(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142853
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/36 20110101AFI20241003BHJP
B60R 21/38 20110101ALI20241003BHJP
【FI】
B60R21/36
B60R21/36 352
B60R21/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055214
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】山口 直朗
(72)【発明者】
【氏名】中村 真也
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 直樹
(57)【要約】
【課題】エアバッグの展開性能の向上を図る上で有利なエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】フード14の後端の下方で車幅方向に延在するリンフォース26を設け、リンフォース26の延在方向の両端部26Aを、ヒンジ機構18とフード14の下面との間に重ねてフード14の下面に取り付け、リンフォース26の延在方向の中間部26Bにエアバッグケース28を取り付けた。ヒンジ機構18が取り付けられたフード14の後端の箇所およびこのフード14の後端の箇所を含むフード14の後端の幅方向の全域における強度剛性がリンフォース26によって高められ、車幅方向両側の一対のポップアップ機構48によってフード14の後端が上昇された際に加わる荷重によってフード14の後部の車幅方向中央が下方に撓むことを抑制する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードの後端寄りの車幅方向両側の箇所を車体に対して揺動可能に支持する一対のヒンジ機構と、
前記フードの下面の後端寄りの箇所に設けられエアバッグを収容するエアバッグケースとを備え、
前記フードの後端から前記エアバッグを展開するエアバッグ装置であって、
前記フードの後端の下方で車幅方向に延在するリンフォースを設け、
前記リンフォースの延在方向の両端部は、前記ヒンジ機構と前記フードの下面との間に重ねられて前記ヒンジ機構と共に前記フードの下面に取り付けられ、
前記リンフォースの延在方向の中間部に前記エアバッグケースが取り付けられている、
ことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記リンフォースには、下方に突出形成されて車幅方向に延設された前側凸条部と後側凸条部とが前後に間隔を開けて設けられ、
前記エアバッグケースは、前記前側凸条部と後側凸条部の間に形成された凹条部に配置される
ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記エアバッグケースの前部と後部にケース側前取り付け部とケース側後取り付け部とがそれぞれ設けられ、
前記リンフォースは、前記ケース側前取り付け部が取り付けられるリンフォース側前取り付け部と、前記ケース側後取り付け部が取り付けられるリンフォース側後取り付け部とを備え、
前記リンフォース側前取り付け部が前記前側凸条部の下面に設けられ、前記リンフォース側後取り付け部が前記後側凸条部の下面に設けられる
ことを特徴とする請求項2記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記エアバッグのケース側後取り付け部の下方の近傍箇所にテアラインが形成されており、
前記リンフォースは、前記後側凸条部の下面の位置が前記前側凸条部の下面に対して高い位置に設定されている
ことを特徴とする請求項3記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
平面視した場合、前記リンフォースの輪郭は、前記フードの後縁の湾曲形状に沿った湾曲形状を呈している、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記フードは、後端側がポップアップ機構で車両上方に上昇可能に構成されており、
前記ポップアップ機構は、前記リンフォースと前記ヒンジ機構が重ね合わされた箇所を、車両上方に押すことで、フードを持ち上げる
