(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142858
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】測量方法、測量システム及び測量プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 19/43 20100101AFI20241003BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01S19/43
G01C15/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055222
(22)【出願日】2023-03-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】茂木 亨
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB08
5J062CC07
5J062GG03
(57)【要約】
【課題】スタティック法の基線ベクトル解析において、解析時間を無駄なく短縮した測量方法、測量システム及び測量プログラムの提供。
【解決手段】4以上の測点に測位対象としてそれぞれ設置されたGNSS測量機21~26によって測点の座標データを検出し、コンピュータ2の記憶部3に記憶された各測点の座標データからコンピュータ2の制御部4がスタティック解析を行う測量方法において、制御部4は、選択した一の基測点40と、他の3以上の枝測点41~45と、をそれぞれ結び、基測点40から放射方向に伸びる第1基線ベクトルB1~B5をそれぞれ算出する第1ステップと、第1基線ベクトルB1~B5のいずれかの先端の枝測点41~45と、隣接する第1基線ベクトルB1~B5のいずれか先端の枝測点41~45を結ぶ一の第2基線ベクトルB6~B9を順にそれぞれ算出する第2ステップと、を実行するようにした。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4以上の測点に測位対象としてそれぞれ設置されたGNSS測量機によって測点の座標データを検出し、コンピュータの記憶部に記憶された各測点の座標データからコンピュータの制御部がスタティック解析を行う測量方法において、
前記制御部は、
選択した一の基測点と、他の3以上の枝測点と、をそれぞれ結び、前記基測点から放射方向に伸びる第1基線ベクトルをそれぞれ算出する第1ステップと、
第1基線ベクトルの先端の枝測点と、隣接する第1基線ベクトルの先端の枝測点を結ぶ一の第2基線ベクトルを順にそれぞれ算出する第2ステップと、
を実行することを特徴とする測量方法。
【請求項2】
前記基測点は、測量システムによって既に実行されたスタティック解析の前セッションで用いられた基測点または、枝測点のうちいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の測量方法。
【請求項3】
前記制御部は、
4以上の前記測点のうち、既知の基準点から最も近い測点を前記基測点として選択し、
前記既知の基準点と、前記基測点を結ぶ第0基線ベクトルを前記第1ステップ前に算出する、第0ステップを実行することを特徴とする、請求項1に記載の測量方法。
【請求項4】
前記制御部は、
前記基測点及び3以上の前記枝測点のうち、既知の基準点に最も近い測点を直近測点として選択し、
前記直近測点と、前記既知の基準点とを結ぶ第3基線ベクトルを算出する第3ステップを実行することを特徴とする、請求項1に記載の測量方法。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれかに記載の測量方法を実施する測量システム。
【請求項6】
請求項1から4のうちいずれかに記載の測量方法をコンピュータに実施させる測量プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のGNSS測量機の測定値からスタティック法に基づく基線解析を行う測量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、
図1に示すように複数のGNSS(Global Navigation Satellite System)測量機を利用した測量システムが開示されている。この測量システムは、
図1に示すように測位を行う測点に3以上のGPS測量機を設置し、スタティック法に基づいて
図7に示すように三角以上の多角状に結んだ測点間の基線ベクトルを算出、解析することによって測量を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スタティック法によって算出される基線ベクトルは、本願明細書の
