値を低くするように制御する請求項8に記載の防災用照明装置。
【請求項10】
前記光源に接続され、少なくとも2つ以上配置される抵抗、及び前記抵抗の間に配置されて前記制御ユニットと接続された接続点を有する検出部と、
前記検出部で検出された電圧の値が電圧目標値よりも大きい場合に、前記蓄電池から前記光源に供給される電流を小さくし、前記検出部で検出された電圧の値が前記電圧目標値よりも小さい場合に、前記蓄電池から前記光源に供給される電流を大きくするとともに、前記光源が点灯してから前記第1点灯時間が経過した場合に前記第2電力に対応する前記検出部で検出される電圧を制御して前記電流を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の防災用照明装置。
【請求項11】
前記検出部の前記抵抗は、直列に少なくとも3つ以上配置され、前記接続点がそれぞれの前記抵抗の間に複数配置され、
前記制御部は、前記光源が点灯してから前記第1点灯時間が経過した場合に検出する前記接続点の位置を切り替えることによって前記検出部で検出される電圧を制御して前記電流を制御することを特徴とする請求項10に記載の防災用照明装置。
【請求項12】
前記検出部は、前記抵抗の少なくとも1つに対して並列に配置され電流が流れる状態と電流が流れない状態とを切り替え可能なスイッチ素子をさらに有し、
前記制御部は、前記光源が点灯してから前記第1点灯時間が経過した場合に前記スイッチ素子を切り替えることによって前記検出部で検出される電圧を制御して前記電流を制御することを特徴とする請求項10に記載の防災用照明装置。
【請求項13】
請求項1から請求項7に記載され、外部との前記制御データの送受信を行う通信インターフェースを有する防災用照明装置と、
前記防災用照明装置から前記通信インターフェースを介して前記第2点灯時間及び点灯実施結果を取得し、機械学習によって避難誘導に効果的な前記第2点灯時間を解析する外部記憶装置と、を備えた防災用照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防災用照明装置及び防災用照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明灯、電源、非常用光源である停電灯及び蓄電池である非常用バッテリを有し、電源から照明灯への電力の供給が停止した状態を検出すると、蓄電池から非常用光源に電力を供給して非常用光源を点灯させる照明装置がある。この従来の照明装置は、非常用光源が点灯駆動されてから所定の時間が経過した場合又は、蓄電池の電池電圧が所定の値まで低下した場合に、非常光源の照度が物体を認知できる程度に非常用光源に供給される電流を低く抑えるように制御する。この制御により、蓄電池の電力消費をできるだけ抑えて、蓄電池の容量不足による放電終止状態まで非常用光源の点灯時間を長くする。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、蓄電池から非常用光源に供給される電流を低く抑えるように制御してから放電終止状態になるまでの電流が、非常用光源の照度が物体を認知できる程度と記載されている。そのため、ユーザは、電流を低く抑えるように制御してから放電終止状態になるまでの時間が分からないため、不安を感じる懸念がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、蓄電池から光源に供給する電力を低く抑えるように制御するタイミングから光源が点灯停止するまでの時間を任意に設定することができ、任意に設定した時間において継続的に蓄電池から光源に電力を供給して光源を点灯させる防災用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における防災用照明装置は、光源と、光源に供給される電力を有する蓄電池と、蓄電池からの電力の供給により光源が点灯してから光源を高輝度で点灯させる第1点灯時間において蓄電池から第1電力を光源に供給させ、第1点灯時間が経過してから光源の点灯が停止するまでの時間であり、光源を高輝度よりも低い低輝度で点灯させる第2点灯時間において第1電力よりも低い第2電力を光源に供給させる制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、第2点灯時間の長さを可変に設定でき第2点灯時間の長さが長くなるに従って第2電力の値を低くするとともに、第1点灯時間と設定された第2点灯時間とが経過した場合の蓄電池の電池電圧が蓄電池からの電力の供給によって光源が点灯可能な値であるように第2電力の値を設定する設定部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の防災用照明装置は、第2点灯時間の長さを可変に設定でき、第2点灯時間が長くなるに従って蓄電池から非常用光源に供給する第2電力を低くするとともに、第1点灯時間と第2点灯時間が経過した場合の蓄電池の電池電圧が蓄電池から供給する電力によって非常用光源が点灯可能な値であるように第2電力の値を設定する設定部を有する制御ユニットを備えるため、設定した第2点灯時間において継続して蓄電池から光源に電力を供給して光源を点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る防災用照明装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る検出部の構成を示す回路図である。
【
図3】実施の形態1に係る制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係る第2電力の値と第2電力に相当する電圧目標値の算出方法を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1に係る防災用照明装置の点灯動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態1に係る蓄電池の電池電圧と点灯時間との関係を示す説明図である。
【
図7】実施の形態2に係る記憶部に記憶される項目の表である。
【
図8】実施の形態2に係る防災用照明装置の点灯動作を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態3に係る記憶部に記憶される項目の表である。
【
図10】実施の形態3に係る第2電力の値と第2電力に相当する電力目標値の算出方法を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態3に係る防災用照明装置の点灯動作を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態3に係る蓄電池の電池電圧と点灯時間との関係を示す説明図である。
【
図13】実施の形態4に係る検出部の構成を示す回路図である。
【
図14】実施の形態4に係る防災用照明装置の点灯動作を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態5に係る検出部の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態に係る防災用照明装置について、図面などを参照しながら説明する。以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又は相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。なお、本開示は防災用照明装置として非常灯及び誘導灯について説明するが、以下で説明される実施の形態に限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態1の防災用照明装置1の構成について
図1から
図3を用いて説明する。
図1は、本実施の形態1に係る防災用照明装置1の構成を示すブロック図である。
図2は、
図1に示す検出部35の構成を示す回路図である。
図3は、
図1に示す制御ユニット36の構成を示すブロック図である。
【0011】
実施の形態1に係る防災用照明装置1は、図示されていない天井や壁などの図示されていない被取付部に設置される防災用の照明装置である。
図1に示すように、防災用照明装置1は、非常用光源10、蓄電池20、防災用電源装置30及び通信インターフェース40を有する。防災用照明装置1は、外部の商用電源2から電力を供給されて蓄電池20が充電され、地震や台風などの自然災害あるいは発電設備などの不具合によって商用電源2から防災用照明装置1への電力の供給が停止した場合に蓄電池20から非常用光源10に電力を供給して非常用光源10を点灯させるものである。
【0012】
