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特開2024-142880オラパリブ含有粒子、それを含む製剤及びそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142880
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】オラパリブ含有粒子、それを含む製剤及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/502 20060101AFI20241003BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61K31/502
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K9/14
A61K47/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055259
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000209049
【氏名又は名称】沢井製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】増井 辰馬
(72)【発明者】
【氏名】尾曲 克彦
(72)【発明者】
【氏名】東山 陽一
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076BB01
4C076CC27
4C076DD29
4C076FF03
4C076FF33
4C076GG01
4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA41
4C086NA02
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
【課題】本発明の一実施形態は、オラパリブを非晶質形態で含有する新規なオラパリブ粒子を提供する。または、本発明の一実施形態は、そのオラパリブ含有粒子を含む製剤を提供する。または、本発明の一実施形態は、オラパリブを非晶質形態で含有するオラパリブ粒子の簡便な製造方法、若しくはそのオラパリブ含有粒子を含む製剤の簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態によると、非晶質形態のオラパリブと、吸着担体としての軽質無水ケイ酸及び含水二酸化ケイ素から選択されるケイ酸塩とを含み、非晶質形態のオラパリブ100重量%に対して吸着担体であるケイ酸塩を100重量%以上の範囲で含む、オラパリブ含有粒子が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質形態のオラパリブと、吸着担体としての軽質無水ケイ酸及び含水二酸化ケイ素から選択されるケイ酸塩とを含み、
前記非晶質形態のオラパリブ100重量%に対して前記吸着担体としてのケイ酸塩を100重量%以上の範囲で含む、オラパリブ含有粒子。
【請求項2】
前記非晶質形態のオラパリブ100重量%に対して前記吸着担体としてのケイ酸塩を300重量%以下の範囲で含む、請求項1に記載のオラパリブ含有粒子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のオラパリブ含有粒子を含む、オラパリブ含有製剤。
【請求項4】
オラパリブ、オラパリブの塩又はオラパリブの溶媒和物を溶媒に溶解させてオラパリブ溶液を調製し、
前記オラパリブ溶液を軽質無水ケイ酸及び含水二酸化ケイ素から選択される吸着担体であるケイ酸塩に添加して、前記溶媒を除去し、
非晶質形態のオラパリブと、前記ケイ酸塩と、を含む粒子を得る、オラパリブ含有粒子の製造方法。
【請求項5】
前記非晶質形態のオラパリブ100重量%に対して前記吸着担体としてケイ酸塩を100重量%以上の範囲となるように、前記オラパリブ溶液を前記ケイ酸塩に添加する、請求項4に記載のオラパリブ含有粒子の製造方法。
【請求項6】
前記非晶質形態のオラパリブ100重量%に対して前記吸着担体としてケイ酸塩を300重量%以下の範囲となるように、前記オラパリブ溶液を前記ケイ酸塩に添加する、請求項4に記載のオラパリブ含有粒子の製造方法。
【請求項7】
前記溶媒が酢酸である、請求項4に記載のオラパリブ含有粒子の製造方法。
【請求項8】
請求項4乃至7の何れか一項に記載のオラパリブ含有粒子の製造方法により得られたオラパリブ含有粒子と、一以上の医薬的に許容される添加剤とを混合して、組成物を得て、
前記組成物を打錠する、オラパリブ含有製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、オラパリブを非晶質形態で含有する新規なオラパリブ粒子に関する。または、本発明の一実施形態は、そのオラパリブ含有粒子を含む製剤に関する。または、本発明の一実施形態は、オラパリブを非晶質形態で含有するオラパリブ粒子の製造方法、若しくはそのオラパリブ含有粒子を含む製剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オラパリブ(4-[3-(4-シクロプロパンカルボニル-ピペラジン-1-カルボニル)-4-フルオロ-ベンジル]-2H-フタラジン-1-オン)は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)を選択的に阻害する経口の分子標的薬であり、DNAの二本鎖切断修復機構である相同組換え修復が機能していない癌細胞に選択的に作用する。相同組換え修復機能不全にはBRCA遺伝子等の関与が知られており、BRCA遺伝子変異陽性の特定の卵巣癌、乳癌、前立腺癌及び膵癌等の治療に用いられている。
