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特開2024-142850音声調整用データ提供システム及びプログラム
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  • 特開-音声調整用データ提供システム及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142850
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】音声調整用データ提供システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H03G 5/02 20060101AFI20241003BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20241003BHJP
   H04S 7/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
H03G5/02 025
H04R3/00 310
H04S7/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055206
(22)【出願日】2023-03-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開の事由1 公開日 :令和5年1月13日 展示会名:TOKYO AUTO SALON 2023 開催場所:幕張メッセ 公開の事由2 販売日 :令和5年3月9日~令和5年3月30日 販売場所:株式会社ビートソニック 公開の事由3 ウェブサイトの掲載月:令和5年1月 ウェブサイトのアドレス:http://www.beatsonic.co.jp/ http://www.beatsonic.co.jp/toon/ http://www.beatsonic.co.jp/toon/toyota.php http://www.beatsonic.co.jp/toon/nissan.php http://www.beatsonic.co.jp/toon/tekigou.php http://www.beatsonic.co.jp/toon/tekigou.php?bland_id=1 http://www.beatsonic.co.jp/toon/tekigou.php?bland_id=2 http://www.beatsonic.co.jp/toon/manual.php http://www.beatsonic.co.jp/toon/manual/DSP-X.pdf http://www.beatsonic.co.jp/toon/manual/DSP_soft_manual.pdf http://www.beatsonic.co.jp/toon/manual/DSP_setuzoku.pdf http://www.beatsonic.co.jp/toon/Sound_Controller.exe http://www.beatsonic.co.jp/toon/alignment.php http://news.beatsonic.co.jp/ http://news.beatsonic.co.jp/post-3028/ http://news.beatsonic.co.jp/post-3054/ http://www.beatsonic.co.jp/toon/question.php?pro=TOYOTA
(71)【出願人】
【識別番号】302026885
【氏名又は名称】株式会社ビートソニック
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 大地
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 悠二
【テーマコード(参考)】
5D162
5D220
5J030
【Fターム(参考)】
5D162AA16
5D162AA17
5D162CA12
5D162CA22
5D220AA50
5D220AB01
5J030AA02
5J030AB03
5J030AC01
5J030AC16
5J030AC20
5J030AC21
5J030AC28
5J030AC29
(57)【要約】
【課題】様々な利用者が、車両の種別に合ったタイムアライメント設定データを容易に取得しやすく、利用しやすい技術を提供する。
【解決手段】管理システム10の記憶部12には、車の種別毎の音声調整用データが記憶される。各々の音声調整用データは、自身に対応付けられた車の種別でのタイムアライメントを設定するタイムアライメント設定データを含む。制御部11は、通信部15が車の種別を指定する指定情報をいずれかの外部装置20から受けた場合に、指定情報で指定された種別に対応付けられた音声調整用データを、指定元の外部装置20に送信する動作を通信部15に行わせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶する記憶部と、外部装置との間で通信を行う通信部と、情報処理を行う制御部と、を備えた管理システムを有し、
