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特開2024-142872ソール構造およびそれを備えたシューズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142872
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ソール構造およびそれを備えたシューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/12 20060101AFI20241003BHJP
   A43B 13/14 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A43B13/12 Z
A43B13/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055245
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶原 遥
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA05
4F050BA26
4F050BF01
4F050EA01
4F050EA23
4F050HA53
4F050HA55
4F050HA56
4F050HA58
4F050HA82
4F050JA09
4F050LA01
(57)【要約】
【課題】ソール構造の剛性を担保すると共に、ソール構造の屈曲性を損なわないようにする。
【解決手段】ソール構造1は、アウトソール2とミッドソール5との間に積層配置され、アウトソール2およびミッドソール5よりも剛性が高い材料からなるプレート19を備えている。プレート19は、複数の切れ込み部20と、各切れ込み部20の延伸方向に沿う仮想線により区画される複数の可動部(可動部31~37)と、を有している。そして、各可動部は、互いに独立してソール構造1の厚み方向に可動するように構成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューズのソール構造において、
アウトソールと、
前記アウトソールの上側に積層配置されるミッドソールと、
前記アウトソールと前記ミッドソールとの間に積層配置され、前記アウトソールおよび前記ミッドソールよりも剛性が高い材料からなるプレートと、を備え、
前記プレートは、
前記プレートの周縁部から第一の方向に延びるように切り欠かれ、または、前記プレートの周縁部から前記第一の方向と交差する第二の方向に延びるように切り欠かれた複数の切れ込み部と、
前記複数の切れ込み部の各々の延伸方向に沿う仮想線により区画される複数の可動部と、を有し、
前記複数の可動部の各々は、互いに独立して前記ソール構造の厚み方向に可動するように構成されている、ソール構造。
【請求項2】
請求項1に記載のソール構造において、
前記複数の切れ込み部は、
前記第一の方向に延びるように切り欠かれた、少なくとも1つの第一切れ込み部と、
前記第二の方向に延びように切り欠かれた、少なくとも1つの第二切れ込み部と、を含む、ソール構造。
【請求項3】
請求項1に記載のソール構造において、
前記ミッドソールは、前記ミッドソールの上面側に配置された複数の溝部を有しており、
前記複数の溝部の各々は、前記第一の方向または前記第二の方向に沿って延びている、ソール構造。
【請求項4】
請求項3に記載のソール構造において、
前記複数の溝部は、
前記第一の方向に延びるように形成された、少なくとも1つの第一溝部と、
前記第二の方向に延びるように形成された、少なくとも1つの第二溝部と、を含む、ソール構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のソール構造において、
前記第一の方向は、前記ソール構造の足幅方向に相当し、
前記第二の方向は、前記ソール構造の足長方向に相当する、ソール構造。
【請求項6】
請求項1に記載のソール構造において、
前記アウトソールは、
アウトソール本体と、
前記アウトソール本体から下方に向かって突出する複数の突起部と、を有し、
前記複数の可動部の各々は、前記ソール構造の厚み方向において前記複数の突起部の各々と重なるように配置されている、ソール構造。
【請求項7】
請求項6に記載のソール構造において、
前記複数の切れ込み部は、
前記第一の方向に延びるように切り欠かれた、少なくとも1つの第一切れ込み部と、
前記第二の方向に延びように切り欠かれた、少なくとも1つの第二切れ込み部と、を含み、
前記第一の方向は前記ソール構造の足幅方向に相当する一方、前記第二の方向は前記ソール構造の足長方向に相当し、
前記複数の突起部の各々は、底面視において前記第一切れ込み部と重ならないように配置されている、ソール構造。
【請求項8】
請求項1に記載のソール構造において、
前記プレートは、前記ソール構造において、着用者の足の爪先部に対応する位置からアーチ中央に対応する位置に亘る範囲に配置されている、ソール構造。
【請求項9】
請求項1に記載のソール構造において、
前記複数の溝部は、前記ミッドソールにおいて着用者の足の爪先部に対応する位置からアーチ中央に対応する位置に亘る範囲に配置されている、ソール構造。
【請求項10】
請求項1に記載のソール構造を備えた、シューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソール構造およびそれを備えたシューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばトレイルランニングに適用可能なソール構造に関し、特許文献1に示されるものが知られている。
