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特開2024-142838設備機器の支持部への固定構造、緩衝部材及び設備機器の支持部への固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142838
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】設備機器の支持部への固定構造、緩衝部材及び設備機器の支持部への固定方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20241003BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20241003BHJP
   D06F 37/22 20060101ALI20241003BHJP
   D06F 37/24 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F16F15/02 L
F16F15/08 E
D06F37/22
D06F37/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055190
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 知也
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】江本 俊介
【テーマコード(参考)】
3B165
3J048
【Fターム(参考)】
3B165AA24
3B165BA24
3B165BA88
3B165CA06
3B165CA21
3J048AA01
3J048BA01
3J048BB01
3J048BD04
3J048DA01
3J048EA07
(57)【要約】
【課題】設備機器からの振動が設備機器を支持する支持部に伝わりにくい設備機器の支持部への固定構造、緩衝部材及び設備機器の支持部への固定方法を提供する。
【解決手段】固定構造は、設備機器1の被固定部11と、支持部2と、上緩衝部材4と、下緩衝部材5と、締結部材6と、を備える。被固定部11は、下面に締結部材6が挿入される開口部10を有する。支持部2は、上下に貫通する孔部20を有し、設備機器1を支持する。上緩衝部材4は、支持部2の上面21の上側でかつ被固定部11の下面の下側に位置し、孔部40を有する。下緩衝部材5は、支持部2の下面22の下側に位置し、孔部50を有する。締結部材6は、上緩衝部材4及び下緩衝部材5の孔部40、50、支持部2の孔部20及び被固定部11の開口部10を挿通し、被固定部11と支持部2とを締結する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器の支持部への固定構造であって、
前記設備機器の下端部に位置し、下面に締結部材が挿入される開口部を有する被固定部と、
上下に貫通する孔部を有し、前記設備機器を支持する前記支持部と、
前記支持部に接触し、上下に貫通する孔部を有する緩衝部材と、
前記緩衝部材の前記孔部、前記支持部の前記孔部及び前記被固定部の前記開口部を挿通し、前記被固定部と前記支持部とを締結する前記締結部材と、を備え、
前記緩衝部材として、
前記支持部の上面の上側でかつ前記被固定部の下面の下側に位置し、前記孔部を有する上緩衝部材と、
前記支持部の下面の下側に位置し、前記孔部を有する下緩衝部材と、を有する、
設備機器の支持部への固定構造。
【請求項2】
前記緩衝部材は、前記緩衝部材の前記孔部の周囲から延びて、前記支持部の前記孔部に挿入される筒状部を有する、
請求項1に記載の設備機器の支持部への固定構造。
【請求項3】
前記緩衝部材は、表面に前記筒状部を囲む溝部を有する、
請求項2に記載の設備機器の支持部への固定構造。
【請求項4】
前記支持部の前記孔部に挿入される筒状部材を更に備える、
請求項1に記載の設備機器の支持部への固定構造。
【請求項5】
前記緩衝部材は、
前記支持部側を向く第1面及び前記第1面を囲む側面を構成する第1部材と、
前記第1面と反対側の第2面を構成する、前記第1部材より軟質の第2部材と、を有する、
請求項1に記載の設備機器の支持部への固定構造。
【請求項6】
前記緩衝部材は、前記支持部側を向く第1面に、前記緩衝部材の本体を構成する部材と比較して滑性を有する滑性材を有する、
請求項1に記載の設備機器の支持部への固定構造。
【請求項7】
前記緩衝部材は、前記支持部側を向く第1面と反対側の第2面に、前記被固定部が挿入される凹部を有する、
請求項1に記載の設備機器の支持部への固定構造。
【請求項8】
前記設備機器は、衣類乾燥機である、
請求項1に記載の設備機器の支持部への固定構造。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の設備機器の支持部への固定構造において用いられる、前記上緩衝部材及び前記下緩衝部材からなる、
緩衝部材。
【請求項10】
設備機器の支持部への固定方法であって、
前記設備機器は、
下端部の前部に位置して下面に開口部を有する前側の被固定部と、
下端部の後部に位置して下面に開口部を有する後側の被固定部と、を有し、
前記支持部は、
前記支持部の前部に位置して上下に貫通する前側の孔部と、
前記支持部の後部に位置して上下に貫通する後側の孔部と、を有し、
前記固定方法は、
上下に貫通する孔部及び前記孔部の周囲から延びる筒状部を有する上緩衝部材を、前記支持部の前記後側の孔部に前記筒状部を挿入することにより、前記支持部の上面の前記後側の孔部に対応する位置に配置する第1工程と、
前記第1工程の後、前記設備機器の前記後側の被固定部を、前記第1工程において載置した前記上緩衝部材に載置する第2工程と、
前記第2工程の後、前記上緩衝部材を、前記支持部の前記上面の前記前側の孔部に対応する位置に載置する第3工程と、
前記第3工程の後、前記設備機器の前記前側の被固定部を、前記第3工程において載置した前記上緩衝部材に載置する第4工程と、
前記第2工程の後、上下に貫通する孔部を有する下緩衝部材を、前記支持部の下面の前記後側の孔部に対応する位置に配置し、締結部材を、前記下緩衝部材の前記孔部、前記支持部の前記後側の孔部、前記上緩衝部材の前記孔部及び前記後側の被固定部の前記開口部に挿通し、前記後側の被固定部と前記支持部とを前記締結部材により締結する後側締結工程と、
前記第4工程の後、前記下緩衝部材を、前記支持部の前記下面の前記前側の孔部に対応する位置に配置し、前記締結部材を、前記下緩衝部材の前記孔部、前記支持部の前記前側の孔部、前記上緩衝部材の前記孔部及び前記前側の被固定部の前記開口部に挿通し、前記前側の被固定部と前記支持部とを前記締結部材により締結する前側締結工程と、を有する、
