(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142864
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】エアセルマットレス
(51)【国際特許分類】
A47C 27/10 20060101AFI20241003BHJP
A61G 7/018 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
A47C27/10 Z
A61G7/018
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055228
(22)【出願日】2023-03-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 4年10月 5日~令和 4年10月 7日 国際福祉機器展H.C.R.2022にて展示およびカタログの配布 令和 5年 3月 1日 公益財団法人テクノエイド協会ウェブサイト(http://www.techno-aids.or.jp/TaisCodeSearch.php)にて電気通信回線(インターネット)を通じて公開 令和 5年 3月20日 株式会社ケープのウェブサイト(https://www.cape.co.jp/products/pdt043)にて電気通信回線(インターネット)を通じて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000105213
【氏名又は名称】株式会社ケープ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水野 慧
(72)【発明者】
【氏名】西山 友章
【テーマコード(参考)】
3B096
4C040
【Fターム(参考)】
3B096AB03
3B096AD03
4C040AA03
4C040BB06
4C040CC04
4C040EE02
(57)【要約】
【課題】使用者の荷重が掛かり易い長手方向の中心付近が過剰に沈み込むことを抑制して、使用者の体勢を安定的に維持することができるエアセルマットレスを提供する。
【解決手段】エアセルマットレス100は、長手方向に配列されたエアセル群を備えるエアセルマットレスであって、エアセル群は、長手方向の中心100cを含む第1領域A1に配置された第1エアセル110aと、第1領域以外の他の領域である第2領域A21、A22に配置された第2エアセル120a、120jと、を有し、第1エアセルは、エアセルに身体が載置された際にエアセルの断面形状を維持する指標となる保持力が第2エアセルよりも大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に配列された複数のエアセルを備えるエアセルマットレスであって、
前記複数のエアセルは、
前記長手方向の中心を含む第1領域に配置された第1エアセルと、
前記第1領域以外の他の領域に配置された第2エアセルと、を有し、
前記第1エアセルは、エアセルに身体が載置された際にエアセルの断面形状を維持する指標となる保持力が前記第2エアセルよりも大きい、ことを特徴とするエアセルマットレス。
【請求項2】
前記第1領域は、前記長手方向の全体の長さに対して10%以上70%以下の割合で配置されている、請求項1に記載のエアセルマットレス。
【請求項3】
前記長手方向の一端部側には、前記身体の頭部が配置され、
前記長手方向の他端部側には、前記身体の下肢が配置され、
前記第1領域よりも前記一端部側に位置する第2領域は、前記長手方向の全体の長さに対して10%以上46%以下の割合で配置されており、
前記第1領域よりも前記他端部側に位置する第2領域は、前記長手方向の全体の長さに対して10%以上46%以下の割合で配置されている、請求項2に記載のエアセルマットレス。
【請求項4】
前記第1エアセルは、同一の内圧下において同一の荷重が付与された際に、前記第2エアセルよりも大きなフープ応力が生じるように構成されている、請求項1に記載のエアセルマットレス。
【請求項5】
前記第1エアセルは、セル内に配置された傾斜した仕切り部材によって互いに仕切られた2つ以上のチャンバで構成された傾斜型多層式エアセルを有する、請求項1に記載のエアセルマットレス。
【請求項6】
前記第2エアセルは、前記身体が載置される上面側に配置される複数の小チャンバと、前記上面と反対側に配置され前記複数の小チャンバの各々と連通する一つの大チャンバと、で構成されたエアセルを備える、請求項5に記載のエアセルマットレス。
【請求項7】
前記第1エアセルは、前記長手方向と交差する幅方向に沿って略同一の断面形状を備える、請求項1に記載のエアセルマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアセルを備えるエアセルマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、寝返りや体位変換を行うことが困難な療養者や要介護者等(以下、「使用者」とする)向けのマットレスとして、空気等の気体の送給及び排出を操作することで膨張・収縮可能に構成されたエアセルを備えるエアセルマットレスが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたエアセルマットレスでは、エアセルマットレスの長手方向(仰臥位、伏臥位、側臥位の状態の使用状態において頭部から下肢に向かう方向)においてエアセルが使用者の身体の各部を均一な保持力(支持力)で支持し得るように、各エアセルの断面形状を略同一に構成している。使用者は、特許文献1のエアセルマットレスを使用した状態において各エアセルが同一の空気量で拡張されることにより、エアセルマットレス上で安定した体勢を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように特許文献1に記載されたエアセルマットレスは、エアセルマットレスの長手方向の各部において均一な保持力を呈することができるため、使用者の身体を安定的に維持することができるといった利点がある。一方で、次のような点を考慮した場合、更なる改善の余地があるとも言える。
