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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142860
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】管理装置システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20241003BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W4/00 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055224
(22)【出願日】2023-03-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】513210220
【氏名又は名称】株式会社茂広組
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 良久
(72)【発明者】
【氏名】谷口 彬雄
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 真起子
(72)【発明者】
【氏名】松尾 圭一郎
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB27
5K067FF23
5K067HH22
5K067KK05
(57)【要約】
【課題】栽培する作物の生育状態を管理するために必要なセンサー値および作物の画像データを低消費電力で作物の管理施設へ送信可能な管理システムを提供する。
【解決手段】管理システム10は、通信システム11,12と太陽電池13と蓄電池14とを備える。通信システム12は、作物を栽培する栽培場に配置され、作物を撮影するとともに撮影した画像データを栽培場の管理施設へ無線通信によって送信する。通信システム11は、栽培場に配置され、作物の生育に関わるセンサー値を検出するとともに検出したセンサー値を通信システム12よりも省電力で栽培場の管理施設へ無線通信によって送信する。太陽電池13は、通信システム11,12を駆動するための電力を発電し、蓄電池14を介して発電電力を通信システム11,12に供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を栽培する栽培場に配置され、前記作物を撮影するとともに前記撮影した画像データを無線通信によって前記栽培場の管理施設へ送信する第1の通信システムと、
前記栽培場に配置され、前記作物からセンサー値を検出するとともに前記検出したセンサー値を前記第1の通信システムよりも省電力で無線通信によって前記栽培場の管理施設へ送信する第2の通信システムと、
前記第1および第2の通信システムを駆動するための電力を発電して前記発電した電力を前記第1および第2の通信システムに供給する自立電源とを備える管理システム。
【請求項2】
前記第1の通信システムは、
前記栽培場に植えられた作物を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置によって撮影された画像データを前記栽培場の管理施設へ送信する第1の無線通信システムと、
前記撮影装置から前記画像データを受け、その受けた画像データを前記第1の無線通信システムへ出力する第1の制御装置とを含み、
前記第2の通信システムは、
n(nは、1以上の整数)個のセンサー値をそれぞれ検出するn個のセンサーと、
前記n個のセンサー値を前記栽培場の管理施設へ送信する第2の無線通信システムと、
前記n個のセンサーからn個のセンサー値を受け、その受けたn個のセンサー値を前記第2の無線通信システムへ出力する第2の制御装置とを含む、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記第2の無線通信システムは、前記n個のセンサー値を無線通信によって前記管理施設に配置された基地局へ送信するとき、起動タイミングおよび起動時間長からなる起床時間と前記n個のセンサー値とを無線通信によって前記基地局へ送信し、前記第1の無線通信システムを起動するための第1の起動信号を前記基地局から受信すると、その受信した第1の起動信号を前記第1の無線通信システムへ送信し、
前記第1の無線通信システムは、前記第1の起動信号を前記第2の無線通信システムから受信するまで、スリープ状態を維持し、前記第1の起動信号を受信すると、前記画像データを無線通信によって前記栽培場の管理施設へオンデマンド送信する、請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記管理施設に配置された基地局は、前記第1の無線通信システムと同じ無線通信システムである第3の無線通信システムと、前記第2の無線通信システムと同じ無線通信システムである第4の無線通信システムとを含み、
前記第2の無線通信システムは、前記n個のセンサー値を前記基地局へ送信するとき、前記起床時間と前記n個のセンサー値とを所定の時間間隔で無線通信によって前記基地局の第4の無線通信システムへ送信し、前記第1の起動信号を前記基地局の第4の無線通信システムから受信すると、その受信した第1の起動信号を前記第1の無線通信システムへ送信し、
前記第1の無線通信システムは、前記第1の起動信号を受信すると、前記画像データを無線通信によって前記基地局の第3の無線通信システムへ送信する、請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記第2の無線通信システムは、前記起床時間と前記n個のセンサー値とを含むビーコンをブロードキャストすることによって前記起床時間および前記n個のセンサー値を無線通信によって前記基地局の第4の無線通信システムへ送信する、請求項4に記載の管理システム。
【請求項6】
前記第2の無線通信システムは、第1の期間において前記ビーコンを無線通信によってブロードキャストし、前記第1の期間が終了すると、前記第1の期間よりも長い第2の期間においてスリープすることを繰り返し実行する、請求項4に記載の管理システム。
【請求項7】
前記第1の無線通信システムは、オンデマンド送信で前記画像データを無線通信によって前記基地局の第3の無線通信システムへ送信する、請求項4に記載の管理システム。
【請求項8】
前記第2の無線通信システムは、前記第1の無線通信システムの伝送距離よりも長い伝送距離を有する第5の無線通信システムからなる、請求項4に記載の管理システム。
【請求項9】
前記第1の無線通信システムは、前記画像データを無線通信によって前記管理施設の複数の基地局の各々における複数の第3の無線通信システムへ送信し、
前記第5の無線通信システムは、直接、前記起床時間と前記n個のセンサー値とを無線通信によって前記基地局の第4の無線通信システムへ送信する、請求項8に記載の管理システム。
【請求項10】
前記第5の無線通信システムは、前記起床時間および前記n個のセンサー値を含むビーコンをブロードキャストすることによって前記起床時間および前記n個のセンサー値を無線通信によって前記基地局の第4の無線通信システムへ、直接、送信する、請求項9に記載の管理ステム。
【請求項11】
前記第5の無線通信システムは、第1の期間において前記ビーコンをブロードキャストし、前記第1の期間が終了すると、前記第1の期間よりも長い第2の期間においてスリープすることを繰り返し実行して前記起床時間および前記n個のセンサー値を無線通信によって前記基地局の第4の無線通信システムへ、直接、送信する、請求項10に記載の管理システム。
【請求項12】
前記管理施設の管理人の端末装置は、前記撮影装置を起動するための第2の起動信号を無線通信によって前記第2の制御装置へ送信し、
前記第2の制御装置は、前記第2の起動信号を受信すると、前記第1の制御装置を介して前記撮影装置を起動し、
前記第1の無線通信システムは、前記画像データを無線通信によって前記管理施設に配置された基地局へ送信する、請求項11に記載の管理システム。
【請求項13】
前記第1の無線通信システムは、ブロードキャストまたは接続確立後のユニキャストによって前記画像データを無線通信によって前記端末装置へ送信する、請求項12に記載の管理システム。
【請求項14】
前記管理施設に配置されたQ(Qは、1以上の整数)個の基地局の各々は、Z(Zは、1以上の整数)個の前記第3の無線通信システムを含み、
前記第1の無線通信システムは、前記画像データをブロードキャストによって前記Q個の基地局の各々における前記Z個の第3の無線通信システムへ送信する、請求項4に記載の管理システム。
【請求項15】
前記管理施設に配置された基地局は、R(Rは、2以上の整数)個の前記第3の無線通信システムを含み、
前記第1の無線通信システムは、異なるチャネルで前記画像データを無線通信によって基地局の前記R個の第3の無線通信システムへ送信する、請求項4に記載の管理システム。
【請求項16】
前記管理施設に配置された基地局は、R(Rは、2以上の整数)個のインターフェースを含み、
前記第1の無線通信システムは、前記R個のインターフェースを介して、それぞれ、異なるチャネルで前記画像データを無線通信によって前記第3の無線通信システムへ送信する、請求項4に記載の管理システム。
【請求項17】
前記自立電源は、太陽電池からなる、請求項1に記載の管理システム。
【請求項18】
前記太陽電池は、棒形状を有し、
前記太陽電池、前記第1の通信システムおよび前記第2の通信システムは、一方端が前記栽培場の地面に建てられた支持棒の他方端に固定される、請求項17に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管理装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の砂栽培等に用いられる業務用又は家庭用のプランターが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のプランターは、棚板と、複数の支柱と、横架材と、被覆布とを備える。複数の支柱は、棚板の周囲に設けられた棚板を支持する。横架材は、棚板の上方かつ複数の支柱の間に設けられる。被覆布は、少なくとも棚板、横架材および棚板と横架材との間隙を覆い、凹部を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-046645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、プランターを用いて砂栽培する場合において、プランターで栽培する作物の生育状態を管理することが行われていないため、栽培する作物の生育状態を遠隔で管理するために、栽培する作物の周辺における温度および日射量等のセンサー値および栽培する作物の画像データに基づいて生育状態を遠隔で管理することは困難である。
【0006】
そこで、この発明の実施の形態によれば、栽培する作物の生育状態を管理するために必要なセンサー値および作物の画像データを低消費電力で作物の管理施設へ送信可能な管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、管理システムは、第1の通信システムと、第2の通信システムと、自立電源とを備える。第1の通信システムは、作物を栽培する栽培場に配置され、作物を撮影するとともに撮影した画像データを無線通信によって栽培場の管理施設へ送信する。第2の通信システムは、栽培場に配置され、作物からセンサー値を検出するとともに検出したセンサー値を第1の通信システムよりも省電力で無線通信によって栽培場の管理施設へ送信する。自立電源は、第1および第2の通信システムを駆動するための電力を発電し、その発電した電力を第1および第2の通信システムに供給する。
【0008】
(構成2)
構成1において、第1の通信システムは、撮影装置と、第1の無線通信システムと、第1の制御装置とを含む。撮影装置は、栽培場に植えられた作物を撮影する。第1の無線通信システムは、撮影装置によって撮影された画像データを栽培場の管理施設へ送信する。第1の制御装置は、撮影装置から画像データを受け、その受けた画像データを第1の無線通信システムへ出力する。
【0009】
第2の通信システムは、n(nは、1以上の整数)個のセンサーと、第2の無線通信システムと、第2の制御装置とを含む。n個のセンサーは、n個のセンサー値をそれぞれ検出する。第2の無線通信システムは、n個のセンサー値を栽培場の管理施設へ送信する。第2の制御装置は、n個のセンサーからn個のセンサー値を受け、その受けたn個のセンサー値を第2の無線通信システムへ出力する。
【0010】
(構成3)
構成2において、第2の無線通信システムは、n個のセンサー値を無線通信によって管理施設に配置された基地局へ送信するとき、起動タイミングおよび起動時間長からなる起床時間とn個のセンサー値とを無線通信によって基地局へ送信し、第1の無線通信システムを起動するための第1の起動信号を基地局から受信すると、その受信した第1の起動信号を第1の無線通信システムへ送信する。第1の無線通信システムは、第1の起動信号を第2の無線通信システムから受信するまで、スリープ状態を維持し、第1の起動信号を受信すると、画像データを無線通信によって栽培場の管理施設へオンデマンド送信する。
【0011】
(構成4)
構成3において、管理施設に配置された基地局は、第1の無線通信システムと同じ無線通信システムである第3の無線通信システムと、第2の無線通信システムと同じ無線通信システムである第4の無線通信システムとを含む。第2の無線通信システムは、n個のセンサー値を基地局へ送信するとき、起床時間とn個のセンサー値とを所定の時間間隔で無線通信によって基地局の第4の無線通信システムへ送信し、第1の起動信号を基地局の第4の無線通信システムから受信すると、その受信した第1の起動信号を第1の無線通信システムへ送信する。第1の無線通信システムは、第1の起動信号を受信すると、画像データを無線通信によって基地局の第3の無線通信システムへ送信する。
【0012】
(構成5)
構成4において、第2の無線通信システムは、起床時間とn個のセンサー値とを含むビーコンをブロードキャストすることによって起床時間およびn個のセンサー値を無線通信によって基地局の第4の無線通信システムへ送信する。
【0013】
(構成6)
構成4において、第2の無線通信システムは、第1の期間においてビーコンを無線通信によってブロードキャストし、第1の期間が終了すると、第1の期間よりも長い第2の期間においてスリープすることを繰り返し実行する。
【0014】
(構成7)
構成4において、第1の無線通信システムは、オンデマンド送信で画像データを無線通信によって基地局の第3の無線通信システムへ送信する。
【0015】
(構成8)
構成4において、第2の無線通信システムは、第1の無線通信システムの伝送距離よりも長い伝送距離を有する第5の無線通信システムからなる。
【0016】
(構成9)
構成8において、第1の無線通信システムは、画像データを無線通信によって管理施設の複数の基地局の各々における複数の第3の無線通信システムへ送信する。第5の無線通信システムは、直接、起床時間とn個のセンサー値とを無線通信によって基地局の第4の無線通信システムへ送信する。
【0017】
(構成10)
構成9において、第5の無線通信システムは、起床時間およびn個のセンサー値を含むビーコンをブロードキャストすることによって起床時間およびn個のセンサー値を無線通信によって基地局の第4の無線通信システムへ、直接、送信する。
【0018】
(構成11)
構成10において、第5の無線通信システムは、第1の期間においてビーコンをブロードキャストし、第1の期間が終了すると、第1の期間よりも長い第2の期間においてスリープすることを繰り返し実行して起床時間およびn個のセンサー値を無線通信によって基地局の第4の無線通信システムへ、直接、送信する。