設備機器の支持部への固定方法。
【請求項11】
設備機器の支持部への固定方法であって、
前記設備機器は、
下端部の前部に位置して下面に開口部を有する前側の被固定部と、
下端部の後部に位置して下面に開口部を有する後側の被固定部と、を有し、
前記支持部は、
前記支持部の前部に位置して上下に貫通する前側の孔部と、
前記支持部の後部に位置して上下に貫通する後側の孔部と、を有し、
前記固定方法は、
上下に貫通する孔部を有し、前記支持部側を向く第1面に滑性材を有する上緩衝部材を、前記支持部の上面に載置する第1工程と、
前記第1工程の後、前記設備機器の前記後側の被固定部を、前記第1工程において載置した前記上緩衝部材に載置し、前記上緩衝部材を前記支持部の前記上面上で滑らせて、前記上緩衝部材を前記支持部の上面の前記後側の孔部に対応する位置に配置する第2工程と、
前記第2工程の後、前記上緩衝部材を、前記支持部の前記上面の前記前側の孔部に対応する位置に載置する第3工程と、
前記第3工程の後、前記設備機器の前記前側の被固定部を、前記第3工程において載置した前記上緩衝部材に載置する第4工程と、
前記第2工程の後、上下に貫通する孔部を有する下緩衝部材を、前記支持部の下面の前記後側の孔部に対応する位置に配置し、締結部材を、前記下緩衝部材の前記孔部、前記支持部の前記後側の孔部、前記上緩衝部材の前記孔部及び前記後側の被固定部の前記開口部に挿通し、前記後側の被固定部と前記支持部とを前記締結部材により締結する後側締結工程と、
前記第4工程の後、前記下緩衝部材を、前記支持部の前記下面の前記前側の孔部に対応する位置に配置し、前記締結部材を、前記下緩衝部材の前記孔部、前記支持部の前記前側の孔部、前記上緩衝部材の前記孔部及び前記前側の被固定部の前記開口部に挿通し、前記前側の被固定部と前記支持部とを前記締結部材により締結する前側締結工程と、を有する、
設備機器の支持部への固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備機器の支持部への固定構造及び固定方法、この固定構造及び固定方法において用いられる緩衝部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類乾燥機などの物品は、専用台を使用し、その上に螺子等により固定されていた。しかしながら、重心が高く設置安定性が良くないため、専用台の脚部を前に伸ばすと、前方への安定性は増加するものの、物品の後方への設置安定性が良くなく、物品と後方の壁との間に必要な距離を確保できない、といった問題が発生していた。そこで、物品の背面に緩衝材を配置することにより、物品の後方への設置安定性を増加させるとともに、物品と壁との間に必要な距離を確保できる物品の設置方法が採られていた(例えば特許文献1に記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-236996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す従来の物品の設置方法にあっては、専用台に物品が直接載置されており、物品からの振動が専用台に伝わり、更に専用台から建物の躯体や家具に伝わってしまうおそれがあるものであった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされた発明であり、設備機器からの振動が設備機器を支持する支持部に伝わりにくい、設備機器の支持部への固定構造、緩衝部材及び設備機器の支持部への固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、設備機器の支持部への固定構造である。前記設備機器の支持部への固定構造は、被固定部と、前記支持部と、緩衝部材と、締結部材と、を備える。前記被固定部は、前記設備機器の下端部に位置し、下面に前記締結部材が挿入される開口部を有する。前記支持部は、上下に貫通する孔部を有し、前記設備機器を支持する。前記緩衝部材は、前記支持部に接触し、上下に貫通する孔部を有する。前記締結部材は、前記緩衝部材の前記孔部、前記支持部の前記孔部及び前記被固定部の前記開口部を挿通し、前記被固定部と前記支持部とを締結する。前記設備機器の支持部への固定構造は、前記緩衝部材として、上緩衝部材と、下緩衝部材と、を有する。前記上緩衝部材は、前記支持部の上面の上側でかつ前記設備機器の下面の下側に位置し、前記孔部を有する。前記下緩衝部材は、前記支持部の下面の下側に位置し、前記孔部を有する。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、前記緩衝部材は、前記緩衝部材の前記孔部の周囲から延びて、前記支持部の前記孔部に挿入される筒状部を有する。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明に従属する発明であって、前記緩衝部材は、表面に前記筒状部を囲む溝部を有する。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、前記支持部の前記孔部に挿入される筒状部材を更に備える。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1~4のいずれか一項に係る発明に従属する発明であって、前記緩衝部材は、前記支持部側を向く第1面及び前記第1面を囲む側面を構成する第1部材と、前記第1面と反対側の第2面を構成する、前記第1部材より軟質の第2部材と、を有する。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1~5のいずれか一項に係る発明に従属する発明であって、前記緩衝部材は、前記支持部側を向く第1面に、前記緩衝部材の本体を構成する部材と比較して滑性を有する滑性材を有する。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1~6のいずれか一項に係る発明に従属する発明であって、前記緩衝部材は、前記支持部側を向く第1面と反対側の第2面に、前記被固定部が挿入される凹部を有する。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1~7のいずれか一項に係る発明に従属する発明であって、前記設備機器は、衣類乾燥機である。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項1~8のいずれか一項に係る発明に従属する発明であって、前記緩衝部材は、前記設備機器の前記支持部への固定構造において用いられる、前記上緩衝部材及び前記下緩衝部材からなる。
【0015】