【0006】
使用者がエアセルマットレスを仰臥位で使用すると、使用者の腰部や臀部等はエアセルマットレスに対して凸状に突出した状態で配置される。そのため、エアセルマットレスにおいて使用者の腰部や臀部が配置される部分には局所的に大きな荷重が掛かり、他の部分と比較して過剰に沈み込み易い。エアセルマットレスの一部が他の部分よりも過剰に沈み込むと、使用者の身体を自然な体勢(例えば、背骨の配列に沿うS字状のカーブの体勢)で維持することができず、使用者に負担が掛かる。特に、背上げ機能を備えるベッド装置とともにエアセルマットレスを使用した場合、背上げ状態で使用者がエアセルマットレスに寄りかかると、寄りかかった部分に対してより大きな荷重が集中的に掛かる。そのため、エアセルマットレスの一部が他の部分よりも過剰に沈み込んでしまう。
【0007】
また、使用者がエアセルマットレスに臀部を載せて座位で使用するような場合にもエアセルマットレスの一部に荷重が集中するため、エアセルマットレスの一部が過剰に沈み込んでしまう。
【0008】
以上説明したように、使用者が身体を載せた際にエアセルマットレスの一部が過剰に沈み込むと、使用者の体勢が不安定なものとなるため、使用者に快適な使用感を提供することが難しくなる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用者の荷重が掛かり易い長手方向の中心付近が過剰に沈み込んでしまうことを抑制して、使用者の体勢を安定的に維持することができるエアセルマットレスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るエアセルマットレスは、長手方向に配列された複数のエアセルを備えるエアセルマットレスであって、前記複数のエアセルは、前記長手方向の中心を含む第1領域に配置された第1エアセルと、前記第1領域以外の他の領域に配置された第2エアセルと、を有し、前記第1エアセルは、エアセルに身体が載置された際にエアセルの断面形状を維持する指標となる保持力が前記第2エアセルよりも大きい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエアセルマットレスは、使用者の腰部や臀部が載置されることの多いエアセルマットレスの長手方向の中心を含む第1領域に他の領域(第2領域)に配置された第2エアセルよりも大きな保持力を持つ第1エアセルが配置されている。そのため、本発明のエアセルマットレスは、使用者の腰部や臀部が第1領域に載置された際に、第1領域が過剰に沈み込むことを抑制でき、使用者の体勢を安定的に維持することできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係るマットレスの分解斜視図である。
【
図2】実施形態に係るエアセルマットレスの使用例を模式的に示す側面図である。
【
図3】第1エアセル(傾斜型多層式エアセル)の断面図である。
【
図5】実施形態に係るエアセルマットレスの使用例を模式的に示す側面図である。
【
図6】実施形態に係るエアセルマットレスの使用例を模式的に示す側面図である。
【
図7】変形例1に係るエアセルマットレスの使用例を模式的に示す側面図である。
【
図8】変形例2に係るマットレスの分解斜視図である。
【
図10】第1エアセルの変形例を示す断面図である。
【
図11】第1エアセルの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
<第1実施形態>
図1~
図6は、本発明の実施形態に係るマットレス10及びエアセルマットレス100を示す図である。
【0015】
図1は、マットレス10の内部構造の分解斜視図と、使用者Hがエアセルマットレス100を仰臥位の体勢で使用している様子を示す。
図2は、エアセルマットレス100の使用状態の側面図を示す。
図3は、第1エアセル110aの断面図を示し、
図4は、第2エアセル120a、120jの断面図を示す。
図5は、使用者Hがエアセルマットレス100を座位の体勢で使用している際の側面図を示す。
図6は、エアセルマットレス100を図示省略するベッド装置によって背上げした際の側面図を示している。
【0016】
図面に付した矢印X1-X2は、エアセルマットレス100の長手方向を示す。また、図面に付した矢印Y1-Y2は、平面視において長手方向と直交するエアセルマットレス100の幅方向を示す。また、図面に付した矢印Z1-Z2は、エアセルマットレス100の高さ方向を示す。
【0017】
(エアセルマットレス)
図1、
図3に示すように、本実施形態に係るエアセルマットレス100は、エアセルマットレス100の長手方向に配列された複数のエアセル(以下、「エアセル群」とも称する)を備える。