【0019】
(構成12)
構成11において、管理施設の管理人の端末装置は、撮影装置を起動するための第2の起動信号を第2の制御装置へ送信する。第2の制御装置は、第2の起動信号を受信すると、第1の制御装置を介して撮影装置を起動する。第1の無線通信システムは、画像データを無線通信によって管理施設に配置された基地局へ送信する。
【0020】
(構成13)
構成12において、第1の無線通信システムは、ブロードキャストまたは接続確立後のユニキャストによって画像データを無線通信によって端末装置へ送信する。
【0021】
(構成14)
構成4において、管理施設に配置されたQ(Qは、1以上の整数)個の基地局の各々は、Z(Zは、1以上の整数)個の第3の無線通信システムを含む。第1の無線通信システムは、画像データをブロードキャストによってQ個の基地局の各々におけるZ個の第3の無線通信システムへ送信する。
【0022】
(構成15)
構成4において、管理施設に配置された基地局は、R(Rは、2以上の整数)個の第3の無線通信システムを含む。第1の無線通信システムは、異なるチャネルで画像データを無線通信によってR個の第3の無線通信システムへ送信する。
【0023】
(構成16)
構成4において、管理施設に配置された基地局は、R(Rは、2以上の整数)個のインターフェースを含む。第1の無線通信システムは、R個のインターフェースを介して、それぞれ、異なるチャネルで画像データを無線通信によって第3の無線通信システムへ送信する。
【0024】
(構成17)
構成1において、自立電源は、太陽電池からなる。
【0025】
(構成18)
構成17において、太陽電池は、棒形状を有する。太陽電池、第1の通信システムおよび第2の通信システムは、一方端が栽培場の地面に建てられた支持棒の他方端に固定される。
【発明の効果】
【0026】
栽培する作物の生育状態を管理するために必要なセンサー値および作物の画像データを低消費電力で作物の管理施設へ送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明の実施の形態による管理システムの概略を説明するための図である。
図2図1に示す管理システム10の概略図である。
図3図2に示す管理システム10の通信方法を説明するための概略図である。
図4図2に示す太陽電池13の概略図である。
図5図4に示す太陽電池13の製造工程を示す概略図である。
図6図2に示す管理システム10の設置方法を説明するための図である。
図7図2に示す管理システム10の動作を説明するためのフローチャートである。
図8図7のステップS6の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図9】この発明の実施の形態による別の管理システムを示す概略図である。
図10図9に示すBLE114AおよびWiFi123の通信方法を説明するための図である。
図11図9に示す管理システム10Aの通信方法を説明するための概略図である。
図12図9に示す管理システム10Aの動作を説明するためのフローチャートである。
図13図12のステップS6Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図14図9に示す管理システム10Aの応用例を説明するための図である。
図15】FECを用いて画像データをブロードキャストするときの概略図である。
図16】一般のユニキャスト通信およびブロードキャストを用いた伝送を説明するための概略図である。
図17】画像の送信を示す概念図である。
図18】パケットのフォーマットを示す概略図である。
図19図2に示す制御装置122におけるバッファ1221の概略図である。
図20】パケットを符号化する方法を説明するための図である。
図21】MBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)を送信するときの符号化パケットの生成方法を説明する図である。
図22】バーストを構成するパケットの送信方法を説明するための図である。
図23】MD-WLANを用いたマルチチャネル・マルチポイント受信を説明するための概略図である。
図24】この発明の実施の形態における各機器の接続構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0029】
この発明の実施の形態においては、畑、果樹園全般、ビニールハウス全般および砂栽培農場に適用し、作物の生育状態を判断するために必要なセンサー値を検出するとともに画像を撮影してセンサー値および画像データを、作物を管理する管理施設へ送信する管理システムについて説明する。
【0030】
図1は、この発明の実施の形態による管理システムの概略を説明するための図である。図1を参照して、作物を栽培する栽培場20には、作物を育てる複数の畝21がある。複数の畝21には、作物が植えられている。
【0031】
そして、この発明の実施の形態による管理システム10は、畝21と畝21との間に建てられた支持部材22の他方端に固定される。
【0032】
また、栽培場20を管理する管理施設30があり、管理施設30は、栽培場20から離れた位置に配置されている。そして、基地局31が管理施設30に配置されている。
【0033】
管理システム10は、畝21に植えられた作物の周辺における温度、および畝21に植えられた作物の周辺における日射量等をセンサーで検出するとともに、畝21に植えられた作物の画像データ(静止画データおよび/または動画像データ)を撮影装置で撮影する。
【0034】
そして、管理システム10は、センサーで検出した温度等のセンサー値および撮影装置で撮影した作物の画像データ(静止画データおよび/または動画像データ)を管理施設30の基地局31へ無線通信によって送信する。
【0035】
管理施設30の基地局31は、センサー値および画像データ(静止画データおよび/または動画像データ)を無線通信によって管理システム10から受信し、その受信したセンサー値および画像データ(静止画データおよび/または動画像データ)を管理施設30内の管理人の端末装置STA(例えば、パーソナルコンピュータ)に送信する。
【0036】
端末装置STAは、基地局31からセンサー値および画像データ(静止画データおよび/または動画像データ)を受信し、その受信したセンサー値および画像データ(静止画データおよび/または動画像データ)を表示する。
【0037】
これによって、管理施設30の管理人は、栽培場20へ行かなくても、栽培場20から離れた管理施設30において、栽培場20の作物の生育状態を判断することができる。
【0038】
図2は、図1に示す管理システム10の概略図である。図2を参照して、管理システム10は、通信システム11と、通信システム12と、太陽電池13と、蓄電池14とを備える。
【0039】
通信システム11,12は、蓄電池14から受けた電力によって駆動される。太陽電池13は、発電し、その発電した電力を蓄電池14に供給する。蓄電池14は、太陽電池13から供給された電力を溜めるとともに、その溜めた電力を通信システム11,12へ供給する。
【0040】
通信システム11は、センサー111,112と、制御装置113と、BLE(Bluetooth Low Energy)114とを含む。
【0041】
センサー111は、例えば、畝21に植えられた作物の周辺における温度を検出し、その検出した温度を制御装置113へ出力する。センサー112は、例えば、畝21に植えられた作物の周辺における日射量を検出し、その検出した日射量を制御装置113へ出力する。
【0042】
なお、センサー112が日射量を検出する場合、センサー112は、日射量計からなる。
【0043】
制御装置113は、例えば、省電力なMCU(Micro Controller Unit)からなる。制御装置113は、通信システム12の制御装置122を起動する機能を有する。
【0044】
制御装置113は、センサー111,112からそれぞれ温度および日射量を受ける。そして、制御装置113は、温度および日射量をBLE114へ出力する。
【0045】
なお、この発明の実施の形態においては、積算日射量が作物の生育状態を管理するために用いられてもよい。この場合、制御装置113は、センサー112(日射量計)によって検出された日射量を積算して積算日射量を算出する。そして、制御装置113は、積算日射量をBLE114へ出力する。
【0046】
また、積算日射量は、太陽電池13の発電量を検知し、その検知した発電量に基づいて推定されてもよい。
【0047】
この場合、制御装置113は、太陽電池13の発電量EGCと、日射量計によって検出された日射量を積算した積算日射量との関係をプロットし、そのプロットした発電量EGCと積算日射量との関係を表す関数f(EGC)をフィッティングによって求める。
【0048】
そして、制御装置113は、関数f(EGC)を用いて太陽電池13の発電量EGCに対する積算日射量を推定する。
【0049】
BLE114は、低速で省電力な無線通信、例えば、Bluettothの拡張仕様の一つである。そして、BLE114は、免許なく使用な可能な2.4GHz帯(ISMバンド)の電波を用い、最大1Mbpsの通信が可能である。
【0050】
BLE114は、温度および日射量を制御装置113から受けると、その受けた温度および日射量を、後述する方法によって、無線通信によって管理施設30の基地局31へ送信する。
【0051】
通信システム12は、カメラ121と、制御装置122と、Wi-Fi123とを含む。
【0052】
カメラ121は、畝21に植えられた作物を撮影し、その撮影した作物の画像データ((静止画データおよび/または動画像データ)を制御装置122へ出力する。
【0053】
制御装置122は、通信システム11の制御装置113から起動信号を受けると、起動する。
【0054】
そして、制御装置122は、制御装置113よりも消費電力が大きい画像伝送用のSoCからなる。制御装置122は、作物の画像データ((静止画データおよび/または動画像データ)をカメラ121から受けると、その受けた作物の画像データ((静止画データおよび/または動画像データ)をWi-Fi123へ出力する。
【0055】
Wi-Fi123は、作物の画像データ((静止画データおよび/または動画像データ)を制御装置122から受ける。そして、Wi-Fi123は、後述する方法によって、作物の画像データ((静止画データおよび/または動画像データ)を無線通信によって管理施設30の基地局31へ送信する。
【0056】
なお、通信システム11は、BLE114に代えて、IEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow)を備えていてもよい。この場合、Wi-Fi HaLowは、温度および日射量を制御装置113から受けると、BLE114と同じ方法によって、温度および日射量を無線通信によって管理施設30の基地局31へ送信する。
【0057】
図3は、図2に示す管理システム10の通信方法を説明するための概略図である。図3を参照して、管理施設30に配置された基地局31は、BLE311と、Wi-Fi312とを備える。
【0058】
このように、基地局31は、管理システム10のBLE114に対応してBLE311を備え、管理システム10のWi-Fi123に対応してWi-Fi312を備える。
【0059】
管理システム10の制御装置113は、センサー値と起床時間(起動タイミングおよび起動時間長からなる)とを含むビーコンBcを生成し、その生成したビーコンBcをBLE114へ出力する。
【0060】
BLE114は、ビーコンBcを制御装置113から受け、その受けたビーコンBcをタイミングtからタイミングtまでの期間においてブロードキャストする。そして、基地局31のBLE311は、ビーコンBcを受信する。
【0061】
その後、管理システム10のBLE114は、タイミングtからタイミングtまでの期間、スリープ状態になり、タイミングtからタイミングtまでの期間、ビーコンBcをブロードキャストする。そして、基地局31のBLE311は、ビーコンBcを受信する。
【0062】
その後、管理システム10のBLE114は、タイミングtからタイミングtまでの期間、スリープ状態になり、タイミングtからタイミングtまでの期間、ビーコンBcをブロードキャストする。そして、基地局31のBLE311は、ビーコンBcを受信する。
【0063】
タイミングtからタイミングtまでの時間長、およびタイミングtからタイミングtまでの時間長は、一定であり、例えば、5秒である。
【0064】
従って、管理システム10のBLE114は、一定の時間間隔で起床してビーコンBcを基地局31のBLE311へブロードキャストする。
【0065】
タイミングtからタイミングtまでの期間およびタイミングtからタイミングtまでの期間は、それぞれ、タイミングtからタイミングtまでの期間およびタイミングtからタイミングtまでの期間よりも短い。
【0066】
その結果、管理システム10のBLE114は、第1の期間(=t~t,t~t,t~t)でビーコンBcをブロードキャストし、第1の期間よりも長い第2の期間(=t~t,t~t)においてスリープすることを繰り返してビーコンBcを管理施設30の基地局31へ送信する。その結果、通信システム11における消費電力を省電力化できる。
【0067】
管理システム10のBLE114は、タイミングtにおいて、基地局31のBLE311から起床信号を受信し、その受信した起床信号を制御装置122へ送信する。
【0068】
管理システム10のWi-Fi123は、タイミングtからタイミングtまでの間、スリープ状態であるか、電源がOFFになっている。そして、管理システム10の制御装置122は、タイミングtにおいて、制御装置113から起床信号を受信すると、Wi-Fi123を起動する。そして、管理システム10のWi-Fi123は、タイミングtにおいて、スリープ状態を解除し、電源がONされる。
【0069】
その後、管理システム10のWi-Fi123は、タイミングtからタイミングt10までの間に、画像データを基地局31のWi-Fi312へオンデマンド送信する。そして、管理システム10のWi-Fi123は、タイミングt10において、スリープする。
【0070】
このように、管理システム10のWi-Fi123は、制御装置122が制御装置113を介して基地局31のBLE311から起床信号を受信することによって起動し(即ち、基地局31のBLE311からの要求に応じて起動し)、画像データを基地局31のWi-Fi312へオンデマンド送信する。
【0071】
管理システム10のBLE114は、Wi-Fi123が起動しているタイミングtからタイミングt10までの期間においてビーコンBcをブロードキャストする。そして、基地局31のBLE311は、ビーコンBcを受信する。
【0072】
管理システム10において、BLE114は、スリープとビーコンBcのブロードキャストとを繰り返し実行し、Wi-Fi123は、基地局31のBLE311からの起床信号に応じて起床し、画像データを基地局31のWi-Fi312へオンデマンド送信する。
【0073】
従って、管理システム10は、センサー値および画像データを無線通信によって省電力で基地局31へ送信できる。
【0074】
図4は、図2に示す太陽電池13の概略図である。図4を参照して、太陽電池13は、円柱形状を有し、半導体131と、電極132,133とを備える。
【0075】
半導体131は、例えば、結晶シリコンからなる。そして、半導体131は、円柱形状のn型結晶シリコン1311と、円筒形状のp型結晶シリコン1312とからなる。
【0076】
p型結晶シリコン1312は、p型結晶シリコン1312の中心軸がn型結晶シリコン1311の中心軸に一致するようにn型結晶シリコン1311の外周面に接して配置される。
【0077】