非常用光源10は、非常時に明るさを確保するための光源を備える。光源は、例えばLED(Light Emitting Diode)などの発光素子である。
【0013】
蓄電池20は、充放電可能な二次電池であって、例えばニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムイオン電池などである。蓄電池20は、商用電源2から電力を供給されて充電され、非常用光源10に電力を供給するものである。非常灯及び誘導灯などの防災灯において、蓄電池20は、非常用照明器具基準JIL5501:2019及び誘導灯器具及び避難誘導システム用技術基準JIL5502:2008の規格によって性能を満たす容量が要求されている。上述の規格において、防災用照明装置1は、点灯時間による区分があり、それぞれ20分、30分又は60分の点灯時間が区分されている。この区分された点灯時間は、有効点灯時間と定義されている。蓄電池20は、例えば、有効点灯時間において継続して規格に定められた照度や平均輝度などの光特性を満たすように非常用光源10を点灯させる容量が求められる。なお、蓄電池20は、上述した防災用照明装置1が有効点灯時間において継続して規格に定められた光特性で非常用光源10を点灯させる容量よりも大きな容量を備えることが望ましい。
【0014】
蓄電池20に対して、容量の閾値として放電基準電圧と過放電防止電圧とが設定されている。放電基準電圧は、非常用光源10から出射される光が規格に要求される光特性を満たす蓄電池20の電池電圧の基準電圧である。蓄電池20は、非常用光源10が点灯開始してから有効点灯時間が経過した状態において、放電基準電圧よりも高い電池電圧を有することが求められる。過放電防止電圧は、放電基準電圧よりも低い値の電池電圧であって、蓄電池20の過放電を防止するために設定される電池電圧である。蓄電池20は、電池電圧が過放電防止電圧より低くなると電池の劣化などの不具合が発生する恐れがある。つまり、蓄電池20は、電池電圧が過放電防止電圧より高い状態の場合に非常用光源10に電力を供給して点灯させることができる。なお、防災用照明装置1は、蓄電池20の電池電圧が過放電防止電圧になった場合に蓄電池20から非常用光源10への電力の供給を停止するように制御されることが望ましい。
【0015】
防災用電源装置30は、フライバック回路31、定電圧回路32、充電回路33、非常用点灯回路34、検出部35、制御ユニット36及び表示用LED37を有する。防災用電源装置30は、非常用光源10の点灯状態の制御及び蓄電池20の充放電を制御するものである。
【0016】
フライバック回路31は、商用電源2から供給される交流の電力を直流に変換するものである。
【0017】
定電圧回路32は、フライバック回路31によって直流に変換された電力の電圧を制御ユニット36の駆動に必要な電圧及び、蓄電池20の充電に必要な電圧に変更して供給するものである。
【0018】
充電回路33は、商用電源2から供給されて直流に変換された電力を蓄電池20に供給して、蓄電池20を充電するものである。蓄電池20は、満充電状態になって充電を停止すると自己放電により充電量が微小に減少する。そのため、充電回路33は、蓄電池20の充電量の微小な減少を補うために微小の電力を蓄電池20に流し続けるトリクル充電を行うことが望ましい。
【0019】
非常用点灯回路34は、蓄電池20から供給された電力の電圧を非常用光源10の点灯に必要な電圧に変換して非常用光源10に電力を供給するものである。非常用点灯回路34は、点灯回路スイッチング素子341及び電池電圧検出部342を有する。点灯回路スイッチング素子341は、制御端子が制御ユニット36に接続されており、制御ユニット36から出力された制御信号に応じて非常用光源10に供給される電流を制御する。電池電圧検出部342は、蓄電池20の電池電圧を検出する検出抵抗である。電池電圧検出部342で検出された蓄電池20の電池電圧は、制御ユニット36に取得される。
【0020】
検出部35は、非常用光源10に接続される検出抵抗であって、検出された電圧を制御ユニット36にフィードバックするものである。
【0021】
検出部35においては、
図2に示すように、抵抗R1及び抵抗R2が直列に配置され、制御ユニット36との接続点Aが抵抗R1と抵抗R2との間に配置される。制御ユニット36は、接続点Aで検出される電圧を取得する。
【0022】
図3に示すように、制御ユニット36は、例えばマイコンであり、ソフトウェアモジュールを実行することによって機能する制御部361、設定部363及び判定部364を有する。制御ユニット36は、さらにデータを記憶するメモリである記憶部362を有する。制御ユニット36は、定電圧回路32から電力を供給されて駆動し、充電回路33、非常用点灯回路34、検出部35及び表示用LED37と接続されるものである。制御ユニット36は、商用電源2から電力が供給されている場合は定電圧回路32から電力を供給されて動作し、商用電源2からの電力が停止された場合には非常用点灯回路34によって蓄電池20から電力を供給されて動作する。
【0023】
制御部361は、充電回路33、非常用点灯回路34、検出部35及び表示用LED37を制御するソフトウェアモジュールである。制御部361は、商用電源2から供給される電力が停止されたことを検出した場合に、充電回路33から蓄電池20への充電を停止させる。次に制御部361は、非常用点灯回路34に第1電力を供給させて非常用光源10を点灯させる。ここで、第1電力は、非常用光源10を規格で要求される光特性で点灯させる電力である。
【0024】
また、制御部361は、検出部35で検出された電圧の値と後述する記憶部362に記憶された電圧の目標値である電圧目標値とを比較して非常用光源10に供給される電流の値を制御する。制御部361は、検出部35で検出された電圧の値が電圧目標値よりも小さい場合に非常用光源10に供給される電流の値が大きくなるように点灯回路スイッチング素子341を制御する。一方、検出された電圧が大きい場合には、非常用光源10に供給される電流の値が小さくなるように点灯回路スイッチング素子341を制御する。
【0025】
また、制御部361は、蓄電池20による点灯開始直後の期間とその後の期間とで、電圧目標値を変化させ、経過時間に応じた消費電力の制御を行う。具体的には、蓄電池20による点灯期間は、非常用光源10が点灯してから蓄電池20の電池電圧が定められた第1閾値の電池電圧になるまで非常用光源10を高輝度で点灯させる時間である第1点灯時間と、電池電圧が第2閾値に低下するまで前記非常用光源10を低輝度で点灯させる時間である第2点灯時間とに分けられる。第1点灯時間において制御部361は、電圧目標値を第1電圧目標値に設定し前述の光特性を満たすことのできる高い電圧及び電流を非常用光源10に供給する。その後の第2点灯時間において、制御部361は電圧目標値を第1電圧目標値から第2電圧目標値に低下させ、設定された時間の終わりまで電力供給を継続できるように電圧及び電流を制御する。ここで、第1電圧目標値は、非常用光源10に供給される電力が第1電力となるように設定された電圧の閾値である。また、第2電圧目標値は、非常用光源10に供給される電力が第1電力よりも低い電力である第2電力となるように設定された電圧の閾値である。この制御により、制御部361は、非常用光源10が点灯してから第1点灯時間が経過した場合に、第1電力よりも低い電力である第2電力を蓄電池20から非常用光源10に供給させる。本実施の形態において、前述の第1閾値は、蓄電池20の放電基準電圧に設定されているが、第1閾値はそれに限らず、第1点灯時間が有効点灯時間よりも長くなるような電池電圧の閾値であればよい。
【0026】
また、蓄電池20の電池電圧が定められた第2閾値の電池電圧以下になった場合、制御部361は、非常用光源10への電力供給を停止するように非常用点灯回路34を制御する。この場合に、制御部361は、蓄電池20が充電されるように充電回路33を制御するため、商用電源2の電力供給が再開されれば蓄電池20は充電される。本実施の形態において、前述の第2閾値は過放電防止電圧に設定されているが、第2閾値はそれに限らず、第1閾値の電池電圧より小さく、過放電防止電圧以上の電池電圧に設定されればよい。
【0027】
記憶部362は、非常用光源10の点灯や蓄電池20に係るパラメータを記憶するメモリである。記憶部362は、例えば、規格で定められた規定の光特性を満たすようにあらかじめ定められた電圧である第1電圧目標値、有効点灯時間、蓄電池20の放電基準電圧及び過放電防止電圧、後述する基準点灯時間、第1電力の値、蓄電池20の放電基準電圧になったタイミングから非常用光源10の点灯停止まで非常用光源10を第1点灯時間における輝度よりも低い輝度で点灯させる第2点灯時間、第2点灯時間において蓄電池20に供給される第2電力の値及び第2電力を非常用光源10に供給するための電圧である第2電圧目標値を記憶している。