ことを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者や自転車や自動二輪を運転する人に対する保護を図る観点から、車両の側面衝突時に、車幅方向両側に設けられたポップアップ機構によってフードの車幅方向の両側の後端を押し上げることによって、ウインドシールドガラスの下端とフードの後端との間に空間を形成し、この空間からエアバッグを膨張展開させてウインドシールドガラスの下部とAピラーの下部を覆うエアバッグ装置(引用文献1参照)や、ポップアップ機構を用いて形成した空間からエアバッグを膨張展開させてフードの上面の後部を覆うようにしたエアバッグ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなエアバッグ装置では、ポップアップ機構によってフードの車幅方向の両側の後端を押し上げる際に、フードの後端の車幅方向の中央部分が下方に撓みやすく、そのため、ポップアップ機構を用いてウインドシールドガラスの下端とフードの後端との間に形成した空間からエアバッグを確実に安定して展開させること、言い換えると、エアバッグの展開性能の向上を如何にして図るかが重要である。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであり、本発明は、エアバッグの展開性能の向上を図る上で有利なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、フードの後端寄りの車幅方向両側の箇所を車体に対して揺動可能に支持する一対のヒンジ機構と、前記フードの下面の後端寄りの箇所に設けられエアバッグを収容するエアバッグケースとを備え、前記フードの後端から前記エアバッグを展開するエアバッグ装置であって、前記フードの後端の下方で車幅方向に延在するリンフォースを設け、前記リンフォースの延在方向の両端部は、前記ヒンジ機構と前記フードの下面との間に重ねられて前記ヒンジ機構と共に前記フードの下面に取り付けられ、前記リンフォースの延在方向の中間部に前記エアバッグケースが取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、フードの後端からエアバッグを確実に安定して展開させることができ、エアバッグの展開性能の向上を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係るエアバッグ装置のエアバッグが取り付けられたフードを下方から見た下面図である。
【
図4】実施の形態に係るエアバッグ装置のエアバッグが膨張展開した状態を示す側面断面図である。
【
図6】ポップアップ機構が動作しフードの後端が上昇された状態を示す側面断面である。
【
図7】変形例におけるエアバッグ装置の断面図であり
図2に対応している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下の図面において、符号FRは車両前方を示し、符号UPは車両上方を示す。
図4に示すように、本実施の形態のエアバッグ装置10は、ウインドシールドガラス12の下端とフード14の後端との間からエアバッグ16を膨張展開させてフード14の上面の後部を覆うようにしたものである。
フード14は前開き式であり、フード14の後端寄りの箇所が、
図3、
図5、
図6に示すように、車幅方向両側の一対のヒンジ機構18を介して揺動可能に支持されることで、フード14の前端が開閉される。
図3に示すように、フード14はアウタパネル20とインナパネル22とを含んで構成されている。
図2に示すように、インナパネル22の下面の後部には、車幅方向に延在しつつ下方に膨出する膨出部24が設けられている。
【0009】
インナパネル22の下面の車両後部には、
図1、
図2に示すように、膨出部24の下方で車幅方向に延在するリンフォース26が設けられている。
平面視した場合、アウタパネル20およびインナパネル22の後縁は湾曲形状となっており、リンフォース26の輪郭もこの湾曲形状に沿った湾曲形状を呈している。
図5に示すように、リンフォース26の延在方向の両端部26Aは、後述するヒンジ機構18を構成する上部ブラケット44の取り付け板4402に重ね合わされ取り付け板4402と共にインナパネル22の下面に取り付けられている。
すなわち、リンフォース26の延在方向の両端部26Aは、ヒンジ機構18とフード14の下面との間に重ねられてヒンジ機構18と共にフード18の下面に取り付けられている。
図2に示すように、リンフォース26の延在方向の中間部26Bで前後方向の中間部には、エアバッグケース28の略上半部を収容する上方に窪んだ凹部2602が設けられ、