このように、太陽電池13は、n型結晶シリコン1311とp型結晶シリコン1312とのpn接合からなる太陽電池である。
【0078】
電極132は、p型結晶シリコン1312の表面に接して網の目状に配置される。電極133は、円柱形状を有する。そして、電極133は、電極133の中心軸がn型結晶シリコン1311の中心軸に一致するようにn型結晶シリコン1311の内周面に接して配置される。
【0079】
なお、p型結晶シリコン1312の外面上には、透明導電膜が配置されているが、図4においては、透明導電膜を省略している。また、p型結晶シリコン1312の外周面は、テクスチャ形状を有するが、図4においては、テクスチャ形状が省略されている。
【0080】
図5は、図4に示す太陽電池13の製造工程を示す概略図である。図5を参照して、円柱形状を有するn型シリコンインゴットを加工して円柱形状のn型結晶シリコン131’を作製する(工程(a))。
【0081】
工程(a)の後、円柱形状のn型結晶シリコン131’の中心軸方向の両側面に、中心軸から外周面の方向への距離が一定となる領域にレジストパターン41を形成する(工程(b))。
【0082】
そして、n型結晶シリコン131’の外周面からp型ドーパント(例えば、ボロン)を熱拡散によって拡散させ、レジストパターン41を除去する。これによってp型結晶シリコンとn型結晶シリコンとからなるn型結晶シリコン131”が得られる(工程(c))。
【0083】
工程(c)の後、n型結晶シリコン131”の中心軸方向の両側面にレジストパターン42を形成する。レジストパターン42は、n型結晶シリコン131”の中心軸方向の両側面において、n型結晶シリコン131”の中心軸から外周面への距離が一定となる領域以外の領域に形成されている(工程(d))。
【0084】
そして、n型結晶シリコン131”の中心軸方向の両側面において、レジストパターン42が形成されていない領域にエッチングペーストを塗布し、n型結晶シリコン131”の中心軸に沿ってn型結晶シリコン131”をエッチングし、貫通孔42を形成する(工程(e))。これによって、n型結晶シリコン131が作製される。
【0085】
工程(e)の後、電極ペーストを貫通孔42に注入し、乾燥する。これによって、電極133が形成される(工程(f))。
【0086】
工程(f)の後、電極ペーストを網の目状にn型結晶シリコン131の外周面に塗布し、電極ペーストを乾燥する。これによって、太陽電池13が完成する(工程(g))。
【0087】
太陽電池13においては、太陽光がp型結晶シリコン1312の外周面から半導体131に入射すると、光電変換された電子および正孔は、pn接合によって分離され、電子が電極133へ移動し、正孔が電極132へ移動する。これによって、太陽電池13は、発電する。
【0088】
太陽電池13において、n型結晶シリコン1311は、n型単結晶シリコンからなっていてもよいし、n型多結晶シリコンからなっていてもよい。また、p型結晶シリコン1312は、p型単結晶シリコンからなっていてもよいし、p型多結晶シリコンからなっていてもよい。
【0089】
また、太陽電池13は、フィルム状の太陽電池からなっていてもよい。この場合、太陽電池13は、例えば、有機半導体を用いた太陽電池からなる。
【0090】
太陽電池13がフィルム状の太陽電池からなる場合、太陽電池13は、円柱形状の支持部材の外周面に固定される。
【0091】
[センサー値の説明]
積算温度は、各種の作物の収穫時期を示す指標として用いられている。作物名、観測開始時期、収穫までの積算温度および収穫時の収穫物の規格を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
表1から分かるように、積算温度は、作物の種蒔きからの日数よりも作物の収穫時期を示す重要な指標である。
【0094】
例えば、快晴が続いた場合、日数が少なくても、一定の積算温度になれば作物が成熟したものと見做すことができる。
【0095】
積算温度は、毎日の平均気温を積算することによって算出される。
【0096】
センサー111は、1日の温度の時系列データD(t)を検出し、その検出した時系列データD(t)を制御装置113へ出力する。
【0097】
制御装置113は、時系列データD(t)をセンサー111から受け、その受けた時系列データD(t)をBLE114へ出力する。
【0098】
BLE114は、時系列データD(t)を制御装置113から受ける。そして、BLE114は、時系列データD(t)と起床時間(起動タイミングおよび起動時間長からなる)とを含むビーコンBcを生成し、その生成したビーコンBcを図3において説明した方法によって管理施設30の基地局31へ無線通信によってブロードキャストする。
【0099】
管理施設30の基地局31は、ビーコンBcをBLE114から受信し、その受信したビーコンBcを管理施設30の管理人の端末装置STAへ送信する。
【0100】
管理施設30の管理人の端末装置STAは、ビーコンBcから時系列データD(t)を検出し、その検出した時系列データD(t)に基づいて、一日当たりの平均温度を算出する。
【0101】
管理施設30の管理人の端末装置STAは、時系列データD(t)を受信する毎に一日当たりの平均温度を算出し、その算出した平均温度を積算して積算温度を算出する。そして、管理施設30の管理人の端末装置STAは、積算温度を表示する。
【0102】
管理施設30の管理人は、自己の端末装置STAに表示された積算温度を見て、各作物の収穫時期を把握する。
【0103】
畝21に植えられた作物の葉面積指数LAI(Leaf Area Index)は、ある土地の上部にある作物のすべての葉面積を積算した値を単位土地面積あたりに換算した値である。例えば、葉面積指数LAI=3は、1平方メートルの地面の上にある葉の面積の合計が3平方メートルであることを意味する。作物の葉は、光合成が行われる場として重要であり、葉面積指数LAIは、森林や野菜の生産量と相関関係がある。
【0104】
そこで、葉面積計を用いて、カメラ121が撮影した作物の画像データに基づいて葉面積を計測することを、土地の上部にある作物の全ての葉について実行し、その計測した全ての葉の葉面積を積算した値を単位土地面積あたりに換算して葉面積指数LAIを算出する。
【0105】
これによって、管理施設30の管理人は、栽培場20に行かなくても葉面積指数LAIを知ることができ、葉面積指数LAIの算出の元になった作物の生産量を知ることができる。
【0106】
葉面積指数LAIを正確に算出するには、定点撮影が望ましいので、カメラ121は、好ましくは、作物の定点撮影を行う。
【0107】
なお、通信システム11がセンサー111,112によって検出するセンサー値は、作物の生育を管理するために必要なセンサー値であれば、どのようなセンサー値であってもよい。
【0108】
また、この発明の実施の形態においては、管理システム10が積算温度を算出するようにしてもよい。
【0109】
この場合、通信システム11の制御装置113は、表1を保持する。そして、通信システム12の制御装置122は、カメラ121からの画像データを画像処理してカメラ121が撮影した作物を認識し、その認識した作物を通信システム11の制御装置113へ送信する。
【0110】
通信システム11の制御装置113は、通信システム12の制御装置122が認識した作物を通信システム12の制御装置122から受けると、その作物に対応付けられた“収穫までの積算温度”を表1から検出し、その検出した“収穫までの積算温度”をしきい値thとする。
【0111】
また、通信システム11の制御装置113は、センサー111からの時系列データD(t)に基づいて、1日当たりの平均気温を算出し、その算出した平均気温を積算して積算温度を算出する。
【0112】
そうすると、通信システム11の制御装置113は、算出した積算温度がしきい値th以上であるか否かを判定する。
【0113】
通信システム11の制御装置113は、算出した積算温度がしきい値th以上であると判定したとき、カメラ121によって撮影された作物が収穫時期であることを示す収穫信号を生成し、その生成した収穫信号をBLE114へ出力する。
【0114】
通信システム11のBLE114は、収穫信号を制御装置113から受けると、その受けた収穫信号を管理施設30の基地局31へ送信する。
【0115】
そして、管理施設30の基地局31は、通信システム12のWi-Fi123から受信した画像データと収穫信号とを管理施設30の管理人の端末装置STAへ送信し、またはネットワークを介して遠隔地の管理人の端末装置STAへ送信する。
【0116】
この場合、管理施設30の基地局31は、LAN(Local Area Network)を介して画像データおよび収穫信号を管理施設30の管理人の端末装置STAへ送信し、またはインターネット回線を介して画像データおよび収穫信号を遠隔地の管理人の端末装置STAへ送信する。
【0117】
これによって、管理施設30の管理人は、画像データおよび収穫信号に基づいて、どの作物が収穫時期であるかを即座に知ることができる。
【0118】
[管理システムの設置]
図6は、図2に示す管理システム10の設置方法を説明するための図である。管理システム10は、図1において説明したように、栽培場20の畝21と畝21との間に建てられた支持棒22の他方端に固定される以外に、図6に示す設置方法がある。
【0119】
図6の(a)を参照して、管理システム10がビニールハウス内に設置される場合、管理システム10は、円柱形状の支持部材51の一方端に固定される。そして、管理システム10が固定された支持部材51の他方端は、吊り下げチェーン52によってビニールハウスの枠材50に吊り下げられる。
【0120】
図6の(b)を参照して、管理システム10が砂場栽培を行う栽培場に設置される場合、管理システム10は、砂場栽培の容器60の側面に固定された円柱形状の支持部材53の一方端に設置される。
【0121】
上述した図1に示す場合、図6の(a)に示す場合、および図6の(b)に示す場合、管理システム10は、円柱形状の支持部材の一方端に固定される。
【0122】
その結果、管理システム10は、作物への日射を遮らず、作業の邪魔にならない。また、向きを考慮せずに管理システム10を配置できる。更に、ほこりが管理システム10に溜まり難く、管理システム10が汚れ難い。
【0123】
図1に示す場合、支持部材22が杭のように地面に固定されるので、管理システム10の設置場所を容易に変更できる。
【0124】
また、図6の(a)に示す場合、吊り下げチェーン52によってビニールハウスの枠材50に吊り下げられるので、吊り下げチェーン52の長さを調整することによって、センサー111,112およびカメラ121の高さを容易に変更できる。その結果、作物の生長点に合わせて適切な位置でセンシングできる。
【0125】
更に、図6の(b)に示す場合、管理システム10が砂場栽培の容器60に固定されるので、定点カメラのような位置固定が望ましい物への対応性が良い。
【0126】
図7は、図2に示す管理システム10の動作を説明するためのフローチャートである。図7を参照して、管理システム10の動作が開始されると、制御装置113,122は、蓄電池14からの電力によって起動する(ステップS1)。
【0127】
そして、制御装置113は、電力をセンサー111,112およびBLE114へ供給する。また、制御装置122は、電力をカメラ121およびWi-F1123へ供給する。
【0128】
そうすると、センサー111,112は、センサー値を検出し(ステップS2)、その検出したセンサー値を制御装置113へ出力する。
【0129】
また、カメラ121は、作物を撮影し(ステップS3)、その撮影した画像データを制御装置122へ出力する。
【0130】
そして、制御装置113は、センサー値をセンサー111,112から受け、センサー値をBLE114へ出力する(ステップS4)。
【0131】
また、制御装置122は、カメラ121から画像データを受け、その受けた画像データをWi-Fi123へ出力する(ステップS5)。
【0132】
そうすると、BLE114は、センサー値を基地局31へブロードキャストし、Wi-Fi123は、画像データを基地局31へオンデマンド送信する(ステップS6)。
【0133】
その後、通信システム11(センサー111,112、制御装置113およびBLE114)および通信システム12(カメラ121、制御装置122およびWi-Fi123)は、蓄電池14から電力が供給されている限り、上述したステップS2~ステップS6を繰り返し実行する。
【0134】
図8は、図7のステップS6の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図8を参照して、図7のステップS5の後、通信システム11の制御装置113は、センサー値と起床時間とを含むビーコンBcを生成し(ステップS61)、通信システム12のWi-Fi123は、スリープする(ステップS62)。
【0135】
そして、通信システム12の制御装置122は、通信システム11の制御装置113から起床コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS63)。
【0136】
一方、通信システム11のBLE114は、ステップS61の後、ビーコンBcをブロードキャストする(ステップS64)。
【0137】
そして、通信システム11のBLE114は、スリープする(ステップS65)。その後、通信システム11の制御装置113は、内蔵したタイマーをスタートする(ステップS66)。
【0138】
そうすると、通信システム11の制御装置113は、起床コマンドを基地局31のBLE311から受信したか否かを判定する(ステップS67)。
【0139】
ステップS67において、起床コマンドを基地局31のBLE311から受信しなかったと判定されたとき、通信システム11の制御装置113は、一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS68)。
【0140】
ステップS68において、一定時間が経過したと判定されたとき、通信システム11の制御装置113は、タイマーをリセットする(ステップS69)。
【0141】
そして、通信システム11の制御装置113は、BLE114を起動する(ステップS70)。
【0142】
一方、ステップS67において、起床コマンドを基地局31のBLE311から受信したと判定されたとき、通信システム11の制御装置113は、起床コマンドを通信システム12の制御装置122へ送信する(ステップS71)。
【0143】
そうすると、通信システム12の制御装置122は、ステップS63において、起床コマンドを受信したと判定し、Wi-Fi123を起動する(ステップS72)。
【0144】
そして、通信システム12のWi-Fi123は、画像データを基地局31のWi-Fi312へオンデマンド送信する(ステップS73)。
【0145】
そうすると、ステップS70およびステップS73の後、管理システム10の動作は、図8のステップS2へ移行する。
【0146】
図8に示すフローチャートにおいては、通信システム11のBLE114が、ステップS64において、ビーコンBcをブロードキャストすることは、図3のタイミングtからタイミングtまでの期間において、ビーコンBcをブロードキャストすることに相当する。
【0147】
また、通信システム11のBLE114が、ステップS65において、スリープすることは、図3に示すタイミングtからタイミングtまでの期間、スリープすることに相当する。
【0148】
更に、ステップS68において、一定時間が経過したと判定されることは、図3において、タイミングtからタイミングtまでの時間が経過したことに相当する。
【0149】
そして、図8に示すフローチャートが2回目に実行される場合、ステップS64において、通信システム11のBLE114が、ビーコンBcをブロードキャストすることは、図3のタイミングtからタイミングtまでの期間において、ビーコンBcをブロードキャストすることに相当する。