図3に示すように隣接するGNSS測量機の測点の対を結ぶことから算出される。しかし、従来のスタティック法における測点間の結び方は、ユーザーの選択によって行われていたため、ユーザーの負担が大きかった。また、本願の
図3に示すように隣接する全ての測点を結ぶ基線ベクトルを解析すれば、ユーザーの選択の手間が省ける反面、交差する基線ベクトルが生じることによって重複した解析が行われ、解析時間の増加による無駄が発生する点で問題となる。
【0005】
本願発明は、スタティック法の基線ベクトル解析において、解析時間を無駄なく短縮した測量方法、測量システム及び測量プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
4以上の測点に測位対象としてそれぞれ設置されたGNSS測量機によって測点の座標データを検出し、コンピュータの記憶部に記憶された各測点の座標データからコンピュータの制御部がスタティック解析を行う測量方法において、前記制御部は、選択した一の基測点と、他の3以上の枝測点と、をそれぞれ結び、前記基測点から放射方向に伸びる第1基線ベクトルをそれぞれ算出する第1ステップと、第1基線ベクトルの先端の枝測点と、隣接する第1基線ベクトルの先端の枝測点を結ぶ一の第2基線ベクトルを順にそれぞれ算出する第2ステップと、を実行することが望ましい。
【0007】
また、本発明の測量方法、測量システム及び測量プログラムによれば、前記測量方法において、前記基測点は、測量システムによって既に実行されたスタティック解析の前セッションで用いられた基測点または、枝測点のうちいずれかであることが望ましい。
【0008】
また、前記測量方法において、前記制御部は、4以上の前記測点のうち、既知の基準点から最も近い測点を前記基測点として選択し、前記既知の基準点と、前記基測点を結ぶ第0基線ベクトルを前記第1ステップ前に算出する、第0ステップを実行することがのぞましい。
【0009】
また、前記測量方法において、前記制御部は、前記基測点及び3以上の前記枝測点のうち、既知の基準点に最も近い測点を直近測点として選択し、前記直近測点と、前記既知の基準点とを結ぶ第3基線ベクトルを算出する第3ステップを実行することが望ましい。
【0010】
また、前記測量方法を実施する測量システムを構成し、前記測量方法をコンピュータに実施させる測量プログラムを構築することが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の測量方法、測量システム及び測量プログラムによれば、基測点から複数の枝測点まで放射状に伸びる第1基線ベクトルを算出後、隣接する第1基線ベクトルの各先端部を結ぶ第2ベクトルを、隣接間毎に1つずつ算出することで、ユーザーにベクトル選択の負担をかけることなく、複数の第1基線ベクトル及び第二基線ベクトルのいずれにも交差の発生しない基線ベクトルを結ぶことが出来、基線ベクトルの交差が無いことにより、重複解析による解析時間の無駄が削減される。
【0012】
また、本発明の測量方法、測量システム及び測量プログラムによれば、直前にスタティック法による測量に利用された測点のいずれかを基測点とし、座標の検出精度の高い基測点から次の測量を開始することにより、より精度の高い測量を行うことが出来る。
【0013】
また、本発明の測量方法、測量システム及び測量プログラムによれば、既知の基準点を解析固定始点としてこれに最も近い基測点に基線ベクトルを結び、座標の検出精度を高めた基測点から基線ベクトルを結ぶことにより、より精度の高い測量を行うことが出来る。
【0014】
また、本発明の測量方法、測量システム及び測量プログラムによれば、測定した基測点及び複数の枝測点のうちいずれかから、解析終点として最も近い既知の基準点に基線ベクトルを結ぶことにより、より精度の高い測量を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態にかかる測量システムの全体構成図である。
【
図2】測量システムに関するGNSS測量機の構成説明図である。
【
図3】従来の測量システムで実施された基線ベクトルの生成例を示す図である。
【
図4】本発明の測量システムにおいて、第1基線ベクトルを生成する第1ステップの説明図である。
【
図5】本発明の測量システムにおいて、第2基線ベクトルを生成する第2ステップの説明図である。
【
図6】本発明の測量システムにおける基線ベクトルの生成例に関する第1変形例を示す説明図である。
【
図7】本発明の測量システムにおける基線ベクトルの生成例に関する第2変形例を示す説明図である。
【
図8】本発明の測量システムにおける基線ベクトルの生成例に関する第3変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の測量方法を実施する測量システム1の第1の実施形態に係る全体構成図であり、
図2は、測量システム1で利用される各GNSS測量機21~26の構成説明図である。測量システム1は、コンピュータ2と、座標データを測定したい測定点毎にそれぞれ設置されるGNSS測量機21~26からなるGNSS測量機群20によって構成される。