前記記憶部には、車の種別毎の音声調整用データが記憶され、
各々の前記音声調整用データは、自身に対応付けられた車の種別でのタイムアライメントを設定するタイムアライメント設定データを含み、
前記制御部は、前記通信部が車の種別を指定する指定情報を前記外部装置から受けた場合に、前記指定情報で指定された種別に対応付けられた前記音声調整用データを前記外部装置に送信する動作を前記通信部に行わせる
音声調整用データ提供システム。
【請求項2】
プログラムを備え、
前記プログラムは、前記管理システムから前記外部装置に与えられた前記音声調整用データに含まれる前記タイムアライメント設定データの設定内容を前記外部装置の表示装置に表示させるように動作する
請求項1に記載の音声調整用データ提供システム。
【請求項3】
前記プログラムは、
前記外部装置の操作装置において、前記タイムアライメント設定データの設定内容を修正及び更新する入力操作がなされた場合、前記入力操作を反映するように前記タイムアライメント設定データを更新した新たな設定データを生成する
請求項2に記載の音声調整用データ提供システム。
【請求項4】
記憶部と通信部と制御部とを有する管理システムと、操作装置と記憶装置とを有する外部装置と、を備えた音声調整用データ提供システムに用いられるプログラムであって、
前記記憶部には、車の種別毎の音声調整用データが記憶され、
各々の前記音声調整用データは、自身に対応付けられた車の種別でのタイムアライメントを設定するタイムアライメント設定データを含み、
前記通信部は、少なくとも前記外部装置と通信を行い、
前記制御部は、前記通信部が車の種別を指定する指定情報を前記外部装置から受けた場合に、前記指定情報で指定された種別に対応付けられた前記音声調整用データを前記外部装置に送信する動作を前記通信部に行わせるようになっており、
前記プログラムは、
前記操作装置において車の種別を指定する入力操作がなされた場合に前記入力操作で指定された種別を指定する前記指定情報を前記管理システムに送信する動作を前記外部装置に行わせ、
前記外部装置が前記管理システムに前記指定情報を送信した後に前記管理システムから前記外部装置に前記音声調整用データが送信された場合に、前記音声調整用データを前記記憶装置に記憶する動作を前記外部装置に行わせる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音声調整用データ提供システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、音質調整装置の一例が開示されている。特許文献1の音質調整装置は、パラメータ設定部と調整モデル記憶部と調整操作受付部とパラメータ補正部とを備える。パラメータ設定部は、車種ごとに調整されたサウンドパラメータを取得して設定する。調整モデル記憶部は、可聴周波数域を分割した複数の周波数帯域と、各周波数帯域で調整される音質のイメージを表した言語とを関連付けて、当該関連付けを調整モデルとして記憶する。調整操作受付部は、上記調整モデル記憶部に記憶されている各周波数帯域に対応する言語を表示して音質調整のための操作を受け付ける。パラメータ補正部は、上記調整操作受付部により、ユーザ所望の周波数帯域に関する音質調整のための操作を受け付けた場合、上記パラメータ設定部により設定されたサウンドパラメータのうち、上記ユーザ所望の周波数帯域に関するサウンドパラメータを補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-11764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の音質調整装置は、車種ごとに調整されたサウンドパラメータをイコライザに設定した場合でも意図通りにならない音質の調整を、専門的な音響知識を持たないユーザであっても容易に行えるようにすることを目的とするものである。そして、上記音質調整装置は、どのように音質を調整したいかというユーザの心理に合わせて、表示された心理的言語の中から所望の心理的言語が選択され、その心理的言語に関連付けられた周波数帯域に関するサウンドパラメータが補正されるようになっている。しかし、上記音声調整装置の特徴的機能は、あくまでイコライザのパラメータを設定することを目的としており、タイムアライメントの調整を何ら想定してはいない。
【0005】
本開示の目的の一つは、様々な利用者が、車両の種別に合ったタイムアライメント設定データを容易に取得しやすく、利用しやすい技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである音声調整用データ提供システムは、
情報を記憶する記憶部と、外部装置との間で通信を行う通信部と、情報処理を行う制御部と、を備えた管理システムを有し、
