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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142863
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20241003BHJP
   F24F 1/0047 20190101ALI20241003BHJP
   F24F 13/32 20060101ALI20241003BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F24F1/0007 401D
F24F1/0047
F24F13/32
F24F13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055227
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜畑 厚平
(72)【発明者】
【氏名】新井 悠文
【テーマコード(参考)】
3L051
3L080
【Fターム(参考)】
3L051BG06
3L051BH07
3L051BJ10
3L080AB02
(57)【要約】
【課題】、室内機の高さ調整作業やメンテナンス作業時の作業性向上と、給気時の風速増加の抑制と、を両立可能な空気調和機を提供する。
【解決手段】本開示の空気調和機は、室内機と、室内機の側面に着脱可能に取り付けられ室内機に給気する給気キットと、を備える空気調和機において、室内機は、水平な第1方向に沿って形成された吹出通路と、吊下げボルトが上下に挿通される挿通孔を有する吊り金具と、平面視で吊り金具と重畳する作業用開口を有する化粧パネルと、を備え、吊り金具は、吹出通路よりも第1方向における室内機の外側に配置され、第1方向において、給気キットが占める位置は、挿通孔が占める位置と重ならず、且つ、第1方向における給気キットの幅寸法は、第1方向における挿通孔と吹出通路との間隔よりも大きい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と、前記室内機の側面に着脱可能に取り付けられ前記室内機に給気する給気キットと、を備える空気調和機において、
前記室内機は、水平な第1方向に沿って形成された吹出通路と、吊下げボルトが上下に挿通される挿通孔を有する吊り金具と、平面視で前記吊り金具と重畳する作業用開口を有する化粧パネルと、を備え、
前記吊り金具は、前記吹出通路よりも前記第1方向における前記室内機の外側に配置され、
前記第1方向において、前記給気キットが占める位置は、前記挿通孔が占める位置と重ならず、且つ、前記第1方向における前記給気キットの幅寸法は、前記第1方向における前記挿通孔と前記吹出通路との間隔よりも大きい、
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記第1方向において、前記給気キットの一側面は、前記挿通孔と近接する、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記給気キットは、ダクトと接続する給気口と、前記室内機に接続されるチャンバ部と、を備え、
前記第1方向において、前記チャンバ部の占める位置は、前記吹出通路が占める位置と重なり、且つ、前記給気口の占める位置は、前記吹出通路が占める位置と重ならない、
請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第1方向において、前記給気口が占める位置は、前記吹出通路と近接する、
請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記室内機には爪が設けられ、前記給気キットは、前記爪に挿し込まれて取り付けられる、
請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、室内に対する外気取り入れのため、室内機に換気装置のダクトを接続した空気調和機を開示する。