【0018】
図1に示すように、コンピュータ2は、相互にデータ通信可能な状態に接続された記憶部3,制御部4,入力部5及び通信部6を有する。
【0019】
図1の記憶部3は、データを記憶するメモリ等の記憶媒体から構成され、プログラム格納部3a、基準点座標格納部3b及び測点座標格納部3cを有する。制御部4は、CPU等の演算処理装置から構成された演算制御部であって、基線ベクトル生成部4aと、補正情報作成部4b及び座標データ生成部4cを有する。入力部5は、複数のGNSS測量機21~26による検出データを記録媒体等(図示せず)を介して記憶部3に記憶させる入力装置であり、通信部6は、複数のGNSS測量機21~26による検出データをケーブルによって有線通信するLAN等の有線通信機またはbluetooth、wifi、インターネット回線網等によって無線通信する無線通信機である。また、入力部5と通信部6は、GNSS測量機群20のGNSS測量機21~26にそれぞれ接続される。コンピュータ2は、入力部5または通信部6のうち少なくとも一方を備えることが望ましい。
【0020】
図1に示すGNSS測量機群20を構成するGNSS測量機21~26は、
図2に示す共通の構成を有し、いずれも4以上のGNSS衛星33から位置情報に関する衛星電波を受信する。GNSS測量機21~26は、いずれも本体部27とGNSS測量機を測点に設置するための支柱32を有する。本体部27は、GNSS受信機28,位置情報生成部29,出力部30及び通信部31を有する。出力部30は、コンピュータ2の入力部5に接続され、通信部31は、コンピュータ2の通信部6に接続され、いずれもコンピュータとの間にデータの送受信を行う。位置情報生成部29は、アンテナを含むGNSS受信機28で受信されたGNSS衛星33の衛星電波から位置情報に関する検出データを生成し、出力部30または通信部31を介してコンピュータ2に送信する。
【0021】
図1のプログラム格納部3aには、本発明の測量方法をコンピュータに実施させる実行プログラムが記憶される。基準点座標格納部3bには、GNSS測量機群20の近傍に存在する既知の基準点を示す電子基準点34等の検出データが記憶される。既知の基準点の検出データは、通信部6を介して電子基準点34等から取得される。測点座標格納部3cには、入力部5または通信部6を介してGNSS測量機21~26から取得した測点における衛星電波等の検出データや、基線ベクトルから算出された測点の座標データが記憶される。
【0022】
図1の基線ベクトル生成部4aは、設置されたGNSS測量機によって所定の2つの測点でそれぞれ得られた測点座標格納部3c内の検出データから衛星電波到達のズレを用いてスタティック解析の基礎となる基線ベクトルを算出し、生成する。また、補正情報作成部4bは、所定の測点に関するGNSS測量機の検出データと、基準点座標格納部3b内の基準点の検出データから所定の測点と基準点間に基線ベクトルを生成する。座標データ生成部4cは、測点間に生成された基線ベクトルを解析し、必要に応じて測点と基準点間に生成した基線ベクトルの解析結果による補正を加えつつ、基線ベクトルに関連した測点の座標データを生成する。
【0023】
図3は、スタティック法を用いた従来の測量方法で実施されていた基線ベクトルの生成例を示す。スタティック法に用いられる基線ベクトルは、本願明細書の
図3に示すように測点を仮に6箇所とした場合、隣接する測点101~106の対を結ぶことで生成される。しかし、スタティック法を用いた従来の測量方法において、基線ベクトルを生成する場所の選択、即ち基線ベクトルを生成すべき1つの測点の選択は、測量システムを利用するユーザーによって任意に選択されていた。基線ベクトルを生成する場所の選択は、解析効率のよい場所の選択方法を知らないユーザーにとって、負担が大きかった。
【0024】
仮に
図3に示すように、隣接する全ての測点を結ぶ基線ベクトルを解析すれば、ユーザーによる基線ベクトル生成場所の選択の手間が省ける反面、符号107,108、109に示すように他の基線ベクトルと交差(符号107,109の基線ベクトルは3箇所、符号108の基線ベクトルは2箇所)する基線ベクトルが生じることにより、基線ベクトルの重複解析が行われ、解析時間の増加による無駄が発生する点で問題となっていた。
【0025】
そこで、本願発明者は、
図1に示す測量システム1により、
図4及び
図5に示す態様により、他の基線ベクトルとの交差が無い基線ベクトルを所定の順序で自動的に生成することで、ユーザーの手を煩わせること無く、無駄の無い基線ベクトルの解析を行い、測点の座標データを生成する測量方法及び測量システムを考えた。
【0026】
図4及び
図5は、基線ベクトル生成に関する実施例を示す。
図4は、基線ベクトルを生成する第1ステップの説明図である。まず、