【0150】
また、通信システム11のBLE114が、ステップS65において、スリープすることは、タイミングtからタイミングtまでの期間、スリープすることに相当する。
【0151】
更に、ステップS68において、一定時間が経過したと判定されることは、図3のタイミングtからタイミングtまでの時間が経過したことに相当する。
【0152】
そして、図8に示すフローチャートが3回目に実行される場合、ステップS64において、通信システム11のBLE114が、ビーコンBcをブロードキャストすることは、図3のタイミングtからタイミングtまでの期間、ビーコンBcをブロードキャストすることに相当する。
【0153】
その後、ステップS67において、通信システム11の制御装置113が、起床コマンドを基地局31のBLE311から受信したと判定することは、図3のタイミングtで起床コマンドを基地局31のBLE311から受信したと判定することに相当する。
【0154】
引き続いて、通信システム11の制御装置113が、ステップS71において、起床コマンドを通信システム12の制御装置122へ送信することは、図3において、タイミングtの後、通信システム11の制御装置113が、起床コマンドを通信システム12の制御装置122へ送信することに相当する。
【0155】
そして、通信システム12の制御装置122が、ステップS71から移行したステップS63において、起床コマンドを受信したと判定することは、図3のタイミングtの後のタイミングtにおいて、通信システム12の制御装置122が通信システム11の制御装置123から起床コマンドを受信することに相当する。
【0156】
その後、ステップS72において、通信システム12のWiFi123が起動することは、図3のタイミングtにおいて、通信システム12のWiFi123が起動することに相当する。
【0157】
ステップS72の後のステップS73において、通信システム12のWiFi123が画像データをオンデマンド送信することは、図3のタイミングtからタイミングt10までの期間、通信システム12のWiFi123が画像データをオンデマンド送信することに相当する。
【0158】
更に、図8に示すフローチャートが4回目に実行される場合、ステップS64において、通信システム11のBLE114が、ビーコンBcをブロードキャストすることは、図3のタイミングt11からタイミングt12までの期間において、ビーコンBcをブロードキャストすることに相当する。
【0159】
更に、ステップS62において、通信システム12のWiFi123がスリープすることは、図3のタイミングt10において、通信システム12のWiFi123がスリープすることに相当する。
【0160】
従って、図8に示すフローチャートは、図3において説明した管理システム10から基地局31へのセンサー値を含むビーコンBcと画像データの送信方法を示すフローチャートである。
【0161】
図8に示すフローチャートによれば、通信システム11のBLE114は、ビーコンBcのブロードキャスト(ステップS64参照)と、スリープ(ステップS65参照)とを繰り返し実行し、通信システム11のWi-Fi123は、スリープ(ステップS62参照)と、画像データのオンデマンド送信(ステップS73参照)とを繰り返し実行する。
【0162】
従って、管理システム10を省電力で駆動できる。
【0163】
図9は、この発明の実施の形態による別の管理システムを示す概略図である。この発明の実施の形態による管理システムは、管理システム10Aであってもよい。
【0164】
図9を参照して、管理システム10Aは、図2に示す管理システム10の通信システム11を通信システム11Aに変えたものであり、その他は、管理システム10と同じである。
【0165】
通信システム11Aは、図2に示す通信システム11のBLE114をBLE114Aに変えたものであり、その他は、通信システム11と同じである。
【0166】
BLE114Aは、BLEの規格であるLong Range規格からなり、例えば、300mの伝送距離を有する。
【0167】
一方、Wi-Fi123の伝送距離は、例えば、100mである。
【0168】
従って、通信システム11Aは、伝送距離が異なるBLE114AおよびWi-Fi123を備えることを特徴とする。
【0169】
なお、通信システム11Aは、BLE114Aに代えて、IEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow)を備えていてもよい。
【0170】
図10は、図9に示すBLE114AおよびWi-Fi123の通信方法を説明するための図である。
【0171】
図10を参照して、栽培場20としてビニールハウス20-1を想定する。管理システム10Aは、ビニールハウス20-1内に配置される。基地局41は、ビニールハウス20-1の内部、またはビニールハウス20-1の外部、または他のビニールハウスの内部に配置される、
管理システム10Aと管理施設30の基地局31との距離は、100mよりも長く、300m以下である。即ち、管理システム10Aは、BLE114Aが、直接、基地局31へビーコンBcを送信できるが、Wi-Fi123が、直接、基地局31へ画像データを送信できない位置に配置される。
【0172】
従って、管理システム10Aにおいて、BLE114Aは、ビーコンBcをブロードキャストすることによって、直接、ビーコンBcを基地局31へ送信し、Wi-Fi123は、管理システム10Aと管理施設30との間に配置された基地局41による中継を介して画像データを基地局31へ送信する。
【0173】
管理システム10AのWi-Fi123は、基地局41による中継を用いることによって、画像データを安定して基地局31へ送信できる。
【0174】
なお、管理システム10AのWi-Fi123と基地局31との間でWi-Fi123からの無線通信を中継する基地局は、1個に限らず、z(zは、1以上の整数)個であればよい。
【0175】
図11は、図9に示す管理システム10Aの通信方法を説明するための概略図である。図11を参照して、管理システム10Aと管理施設30の基地局31との間に配置される基地局41は、2つのWi-Fi411,412を備える。
【0176】
また、基地局31は、BLE311に代えてBLE311Aを備える。BLE311Aは、BLE114Aと同じ伝送距離を有する。
【0177】
管理システム10AのBLE114AがビーコンBcを管理施設30の基地局31へブロードキャストする通信方法は、図3において説明したBLE114の通信方法と同じである。
【0178】
管理施設30の基地局31において、BLE311Aは、直接(即ち、他の通信機器による中継を用いずに)、起床コマンドを管理システム10AのBLE114Aへ送信する。そして、管理システム10AのBLE114Aは、基地局31のBLE311Aから起床コマンドを受信し、その受信した起床コマンドに基づいて、制御装置113,122を介してカメラ121を起動する。
【0179】
このように、管理システム10Aにおいては、通信システム11AのBLE114Aが通信システム12のカメラ121を起動する。
【0180】
通信システム11AのBLE114Aが通信システム12のカメラ121を起動することによって、通信システム12の消費電力を低減できる。
【0181】
管理システム10Aから管理施設30の基地局31までの距離は、管理システム10AのWi-Fi123の伝送距離よりも長いので、管理システム10AのWi-Fi123は、タイミングtにおいて起動した後、タイミングtからタイミングt10までの間に、基地局41のWi-Fi411に接続し、画像データを基地局41のWi-Fi411へオンデマンド送信する。
【0182】
基地局41において、Wi-Fi411は、管理システム10AのWi-Fi123から画像データを受信すると、その受信した画像データをWi-Fi412へ出力する。
【0183】
そして、基地局41のWi-Fi412は、Wi-Fi411から画像データを受け、その受けた画像データを管理施設30の基地局31のWi-Fi312へ送信する。
【0184】
そして、管理施設30の基地局31のWi-Fi312は、基地局41のWi-Fi412から画像データを受信する。
【0185】
このように、管理システム10Aにおいては、Wi-Fi123は、基地局41による中継によって画像データを管理施設30の基地局31へオンデマンド送信する。
【0186】
管理システム10Aについてのその他の説明は、管理システム10についての説明と同じである。
【0187】
図12は、図9に示す管理システム10Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0188】
図12に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートのステップS6をステップS6Aに変え、ステップS7を追加したものであり、その他は、図7に示すフローチャートと同じである。
【0189】
図12を参照して、管理システム10Aの動作が開始されると、上述したステップS1,S2が順次実行される。
【0190】
そして、ステップS2の後、通信システム11AのBLE114Aは、基地局31のBLE311Aから受信した起床コマンドに応じて、制御装置113,122を介してカメラ121を起動する(ステップS7)。
【0191】
その後、上述したステップS3~ステップS5が順次実行される。この場合、ステップS4において、通信システム11Aの制御装置113は、センサー値をセンサー111,112から受け、センサー値をBLE114Aへ出力する
そして、ステップS5の後、管理システム10Aにおいて、BLE114Aは、センサー値を含むビーコンBcをブロードキャストし、Wi-Fi123は、基地局41による中継を介して画像データを基地局31へオンデマンド送信する(ステップS6A)。
【0192】
その後、通信システム11A(センサー111,112、制御装置113およびBLE114A)および通信システム12(カメラ121、制御装置122およびWi-Fi123)は、蓄電池14から電力が供給されている限り、上述したステップS2,S7,S3~ステップS5,S6Aを繰り返し実行する。
【0193】
図13は、図12のステップS6Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0194】
図13に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートのステップS73をステップS73Aに変えたものであり、その他は、図8に示すフローチャートと同じである。
【0195】
図13を参照して、図12のステップS5の後、通信システム11Aは、上述したステップS61,S64~ステップS71を順次実行する。この場合、ステップS65において、通信システム11AのBLE114Aがスリープし、ステップS70において、通信システム11AのBLE114Aが起動する。
【0196】
そして、ステップS72の後、通信システム12のWi-Fi123は、基地局41による中継を介して、画像データを基地局31へオンデマンド送信する(ステップS73A)。
【0197】
この場合、基地局41において、Wi-Fi411は、管理システム10AのWi-Fi123から画像データを受信し、その受信した画像データをWi-Fi412へ出力し、Wi-Fi412は、Wi-Fi411から受けた画像データを基地局31のWi-Fi312へ送信することによって画像データを中継する。
【0198】
そして、ステップS70およびステップS73Aの後、管理システム10Aの動作は、図12のステップS2へ移行する。
【0199】
図13に示すフローチャートにおいては、ステップS73Aにおいて、通信システム12のWi-Fi123が基地局41による中継を介して画像データをオンデマンド送信することは、図11のタイミングtからタイミングt10までの期間において、通信システム12のWi-Fi123が基地局41のWi-Fi411,412による中継を介して基地局31のWi-Fi312へ画像データをオンデマンド送信することに相当する。
【0200】
図13に示すフローチャートについてのその他の説明は、図8に示すフローチャートについての説明と同じである。この場合、図8に示すフローチャートについての説明における“BLE114”を“BLE114A”に読み替えればよい。
【0201】
[管理システム10Aの応用例]
図14は、図9に示す管理システム10Aの応用例を説明するための図である。図14を参照して、管理システム10Aの応用例においては、通信システム11Aは、振動計111A、マイク112Aおよび検出器113Aを備える。
【0202】
振動計111Aは、地面に設置された罠の近傍に配置され、地面の振動を計測する。マイク112Aは、地面に設置された罠の近傍に配置され、例えば、熊の鳴き声を検出する。
【0203】
検出器113Aは、地面に設置された罠の近傍に配置され、罠の開閉を電気的に検出する。罠は、閉まると、電気が流れ、開くと、電気が流れないようになっている。検出器113Aは、罠に電気的に接続されている。
【0204】
そうすると、検出器113Aは、熊が罠を踏んだとき、罠が閉まり、電流を検出し、熊が罠を踏まないとき、罠が開いた状態であり、電流を検出しない。
【0205】
応用例における管理システム10Aの動作は、次の通りである。
(1)管理システム10AのBLE114Aは、アナウンス(BLE Advertising)を用いてセンサー取得値(地面の振動、熊の鳴き声および罠の開閉)を定期的に管理施設30の管理人の端末装置STAへ送信する。
(2)管理施設30の管理人の端末装置STAは、アナウンス(BLE Advertising)を受信し、管理人は、自己の端末装置STAに表示されたセンサー値(地面の振動、熊の鳴き声および罠の開閉)の変化を罠から300m離れた位置で認識する。
(3)管理人は、自己の端末装置STAを用いて、BLE Advertisingによって管理システム10Aのカメラ121を起動するための起動コマンドを基地局31のBLE311Aへ送信し、基地局31のBLE311Aは、起動コマンドを管理システム10AのBLE114Aへ送信し、管理システム10AのBLE114Aは、起動コマンドを受信して通信システム12の制御装置122を起動する。
(4)通信システム12の制御装置122は、BLE114Aによって起動されると、カメラ121およびWi-Fi123を起動する。
(5)カメラ121は、罠を含む所定領域を撮影し、その撮影した画像データを制御装置122へ出力し、制御装置122は、画像データをWi-Fi123へ出力し、Wi-Fi123は、画像データの送信を開始する。
【0206】
この場合、通信システム12のWi-Fi123は、FEC(Forward Error Correction)を用いて画像データをブロードキャストし、または基地局41のWi-Fi411との接続を確立した後に基地局41による中継を介して画像データを管理人の端末装置STAへユニキャストする。
(6)管理人は、端末装置STAを携帯して罠から100m程度離れた地点から画像を確認する。
【0207】
従って、管理人は、罠から遠く離れた位置から熊が罠にかかっていることを認識できる。そして、管理人は、罠へ少し近づいた地点で罠の様子を画像データで確認し、親熊がいない等の安全を確認できる。
【0208】
図15は、FECを用いて画像データをブロードキャストするときの概略図である。図15を参照して、管理システム10Aにおいて、通信システム12のWi-Fi123がFECを用いて画像データをブロードキャストするとき、管理施設30の基地局31は、Q(Qは、1以上の整数)個の基地局31-1~31-Qからなる。基地局31-1は、1個以上の通信システム、例えば、5個のWi-Fi312-1~312-5を備える。基地局31-2,・・・,31-Qの各々は、基地局31-1と同じ構成からなる。