【0028】
設定部363は、非常用光源10が点灯開始後に蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧になる第1点灯時間が経過してから非常用光源10の点灯停止までの第2点灯時間を可変に設定するソフトウェアモジュールである。設定部363は、通信インターフェース40を介してクラウドやユーザ使用者から任意の長さの第2点灯時間を取得する。設定部363は、第2点灯時間を取得すると、第2点灯時間を通じて蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧から過放電防止電圧まで下がるように、すなわち第2点灯時間の間、過放電防止電圧以上を維持できるように非常用光源10に供給される第2電力の値及びその第2電力に相当する電圧目標値を算出する。そして、算出した電力の値及び第2電圧目標値を記憶部362に記憶させる。
【0029】
判定部364は、取得した電圧の値と記憶部362に記憶された対応する項目の電圧の値とを比較する比較器として機能する。判定部364は、検出部35で検出された電圧の値が記憶部362に記憶された電圧目標値よりも大きいか小さいかを判定し、判定結果を制御部361に出力する。検出された電圧が大きいと判定部364が判定した場合、制御部361は、点灯回路スイッチング素子341の制御端子に入力する信号を制御して非常用光源10に供給される電流の値を低くする。逆に小さいと判定部364が判定した場合、制御部361は、点灯回路スイッチング素子341の制御端子に入力する信号を制御して非常用光源10に供給される電流の値を大きくする。
【0030】
また、判定部364は、電池電圧検出部342で検出された蓄電池20の電池電圧が、記憶部362に記憶された放電基準電圧又は過放電防止電圧まで低くなったかどうかを判定する。そして判定結果を制御部361に出力する。蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧よりも高いと判定部364が判定した場合、制御部361は非常用光源10に供給される電力が第1電力になるように第1電圧目標値を制御する。逆に、蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧以下になった場合、制御部361は、非常用光源10に供給される電力が第2電力になるように第2電圧目標値を制御する。
【0031】
表示用LED37は、防災用照明装置1の状態を示すランプである。表示用LED37は、例えば、色の異なる赤色、橙色、緑色の3つのLEDである。赤色LEDは、非常用光源10が異常である場合に点灯する。橙色LEDは、防災用照明装置1が蓄電池20の点検をしている場合に点灯する。緑色LEDは、充電回路33が蓄電池20を正常に充電している場合に点灯するものである。なお、橙色LEDは、色が赤又は、緑色以外の色であればよい。制御部361は、上述のような防災用照明装置1の状態に合わせて表示用LED37の点灯状態を制御する。
【0032】
通信インターフェース40は、防災用照明装置1の外部とのデータの送受信を行うものである。通信インターフェース40は、例えば、クラウドなどの外部記憶装置やリモコンなどの外部端末などの外部と通信できる装置であって、有線又は、無線でデータの送受信を行うものである。通信インターフェース40は、例えば、設定部363に設定される第2点灯時間や防災用照明装置1の点検指示を受信し、点検結果を送信するものである。
【0033】
次に、設定部363に設定された第2点灯時間に応じて第2電力の値と第2電圧目標値を算出する動作について説明する。
図4は、第2電力の値及び第2電力に相当する第2電圧目標値の算出方法を説明するためのフローチャートである。なお、
図4のフローチャートの開始の前提は、制御ユニット36に電力が供給されていることとする。また、蓄電池20から非常用光源10に供給される電流の値は、検出部35で検出される電圧の値が電圧目標値になるように制御され、第2電圧目標値は基準点灯時間を基準として算出されることとする。基準点灯時間とは、非常用光源10の点灯時に、蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧から過放電防止電圧に低下するまでの時間である。換言すれば、蓄電池20から非常用光源10に第1電力を供給させ、非常用光源10を点灯させた時間である。この実施の形態において基準点灯時間は実測値であるが、計算により予め求めた理論値を用いることもできる。
【0034】
ステップS101において、設定部363は、通信インターフェース40を介してユーザが設定した任意の長さの第2点灯時間のデータを取得する。
【0035】
次に、ステップS102において、設定部363は、入力された第2点灯時間と基準点灯時間とを比較して、基準点灯時間に対する第2点灯時間の変化比率を算出する。変化比率は以下の式(1)で表される。
【0036】
【0037】
次に、ステップS103において、設定部363は、第1電力にステップS102で算出した変化比率の逆数を掛け合わせて、第2電力を算出する。
【0038】
次に、ステップS104において、設定部363は、非常用光源10に第1電力を供給している場合の第1電圧目標値に、ステップS102で算出された変化比率の逆数を掛け合わせて第2電圧目標値を算出する。なお、上述のステップS102からS104の計算に用いる基準点灯時間、第1電力、及び電圧目標値のデータは、記憶部362に予め記憶されたデータであってもよいし、プログラムに予め設定されたデータであってもよい。設定部363で算出された第2電圧目標値は、非常用光源10に供給する電力を第2電力に制御するための制御データである。この第2電圧目標値は、第2点灯時間が長くなるに従って、小さくなるように算出される。第2電力は、ユーザによって設定された任意の第2点灯時間の長さに応じて可変制御され、第2点灯時間の初めから終わりにかけて蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧から過放電防止電圧まで低下するように設定される。そのため、第2点灯時間の期間中、非常用光源10を継続的に点灯させることができる。
【0039】
例えば、基準点灯時間が5分であり、ユーザが設定した第2点灯時間が10分であるとする。このとき、変化比率は百分率で200%であるため、ステップS104で算出される第2電圧目標値は、第1電力を非常用光源10に供給している場合の第1電圧目標値に対して50%の値になる。制御部361は、検出部35で検出される電圧の値が電圧目標値になるように非常用点灯回路34から流れる電流を制御する。そのため、第2電力の値は、第1電力の値に対して50%の値になる。このように、設定部363は、第2点灯時間の長さが長くなるに従って蓄電池20から非常用光源10に供給される第2電力の値が低くなるように第2電圧目標値を算出する。
【0040】
次に本実施の形態1に示す防災用照明装置1の点灯動作について
図5を用いて説明する。
図5は実施の形態1の点灯動作を示すフローチャートである。この点灯動作は、商用電源2からの電力の供給が止まったことを防災用照明装置1の制御ユニット36が検出した場合に実行される。
【0041】
ステップS201では、制御部361は、充電回路33から蓄電池20への充電を停止させる。そして、制御部361は非常用点灯回路34を制御し、蓄電池20からの電力を非常用光源10に供給させる。
【0042】
続いて、ステップS202において、判定部364が電池電圧検出部342で検出された蓄電池20の電池電圧を取得する。
【0043】
続いて、ステップS203において、判定部364が検出部35で検出された電圧を取得する。
【0044】
次に、ステップS204において、判定部364は、取得した検出部35の電圧の値が記憶部362に記憶された第1電圧目標値以下であるかを判定する。第1電圧目標値以下である場合(ステップS204、YES)は、ステップS205へ進む。一方、検出部35の電圧が第1電圧目標値より大きい場合(ステップS204、NO)は、ステップS206へ進む。
【0045】
ステップS205において、制御部361は、点灯回路スイッチング素子341を制御して非常用光源10に供給される電流の値を上昇させる。
【0046】
ステップS206において、制御部361は、点灯回路スイッチング素子341を制御して非常用光源10に供給される電流の値を低下させる。
【0047】