【0003】
特許文献1には、アウトソール(アウトソール7)と、アウトソールの上面側に配置されたミッドソール(コンフォートソール9)と、ミッドソールの上面側に配置されたプレート(シェル13)と、を備えたソール構造が開示されている。プレートは、プラスチックまたは複合材料からなる。プレートは、ソール構造において着用者の足の爪先部に対応する位置から踵部に対応する位置に亘って配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2022-521032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のソール構造では、プラスチックまたは複合材料からなるプレートにより、ソール構造の剛性が高められている。これにより、上記ソール構造が適用されたシューズを着用した者(以下「着用者」という)の足が安定的に支持される。さらに、上記ソール構造では、着用者の足が地面または不整地の路面(以下「地面等」という)に接地した時において、例えば地面等にある石を着用者が踏んだ時の足に対する突き上げの衝撃を、プレートが有する剛性により抑制することが可能となっている。
【0006】
しかしながら、上記のプレートを備えたソール構造では、剛性が向上する反面、屈曲性が低下してしまう傾向にある。その結果、上記ソール構造では、着用者の足における各関節の動作が必要以上に制限されてしまい、足の柔軟な動きを妨げてしまうおそれがあった。特に、地面等を歩行または走行する競技(例えばトレイルラインニング)では、着用者の足の柔軟な動きが妨げられてしまうと、足の各関節に対する負荷が増大してしまう。その結果、競技時間が比較的長いトレイルラインニングでは、各関節に対する負荷が長時間継続することになり、着用者の足を痛めてしまうおそれがあった。
【0007】
これに対し、ソール構造の屈曲性を高めるために、例えば特許文献1のソール構造から上記プレートを省くことも考えられる。しかしながら、上記ソール構造から上記プレートを省いた構成では、ソール構造として要求される剛性を得ることができない。その結果、着用者の足を安定的に支持することが困難となる。また、上記プレートを省いた構成では、たとえミッドソールが十分な厚みを有していたとしても、接地時における突き上げによる衝撃を抑制することが困難となる。
【0008】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ソール構造の剛性を担保すると共に、ソール構造の屈曲性を損なわないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の開示はシューズのソール構造に係るものであり、このソール構造は、アウトソールと、アウトソールの上側に積層配置されるミッドソールと、アウトソールとミッドソールとの間に積層配置され、アウトソールおよびミッドソールよりも剛性が高い材料からなるプレートと、を備えている。プレートは、プレートの周縁部から第一の方向に延びるように切り欠かれ、または、プレートの周縁部から第一の方向と交差する第二の方向に延びるように切り欠かれた複数の切れ込み部と、複数の切れ込み部の各々の延伸方向に沿う仮想線により区画される複数の可動部と、を有している。そして、複数の可動部の各々は、互いに独立してソール構造の厚み方向に可動するように構成されている。
【0010】
第1の開示では、アウトソールとミッドソールとの間に積層配置されたプレートにより、ソール構造の剛性が高められている。これにより、着用者の足を安定的に支持することが可能となる。また、接地時に生じる突き上げの衝撃を、プレートが有する剛性により抑制することが可能となる。
【0011】
また、複数の切れ込み部により、プレートにおいて、切れ込み部の延伸方向に沿う仮想線が位置する部分では、プレートの剛性が局所的に抑えられている。これにより、プレートにおいて、仮想線の位置する部分が屈曲しやすくなっている。例えば、突き上げによる衝撃(上下方向の外圧)が複数の可動部のいずれかの部位に対して加わった場合には、当該部位を区画している仮想線の位置する部分が屈曲するようになる。
【0012】
そして、複数の可動部は、互いに独立してソール構造の厚み方向に可動するように構成されている。かかる構成により、ソール構造の屈曲性が損なわれないようになる。その結果、着用者の足における各関節の動作が制限されにくくなり、各可動部が着用者の足の柔軟な動きに追随するようになる。これにより、例えば競技時間が比較的長いトレイルラインニングでは、着用者の足の各関節に対する負荷が抑制されて、着用者の足を痛めないようにすることが可能となる。さらに、複数の可動部においてもプレートが有する剛性と同様の剛性が担保されることから、各可動部において着地時における突き上げの衝撃を抑制することが可能となる。
【0013】
したがって、第1の開示では、ソール構造の剛性を担保することができると共に、ソール構造の屈曲性を損なわないようにすることができる。
【0014】
第2の開示は、第1の開示において、複数の切れ込み部は、第一の方向に延びるように切り欠かれた、少なくとも1つの第一切れ込み部と、第二の方向に延びように切り欠かれた、少なくとも1つの第二切れ込み部と、を含む。
【0015】
この第2の開示では、複数の可動部を細分化することが可能となる。これにより、着用者の足の柔軟な動きに対する追随性をより一層高めることができる。
【0016】