請求項10に係る発明は、設備機器の支持部への固定方法である。前記設備機器は、下端部の前部に位置して下面に開口部を有する前側の被固定部と、下端部の後部に位置して下面に開口部を有する後側の被固定部と、を有する。前記支持部は、前記支持部の前部に位置して上下に貫通する前側の孔部と、前記支持部の後部に位置して上下に貫通する後側の孔部と、を有する。前記固定方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、後側締結工程と、前側締結工程と、を有する。前記第1工程は、上下に貫通する孔部及び前記孔部の周囲から延びる筒状部を有する上緩衝部材を、前記支持部の前記後側の孔部に前記筒状部を挿入することにより、前記支持部の上面の前記後側の孔部に対応する位置に配置する工程である。前記第2工程は、前記第1工程の後、前記設備機器の前記後側の被固定部を、前記第1工程において載置した前記上緩衝部材に載置する工程である。前記第3工程は、前記第2工程の後、前記上緩衝部材を、前記支持部の前記上面の前記前側の孔部に対応する位置に載置する工程である。前記第4工程は、前記第3工程の後、前記設備機器の前記前側の被固定部を、前記第3工程において載置した前記上緩衝部材に載置する工程である。前記後側締結工程は、前記第2工程の後、上下に貫通する孔部を有する下緩衝部材を、前記支持部の下面の前記後側の孔部に対応する位置に配置し、締結部材を、前記下緩衝部材の前記孔部、前記支持部の前記後側の孔部、前記上緩衝部材の前記孔部及び前記後側の被固定部の前記開口部に挿通し、前記後側の被固定部と前記支持部とを前記締結部材により締結する工程である。前記前側締結工程は、前記第4工程の後、前記下緩衝部材を、前記支持部の前記下面の前記前側の孔部に対応する位置に配置し、前記締結部材を、前記下緩衝部材の前記孔部、前記支持部の前記前側の孔部、前記上緩衝部材の前記孔部及び前記前側の被固定部の前記開口部に挿通し、前記前側の被固定部と前記支持部とを前記締結部材により締結する工程である。
【0016】
請求項11に係る発明は、設備機器の支持部への固定方法である。前記設備機器は、下端部の前部に位置して下面に開口部を有する前側の被固定部と、下端部の後部に位置して下面に開口部を有する後側の被固定部と、を有する。前記支持部は、前記支持部の前部に位置して上下に貫通する前側の孔部と、前記支持部の後部に位置して上下に貫通する後側の孔部と、を有する。前記固定方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、後側締結工程と、前側締結工程と、を有する。前記第1工程は、上下に貫通する孔部を有し、前記支持部側を向く第1面に滑性材を有する上緩衝部材を、前記支持部の上面に載置する工程である。前記第2工程は、前記第1工程の後、前記設備機器の前記後側の被固定部を、前記第1工程において載置した前記上緩衝部材に載置し、前記上緩衝部材を前記支持部の前記上面上で滑らせて、前記上緩衝部材を前記支持部の上面の前記後側の孔部に対応する位置に配置する工程である。前記第3工程は、前記第2工程の後、前記上緩衝部材を、前記支持部の前記上面の前記前側の孔部に対応する位置に載置する工程である。前記第4工程は、前記第3工程の後、前記設備機器の前記前側の被固定部を、前記第3工程において載置した前記上緩衝部材に載置する工程である。前記後側締結工程は、前記第2工程の後、上下に貫通する孔部を有する下緩衝部材を、前記支持部の下面の前記後側の孔部に対応する位置に配置し、締結部材を、前記下緩衝部材の前記孔部、前記支持部の前記後側の孔部、前記上緩衝部材の前記孔部及び前記後側の被固定部の前記開口部に挿通し、前記後側の被固定部と前記支持部とを前記締結部材により締結する工程である。前記前側締結工程は、前記第4工程の後、前記下緩衝部材を、前記支持部の前記下面の前記前側の孔部に対応する位置に配置し、前記締結部材を、前記下緩衝部材の前記孔部、前記支持部の前記前側の孔部、前記上緩衝部材の前記孔部及び前記前側の被固定部の前記開口部に挿通し、前記前側の被固定部と前記支持部とを前記締結部材により締結する工程である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明にあっては、被固定部(設備機器)からの振動を上緩衝部材がある程度吸収するため、被固定部からの振動を支持部に伝わりにくくすることができる。更に、被固定部から締結部材を介して伝わる振動を下緩衝部材がある程度吸収するため、この点においても被固定部からの振動を支持部に伝わりにくくすることができる。
【0018】
請求項2に係る発明にあっては、緩衝部材の支持部に対する位置決めを行うことができる。また、支持部に配置した緩衝部材の位置ずれが抑制される。また、締結部材と支持部の孔部の内面とが接触することを防止し、被固定部からの振動を支持部に伝わりにくくすることができる。
【0019】
請求項3に係る発明にあっては、カッターナイフ等を溝部に沿って当てて筒状部を切断することで、筒状部を切断しやすい。
【0020】
請求項4に係る発明にあっては、被固定部(設備機器)から締結部材を介して伝わる振動を筒状部材がある程度吸収するため、被固定部からの振動を支持部に伝わりにくくすることができる。
【0021】
請求項5に係る発明にあっては、第2部材を軟質の部材で構成することにより、被固定部(設備機器)からの振動を第2部材にてより吸収しやすくなる。また、第2部材よりも硬質の第1部材により、第2部材が設備機器の重量により横に広がろうとするのを抑えることができる。
【0022】
請求項6に係る発明にあっては、緩衝部材が、支持部の表面を滑りやすくなる。特に、設備機器が載置された緩衝部材が、支持部の上面を滑りやすくなる。
【0023】
請求項7に係る発明にあっては、凹部に挿入された被固定部が上緩衝部材に対してずれにくくなる。
【0024】
請求項8に係る発明にあっては、衣類乾燥機は、洗濯機と比べて使用時の重量が軽く、載置されることが多いため、多くの設置場所において、設備機器からの振動を支持部に伝わりにくくすることができる。
【0025】
請求項9に係る発明にあっては、被固定部からの振動を支持部に伝わりにくくすることができる。
【0026】
請求項10に係る発明にあっては、第1工程及び第3工程において、上緩衝部材の上面に対する位置決めがなされる。また、第2工程及び第4工程において、上緩衝部材の上面に対する位置決めがなされているため、被固定部を上緩衝部材に載置する際に、上面に配置した上緩衝部材の位置ずれが抑制される。
【0027】
請求項11に係る発明にあっては、第2工程において、作業者は、後側の被固定部を上緩衝部材に載置した後、上緩衝部材を滑らせればよく、早い段階で設備機器の後部を支持しなくてもよくなり、設備機器を持ち上げる負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の第1実施形態における設備機器の支持部への固定構造の要部断面図である。