前記記憶部には、車の種別毎の音声調整用データが記憶され、
各々の前記音声調整用データは、自身に対応付けられた車の種別でのタイムアライメントを設定するタイムアライメント設定データを含み、
前記制御部は、前記通信部が車の種別を指定する指定情報を前記外部装置から受けた場合に、前記指定情報で指定された種別に対応付けられた前記音声調整用データを前記外部装置に送信する動作を前記通信部に行わせる。
【0007】
本開示の一つであるプログラムは、
記憶部と通信部と制御部とを有する管理システムと、操作装置と記憶装置とを有する外部装置と、を備えた音声調整用データ提供システムに用いられるプログラムであって、
前記記憶部には、車の種別毎の音声調整用データが記憶され、
各々の前記音声調整用データは、自身に対応付けられた車の種別でのタイムアライメントを設定するタイムアライメント設定データを含み、
前記通信部は、少なくとも前記外部装置と通信を行い、
前記制御部は、前記通信部が車の種別を指定する指定情報を前記外部装置から受けた場合に、前記指定情報で指定された種別に対応付けられた前記音声調整用データを前記外部装置に送信する動作を前記通信部に行わせるようになっており、
前記プログラムは、
前記操作装置において車の種別を指定する入力操作がなされた場合に前記入力操作で指定された種別を指定する前記指定情報を前記管理システムに送信する動作を前記外部装置に行わせ、
前記外部装置が前記管理システムに前記指定情報を送信した後に前記管理システムから前記外部装置に前記音声調整用データが送信された場合に、前記音声調整用データを前記記憶装置に記憶する動作を前記外部装置に行わせる
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る技術によれば、様々な利用者が、車両の種別に合ったタイムアライメント設定データを容易に取得しやすく、利用しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る音声調整用データ提供システムを概念的に例示する説明図である。
図2図2は、図1の音声調整用データ提供システムに用いられるデータベースを概念的に例示する説明図である。
図3図3は、外部装置から音声調整装置に音声調整用データを送信する様子を説明する説明図である。
図4図4は、外部装置に音声調整用データの設定内容を表示する例を説明する説明図である。
図5図5は、音声調整装置を車両内に搭載した状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の〔1〕~〔4〕の各々は、本開示に含まれる特徴的技術の一例である。
【0011】
〔1〕情報を記憶する記憶部と、外部装置との間で通信を行う通信部と、情報処理を行う制御部と、を備えた管理システムを有し、
前記記憶部には、車の種別毎の音声調整用データが記憶され、
各々の前記音声調整用データは、自身に対応付けられた車の種別でのタイムアライメントを設定するタイムアライメント設定データを含み、
前記制御部は、前記通信部が車の種別を指定する指定情報を前記外部装置から受けた場合に、前記指定情報で指定された種別に対応付けられた前記音声調整用データを前記外部装置に送信する動作を前記通信部に行わせる
音声調整用データ提供システム。
【0012】
上記〔1〕の音声調整用データ提供システムでは、車の種別を指定する指定情報を外部装置から与えるという簡易な対応に応じて、指定された車の種別に対応付けられたタイムアライメント設定データを指定元の外部装置に提供することができる。従って、利用者は、所望の車の種別に合ったタイムアライメント設定データを必要とする場合に、一から自分で生成しなくても、或いは、専門的事業者にタイムアライメントの設定を個別に依頼しなくても、外部装置からの車の種別の指定により、指定種別に合ったタイムアライメント設定データを容易に取得し、利用することができる。
【0013】
〔2〕プログラムを備え、
前記プログラムは、前記管理システムから前記外部装置に与えられた前記音声調整用データに含まれる前記タイムアライメント設定データの設定内容を前記外部装置の表示装置に表示させるように動作する
〔1〕に記載の音声調整用データ提供システム。
【0014】
上記〔2〕の音声調整用データ提供システムによれば、利用者は、外部装置を用いて所望の種別に合ったタイムアライメント設定データを取得するだけでなく、取得したタイムアライメント設定データの設定内容を視覚的に把握することもできる。
【0015】
〔3〕前記プログラムは、
前記外部装置の操作装置において、前記タイムアライメント設定データの設定内容を修正及び更新する入力操作がなされた場合、前記入力操作を反映するように前記タイムアライメント設定データを更新した新たな設定データを生成する
〔2〕に記載の音声調整用データ提供システム。
【0016】
上記〔3〕の音声調整用データ提供システムによれば、利用者は、外部装置を用いて取得したタイムアライメント設定データをそのまま利用するだけでなく、修正及び更新を行ったうえで利用することもできる。