第3の開示は、第1の開示において、ミッドソールは、ミッドソールの上面側に配置された複数の溝部を有している。そして、複数の溝部の各々は、第一の方向または第二の方向に沿って延びている。
【0017】
第3の開示では、ミッドソールを、複数の可動部の各々における動作に応じて屈曲させることが可能となる。これにより、ソール構造の屈曲性を損なわないようにすることができる。
【0018】
第4の開示は、第3の開示において、複数の溝部は、第一の方向に延びるように形成された、少なくとも1つの第一溝部と、第二の方向に延びるように形成された、少なくとも1つの第二溝部と、を含む。
【0019】
第4の開示では、ミッドソールを、複数の可動部の各々における動作に応じて屈曲させやすくなる。これにより、ソール構造の屈曲性を損なわないようにすることができる。
【0020】
第5の開示は、第1~第4のいずれか1つの開示において、第一の方向は、ソール構造の足幅方向に相当し、第二の方向は、ソール構造の足長方向に相当する。
【0021】
第5の開示では、ソール構造を、足幅方向および足長方向に屈曲させることができる。
【0022】
第6の開示は、第1の開示において、アウトソールは、アウトソール本体と、アウトソール本体から下方に向かって突出する複数の突起部と、を有している。そして、複数の可動部の各々は、ソール構造の厚み方向において複数の突起部の各々と重なるように配置されている。
【0023】
この第6の開示では、各突起部により各可動部の動作が妨げられないようになると共に、各突起部によるアウトソールのトラクション性を高めることができる。
【0024】
第7の開示は、第6の開示において、複数の切れ込み部は、第一の方向に延びるように切り欠かれた、少なくとも1つの第一切れ込み部と、第二の方向に延びように切り欠かれた、少なくとも1つの第二切れ込み部と、を含む。第一の方向はソール構造の足幅方向に相当する一方、第二の方向はソール構造の足長方向に相当する。そして、複数の突起部の各々は、底面視において第一切れ込み部と重ならないように配置されている。
【0025】
この第7の開示では、ソール構造の屈曲性を損なわないようにすることができる。
【0026】
第8の開示は、第1の開示において、プレートは、ソール構造において、着用者の足の爪先部に対応する位置からアーチ中央に対応する位置に亘る範囲に配置されている。
【0027】
第8の開示では、ソール構造の、着用者の足のアーチ中央に対応する位置から爪先部に対応する位置に亘る範囲において、剛性を担保すると共に、屈曲性を損なわないようにすることができる。
【0028】
第9の開示は、第1の開示において複数の溝部は、ミッドソールにおいて着用者の足の爪先部に対応する位置からアーチ中央に対応する位置に亘る範囲に配置されている。
【0029】
第9の開示では、ソール構造の、着用者の足のアーチ中央に対応する位置から爪先部に対応する位置に亘る範囲において、屈曲性を損なわないようにすることができる。
【0030】
第10の開示は、第1~第9のいずれか1つのソール構造を備えた、シューズである。
【0031】
第10の開示では、上記第1~第9の開示と同様の作用効果を奏するシューズを得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本開示によると、ソール構造の剛性を得ることができると共に、ソール構造の屈曲性を損なわないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本開示の実施形態に係るソール構造を上方から見て示した斜視図である。
図2図2は、ソール構造を下方から見て示した分解斜視図である。
図3図3は、図1に示したソール構造を、着用者の足の骨格構造と併せて上方から見て示した平面図である。
図4図4は、図1に示したソール構造の底面図である。
図5図5は、図1に示したソール構造を内甲側から見て示した側面図である。
図6図6は、図1に示したソール構造を外甲側から見て示した側面図である。
図7図7は、第一ミッドソール部の平面図である。
図8図8は、第一ミッドソール部における着用者の足の前足部および中足部に対応する部分を、着用者の足の骨格構造と併せて上方から見て示した部分拡大図である。
図9図9は、プレートの底面図である。
図10図10は、ソール構造における着用者の足の前足部および中足部に対応する部分を、着用者の足の骨格構造と併せて下方から見て示した部分拡大図である。
図11図11は、図3のXI-XI線断面図である。
図12図12は、図11に示したA部の部分拡大図である。
図13図13は、図3のXIII-XIII線断面図である。
図14図14は、図10のXIV-XIV線断面図である。
図15図15は、その他の実施形態として、突起部と第二切れ込み部とが上下方向に重ならないように配置した状態を例示した図13相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0035】
(ソール構造)
図1は、本発明の実施形態に係るソール構造1の全体を示している。このソール構造1にアッパー10(図5および図6参照)などが設けられたシューズSは、主に、地面または不整地の路面(以下「地面等」という)を歩行または走行するトレイルラインニングに適用可能である。なお、ソール構造1を備えるシューズSは、土や芝生の上で行われる球技または各種競技においても適用可能である。なお、上記「地面」には、砂場、草場、岩場、湿地帯などが含まれる。
【0036】
本開示の実施形態において、ソール構造1は、右足用のみを例示している。左足用のソール構造は、右足用のソール構造と左右対称になるように構成されている。以下の説明では、右足用のソール構造のみについて説明し、左足用のソール構造の説明は省略する。