【0018】
エアセルマットレス100は、いわゆる「圧切替型のマットレス」として構成することができる。エアセルマットレス100は、例えば、所定のカバー部材150に収容されて外表面が覆われた状態において、公知のベッド装置(例えば、背上げ機能を備える介護用ベッド装置や医療用ベッド装置)とともに利用することができる。
【0019】
カバー部材150は、例えば、エアセルマットレス100に接続するための接続機構(ジッパー、ボタン等)を備える公知の防水カバー等で構成することができる。
【0020】
(エアセル群)
エアセル群は、
図2に示すように、エアセルマットレス100の長手方向の中心100cを含む第1領域A1に配置された複数の第1エアセル110a・・・110i(「第1エアセル群110」とも称する)と、第1領域A1以外の他の領域である第2領域A21に配置された複数の第2エアセル120a・・・120i(「第2エアセル群120A」とも称する)と、第1領域A1以外の他の領域である第2領域A22に配置された複数の第2エアセル120j・・・120о(「第2エアセル群120B」とも称する)と、を有する。
【0021】
第1エアセル群110に含まれる各々の第1エアセル110a、110b、110c、110d、110e、110f、110g、110h、110iは、エアセルに使用者の身体が載置された際にエアセルの断面形状を維持する指標となる保持力が、各第2エアセル群120A、120Bに含まれる各々の第2エアセル120a、120b、120c、120d、120e、120f、120g、120h、120i、120j、120k、120l、120m、120n、120оよりも大きい。つまり、エアセルマットレス100において、長手方向の中心100cを含む第1領域A1は、第1領域A1と長手方向において隣接する各第2領域A21、A22よりも高い保持力を備えるように構成されている。
【0022】
エアセルマットレス100は、第1エアセル群110の各第1エアセル110a、110b、110c、110d、110e、110f、110g、110h、110iが略同一の構造を有するように構成されている。本明細書では、第1エアセル群110の一つのエアセルを説明するときに各第1エアセルを代表して「第1エアセル110a」とも記載する。
【0023】
エアセルマットレス100は、第2エアセル群120Aの各エアセル120a、120b、120c、120d、120e、120f、120g、120h、120iと、第2エアセル群120Bの各エアセル120j、120k、120l、120m、120n、120оが略同一の構造を有するように構成されている。本明細書では、第2エアセル群120Aの一つのエアセルを説明するときに各第2エアセルを代表して「第2エアセル120a」とも記載する。また、第2エアセル群120Bの一つのエアセルを説明するときに各第2エアセルを代表して「第2エアセル120j」とも記載する。
【0024】
なお、
図1、
図2、
図5、
図6では、各エアセル110a、120a、120jは、その内部を透過した模式的な図面で示している。
【0025】
エアセルマットレス100は、図示省略するコントローラーによってエアセル群の内圧を調整可能に構成することができる。エアセル群は、例えば、各エアセル120a、120d、120g、110a、110d、110g、120j、120mを第1系統とし、各エアセル120b、120e、120h、110b、110e、110h、120k、120nを第2系統とし、各エアセル120c、120f、120i、110c、110f、110i、120l、120oを第3系統とし、これらの系統毎に膨張・収縮を制御できるように構成することができる。なお、本実施形態のエアセル群では、個々のエアセルの断面形状や構造で保持力の大小関係が調整されるため、流体供給の系統を分けずに一律に同量の流体を供給した場合においても各領域A1、A21、A22において所望の保持力を呈することが可能となっている。エアセル群は、図示省略するポンプと所定のコネクタ及びチューブ等を介して系統ごとに流体連通されるように接続することができる。
【0026】
図1、
図2に示すように、第2領域A21は、第1領域A1よりも長手方向の一端部100e1側に配置されている。第2領域A22は、第1領域A1よりも長手方向の他端部100e2側に配置されている。
【0027】
図中の矢印X1は、エアセルマットレス100の一端部100e1側を示し、矢印X2は、エアセルマットレス100の他端部100e2側を示す。また、矢印Z1は、エアセルマットレス100の上面(載置面)101側を示し、矢印Z2は、エアセルマットレス100の下面(裏面)102側を示す。
【0028】
エアセルマットレス100の一端部100e1は、使用者Hが身体をエアセルマットレス100上に仰臥位、伏臥位、側臥位等で使用している際に頭部hが配置される側に位置する端部である。エアセルマットレス100の他端部100e2は、使用者Hが身体をエアセルマットレス100上に仰臥位、伏臥位、側臥位等で使用している際に下肢fが配置される側に位置する端部である。なお、一端部100e1及び他端部100e2の位置関係の定義について特に制限はなく、例えば、使用者の頭部hが配置される側を他端部と定義し、下肢fが配置される側を一端部と定義してもよい。
【0029】
図1、