【0209】
管理システム10Aにおいて、通信システム12のWi-Fi123は、画像データをQ個の基地局31-1~31-Qの各々のWi-Fi312-1~312-5へブロードキャストする。
【0210】
より具体的には、管理システム10Aにおいて、通信システム12の制御装置122は、カメラ121から画像データを受けると、その受けた画像データをペイロードに含むパケットPKTを生成する。そして、通信システム12の制御装置122は、その生成したパケットをWi-Fi123へ出力する。
【0211】
通信システム12のWi-Fi123は、制御装置122からパケットPKTを受けると、その受けたパケットPKTを管理施設30のQ個の基地局31-1~31-Qの各々の5個のWi-Fi312-1~312-5へブロードキャストする。
【0212】
Q個の基地局31-1~31-Qの各々において、Wi-Fi312-1~312-5の各々は、パケットPKTを受信し、その受信したパケットPKTを管理施設30の管理人の端末装置STAへ送信する。
【0213】
即ち、Q個の基地局31-1~31-Qは、パケットPKTを管理施設30の複数(Q人)の管理人のQ個の端末装置STA_1~STA_Qへ送信する。
【0214】
管理施設30の複数(Q人)の管理人のQ個の端末装置STA_1~STA_Qの各々は、5個のWi-Fi312-1~312-5からパケットPKTを受信し、その受信したパケットPKTに含まれる画像データを表示する。これによって、複数(Q人)の管理人は、Q個の端末装置STA_1~STA_Qに表示された画像を、同時に、見ることができる。
【0215】
通信システム12のWi-Fi123がパケットPKTをQ個の基地局31-1~31-Qの各々の5個のWi-Fi312-1~312-5へブロードキャストした場合、5個のWi-Fi312-1~312-5のうちのいずれか1つのWi-FiがパケットPKTを受信すれば、パケットPKTの受信に成功するので、パケットPKTの誤り率を低減することができる。
【0216】
5個のWi-Fi312-1~312-5のうちのいずれか1つのWi-FiがパケットPKTを受信すれば、パケットPKTの受信に成功するため、トータルのパケット誤り率PER_TOTALは、次式によって表わされる。
【0217】
【数1】
【0218】
なお、式(1)におけるjは、各Wi-Fiを示す引数であり、PERは、Wi-Fi_jのパケット誤り率である。
【0219】
式(1)より、Wi-Fiの個数を増やすほど、トータルのパケット誤り率PER_TOTALを低減できる。
【0220】
また、パケットの再送数または符号化率を下げられるので、低遅延になる。
【0221】
更に、Wi-Fiの切り替えが発生しないので、切り替えによる瞬断が発生しない。
【0222】
更に、管理施設30の外部において、5個のWi-Fi312-1~312-5を相互に離れた位置に設置した場合、一部のWi-Fiがノイズ・干渉の影響を受けたとしても、影響の小さい他の離れたWi-Fiでパケットを受信すれば良く、ノイズ・干渉に強くなる。
【0223】
また、Wi-Fiの個数を単に増加するだけでパケットPKTを受信する領域を拡張できる。
【0224】
なお、通信システム12のWi-Fi123がFECを用いて画像データをブロードキャストするとき、管理施設30の基地局31は、5個のWi-Fi312-1~312-5に限らず、一般的には、Z(Zは、1以上の整数)個のWi-Fiを含んでいればよい。
【0225】
この発明の実施の形態における無線通信は、一般のユニキャスト通信と、ブロードキャストを用いた伝送と、MD-WLANとがある。
【0226】
図16は、一般のユニキャスト通信およびブロードキャストを用いた伝送を説明するための概略図である。
【0227】
図16の(a)を参照して、一般のユニキャスト通信を用いる場合、管理システム10のWi-Fi123は、画像データを基地局31のWi-Fi312へユニキャストする。
【0228】
図16の(b)を参照して、ブロードキャストを用いる場合、管理システム10のWi-Fi123は、Wi-Fiのブロードキャストを用いて画像データを基地局31のWi-Fi312へブロードキャストする。
【0229】
図16の(c)を参照して、ブロードキャストを用いる場合、管理システム10のBLE114は、Bluetooth Low EnergyのAdvertiseを用いてビーコンBcを基地局31のBLE311へブロードキャストする。
【0230】
このように、ブロードキャストを用いる場合、2つの方法がある。
【0231】
MD-WLANを用いた無線通信について説明する。MD-WLANを用いた無線通信は、MD-WLANを用いたマルチポイント受信と、MD-WLANを用いたマルチチャネル・マルチポイント受信とがある。
【0232】
MD-WLANを用いたマルチポイント受信について説明する。
【0233】
図17は、画像の送信を示す概念図である。図17を参照して、リアルタイム動画伝送の場合の特徴を説明する。Iピクチャは、前後のピクチャの差分を用いない圧縮画像からなり、サイズが大きい。Pピクチャは、前のピクチャとの差分を伝送するため、サイズが小さい。
【0234】
IピクチャおよびPピクチャは、周期的に送信される。そして、周期的な送信の際の送信パケット数は、異なり、バースト的に一度にパケットを送信する場合もある。また、Iピクチャは、IPPPIPPPIPのように周期的に生成されて送信される。
【0235】
Iピクチャを伝送する際にバーストが発生し、バーストのサイズは、一定でない。また、バーストを構成するパケットは、一度に到着せずに逐次到着する。
【0236】
更に、図17に示すPピクチャ、Pピクチャ、Pピクチャ、Iピクチャ、Pピクチャ、Pピクチャ、Pピクチャ、IピクチャおよびPピクチャにおいて、Pピクチャをペイロードに含むパケットおよびIピクチャをペイロードに含むパケットがカメラ121から通信システム12の制御装置122に到着する時間間隔は、Tinterval_1であり、Iピクチャをペイロードに含む複数のパケットがアプリケーションから連続して通信システム12の制御装置122に到着する時間間隔は、Tinterval_1よりも短いTinterval_2である。
【0237】
図18は、パケットのフォーマットを示す概略図である。図18を参照して、パケットPKTは、ヘッダと、ペイロードとを含む。ヘッダは、送信先のIPアドレスを含む。
【0238】
ペイロードは、Packet Infoと、領域REG1と、Coded Infoと、領域REG2とを含む。領域REG1は、1個のパケットPKT_Nのペイロードを含む。領域REG2は、N個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(N)を符号化した符号化パケットPKT_Cを含む。領域REG1の長さは、Lであり、領域REG2の長さは、L~Lの最大値である。Lは、1個の単体パケットPKT_Nのデータ長であり、L~Lは、それぞれ、単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(N)のデータ長である。
【0239】
Packet Infoは、識別子N/Cと、シーケンス番号SNと、データ長Lとを含む。識別子N/Cは、領域REG1に含まれるパケットが単体のパケットPKT_Nであるか符号化パケットPKT_Cであるかを識別する識別子であり、“N”または“C”からなる。“N”は、単体パケットPKT_Nであることを表し、“C”は、符号化パケットPKT_Cであることを表す。シーケンス番号SNは、領域REG1に含まれるパケットの制御装置122への到着順序を表す。データ長Lは、領域REG1の長さを表す。
【0240】
Coded Infoは、識別子N/Cと、Num coded(N)と、Packet Info 1~Packet Info Nとを含む。識別子N/Cは、領域REG2に含まれるパケットが単体パケットPKT_Nであるか符号化パケットPKT_Cであるかを識別する識別子であり、“N”または“C”からなる。Num coded(N)は、領域REG2に含まれる符号化パケットPKT_Cを構成する単体パケットPKT_Nの個数を表す。
【0241】
Packet Info 1は、シーケンス番号SNと、データ長Lと、符号Cとを含む。以下、同様にして、Packet Info Nは、シーケンス番号SNと、データ長Lと、符号Cとを含む。
【0242】
Packet Info 1において、シーケンス番号SNは、符号化パケットPKT_Cを構成する単体パケットPKT_N(1)の制御装置122への到着順序を表し、データ長Lは、符号化パケットPKT_Cを構成する単体パケットPKT_N(1)のデータ長であり、符号Cは、N個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(N)を符号化したときのパケットPKT_N(1)の係数である。
【0243】
以下、同様にして、Packet Info Nにおいて、シーケンス番号SNは、符号化パケットPKT_Cを構成する単体パケットPKT_N(N)の制御装置122への到着順序を表し、データ長Lは、符号化パケットPKT_Cを構成する単体パケットPKT_N(N)のデータ長であり、符号Cは、N個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(N)を符号化したときの単体パケットPKT_N(N)の係数である。
【0244】
1個のパケットPKT_Nは、ペイロードがPacket Infoと領域REG1とを含む構成からなる。
【0245】
バースト的に一度に送信するためのパケットがMBurst(MBurstは、2≦MBurst<Vを満たす整数である。)個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)からなるとすると、MBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)のうちの最初に制御装置122に到着した単体パケットPKT_N(1)以外の(MBurst-1)個の単体パケットPKT_N(2)~PKT_N(MBurst)から選択されたa(aは、1以上の整数である。)個の所定の単体パケットPKT_N(m)の各々が制御装置122に到着すると、所定の単体パケットPKT_N(m)よりも早く制御装置122に到着した単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(m-1)を符号化して符号化パケットPKT_C1を生成し、その生成した符号化パケットPKT_C1を所定のパケットPKT_N(m)に付与した結合パケットPKT_N/PKT_C1を生成することになる。
【0246】
従って、結合パケットPKT_N/PKT_C1は、ペイロードが[Packet Info/PKT_Nのデータ/Coded Info/PKT_N(1)のデータ~PKT_N(m-1)のデータ]を含む構成からなる。
【0247】
また、MBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)が連続して制御装置122に到着したとき、MBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)を符号化した符号化パケットPKT_C2を生成することになる。
【0248】
従って、符号化パケットPKT_C2は、ペイロードが[Coded Info/PKT_N(1)のデータ~PKT_N(MBurst)のデータ]を含む構成からなる。
【0249】
図19は、図2に示す制御装置122におけるバッファ1221の概略図である。なお、図19は、バースト的に一度に送信するためのパケットの個数MBurstよりもバッファ21のサイズが大きい場合についてバッファ1221の概略図を示す。
【0250】
図19を参照して、バッファ1221は、例えば、リングバッファからなる。そして、バッファ1221は、シーケンス番号SNが小さい順(即ち、古い順)にMBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)を格納する。単体パケットPKT_N(MBurst)は、現在時刻においてバッファ1221に格納されたパケットであり、単体パケットPKT_N(1)~パケットPKT_N(MBurst-1)は、過去にバッファ1221に格納されたパケットである。
【0251】
また、バッファ1221は、パケット数が最大数を超えると、古いパケットから順に上書きする構成からなる。その結果、バッファ1221は、常に、最大数のパケットを格納できる。
【0252】
単体パケットPKT_N(1),PKT_N(2),・・・,PKT_N(MBurst)が格納されたMBurst個の領域には、それぞれ、単体パケットPKT_N(1)のシーケンス番号SNおよびデータ長L、単体パケットPKT_N(2)のシーケンス番号SNおよびデータ長L、・・・、単体パケットPKT_N(MBurst)のシーケンス番号SNMBurstおよびデータ長LMBurstも格納される。
【0253】
即ち、カメラ121から制御装置122に到着した単体パケットPKT_N(PKT_N(1)~PKT_N(MBurst)のいずれか)がペイロードを構成し、バッファ1221の各領域には、[SN/L/ペイロード/パディング(全て“0”)]が格納される。なお、パディング(全て“0”)は、[SN/L/ペイロード]の長さが最大長にならない場合に追加される。
【0254】
図20は、パケットを符号化する方法を説明するための図である。図20においては、パケットX(iは、1,2,3,・・・)と符号化パケットYi-1とを符号化する方法を説明する。
【0255】
図20を参照して、パケットXは、Lバイトのデータ長を有するので、パケットXは、L×8/n個の成分Xi,1,Xi,2,Xi,3,Xi,4,・・・,Xi,Li×8/nと、“0”からなるパディングとを含む。成分Xi,1,Xi,2,Xi,3,Xi,4,・・・,Xi,Li×8/nの各々は、n(nは、正の整数である。)ビットの長さを有する。符号Cは、ガロア体GF(2)上のnビット長の乱数からなる。ここで、nは、例えば、8からなる。
【0256】
符号化パケットYi-1は、成分Yi-1,1,Yi-1,2,Yi-1,3,Yi-1,4,・・・,Yi-1,Li×8/n,Yi-1,Max×8/nからなる。成分Yi-1,1,Yi-1,2,Yi-1,3,Yi-1,4,・・・,Yi-1,Li×8/n,Yi-1,Max×8/nの各々は、nビットの長さを有する。
【0257】
符号Cを成分Xi,1,Xi,2,Xi,3,Xi,4,・・・,Xi,Li×8/nの各々に乗算して乗算結果C・Xi,1,C・Xi,2,C・Xi,3,C・Xi,4,・・・,C・Xi,Li×8/nを生成する。この場合、符号Cと、成分Xi,1,Xi,2,Xi,3,Xi,4,・・・,Xi,Li×8/nの各々との乗算は、ガロア体GF(2)上の乗算として実行される。
【0258】
その後、乗算結果C・Xi,1と成分Yi-1,1との排他的論理和を演算して成分Yi,1を生成し、乗算結果C・Xi,2と成分Yi-1,2との排他的論理和を演算して成分Yi,2を生成し、乗算結果C・Xi,3と成分Yi-1,3との排他的論理和を演算して成分Yi,3を生成し、乗算結果C・Xi,4と成分Yi-1,4との排他的論理和を演算して成分Yi,4を生成し、以下、同様にして、乗算結果C・Xi,Li×8/nと成分Yi-1,Li×8/nとの排他的論理和を演算して成分Yi,Li×8/nを生成し、更に、“0”からなるパディングと成分Yi-1,Max×8/nとの排他的論理和を演算して成分Yi,Max×8/nを生成する。これによって、符号化パケットY=[Yi,1,Yi,2,Yi,3,Yi,4,・・・,Yi,Li×8/n,・・・,Yi,Max×8/n]が生成される。