【0037】
以下の説明において、各図に示した「上」および「下」は、ソール構造1における厚さ方向(上下方向)の位置関係を表している。また、各図に示した「内甲側」および「外甲側」は、ソール構造1における足幅方向の位置関係を表している。また、以下の説明において、「第一の方向D1」はソール構造1の足幅方向に相当し、「第二の方向D2」はソール構造1の足長方向に相当するものとする。
【0038】
さらに、図3および図7に例示するように、ソール構造1において、着用者の足の前足部に対応する範囲を符号Fにより示し、着用者の足の中足部に対応する範囲を符号Mにより示し、着用者の足の後足部に対応する範囲を符号Hにより示すものとする。なお、図4図6では、図示を簡略化するために、符号F,M,Hの図示を省略している。
【0039】
図1図6に示すように、ソール構造1は、アウトソール2およびミッドソール5を備えている。
【0040】
(アウトソール)
図4図6に示すように、アウトソール2は、ソール構造1における着用者の前足部Fから後足部Hに亘る範囲に対応して配置されている。図11に示すように、アウトソール2は、ミッドソール5の下側に積層配置されている。
【0041】
アウトソール2は、ミッドソール5よりも高硬度の硬質弾性材により構成されている。具体的に、アウトソール2の材料としては、例えばエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー材、またはそれらを発泡させたフォーム材が適している。アウトソール2の硬度は、デュロメーターCまたはAにおいて、例えば50A~80A(より好ましくは60A~70A)に設定されるのが好ましい。
【0042】
図2および図4に示すように、アウトソール2は、アウトソール本体3を備えている。アウトソール本体3は、略板状を有している。図11図14に示すように、アウトソール本体3は、ミッドソール5(具体的には、後述する第一ミッドソール部6)の下側に積層配置されている。
【0043】
図2および図4に示すように、アウトソール2は、複数の突起部4を有している。複数の突起部4は、アウトソール本体3における下面の面方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0044】
図11図14に示すように、各突起部4は、アウトソール本体3の下面から下方に向かって突出している。各突起部4の下面は、地面等に接地可能な接地面として構成されている。
【0045】
(ミッドソール)
ミッドソール5は、アウトソール2の上側に積層配置されている(図11参照)。ミッドソール5には、着用者の足を覆うためのアッパー10(図5および図6)が設けられている。
【0046】
ミッドソール5は、アウトソール2よりも剛性が低い軟質の弾性材により形成されている。具体的に、ミッドソール5の材料としては、例えばエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバーやその発泡体などが適している。ミッドソール5の硬度は、アスカーCスケールで、例えば15C~65Cの範囲に設定されるのが好ましい。
【0047】
図1図3に示すように、ミッドソール5は、第一ミッドソール部6および第二ミッドソール部9により構成されている。第一ミッドソール部6および第二ミッドソール部9の各々は、同じ材質の軟質弾性材により構成されていてもよく、或いは異なる材質の軟質弾性材により構成されていてもよい。
【0048】
第一ミッドソール部6は、ソール構造1における着用者の足の前足部Fから後足部Hに亘る範囲に対応して配置されている。第一ミッドソール部6は、アウトソール2の上側に積層配置されている(図11図14参照)。第一ミッドソール部6の下面は、アウトソール2の上面(アウトソール本体3の上面)と対向している。
【0049】
図2に示すように、第一ミッドソール部6の下面には、後述するプレート19を収容するための下側収容部7が形成されている。下側収容部7は、底面視においてプレート19の外形(図9参照)と略同じ形状を有している。下側収容部7は、底面視において、第一ミッドソール部6における下側の、着用者の足の前足部Fおよび中足部Mに対応する位置に配置されている。下側収容部7は、第一ミッドソール部6の下面から上方に向かって凹陥するように形成されている。
【0050】
図7に示すように、第一ミッドソール部6の上側には、第二ミッドソール部9を収容するための上側収容部8が形成されている。上側収容部8は、平面視において第二ミッドソール部9の外形と略同じ形状を有している。上側収容部8は、平面視において、第一ミッドソール部6における上側の、着用者の足の中足部Mおよび後足部Hに対応する位置に配置されている。上側収容部8は、第一ミッドソール部6の上面から下方に向かって凹陥するように形成されている(図11参照)。
【0051】
図5および図6に示すように、第二ミッドソール部9は、第一ミッドソール部6の上側に積層配置されている。具体的に、図11に示すように、第二ミッドソール部9は、第一ミッドソール部6の上側収容部8に収容された状態で、上側収容部8に対し接着剤などにより固着される。
【0052】
第一ミッドソール部6の上面および第二ミッドソール部9の上面は、着用者の足の足裏を支持するための足裏支持面として構成されている。この足裏支持面は、着用者の足裏を直接的に支持するように構成されていてもよく、あるいは、インソール(図示せず)などを介して着用者の足裏を支持するように構成されていてもよい。
【0053】