【0017】
〔4〕記憶部と通信部と制御部とを有する管理システムと、操作装置と記憶装置とを有する外部装置と、を備えた音声調整用データ提供システムに用いられるプログラムであって、
前記記憶部には、車の種別毎の音声調整用データが記憶され、
各々の前記音声調整用データは、自身に対応付けられた車の種別でのタイムアライメントを設定するタイムアライメント設定データを含み、
前記通信部は、少なくとも前記外部装置と通信を行い、
前記制御部は、前記通信部が車の種別を指定する指定情報を前記外部装置から受けた場合に、前記指定情報で指定された種別に対応付けられた前記音声調整用データを前記外部装置に送信する動作を前記通信部に行わせるようになっており、
前記プログラムは、
前記操作装置において車の種別を指定する入力操作がなされた場合に前記入力操作で指定された種別を指定する前記指定情報を前記管理システムに送信する動作を前記外部装置に行わせ、
前記外部装置が前記管理システムに前記指定情報を送信した後に前記管理システムから前記外部装置に前記音声調整用データが送信された場合に、前記音声調整用データを前記記憶装置に記憶する動作を前記外部装置に行わせる
プログラム。
【0018】
上記〔4〕のプログラムによれば、利用者は、所望の車の種別に合ったタイムアライメント設定データを必要とする場合に、一から自分で生成しなくても、或いは、専門的事業者にタイムアライメントの設定を個別に依頼しなくても、外部装置からの車の種別の指定により、指定種別に合ったタイムアライメント設定データを容易に取得し、利用することができる。
【0019】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に関する。
1.音声調整用データ提供システムの基本構成
図1に示される音声調整用データ提供システム1は、音声の調整に用いる音声調整用データを外部装置20に提供し、外部装置20において利用可能とするシステムである。例えば、外部装置20から音声調整装置40に対して音声調整用データを与えるように利用することができ、このような利用によって、音声調整装置40では、音声調整用データを反映した音声出力が可能となる。音声調整用データ提供システム1は、システム1とも称される。システム1は、主に、管理システム10と、外部装置20に記憶されるプログラムとを備える。
【0020】
管理システム10は、例えばコンピュータを備えたシステムとして構成されている。管理システム10は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、通信部15、等を備える。なお、管理システム10は、単一の装置(例えば、単一の情報処理装置)によって構成されていてもよく、互いに通信可能な複数の装置によって構成されていてもよい。
【0021】
制御部11は、例えばCPUを備えた情報処理装置であり、様々な演算、制御、情報処理を行い得る。記憶部12は、例えばROM、RAM、HDD、SSD等の記憶装置を含み、様々な情報を記憶する。通信部15は、管理システム10の外部に設けられた外部装置20との間で公知の方式で有線通信や無線通信を行う装置である。操作部13は、キーボード、マウス、タッチパネル、音声入力装置等の公知の入力デバイスである。表示部14は、ディスプレイなどの公知の表示装置であり、文字、その他の記号、絵柄などの画像を表示し得る。管理システム10は、インターネットなどの通信網90に接続可能とされている。制御部11と通信部15とが協働して通信網90に対して情報を送信することもでき、通信網90を介して送信された情報を受信することもできる。
【0022】
記憶部12には様々な情報が記録され、車の種別毎の音声調整用データが記憶されるようにデータベースが構成されている。音声調整用データは、単に、調整用データとも称される。記憶部12において構成されるデータベースは、図2のように、各々の種別に対して調整用データが対応付けられており、例えば、車の種別1に対して調整用データ1が対応付けられ、車の種別2に対して調整用データ2が対応付けられ、車の種別3に対して調整用データ3が対応付けられている。各々の調整用データは、自身に対応付けられた車の種別でのタイムアライメントを設定するタイムアライメント設定データと、自身に対応付けられた車の種別でのイコライザを設定するイコライザ設定データと、を含む。例えば、車の種別1に対応付けられた調整用データ1は、自身(調整用データ1)に対応付けられた種別1でのタイムアライメントを設定するタイムアライメント設定データA1と、種別1でのイコライザを設定するイコライザ設定データB1と、を含む。同様に、車の種別2に対応付けられた調整用データ2は、自身(調整用データ2)に対応付けられた種別2でのタイムアライメントを設定するタイムアライメント設定データA2と、種別2でのイコライザを設定するイコライザ設定データB2と、を含む。
【0023】