図1に示すように、凹部2602の周囲にはエアバッグケース28を取り付けるための取り付け面2604が設けられている。
図2に示すように、凹部2602の車両前方に位置する取り付け面2604の箇所がリンフォース側前取り付け部30となっており、また、凹部2602の車両後方に位置する取り付け面2604の箇所がリンフォース側後取り付け部32となっている。
リンフォース側後取り付け部32は、リンフォース側前取り付け部30よりも上方に変位した箇所に設けられている。
また、リンフォース側前取り付け部30の車両前方に位置するリンフォース26の箇所は、リンフォース側前取り付け部30から起立する前縦壁34となっており、リンフォース側後取り付け部32の車両後方に位置するリンフォース26の箇所は、リンフォース側後取り付け部32から起立する後縦壁36となっている。
前縦壁34の上端は、膨出部24の前方のインナパネル22の箇所に接合され、後縦壁36の上端は、膨出部24の後傾斜壁2402に接合されている。
言い換えると、リンフォース26には、下方に突出形成されて車幅方向に延設された前側凸条部30Aと後側凸条部32Aとが前後に間隔を開けて設けられている。
エアバッグケース28は、前側凸条部30Aと後側凸条部32Aの間に形成された凹条部2602Aに配置される。
リンフォース側前取り付け部30は、前側凸条部30Aの下面に設けられ、リンフォース側後取り付け部32は、後側凸条部32Aの下面に設けられている。
リンフォース26は、後側凸条部32Aの下面の位置が前側凸条部30Aの下面に対して高い位置に設定されている。
【0010】
ヒンジ機構18は、
図5、
図6に示すように、下部ブラケット38と、第1揺動アーム40と、第2揺動アーム42と、上部ブラケット44とを含んで構成されている。
下部ブラケット38は、ダッシュパネルの前方でフード14の下方の車両前部空間の車幅方向両側に位置するアッパーフレームなどの車体側部材46に取り付けられている。
図5、
図6に示すように、第1揺動アーム40の後端は、下部ブラケット38に第1ピンP1を介して回動可能に連結され、第1揺動アーム40の前端は、上部ブラケット44に第2ピンP2を介して回動可能に連結されている。
第2揺動アーム42の後端は、上部ブラケット44に第3ピンP3を介して回動可能に連結され、第2揺動アーム42の前端は、第4ピンP4を介して第1揺動アーム40の前部に回動可能に連結されている。
なお、第3ピンP3は、第1揺動アーム40に支持される箇所と、第2揺動アーム42に支持されると共に上部ブラケット44に支持される箇所との間が、後述するポップアップ機構48の作動時に破断できるように形成されている。
すなわち、フード14の開閉時には、
図5に示すように、第1ピンP1を支点として第1揺動アーム40、上部ブラケット44、フード14とが一体に上下に揺動し、フード14の前端が開閉される。
また、衝突検知時あるいは衝突予知検知時に、
図6に示すように、不図示のエアバッグECUによる制御によりポップアップ機構48のロッド4802が突出することでフード14の後部を押し上げると、フード14の前端は不図示のラッチ機構により車体側で支持されていることから第3ピンP3が破断し、第1ピンP1を支点として第1揺動アーム40が上方に変位し、第4ピンP4を支点として第2揺動アーム42が上方に揺動し、これによりフード14の後端が上昇し、
図4、
図6に示すように、フード14の後端とウインドシールドガラス12の下端との間にエアバッグ16が膨出展開するための空間Sが形成され、この空間Sを介してエアバッグ16がフード14の上面の後部に膨張展開する。
【0011】
図3に示すように、エアバッグ装置10は、リンフォース26の延在方向の中間部26Bに設けられている。
エアバッグ装置10は、
図3に示すポップアップ機構48、エアバッグケース28と、
図2に示すエアバッグケース28に収容され膨張展開するエアバッグ16、インフレータ50とを含んで構成されている。
ポップアップ機構48は、不図示のガス発生器から供給される作動ガスによりロッド4802が上方に突出するアクチュエータを含んで構成されている。
本実施の形態では、
図5、
図6に示すように、ポップアップ機構48は、リンフォース26の両端部26Aと、ヒンジ機構18を構成する上部ブラケット44の取り付け板4402とが重ね合わされた箇所を、ロッド4802が車両上方に押すことで、フード14の後端を持ち上げるように構成されている。
【0012】
図2、
図4に示すように、エアバッグケース28は、上ケース2802と下ケース2804とからなり、折りたたまれた状態のエアバッグ16とインフレータ50を収容する収容室52を有している。