図2に示すように、第1領域A1は、一端部100e1側において第2領域A21と隣接している。第1領域A1と第2領域A21の境界は、例えば、第1領域A1の最も一端部100e1側に配置された第1エアセル110a付近と第2領域A21の最も他端部100e2側に配置された第2エアセル120i付近の間の任意の位置に設定することができる。
【0030】
図1、
図2に示すように、第1領域A1は、他端部100e2側において第2領域A22と隣接している。第1領域A1と第2領域A22の境界は、例えば、第1領域A1の最も他端部100e2側に配置された第1エアセル110i付近と第2領域A22の最も一端部100e1側に配置された第2エアセル120j付近の間の任意の位置に設定することができる。
【0031】
図1、
図2に示すように、第1領域A1には、長手方向に沿って配置された9つの第1エアセル110a、110b、110c、110d、110e、110f、110g、110h、110iが配置されている。
【0032】
第1領域A1は、例えば、
図7に示す変形例のように、長手方向の中心100cを基準にして、一端部100e1側及び他端部100e2側に略同一の長さで延在するように配置することができる。つまり、第1領域A1は、中心100cに配置された第1エアセル110dの長手方向の略中心位置から一端部100e1側及び他端部100e2側に向けて均等な長さを備えるように構成することができる。
【0033】
なお、エアセルマットレス100は、第1エアセル110aと第2エアセル120a、120jの配置関係による後述の効果を発揮するにあたり、少なくともエアセルマットレス100の長手方向の中心100cが第1領域A1の範囲内に配置されるように構成されていればよい。そのため、第1領域A1は、中心100cを基準にして一端部100e1側及び他端部100e2側に均等な長さを有していなくてもよい。例えば、第1領域A1は、中心100cを基準にして他端部100e2側よりも一端部100e1側に長い寸法を有していたり、中心100cを基準にして一端部100e1側よりも他端部100e2側に長い寸法を有していたりしてもよい。
【0034】
第1領域A1は、例えば、長手方向の全体の長さ(エアセルマットレス100の全長)に対して30%以上70%以下の長さの割合で配置することができる。このような範囲に第1領域A1を配置することにより、使用者Hがエアセルマットレス100に仰臥位、伏臥位、側臥位等の体勢で載った状態において、使用者Hの腰部w及び臀部bが第1領域A1の長手方向の範囲外に位置する各第2領域A21、A22側にはみ出すことをより確実に防止できる。
【0035】
また、エアセルマットレス100は、使用者Hがエアセルマットレス100に仰臥位、伏臥位、側臥位等の体勢で載った状態において、一端部100e1側に使用者Hの頭部hが配置され、他端部100e2側に使用者Hの下肢fが配置されるように構成されている場合、一端部100e1側に位置する第2領域A21は、長手方向の全体の長さ(エアセルマットレス100の全長)に対して10%以上40%以下の長さの割合で配置することができる。また、上記のような使用を想定して構成されている場合、他端部100e2側に位置する第2領域A22は、長手方向の全体の長さ(エアセルマットレス100の全長)に対して10%以上30%以下の長さの割合で配置することができる。
【0036】
上記のように各第2領域A21、A22の範囲を設定することにより、使用者がエアセルマットレス100に仰臥位、伏臥位、側臥位等の体勢で載った際に、保持力の高い第1領域A1によって使用者の腰部w及び臀部bの過剰な沈み込みを防止できる。さらに、エアセルマットレス100は、保持力の比較的低い各第2領域A21、A22によって使用者Hの身体の頭部h側の部分及び下肢f側の部分の接触面積を大きくすることにより、耐圧分散性能を高くすることができる。そにれより、エアセルマットレス100は、使用者に快適な使用感を提供することができる。
【0037】
エアセルマットレス100の各領域A1、A21、A22の長手方向における長さは、例えば、以下のように設定することができる。
【0038】
エアセルマットレス100の長手方向の全体の長さ(全長)は、例えば、1920mmで形成することができる。このようにエアセルマットレス100の長手方向の全体の長さ(全長)を形成した場合、第1領域A1は、例えば、720mmの長さで形成することができる。また、第2領域A21は、例えば、720mmの長さで形成することができる。また、第2領域A22は、例えば、480mmの長さで形成することができる。
【0039】
エアセルマットレス100の長手方向の全体の長さ(全長)を上記の長さで形成した場合、第1領域A1に配置する第1エアセル110aとして、長手方向に沿う一つの長さ(無負荷状態、かつ使用を想定した所定量の内圧で膨張した状態における矢印X1-X2方向に沿う長さ)が80mmのものを9個使用できる。また、例えば、エアセルマットレス100の長手方向の全体の長さ(全長)を上記の長さで形成した場合、第2領域A21に配置する第2エアセル120aとして、長手方向に沿う一つの長さ(無負荷状態、かつ使用を想定した所定量の内圧で膨張した状態における矢印X1-X2方向に沿う長さ)が80mmのものを9個使用することができる。また、例えば、エアセルマットレス100の長手方向の全体の長さ(全長)を上記の長さで形成した場合、第2領域A22に配置する第2エアセル120jとして、長手方向に沿う一つの長さ(無負荷状態、かつ使用を想定した所定量の内圧で膨張した状態における矢印X1-X2方向に沿う長さ)が80mmのものを6個使用することができる。