図1に示すコンピュータ2の制御部4の基線ベクトル生成部4aは、GNSS測量機21~26を設置した複数の測点のうち、任意の測点を選択して基測点40と認定し、基測点40意外の測点を枝測点41~45と認定する。尚、本実施形態の測量システム及び測量方法においては、基測点40及び枝測点41~45を合計6つの測点として測量を行っているが、測点数は、4以上であれば6つに限られない。
【0027】
図1の制御部4の基線ベクトル生成部4aは、
図4に示す基測点40と枝測点41~45の認定に伴い、第1ステップを実行する。第1ステップにおいて基線ベクトル生成部4aは、設置されたGNSS測量機によって得られた測点座標格納部3c内の基測点40の位置に関する検出データと、枝測点41~45の位置に関する検出データに基づき、基測点40から複数の枝測点41~45に向けて放射方向に複数の第1基線ベクトルB1~B6を生成する。一の基測点40から放射状に伸びる第1基線ベクトルB1~B6は、互いに交差することがないため、効率の良い基線ベクトル解析に寄与する。尚、第1基線ベクトルB1~B5は、B1からB5に順番に生成されても、ランダムに生成されても良い。また、第1基線ベクトルは、枝測点41~45から基測点40に向けて生成されても良いが、重複解析をさけるために一対の測点間を往復生成されないようにする。
【0028】
次に
図1の基線ベクトル生成部4aは、
図5に示す第2ステップにおいて、隣接する第1基線ベクトルの先端の枝測点を結ぶ第2基線ベクトルを生成する。具体的には、基線ベクトル生成部4aは、例えば、第1基線ベクトルB1~B5のうち最も外に位置する第1基線ベクトルB1の先端の枝測点41から隣接する第1基線ベクトルB2の先端の枝測点41を結ぶ第2基線ベクトルB6を生成し、更に第1基線ベクトルB2と、これに隣接する第1基線ベクトルB3の両先端部の枝測点42,43を結ぶ第2基線ベクトルB7を生成し、同様に基測点43,44、基測点44,45をそれぞれ結ぶ第2基線ベクトルB8,B9を順に生成するようにする。隣接する一対の第1基線ベクトルの先端の枝測点間にそれぞれ生成される第2基線ベクトルB6~B9は、互いに交差することがないため、効率の良い基線ベクトル解析に寄与することに加え、一対の第1基線ベクトルとともに測点を三角状に結ぶことから、精度の高い測点座標の取得に寄与する。
【0029】
図5に示す、第2基線ベクトルB6~B9は、枝測点41から枝測点45に向かって時計回りの順番で生成されてもよく、枝測点45から枝測点41に向けて反時計回りの順番で生成されても良く、隣接する第1基線ベクトル間でランダムに生成されても良い。また、第2基線ベクトルは、基測点40を中心として隣接する第1基線ベクトルの先端の枝測点間において時計回り方向、または反時計回り方向のいずれに向けて生成されても良いが、重複解析をさけるために一対の測点間を往復生成されないようにする。
図1の測量システム1は、第1基線ベクトルB1~B5と第2基線ベクトルB6~B9を解析することにより、重複解析による解析時間の無駄を省きつつ基測点40及び枝測点41~45の座標データを算出することができる。
【0030】
図6は、本発明の測量システムにおける基線ベクトルの生成例に関する第1変形例を示すものである。
図6の基線ベクトルの生成例は、測量システム1により、
図4,5に示す実施例における基測点40及び枝測点41~45の座標データを算出する第1セッションに加え、別の測点46から50の座標データを算出する第2セッションを行う場合のものである。
【0031】
図6の第2セッションは、第1セッションで座標を測定された測点40~45のうち、枝測点45をあらたな基測点、別の測点46から50を枝測点と、コンピュータ2の制御部4の基線ベクトル生成部4aによって認定させ、枝測点46~50の座標データを算出するものである。
【0032】
第2セッションの第1ステップにおいて、
図1に示す基線ベクトル生成部4aは、
図6の基測点45から枝測点46~50に向けて放射状に複数の第1基線ベクトルB10を生成する。次に第2ステップにおいて、基線ベクトル生成部4aは、隣接する第1基線ベクトルB10の先端の枝測点46と47の間、枝測点47と48の間及び枝測点48と49の間及び枝測点49と50の間にそれぞれ、第2基線ベクトルB11をそれぞれ生成する。
【0033】
図1の測量システム1は、
図6に示す第1セッションにおいて座標データが明らかになった測点45を基測点として生成した複数の第1基線ベクトルB10及び第2基線ベクトルB11をそれぞれ解析して新たな枝測点46~50の座標データを算出することにより、枝測点46~50についてより精度の高い座標データを算出することが出来る。
【0034】
尚、
図6に示す複数の第2基線ベクトルB11は、隣接する第1基線ベクトルの先端における一対の隣接する枝測点間で基測点45を中心として時計回り、反時計回りの方向に順番に生成されても良く、対をなす複数組の基測点間でランダムに生成されても良い。
【0035】