【0259】
図21は、MBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)を送信するときの符号化パケットの生成方法を説明する図である。
【0260】
図21においては、パケットP,P,P,Pが制御装置122に到着したタイミングで符号化パケットを管理施設30における基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信すると判定するものとする。
【0261】
図21の(a)を参照して、バーストを構成するMBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)は、パケットP~Pからなる。そして、バッファ1221に格納できるパケットの最大数は、6個である。即ち、バーストを構成するパケットの個数MBurstは、バッファ1221のサイズMBuffer以下である。
【0262】
制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着すると、パケットPをバッファ1221にコピーする(図21の(a)(i)参照)。そして、制御装置122は、バッファ1221からパケットPを取り出し、その取り出したパケットP図20において説明した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。
【0263】
より具体的には、制御装置122は、nビット長の“0”からなる符号化パケットY={000・・・0}を生成し、ガロア体GF(2)上のnビット長の乱数からなる符号Cを生成する。そして、制御装置122は、パケットX(=P)と符号化パケットY={000・・・0}と符号Cとに基づいて、図20において説明した方法によって、符号化パケットY(=C)を生成する。
【0264】
その後、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着すると、パケットPをバッファ1221にコピーする(図21の(a)(ii)参照)。そして、制御装置122は、バッファ1221からパケットPを取り出す。その後、制御装置122は、ガロア体GF(2)上のnビット長の乱数からなる符号Cを生成する。そうすると、制御装置122は、パケットX(=P)と符号化パケットYと符号Cとに基づいて、図20において説明した方法によって、符号化パケットY(=C)を生成する。
【0265】
以下、同様にして、パケットP~Pが制御装置122に到着したタイミングで、それぞれ、符号化パケットY~Y(=C~C)を順次生成する(図21の(a)(iii)~(vi)参照)。この場合、パケットPが制御装置122に到着し、パケットPをバッファ1221にコピーした段階で、バッファ1221は、最大数MBufferのパケットを格納する。
【0266】
制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし(図21の(a)(iii)参照)、符号化パケットを送信すると判定する。そして、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着したタイミングで生成した符号化パケットY(=C)をパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/CをWi-Fi123へ出力して結合パケットP/Cを基地局31のWi-Fi312-1~312-5へ送信する。なお、結合パケットP/Cによって情報を送信することは、Piggybackによる情報の送信である。
【0267】
また、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着すると、パケットPをバッファ1221にコピーし(図21の(a)(v)参照)、符号化パケットを送信すると判定する。そして、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着したタイミングで生成した符号化パケットY(=C)をパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/CをWi-Fi123へ出力して結合パケットP/Cを基地局31のWi-Fi312-1~312-5へ送信する。
【0268】
そして、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着し、符号化パケットY(=C)を生成した後、後述する方法によって、パケットPがバーストを構成するパケットP~Pのうちの最後のパケットPであると判定した後、未送信の符号化パケットY(=C)をWi-Fi123へ出力して符号化パケットY(=C)を単独で基地局31のWi-Fi312-1~312-5へ送信する。
【0269】
また、制御装置122は、バッファ1221からパケットP~Pを取り出し、その取り出したパケットP~Pを符号化して符号化パケットY(=C)を生成する。そして、制御装置122は、符号化パケットY(=C)をWi-Fi123へ出力して符号化パケットY(=C)を単独で基地局31のWi-Fi312-1~312-5へ送信する。
【0270】
このように、制御装置122は、バーストを構成するパケットの個数MBurstがバッファ1221のサイズMBuffer以下であるとき、バーストを構成する全てのパケットP~Pを含む符号化パケットY(=C)を生成して基地局31のWi-Fi312-1~312-5へ送信する。
【0271】
図21の(b)を参照して、バーストを構成するMBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)は、パケットP~P10からなる。そして、バッファ1221に格納できるパケットの最大数は、6個である。即ち、バーストを構成するパケットの個数MBurstは、バッファ1221のサイズMBufferよりも大きい。
【0272】
制御装置122は、パケットP~Pが制御装置122に到着したとき、図21の(a)において説明した処理を実行する(図21の(b)(i),(ii)参照)。
【0273】
そして、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着すると、パケットPをバッファ1221にコピーする(図21の(b)(iii)参照)。その結果、パケットPが制御装置122に到着した段階でバッファ1221に格納されていたパケットP~P6は、それぞれ、パケットP~Pによって上書きされる。
【0274】
制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーした後、バッファ1221からパケットPを取り出す。そして、制御装置122は、ガロア体GF(2)上のnビット長の乱数からなる符号Cを生成する。そうすると、制御装置122は、パケットX(=P)と符号化パケットYと符号Cとに基づいて、図20において説明した方法によって、符号化パケットY(=C)を生成する。
【0275】
その後、制御装置122は、パケットP~P10が制御装置122に到着したタイミングで、同様にして、それぞれ、符号化パケットY(=C)~Y10(=C10)を生成する(図21の(b)(iv)~(vi)参照)。
【0276】
そして、パケットP10をバッファ1221にコピーした段階で、バッファ1221は、パケットP~P10を格納する。
【0277】
制御装置122は、パケットP10が制御装置122に到着し、符号化パケットY10(=C10)を生成した後、後述する方法によって、パケットP10がバーストを構成するパケットP~P10のうちの最後のパケットP10であると判定した後、未送信の符号化パケットY10(=C10)をWi-Fi123へ出力して符号化パケットY10(=C10)を単独で基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。
【0278】
また、制御装置122は、バッファ1221からパケットP~P10を取り出し、その取り出したパケットP~P10を符号化して符号化パケットY11(=C11)を生成する。そして、制御装置122は、符号化パケットY11(=C11)を基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ出力して符号化パケットY11(=C11)を単独で基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。
【0279】
このように、制御装置122は、バーストを構成するパケットの個数MBurstがバッファ1221のサイズMBufferよりも大きいとき、バーストを構成するパケットP~P10のうちのパケットP~P10を含む符号化パケットY11(=C11)を生成して基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。
【0280】
図21において説明したように、単独で送信される符号化パケットは、バーストを構成するパケットの個数MBurstとバッファ1221のサイズMBufferとの大小関係によって異なるパケットを含む。
【0281】
なお、制御装置122は、バーストを構成するMBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)のうちの最後の単体パケットPKT_N(MBurst)がバッファ1221に到着したか否かを次の方法によって判定する。
【0282】
制御装置122は、バーストを構成する先頭の単体パケットに含まれるバーストの個数MBurstに基づいてバーストの最後の単体パケットがバッファ1221に到着したか否かを判定する。
【0283】
より具体的には、制御装置122は、単体パケットが到着する毎に、到着した単体パケットがバーストの個数MBurstを含むか否かを判定し、到着した単体パケットがバーストの個数MBurstを含むとき、到着した単体パケットからバーストの個数MBurstを検出する。そして、制御装置122は、バーストの個数MBurstを含む単体パケットからMBurst個目の単体パケットが到着すると、バーストの最後の単体パケットがバッファ1221に到着したと判定する。
【0284】
また、制御装置122は、単体パケットが到着する毎に、到着した単体パケットがバーストの最後の単体パケットであることを示すフラグを含むか否かを判定し、到着した単体パケットがバーストの最後の単体パケットであることを示すフラグを含むとき、バーストの最後の単体パケットがバッファ1221に到着したと判定する。
【0285】
図21においては、制御装置122は、符号化パケットPKT_Cを単体パケットPKT_Nに付与して基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信すると説明したが、この発明の実施の形態においては、制御装置122は、1個の単体パケットPKT_Nがバッファ21に到着する毎に、バッファ21に格納された単体パケットPKT_Nを符号化して符号化パケットPKT_Cを生成し、その生成した符号化パケットPKT_Cを基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信してもよい。
【0286】
より具体的には、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーすると、バッファ1221に格納されたパケットPを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCをWi-Fi123へ出力して符号化パケットCを単独で基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信する(図21の(a)(i)参照)。また、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーすると、バッファ1221に格納されたパケットP,Pを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCをWi-Fi123へ出力して符号化パケットCを単独で基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信する(図21の(a)(ii)参照)。更に、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーすると、バッファ1221に格納されたパケットP,P,Pを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCをWi-Fi123へ出力して符号化パケットCを単独で基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信する(図21の(a)(iii)参照)。更に、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーすると、バッファ1221に格納されたパケットP,P,P,Pを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCをWi-Fi123へ出力して符号化パケットCを単独で基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信する(図21の(a)(iv)参照)。更に、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーすると、バッファ1221に格納されたパケットP,P,P,P,Pを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCをWi-Fi123へ出力して符号化パケットCを単独で基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信する(図21の(a)(v)参照)。更に、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーすると、バッファ1221に格納されたパケットP,P,P,P,P,Pを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCをWi-Fi123へ出力して符号化パケットCを単独で基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信する(図21の(a)(vi)参照)。なお、制御装置122は、図21の(b)に示す場合も、同様にして、1個の単体パケットPKT_Nが到着する毎に、バッファ1221に格納されたパケットに基づいて符号化パケットPKT_Cを生成し、その生成した符号化パケットPKT_CをWi-Fi123へ出力して符号化パケットPKT_Cを単独で基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。
【0287】
また、制御装置122は、バーストを構成しない単体パケットPKT_N、およびバーストを構成する単体パケットPKT_Nをそのまま基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信してもよい。この場合、制御装置122は、単体パケットPKT_Nが到着する毎に、到着した単体パケットPKT_Nをバッファ1221にコピーし、元の単体パケットPKT_NをWi-Fi123へ出力して元の単体パケットPKT_Nを単独で基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。
【0288】
このように、この発明の実施の形態においては、制御装置122は、カメラ121から単体パケットPKT_Nが到着すると、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかを基地局31のWi-F1312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。