この空気調和機は、室内機において、ダクトから流入する給気が直接当たらない位置に室温センサを有するため、室温の測定に対する給気の影響を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-050948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、室内機の高さ調整作業やメンテナンス作業時の作業性向上と、給気時の風速増加の抑制と、を両立可能な空気調和機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における空気調和機は、室内機と、前記室内機の側面に着脱可能に取り付けられ前記室内機に給気する給気キットと、を備える空気調和機において、前記室内機は、水平な第1方向に沿って形成された吹出通路と、吊下げボルトが上下に挿通される挿通孔を有する吊り金具と、平面視で前記吊り金具と重畳する作業用開口を有する化粧パネルと、を備え、前記吊り金具は、前記吹出通路よりも前記第1方向における前記室内機の外側に配置され、前記第1方向において、前記給気キットが占める位置は、前記挿通孔が占める位置と重ならず、且つ、前記第1方向における前記給気キットの幅寸法は、前記第1方向における前記挿通孔と前記吹出通路との間隔よりも大きい。
【発明の効果】
【0006】
本開示における空気調和機において、給気キットの第1方向における幅寸法を大きく確保しつつ、挿通孔付近での作業を邪魔しにくい位置に給気キットを配置できる。このため、空気調和機は、室内機の高さ調整作業やメンテナンス作業時の作業性向上と、給気時の風速増加の抑制と、を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係る空気調和機の斜視図
図2】空気調和機の平面図
図3】チャンバの斜視図
図4】給気キットを前方側から見た斜視図
図5】給気キットを室内機に取り付けるための構成を示す斜視図
図6】チャンバと給気キットを下方から見た下面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、室内に外気等を取り入れるため、室内機に対してダクトを接続し、ダクトから室内機に外気等を給気する技術が存在した。この種の技術においては、室内機にダクトを接続させるために、室内機に対してダクトと接続可能な給気キットを取り付け、給気キットに対してダクトを取り付けるという製品設計が為されていた。そうした状況下において、発明者らは、従来の技術では、給気キットの寸法が小さい場合、ダクトから流入する空気の風速が増加し、騒音や吸い込み空気の温度を測る温度センサの誤検知が懸念されるという課題を発見した。また、発明者らは、発明者らは、従来の技術では、給気キットの寸法が大きい場合、吊り金具周辺における、室内機の設置時や高さ調整時、およびメンテナンス作業時などにおける作業スペースが小さくなるという課題を発見した。そして、発明者らは、それらの課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0009】
そこで本開示は、室内機の高さ調整作業やメンテナンス作業時の作業性向上と、給気時の風速増加の抑制と、を両立可能な空気調和機を提供する。
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら、実施の形態1について説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.全体の構成]
図1は、実施の形態1に係る空気調和機1の斜視図である。図2は、空気調和機1の平面図である。なお、図中の符号Xは室内機10の右方向、符号Yは室内機10の前方向、符号Zは室内機10の上方向をそれぞれ表す。また、以後、室内機10を基準とした左右方向の内側を、室内機10の幅方向内側と記載し、室内機10を基準とした左右方向の外側を、室内機10の幅方向外側と記載する。
【0011】
空気調和機1は、室内機10と、給気キット80と、を有している。室内機10は、天井埋込形のうち、いわゆる4方向天井カセット形の室内機である。給気キット80は、室内機10に対して給気するための構造体である。室内機10は、室内機本体20と、室内機本体20に下方から取り付けられるチャンバ40と、チャンバ40に下方から取り付けられ、天井よりも下方に位置する化粧パネル60と、を有する。
【0012】
室内機本体20は、略直方体の筐体21に覆われた装置であり、内部に熱交換器や送風装置25(図6参照)を格納している。筐体21は平面視で角部が切り欠かれた形状の略正方形である。熱交換器は、例えばフィンチューブ式の熱交換器であり、送風装置25は、例えば遠心ファンである。室内機本体20は、送風装置25の駆動によって、筐体21の中央において下方に開口した吸い込み側から空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、熱交換器内の冷媒と熱交換する。熱交換後の空気は、筐体21内における吸い込み側よりも外側において下方に開口した吹出側から下方に向けて吹き出される。
【0013】