(屈曲領域)
図1に示すように、ミッドソール5は、屈曲領域11を有している。具体的に、図7および図8に示すように、屈曲領域11は、第一ミッドソール部6の上面側に配置されている。屈曲領域11は、ミッドソール5において着用者の足の前足部Fおよび中足部Mに対応する位置に配置されている。具体的に、屈曲領域11は、ミッドソール5において着用者の足の爪先部に対応する位置からアーチ中央に対応する位置に亘る範囲に配置されている(図8参照)。
【0054】
(溝部)
図7および図8に示すように、ミッドソール5は、複数の溝部12を有している。複数の溝部12は、ミッドソール5の屈曲領域11に配置されている。各溝部12は、第一ミッドソール部6の上面から下方に向かって有底状に形成されている(図11図13参照)。すなわち、第一ミッドソール部6における各溝部12の底側に位置する部分は、断面視において相対的に薄くなるように形成されている。これにより、各溝部12の底側に位置する部分が屈曲しやすくなっている。
【0055】
複数の溝部12は、複数の第一溝部13および複数の第二溝部14により構成されている。各第一溝部13は、第一の方向D1に延びるように形成されている。すなわち、各第一溝部13は、後述する第一切れ込み部21a~21eと略同じ方向に延びている。一方、各第二溝部14は、第二の方向D2に延びるように形成されている。すなわち、各第二溝部14は、後述する第二切れ込み部22a,22bと略同じ方向に延びている。
【0056】
屈曲領域11において、隣り合う第一溝部13,13と隣り合う第二溝部14,14とにより囲まれた部分には、凸部15が形成されている。凸部15は、平面視において略四角形状となるように形成されている。凸部15は、溝部12の底側から上方に向かって突出している(図11および図12参照)。各凸部15の上面は、ミッドソール5の上面(上述の足裏支持面)と略面一になっている。
【0057】
凸部15は、第一ミッドソール部6と一体に形成されていて、第一ミッドソール部6と同じ軟質の弾性材からなる。すなわち、凸部15は、弾性変形可能となるように構成されている。
【0058】
ここで、例えば着用者の足が地面等に接地した時(以下「接地時」という)において、地面等にある石を着用者が踏んだ時の、ソール構造1に対する突き上げ(以下「突き上げ」という)が生じた場合には、屈曲領域11(第一ミッドソール部6)における各溝部12の底側に位置する部分が屈曲すると共に、隣り合う凸部15,15同士が接近または離反するようになる。これにより、屈曲領域11では、接地時におけるソール構造1の屈曲性が高められている。
【0059】
また、接地時に突き上げが生じた場合には、各凸部15が、地面と着用者の足裏面とにより挟み込まれた状態で上下方向の圧力を受けやすくなる。このとき、各凸部15は、隣り合う凸部15,15同士の壁面が溝部12側に向かって互いに接近するように弾性変形する。このような凸部15の弾性変形により、接地時に生じた突き上げによる衝撃を、着用者の足の前足部Fおよび中足部Mにおいて緩和することが可能となる。すなわち、ミッドソール5の屈曲領域11では、ソール構造1のクッション性が高められている。
【0060】
(プレート)
図2図9、および、図10に示すように、ソール構造1は、プレート19を備えている。プレート19は、ソール構造1において主に着用者の足の前足部Fから中足部Mに亘る範囲の剛性を高めるための部材である。
【0061】
プレート19は、アウトソール2とミッドソール5との間に積層配置されている(図11図14参照)。具体的に、プレート19は、第一ミッドソール部6の下側収容部7に収容された状態で、下側収容部7およびアウトソール本体3の上面に対し接着剤などにより固着される。なお、図11図14では、プレート19を他の構成と区別して示すために、プレート19をドットハッチングにより示している。
【0062】
プレート19は、ソール構造1において着用者の足の前足部Fおよび中足部Mに対応する位置に配置されている。具体的に、プレート19は、ソール構造1において、着用者の足の爪先部に対応する位置からアーチ中央に対応する位置に亘る範囲に配置されている。なお、図9に例示するように、プレート19の、内甲側および外甲側の各々の周縁部は、湾曲状に形成されていてもよい。
【0063】
プレート19は、ミッドソール5およびアウトソール2よりも剛性が高い薄肉層として構成されている。プレート19は、好ましくは硬質弾性材により構成されている。硬質弾性材としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアミドエラストマー(PAE)、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、又はエポキシ樹脂等や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)が挙げられる。なお、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等を強化用繊維とし、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化プラスチック(FRP)を用いてもよい。
【0064】
(切れ込み部)
図9および図10に示すように、プレート19は、複数の切れ込み部20を有している。この実施形態において、複数の切れ込み部20は、第一切れ込み部21a~21eおよび第二切れ込み部22a,22bにより構成されている。
【0065】