図2図2は、同上の実施形態の固定構造における緩衝部材(上緩衝部材)の斜視図である。
図3図3Aは、同上の実施形態の設備機器の支持部への固定方法の第1工程を説明する斜視図である。図3Bは、同上の実施形態の固定方法における取り付け前の設備機器と支持部の位置関係を説明する平面図である。
図4図4は、同上の実施形態の固定方法の第2工程を説明する斜視図である。
図5図5は、同上の実施形態の固定方法の第4工程を説明する斜視図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態における設備機器の支持部への固定構造の要部断面図である。
図7図7は、本発明の第3実施形態における設備機器の支持部への固定構造の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、衣類乾燥機等の設備機器の支持部への固定構造(取付構造、設置構造)及び固定方法(取付方法、設置方法)と、この固定構造(以下、単に固定構造という)及びこの固定方法(以下、単に固定方法という)において用いられる緩衝部材と、に関する。以下、本発明に係る固定構造、固定方法及び緩衝部材について説明する。
【0030】
(1)第1実施形態
第1実施形態に係る固定構造、緩衝部材及び固定方法について、図1図5に基づいて説明する。固定構造は、被固定部11と、支持部2と、緩衝部材3と、締結部材6と、を備える。まず、設備機器1について説明する。
【0031】
(1.1)設備機器
図3A図5に示すように、第1実施形態に係る設備機器1は、衣類乾燥機である。この衣類乾燥機は、洗濯槽と乾燥装置とを併せ持つ洗濯乾燥機ではなく、洗濯槽を有しない乾燥専用機である。また、この衣類乾燥機は、いわゆる家庭用の衣類乾燥機であり、1人から4、5人程度の家族の衣類を洗濯した後に衣類を乾燥させる乾燥機である。衣類乾燥機からなる設備機器1は、棚板からなる支持部2に載置される。
【0032】
図1に示すように、設備機器1は、下端部に、支持部2に載置されて支持部2に固定される被固定部11を有する。設備機器1は、機器を収容する筐体を有し、筐体の下端部に被固定部11が形成される。具体的には、筐体底壁12に、ねじ等からなる固着具14により脚部材13が固定されて、被固定部11が形成される。すなわち、被固定部11は、筐体底壁12と脚部材13とを含む。図3Bに示すように、設備機器1は、被固定部11として、下端部の後部における左右両側にそれぞれ後側の被固定部111を有すると共に、下端部の前部における左右両側にそれぞれ前側の被固定部112を有する。
【0033】
図1に示すように、被固定部11は、下面に開口部10を有する。開口部10を有する被固定部11の下面は、緩衝部材3を介して支持部2上に載置される面である。開口部10は、下方に開口しており、開口部10の内部は、被固定部11を上下方向に貫通する貫通孔となっていてもよいし、被固定部11を貫通しない凹部となっていてもよい。第1実施形態では、開口部10の内部は、被固定部11(筐体底壁12及び脚部材13)を上下方向に貫通する貫通孔となっている。開口部10は、左右一対の後側の被固定部111及び左右一対の前側の被固定部112(図3B参照)にそれぞれ形成される。
【0034】
開口部10には、締結部材6が挿入される。また、開口部10には、挿入された締結部材6の上端部が取り付けられるための取付部として、雌ねじ部121が形成されている。雌ねじ部121は、筐体底壁12が有する貫通孔の内面に形成されている。
【0035】
(1.2)支持部
支持部2は、設備機器1を支持する。第1実施形態では、図3A及び図3Bに示すように、支持部2は、ラックに設けられる棚板により構成される。支持部2は、木製、金属製、樹脂製等により形成され、支持部2の材質は特に限定されない。支持部2の下方には、空間が位置する。支持部2は、上方を向いて被固定部11が載置される上面21と、下方を向く下面22と、を有する。支持部2は、上面21に載置された設備機器1の重量を支持する。上面21は、設備機器1の載置面(支持面)となる。支持部2の厚み(上下方向における長さ)は、例えば2~5cmの範囲内の適宜の値をとり得るが、特に限定されない。上面21及び下面22は水平面であり、支持部2の厚みは均一である。
【0036】
支持部2は、上下に貫通する孔部20を有する。孔部20は、上面21及び下面22の法線方向(すなわち鉛直方向)に延びている。孔部20の水平断面形状は、円形状である。
【0037】
図3Bに示すように、支持部2は、孔部20として、後部における左右両側にそれぞれ後側の孔部201を有すると共に、前部における左右両側にそれぞれ前側の孔部202を有する。孔部20には、締結部材6が挿通される。左右一対の後側の孔部201は、左右一対の後側の被固定部111の開口部10にそれぞれ対応する位置に形成される。また、左右一対の前側の孔部202は、左右一対の前側の被固定部112の開口部10にそれぞれ対応する位置に形成される。すなわち、全ての孔部20は、同時に全ての開口部10と連通させることができる。
【0038】
(1.3)緩衝部材
図1に示すように、緩衝部材3は、支持部2に接触するように配置される。緩衝部材3は、上下に貫通する孔部(後述する孔部40及び孔部50)を有する。この孔部には、締結部材6が挿通される。緩衝部材3として、上緩衝部材4と、下緩衝部材5と、が設けられる。
【0039】
(1.3.1)上緩衝部材
上緩衝部材4は、支持部2の上面21の上側で、かつ、被固定部11の下面の下側に位置する。図2に示すように、上緩衝部材4の平面視における形状は、円形状である。上緩衝部材4の厚み(上下方向における長さ)は、例えば、3mm、4mm、5mm、6mm、10mm、15mm等、3mm以上かつ15mm以下の範囲内の適宜の値をとり得るが、前記範囲に限定されない。図1及び図2に示すように、上緩衝部材4において、支持部2側を向く面(下面)を第1面41とすると共に、第1面41と反対側であり、被固定部11側を向く面(上面)を第2面42とする。また、上緩衝部材4において、第1面41と第2面42との間に位置し、第1面41及び第2面42を囲んで水平方向を向く外周面を側面43とする。
【0040】
上緩衝部材4の第1面41は、支持部2の上面21上に載置される。また、上緩衝部材4の第2面42上に、被固定部11の下面が載置される。支持部2の上面21(水平面)に載置された状態で、第1面41及び第2面42は水平面となる。
【0041】