【0289】
図22は、バーストを構成するパケットの送信方法を説明するための図である。図22においては、バーストを構成するMBurst個のパケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)がパケットP~Pである場合において、バーストを構成するMBurst個のパケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)の送信方法を説明する。この場合、制御装置122は、例えば、パケットP,Pのいずれかが制御装置122に到着したタイミングで符号化パケットを送信すると判定し、パケットP,P,P,Pのいずれかが制御装置122に到着したタイミングでは符号化パケットを送信しないと判定するものとする。また、パケットP,Pが送信先へ送信できなかったものとする。
【0290】
図22を参照して、パケットP~Pは、バースト的に一度に送信するパケットを構成する。
【0291】
制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着すると、パケットPがバーストの個数MBurstを含むと判定し、パケットPから個数MBurstを検出する。そして、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーし、パケットPがパケットP,P以外のパケットであるので(即ち、パケットPがm=1である単体パケットPKT_N(1)であるので)、符号化パケットを送信しないと判定する。そして、制御装置122は、元のパケットPをWi-Fi123へ出力してパケットPを基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。その後、制御装置122は、バッファ1221からパケットPを取り出し、その取り出したパケットPを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0292】
【数2】
【0293】
引き続いて、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着すると、バーストを構成する2個目のパケットが到着したことを検知する。そして、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーし、パケットPがパケットP,P以外のパケットであるので(即ち、パケットPがm=2である単体パケットPKT_N(2)であるので)、符号化パケットを送信しないと判定する。そして、制御装置122は、元のパケットPをWi-Fi123へ出力してパケットPを基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。その後、制御装置122は、パケットP,Pをバッファ1221から取り出し、その取り出したパケットP,Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0294】
【数3】
【0295】
引き続いて、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着すると、バーストを構成する3個目のパケットが到着したことを検知する。そして、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーし、パケットPがパケットP,Pのいずれかに該当するパケットであるので(即ち、パケットPがm=3である単体パケットPKT_N(3)であるので)、符号化パケットを送信すると判定する。そうすると、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着したタイミングで生成した符号化パケットCを元のパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/CをWi-Fi123へ出力して結合パケットP/Cを基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。その後、制御装置122は、パケットP~Pをバッファ1221から取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0296】
【数4】
【0297】
引き続いて、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着すると、バーストを構成する4個目のパケットが到着したことを検知する。そして、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーし、パケットPがパケットP,P以外のパケットであるので(即ち、パケットPがm=4である単体パケットPKT_N(4)であるので)、符号化パケットを送信しないと判定する。そうすると、制御装置122は、元のパケットPをWi-Fi123へ出力してパケットPを基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。そして、制御装置122は、パケットP~Pをバッファ1221から取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0298】
【数5】
【0299】
その後、パケットPが制御装置122に到着すると、制御装置122は、バーストを構成する5個目のパケットが到着したことを検知する。そして、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーし、パケットPがパケットP,Pのいずれかに該当するパケットであるので(即ち、パケットPがm=5である単体パケットPKT_N(5)であるので)、符号化パケットを送信すると判定する。そうすると、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着したタイミングで生成した符号化パケットCを元のパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/CをWi-Fi123へ出力して結合パケットP/Cを基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。その後、制御装置122は、パケットP~Pをバッファ1221から取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0300】
【数6】
【0301】
引き続いて、制御装置122は、パケットPが制御装置122に到着すると、バーストを構成する6個目のパケット(即ち、バーストを構成する最後のパケット)が到着したことを検知する。そして、制御装置122は、パケットPをバッファ1221にコピーし、パケットPがパケットP,P以外のパケットであるので(即ち、パケットPがm=6である単体パケットPKT_N(6)であるので)、符号化パケットを送信しないと判定する。そうすると、制御装置122は、元のパケットPをWi-Fi123へ出力してパケットPを基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。その後、制御装置122は、パケットP~Pをバッファ1221から取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0302】
【数7】
【0303】
なお、符号化パケットCをパケットPに付与して基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信しないのは、符号化パケットを単体パケットに付与して基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信するタイミングがパケットP,Pのいずれかがバッファ1221に到着したタイミングであると決定されているので、パケットPがバッファ1221に到着したタイミングが符号化パケットを単体パケットに付与して基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信するタイミングでないからである。
【0304】
その後、制御装置122は、バーストを構成するパケットP~Pのうちの最後のパケットPがバッファ1221に到着した後、Tミリ秒が経過したか否かを判定する。ここで、Tは、T<T_interval_1を満たす時間であり、例えば、5ミリ秒である。
【0305】
制御装置122は、最後のパケットPがバッファ1221に到着した後、Tミリ秒が経過したと判定したとき、符号化パケットCをWi-Fi123へ出力して符号化パケットCを基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。
【0306】
そして、制御装置122は、符号化パケットの送信数がK個であるか否かを判定する。Kは、例えば、3である。また、Kは、バッファ1221に格納されるパケット数に応じて変更されてもよい。この場合、Kは、K=A+B/Mによって決定される。Mは、バッファ1221に格納されるパケット数であり、A,Bは、定数である。そして、A,B,Mの各々は、正の整数である。また、A+B/Mの演算結果が正の整数でないときは、小数点以下、第1位を四捨五入したものをA+B/Mの演算結果とする。K=A+B/Mによれば、バッファ1221に格納されるパケット数Mが多くなれば、Kは、小さくなり、バッファ1221に格納されるパケット数Mが少なくなれば、Kは、大きくなる。従って、符号化パケットの送信数KをK=A+B/Mによって決定することによって、バッファ1221に格納されるパケット数Mが第1の個数であるとき、符号化パケットの送信数Kを第1の送信数に設定し、バッファ1221に格納されるパケット数Mが第1の個数よりも多い第2の個数であるとき、符号化パケットの送信数Kを第1の送信数よりも少ない第2の送信数に設定する。つまり、バッファ1221に格納されるパケット数Mが少なくなれば、より多くの符号化パケットを送信することになる。
【0307】
制御装置122は、符号化パケットの送信数がK個でないと判定したとき、バッファ1221に格納されたパケットP~Pを取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0308】
【数8】
【0309】
そして、制御装置122は、符号化パケットCをWi-Fi123へ出力して符号化パケットCを基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。
【0310】
その後、制御装置122は、符号化パケットの送信数がK個(=3個)でないと判定する。そして、制御装置122は、バッファ1221に格納されたパケットP~Pを取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0311】
【数9】
【0312】
そして、制御装置122は、符号化パケットCをWi-Fi123へ出力して符号化パケットCを基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5へ送信する。
【0313】
このように、制御装置122は、符号化パケットを単体で送信するとき、バッファ1221に格納されている全てのパケットP~Pを用いて符号化パケットC~Cを生成する。
【0314】
引き続いて、制御装置122は、符号化パケットの送信数がK個(=3個)であると判定し、バッファ1221をクリアする。
【0315】
式(7)~式(9)に示すように、符号化パケットC,C,Cは、同じパケットP~Pを含み、係数Cのみが異なる符号化パケットである。係数Cは、ガロア体GF(2)上のnビット長の乱数からなるので、例えば、式(7)における係数a62,a64が零であることもある。この場合、符号化パケットCは、実質的に、パケットP,P,P,Pを含むことになる。符号化パケットC,Cについても同様である。
【0316】
基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5は、通信システム12のWi-Fi123から送信されたパケットPの受信に失敗し、通信システム12のWi-Fi123から送信されたパケットPを受信する。また、基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5は、通信システム12のWi-Fi123から送信された結合パケットP/Cの受信に失敗し、通信システム12のWi-Fi123から送信されたパケットP、結合パケットP/C、パケットPおよび符号化パケットC,C,Cを順次受信する。
【0317】
そして、基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5は、受信したパケットP,P,P、結合パケットP/C、および符号化パケットC,C,Cを管理人の端末装置STAへ無線通信によって送信する。
【0318】
管理人の端末装置STAは、パケットP,P,P、結合パケットP/C、および符号化パケットC,C,Cを基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5から受信する。
【0319】
管理人の端末装置STAは、パケットP,Pおよび符号化パケットCを受信できなかったので、受信できなったパケットP,Pを符号化パケットC,Cから復号するために、符号化パケットC,Cから受信済のパケットP,Pの情報を除去する。
【0320】
より具体的には、管理人の端末装置STAは、次式によって、符号化パケットCから受信済のパケットP,Pの情報を除去する。
【0321】
【数10】
【0322】
また、管理人の端末装置STAは、次式によって、符号化パケットCから受信済のパケットP,P,P,Pの情報を除去する。
【0323】
【数11】
【0324】
その結果、符号化パケットCから受信済のパケットP,Pの情報を除去した後の符号化パケットC’および符号化パケットCから受信済のパケットP,P,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC’は、共に、パケットP,Pを含む。
【0325】
そして、式(10)の左辺は、符号化パケットCとパケットPとの排他的論理和を演算し、その排他的論理和の演算結果とパケットPとの排他的論理和を演算することによって得られる。また、式(11)の左辺は、符号化パケットCとパケットPとの排他的論理和を演算し、その排他的論理和の演算結果とパケットPとの排他的論理和を演算し、その排他的論理和の演算結果とパケットPとの排他的論理和を演算し、その排他的論理和の演算結果とパケットPとの排他的論理和を演算することによって得られる。従って、管理人の端末装置STAは、式(10)および式(11)の左辺の値を取得できる。
【0326】
また、式(10)の符号a41,a43は、符号化パケットCの“Coded Infoに含まれており、式(11)の符号a61,a63は、符号化パケットCの“Coded Infoに含まれているので(図18参照)、既知である。
【0327】
従って、管理人の端末装置STAは、式(10)および式(11)の連立方程式を解くことによって、受信できなかったパケットP,Pを復号できる。
【0328】
また、管理人の端末装置STAは、同様にして、符号化パケットC~Cから任意に選択した2つの符号化パケットに基づいて、受信できなかったパケットP,Pを復号できる。
【0329】
このように、管理人の端末装置STAが受信できなかったパケットが2個のパケットP,Pである場合、制御装置122は、管理人の端末装置STAが受信できなかったパケットの個数(=2個)以上の符号化パケットを送信することによって、受信できなかった2個のパケットP,Pを復号できる。