図2に示されるデータベースに登録された車の種別は、例えば、車種であってもよい。この場合、種別1は、車種1であり、種別2は、車種2であり、種別3は、車種3である。図2に示されるデータベースに登録された車の種別のいずれか1以上の種別は、複数の車種を含んだ形で分類された種別であってもよく、1つの車種をさらに細分化した形で分類された種別であってもよい。例えば、図2に示されるデータベースに登録されたいずれか1以上の種別は、1つの車種をグレード毎に分けた各々の種別であってよい。
【0024】
タイムアライメント設定データは、車両内に含まれる複数のスピーカの各々から車両内の設定位置までの各々の距離を特定可能なデータであってもよい。上記設定位置は、リスニングポジションとも称される。この場合、タイムアライメント設定データは、車両内に含まれる複数のスピーカの各々から車両内の設定位置までの各々の距離をそれぞれ特定するデータであってもよい。例えば、図4において概念的に図示される車種のように、車種1に6つのスピーカS1~S6が含まれる場合、タイムアライメント設定データは、スピーカS1~S6の各々から設定位置P1(当該タイムアライメント設定データにおいて独自に設定された設定位置)までの各距離を定めたデータであってもよい。
【0025】
あるいは、タイムアライメント設定データは、車両内に含まれるいずれかのスピーカを基準スピーカとし、この基準スピーカから車両内の設定位置までの距離を基準距離(例えば0)とした場合の、各々のスピーカから設定位置までの各相対距離をそれぞれ特定するデータであってもよい。例えば、図4において概念的に図示される車種のように、車種1に6つのスピーカS1~S6が含まれる場合、タイムアライメント設定データは、所定スピーカ(例えばスピーカS1)を基準スピーカとし、この基準スピーカから設定位置P1までの距離を基準距離(例えば0)とした場合の、スピーカS1~S6の各々から設定位置P1までの各相対距離をそれぞれ特定するデータであってもよい。
【0026】
あるいは、タイムアライメント設定データは、各スピーカからの音の発生をどの程度ずらすかを定めたデータであってもよい。例えば、車両内に含まれるいずれかのスピーカを基準スピーカとし、基準スピーカから設定位置まで音が到達するまでにかかる時間を基準時間とした場合に、各スピーカからの音を基準スピーカからの音と同一タイミングで設定位置に到達させるために必要となる各スピーカから音のずれ時間(基準時間に対してどの程度早めるか又は遅らせるかを定めたデータ)であってもよい。例えば、図4において概念的に図示される車種のように、車種1に6つのスピーカS1~S6が含まれる場合において6つのスピーカS1~S6から所定音を発生する場合に、最も早く音を発生させるスピーカを基準スピーカとして遅延時間を0とし、基準スピーカ以外のスピーカで音を遅延させる時間をそれぞれ定めてもよい。
【0027】
イコライザ設定データは、あらかじめ決められた複数の周波数における各々の周波数のゲインやQ値を定めたデータである。例えば、車種1に対応付けられた調整用データに含まれるイコライザ設定データB1は、車種1において音を出力する場合の各周波数のゲインやQ値を定めたデータである。同様に、車種2に対応付けられた調整用データに含まれるイコライザ設定データB2は、車種2において音を出力する場合の各周波数のゲインやQ値を定めたデータである。
【0028】
図1に示される外部装置20は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、等の情報処理端末である。外部装置20は、制御装置21、記憶装置22、操作装置23、表示装置24、通信装置25、等を備える。制御装置21は、例えばCPUを備えた情報処理装置であり、様々な演算、制御、情報処理を行い得る。記憶装置22は、例えばROM、RAM、HDD、SSD等の記憶装置を含み、様々な情報を記憶する。記憶装置22には、後述されるプログラムが記憶されている。通信装置25は、外部装置20の外部に設けられた装置(例えば管理システム10を構成する装置)と公知の方式で有線通信や無線通信を行う装置である。操作装置23は、キーボード、マウス、タッチパネル、音声入力装置等の公知の入力デバイスである。表示装置24は、ディスプレイなどの公知の表示装置であり、文字、その他の記号、絵柄などの画像を表示し得る。
【0029】
外部装置20は、後述されるプログラムに基づく動作により、管理システム10から音声調整用データを取得し、記憶装置22に記憶し得る。記憶装置22に記憶した音声調整用データは、外部の音声調整装置40に記憶し得る。例えば、図3のように、外部装置20は、ケーブル50を介して音声調整装置40との間で有線通信を行い得るようになっており、制御装置21及び通信装置25は、音声調整装置40の設定記憶部41Aに音声調整用データを記憶するように動作し得る。
【0030】
2.音声調整用データ提供システム1によるデータの提供