次に、ステップS207において、判定部364は、取得した蓄電池20の電池電圧が記憶部362に記憶された放電基準電圧以下であるかを判定する。蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧以下である場合(ステップS207、YES)は、ステップS208へ進む。このとき、防災用照明装置1は、非常用光源10が点灯してから第1点灯時間が経過したとみなす。一方、蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧より大きい場合(ステップS207、NO)は、ステップS202に戻る。
【0048】
ステップS208において、制御部361は、取得した検出部35の電圧の値と比較する電圧目標値を第1電圧目標値から第2電圧目標値に切り替える。ここで、設定部363で算出された第2電圧目標値は、第2電力を非常用光源10に供給するための制御データである。また、第2電力は、前述のように、設定部363に入力された任意の長さの第2点灯時間において、蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧から過放電防止電圧まで低下するように設定された電力であり、この第2点灯時間の間、非常用光源10を継続的に点灯できる電力である。
【0049】
次に、ステップS209において、判定部364が電池電圧検出部342で検出された蓄電池20の電池電圧を取得する。
【0050】
続いて、ステップS210において、判定部364が検出部35で検出された電圧を取得する。
【0051】
次に、ステップS211において、判定部364は、取得した検出部35の電圧の値が記憶部362に記憶された第2電圧目標値以下であるかを判定する。検出部35の電圧が第2電圧目標値以下である場合(ステップS211、YES)は、ステップS212へ進む。一方、検出部35の電圧が第2電圧目標値より大きい場合(ステップS211、NO)は、ステップS213へ進む。
【0052】
ステップS212において、制御部361は、点灯回路スイッチング素子341を制御して非常用光源10に供給される電流の値を上昇させる。
【0053】
ステップS213において、制御部361は、点灯回路スイッチング素子341を制御して非常用光源10に供給される電流の値を低下させる。
【0054】
次に、ステップS214において、判定部364は、取得した蓄電池20の電池電圧が記憶部362に記憶された過放電防止電圧以下であるかを判定する。電池電圧が過放電防止電圧以下である場合(ステップS214、YES)は、ステップS215へ進む。一方、電池電圧が過放電防止電圧より大きい場合(ステップS214、NO)は、ステップS209に戻る。
【0055】
ステップS215において、制御部361は、非常用点灯回路34に蓄電池20から非常用光源10への電力供給を停止させて点灯停止し、蓄電池20が充電されるように充電回路33を制御する。
【0056】
次に、
図6を用いて実施の形態1の点灯動作時における蓄電池20の電池電圧と点灯時間との関係を説明する。
図6は、実施の形態1の防災用照明装置1の点灯動作における蓄電池20の電池電圧と点灯時間との関係を示す説明図である。実線50は、蓄電池20の電池電圧と点灯時間との関係を示している。蓄電池20は、第2点灯時間において放電基準電圧から過放電防止電圧まで下がるように電池電圧が下がり、点灯停止をするタイミング、すなわち第2点灯時間の終わりにおいて過放電防止電圧に達する。
【0057】
次に、本実施の形態1の防災用照明装置1の効果について説明する。
【0058】
本実施の形態1の防災用照明装置1は、蓄電池20からの電力の供給によって非常用光源10が点灯してから蓄電池20の電池電圧が定められた第1閾値になるまでの第1点灯時間において蓄電池20から第1電力を非常用光源10に供給させ、第1点灯時間が経過してから非常用光源10が停止するまでの第2点灯時間において蓄電池20から第1電力よりも低い第2電力を非常用光源10に供給させる制御ユニット36を有する。本実施の形態1の制御ユニット36は、第2点灯時間の長さを可変に設定でき、第2点灯時間の長さが長くなるに従って、第2電力の値を低くするとともに、点灯開始から第1点灯時間及び第2点灯時間が経過した場合の蓄電池20の電池電圧が、蓄電池20からの電力の供給によって非常用光源10が点灯可能な値であるように、第2電力の値を算出する設定部363を有する。そのため、本実施の形態1の防災用照明装置1は、任意に設定された第2点灯時間の長さによって、第2電力の値を変更できるように制御できるため、ユーザが任意に設定した第2点灯時間において継続して非常用光源10を点灯させることができる。よって、いつ非常用光源10が点灯停止するか分からないというユーザの不安感を抑えることができる。
【0059】
また、本実施の形態1の防災用照明装置1は、非常用光源10に接続され、電圧を検出する検出部35を有し、制御部361が検出部35で検出された電圧の値があらかじめ定められた電圧である電圧目標値より大きい場合に、蓄電池20から非常用光源10に供給される電流を低くするとともに、非常用光源10が点灯開始してから第1点灯時間が経過した場合に電圧目標値を第2電力の値に相当する値に制御する。そのため、本実施の形態1の防災用照明装置1は、第2点灯時間において継続して蓄電池20から非常用光源10に第2電力を供給して非常用光源10を点灯させることができる。
【0060】
なお、上述の実施の形態1の説明においては、第2点灯時間の電池電圧を第1閾値である放電基準電圧から第2閾値である過放電防止電圧まで下がるように制御すると説明したが、閾値はこれらの値に限定されない。例えば、第1閾値は、放電基準電圧以上であって有効点灯時間以上、非常用光源10を点灯させることができる値であればよい。また、第2閾値は、第1閾値より小さく、かつ、過放電防止電圧以上である値であればよい。第2閾値をこのように設定することで、蓄電池20の劣化を抑制することができる。
【0061】
また、本実施の形態1の防災用照明装置1は、通信インターフェース40を介してクラウドやユーザから第2点灯時間が入力されると説明したが、これに限定されない。設定部363は、第2点灯時間の数値を任意に入力できるディップスイッチを備えたものでもよい。
【0062】
また、本実施の形態1の防災用照明装置1は、防災用照明装置1を被取付部に設置した後であることを前提に、通信インターフェース40を介してクラウドやユーザから第2点灯時間が入力されると説明したが、第2点灯時間の入力のタイミングは、これに限定されない。設定部363は、出荷前の製造段階において事前にプログラムされた第2点灯時間などのデータが入力されていてもよい。
【0063】
また、本実施の形態1の防災用照明装置1は、クラウドなどの外部記憶装置とデータの送受信ができる通信インターフェース40を備えると説明した。制御ユニット36は、外部記憶装置に第2点灯時間や第2電圧目標値などの設定値と、その設定値によって非常用光源10を点灯させた点灯実施結果を送信するようにしてもよい。外部記憶装置は、複数の防災用照明装置1からデータを取得及び蓄積し、AI(Artificial Intelligence)システムなどの機械学習装置によって解析し、避難誘導に効果的な第2点灯時間を推奨してもよい。
【0064】
また、本実施の形態1の防災用照明装置1は、第2点灯時間が設定部363に入力されると説明した。しかしながら、設定部363は、第2点灯時間の長さを時刻、場所、季節によって補正してもよい。設定部363は、周囲が明るい場合に第2点灯時間を長くし、周囲が暗い場合に第2点灯時間を短くするように補正してもよい。例えば、第2点灯時間が時刻によって補正される場合に、設定部363は、明るい朝や日中の第2点灯時間を長くし、暗い夕方から明け方までの第2点灯時間を短くする。上述の補正に防災用照明装置1は、より明るい朝や日中において非常用光源10の照度が低いが長く点灯させることが可能になり、暗い夕方から明け方において周囲を視認しやすいように照度を高く非常用光源10を点灯させることが可能である。
【0065】
また、本実施の形態1の防災用照明装置1は、設定された点灯時間を報知する手段を有していてもよい。報知を実施する具体的な手段としては、通信インターフェース40を介して外部の端末に点灯時間を送信する方法などが挙げられる。また、報知を実施する具体的な手段として、防災用照明装置1は、点灯時間を表示する表示部あるいは、点灯時間を音声で報知する音声部を有するものでもよい。なお、報知部は、非常用光源10の点灯中において点灯停止までの時間を報知してもよい。防災用照明装置1は、点灯時間を報知する手段を有することによって、ユーザが点灯時間を把握することができるのでいつ非常用光源10が点灯停止するか分からないというユーザの不安感を抑えることができる。
【0066】
実施の形態2.