収容室52の周囲の上ケース2802、下ケース2804の外周のフランジ2810は、ボルトナットBを介してリンフォース26の取り付け面2604に取り付けられている。
図2に示すように、収容室52の車両前方に位置する外周のフランジ2810の箇所は、ケース側前取り付け部54となっており、収容室52の車両後方に位置する外周のフランジ2810の箇所は、ケース側後取り付け部56となっている。
ケース側前取り付け部54はリンフォース側前取り付け部30にボルトナットBを介して取り付けられ、ケース側後取り付け部56は、リンフォース側前取り付け部30よりも上方に変位した箇所に設けられたリンフォース側後取り付け部32にボルトナットBを介して取り付けられている。
【0013】
図2に示すように、下ケース2804の上部にはテアライン2812が設けられ、詳細には、エアバッグ16のケース側後取り付け部56の下方の近傍箇所にテアライン2812が設けられている。
そして、
図4に示すように、エアバッグ16の膨張時に下ケース2804がテアライン2812で破断した際に、下ケース2804の後部が下方に揺動することで収容室52を開放する大きな開放部52Aが形成されるように図られている。
インフレータ50は、エアバッグケース28内で不図示のブラケットを介して支持され、エアバッグECUから供給される作動信号により作動し、エアバッグ16内に膨張用ガスを供給する。
【0014】
次に、エアバッグ装置10の動作を説明する。
衝突検知時あるいは衝突予知検知時に、エアバッグECUから供給される作動信号によりポップアップ機構48が作動することで、
図6に示すようにフード14の後端は、車両上方に上昇し、フード14の後端とウインドシールドガラス12の下端との間に空間Sが形成される。
また、
図4に示すように、エアバッグECUから供給される作動信号により作動したインフレータ50から膨張用ガスが供給されることでエアバッグ16が膨張し、エアバッグケース28がテアライン2812から切断され、下ケース2804が下方に揺動することで収容室52が開放されて開放部52Aが形成され、この開放部52Aと空間Sを介してエアバッグ16がフード14の上面に沿って膨張展開する。
【0015】
本実施の形態によれば、フード14の後端の下方で車幅方向に延在するリンフォース26を設け、リンフォース26の延在方向の両端部26Aを、ヒンジ機構18とフード14の下面との間に重ねてフード14の下面に取り付け、リンフォース26の延在方向の中間部26Bにエアバッグケース28を取り付けた。
そのため、ヒンジ機構18が取り付けられたフード14の後端の箇所およびこのフード14の後端の箇所を含むフード14の後端の幅方向の全域における強度剛性がリンフォース26によって高められるため、衝突検知時あるいは衝突予知検知時に、車幅方向両側の一対のポップアップ機構48によってフード14の後端が上昇された際に加わる荷重によってフード14の後部の車幅方向中央が下方に撓むことを抑制する上で有利となる。
したがって、エアバッグ16をフード14の上面に沿って確実に安定して展開させることができ、エアバッグ16の展開性能を向上させる上で有利となる。
【0016】
また、本実施の形態では、リンフォース26には、下方に突出形成されて車幅方向に延設された前側凸条部30Aと後側凸条部32Aとが前後に間隔を開けて設けられ、エアバッグケース28は、前側凸条部30Aと後側凸条部32Aの間に形成された凹条部2602Aに配置されている。
したがって、前後の凸条部30A、32Aを設けたことでリンフォース26の剛性を確保する上で有利となることから、フード14の後端が上昇された際に加わる荷重によってフード14の後部の車幅方向中央が下方に撓むことを抑制する上でより有利となり、エアバッグ16をフード14の上面に沿って確実に安定して展開させ、エアバッグ16の展開性能を向上させる上でより有利となる。
また、エアバッグケース28を凹条部2602Aに配置したので、エアバッグ装置10をフード14の下方の限られたスペースにおいて上下方向にコンパクトに配置する上で有利となる。
【0017】
また、本実施の形態では、エアバッグケース28の前部と後部にケース側前取り付け部54とケース側後取り付け部56とがそれぞれ設けられ、リンフォース28は、ケース側前取り付け部54が取り付けられるリンフォース側前取り付け部30と、ケース側後取り付け部56が取り付けられるリンフォース側後取り付け部32とを備え、リンフォース側前取り付け部30が前側凸条部30Aの下面に設けられ、リンフォース側後取り付け部32が後側凸条部32Aの下面に設けられている。