外部装置20の記憶装置22には、プログラムが記憶される。このプログラムは、制御装置21によって実行され、制御装置21を様々に動作させるプログラムである。このプログラムはブラウザなどによって実行されるものであってもよく、ブラウザとは異なるアプリケーションプログラムとして実行されるものであってもよい。上記プログラムは、第1プログラムと第2プログラムとを含む。
【0031】
第1プログラムは、外部装置20において実行され且つ外部装置20を動作させるプログラムであり、例えば、利用者からの車の種別の入力を受け付ける動作、入力された車の種別を特定し得る情報を管理システム10に送信する動作、管理システム10から送信された調整用データを受信する動作、受信した調整用データを記憶する動作、などを外部装置20に行わせるプログラムである。例えば、外部装置20において所定の第1開始条件が成立した場合(例えば、操作装置23に対して所定の第1操作がなされた場合、その他の開始条件が成立した場合など)に、制御装置21は、上記第1プログラムを実行する。操作装置23に対して第1操作がなされることが上記第1開始条件である例では、第1操作は、「第1プログラムを開始させるための操作」を意味する。例えば、管理システム10は、インターネットなどの通信網90を介して「所定のウェブサイト」の情報を提供し、外部装置20から上記「所定のウェブサイト」にアクセスがあった場合に、調整用データをダウンロードさせるためのデータダウンロード用の画面(例えば車の種別の指定を促す情報を表示する画面など)をアクセス元の外部装置20に表示させるように情報を提供し、更に、その外部装置20において当該画面を表示させた状態で車の種別の入力があった場合に車の種別に対応する調整用データを外部装置20にダウンロードさせるようになっていてもよい。このような例では、外部装置20においてブラウザ等を起動し、通信網90を介して上記「所定のウェブサイト」にアクセスしてデータダウンロード用の画面(例えば車の種別の指定を促す情報を表示する画面など)を表示させる操作が第1操作に該当する。
【0032】
上記第1プログラムは、実行開始に伴い、車の種別の指定を要求する情報を表示装置24に表示させる第1処理を行うように制御装置21を制御する。制御装置21及び表示装置24は、上記第1プログラムに従って上記第1処理を行い、車の種別の指定を促す情報を表示装置24に表示させる。つまり、第1処理は、「車の種別の指定を要求する情報を外部装置20の表示装置24に表示させる処理」であり、第1プログラムは、管理システム10に備えられたプログラムとしてインターネット等の通信網90を介して情報を提供し、外部装置20に備えられたブラウザにおいて車の種別(例えば車種など)の入力や選択を可能とする画面を表示させる形で上記「車の種別の指定を促す情報」を表示装置24に表示させるように第1処理を行ってもよい。或いは、第1プログラムは、外部装置20に備えられたその他のアプリケーションプログラムとして、当該アプリケーションプログラムの動作に基づく画面として上記「車の種別の指定を促す情報」を表示装置24表示させるように第1処理を行い、この第1処理の過程で通信網90を介して管理システム10と通信を行わせるように外部装置20を動作させてもよい。「車の種別の指定を促す情報」は、例えば、「車の種別を入力してください」といったメッセージと入力ボックスとを表示するような情報であってもよく、複数の種別を選択可能に列挙しつつ「車の種別を選択してください」といったメッセージを表示するような情報であってもよく、その他の情報であってもよい。
【0033】
上記第1処理の実行に応じて車の種別の指定を要求する情報が表示装置24に表示された後、操作装置23において車の種別を指定する情報入力操作がなされた場合、上記第1プログラムは、その情報入力操作で入力された情報によって指定される情報(車の種別を指定する指定情報)を管理システム10に送信する第2処理を行わせるように、制御装置21を動作させる。このように、第2処理は、「車の種別を指定する指定情報を管理システム10に送信する動作を行わせる処理」であり、例えば、ブラウザやその他のアプリケーションプログラムにおいて車の種別を指定する情報が入力される例では、第1プログラムは、ブラウザやその他のアプリケーションプログラムを介して入力された車の種別の情報を、管理システム10に送信する動作を行わせるように第2処理を行う。制御装置21及び通信装置25は、上記第1プログラムに従って上記第2処理を行い、上記指定情報を管理システム10に送信する。外部装置20から管理システム10に上記指定情報が指定されると、通信部15が上記指定情報を受信する。
【0034】
管理システム10の記憶部12には、車の種別毎の音声調整用データが記憶されており、制御部11は、通信部15が外部装置20から上記指定情報を受けた場合に、この指定情報で指定された種別に対応付けられた音声調整用データを外部装置20に送信する動作を通信部15に行わせる。例えば、制御部11は、通信部15が受信した指定情報において種別1を指定する情報が含まれる場合、種別1に対応付けられた音声調整用データ1を記憶部12から読み出し、通信部15と協働して音声調整用データ1を外部装置20(種別1を指定する指定情報を送信した送信元の外部装置20)に送信する。