本実施の形態2に係る防災用照明装置1について、実施の形態1に係る防災用照明装置1の構成及び動作と異なる点を中心に説明する。
【0067】
実施の形態1では、第2点灯時間の長さを設定する場合を説明したが、本実施の形態では、全点灯時間の長さを設定する形態を説明する。本実施の形態2に係る防災用照明装置1は、設定部363に非常用光源10の点灯開始から点灯停止までの時間を示す全点灯時間が入力され、全点灯時間において継続して蓄電池20から非常用光源10に電力を供給して非常用光源10を点灯させるものである。
【0068】
以下、全点灯時間を、第1点灯時間と第2点灯時間とを足した合計点灯時間とした場合について説明する。ここで、第1点灯時間は、蓄電池20が満充電の状態から非常用光源10に第1電力を供給し、電池電圧が放電基準電圧になるまでの点灯時間である。満タンに充電された状態の電池電圧は蓄電池20の個体値、周辺温度による影響又は経年的な劣化などにより変動する。この変動を考慮した場合、第1点灯時間を一意に定めることはできない。そのため、本実施の形態2では、非常用光源10に第1電力を供給し、制御部361がこのときの第1点灯時間を実測する。また、設定部363は、この変動に対応できるよう、想定される複数の第1点灯時間それぞれに対して、第2点灯時間、第2電力、及び第2電圧目標値を予め設定する。
【0069】
次に、設定部363が、合計点灯時間を取得した場合に実行する設定処理について説明する。設定部363は、合計点灯時間が設定された場合に、設定された時間に基づいて電圧目標値を変更するものである。通信インターフェース40を介して合計点灯時間のデータを取得すると、設定部363は取得した合計点灯時間と予め定められた複数の第1点灯時間のデータに基づいて、複数の第2点灯時間を算出する。例えば、複数の第1点灯時間(t
1i, i=0,1,2,3,4,5)が有効点灯時間に0分から5分を足した時間であるとすると、設定部363は6つの第2点灯時間(t
2i, i=0,1,2,3,4,5)を算出する。第2点灯時間は、合計点灯時間と第1点灯時間の差分、すなわちt
2i=(合計点灯時間)-t
1iで計算できる。具体的には、ユーザが設定した合計点灯時間が40分であるとき、第1点灯時間t
1iに対する第2点灯時間t
2iは
図7のように計算される。
【0070】
次に、設定部363は、各第2点灯時間t
2iに対して、
図4で説明した計算を行い第2電力及び第2電圧目標値を求め、記憶部362に記憶させる。ここで、
図4のステップS101で入力される第2点灯時間とは、上述計算で求めた第2点灯時間t
2iである。この計算の結果、記憶部362には
図7に示す表が作成される。
【0071】
図7を用いて記憶部362の記憶内容を説明する。
図7は、本実施の形態2に係る記憶部362に記憶される項目の表である。記憶部362は、第1点灯時間と第2点灯時間とを足して合計点灯時間になる時間配分が複数設けられた表を記憶している。記憶部362は、合計点灯時間、第1電力の値、有効点灯時間、蓄電池20の放電基準電圧及び過放電防止電圧を記憶する。これらのデータのうち、合計点灯時間はユーザが設定した可変値で設定部363が記憶部362に記憶させるデータであり、その他のデータは予め記憶部362に記憶されたデータである。記憶部362は、さらに、第1点灯時間と、第2点灯時間、その第2点灯時間における第2電力の値及び第2電力に対応した第2電圧目標値とを対応付けて記憶する。これらのデータは上述のとおり設定部363によって設定される制御データである。
【0072】
次に、本実施の形態2に示す防災用照明装置1の点灯動作を説明する。この実施の形態の制御部361は、第1点灯時間の実測値に応じて第2点灯時間を変化させ、合計点灯時間で点灯を継続させることができるものである。具体的には、制御部361は点灯開始から電池電圧検出部342で検出された電圧が放電基準電圧以下になるまでの時間を計測し、この時間を第1点灯時間とする。そして、上述の表を参照し、第1点灯時間に対応する第1電圧目標値を用いて、第2点灯時間における供給電力を制御する。この制御により、合計点灯時間において点灯を継続することができる。
【0073】
図8は実施の形態2に示す防災用照明装置1の点灯動作を示すフローチャートである。なお、
図8のフローチャートの開始時の前提として、防災用照明装置1の制御ユニット36が商用電源2からの電力の供給が停止されたことを検出したこととする。また、実施の形態1における防災用照明装置1の点灯動作におけるフローチャートのステップの符号が同じ処理に関しては、実施の形態2においても同様の処理が行われる。そのため、以下の説明においては異なる処理を中心に説明する。
【0074】
蓄電池20の電力を用いた点灯が開始されると、ステップS301において制御部361が点灯時間の計時を開始する。
【0075】
そして、実施の形態1の
図5を用いて説明したように第1点灯時間における点灯制御が実行される(ステップS202からS206)。次に、ステップS302において、判定部364が、取得した蓄電池20の電池電圧が記憶部362に記憶された放電基準電圧以下であるかを判定する。蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧以下であると判定した場合(ステップS302、YES)は、ステップS303へ進む。蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧より大きいと判定した場合(ステップS302、NO)はステップS202に戻る。
【0076】
ステップS303において制御部361は、記憶部362に記憶された表において計時された時間に相当する第1点灯時間と対応付けられた第2点灯時間、第2電力の値及びその第2電力に相当する第2電圧目標値を読み出す。
【0077】
ステップS304において制御部361は、検出部35の電圧と比較する電圧目標値を第1電圧目標値からステップS303で読み出された第2電圧目標値に制御して、蓄電池20から非常用光源10に供給される電力がステップS303で読み出された第2電力になるように制御する。
【0078】
次に、本実施の形態2の防災用照明装置1の効果について説明する。
【0079】
本実施の形態2の防災用照明装置1は、設定部363に非常用光源10の点灯開始から点灯停止までの合計点灯時間が入力される。設定部363は、第1点灯時間と第2点灯時間とを足して合計点灯時間になるような時間配分を複数設けた表を作成する。また設定部363は、その表のそれぞれの第2点灯時間において蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧から過放電防止電圧まで下がるように第2電力の値及びこの第2電力の値に相当する第2電圧目標値を算出し、記憶部362に第2点灯時間と対応付けて記憶させる。制御部361は、非常用光源10の点灯開始から計時した点灯時間を第1点灯時間とし、この第1点灯時間から第2点灯時間を特定する。制御部361は、記憶部362から特定した第2点灯時間に対応する第2電力の値及び第2電圧目標値を読み出す。そして、制御部361は、検出部35により検出された電圧が読み出した第2電圧目標値になるように制御し、非常用光源10に第2電力が供給されるように制御する。よって、本実施の形態2の防災用照明装置1は、設定部363で任意に入力された合計点灯時間において非常用光源10を継続的に点灯できる。そのため実施の形態2の防災用照明装置1は、いつ非常用光源10が点灯停止するか分からないというユーザの不安感を抑えることができる。
【0080】
また、蓄電池20の個体値や経年的な劣化により第1点灯時間が変動した場合でも、残りの時間(第2点灯時間)の長さに応じて、第2電力を供給することができる。そのため、第2点灯時間において蓄電池20の電力をより効率的に使用して非常用光源10を点灯することができる。例えば、この実施の形態では、全点灯時間がユーザにより指定され、その全点灯時間に応じた電力制御が行われる。そのため、蓄電池20の経年劣化が少ない場合や個体差による特性がよい場合などにおいては第1点灯時間が長くなる一方で、第2点灯時間は短くなる。第2点灯時間が短くなれば、それに比例して第2点灯時間に使用できる第2電力を大きく設定できる。換言すれば、第2点灯時間の長さが短くなるに従って第2電力が大きくなるように、光源に供給される電力が制御されるため、第2点灯時間の照度をより上げることができる。
【0081】
実施の形態3.