第1実施形態では、第2面42に、被固定部11が挿入される凹部421を有する。凹部421の深さは、例えば3mm、4mm、5mm、6mm、7mm等、3mm以上でかつ7mm以下の範囲内の適宜の値をとり得るが、前記範囲に限定されない。被固定部11の外周面の全部又は一部が凹部421の内周面の全部又は一部に接触して、被固定部11が凹部421に嵌まり込んでいる。このような凹部421が上緩衝部材4に形成されることにより、凹部421に挿入された被固定部11が上緩衝部材4に対してずれにくくなる。
【0042】
上緩衝部材4は、上下に貫通する孔部40を有する。孔部40は、第1面41及び第2面42の法線方向(すなわち鉛直方向)に延びている。孔部40の水平断面形状は、円形状である。孔部40には、締結部材6が挿通される。
【0043】
第1実施形態では、上緩衝部材4には、孔部40として、第1孔部401と第2孔部402とが設けられる。第1孔部401及び第2孔部402は、それぞれ異なる種類の設備機器1の被固定部11が上緩衝部材4に載置されたときに、被固定部11の開口部10といずれかの第1孔部401、第2孔部402とが連通するように形成されている。平面視において、第1孔部401及び第2孔部402は、凹部421内に形成されている。第1孔部401に締結部材6が挿通し、第2孔部402には締結部材6は挿通しない。
【0044】
上緩衝部材4は、二種類の材質からなる。上緩衝部材4は、第1面41及び側面43を構成する第1部材46と、第2面42を構成する第2部材47と、を有する。第2部材47は、第1部材46より軟質の部材である。
【0045】
第1実施形態では、第1部材46は、JIS K6253に基づく硬度が40度のEPDMゴム(Ethylene Propylene Diene Monomer Rubber)である。また、第2部材47は、JIS K6253に基づく硬度が15度の発泡ポリウレタンエラストマーである。
【0046】
第2部材47を軟質の部材で構成することにより、第2部材47は被固定部11に直接接触して被固定部11を支持するものであるため、被固定部11(設備機器1)からの振動を第2部材47にてより吸収しやすくなる。
【0047】
また、第1部材46を硬質の部材で構成することにより、第1部材46は第2部材47の側方と下方とを囲むものであるため、第2部材47が設備機器1の重量により横に広がろうとするのを抑える。
【0048】
上緩衝部材4は、滑性材48を有する。滑性材48は、上緩衝部材4の本体を構成する部材と比較して滑性を有する。上緩衝部材4の本体は、第1部材46及び第2部材47により構成される。滑性材48は、上緩衝部材4の本体の下面に形成され、支持部2の上面21と接触する。滑性材48の下面が、支持部2の上面21と接触する第1面41を構成する。
【0049】
滑性材48は、例えばポリテトラフルオロエチレン(Poly Tetra Fluoro Ethylene)等の樹脂からなる。滑性材48と支持部2の上面21との間の摩擦係数は、上緩衝部材4の本体と支持部2の上面21との間の摩擦係数よりも小さい。滑性材48が上緩衝部材4のうち支持部2の上面21と接触する部分に設けられることにより、上緩衝部材4が支持部2の上面21上を滑りやすくなる。
【0050】
(1.3.2)下緩衝部材
下緩衝部材5は、支持部2の下面22の下側に位置する。下緩衝部材5の平面視における形状は、円形状である。下緩衝部材5の厚み(上下方向における長さ)は、例えば、3mm、4mm、5mm、6mm、10mm、15mm等、3mm以上かつ15mm以下の範囲内の適宜の値をとり得るが、前記範囲に限定されない。図1及び図2に示すように、下緩衝部材5において、支持部2側を向く面(上面)を第1面51とすると共に、第1面51と反対側である面(下面)を第2面52とする。
【0051】
下緩衝部材5の第1面51は、支持部2の下面22に接触する。また、下緩衝部材5の第2面52には、ワッシャ63が接触する。
【0052】
支持部2の下面22(水平面)に第1面51が接触した状態で、第1面51及び第2面52は水平面となる。
【0053】
下緩衝部材5は、上下に貫通する孔部50を有する。孔部50は、第1面51及び第2面52の法線方向(すなわち鉛直方向)に延びている。孔部50の水平断面形状は、円形状である。孔部50には、締結部材6が挿通される。
【0054】
下緩衝部材5は、一種類の材質からなる。第1実施形態では、下緩衝部材5は、JIS K6253に基づく硬度が40度のEPDMゴムである。
【0055】
(1.4)締結部材
締結部材6は、被固定部11と支持部2とを締結する部材である。締結部材6は、緩衝部材3(上緩衝部材4及び下緩衝部材5)の孔部(孔部40、孔部50)、支持部2の孔部20及び被固定部11の開口部10を挿通する。
【0056】
具体的には、締結部材6は、ボルト(ねじ部材)により構成される。このボルトは、軸部60及び頭部61を有し、軸部60に雄ねじ部62が形成されている。雄ねじ部62は、軸部60の全長に渡って形成されてもよいし、軸部60の一部にのみ形成されてもよい。
【0057】
(1.5)固定方法
設備機器1の支持部2への固定方法について説明する。固定方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、後側締結工程と、前側締結工程と、を有する。
【0058】
(1.5.1)第1工程
図3Aに示すように、第1工程では、作業者は、上緩衝部材4を、支持部2の上面21に載置する。上緩衝部材4は、第1面41に滑性材48を有している。第1工程で上面21に載置される上緩衝部材4は、後側の被固定部111が載置される上緩衝部材4である。左右の後側の被固定部111にそれぞれ対応する、左右二つの上緩衝部材4が上面21に載置される。上緩衝部材4は、上面21の前部に載置される。
【0059】
(1.5.2)第2工程
第2工程は、第1工程の後に行われる工程である。図4に示すように、第2工程では、作業者は、設備機器1の後側の被固定部111を、第1工程において載置した上緩衝部材4に載置する。上緩衝部材4には凹部421が形成されており、後側の被固定部111が凹部421に嵌め込まれて、後側の被固定部111が上緩衝部材4に載置される。これにより、設備機器1の後部は、後側の被固定部111により上緩衝部材4を介して支持部2に支持されるが、設備機器1の前部は支持部2に支持されない。
【0060】
第2工程では次に、作業者は、設備機器1が載置された上緩衝部材4を、設備機器1と共に支持部2の上面21上で滑らせる。前側の被固定部112は、依然、支持部2に支持されず、作業者が設備機器1の前部を支持する。上緩衝部材4を上面21上で滑らせて、上緩衝部材4を上面21の後側の孔部201に対応する位置に配置する。このとき、上緩衝部材4の孔部40と後側の孔部201とが連通するように、上緩衝部材4を配置することが好ましい。なお、上緩衝部材4は、必ずしも上面21の後側の孔部201に対応する位置に配置しなくてもよく、設備機器1の前側の被固定部112が支持部2の上面21の直上に位置するような位置に配置されればよい。