【0035】
上記第1プログラムは、上記第2処理によって指定情報を管理システム10に送信した後、送信した指定情報に対応する音声調整用データ(具体的には第2処理で送信された指定情報によって特定される種別に対応付けられた音声調整用データ)を通信装置25が受信した場合、この音声調整用データを記憶装置22に記憶させるように制御装置21を動作させる。このような動作がなされるため、利用者が操作装置23を操作して車の種別を指定する情報を入力した場合に、外部装置20は、指定された種別に対応付けられた音声調整用データを取得し、記憶しておくことができる。
【0036】
上記第2プログラムは、調整用データの設定内容を表示装置24に表示させる動作を外部装置20に行わせるプログラムである。この第2プログラムは、第1プログラムを含むアプリケーションプログラムに備えられていてもよく、第1プログラムとは別のアプリケーションプログラムであってもよい。本実施形態では、外部装置20において所定の第2開始条件が成立した場合に、制御装置21は、上記第2プログラムを実行する。第2開始条件は、操作装置23に対して所定の第2操作がなされたことであってもよく、第1プログラムの実行によって記憶装置22に音声調整用データが記憶されたことであってもよい。
【0037】
この第2プログラムは、実行開始に伴い、記憶装置22に記憶される音声調整用データに含まれるタイムアライメント設定データの設定内容を外部装置20の表示装置24に表示させる第4処理を行うように、制御装置21を動作させる。第4処理に用いられる音声調整用データは、第4処理の直前に管理システム10から受信した音声調整用データであってもよく、第4処理の実行よりもある程度前に管理システム10から受信して記憶装置22に記憶しておいた音声調整用データであってもよい。図4には、第4処理の実行によって音声調整用データの設定内容が表示装置24に表示された例が概念的に示される。図4の例では、表示対象の音声調整用データに含まれるイコライザ設定データの設定内容(具体的には、周波数毎のゲインやQ値)が数値画像を含む画像として表示され、タイムアライメント設定データの設定内容が数値画像を含む画像として表示される。図4の例では、タイムアライメント設定データの設定内容は、上述の設定位置P1(リスニングポジション)が画像として概念的に示され、スピーカS1~S6の各々が画像として概念的に示され、スピーカS1~S6の各々から設定位置P1までの各距離を特定し得る情報が数値画像として示される。各距離を特定し得る情報は、距離そのものであってもよく、いずれかの距離を基準とした相対距離であってもよく、各距離を音が伝達するために要する各時間であってもよく、これら各時間のいずれかを基準としたときの各相対時間であってもよい。
【0038】
第2プログラムは、図4のように音声調整用データの設定内容が表示装置24に表示された状態で、外部装置20の操作装置23において、タイムアライメント設定データの設定内容を修正及び更新する入力操作がなされた場合、入力操作を反映してタイムアライメント設定データを更新した新たな設定データを生成し、新たな設定データを含むように音声調整用データを記憶装置22に記憶してもよい。新たな音声調整用データを記憶する場合、タイムアライメント設定データの設定内容を修正する前の音声調整用データを上書きする形で記憶してもよく、修正前の音声調整用データとは別のデータとして記憶してもよい。例えば、図4の例では、画面上で設定位置を移動する操作を行うと、設置位置は移動後の位置に再設定され、これに応じて設定位置から各スピーカまでの距離を指定する。或いは、各スピーカから設定位置までの距離を特定可能な各数値(例えば、各スピーカから設定位置までの各距離、又はいずれかのスピーカから設定位置までの距離を基準値とした場合の各スピーカから設定位置までの各距離の差分等)を変更すると、変更された値に応じて設定位置が再設定され、設定位置から各スピーカまでの各距離を指定する。このように、第2プログラムは、利用者が操作装置23を用いて設定位置を移動させる操作を行うこと、又は各スピーカから設定位置までの距離を特定可能な各数値を変更することによって設定位置を指定することを可能とし、利用者が設定位置を変更する操作を行って再登録を指示する操作を行った場合には、変更後の設定位置から各スピーカまでの距離を特定し得る情報を新たなタイムアライメント設定データとするように音声調整用データを更新してもよい。
【0039】
3.音声調整装置による利用
外部装置20は、このように入手した音声調整用データを、図3のような有線通信又は無線通信によって音声調整装置40の設定記憶部41Aに記憶することができる。音声調整装置40の設定制御部41は、外部装置20から送信された音声調整用データを送受信部42が受信した場合に、この音声調整用データを設定記憶部41Aに記憶するように動作する。音声調整用データが記憶された音声調整装置40は、図5のように車両100に組み込んで用いることができる。なお、設定記憶部41Aに音声調整用データを記憶する動作は、音声調整装置40が車両100に組み込まれる前に行われてもよく、車両100に組み込まれた後に行われてもよい。