【0003】
一方、オラパリブは難溶性薬物であることから、良好な溶出性を得るために、例えば、特許文献1においては、1-ビニル-2-ピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマーであるコポビドンを含むマトリックスポリマーを用いてオラパリブ又はその塩もしくは溶媒和物を固体分散体化することにより、オラパリブを非晶質形態とし、それによりオラパリブの溶出性を向上させることが記載されている。
【0004】
オラパリブとマトリックスポリマーを含む固体分散体を得る方法として、特許文献1には溶融押出法や噴霧乾燥法などが開示されている。しかし、これらの製造方法は、特殊な設備の導入や長時間の製造が必要となり、製造コストの上昇を招く懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5524220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、オラパリブを非晶質形態で含有する新規なオラパリブ粒子を提供することを目的の一つとする。または、本発明の一実施形態は、そのオラパリブ含有粒子を含む製剤を提供することを目的の一つとする。または、本発明の一実施形態は、オラパリブを非晶質形態で含有するオラパリブ粒子の簡便な製造方法、ならびにそのオラパリブ含有粒子を含む製剤の簡便な製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のオラパリブ含有粒子は、非晶質形態のオラパリブと、吸着担体としての軽質無水ケイ酸及び含水二酸化ケイ素から選択されるケイ酸塩とを含み、非晶質形態のオラパリブ100重量%に対して吸着担体としてのケイ酸塩を100重量%以上の範囲で含む。
【0008】
オラパリブ含有粒子は、非晶質形態のオラパリブ100重量%に対して吸着担体としてのケイ酸塩を300重量%以下の範囲で含んでもよい。
【0009】
本発明の一実施形態によると、上記の何れかのオラパリブ含有粒子を含む、オラパリブ含有製剤が提供される。
【0010】
本発明の一実施形態によると、オラパリブ、オラパリブの塩又はオラパリブの溶媒和物を溶媒に溶解させてオラパリブ溶液を調製し、オラパリブ溶液を軽質無水ケイ酸及び含水二酸化ケイ素から選択されるケイ酸塩に添加して、溶媒を除去し、非晶質形態のオラパリブと、吸着担体としてのケイ酸塩と、を含む粒子を得る、オラパリブ含有粒子の製造方法が提供される。
【0011】
非晶質形態のオラパリブ100重量%に対して吸着担体としてのケイ酸塩が100重量%以上の範囲となるように、オラパリブ溶液をケイ酸塩に添加してもよい。
【0012】
非晶質形態のオラパリブ100重量%に対して吸着担体としてのケイ酸塩が300重量%以下の範囲となるように、オラパリブ溶液をケイ酸塩に添加してもよい。
【0013】
溶媒が酢酸であってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態によると、上記の何れかのオラパリブ含有粒子の製造方法により得られたオラパリブ含有粒子と、一以上の医薬的に許容される添加剤とを混合して、組成物を得て、組成物を打錠する、オラパリブ含有製剤の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によると、オラパリブを非晶質形態で含有するオラパリブ粒子ならびにそのオラパリブ含有粒子を含む製剤が提供される。または、本発明の一実施形態によると、オラパリブを非晶質形態で含有するオラパリブ粒子の簡便な製造方法、ならびにそのオラパリブ含有粒子を含む製剤の簡便な製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るオラパリブ含有粒子、それを含む製剤及びそれらの製造方法について説明する。なお、本発明のオラパリブ含有粒子、それを含む製剤及びそれらの製造方法は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例において、同一構成又は同様な機能を有する構成については、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
[オラパリブ含有粒子]
本発明の一実施形態に係るオラパリブ含有粒子は、非晶質形態のオラパリブと、吸着担体としての軽質無水ケイ酸及び含水二酸化ケイ素から選択されるケイ酸塩とを含む。一方、後述する比較例に示すように、本実施形態においては、全てのケイ酸塩がオラパリブを吸着させる吸着担体として利用できるわけではなく、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、本実施形態に係るオラパリブ含有粒子に用いる吸着担体には適さない。また、一実施形態において、オラパリブ含有粒子は、吸着担体としての軽質無水ケイ酸を含むことが好ましい。
【0018】
また、本実施形態に係るオラパリブ含有粒子は、非晶質形態のオラパリブ100重量%に対して吸着担体としてのケイ酸塩を100重量%以上300重量%以下の範囲で含み、好ましくは、非晶質形態のオラパリブに対して吸着担体であるケイ酸塩を100重量%以上200重量%以下の範囲で含む。オラパリブに対して吸着担体であるケイ酸塩をこの範囲で含むことにより、本実施形態に係るオラパリブ含有粒子は、オラパリブを非晶質形態で吸着担体に吸着させることができる。一方、オラパリブ100重量%に対して吸着担体であるケイ酸塩が100重量%よりも少ない場合には、オラパリブを非晶質形態で吸着担体に吸着させることはできない。また、オラパリブに対して吸着担体であるケイ酸塩の含有量を300重量%より多くすることも可能であるが、オラパリブ含有粒子におけるオラパリブの含有量が低下し、結果として得られる製剤の大きさが大きくなるため、好ましくない。