【0040】
なお、エアセルマットレス100は、第1領域A1を間に挟むようにして各端部100e1、100e2側にそれぞれ配置された二つの第2領域A21、A22に関して、それぞれの長手方向の長さの大小関係について特に制限はない。例えば、
図1、
図2に示すように、本実施形態では、一端部100e1側に配置された第2領域A21の長手方向に沿う長さが他端部100e2側に配置された第2領域A22の長手方向に沿う長さよりも長くなるように形成されている。ただし、一端部100e1側に配置された第2領域A21の長手方向に沿う長さは、他端部100e2側に配置された第2領域A22の長手方向に沿う長さより小さくてもよいし、両領域A21、A22の長手方向に沿う長さを略同一にしてもよい。
【0041】
前述したように、第1エアセル群110の第1エアセル110aは、各第2エアセル群120A、120Bの各第2エアセル120a、120jよりも大きな保持力を有するように構成されている。この保持力の大小関係は、エアセルマットレス100の上面101(又は下面102)側から垂直方向に荷重を掛けた際の変形量の大小関係(荷重方向における潰れ易さ)で定義することができる。
【0042】
【0043】
第1エアセル110aは、例えば、セル内に配置された傾斜した仕切り部材112によって互いに仕切られた2つ以上のチャンバ113a、113bを備える傾斜型多層式エアセル(本実施形態では「2層」のエアセル)で構成することができる。
【0044】
第1エアセル110aは、第1エアセル110aの外形(断面形状)を形作る外周部111を有する。外周部111は、エアセルマットレス100の上面101側に配置される上面部111aと、エアセルマットレス100の下面102側に配置される下面部111bと、を有する。第1チャンバ113aは上面部111a側に配置されており、第2チャンバ113bは下面部111b側に配置されている。
【0045】
仕切り部材112は、例えば、長手方向の他端部100e2側(矢印X2で示す側)から一端部100e1側(矢印X1で示す側)に向けて、かつ上面部111a側から下面部111b側に向けて傾斜するように配置することができる。
【0046】
第1エアセル110aは、
図3に示す無負荷状態(外部からの外力が作用してない状態で、かつ、エアが充填されて膨張した状態(以下、単に「膨張状態」とする))において、上面部111aの頂部(最も外側に張り出した箇所)111cが下面部111bの頂部111dよりも長手方向の一端部100e1(矢印X1側)側に配置されるように傾斜した外形を呈するように構成されている。
【0047】
例えば、第1チャンバ113aの容積と第2チャンバ113bの容積は略同一に形成することができる。ただし、第1チャンバ113aと第2チャンバ113bの容積は、互いに異なるように構成することもできる。
【0048】
図4には、第2エアセル120a、120jの断面図を示す。
【0049】
第2エアセル120a、120jは、例えば、使用者Hの身体が載置されるエアセルマットレス100の上面101側に配置される複数の小チャンバ121b、122bと、エアセルマットレス100の上面101と反対側の下面102側に配置され、複数の小チャンバ121b、122bの各々と連通する一つの大チャンバ123bと、を備えるエアセルで構成することができる。
【0050】
第1小チャンバ121bの外形(断面形状)を形作る外周部分121は、エアセルマットレス100の上面101側に配置される上面部121aを有する。
【0051】
第2小チャンバ122bの外形(断面形状)を形作る外周部分122は、エアセルマットレス100の上面101側に配置される上面部122aを有する。
【0052】
大チャンバ123bの外形(断面形状)を形作る外周部分123は、エアセルマットレス100の下面102側に配置される下面部123aを有する。
【0053】
第1小チャンバ121bは連通孔125を介して大チャンバ123bと連通している。また、第2小チャンバ122bは連通孔125を介して大チャンバ123bと連通している。
【0054】
傾斜型多層式エアセルで構成された第1エアセル110aは、仕切り部材112によってセルの内部が二つのチャンバ113a、113bに区画されている。そのため、上面部111aに使用者Hの身体が載せられると、上面部111a側に位置する第1チャンバ113aが優先的に潰れるように変形する。このように、第1チャンバ113aが潰れるように変形した状態において、下面部111b側に位置する第2チャンバ113bは、荷重方向における変形が抑制される。それにより、第2チャンバ113bは、使用者Hの身体と床面や寝具との間で第1チャンバ113aをしっかりと支持する。それにより、傾斜型多層式エアセルで構成された第1エアセル110aは、高い保持力(支持力)を発揮する。
【0055】
一方で、第2エアセル120a、120jは、比較的小さな断面積(円周)を持つ二つの小チャンバ121b、122bで使用者Hの身体を支持する。第2エアセル120a、120jは、二つの小チャンバ121b、122bの各上面部121a、122aに使用者Hの身体が載せられると、比較的柔軟に変形する。そのため、第2エアセル120a、120jは、傾斜型多層式エアセルで構成された第1エアセル110aよりも小さな保持力(支持力)を呈する。