筐体21には、左右方向(第1方向)に平行で前方向に面する側面である筐体前面21aと、前後方向に平行で左右方向にそれぞれ面する側面である筐体左右側面21bと、左右方向に平行で後方向に面する側面である筐体後面21cと、が形成されている。また、筐体21には、筐体前面21aと筐体左右側面21bとの間に位置し、前方向および左右方向に面する2つの側面である筐体角面21dが形成されている。
【0014】
2つの筐体角面21dには、室内機10の固定のための吊り金具23がそれぞれ設けられている。吊り金具23は、上下に貫通する切り欠きである挿通孔23aを有している。挿通孔23aには、天井裏の梁などに固定される吊りボルトが上下に挿通される。吊り金具23は、吊りボルトに締結されたナットなどによって、吊りボルトに対して固定される。また、吊り金具23は、筐体21の側面のうち、筐体後面21cと筐体左右側面21bとの間の位置にも1つずつ設けられており、室内機10は、合計4つの吊り金具23によって、4つの吊りボルトに対して固定される。
【0015】
図2に示すように、これら4つの吊り金具23は、平面視において、略正方形な化粧パネル60の角部に形成された作業用開口61に対して一部が重なる(重畳する)位置に設けられている。作業用開口61は、化粧パネル60を上下に貫通する孔であるため、作業用開口61を介して、下方から各吊り金具23に対してアクセスし易い。また、作業用開口61は、空気調和機1の通常使用時は板状の部材によって塞がれており、空気調和機1のメンテナンス時等にのみ板状の部材を取り外される。このため、作業用開口61による外観上の違和感が生じにくい。
【0016】
チャンバ40は、発泡材などの断熱材によって構成された部材であり、室内機本体20に対して下方から取り付けられている。チャンバ40の形状は、平面視で筐体21と同様に角部が切り欠かれた略正方形であり、平面視において、その外縁は筐体21の外縁とほぼ重なる。チャンバ40には、左右方向に平行で前方向に面する側面であるチャンバ前面41a、前後方向に平行で左右方向にそれぞれ面する側面であるチャンバ左右側面41b、および、左右方向に平行で後方向に面する側面であるチャンバ後面41cが形成されている。また、チャンバ40には、チャンバ前面41aとチャンバ左右側面41bとの間に位置し、前方向および左右方向に面する2つの側面であるチャンバ角面41dが形成されている。
【0017】
図1および図2に示すように、チャンバ40の側面および筐体21の側面は、室内機10の側面を構成している。すなわち、室内機10の側面である前面11aは、筐体前面21aおよびチャンバ前面41aによって構成される。同様に、室内機10の側面である左右側面11bは、筐体左右側面21bおよびチャンバ左右側面41bによって構成される。室内機10の側面である後面11cは、筐体後面21cおよびチャンバ後面41cによって構成される。室内機10の側面である2つの角面11dは、筐体角面21dおよびチャンバ角面41dによって構成される。
【0018】
図3は、チャンバ40の斜視図である。チャンバ40には、中央に形成された吸込通路43と、吸込通路43を四方から取り囲む吹出通路45a、45b、45cと、が形成されている。吸込通路43はチャンバ40を上下に貫通する略正方形の孔であり、上端を室内機本体20の吸い込み側に接続され、下端を化粧パネル60の吸込口に接続されている。化粧パネル60の吸込口は、平面視で吸込通路43とほぼ同形状の略正方形の開口であり、フィルター等が設けられている。
【0019】
吹出通路45a、45b、45cは、それぞれチャンバ40を上下に貫通する略長方形の孔である。吹出通路45aは、左右方向およびチャンバ前面41aに沿って上下に延びている。より具体的には、吹出通路45aは、平面視において、長手方向の辺が左右方向に沿って延び、短手方向の辺が前後方向に沿う略長方形の孔である。吹出通路45bは、前後方向および2つのチャンバ左右側面41bに沿って上下に延びている。吹出通路45cは、左右方向およびチャンバ後面41cに沿って上下に延びている。吹出通路45a、45b、45cは、それぞれ上端を室内機本体20の吹出側に接続され、下端を化粧パネル60の吹出口に接続されている。化粧パネル60の吹出口は、平面視で吹出通路45a、45b、45cのそれぞれとほぼ同形状の略長方形の孔であり、電子制御されるフラップ等が設けられている。
【0020】
チャンバ40には、チャンバ前面41aおよび2つのチャンバ角面41dから吸込通路43まで水平に貫通する2つの第1開口部47が形成されている。第1開口部47は、チャンバ40を構成する断熱材が上方に凹んだ溝状に切り抜かれ、下方から板金によって塞がれることにより形成される。すなわち、第1開口部47の下側の周縁である下側周縁部47aは、板金によって構成される。
【0021】