【0019】
また、上述した溶融押出法等によりオラパリブ含有粒子を製造する場合にも流動化剤などとしてケイ酸塩を添加することもあるが、流動化剤などとして添加されるケイ酸塩の量は、オラパリブ100重量%に対してケイ酸塩が10重量%以下など100重量%よりも大幅に少ない量であるため、後述する本実施形態に係る製造方法により製造されたオラパリブ含有粒子とはオラパリブに対するケイ酸塩の含有量に基づいて明確に区別することができる。
【0020】
[オラパリブ含有製剤]
本実施形態に係るオラパリブ含有粒子を用いて、オラパリブ含有製剤を提供することができる。本実施形態に係るオラパリブ含有製剤は、本実施形態に係るオラパリブ含有粒子と、一以上の医薬的に許容される添加剤とを含む。
【0021】
本実施形態に係るオラパリブ含有製剤が含む医薬的に許容される添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤及び滑沢剤を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
賦形剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、デンプン、部分アルファー化デンプン、マンニトール、ソルビトール、無機塩類、セルロース誘導体(例えば、結晶セルロース、セルロース)、硫酸カルシウム、キシリトール及びラクチトールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
結合剤としては、例えば、乳糖、デンプン、部分アルファー化デンプン、糖類、アラビアゴム、トラガントゴム、グアーガム、ペクチン、カルナウバロウやパラフィンなどのろう結合剤、結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、コポリビドン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)及びアルギン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリルステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、及びタルクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
一実施形態において、オラパリブ含有製剤は錠剤であってもよく、1錠当たり100mg又は150mgのオラパリブを含むがこれらに限定されず、治療効果を得られる範囲で、オラパリブの含有量を変更してもよい。
【0027】
[オラパリブ含有粒子の製造方法]
本実施形態に係るオラパリブ含有粒子の製造方法は、特定のケイ酸塩を吸着担体とする吸着法により、オラパリブ含有粒子を製造する方法である。まず、オラパリブ、オラパリブの塩又はオラパリブの溶媒和物を溶媒に溶解させてオラパリブ溶液を調製する。なお、原料として用いるオラパリブ、オラパリブの塩又はオラパリブの溶媒和物は、結晶であってもよく、非晶質形態であってもよい。溶媒としては、オラパリブの類縁物質等が生じない、又はオラパリブを安定に溶解可能な溶媒を用いることができ、酢酸を好適に使用できるが、これに限定されるものではない。
【0028】
得られたオラパリブ溶液を吸着担体である軽質無水ケイ酸及び含水二酸化ケイ素から選択されるケイ酸塩に添加して、混合することにより、オラパリブをケイ酸塩に吸着させる。このとき、オラパリブ100重量%に対して吸着担体であるケイ酸塩を100重量%以上300重量%以下の範囲、好ましくは、オラパリブ100重量%に対して吸着担体であるケイ酸塩を100重量%以上200重量%以下の範囲となるように、オラパリブ溶液をケイ酸塩に添加する。
【0029】
その後、溶媒を除去し、非晶質形態のオラパリブと、吸着担体であるケイ酸塩と、を含む粒子を得ることができる。溶媒を除去する方法としては、加熱乾燥又は減圧乾燥を例示することができる。
【0030】
本実施形態に係るオラパリブ含有粒子の製造方法は、特許文献1に記載された原薬とポリマーを含む固体分散体の製造方法である溶融押出法や噴霧乾燥法を用いない。本実施形態においては、特定のケイ酸塩を吸着担体とする吸着法により、オラパリブ含有粒子を製造するため、溶融押出法や噴霧乾燥法に必要な特殊な設備を用いる必要はない。つまり、本実施形態に係るオラパリブ含有粒子は、製剤において一般に用いられる製造装置により製造されるため、製造コストを低減することができる。また、本実施形態に係るオラパリブ含有粒子の製造方法は、溶融押出法や噴霧乾燥法に比して製造時間が短く、簡便にオラパリブ含有粒子を製造することができる。
【0031】
[オラパリブ含有製剤の製造方法]
一実施形態において、本実施形態に係るオラパリブ含有粒子を用いてオラパリブ含有製剤を製造することができる。上述したオラパリブ含有粒子の製造方法により得られたオラパリブ含有粒子と、一以上の医薬的に許容される添加剤とを混合して、組成物を調製する。得られた組成物を打錠することにより、本実施形態に係るオラパリブ含有製剤を得ることができる。オラパリブ含有粒子と混合する医薬的に許容される添加剤については上述したため、詳細な説明は省略する。