本実施の形態3に係る防災用照明装置1について、実施の形態1及び2に係る防災用照明装置1の構成及び動作と異なる点を中心に説明する。
【0082】
実施の形態1及び2においては、第1点灯時間の経過を電池電圧に基づいて判断していたが、点灯開始からの経過時間で判断することも可能である。次に、第1点灯時間の経過を、時間を基準に判断する実施の形態について説明する。本実施の形態3の第1点灯時間は、非常用光源10の点灯開始からの時間が第3閾値になるまでの時間を示す。
【0083】
本実施の形態3において、制御部361は、非常用光源10の点灯開始から点灯時間の計時を行い、有効点灯時間が経過したかを第3閾値に基づいて判断する。そして、有効点灯時間経過後、非常用光源10に供給される電力が第2電力になるように電圧目標値を制御する。このとき、制御部361は、第3閾値の経過後、すなわち第2点灯時間の初期において計測された蓄電池20の電池電圧を用いて電圧目標値を変更し、第2電力を制御する。例えば、計測された電池電圧が大きくなるに従って、第2電力が大きくなるように供給電力を制御する。そのため、第2点灯時間の終わりまで電力供給を継続でき、かつ、第2点灯時間において電力を効率的に使用することができる。
【0084】
図9は、本実施の形態3に係る記憶部362に記憶される項目の表である。記憶部362は、第1電力、第1点灯時間における第1電圧目標値、第1点灯時間である有効点灯時間、蓄電池20の放電基準電圧及び過放電防止電圧、第2点灯時間、後述する設定部363で算出された点灯時間が第3閾値になったタイミングにおける蓄電池20の電池電圧、第2点灯時間において設定される第3閾値における第2電力及びこの第2電力の値に相当する第2電圧目標値を記憶する。また、記憶部362は、点灯時間が第3閾値になったときに想定される蓄電池20の電池電圧を複数記憶し、制御データとして、各電池電圧と第2電力の値及び第2電力の値に相当する第2電圧目標値とを対応付けて記憶している。
【0085】
設定部363は、非常用光源10が点灯開始してから有効点灯時間が経過したタイミングから非常用光源10の点灯停止のタイミングまでの第2点灯時間が入力されるものである。設定部363は、点灯時間が第3閾値になったタイミングにおける蓄電池20の電池電圧を仮に設定した複数の値ごとに、第2点灯時間においてその仮に設定された電池電圧から過放電防止電圧まで蓄電池20の電池電圧が下がる第2電力の値及び第2電力の値に相当する第2電圧目標値を算出する。
【0086】
判定部364は、電池電圧検出部342で検出された蓄電池20の電池電圧が、記憶部362に記憶された過放電防止電圧まで低くなったかどうかを判定する。制御部361は、実施の形態2と同様に、非常用光源10が点灯開始してからの計時機能を有するが、第1点灯時間の終了を予め定められた経過時間(第3閾値)で判断する点で異なる。さらに、この実施の形態3の制御部361は、第2点灯時間の開始時の電池電圧と設定された第2点灯時間とに基づいて、第2点灯時間における第2電力を制御する点が上述実施の形態と異なる。
【0087】
次に第2点灯時間と電池電圧に応じて第2電力などを設定する動作について
図10を用いて説明する。
図10は、第2電力の値と第2電力に相当する電力目標値の算出方法を示すフローチャートである。なお、
図10のフローチャートの開始の前提は、制御ユニット36に電力が供給されていることとする。
【0088】
ステップS401において、設定部363は、通信インターフェース40を介してユーザが設定した任意の長さの第2点灯時間のデータを取得する。
【0089】
次に、ステップS402において、設定部363は、入力された第2点灯時間と仮に設定された電池電圧毎に設定された基準点灯時間とを比較して、電池電圧毎の基準点灯時間に対する第2点灯時間の変化比率を算出する。変化比率は以下の式(2)で表される。
【0090】
【0091】
ここで、仮に設定された電池電圧毎の基準点灯時間は次のように計算される。仮に設定された電池電圧から過放電防止電圧までの電位差と、放電基準電圧から過放電防止電圧までの電位差の比率を算出する。電位差の比率は以下の式(3)で表される。
【0092】
【0093】
この電位差の比率を基準点灯時間に掛け合わせると、仮に設定された電池電圧それぞれの基準点灯時間が求まる。この基準点灯時間は、実施の形態1で説明したように、非常用光源10を第1電力で点灯させた場合に、蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧から過放電防止電圧に低下するまでの時間である。
【0094】
次に、ステップS403において、設定部363は、第1電力にステップS402で算出した変化比率の逆数を掛け合わせて、第2電力を算出する。
【0095】
次に、ステップS404において、設定部363は、非常用光源10に第1電力を供給している場合の第1電圧目標値に、ステップS402で算出された変化比率の逆数を掛け合わせて第2電圧目標値を算出する。なお、上述のステップS402からS404の計算に用いる基準点灯時間、第1電力、及び電圧目標値のデータは、記憶部362に予め記憶されたデータであってもよいし、プログラムに予め設定されたデータであってもよい。設定部363で算出された第2電圧目標値は、非常用光源10に供給する電力を第2電力に制御するための制御データである。この第2電圧目標値は、設定される電池電圧が大きくなるに従って、大きくなるように算出される。第2電力は、ユーザによって設定された任意の第2点灯時間の長さに応じて可変制御され、第2点灯時間の初めから終わりにかけて蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧から過放電防止電圧まで低下するように設定される。そのため、第2点灯時間の期間中、非常用光源10を継続的に点灯させることができる。
【0096】
次に本実施の形態3に示す防災用照明装置1の点灯動作を、
図11を用いて説明する。
図11は、実施の形態3に示す防災用照明装置1の点灯動作を示すフローチャートである。なお、
図11のフローチャートの開始時の前提として、防災用照明装置1の制御ユニット36が商用電源2からの電力の供給が停止されたことを検出したこととする。また、実施の形態1及び実施の形態2における防災用照明装置1の点灯動作におけるフローチャートのステップの符号が同じ処理に関しては、実施の形態2においても同様の処理が行われる。そのため、以下の説明においては異なる処理を中心に説明する。
【0097】
制御ユニット36はステップS201からS206において第1点灯時間における点灯動作を行った後、ステップS501において第1点灯時間が経過したかを判定する処理を行う。ここで、経過時間の始期はステップS301の計時開始の時間である。具体的には、ステップS501において制御部361は、非常用光源10が点灯してから有効点灯時間が経過したかを判定する。この判定は、制御部361が計時している点灯時間が第3閾値以上であるかを判断することにより行われる。有効点灯時間が経過したと判定した場合(ステップS501、YES)は、ステップS502へ進む。有効点灯時間が経過していないと判定した場合(ステップS501、NO)は、ステップS203に戻る。