また、下側周縁部47aの上面には、第1気密部47bが形成されている。第1気密部47bは、下側周縁部47aの上面の内、チャンバ前面41aおよびチャンバ角面41dに沿った縁の全長に亘って取り付けられたシール部材47b1を有している。シール部材47b1は、例えばシート状のゴムなどである。
【0022】
また、2つの第1開口部47の上方には、それぞれ爪42が設けられている。より詳細には、爪42は、第1開口部47のうち吹出通路45a側の端部の上方、すなわち、第1開口部47のうち室内機10の幅方向内側の端部の上方に、設けられている。爪42は、板金によって構成されており、先端が上方を向く扁平なフック状に形成されている。後述するように、給気キット80は、爪42に対して上方から挿し込まれることにより、第1開口部47を覆うように、室内機10の側面に対して取り付けられる。
【0023】
図4は、給気キット80を前方側から見た斜視図である。図5は、給気キット80を室内機10に取り付けるための構成を示す斜視図である。室内機10の左右に接続される給気キット80は、左右対称に構成されているため、以降は図4図5に示す室内機10の左側に接続される給気キット80についてのみ説明する。
【0024】
空気調和機1において、室内機10には、2つの給気キット80が取り付けられる。給気キット80は、外部のダクトに接続される円筒形状の接続部81と、室内機10に接続されるチャンバ部83と、を有する。給気キット80は、接続部81に対して接続されたダクトを介して、外気や他の室内機から吹き出された空気等を室内機10に対して給気する。
【0025】
図4に示すように、接続部81は、給気キット80のうち、板金によって構成され前後方向に平行に延びる中空の円筒形状の部分である。接続部81の先端には、前方に向けて円形に開口した給気口81aが形成されている。外部のブースターファン等によって送風されるダクト内の空気は、給気口81aを介して給気キット80の内部に流入する。接続部81および給気口81aの直径D1は、給気キット80に対して接続が可能なダクトの直径に対応している。すなわち、接続部81および給気口81aの直径D1が大きければ、より大きな直径を有するダクトに対して接続部81を接続可能になる。本実施の形態では、直径D1は、直径が150mmのダクトに接続可能な大きさに設定される。
【0026】
チャンバ部83は、給気キット80のうち、板金を折り曲げて中空の箱状に形成され、外面を断熱材によって覆われた部分である。チャンバ部83の内側の空間は、接続部81の内側の空間と連通されている。チャンバ部83は接続部81を支持するため、上下方向の寸法および左右方向の寸法(図6の幅寸法W1)が、それぞれ接続部81および給気口81aの直径D1よりも大きい。また、チャンバ部83には、室内機10の幅方向外側に向けて延び、チャンバ角面41dに沿う平板状の締結部84が形成されている。
【0027】
図5に示すように、チャンバ部83は、前面11aに対向する側面であるチャンバ部後面83aと、角面11dに対向する側面であるチャンバ部角面83bと、を有している。また、チャンバ部83には、チャンバ部後面83aおよびチャンバ部角面83bに跨って、第2開口部85が形成されている。
【0028】
第2開口部85は、チャンバ部83の内外を水平方向に連通する開口である。第2開口部85は、チャンバ部後面83aおよびチャンバ部角面83bが下方に開放するようにU字形状に切り欠かれ、さらに下方からチャンバ部83の下面であるチャンバ部下面83cによって切り欠きの開放部分が塞がれて形成される。すなわち、第2開口部85は、チャンバ部後面83a、チャンバ部角面83b、および、チャンバ部下面83cによって上下左右から囲まれて形成された開口である。チャンバ部下面83cは、チャンバ部後面83aおよびチャンバ部角面83bよりも後方側まで延びている。
【0029】
また、第2開口部85の周縁において、チャンバ部後面83aおよびチャンバ部角面83bの外面に位置する部分の全長には、シール部材85aが取り付けられている。シール部材85aは、例えば、シート状のゴムなどである。
【0030】
また、第2開口部85とチャンバ部下面83cとの境界部分である下側隅部85bには、第2気密部86が設けられている。より詳細には、下側隅部85bは、第2開口部85の周縁において、チャンバ部後面83aおよびチャンバ部角面83bに位置する部分と、チャンバ部下面83cに位置する部分と、の境界部分である。第2気密部86は、チャンバ部下面83cを下方から覆う発泡材等の断熱材が、平面視でチャンバ部下面83cの外側まで引き出され、引き出された断熱材がチャンバ部下面83cの上面に向けて折り曲げられることによって形成される。
【0031】