第一切れ込み部21a~21eは、プレート19の面方向において、プレート19の周縁部から第一の方向D1に延びるように切り欠かれている。具体的に、第一切れ込み部21a~21eは、ソール構造1の足幅方向に沿うように略帯状に延びている。第一切れ込み部21a~21eの各々は、その先端部が略円弧状となるように形成されている。この形状により、第一切れ込み部21a~21eの各々の先端部において応力が集中しにくくなっている。
【0066】
第一切れ込み部21a,21bは、プレート19の内甲側に配置されている。第一切れ込み部21a,21bは、第二の方向D2(足長方向)において間隔をあけて配置されている。第一切れ込み部21aは、ソール構造1において、主に着用者の足の第1基節骨PP1の近位骨頭と第1中足骨MT1の遠位骨頭との関節(すなわち、図10において「符号MP」で示した足のMP関節)に対応する位置に配置されている。第一切れ込み部21bは、ソール構造1において、主に着用者の足の第1中足骨MT1の足長方向略中央に対応する位置に配置されている。
【0067】
第一切れ込み部21c,21d,21eは、プレート19の外甲側に配置されている。第一切れ込み部21c,21d,21eは、第二の方向D2(足長方向)において間隔をあけて配置されている。第一切れ込み部21cは、ソール構造1において、主に着用者の足の第4末節骨DP4の近位骨頭と第4中節骨IP4の遠位骨頭との関節に対応する位置に配置されている。第一切れ込み部21dは、ソール構造1において、主に着用者の足の第5基節骨PP5の遠位骨頭に対応する位置に配置されている。第一切れ込み部21eは、ソール構造1において、主に着用者の足の第5中足骨MT5の遠位骨頭に対応する位置の近傍に配置されている。
【0068】
第二切れ込み部22a,22bは、プレート19の面方向において、プレート19の周縁部から第二の方向D2に延びるように切り欠かれている。具体的に、第二切れ込み部22a,22bの各々は、ソール構造1の足長方向に沿うように略帯状に延びている。第二切れ込み部22a,22bの各々は、その先端部が略円弧状となるように形成されている。この形状により、第二切れ込み部22a,22bの各々の先端部において応力が集中しにくくなっている。
【0069】
第二切れ込み部22aは、プレート19の前側(爪先側)に配置されている。第二切れ込み部22aは、ソール構造1において、主に着用者の足の第2中節骨IP2の近傍および第2基節骨PP2の遠位骨頭に対応する位置に配置されている。
【0070】
第二切れ込み部22bは、プレート19の後側(アーチ側)に配置されている。第二切れ込み部22bは、ソール構造1において、主に着用者の足の第2中足骨MT2の近位骨頭および第3中足骨MT3の近位骨頭に対応する位置に配置されている。
【0071】
(可動部)
図9および図10に示すように、プレート19は、複数の可動部を有している。この実施形態において、複数の可動部は、可動部31~37により構成されている。
【0072】
可動部31~37の各々は、各切れ込み部20の延伸方向に沿う仮想線(図9に例示したVL1~VL7)により区画されている。そして、可動部31~37の各々は、互いに独立して上下方向(ソール構造1の厚み方向)に可動するように構成されている。
【0073】
可動部31は、第一切れ込み部21aの延伸方向に沿う仮想線VL1と、第二切れ込み部22aの延伸方向に沿う仮想線VL6とより区画されている。可動部31は、ソール構造1において、主に着用者の足の第1末節骨DP1および第1基節骨PP1に対応する位置を含むように配置されている。
【0074】
可動部32は、第一切れ込み部21aの延伸方向に沿う仮想線VL1と、第一切れ込み部21bの延伸方向に沿う仮想線VL2と、第二切れ込み部22aの延伸方向に沿う仮想線VL6とより区画されている。可動部32は、ソール構造1において、主に着用者の足の第1中足骨MT1および第2中足骨MT2に対応する位置を含むように配置されている。
【0075】
可動部33は、第一切れ込み部21bの延伸方向に沿う仮想線VL2と、第二切れ込み部22bの延伸方向に沿う仮想線VL7とより区画されている。可動部33は、ソール構造1において、主に着用者の足の第1中足骨MT1および第2中足骨MT2に対応する位置を含むように配置されている。
【0076】
可動部34は、第一切れ込み部21cの延伸方向に沿う仮想線VL3と、第二切れ込み部22aの延伸方向に沿う仮想線VL6とより区画されている。可動部34は、ソール構造1において、主に着用者の足の第3末節骨DP3、第4末節骨DP4、第2および第3中節骨IP2,IP3、ならびに、第2基節骨PP2に対応する位置を含むように配置されている。
【0077】
可動部35は、第一切れ込み部21cの延伸方向に沿う仮想線VL3と、第一切れ込み部21dの延伸方向に沿う仮想線VL4と、第二切れ込み部22aの延伸方向に沿う仮想線VL6とより区画されている。可動部35は、ソール構造1において、主に着用者の足の第5末節骨DP5、第4中節骨IP4、第2~第5基節骨PP2~PP5、および、第2中足骨MT2に対応する位置を含むように配置されている。
【0078】
可動部36は、第一切れ込み部21dの延伸方向に沿う仮想線VL4と、第一切れ込み部21eの延伸方向に沿う仮想線VL5と、第二切れ込み部22aの延伸方向に沿う仮想線VL6とより区画されている。可動部36は、ソール構造1において、主に着用者の足の第5基節骨PP5、および、第3~第5中足骨MT3~MT5の各々に対応する位置を含むように配置されている。
【0079】