【0098】
次に、ステップS502において制御部361は、蓄電池20の電池電圧に基づいて電圧目標値を決定する。具体的には、制御部361は判定部364から電池電圧を取得し、この電池電圧と一致する(対応する)第3閾値における電池電圧を記憶部362に記憶された表で特定する。そして、特定した電池電圧の値と対応する第2点灯時間、第2電力の値及び第2電力の値に相当する第2電圧目標値を記憶部362から読み出す。
【0099】
次に、ステップS503において制御部361は、検出部35で検出される電圧と比較する電圧目標値を第1電圧目標値からステップS402で読み出された第2電圧目標値に変更し、この第2電圧目標値に基づいて蓄電池20から非常用光源10に供給される電力がステップS502で読み出された第2電力になるように制御する。
【0100】
次に、
図12を用いて蓄電池20の電池電圧と点灯時間との関係を説明する。
図12は、実施の形態3の防災用照明装置1の点灯動作における蓄電池20の電池電圧と点灯時間との関係を示す説明図である。
図12に示す実線51で示す曲線は、蓄電池20の電池電圧と点灯時間との関係を示す曲線である。蓄電池20は、設定した第2点灯時間において点灯時間が第3閾値になったタイミングの電池電圧から過放電防止電圧まで下がるように電池電圧が下がり、点灯停止をするタイミングにおいて過放電防止電圧に達する。
【0101】
次に、本実施の形態3の防災用照明装置1の効果について説明する。
【0102】
本実施の形態3の防災用照明装置1はおいては、第1点灯時間の経過を予め定められた時間である第3閾値に基づいて判断し、このタイミング、すなわち点灯時間が第3閾値になったタイミングの蓄電池20の電池電圧と設定された第2点灯時間に基づいて供給する第2電力を制御する。第2電力は、第2点灯時間の始期から終期にかけて、電池電圧が上述タイミングで検出された電池電圧から過放電防止電圧まで下がるように設定部363によって設定される。そのため、本実施の形態3の防災用照明装置1は、非常用光源10が有効点灯時間後に任意に入力した第2点灯時間の間に非常用光源10を継続的に点灯させることができ、いつ非常用光源10が点灯停止するか分からないというユーザの不安感を抑えることができる。
【0103】
また、本実施の形態3の防災用照明装置1は、記憶部362において点灯時間が第3閾値になったタイミングの蓄電池20の電池電圧ごとに、それぞれ第2電力の値及び第2電力の値に相当する第2電圧目標値が対応付けられて記憶されている。そのため、制御部361は、点灯時間が第3閾値になったタイミングにおいて、電圧目標値を記憶部362に記憶された第2電圧目標値になるように制御し、蓄電池20から非常用光源10に第2電力を供給させることができる。上述タイミングの電池電圧は、放電基準電圧以上であり、通常、放電基準電圧より高い値である。そのため、放電基準電圧を基準に第2電力を設定した場合と比べて、第2電力が高くなり、より高い照度を得ることができる。
【0104】
なお、本実施の形態3の防災用照明装置1は、設定部363に非常用光源10の点灯開始から点灯停止までを示す合計点灯時間を設定してもよい。このとき、設定部363は、合計点灯時間から有効点灯時間を差し引いて第2点灯時間を算出する。また、本実施の形態3においては、点灯時間の第3閾値を有効点灯時間が経過した時間としたが、それに限らず、有効点灯時間よりも長い任意に定めた時間に設定することもできる。
【0105】
実施の形態4.
本実施の形態4に係る防災用照明装置1について、実施の形態1に係る防災用照明装置1の構成及び動作と異なる点を中心に説明する。
【0106】
実施の形態1に係る防災用照明装置1は、検出部35で検出された電圧と比較する電圧目標値を第1電圧目標値から第2電圧目標値に切り替えることで、非常用光源10に供給される電力を第1電力から第2電力に変更させるものであった。実施の形態4に係る防災用照明装置1は、電圧目標値を固定値とし、検出部35の抵抗の値を変化させることによって、検出部35の接続点で検出される電圧の値を変化させるものである。それによって、防災用照明装置1は、非常用光源10に供給される電力を第1電力から第2電力に変更させるものである。
【0107】
検出部35の構成について
図13を用いて説明する。
図13は、実施の形態4に係る検出部35の構成を示す回路図である。検出部35は、
図13に示すように、抵抗R3、抵抗R4及び抵抗R5が直列に配置される。また、検出部35は、制御ユニット36との接続点Bが抵抗R3と抵抗R4との間に配置され、制御ユニット36との接続点Cが抵抗R4と抵抗R5との間に配置される。ここで、接続点Bで検出される電圧の値を第1検出電圧値とし、接続点Cで検出される電圧の値を第2検出電圧値とする。それぞれの接続点において検出される電圧の値は、接続点の下流側に配置された抵抗の抵抗値と、上流側に配置された抵抗の抵抗値の比によって決定する。なお、抵抗値は、複数の抵抗が配置されている場合において、合成抵抗の値を用いる。例えば、接続点Bにおける抵抗値の比は、(抵抗R3の抵抗の値):(抵抗R4と抵抗R5との合成抵抗の値)となる。また、接続点Cで検出される第2検出電圧値は、接続点Cが接続点Bに対して上流側に配置されるため、第1検出電圧値よりも大きくなる。例えば、接続点Bにおける抵抗値の比を2:1とし、接続点Cにおける抵抗値の比を4:1とする。このとき、接続点Cで検出される電圧の値は、接続点Bで検出される電圧の値の2倍の値となる。このように、検出部35は、複数の接続点を有し、接続点の上流側に配置されている抵抗と下流側に配置されている抵抗の値の比を設定することによって、それぞれに接続点において検出される電圧の値を設定することができる。
【0108】
制御部361は、判定部364が蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧以下になったと判定した場合に検出部35で検出される電圧の接続点Bから接続点Cに切り替える。つまり、制御部361は、電圧目標値と比較する検出部35で検出される電圧を第1検出電圧値から第1検出電圧値よりも大きい値の第2電圧検出値に切り替える。その結果、第2電力の値は、検出部35で検出される電圧の変化の比率が増えるに従って低くなる。例えば、第2検出電圧値が第1検出電圧値に対して2倍の値である場合、非常用光源10に供給される第2電力は、第1電力の値に対してほぼ0.5倍の値になる。つまり、第2検出電圧値が第1検出電圧値に対して大きくなるに従って、第2電力の値が第1電力の値に対して低くなり、第2点灯時間が長くなる。
【0109】
次に、本実施の形態4に示す防災用照明装置1の点灯動作を、
図14を用いて説明する。
図14は、実施の形態4に示す防災用照明装置1の点灯動作を示すフローチャートである。なお、
図14に示すフローチャートの開始時の前提として、防災用照明装置1の制御ユニット36が商用電源2からの電力が停止されたことを検出したこととする。また、実施の形態1における防災用照明装置1の点灯動作におけるフローチャートの符号が同じ処理に関しては、実施の形態4においても同様の処理が行われるものとして省略する。