第2開口部85は、給気キット80が室内機10に対して取り付けられた状態において、第1開口部47と接続される。これにより、外部のダクト、給気キット80の給気口81a、接続部81、チャンバ部83、第2開口部85、室内機10の第1開口部47、および、吸込通路43が順に連通し、ダクト内の空気が室内機10に給気される。
【0032】
給気キット80は、第2開口部85の上縁85c、チャンバ部下面83c、締結部84が室内機10の各部に取り付けられることにより、室内機10に対して取り付けられる。具体的には、第2開口部85の上縁85cは、爪42に対して挿し込まれる。チャンバ部下面83cは、下側周縁部47aに対して上方から接触した状態で、下方から締結される。また、締結部84は、チャンバ角面41dのうち、板金で補強された補強部41d1(図3参照)に対して締結される。給気キット80が室内機10に対して取り付けられる際の具体的な動作については、後述する。
【0033】
[1-1-2.各部の位置関係]
次に、空気調和機1の各部分同士の位置関係について、以下に説明する。
図6は、チャンバ40と給気キット80を下方から見た下面図であり、給気キット80の周辺を拡大して示す。
【0034】
図6に示すように、筐体角面21dに取り付けられる吊り金具23は、左右方向に沿った吹出通路45aよりも、室内機10の幅方向外側に位置している。
【0035】
また、左右方向において、給気キット80のチャンバ部83が占める位置P1は、吊り金具23の挿通孔23aが占める位置P2と重なっておらず、且つ、給気キット80は、挿通孔23aよりも室内機10の幅方向内側に位置している。このため、空気調和機1のメンテナンス時や高さ調節時において、給気キット80は、作業用開口61(図2参照)を介した作業の邪魔になりにくい。なお、本実施の形態では、左右方向においてチャンバ部83が占める位置P1は、左右方向において給気キット80が占める位置と同一である。また、本実施の形態では、締結部84の全体は、位置P1内に含まれていない。位置P1における室内機10の幅方向外側の端部は、左右方向において、チャンバ部83における室内機10の幅方向外側の側面である外側側面(一側面)83dと同じ位置とされる。
【0036】
また、位置P1の左右方向における幅、すなわち、給気キット80のチャンバ部83の左右方向における幅寸法W1は、挿通孔23aから吹出通路45aまでの左右方向における間隔Lよりも大きい。このため、左右方向において給気キット80が占める位置P1は、左右方向において吹出通路45aが占める位置P3と一部が重なる。このように、給気キット80は、幅寸法W1が間隔Lよりも大きいチャンバ部83を有するため、直径D1が大きく設定された接続部81および給気口81aを支持できる。これにより、ダクトから給気キット80を介して室内機10に流入する空気の流速を低減でき、振動や音の発生を抑制できる。また、吸込通路43に流入する空気の流速が低減するため、吸込通路43に設けられた室温センサの誤検知等も抑制することができる。
【0037】
また、図6に示すように、左右方向において、給気キット80の外側側面83dは、挿通孔23aに対して近接している。より具体的には、給気キット80が左右方向において占める位置P1は、挿通孔23aを有する吊り金具23が左右方向において占める位置と重なっている。このように、給気キット80が左右方向において吊り金具23に近接することにより、間隔Lよりも左右方向の寸法が大きいチャンバ部83を用いた場合であっても、左右方向において給気キット80が占める位置P1と、左右方向において吹出通路45aが占める位置P3と、の重なりを最小限にすることができる。
【0038】
ここで、本実施の形態とは異なり、給気キット80が左右方向において挿通孔23aから大きく離間している場合、位置P1と位置P3との重なりが大きくなり、吹出通路45aが占める位置P3における給気キット80の支持力が不足し易い。これは、室内機10において、給気キット80の各部が取り付けられる爪42、下側周縁部47a、および、補強部41d1はそれぞれ、吹出通路45aよりも室内機10の幅方向外側に位置しているためである。逆に言えば、本実施の形態では、左右方向において位置P3の範囲内で支持されない給気キット80を挿通孔23aに近付けることにより、位置P1と位置P3との重なりを小さくし、給気キット80の支持の安定性を向上している。
【0039】
これに対し、本実施の形態とは異なり、給気キット80が左右方向において挿通孔23aから大きく離間している場合に給気キット80の支持の安定性を確保するならば、爪42、下側周縁部47a、および、補強部41d1の位置を室内機10の幅方向内側に移動させる必要がある。
【0040】