【0032】
一実施形態において、組成物に含まれるオラパリブ含有粒子の量と、打錠する際の組成物の量を調整し、1錠当たり100mg又は150mgのオラパリブを含むオラパリブ含有製剤を製造することができる。なお、1錠当たりのオラパリブの含有量はこれらに限定されず、治療効果を得られる範囲で変更してもよい。
【0033】
[オラパリブの結晶学的形態の評価]
オラパリブの結晶学的形態は、粉末X線回折測定法にて評価することができる。本明細書において、「非晶質」とは、粉末X線回折測定法により得られた回折パターンにおいて、ベースラインに対してブロードなハローパターンが観察され、結晶成分に由来する顕著なピークが観察されないことを意味する。
【実施例0034】
[実施例1]
高速分散機(ホモディスパー2.5型、プライミクス株式会社)を用いて、オラパリブ15gを酢酸30gに1時間で溶解させた。乳鉢を用いて、ビニ-ル袋に入れた軽質無水ケイ酸(アドソリダー(登録商標)101、フロイント産業株式会社)30gに得られた溶液を添加して、5分間混合して、オラパリブを軽質無水ケイ酸に吸着させた。オラパリブを吸着させた軽質無水ケイ酸を8号篩で粗砕し(5分間)、棚式乾燥機で4時間乾燥させ、溶媒である酢酸を除去した。その後、22号篩にて乾燥物を整粒し(5分間)、非晶質形態のオラパリブに対して、200重量%の軽質無水ケイ酸を含む、実施例1のオラパリブ含有粒子を得た。
【0035】
[実施例2]
軽質無水ケイ酸に代えて、含水二酸化ケイ素(Fujisil(登録商標)、富士化学工業株式会社)を用いたこと以外は実施例1と同様の製造方法により、非晶質形態のオラパリブに対して、200重量%の含水二酸化ケイ素を含む、実施例2のオラパリブ含有粒子を得た。
【0036】
[実施例3]
軽質無水ケイ酸を15gに変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、非晶質形態のオラパリブに対して、100重量%の軽質無水ケイ酸を含む、実施例3のオラパリブ含有粒子を得た。
【0037】
[実施例4]
軽質無水ケイ酸を17gに変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、非晶質形態のオラパリブに対して、113重量%の軽質無水ケイ酸を含む、実施例4のオラパリブ含有粒子を得た。
【0038】
[実施例5]
軽質無水ケイ酸を22.5gに変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、非晶質形態のオラパリブに対して、150重量%の軽質無水ケイ酸を含む、実施例5のオラパリブ含有粒子を得た。
【0039】
[実施例6]
軽質無水ケイ酸を45gに変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、非晶質形態のオラパリブに対して、300重量%の軽質無水ケイ酸を含む、実施例6のオラパリブ含有粒子を得た。
【0040】
[比較例1]
軽質無水ケイ酸を12gに変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、オラパリブに対して、80重量%の軽質無水ケイ酸を含む、比較例1のオラパリブ含有粒子を得た。
【0041】
[比較例2]
軽質無水ケイ酸に代えて、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリン(登録商標)UFL2、富士化学工業株式会社)を用いたこと以外は実施例4と同様の製造方法により、オラパリブに対して、113重量%のメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含む、比較例2のオラパリブ含有粒子を得た。
【0042】
[オラパリブの結晶学的形態の評価]
粉末X線回折測定法にて、製造した実施例1~6及び比較例1~2のオラパリブ含有粒子が非晶質形態にあるか確認した。測定には、粉末X線回折装置Bruker D8 ADVANCEを用い、Cu-Ka線、管電圧40kV、管電流40mA、測定範囲:2θ=10.0~25.0°、スキャンスピード:1sec/step、ステップサイズ:0.015°の条件により測定した。
【0043】
非晶質形態の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0044】
表1の結果より、軽質無水ケイ酸及び含水二酸化ケイ素を吸着担体として用いることにより、オラパリブを非晶質形態で吸着担体中に吸着させることが可能であることが明らかとなった。一方、ケイ酸塩であっても、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを吸着担体として用いた場合には、オラパリブを非晶質形態に維持できないことが明らかとなった。
【0045】
また、実施例3と比較例1の結果より、オラパリブ含有粒子中のケイ酸塩の含有量をオラパリブに対して100重量%より少なくすると、オラパリブを非晶質形態に維持できないことが明らかとなった。
【0046】
[製造時間]
実施例1において説明したように、吸着法を用いた本実施例のオラパリブ含有粒子の製造方法においては、約5時間の製造時間を要した。一方、同様スケールで溶融押出法によりオラパリブ含有粒子を製造する場合、熱溶融に10時間、溶融物の冷却に30分、及び整粒機による整粒に15分の合計11時間程度が想定される。このため、本実施例のオラパリブ含有粒子の製造方法は、従来に比して短時間でオラパリブを非晶質形態で含有する粒子を得られる優れた製造方法であることが明らかとなった。