【0110】
制御ユニット36はステップS201からS202において点灯動作を行うとともに、ステップS601において判定部364が検出部35の接続点Bで検出された第1検出電圧値を取得する。
【0111】
次に、ステップS602において判定部364は、取得した第1検出電圧値が電圧目標値以下であるかを判定する。第1検出電圧値が電圧目標値以下である場合(ステップS602、YES)は、ステップS205に進む。一方で、第1検出電圧値が電圧目標値より大きい(ステップS602、NO)は、ステップS206に進む。
【0112】
ステップS603において制御部361は、取得した蓄電池20の電池電圧が記憶部362に記憶された放電基準電圧よりも大きいか放電基準電圧以下であるかを判定する。蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧以下である場合(ステップS603、YES)は、ステップS604に進む。一方で、蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧より大きい場合(ステップS603、NO)は、ステップS202に戻る。
【0113】
ステップS604において制御部361は、電圧目標値と比較する電圧を検出する接続点を検出部35の接続点Bから接続点Cに切り替える。
【0114】
ステップS605において判定部364が検出部35の接続点Cで検出された第2検出電圧値を取得する。
【0115】
次に、ステップS606において判定部364は、取得した第2検出電圧値が電圧目標値以下であるかを判定する。第2検出電圧値が電圧目標値以下である場合(ステップS606、YES)は、ステップS212に進む。一方で、第2検出電圧値が電圧目標値より大きい場合(ステップS606、NO)は、ステップS213に進む。
【0116】
次に、本実施の形態4の防災用照明装置1の効果について説明する。
【0117】
本実施の形態4の防災用照明装置1は、検出部35において複数の抵抗が直列に配置され、それぞれの抵抗の間に複数の接続点を有する。制御部361は、判定部364において電圧目標値と比較する検出部35から取得する電圧の接続点を下流側に配置された接続点Bから上流側に配置された接続点Cに切り替える。これによって、検出部35で検出される電圧の値が大きくなるため、制御部361は、非常用光源10に供給される電力を第1電力から第1電力より低い第2電力にするように制御することができる。
【0118】
なお、本実施の形態4の検出部35は、3つの抵抗R3、抵抗R4及び抵抗R5が直列に配置され、それぞれの抵抗の間に接続点Bと接続点Cが配置されると説明した。しかしながら、検出部35に3つ以上のN個の抵抗が配置され、接続点がN―1個設けられ、それぞれの抵抗の間に配置されていてもよい。制御部361は、設定される第2点灯時間に応じて、切り替える検出部35の接続点を変更するように制御してもよい。
【0119】
実施の形態5.
本実施の形態5に係る防災用照明装置1について、実施の形態1及び実施の形態4に係る防災用照明装置1の構成及び動作と異なる点を中心に説明する。
【0120】
実施の形態4に係る防災用照明装置1は、判定部364で電圧目標値と比較される検出部35で検出される電圧を接続点の位置を切り替えることで非常用光源10に供給される電力を第1電力から第2電力に変更させるものであった。本実施の形態5に係る防災用照明装置1は、スイッチ素子351を検出部35に設け、スイッチ素子351の切り替えによって、接続点で検出される電圧の値を変更させて非常用光源10に供給される電力を第1電力から第2電力に変更させるものである。
【0121】
実施の形態5に示す検出部35について、
図15を用いて説明する。
図15は、実施の形態5に示す検出部35の構造を示す回路図である。検出部35は、
図15で示すように抵抗R6、抵抗R7及び抵抗R8が直列に配置され、抵抗R8と並列にスイッチ素子351が配置される。また、抵抗R6と抵抗R7の間に接続点Dが配置される。スイッチ素子351は、例えば、制御端子に掛る電圧の値によって導通状態と非導通状態とを切り替える電界効果トランジスタである。スイッチ素子351が導通状態の場合、電流は、スイッチ素子351に流れ、抵抗R8には流れない。よって、接続点Aの下流に配置された抵抗の抵抗値と、上流に配置された抵抗値との比は、スイッチ素子351が非導通状態の場合よりも導通状態である方が大きくなる。ここで、スイッチ素子351が非導通状態において接続点Dで検出される電圧を第3検出電圧値とし、スイッチ素子351が導通状態において接続点Dで検出される電圧を第4検出電圧値とする。検出部35の接続点Dで検出される電圧は、スイッチ素子351が非導通状態における第3検出電圧値よりも導通状態における第4検出電圧値の方が大きくなる。
【0122】
制御部361は、判定部364が蓄電池20の電池電圧が放電基準電圧以下になったと判定した場合に検出部35のスイッチ素子351の制御端子に掛る電圧を制御して、スイッチ素子351を非導通状態から導通状態にする。つまり、制御部361は、電圧目標値と比較する検出部35で検出される電圧を第3検出電圧値から第3検出電圧値よりも大きな第4検出電圧値に切り替える。その結果、第2電力の値は、検出部35で検出される電圧が大きくなった比率に応じて低くなり、第2点灯時間が長くなる。
【0123】
なお、本実施の形態5に係るスイッチ素子351は、制御端子に掛る電圧によって導通状態と非導通とを切り替える電界効果トランジスタであると説明した。しかしながら、スイッチ素子351は、電界効果トランジスタに限らず、バイポーラトランジスタ又はデジタルトランジスタなどの素子でもよい。
【0124】
なお、本実施の形態5に係るスイッチ素子351は、抵抗R8と並列に配置されると説明したが、これに限らない。スイッチ素子351は、抵抗R6あるいは、抵抗R7と並列に配置されていてもよい。
【0125】
また、本実施の形態5に係る検出部35は、抵抗を直列又は並列の少なくとも一方の構成で複数配置し、それぞれの抵抗にスイッチ素子351を並列に配置してもよい。制御部361は、設定される第2点灯時間に応じて、切り替えるスイッチ素子351の個数を変更することによって、検出部35の接続点Dで検出される電圧の値を制御して、非常用光源10に供給される電力の値を制御してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 防災用照明装置、2 商用電源、10 非常用光源、20 蓄電池、30 防災用電源装置、31 フライバック回路、32 定電圧回路、33 充電回路、34 非常用点灯回路、341 点灯回路スイッチング素子、342 電池電圧検出部、35 検出部、351 スイッチ素子、36 制御ユニット、361 制御部、362 記憶部、363 設定部、364 判定部、37 表示用LED、40 通信インターフェース、50 実線、51 実線、A 接続点、B 接続点、C 接続点、D 接続点、R1 抵抗、R2 抵抗、R3 抵抗、R4 抵抗、R5 抵抗、R6 抵抗、R7 抵抗、R8 抵抗。