しかし、本実施の形態とは異なり、下側周縁部47aを室内機10の幅方向内側に移動させ、左右方向において下側周縁部47aが占める位置と、左右方向において吹出通路45aが占める位置P3と、が一部重なるような構成とすることは難しい。これは、下側周縁部47aは、第1開口部47を形成する壁面の一部であるためである。仮に、位置P3と下側周縁部47aが占める位置とが一部重なる場合、水平に延びる第1開口部47と上下に延びる吹出通路45aとが直接的に接続されてしまうこととなり、室内機10に対する給気ができなくなる。
【0041】
また、本実施の形態とは異なり、爪42および補強部41d1を室内機10の幅方向内側に移動させ、爪42および補強部41d1が左右方向において占める位置と、吹出通路45aが左右方向において占める位置P3と、が一部重なる構成とすることは難しい。これは、チャンバ前面41aのうち吹出通路45aの前後に位置する部分(位置P3内の部分)は、吹出通路45aの形成によって薄肉となっており、爪42および補強部41d1介して給気キット80を取り付けるにあたり、強度が不足し易いためである。
【0042】
このように、本実施の形態とは異なり、爪42、下側周縁部47a、および、補強部41d1の位置を室内機10の幅方向内側に移動させる場合、吹出通路45aの左右方向における寸法W3を小さくし、位置P3を室内機10の幅方向内側に向けて狭める必要がある。この場合、吹出通路45aの面積が小さくなるため、室内機10の空調の効率が低下する。
【0043】
逆に言えば、本実施の形態では、給気キット80を、左右方向において挿通孔23aに可能な限り近付けることにより、給気キット80の支持の安定性を損ねずに、吹出通路45aの開口面積を確保している。
【0044】
また、上述のように、爪42は、第1開口部47のうち、吹出通路45a側の端部の上方に取り付けられている。このため、爪42が第2開口部85の上縁85cを支持する位置を、左右方向において可能な限り位置P3に寄せることができ、給気キット80の支持の安定性を向上できる。また、本実施の形態と異なり、チャンバ部83のうち室内機10の幅方向内側の部分を、爪42ではなくビス等の締結によって取り付ける場合、ビス等を位置P3よりも室内機10の幅方向外側に締結する必要があるため、位置P1を位置P3に重ねることができない。逆に言えば、本実施の形態では、チャンバ部83の取り付けに爪42を用いることで、位置P1と位置P3との重なりを許容し、チャンバ部83の幅寸法W1を大きく確保することができる。
【0045】
また、図6に示すように、左右方向において給気キット80が挿通孔23aに対して近接することにより、左右方向において、給気口81aおよび接続部81が占める位置P4と、吹出通路45aが占める位置P3と、は重ならない。このため、接続部81および給気口81aは、チャンバ40に爪42、下側周縁部47a、および、補強部41d1を設けることができない位置P3よりも、室内機10の幅方向外側の範囲に位置する。従って、給気口81aおよび接続部81の重量が室内機10に支持され易くなり、給気キット80の支持性が向上する。
【0046】
また、左右方向において、給気口81aおよび接続部81と、吹出通路45aとは、互いに近接している。より具体的には、図6に示すように、給気口81aおよび接続部81が占める位置P4における室内機10の幅方向内側の端と、吹出通路45aが占める位置P3における室内機10の幅方向外側の端とは、左右方向において略一致する。このため、本実施の形態では、吹出通路45aの開口面積および接続部81と給気口81aの直径D1を最大限に確保することができる。
【0047】
[1-2.動作]
次に、給気キット80を室内機10に対して取り付ける際の作業者の動作について説明する。動作の開始時点において、室内機10のうち、室内機本体20の吊り金具23は吊りボルトに対して固定され、チャンバ40は室内機本体20に対して下方から取り付けられた状態であり、それぞれ天井の上方に位置している。また、化粧パネル60は取り付けられていない状態である。
【0048】
初めに、作業者は、チャンバ40に対して第1開口部47を外側から塞ぐように取り付けられた図示しない塞ぎ板を取り外す。室内機10は、給気キット80を装着せずに使用されることも想定されている。このような場合、室内機10は、塞ぎ板によって第1開口部47が塞がれた状態のまま使用される。
【0049】
次に、作業者は、室内機10に対する給気キット80の取り付け作業を開始する。始めに作業者は、給気キット80の第2開口部85の上縁85cを、爪42に対して挿し込む。このとき、爪42は先端が上方に向くフック状の形状であるため、上縁85cは爪42に対して上方から挿し込まれる。このため、爪42に対する上縁85cの差し込みの際に、チャンバ40の下方に位置する天井や軽天等が給気キット80に干渉しにくく、給気キット80の取り付けを容易に行うことができる。