【0056】
ここで、第1エアセル110aにおいて使用者Hの身体が載せられる上面部111aの頂部111cを含む円弧を一部に持つ仮想円と、第2エアセル120a(又は第2エアセル120j)において使用者Hの身体が載せられる上面部121a(又は上面部122a)の頂部121c(又は頂部122c)を含む円弧を一部に持つ仮想円とを比較すると、第1エアセル110a側の仮想円の方が大きくなる。そのため、各エアセル110a、120a、120jが同一の内圧で膨張し、かつエアセルマットレス100の上面101に使用者Hの身体が載せられて、各エアセル110a、120a、120jの上方側から垂直方向に沿って荷重が付与されると、第1エアセル110aには、第2エアセル120a、120jよりも大きなフープ応力が生じる。本実施形態では、使用者Hの身体を保持する際の保持力の大小関係を上記のフープ応力の大小関係で置き換えて定義することもできる。つまり、第2エアセル120a、120jよりも大きなフープ応力が生じるように構成された傾斜型多層式エアセルの第1エアセル110aは、第2エアセル120a、120jよりも大きな保持力を呈するものと定義することができる。
【0057】
各エアセル110a、120a、120jの構成材料としては、例えば、公知の樹脂材料を使用することができる。公知の樹脂材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタンを使用することができる。第1エアセル110aが備える仕切り部材112についても上記と同様の材料を使用することができる。
【0058】
上記のように、第1エアセル110aと第2エアセル120a、120jの保持力の大小関係は、エアセルの構造(断面形状やセルの種類)に基づいて調整することが可能であるが、その他の方法で調整してもよい。例えば、第1エアセルと第2エアセルの断面形状を同一のものとしつつ、エアセルを構成するフィルムの一部又は全体の肉厚に大小関係を持たせることにより、同一の荷重が付加された際の潰れ易さを調整することによって保持力の大小関係を定義することができる。また、例えば、第1エアセルと第2エアセルの一部又は全体に変形し易い材料や変形し難い材料を使用して保持力の大小関係を定義することも可能である。
【0059】
第1エアセル110aは、長手方向と交差する幅方向(矢印Y1-Y2方向)に沿って略同一の断面形状を有するように構成することができる。つまり、第1エアセル110aは、
図3に示す断面形状が幅方向の全体に亘って連続に延びている。
【0060】
上記のように第1エアセル110aを構成した場合、第1エアセル110aは、第1領域A1の幅方向の全体に亘って高い保持力を発揮する。したがって、使用者Hが第1領域A1の幅方向の一端部(矢印Y1側の端部)付近や第1領域A1の幅方向の他端部(矢印Y2側の端部)付近に座った際に、エアセルマットレス100が過剰に沈み込むことを抑制できる。それにより、エアセルマットレス100は、使用者Hが第1領域A1に座った場合においても使用者Hの身体をしっかりと支持することができる。
【0061】
第2エアセル120a、120jは、第1エアセル110aと同様に長手方向と交差する幅方向(矢印Y1-Y2方向)に沿って略同一の断面形状を有するように構成することができる。つまり、第2エアセル120a、120jは、
図4に示す断面形状が幅方向の全体に亘って連続に延びている。
【0062】
次に、本実施形態に係るエアセルマットレス100の作用効果について説明する。
【0063】
図2には、使用者Hが仰臥位の体勢でエアセルマットレス100を使用している際の様子を示す。
【0064】
エアセルマットレス100は、長手方向の中心100cを含む一定の範囲に第1領域A1が配置されている。第1領域A1に配置された第1エアセル群110は、第1領域A1よりも長手方向の一端部100e1側及び他端部100e2側に位置する各第2領域A21、A22に配置された各第2エアセル群120A、120Bよりも高い保持力を有する。そのため、エアセルマットレス100は、使用者Hが仰臥位、伏臥位、側臥位等の体勢で腰部wや臀部bを第1領域A1に載せた場合においても、第1領域A1が過剰に沈み込むことを抑制できる。また、第2エアセル群120A、120Bは第1エアセル群110よりも保持力が小さい。そのため、エアセルマットレス100は、第2エアセル群120A、120Bによって使用者Hの身体の頭部h側の部分及び下肢f側の部分の接触面積を大きくすることができ、耐圧分散性能を高くすることができる。よって、エアセルマットレス100は、使用者に快適な使用感を提供することができる。
【0065】
図5には、使用者Hが第1領域A1に座った状態で使用している際の模式的な図面を示す。
【0066】
前述したように第1領域A1に配置された第1エアセル群110は、高い保持力を有する。そのため、エアセルマットレス100は、第1領域A1に使用者Hが座った際、第1領域A1が過剰に沈み込むことを抑制できる。それにより、エアセルマットレス100は、座位で使用する使用者Hの臀部bをしっかりと支持することができ、使用者に快適な使用感を提供することができる。
【0067】
図6には、背上げ機能を備えるベッド装置(図示省略)とともにエアセルマットレス100を使用した際の様子を模式的に示す。
【0068】