可動部37は、第一切れ込み部21eの延伸方向に沿う仮想線VL5と、第二切れ込み部22bの延伸方向に沿う仮想線VL7とより区画されている。可動部37は、ソール構造1において、主に着用者の足の第3~第5中足骨MT3~MT5の各々に対応する位置を含むように配置されている。
【0080】
(可動部と突起部との位置関係)
図10に示すように、可動部31~37の各々は、ソール構造1の厚み方向において各突起部4と重なるように配置されている。そして、各突起部4は、底面視において第一切れ込み部21a~21eの各々と重ならないように配置されている。さらに、各突起部4は、底面視において第二切れ込み部22bと重ならないように配置されている。なお、図10では、図示を簡略化するために、可動部31~37の各々と重なっていない突起部4の図示を省略している。
【0081】
図10および図14に例示するように、ソール構造1において着用者の足の前足部に対応する位置では、内甲側に位置する突起部4が、ソール構造1の厚み方向において可動部32,33と重なるように配置されている。また、内甲側に位置する突起部4は、第一切り込み部21aおよび第一切り込み部21bと重ならないように間隔をあけて配置されている。
【0082】
[実施形態の作用効果]
上述のように、ソール構造1では、アウトソール2とミッドソール5との間に積層配置されたプレート19により、ソール構造1の剛性が高められている。これにより、着用者の足を安定的に支持することが可能となる。また、ソール構造1では、接地時に生じる突き上げの衝撃を、プレート19が有する剛性により抑制することが可能となる。
【0083】
また、プレート19は、複数の切れ込み部20と、各切れ込み部20の延伸方向に沿って延びる仮想線により区画される可動部31~37と、を有している。複数の切れ込み部20により、プレート19において、切れ込み部20の延伸方向に沿う仮想線が位置する部分では、プレート19の剛性が局所的に抑えられている。これにより、プレート19において、仮想線の位置する部分が屈曲しやすくなっている。例えば、突き上げによる衝撃(上下方向の外圧)が可動部31~37のいずれかの部位に対して加わった場合には、当該部位を区画している仮想線の位置する部分が屈曲するようになる。
【0084】
そして、可動部31~37は、互いに独立して上下方向(ソール構造1の厚み方向)に可動するように構成されている。かかる構成により、ソール構造1の屈曲性が損なわれないようになる。その結果、着用者の足における各関節の動作が制限されにくくなり、可動部31~37の各々が着用者の足の柔軟な動きに追随するようになる。これにより、例えば競技時間が比較的長いトレイルラインニングでは、着用者の足の各関節に対する負荷が抑制されて、着用者の足を痛めないようにすることが可能となる。さらに、可動部31~37においてもプレート19が有する剛性と同様の剛性が担保されることから、可動部31~37の各々において着地時における突き上げの衝撃を抑制することが可能となる。
【0085】
したがって、本開示の実施形態に係るソール構造1では、剛性を担保することができると共に、屈曲性を損なわないようにすることができる。
【0086】
また、複数の切れ込み部20は、第一の方向D1に沿って延びる第一切れ込み部21a~21eと、第二の方向D2に沿って延びる第二切れ込み部22a,22bと、を含む。かかる構成によれば、図9で例示した可動部31~37のように、複数の可動部を細分化することが可能となる。これにより、着用者の足の柔軟な動きに対する追随性をより一層高めることができる。
【0087】
また、ミッドソール5は、ミッドソール5の上面に形成された複数の溝部12を有していてもよい。そして、複数の溝部12は、第一の方向D1に沿って延びる複数の第一溝部13と、第二の方向D2に沿って延びる複数の第二溝部14と、を含む。すなわち、各第一溝部13は第一切れ込み部21a~21eの各々の延伸方向と同じ方向に沿って延びる一方、各第二溝部14は第二切れ込み部22a,22bの各々の延伸方向と同じ方向に沿って延びている。かかる構成によれば、ミッドソール5を、可動部31~37の各々における動作に応じて屈曲させることが可能となる。これにより、ソール構造1の屈曲性を損なわないようにすることができる。
【0088】
また、この実施形態のように、第一の方向D1はソール構造1の足幅方向に沿って延びる一方、第二の方向D2はソール構造1の足長方向に沿って延びていてもよい。すなわち、この実施形態では、第一切れ込み部21a~21eおよび各第一溝部13が足幅方向に沿って延びる一方、第二切れ込み部22a,22bおよび各第二溝部14が足長方向に沿って延びている。かかる構成によれば、プレート19およびミッドソール5を、足幅方向および足長方向に屈曲させることができる。
【0089】
また、可動部31~37の各々は、ソール構造1の厚み方向において各突起部4と重なるように配置されている。かかる構成によれば、各突起部4が、プレート19の、仮想線の位置する部分における屈曲動作に追随して上下方向に動作しやすくなる。このため、各突起部4により可動部31~37の各々の動作が妨げられないようになると共に、各突起部4によるアウトソール2のトラクション性を高めることができる。
【0090】
さらに、各突起部4は、底面視において第一切れ込み部21a~21eの各々と重ならないように配置されている。かかる構成によれば、各突起部4が、プレート19の、仮想線VL1~VL5の各々が位置する部分を起点とする屈曲動作を妨げないようになる。これにより、可動部31~37の各々における上下方向の動作が妨げられず、可動部31~37の各々が着用者の足の柔軟な動きに追随するようになる。したがって、本開示の実施形態では、ソール構造1の屈曲性を損なわないようにすることができる。