【0050】
次に、作業者は、給気キット80のチャンバ部下面83cを、第1開口部47の下側周縁部47aに対して上方から押し当てる。また、下側周縁部47aの下方から締結用のビスを挿入し、下側周縁部47aとチャンバ部下面83cとを締結する。これにより、第1開口部47と第2開口部85とは互いに接続される。
【0051】
上述のように、下側周縁部47aの上面には、シール部材47b1を有する第1気密部47bが設けられている。このため、チャンバ部下面83cと下側周縁部47aとの間にはシール部材47b1が挟まれ、気密性が高まる。また、チャンバ部下面83cと下側周縁部47aとは下方からビスによって締結されるため、締結によってシール部材47b1を挟み込む力が強くなり、気密性を確保し易い。
【0052】
また、上述のように、第2開口部85の下側隅部85bには、第2気密部86が設けられている。このため、第1開口部47と第2開口部85とが接続された際に、第2気密部86を構成する断熱材が潰されて第1開口部47と第2開口部85との間の隙間を塞ぎ、気密性が向上する。
【0053】
また、上述のように、第2開口部85の周縁において、チャンバ部後面83aおよびチャンバ部角面83bの外面に位置する部分の全長には、シール部材85aが取り付けられている。このため、第2開口部85の周囲において、チャンバ部後面83aとチャンバ前面41aとの間の隙間、および、チャンバ部角面83bとチャンバ角面41dとの間の隙間がそれぞれ埋められ、気密性が向上する。
【0054】
次に、作業者は、締結部84に対してビスを水平に挿入し、締結部84と補強部41d1とを固定する。これにより、給気キット80は、室内機10に対して強固に取り付けられる。なお、給気キット80の取り付け完了後、作業者は、接続部81に対して、外部のダクトを接続する。また、作業者は、天井の下方からチャンバ40に対し、化粧パネル60を取り付ける。これにより、空気調和機1の取り付け作業が完了する。
【0055】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、空気調和機1は、室内機10と、室内機10の前面11a、角面11dに着脱可能に取り付けられ室内機10に給気する給気キット80と、を備える空気調和機において、室内機10は、水平な左右方向に沿って形成された吹出通路45aと、吊下げボルトが上下に挿通される挿通孔23aを有する吊り金具23と、平面視で吊り金具23と重畳する作業用開口61を有する化粧パネル60と、を備え、吊り金具23は、吹出通路45aよりも左右方向における室内機10の外側に配置され、左右方向において、給気キット80が占める位置P1は、挿通孔23aが占める位置P2と重ならず、且つ、左右方向における給気キット80の幅寸法W1は、左右方向における挿通孔23aと吹出通路45aとの間隔よりも大きい。
これにより、給気キット80の幅寸法W1を大きく確保しつつ、挿通孔23a付近での作業を邪魔しにくい位置に給気キットを配置できる。このため、室内機10の高さ調整作業やメンテナンス作業時の作業性向上と、給気時の風速増加の抑制と、を両立できる。
【0056】
また、本実施の形態のように、左右方向において、給気キット80は、挿通孔23aと近接する、構成としてもよい。
これにより、給気キット80の幅寸法W1を大きく確保した場合でも、左右方向において、吹出通路45aが占める位置P3と、給気キット80が占める位置P1と、が重なる範囲が小さくなる。給気キット80は位置P3において室内機10に取り付け難いため、室内機10に対する給気キット80の取り付けの安定性を確保することができる。
【0057】
また、本実施の形態のように、給気キット80は、ダクトと接続する給気口81aと、室内機10に接続されるチャンバ部83と、を備え、左右方向において、チャンバ部83の占める位置P1は、吹出通路45aが占める位置P3と重なり、且つ、給気口81aの占める位置P4は、吹出通路45aが占める位置P3と重ならない、構成としてもよい。
これにより、給気キット80の給気口81aを、室内機10に対してチャンバ部83を取り付け難い位置P3の外に配置できる。このため、室内機10に対する給気キット80の取り付けの安定性を確保することができる。
【0058】
また、本実施の形態のように、左右方向において、給気口81aが占める位置P4は、吹出通路45aと近接する、構成としてもよい。
これにより、給気口81aの開口面積を確保し易くなる。
【0059】
また、本実施の形態のように、室内機10には爪42が設けられ、給気キット80は、爪42に挿し込まれて取り付けられる、構成としてもよい。