【0330】
管理人の端末装置STAが結合パケットP/Cに代えて結合パケットP/Cを受信できなかった場合について、上記の方法によって、受信できなかった2個のパケットを復号できることを説明する。この場合、管理人の端末装置STAは、2個のパケットP,Pを受信できなかったことになる。
【0331】
そこで、管理人の端末装置STAは、符号化パケットCから受信済のパケットPの情報を除去した後の符号化パケットC’と、符号化パケットCから受信済のパケットP,P,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC”とを次式によって算出する。
【0332】
【数12】
【0333】
従って、管理人の端末装置STAは、式(12A),(12B)の連立方程式を解くことによって、受信できなかった2個のパケットP,Pを復号できる。
【0334】
符号化パケットC,Cがそれぞれ付与されるパケットP,P以外のパケットP,P,Pを管理人の端末装置STAへ送信できなくても、管理人の端末装置STAは、3個の符号化パケットC,C,Cを受信できる。
【0335】
そこで、管理人の端末装置STAは、符号化パケットCから受信済のパケットP,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC (3)と、符号化パケットCから受信済のパケットP,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC (3)と、符号化パケットCから受信済のパケットP,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC (3)とを算出する。その結果、次式が得られる。
【0336】
【数13】
【0337】
管理人の端末装置STAは、式(13A),(13B),(13C)の連立方程式を解くことによってパケットP,P,Pを復号できる。
【0338】
なお、管理人の端末装置STAは、符号化パケットから受信済のパケットの情報を除去した後の符号化パケットCが1個のパケットのみを含むとき、次式によって符号化パケットCを1個のパケットPKT_Nに変換する。
【0339】
【数14】
【0340】
この場合、管理人の端末装置STAは、受信済のパケットの情報を除去した符号化パケットCを式(14)の“Y”に代入し、受信済のパケットの情報を除去した符号化パケットCのいずれかに含まれる1個の符号Cを式(14)の“C”に代入する。なお、式(14)の演算は、ガロア体GF(2)上の演算である。
【0341】
次に、MD-WLANを用いたマルチチャネル・マルチポイント受信について説明する。
【0342】
図23は、MD-WLANを用いたマルチチャネル・マルチポイント受信を説明するための概略図である。
【0343】
図23を参照して、管理システム10において、Wi-Fi123は、例えば、2個のWi-Fi123-1,123-2からなる。
【0344】
制御装置122は、基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5がマルチチャネル・マルチポイント受信を行う場合、Wi-Fi123-1から基地局31のWi-Fi312-1,312-3,312-5への通信に対してチャネルch1を割り当て、Wi-Fi123-2から基地局31のWi-Fi312-2,312-4への通信に対してチャネルch2を割り当てる。チャネルch1,ch2は、相互に異なる。
【0345】
制御装置122は、画像データを含むパケットPKTをカメラ121から受けると、チャネルch1が基地局31のWi-Fi312-1,312-3,312-5におけるチャネルであり、チャネルch2が基地局31のWi-Fi312-2,312-4におけるチャネルであることを示すチャネル情報CH_IF1,CH_IF2を生成し、その生成したチャネル情報CH_IF1,CH_IF2をそれぞれ含むパケットPKT_TR1,PKT_TR2を生成する。そして、制御装置122は、パケットPKT_TR1をWiFi123-1へ出力し、パケットPKT_TR2をWiFi123-2へ出力する。
【0346】
制御装置122は、上記の“MD-WLANを用いたマルチポイント受信”において説明した方法によって単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_CのいずれかをWi-Fi123-1,123-2へ出力する。
【0347】
Wi-Fi123-1は、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_CのいずれかをPKT_TR1として制御装置122から受ける。
【0348】
そして、Wi-Fi123-1は、チャネルch1を用いて、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかを基地局31のWi-Fi312-1,312-3,312-5へブロードキャストする。
【0349】
また、Wi-Fi123-2は、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_CのいずれかをPKT_TR2として制御装置122から受ける。
【0350】
そして、Wi-Fi123-2は、チャネルch2を用いて、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかを基地局31のWi-Fi312-2,312-4へブロードキャストする。
【0351】
基地局31のWi-Fi312-1,312-3,312-5は、チャネルch1を用いて、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかを受信する。
【0352】
また、基地局31のWi-Fi312-2,312-4は、チャネルch2を用いて、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかを受信する。
【0353】
そして、基地局31のWi-Fi312-1,312-3,312-5は、チャネルch1を用いて、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかを管理人の端末装置STAへ送信する。
【0354】
また、基地局31のWi-Fi312-2,312-4は、チャネルch2を用いて、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかを管理人の端末装置STAへ送信する。
【0355】
管理人の端末装置STAは、チャネルch1,ch2でキャリアセンスを実行し、基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5から単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかを受信する。
【0356】
そして、管理人の端末装置STAは、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかを受信すると、上記の“MD-WLANを用いたマルチポイント受信”において説明した方法によって各パケットPKTを取得する。
【0357】
図23において、通信システム10のWi-Fi123は、一般的には、m(mは、2以上の整数)個のWi-Fi123-1~123-mからなり、基地局31は、一般的には、R(Rは、2以上の整数)個のWi-Fi312-1~312-Rを備える。
【0358】
そして、m個のWi-Fi123-1~123-mは、それぞれ、相互に異なるチャネルch1~chmで画像データを送信する。
【0359】
基地局31において、R個のWi-Fi312-1~312-Rのうち、r(rは、1≦r<Rを満たす整数)個のWi-Fi312-1~312-rは、チャネルch1で画像データを受信し、R個のWi-Fi312-1~312-Rのうち、r(rは、1≦r<(R-r)を満たす整数)個のWi-Fi312-1~312-rは、チャネルch2で画像データを受信し、以下、同様にして、R個のWi-Fi312-1~312-Rのうち、r(rは、1≦r<(R-(r+r+・・・+rm-1))を満たす整数)個のWi-Fi312-1~312-rは、チャネルchmで画像データを受信する。
【0360】
通信システム10のWi-Fi123の個数、チャネルchおよびR個のWi-Fi123の関係を表2に示す。
【0361】
【表2】
【0362】
表2に示すように、チャネルchの個数は、通信システム10のWi-Fi123の個数に一致する。
【0363】
そして、Wi-Fi123の個数が2であるとき、r,rは、相互に同じであってもよく、相互に異なっていてもよい。
【0364】
また、Wi-Fi123の個数が3であるとき、r,r,rは、相互に同じであってもよく、相互に異なっていてもよい。そして、r,r21,rのうちの2つが相互に同じであってもよい。
【0365】
更に、Wi-Fi123の個数が4であるとき、r,r,r,rは、相互に同じであってもよく、相互に異なっていてもよい。そして、r,r21,r,rのうちの3つが相互に同じであってもよく、r,r21,r,rのうちの2つが相互に同じであってもよい。
【0366】
以下、同様にして、Wi-Fi123の個数がmであるとき、r,r,・・・,rは、相互に同じであってもよく、相互に異なっていてもよい。そして、r,r,・・・,rのうちの(m-1)個が相互に同じであってもよく、r,r,・・・,rのうちの(m-2)個が相互に同じであってもよく、・・・、r,r,・・・,rのうちの3個が相互に同じであってもよく、r,r,・・・,rのうちの2個が相互に同じであってもよい。
【0367】
なお、“MD-WLANを用いたマルチチャネル・マルチポイント受信”においては、複数のインターフェースI/Fを用いてマルチチャネル伝送を行ってもよい。
【0368】
この場合、基地局31は、R個のインターフェースI/Fを含み、通信システム12のWi-Fi123は、m個のWi-Fi123-1~123-mからなる。そして、m個のWi-Fi123-1~123-mは、それぞれ異なるm個のチャネルを用いてR個のインターフェースを介して基地局31へ画像データを送信する。
【0369】
“MD-WLANを用いたマルチポイント受信”および“MD-WLANを用いたマルチチャネル・マルチポイント受信”によれば、基地局31のWi-Fi312-1~Wi-Fi312-5は、カメラ121によって撮影された画像データを確実に受信できる。また、Burst-Aware Coding Controlによるリアルタイム性の維持と確実性を向上できる。また、安定な動画伝送を行うことができる。
【0370】
図24は、この発明の実施の形態における各機器の接続構成を示す概略図である。図24を参照して、H(Hは、2以上の整数)個のビニールハウスが存在する。
【0371】
ビニールハウス1においては、制御装置および複数の環境デバイスは、独立して、管理施設の無線インフラに接続される。その結果、ビニールハウス1においては、制御装置および複数の環境デバイスは、独立して通信を行う。
【0372】
一方、ビニールハウスHにおいては、複数の環境デバイスは、制御装置に接続される。そして、制御装置は、管理施設の無線インフラに接続される。その結果、ビニールハウスHにおいては、複数の環境デバイスは、制御装置を介して通信を行う。
【0373】
管理施設において、複数のアクセスポイントは、ハブに接続され、MD-WLAN制御は、ハブを制御する。
【0374】
そして、ハブは、インターネットGW(Gate Way)に接続され、インターネットGWは、インターネットに接続される。インターネットGWにおいては、光回線、5G(第五世代移動体通信システム)または4G(第四世代移動体通信システム)、およびStarlink等を用いてインターネットと接続される。
【0375】
上述した実施の形態によれば、管理システムは、
作物を栽培する栽培場に配置され、作物を撮影するとともに撮影した画像データを栽培場の管理施設へ送信する第1の通信システムと、
栽培場に配置され、作物からセンサー値を検出するとともに検出したセンサー値を第1の通信システムよりも省電力で栽培場の管理施設に配置された基地局へ送信する第2の通信システムと、
第1および第2の通信システムを駆動するための電力を発電して発電した電力を第1および第2の通信システムに供給する自立電源とを備えていればよい。
【0376】
管理システムが、このような構成を備えていれば、第2の通信システムは、自立電源によって駆動され、第1の通信システムよりも省電力でセンサー値を管理施設に配置された基地局へ送信するので、栽培する作物の生育状態を管理するために必要なセンサー値および作物の画像データを低消費電力で作物の管理施設へ送信できるからである。
【0377】
この発明の実施の形態においては、通信システム12は、「第1の通信システム」を構成し、通信システム11は、「第2の通信システム」を構成し、太陽電池13は、「自立電源」を構成する。
【0378】
また、この発明の実施の形態においては、Wi-Fi123は、「第1の無線通信システム」を構成し、制御装置122は、「第1の制御装置」を構成する。
【0379】
更に、この発明の実施の形態においては、センサー111,112は、n(nは、1以上の整数)個のセンサー値をそれぞれ検出する「n個のセンサー」を構成する。
【0380】
更に、この発明の実施の形態においては、BLE114は、[第2の無線通信システム]を構成し、制御装置113は、「第2の制御装置」を構成する。
【0381】
更に、この発明の実施の形態においては、基地局31は、管理施設30に配置された「基地局」を構成する。
【0382】
更に、この発明の実施の形態においては、基地局31のWi-Fi312は、「第3の無線通信システム」を構成し、基地局31のBLE311は、「第4の無線通信システム」を構成する。
【0383】
更に、この発明の実施の形態においては、BLE114Aは、「第5の無線通信システム」を構成する。
【0384】
更に、この発明の実施の形態においては、図15に示すQ個の基地局31-1~31-Qの各々のWi-Fi312-1~312-5は、「Z(Zは、1以上の整数)個の第3の無線通信システム」を構成する。
【0385】
更に、この発明の実施の形態においては、図23に示すWi-Fi312-1~312-5は、「R(Rは、2以上の整数)個の第3の無線通信システム」を構成する。
【0386】
更に、この発明の実施の形態においては、図3または図10において、管理システム10のBLE114(または管理システム10AのBLE114A)がタイミングtにおいて基地局31のBLE311から受信する“起床信号”は、「第1の起動信号」を構成する。
【0387】
更に、この発明の実施の形態においては、端末装置STAがBLE Advertisingによって送信する“カメラ121を起動するための起動コマンド”は、撮影装置を起動するための“第2の起動信号”を構成する。
【0388】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0389】
この発明は、管理装置システムに適用される。
【符号の説明】
【0390】
10 管理システム、11,12 通信システム、13 太陽電池、14 蓄電池、20 栽培場、21 畝、22,51,53 支持部材、30 管理施設 31,41 基地局、50 枠材、52 吊り下げチェーン、60 容器、111,112 センサー、113,122 制御装置、114 BLE、121 カメラ、123,312,411,412 Wi-Fi。
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12
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図24