【0061】
(1.5.3)第3工程
第3工程は、第2工程の後に行われる工程である。第3工程では、作業者は、上緩衝部材4を、上面21の前側の孔部202に対応する位置に載置する。上緩衝部材4は、第1工程で上面21に載置される上緩衝部材4と同様に、第1面41に滑性材48を有している。第3工程で上面21に載置される上緩衝部材4は、前側の被固定部112が載置される上緩衝部材4である。左右の前側の被固定部112にそれぞれ対応する左右二つの上緩衝部材4が、上面21に載置される。上緩衝部材4は、上面21の前側の孔部202が形成されている部分に載置される。このとき、上緩衝部材4の孔部40と前側の孔部202とが連通するように、上緩衝部材4を配置することが好ましい。
【0062】
(1.5.4)第4工程
第4工程は、第3工程の後に行われる工程である。第4工程では、作業者は、図5に示すように、設備機器1の前側の被固定部112を、第3工程において載置した上緩衝部材4に載置する。前側の被固定部112が上緩衝部材4の凹部421に嵌め込まれて、前側の被固定部112が上緩衝部材4に載置される。これにより、設備機器1の前部は、前側の被固定部112により上緩衝部材4を介して支持部2に支持され、設備機器1の全重量が上緩衝部材4を介して支持部2に支持される。
【0063】
(1.5.5)後側締結工程
後側締結工程は、少なくとも第2工程の後に行われる工程である。なお、第1実施形態では、後側締結工程は、第4工程の後に行われる。
【0064】
後側締結工程では、作業者は、下緩衝部材5及びワッシャ63を、支持部2の下面22の後側の孔部201に対応する位置に配置する。
【0065】
次に、作業者は、ワッシャ63の孔部、下緩衝部材5の孔部50、支持部2の後側の孔部201、上緩衝部材4の孔部40及び後側の被固定部111の開口部10が連通していない場合、設備機器1が載置された上緩衝部材4を上面21上で滑らせたりして位置の微調整を行い、これらの孔部及び開口部10を連通させる。
【0066】
次に、作業者は、下方より締結部材6を、ワッシャ63の孔部、下緩衝部材5の孔部50、支持部2の後側の孔部201、上緩衝部材4の孔部40及び後側の被固定部111の開口部10に挿通させる。
【0067】
次に、作業者は、締結部材6の雄ねじ部62を被固定部11の雌ねじ部121に螺合させて締め付ける。これにより、後側の被固定部111と支持部2とが締結部材6により締結される。
【0068】
(1.5.6)前側締結工程
前側締結工程は、少なくとも第4工程の後に行われる工程である。なお、第1実施形態では、前側締結工程は後側締結工程の後に行われるが、前側締結工程は、後側締結工程の前に行われてもよいし、後側締結工程と同時に行われてもよい。
【0069】
前側締結工程は、後側締結工程における後側の被固定部111及び後側の孔部201が、前側の被固定部112及び前側の孔部202に変わっているだけであり、後側締結工程と同様の作業であるため、説明を省略する。
【0070】
(1.6)第1実施形態のまとめ
上述した固定構造は、設備機器1の被固定部11、上緩衝部材4、支持部2、下緩衝部材5及び締結部材6を備え、被固定部11は上緩衝部材4を介して支持部2に締結される。これにより、被固定部11(設備機器1)からの振動を上緩衝部材4がある程度吸収するため、被固定部11からの振動を支持部2に伝わりにくくすることができる。
【0071】
また、被固定部11からの振動は、被固定部11を締結する締結部材6に伝わるため、締結部材6から支持部2に振動が伝わる振動経路がある。こちらの振動経路については、締結部材6の頭部61と支持部2との間に下緩衝部材5が配置されているため、被固定部11から締結部材6を介して伝わる振動を下緩衝部材5にてある程度吸収し、被固定部11からの振動を支持部2に伝わりにくくすることができる。
【0072】
また、衣類乾燥機は、洗濯機と比べて使用時の重量が軽く、床ではなく棚板や架台等からなる支持部2に載置されることが多い。このため、設備機器1が衣類乾燥機である場合、多くの家庭で、支持部2に載置された設備機器1からの振動を支持部2に伝わりにくくすることができる。
【0073】
また、上緩衝部材4の第2面42に凹部421が設けられているため、凹部421に挿入された被固定部11が上緩衝部材4に対してずれにくくなり、第2工程において後側の被固定部111が載置された上緩衝部材4を上面21上で滑らせる際に、上緩衝部材4と後側の被固定部111とがずれにくくなる。
【0074】
また、上緩衝部材4の第1面41に滑性材48が設けられているため、後側の被固定部111が載置された上緩衝部材4を上面21上で滑らせやすくなる。
【0075】
また、上述した固定方法にあっては、第2工程において、作業者は、後側の被固定部111を上緩衝部材4に載置した後、設備機器1が載置された上緩衝部材4を滑らせるため、作業者は、早い段階で設備機器1の後部を支持しなくてもよくなり、設備機器1を持ち上げる負担が軽減され、設備機器1を支持部2へ固定する作業が楽になる。
【0076】
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態に係る固定構造、固定方法及び緩衝部材3について、図6に基づいて説明する。なお、第2実施形態に係る固定構造、固定方法及び緩衝部材3は、第1実施形態に係る固定構造、固定方法及び緩衝部材3と大部分において同じであるため、第1実施形態と重複する部分については同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0077】
第2実施形態に係る固定構造は、第1実施形態に係る固定構造に加えて、筒状部材7を更に備える。筒状部材7は、支持部2の孔部20に挿入される部材である。筒状部材7は、水平断面における形状が円形状をした円筒部材である。筒状部材7は、例えばJIS K6253に基づく硬度が40度のEPDMゴムにより形成される。
【0078】
筒状部材7が孔部20内に配置されることにより、締結部材6(具体的には軸部60)と支持部2の孔部20に面する内面とが、接触することを防止する。すなわち、万一、被固定部11(設備機器1)の振動により被固定部11、上緩衝部材4、下緩衝部材5及び締結部材6が支持部2の上面21の面方向に移動すると、筒状部材7が孔部20内に配置されてない場合、締結部材6と支持部2の孔部20の内面とが接触する。締結部材6と支持部2の孔部20の内面とが接触すると、設備機器1からの振動が締結部材6を介して支持部2に伝わってしまう。
【0079】