【0040】
音声調整装置40に用いられる音声調整部44は、DSPとして機能し、ナビゲーションシステム102から送信された音声データに対し、設定記憶部41Aに記憶された音声調整用データの設定内容を反映するように音声を調整する。具体的には、イコライザ設定データで設定された各周波数のゲインやQ値を反映するように音質を調整し、タイムアライメント設定データで特定される各距離(設定位置から各スピーカまでの距離)を反映させて各スピーカの遅延時間を調整する。具体的には、例えば、ナビゲーションシステム102から出力される特定音をスピーカS1~S6で発する場合に、各スピーカから発せられる当該特定音が設定位置において同タイミングで到達するようにスピーカS1~S6の各々における発振(発信)の遅延時間を調整する。つまり、タイムアライメント設定データは、各スピーカの各々における発振(発信)の遅延時間を設定するデータとして利用される。なお、図5には、音声調整部44と各スピーカS1~S6との間にアンプ46が介在する一例が示される。図5の構成はあくまで一例であり、音声調整装置40に対して音声信号を与える機器、当該機器から音声調整部44への音声信号の伝達経路、スピーカの個数、音声調整部44から各スピーカへの音声信号の伝達経路、音声調整部44とスピーカとの間に介在する機器等は、本発明の技術的特徴が反映されうる形態であれば図5の例に限定されず、様々な例が採用されうる。
【0041】
4.効果の例
音声調整用データ提供システム1では、車の種別を指定する指定情報を外部装置20から与えるという簡易な対応に応じて、指定された車の種別に対応付けられたタイムアライメント設定データを指定元の外部装置20に提供することができる。従って、利用者は、所望の車の種別に合ったタイムアライメント設定データを必要とする場合に、一から自分で生成しなくても、或いは、専門的事業者にタイムアライメントの設定を個別に依頼しなくても、外部装置20からの車の種別の指定により、指定種別に合ったタイムアライメント設定データを容易に取得し、利用することができる。
【0042】
システム1に含まれるプログラムは、管理システム10から外部装置20に音声調整用データが送信された場合に、送信された音声調整用データに含まれるタイムアライメント設定データの設定内容を外部装置20の表示装置24に表示させるように動作する。このシステム1によれば、利用者は、外部装置20を用いて所望の種別に合ったタイムアライメント設定データを取得するだけでなく、取得したタイムアライメント設定データの設定内容を視覚的に把握することもできる。
【0043】
システム1に含まれるプログラムは、外部装置20の操作装置23において、タイムアライメント設定データの設定内容を修正及び更新する入力操作がなされた場合、入力操作を反映して管理システム10から送信されたタイムアライメント設定データを更新した新たな設定データを生成するように制御装置を動作させる。このシステム1によれば、利用者は、外部装置20を用いて取得したタイムアライメント設定データをそのまま利用するだけでなく、修正及び更新を行ったうえで利用することもできる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明された実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。さらに、上述された実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0045】
上述された実施形態では、各々の音声調整用データに、タイムアライメント設定データとイコライザ設定データとが含まれるが、この例に限定されない。各々の音声調整用データに、これら設定データ以外の設定データが含まれていてもよく、タイムアライメント設定データのみが含まれていてもよい。
【0046】
上述された実施形態では、上記プログラムが外部装置20に記憶されるが、このプログラムの一部又は全部が外部装置20の外部の所定装置(例えば、管理システム10や他の装置)に記憶され、外部装置20からのアクセスに応じて実行されるようになっていてもよい。例えば、外部装置20のブラウザから上記所定装置にアクセスがあり(例えば、上記所定装置が提供するサイトにアクセスがあり)、且つ、外部装置20において記憶装置22に記憶された調整用データを指定する操作があった場合に、外部装置のブラウザによって図4のような情報を表示するように上記所定装置から情報を提供してもよい。
【0047】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
1 :音声調整用データ提供システム
10 :管理システム
11 :制御部
12 :記憶部
15 :通信部
20 :外部装置
23 :操作装置
24 :表示装置
図1
図2
図3
図4
図5