【0091】
さらに、アーチ中央寄りに位置する突起部4と第二切れ込み部22bとが重ならないように配置されていてもよい。これにより、アーチ中央寄りに位置する突起部4が、プレート19の、仮想線VL7が位置する部分を起点とする屈曲動作を妨げないようになる。これにより、特に可動部33,37の各々における上下方向の動作が妨げられず、可動部33,37の各々が着用者の足の柔軟な動きに追随しやすくなる。
【0092】
また、好ましくは、プレート19は、ソール構造1において、着用者の足の爪先部に対応する位置からアーチ中央に対応する位置に亘る範囲に配置される。これと同様に、好ましくは、複数の溝部12は、ミッドソール5において着用者の足の爪先部に対応する位置からアーチ中央に対応する位置に亘る範囲に配置される。かかる構成によれば、ソール構造1の、着用者の足の爪先部に対応する位置からアーチ中央に対応する位置に亘る範囲の屈曲性を損なわないようにすることができる。さらに、一般的に、人体の足の構造において、爪先部からアーチ中央に亘る範囲にはMP関節が含まれる。このため、プレート19および複数の溝部12を上記のように配置することにより、着用者の足のMP関節に対する負荷が抑制される。その結果、例えば競技時間が比較的長いトレイルラインニングでは、着用者の足を痛めにくくなる。
【0093】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、プレート19を、第一ミッドソール部6の下側収容部7に収容した形態を示したが、この形態に限られない。例えば、プレート19を、アウトソール2の上面側に設けた収容部(図示せず)に収容してもよい。あるいは、下側収容部7を第一ミッドソール部6に設けずに、プレート19を、アウトソール2の上面と第一ミッドソール部6の下面との間に積層配置してもよい。
【0094】
上記実施形態では、複数の溝部12が、複数の第一溝部13および複数の第二溝部14により構成された形態を示したが、この形態に限られない。例えば、複数の溝部12は、複数の第一溝部13のみ(または、少なくとも1つの第一溝部13のみ)で構成されていてもよい。あるいは、複数の溝部12は、複数の第二溝部14のみ(または、少なくとも1つの第二溝部14のみ)で構成されていてもよい。
【0095】
上記実施形態では、複数の切れ込み部20が、第一切れ込み部21a~21eおよび第二切れ込み部22a,22bにより構成された形態を示したが、この形態に限られない。例えば、複数の切れ込み部20は、第一切れ込み部21a~21eのみ(または、第一切れ込み部21a~21eのうちのいずれか1つのみ)で構成されていてもよい。あるいは、複数の切れ込み部20は、第二切れ込み部22a,22bのみ(または、第二切れ込み部22a,22bのうちのいずれか1つのみ)で構成されていてもよい。すなわち、プレート19が、第一切れ込み部21a~21eまたは第二切れ込み部22a,22bを有していれば、可動部を複数設けることができる。
【0096】
上記実施形態では、各突起部4が各切り込み部20と上下方向に重ならないように配置された形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、各突起部4は、各切り込み部20と部分的に重なっていてもよい。
【0097】
上記実施形態では、「第一の方向D1」がソール構造1の足幅方向に相当し、「第二の方向D2」がソール構造1の足長方向に相当するものとした形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、「第一の方向D1」および「第二の方向D2」の各々は、足幅方向および足長方向の各々と交差する方向となるように設定されていてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、図13において、爪先側に位置する突起部4と第二切れ込み部22aとが上下方向に重なった状態を例示したが、図15に示すように、爪先側に位置する突起部4と第二切れ込み部22aとが上下方向に重ならないように配置されていてもよい。爪先側に位置する突起部4を図15に示したように配置すれば、当該突起部4が、プレート19の、仮想線VL6が位置する部分を起点とする屈曲動作を妨げないようになる。これにより、特に可動部31,34の各々における上下方向の動作が妨げられず、可動部31,34の各々が着用者の足の柔軟な動きに追随しやすくなる。
【0099】
以上、本開示についての実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態のみに限定されず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示は、例えばトレイルラインニングに適したシューズのソール構造およびそれを備えたシューズとして産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0101】
S:シューズ
1:ソール構造
2:アウトソール
3:アウトソール本体
4:突起部
5:ミッドソール
6:第一ミッドソール部
7:下側収容部
8:上側収容部
9:第二ミッドソール部
10:アッパー
11:屈曲領域
12:溝部
13:第一溝部
14:第二溝部
15:凸部
19:プレート
20:切れ込み部
21a~22e:第一切れ込み部
22a,22b:第二切れ込み部
31~37: 可動部
D1: 第一の方向
D2: 第二の方向
VL1~VL7:仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15