第2実施形態においては、筒状部材7が孔部20内に配置されることにより、締結部材6が支持部2に対して移動しても、締結部材6は筒状部材7を介して孔部20の内面と接するため、被固定部11(設備機器1)から締結部材6を介して伝わる振動を筒状部材7がある程度吸収するため、被固定部11からの振動を支持部2に伝わりにくくすることができる。
【0080】
なお、第2実施形態に係る固定方法にあっては、後側締結工程及び前側締結工程において、締結部材6を、ワッシャ63の孔部、下緩衝部材5の孔部50、支持部2の後側の孔部201、上緩衝部材4の孔部40及び後側の被固定部111の開口部10に挿通させる前に、筒状部材7を孔部20に挿入しておく。
【0081】
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態に係る固定構造、固定方法及び緩衝部材3について、図7に基づいて説明する。なお、第3実施形態に係る固定構造、固定方法及び緩衝部材3は、第1実施形態に係る固定構造、固定方法及び緩衝部材3と大部分において同じであるため、第1実施形態と重複する部分については同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0082】
第3実施形態に係る固定構造は、第1実施形態に係る固定構造と比べて、上緩衝部材4のみが異なり、その他の構成は同じである。
【0083】
(3.1)上緩衝部材
上緩衝部材4は、第2面42に凹部421(図1参照)を有しない。また、上緩衝部材4は、孔部40を一つのみ有する。
【0084】
上緩衝部材4は、孔部40の周囲から延びて、支持部2の孔部20に挿入される筒状部44を有する。筒状部44は、上緩衝部材4(第1部材46)と一体に形成されている。筒状部44は、水平断面における形状が円形状をしている。
【0085】
上緩衝部材4が筒状部44を有することにより、筒状部44を孔部20に挿入することで、上緩衝部材4の上面21(支持部2)に対する位置決めを行うことができる。また、上面21(支持部2)に配置した上緩衝部材4の位置ずれを抑制することができる。また、第2実施形態における筒状部材7と同様に、締結部材6と支持部2の孔部20の内面とが接触することを防止し、被固定部11からの振動を支持部2に伝わりにくくすることができる。
【0086】
上緩衝部材4は、表面に筒状部44を囲む溝部45を有する。上緩衝部材4には、第1面41における筒状部44の周囲に、断面V字状の溝部45が円環状に形成されている。
【0087】
溝部45により、カッターナイフ等を溝部45に沿って当てることで、筒状部44を切断しやすくなる。筒状部44を切断すれば、筒状部44を要しない場合に、第1実施形態における上緩衝部材4と同様の上緩衝部材4を構成することができる。
【0088】
(3.2)固定方法
第3実施形態に係る固定方法について説明する。固定方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、後側締結工程と、前側締結工程と、を有し、この点では第1実施形態と同様である。
【0089】
(3.2.1)第1工程
作業者は、上緩衝部材4を、支持部2の後側の孔部201に筒状部44を挿入することにより、支持部2の上面21の後側の孔部201に対応する位置に配置する。これにより、上緩衝部材4の上面21に対する位置決めがなされる。
【0090】
(3.2.2)第2工程
第2工程は、第1工程の後に行われる工程である。第2工程では、作業者は、設備機器1の後側の被固定部111を、第1工程において載置した上緩衝部材4に載置する。第1実施形態では、後側の被固定部111を、支持部2の前部に配置された上緩衝部材4に載置することが可能であるが、第3実施形態では、作業者が、設備機器1を持ち上げた状態で後側の被固定部111を支持部2の後部まで移動させる必要がある。
【0091】
上緩衝部材4の上面21に対する位置決めがなされているため、上面21に配置した上緩衝部材4の位置ずれが抑制される。
【0092】
(3.2.3)第3工程
第3工程は、第2工程の後に行われる工程である。第3工程では、作業者は、上緩衝部材4を、上面21の前側の孔部202に対応する位置に載置する。第1工程と同様に、作業者は、支持部2の前側の孔部202に筒状部44を挿入することにより、上緩衝部材4を、支持部2の上面21の前側の孔部202に対応する位置に配置する。これにより、上緩衝部材4の上面21に対する位置決めがなされる。
【0093】
(3.2.4)第4工程
第4工程は、第3工程の後に行われる工程である。第4工程では、作業者は、図5に示すように、設備機器1の前側の被固定部112を、第3工程において載置した上緩衝部材4に載置する。上緩衝部材4の上面21に対する位置決めがなされているため、上面21に配置した上緩衝部材4の位置ずれが抑制される。
【0094】
(3.2.5)後側締結工程
後側締結工程は、少なくとも第2工程の後に行われる工程である。なお、第3実施形態では、後側締結工程は、第4工程の後に行われる。具体的には、第1実施形態における後側締結工程と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0095】
(3.2.6)前側締結工程
前側締結工程は、少なくとも第4工程の後に行われる工程である。なお、第3実施形態では、前側締結工程は後側締結工程の後に行われるが、前側締結工程は、後側締結工程の前に行われてもよいし、後側締結工程と同時に行われてもよい。具体的には、第1実施形態における前側締結工程と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0096】
(3.3)第3実施形態のまとめ
上述した固定構造は、被固定部11(設備機器1)からの振動を上緩衝部材4がある程度吸収するため、被固定部11からの振動を支持部2に伝わりにくくすることができる。
【0097】
また、被固定部11から締結部材6を介して伝わる振動を下緩衝部材5にてある程度吸収し、被固定部11からの振動を支持部2に伝わりにくくすることができる。
【0098】
また、筒状部44により、締結部材6と支持部2の孔部20の内面とが接触することを防止し、被固定部11からの振動を支持部2に伝わりにくくすることができる。
【0099】
また、上述した固定方法にあっては、第1工程及び第3工程において、上緩衝部材4の上面21に対する位置決めがなされる。また、第2工程及び第4工程において、上緩衝部材4の上面21に対する位置決めがなされているため、被固定部11を上緩衝部材4に載置する際に、上面21に配置した上緩衝部材4の位置ずれが抑制される。
【0100】
(4)変形例