図6に示すように、エアセルマットレス100の長手方向の中心100c付近を基点にして背上げ動作がなされると、腰部w及び臀部b付近からエアセルマットレス100に対して局所的に大きな圧力が付与される。エアセルマットレス100は、中心100cを含む所定の範囲に亘って大きな保持力を備える第1エアセル110aが配置された第1領域A1を有する。そのため、背上げ動作がなされた状態において腰部w及び臀部bからエアセルマットレス100に対して局所的な圧力が付与された場合においても、腰部w及び臀部b付近でエアセルマットレス100が過剰に沈み込むことを抑制できる。
【0069】
特に、本実施形態に係るエアセルマットレス100は、第1領域A1に配置された第1エアセル110aが傾斜型多層式エアセルで構成されているため、次のような効果を発揮することができる。
【0070】
図6には、背上げ動作の前後における第1エアセル110aを拡大図で示している。第1エアセル110aは、背上げ動作がなされると、図中の矢印rで示すように、下面部111b側(第2チャンバ113b側)に対して上面部111a側(第1チャンバ113a側)が身体からの荷重を受ける方向に正対するように(体表面に対して垂直に向かうように)揺動(回転)する。そのため、第1エアセル110aは、エアセルマットレス100に寄りかかった使用者Hの身体から付与される荷重をしっかりと受けることができ、身体を支持するエアセル本来の機能を効果的に発揮することができる。
【0071】
また、傾斜型多層式エアセルで構成された第1エアセル群110(特に、中心100c付近に配置された第1エアセル)は、上面部111a側に位置する第1チャンバ113aによって使用者Hの身体から斜め方向に付与される荷重をしっかりと受け止めることができる。これにより、エアセルマットレス100は、背上げ状態で使用している使用者Hの身体が下肢f側に向けてずり落ちることを効果的に防止することができる。
【0072】
以上のように、本実施形態に係るエアセルマットレス100は、長手方向に配列されたエアセル群を備えるエアセルマットレスであって、エアセル群は、長手方向の中心100cを含む第1領域A1に配置された第1エアセル110aと、第1領域A1以外の他の領域である第2領域A21、A22に配置された第2エアセル120a、120jと、を有する。第1エアセル110aは、エアセルに身体が載置された際にエアセルの断面形状を維持する指標となる保持力が第2エアセル120a、120jよりも大きい。
【0073】
上記のように構成されたエアセルマットレス100は、使用者Hの荷重が掛かり易い長手方向の中心100cを含む第1領域A1が第2領域A21、A22と比較して過剰に沈み込むことを抑制できる。それにより、エアセルマットレス100は、使用者Hの体勢を安定的に維持することできる。
【0074】
次に、変形例に係るエアセルマットレス及びエアセルについて説明する。以下の説明では、前述した実施形態で説明した内容と重複する内容の説明は省略する。また、各変形例において特に説明の無い内容は、前述した実施形態と同様に構成できるものとする。
【0075】
<変形例1>
図7には、変形例1に係るエアセルマットレス100を示している。
【0076】
変形例1に係るエアセルマットレス100は、長手方向における各領域A1、A21、A22の長さの割合が前述した実施形態と相違する。
【0077】
エアセルマットレス100は、例えば、第1領域A1を長手方向の全体の長さ(エアセルマットレス100の全長)に対して10%以上30%以下の割合の長さで配置することができる。また、第2領域A21を長手方向の全体の長さ(エアセルマットレス100の全長)に対して30%以上46%以下の割合の長さで配置することができる。また、第2領域A22を長手方向の全体の長さ(エアセルマットレス100の全長)に対して30%以上46%以下の割合の長さで配置することができる。
【0078】
各領域A1、A21、A22を上記のような割合の長さで配置した場合、エアセルマットレス100の各領域A1、A21、A22の長手方向における長さは、例えば、次のような寸法で形成することができる。
【0079】
エアセルマットレス100の長手方向の全体の長さ(全長)は、例えば、1920mmで形成することができる。このようにエアセルマットレス100の長手方向の全体の長さ(全長)を形成した場合、第1領域A1は、例えば、480mmの長さで形成することができる。また、第2領域A21は、例えば、720mmの長さで形成することができる。また、第2領域A22は、例えば、720mmの長さで形成することができる。
【0080】
エアセルマットレス100の長手方向の全体の長さ(全長)を上記の長さで形成した場合、第1領域A1に配置する第1エアセル110aとして、長手方向に沿う一つの長さ(無負荷状態、かつ使用を想定した所定量の内圧で膨張した状態における矢印X1-X2方向に沿う長さ)が80mmのものを6個(第1エアセル110a~110f)使用できる。また、例えば、エアセルマットレス100の長手方向の全体の長さ(全長)を上記の長さで形成した場合、第2領域A21に配置する第2エアセル120aとして、長手方向に沿う一つの長さ(無負荷状態、かつ使用を想定した所定量の内圧で膨張した状態における矢印X1-X2方向に沿う長さ)が80mmのものを9個(第2エアセル120a~120i)使用することができる。また、例えば、エアセルマットレス100の長手方向の全体の長さ(全長)を上記の長さで形成した場合、第2領域A22に配置する第2エアセル120jとして、長手方向に沿う一つの長さ(無負荷状態、かつ使用を想定した所定量の内圧で膨張した状態における矢印X1-X2方向に沿う長さ)が80mmのものを9個(第2エアセル120j~120r)使用することができる。