これにより、薄肉となる吹出通路45aの周辺部分には締結での取り付けが難しい給気キットを、爪に対する差し込みによって取り付けが可能となる。
【0060】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0061】
実施の形態1では、左右方向において、給気口81aおよび接続部81が占める位置P4と、吹出通路45aが占める位置P3と、は重ならないと説明したが、これは一例である。左右方向において、給気口81aおよび接続部81が占める位置P4と、吹出通路45aが占める位置P3と、は一部が重畳する構成であってもよい。
【0062】
実施の形態1において各部の固定に用いられたビスは、ねじやボルト等の任意の締結部材によって置き換えることができる。
【0063】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0064】
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0065】
(付記)
(技術1)室内機と、前記室内機の側面に着脱可能に取り付けられ前記室内機に給気する給気キットと、を備える空気調和機において、前記室内機は、水平な第1方向に沿って形成された吹出通路と、吊下げボルトが上下に挿通される挿通孔を有する吊り金具と、平面視で前記吊り金具と重畳する作業用開口を有する化粧パネルと、を備え、前記吊り金具は、前記吹出通路よりも前記第1方向における前記室内機の外側に配置され、前記第1方向において、前記給気キットが占める位置は、前記挿通孔が占める位置と重ならず、且つ、前記第1方向における前記給気キットの幅寸法は、前記第1方向における前記挿通孔と前記吹出通路との間隔よりも大きい、ことを特徴とする空気調和機。
これにより、給気キットの第1方向における幅寸法を大きく確保しつつ、挿通孔付近での作業を邪魔しにくい位置に給気キットを配置できる。このため、空気調和機は、室内機の高さ調整作業やメンテナンス作業時の作業性向上と、給気時の風速増加の抑制と、を両立できる。
【0066】
(技術2)前記第1方向において、前記給気キットの一側面は、前記挿通孔と近接する、技術1に記載の空気調和機。
これにより、室内機に対する給気キットの取り付けの安定性を確保することができる。
【0067】
(技術3)前記給気キットは、ダクトと接続する給気口と、前記室内機に接続されるチャンバ部と、を備え、前記第1方向において、前記チャンバ部の占める位置は、前記吹出通路が占める位置と重なり、且つ、前記給気口の占める位置は、前記吹出通路が占める位置と重ならない、技術1または2に記載の空気調和機。
これにより、このため、室内機に対する給気キットの取り付けの安定性を確保することができる。
【0068】
(技術4)前記第1方向において、前記給気口が占める位置は、前記吹出通路と近接する、技術3に記載の空気調和機。
これにより、給気口の開口面積を確保し易くなる。
【0069】
(技術5)前記室内機には爪が設けられ、前記給気キットは、前記爪に挿し込まれて取り付けられる、技術1から4のいずれかに記載の空気調和機。
これにより、薄肉となる吹出通路の周辺部分には締結での取り付けが難しい給気キットを、爪に対する差し込みによって取り付けが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、空気調和機に適用可能である。具体的には、4方向天井カセット形の室内機を有する空気調和機などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 空気調和機
10 室内機
11a 前面
11b 左右側面
11c 後面
11d 角面
20 室内機本体
21 筐体
21a 筐体前面
21b 筐体左右側面
21c 筐体後面
21d 筐体角面
23 吊り金具
23a 挿通孔
25 送風装置
40 チャンバ
41a チャンバ前面
41b チャンバ左右側面
41c チャンバ後面
41d チャンバ角面
41d1 補強部
42 爪
43 吸込通路
45a 吹出通路
45b 吹出通路
45c 吹出通路
47 第1開口部
47a 下側周縁部
47b 第1気密部
47b1 シール部材
60 化粧パネル
61 作業用開口
80 給気キット
81 接続部
81a 給気口
83 チャンバ部
83a チャンバ部後面
83b チャンバ部角面
83c チャンバ部下面
83d 外側側面(一側面)
84 締結部
85 第2開口部
85a シール部材
85b 下側隅部
85c 上縁
86 第2気密部
D1 直径
L 間隔
P1 位置
P2 位置
P3 位置
P4 位置
W1 幅寸法
W3 寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6