上述した実施形態においては、設備機器1は衣類乾燥機(乾燥専用機)であったが、設備機器1は、洗濯乾燥機であってもよいし、洗濯機であってもよい。また、設備機器1は、いわゆる家庭用ではなく、10人分以上の衣類を洗濯、乾燥、洗濯及び乾燥するいわゆる業務用の洗濯機、衣類乾燥機又は洗濯乾燥機であってもよい。また、設備機器1は、洗濯機、衣類乾燥機又は洗濯乾燥機に限定されない。振動源であれば、本発明の設備機器1の対象となり得る。
【0101】
被固定部11は、筐体底壁12と脚部材13とを含むものであったが、特にこのような構成である必要はない。被固定部11は、例えば筐体底壁12に一体的に形成されてもよく、どのような形態で設けられるかは限定されず、少なくとも下面に開口部10を有していればよい。また、被固定部11は、設備機器1の下端部に設けられなくてもよい。すなわち、設備機器1において、被固定部11とならない部分が被固定部11よりも下側に位置してもよい。設備機器1において被固定部11が設けられる位置、個数等は限定されない。
【0102】
締結部材6の雄ねじ部62が取り付けられる雌ねじ部121は、筐体底壁12が有する貫通孔の内面に形成されているが、脚部材13が有する貫通孔の内面に形成されてもよい。
【0103】
被固定部11に、締結部材6の雄ねじ部62が取り付けられるための雌ねじ部が形成されなくてもよい。締結部材6の雄ねじ部62に、被固定部11の上側においてナットが螺合されて、締結部材6を構成するボルトとナットとにより設備機器1と支持部2とを締結してもよい。また、被固定部11の開口部10、あるいは、開口部10の内部の貫通孔又は凹部にナットを溶接等により固定して、締結部材6の雄ねじ部62と螺合するように構成してもよい。
【0104】
上面21及び下面22は水平面であったが、上面21及び下面22は特に水平面である必要はない。また、支持部2の厚みは均一である必要はない。
【0105】
支持部2は、棚板により構成されていたが、特に広範囲に渡る上面21を有する板部材ではなく、例えばフレーム材により支持部2が構成されてもよい。
【0106】
孔部20は、鉛直方向に延びる孔部であったが、鉛直方向に対して傾斜する方向に延びてもよい。孔部20の水平断面形状は、特に限定されない。支持部2において孔部20が設けられる位置、個数等は限定されない。
【0107】
上緩衝部材4の平面視における形状は、円形状に限定されない。
【0108】
第1面41及び第2面42は水平面であったが、第1面41及び第2面42は特に水平面である必要はない。また、上緩衝部材4の厚みは均一であってもよいし、均一でなくてもよい。
【0109】
孔部40は、鉛直方向に延びる孔部であったが、鉛直方向に対して傾斜する方向に延びてもよい。孔部40の水平断面形状は、特に限定されない。一つの上緩衝部材4に形成される孔部40の個数は限定されない。
【0110】
上緩衝部材4は、二種類の材質からなるが、上緩衝部材4は、一種類の材質からなるものであってもよいし、三種類以上の材質からなるものであってもよい。
【0111】
第1部材46のJIS K6253に基づく硬度は、30度以上でかつ50度以下であることが好ましいが、特に限定されない。第2部材47のJIS K6253に基づく硬度は、10度以上でかつ20度以下であることが好ましいが、特に限定されない。
【0112】
滑性材48の材質は、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂であってもよいし、樹脂でなくてもよい。すなわち、上緩衝部材4の本体と支持部2の上面21との間の摩擦係数よりも、支持部2の上面21との摩擦係数が小さい部材により、滑性材48が構成される。また、滑性材48は、任意の構成であり、上緩衝部材4に設けられなくてもよい。
【0113】
ワッシャ63は任意の構成であり、設けられなくてもよい。
【0114】
下緩衝部材5の平面視における形状は、円形状に限定されない。
【0115】
第1面51及び第2面52は水平面であったが、第1面51及び第2面52は特に水平面である必要はない。また、下緩衝部材5の厚みは均一であってもよいし、均一でなくてもよい。
【0116】
孔部50は、鉛直方向に延びる孔部であったが、鉛直方向に対して傾斜する方向に延びてもよい。孔部50の水平断面形状は、特に限定されない。一つの下緩衝部材5に形成される孔部50の個数は限定されない。
【0117】
下緩衝部材5は、一種類の材質からなるが、下緩衝部材5は、二種類以上の材質からなるものであってもよい。下緩衝部材5のJIS K6253に基づく硬度は、30度以上でかつ50度以下であることが好ましいが、特に限定されない。また、下緩衝部材5の材質は、上緩衝部材4の材質と同じであってもよいし、上緩衝部材4の材質と異なってもよい。下緩衝部材5の第1面51に、滑性材48が設けられてもよい。
【0118】
締結部材6は、頭部のない軸部60のみのボルトとナットとで構成されてもよい。
【0119】
固定方法の第3工程で上面21に載置される上緩衝部材4には、滑性材48が設けられなくてもよい。
【0120】
筒状部材7のJIS K6253に基づく硬度は、30度以上でかつ50度以下であることが好ましいが、筒状部材7の硬度は限定されず、筒状部材7の材質も限定されない。筒状部材7は、水平断面における形状が環状をしていることが好ましいが、環状に限定されない。
【0121】
筒状部44は、水平断面における形状が環状をしていることが好ましいが、環状をしていなくてもよく、形状は限定されない。下緩衝部材5が筒状部44を有してもよく、更に溝部45を有してもよい。
【0122】
溝部45は、環状に形成されることが好ましいが、環状をしていなくてもよい。また、溝部45は、第1面41ではなく、筒状部44の側面に形成されてもよい。
【0123】
なお、上述した実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎず、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0124】
1 設備機器
10 開口部
11 被固定部
111 後側の被固定部
112 前側の被固定部
12 筐体底壁
121 雌ねじ部
13 脚部材
14 固着具
2 支持部
20 孔部
201 後側の孔部
202 前側の孔部
21 上面
22 下面
3 緩衝部材
4 上緩衝部材
40 孔部
401 第1孔部
402 第2孔部
41 第1面(下面)
42 第2面(上面)
421 凹部
43 側面
44 筒状部
45 溝部
46 第1部材
47 第2部材
48 滑性材
5 下緩衝部材
50 孔部
51 第1面(上面)
52 第2面(下面)
6 締結部材
60 軸部
61 頭部
62 雄ねじ部
63 ワッシャ
7 筒状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7