図7は、本発明の測量システム1における基線ベクトルの生成例に関する第2変形例を示すものである。
図7の基線ベクトルの生成例は、既知の基準点に最も近い測点を基測点とし、前記既知の基準点と
図4に示す基測点40を結ぶ第0基線ベクトルを算出、生成する第0ステップを
図4に示す第1ステップの前に実行するものである。第2変形例における第1ステップ及び第2ステップは、
図4及び
図5のおける生成例と共通する。
【0036】
図7に示す符号39a~39dは、既知の基準点を示す電子基準点である。
図1のコンピュータ2の制御部4の基線ベクトル生成部4aは、第0ステップの実行において、通信部6を介して記憶部3の基準点座標格納部3bに記憶された電子基準点39a~39dの位置情報に関する検出データと、測点40~45の位置情報に関する検出データを比較し、いずれかの測点の最も近くに存在する電子基準点を選択する。
図7においては、既知の電子基準点39aが、他の電子基準点39b~39dよりも測点に近いため、電子基準点39aに最も近い符号40の測点を基測点40として、基線ベクトル解析を行う。
【0037】
第0ステップにおいて、
図1の基線ベクトル生成部4aは、記憶部3の基準点座標格納部3bに記憶された電子基準点39aの位置情報に関する検出データと、GNSS測量機によって得られた測点座標格納部3c内の基測点40の位置に関する検出データに基づき、電子基準点39aから基測点40に向けて第0基線ベクトルB0を生成する。その後、基線ベクトル生成部4aは、
図4及び
図5に示す第1及び第2ステップを順に実行し、第1基線ベクトルB1~B5と第2基線ベクトルB6~B9を生成する。
【0038】
図1の測量システム1は、第0基線ベクトルB0、第1基線ベクトルB1~B5及び第2基線ベクトルB6~B9を解析することにより、基測点40及び枝測点41~45の座標データを算出する。その際、補正情報作成部4bは、第0基線ベクトルB0を解析し、その結果から基測点40の座標データを補正し、併せて枝測点41~45の座標データを補正するため、
図7における基線ベクトルの生成例に関する第2変形例で得られる基測点40及び枝測点41~45の座標データは、第1ステップ及び第2ステップのみを測量システム1で実行する場合に比べて高精度のものとなる。
【0039】
図8は、本発明の測量システム1における基線ベクトルの生成例に関する第3変形例を示すものである。
図8の基線ベクトルの生成例は、
図4及び
図5に示す基測点40と枝測点41~45のうち、既知の基準点に最も近い測点と、前記基準点を結ぶ第3基線ベクトルを算出、生成する第3ステップを
図5に示す第2ステップの後に実行するものである。第3変形例における第1ステップ及び第2ステップは、
図4及び
図5のおける生成例と共通する。
【0040】
図8に示す符号46a~46dは、既知の基準点を示す電子基準点である。
図1のコンピュータ2の制御部4の基線ベクトル生成部4aは、
図4及び
図5に示す第1及び第2ステップを順に実行後、以下の第3ステップを実行する。基線ベクトル生成部4aは、第3ステップの実行において、通信部6を介して記憶部3の基準点座標格納部3bに記憶された既知の電子基準点46a~46dの位置情報に関する検出データと、測点40~45の位置情報に関する検出データを比較し、いずれかの測点の最も近くに存在する電子基準点を選択する。
図8においては、既知の電子基準点46aが、他の電子基準点46b~46dよりも測点に近く、枝測点45に最も近い。
【0041】
そこで、第3ステップにおいて、
図1の基線ベクトル生成部4aは、記憶部3の基準点座標格納部3bに記憶された電子基準点46aの位置情報に関する検出データと、GNSS測量機によって得られた測点座標格納部3c内の枝測点45の位置に関する検出データに基づき、枝測点45から電子基準点46aに向けて第3基線ベクトルB3を生成する。
【0042】
図1の測量システム1は、第1基線ベクトルB1~B5、第2基線ベクトルB6~B9及び第3基線ベクトル12をそれぞれ解析することにより、基測点40及び枝測点41~45の座標データを算出する。その際、補正情報作成部4bは、第3基線ベクトルB3を解析し、その結果から枝測点45の座標データを補正し、併せて基測点40及び枝測点41~44の座標データを補正するため、
図8における基線ベクトルの生成例に関する第3変形例で得られる基測点40及び枝測点41~45の座標データは、第1ステップ及び第2ステップのみを測量システム1で実行する場合に比べて高精度のものとなる。
【符号の説明】
【0043】
1 測量システム
2 コンピュータ
3 記憶部
4 制御部
21~26 GNSS測量機
39a、46a 既知の基準点である電子基準点
40 基測点
41~44 枝測点
45 枝測点または基測点または直近測点
46~50 枝測点
B0 第0基線ベクトル
B1~B5、B10 第1基線ベクトル
B6~B9、B11 第2基線ベクトル
B12 第3基線ベクトル