【0081】
本変形例で示すように、エアセルマットレス100は、少なくとも長手方向の中心100cを含む位置に、エアセルマットレス100に使用されたエアセルのうち最も大きな保持力を持つ第1エアセルが1つ以上配置されている限り、各領域A1、A21、A22の長手方向における長さや長手方向の全長における割合などについて特に制限はない。
【0082】
また、エアセルマットレス100は、第1領域A1よりも一端部100e1側に配置された第2領域A21と第1領域A1よりも他端部100e2側に配置された第2領域A22を備えるように構成しているが、第2領域A21、A22のうちの一方の領域を備えていなくてもよい。つまり、エアセルマットレス100は、長手方向の中心100cを含む第1領域A1が一端部100e1まで、又は他端部100e2まで延びていてもよい。
【0083】
また、エアセルマットレス100は、二つの第2領域A21、A22を備えるように構成されている場合、各領域A21、A22が同一の保持力を有するように構成されていてもよいし、一方の領域が他方の領域よりも大きな保持力を有するように構成されていてもよい。さらに、各第2領域A21、A22内に保持力の異なる複数の領域が配置されていてもよい。
【0084】
<変形例2>
図8には、変形例2に係るマットレス10A及びエアセルマットレス100Aを示している。
【0085】
使用者Hの下肢fが配置される第2領域A22に含まれる第2エアセルのうち他端部100e2側に位置する任意のエアセルは、例えば、幅方向の一端部又は他端部付近に所定の構造物を配置することが可能なスペースS1を設けることができるような構成を有していてもよい。
【0086】
具体的には、他端部100e2側に位置する複数の第2エアセルのうちの任意のエアセルは、エアセルマットレス100の下面102側にスペースS1を設けることができるようにするために、他の第2エアセルよりも高さ方向の寸法が小さくなるように構成することができる。スペースS1には、例えば、カバー部材150が区画する空間内の空気をカバー部材150の外部へ排出するための換気機構等を配置することができる。
【0087】
<第1エアセルの変形例>
前述した実施形態では、第1エアセル110aとして、傾斜型多層式(傾斜型2層式)のエアセルを使用した例を示した(
図3を参照)。ただし、第1エアセルは、第2エアセルと比較して高い保持力を備えるように構成されている限り、具体的な構成は限定されない。
【0088】
例えば、第1エアセル110aは、
図9に示すように、非傾斜型多層式のエアセルで構成することができる。また、第1エアセル110aは、
図10に示すエアセルで構成することもできる。また、第1エアセル110aは、
図11に示すように、単一のチャンバ131cを備える略円形の断面形状を備える円筒型エアセルで構成することもできる。
【0089】
なお、第2エアセルについての変形例の例示は省略するが、第2エアセルは第1エアセルと比較して小さな保持力を有するように構成されている限り、具体的な構成は限定されない。例えば、第2エアセルは、上記の各変形例で説明した第1エアセルと同様の構造(断面形状が第1エアセルと同一又は相似形状)のエアセルで構成されていてもよい。第1エアセルと第2エアセルが同一又は相似形状の断面形状を有するように構成される場合、第1エアセルと第2エアセルの保持力の大小関係は、前述したフープ応力の大小関係によって定義することができる。例えば、第1エアセルとして
図9に示すエアセルが採用され、第2エアセルとして
図4に示すエアセルが採用される場合、両者の保持力の大小関係は、上面101側に配置される小チャンバの断面形状や外形形状によって調整することができる。つまり、各小チャンバの頂部を含む仮想円の直径がより大きくなるように第1エアセルを構成することにより、第1エアセルには大きなフープ応力が生じるようになり、各小チャンバの頂部を含む仮想円の直径がより小さくなるように第2エアセルを構成することにより、第2エアセルには小さなフープ応力が生じるように構成することができ、それにより、第1エアセルと第2エアセルの保持力の大小関係を定義することができる。
【0090】
以上、実施形態及び変形例等を通じて本発明に係るエアセルマットレスを説明したが、本発明は明細書内で説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々改変することが可能である。
【符号の説明】
【0091】
10 マットレス
10A マットレス
100 エアセルマットレス
100A エアセルマットレス
100c エアセルマットレスの長手方向の中心
100e1 エアセルマットレスの長手方向の一端部
100e2 エアセルマットレスの長手方向の他端部
101 エアセルマットレスの上面
102 エアセルマットレスの下面
110 第1エアセル群
110a~110i 第1エアセル
112 仕切り部材
113a 第1チャンバ
113b 第2チャンバ
120A 第2エアセル群
120B 第2エアセル群
120a~120r 第2エアセル
121b 第1小チャンバ
122b 第2小チャンバ
123b 大チャンバ
150 カバー部材
A1 第1領域
A21 第2領域
A22 第2領域
H 使用者
w 腰部
b 臀部
f 下肢
h 頭部