したがって、前側凸条部凸状部30A、後側凸条部32Aによってリンフォース側前取り付け部30、リンフォース側後取り付け部32の座面剛性を確保する上で有利となり、エアバッグケース28のリンフォース26への取り付け強度の向上を図る上で有利となる。
【0018】
また、本実施の形態では、エアバッグ16のケース側後取り付け部56の下方の近傍箇所にテアライン2812が形成されており、リンフォース26は、後側凸条部32Aの下面の位置が前側凸条部30Aの下面に対して高い位置に設定されている。
そのため、衝突検知時あるいは衝突予知検知時に、エアバッグ16の膨張によりテアライン2812が破断されてエアバッグケース28が開放された部分と空間Sを介してエアバッグ16が車両後方に向かって膨張展開する際、エアバッグケース28に収容室52を開放する大きな開放部52Aが形成され、膨張展開するエアバッグ16に対してリンフォース側後取り付け部32が干渉することを抑制する上で有利となる。
したがって、エアバッグ16をフード14の上面に沿って確実に安定して展開させる上でより有利となり、エアバッグ16の展開性能を向上させる上でより有利となる。
【0019】
また、本実施の形態では、平面視した場合、リンフォース26の輪郭は、フード14の後縁の湾曲形状に沿った湾曲形状を呈しているので、直線状に延在する場合に比べ、リンフォース26によってフード14の後端部分の強度剛性を補強する上で有利となる。
したがって、車幅方向両側の一対のポップアップ機構48によってフード14の後端が上昇された際に加わる荷重によってフード14の後部の車幅方向中央が下方に撓むことを抑制する上でより有利となり、エアバッグ16の展開性能を向上させる上でより有利となる。
【0020】
また、本実施の形態では、フード14は、後端側がポップアップ機構48で車両上方に上昇可能に構成されており、ポップアップ機構48は、リンフォース26とヒンジ機構18が重ね合わされることで強度剛性が確保された箇所を車両上方に押すことでフード14を持ち上げる。
したがって、衝突検知時あるいは衝突予知検知時に、ポップアップ機構48によってフード14の後端が上昇された際に加わる荷重によってフード14の後部の車幅方向中央が下方に撓むことを抑制する上でより有利となり、エアバッグ16の展開性能を向上させる上でより有利となる。
【0021】
なお、本実施の形態では、
図2に示すように、リンフォース側前取り付け部30から起立する前縦壁34の上端が膨出部24の前方のインナパネル22の箇所に接合され、リンフォース側後取り付け部32から起立する後縦壁36が膨出部24の後傾斜壁2402に接合されている場合について説明した。
しかしながら、
図7に示す変形例のように、前縦壁34および後縦壁36の上端をインナパネル22から切り離し、言い換えると、リンフォース側前取り付け部30およびリンフォース側後取り付け部32をインナパネル22(フード14)から切り離してもよく、この場合も本実施の形態と同様の効果が奏される。
【0022】
なお、本実施の形態では、エアバッグ16がフード14の後端から前方に向かってフード14の上面を覆うように展開するエアバッグ装置10について説明したが、本発明はエアバッグ16の展開性能の向上を図るものであり、エアバッグ16がフード14の後端からウインドシールドガラス12の下部およびAピラーの下部を覆うように展開するエアバッグ装置などエアバッグ16の展開の向きや方向などは限定されず、エアバッグ16がフード14の後端から展開するエアバッグ装置に広く適用される。
【符号の説明】
【0023】
10 エアバッグ装置
12 ウインドシールド
14 フード
16 エアバッグ
18 ヒンジ機構
20 アウタパネル
22 インナパネル
24 膨出部
2402 後傾斜壁
26 リンフォース
26A 両端部
26B 中間部
2602 凹部
2602A 凹条部
2604 取り付け面
28 エアバッグケース
2802 上ケース
2804 下ケース
2810 フランジ
2812 テアライン
30 リンフォース側前取り付け部
30A 前側凸条部
32 リンフォース側後取り付け部
32A 後側凸条部
34 前縦壁
36 後縦壁
38 下部ブラケット
40 第1揺動アーム
42 第2揺動アーム
44 上部ブラケット
4402 取り付け板
46 車体側部材
48 ポップアップ機構
4802 ロッド
50 インフレータ
52 収容室
52A 開放部
54 ケース側前取り付け部
56 ケース側後取り付け部
P1 第1ピン
P2 第2ピン
P3 第3ピン
P4 第4ピン
B ボルトナット
S 空間