(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142888
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】畜肉様加工食品
(51)【国際特許分類】
A23J 3/00 20060101AFI20241003BHJP
A23J 3/16 20060101ALI20241003BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20241003BHJP
【FI】
A23J3/00 503
A23J3/16
A23L13/00 Z
A23L13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055274
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】武村 翔太
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC05
4B042AD20
4B042AD36
4B042AK06
4B042AK07
4B042AK08
4B042AK09
4B042AK13
4B042AK17
4B042AK20
4B042AP03
4B042AP04
4B042AP18
4B042AP21
(57)【要約】
【課題】より肉粒様のほぐれ感の優れた、食感の良好な畜肉様加工食品及びその製造方法の提供。
【解決手段】植物性タンパク質と、ゲル化剤と、単純分散法による水分散時の粒子径が15.0μm以下である結晶セルロース複合体又は分画法による水分散時の平均粒子径が10.0μm以下である結晶セルロース複合体とを含有する、畜肉様加工食品、前記結晶セルロース複合体が水溶性高分子として天然由来の多糖類を含有する、前記畜肉様加工食品、植物性タンパク質と、ゲル化剤と、単純分散法による水分散時の粒子径が15.0μm以下である結晶セルロース複合体又は分画法による水分散時の平均粒子径が10.0μm以下である結晶セルロース複合体とを原料として用いて、畜肉様加工食品を製造する、畜肉様加工食品の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、単純分散法による水分散時の平均粒子径が15.0μm以下である結晶セルロース複合体を含有する、畜肉様加工食品。
【請求項2】
植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、分画法による水分散時の平均粒子径が10.0μm以下である結晶セルロース複合体を含有する、畜肉様加工食品。
【請求項3】
植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、分画法による水分散時の平均粒子径が1.0μm以下である結晶セルロース複合体を含有する、畜肉様加工食品。
【請求項4】
前記結晶セルロース複合体が、水溶性高分子として天然由来の多糖類を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の畜肉様加工食品。
【請求項5】
前記結晶セルロース複合体のゆるみ見掛比重が、0.350g/cm3以上0.650g/cm3以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の畜肉様加工食品。
【請求項6】
畜肉様加工食品における動物性素材の配合量(質量%)が10質量%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の畜肉様加工食品。
【請求項7】
前記植物性タンパク質が大豆タンパク質を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の畜肉様加工食品。
【請求項8】
前記ゲル化剤がメチルセルロースを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の畜肉様加工食品。
【請求項9】
植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、単純分散法による水分散時の平均粒子径が15.0μm以下である結晶セルロース複合体を原料として用いて、畜肉様加工食品を製造する、畜肉様加工食品の製造方法。
【請求項10】
植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、分画法による水分散時の平均粒子径が10.0μm以下である結晶セルロース複合体を原料として用いて、畜肉様加工食品を製造する、畜肉様加工食品の製造方法。
【請求項11】
前記結晶セルロース複合体のゆるみ見掛比重が、0.350g/cm3以上0.650g/cm3以下である、請求項9又は10に記載の畜肉様加工食品の製造方法。
【請求項12】
植物性タンパク質が原料として用いられる畜肉様加工食品において、ゲル化剤、及び、単純分散法による水分散時の平均粒子径が15.0μm以下である結晶セルロース複合体を原料として用いることにより、畜肉様加工食品の肉粒様のほぐれ感を改善する、畜肉様加工食品の食感改善方法。
【請求項13】
植物性タンパク質が原料として用いられる畜肉様加工食品において、ゲル化剤、及び、分画法による水分散時の平均粒子径が10.0μm以下である結晶セルロース複合体を原料として用いることにより、畜肉様加工食品の肉粒様のほぐれ感を改善する、畜肉様加工食品の食感改善方法。
【請求項14】
前記結晶セルロース複合体のゆるみ見掛比重が、0.350g/cm3以上0.650g/cm3以下である、請求項12又は13に記載の畜肉様加工食品の食感改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜肉等の動物性素材に代えて非動物性素材を使用したにもかかわらず、食感の良好な畜肉様加工食品の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な理由から食品中の動物性素材を避けたり制限したりする、ビーガンやベジタリアン、フレキシタリアンと呼ばれる人々が増えてきている。そのため、植物性タンパク素材やゲル化剤を組み合わせることにより、様々な畜肉様加工食品の開発が行われている。
【0003】
特許文献1には、食感の良好な畜肉様加工食品を得るために、組織状植物性素材、メチルセルロース、シトラスファイバー及び不溶性食物繊維を用いて畜肉様加工食品を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、植物性タンパク質と粉末状セルロースを用いることで、食感の良好な畜肉様食品が得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7099661号公報
【特許文献2】特開2022-76980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、食感改良のために不溶性食物繊維及びシトラスファイバーという2つの素材を併用している。また、特許文献2においては、粉末状セルロースを用いることにより食感改良を行っている。しかし、いずれも肉様の繊維感が付与されるものの、食感がより固くなり、ゲル化剤の食感を際立たせ、肉粒様のほぐれ感が失われてしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、より肉粒様のほぐれ感の優れた、食感の良好な畜肉様加工食品及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1] 植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、単純分散法による水分散時の平均粒子径が15.0μm以下である結晶セルロース複合体を含有する、畜肉様加工食品。
[2] 植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、分画法による水分散時の平均粒子径が10.0μm以下である結晶セルロース複合体を含有する、畜肉様加工食品。
[3] 植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、分画法による水分散時の平均粒子径が1.0μm以下である結晶セルロース複合体を含有する、畜肉様加工食品。
[4] 前記結晶セルロース複合体が、水溶性高分子として天然由来の多糖類を含有する、前記[1]~[3]のいずれかの畜肉様加工食品。
[5] 前記結晶セルロース複合体のゆるみ見掛比重が、0.350g/cm3以上0.650g/cm3以下である、前記[1]~[4]のいずれかの畜肉様加工食品。
[6] 畜肉様加工食品における動物性素材の配合量(質量%)が10質量%以下である、前記[1]~[5]のいずれかの畜肉様加工食品。
[7] 前記植物性タンパク質が大豆タンパク質を含む、前記[1]~[6]のいずれかの畜肉様加工食品。
[8] 前記ゲル化剤がメチルセルロースを含む、前記[1]~[7]のいずれかの畜肉様加工食品。
[9] 植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、単純分散法による水分散時の平均粒子径が15.0μm以下である結晶セルロース複合体を原料として用いて、畜肉様加工食品を製造する、畜肉様加工食品の製造方法。
[10] 植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、分画法による水分散時の平均粒子径が10.0μm以下である結晶セルロース複合体を原料として用いて、畜肉様加工食品を製造する、畜肉様加工食品の製造方法。
[11] 前記結晶セルロース複合体のゆるみ見掛比重が、0.350g/cm3以上0.650g/cm3以下である、前記[9]又は[10]の畜肉様加工食品の製造方法。
[12] 植物性タンパク質が原料として用いられる畜肉様加工食品において、ゲル化剤、及び、単純分散法による水分散時の平均粒子径が15.0μm以下である結晶セルロース複合体を原料として用いることにより、畜肉様加工食品の肉粒様のほぐれ感を改善する、畜肉様加工食品の食感改善方法。
[13] 植物性タンパク質が原料として用いられる畜肉様加工食品において、ゲル化剤、及び、分画法による水分散時の平均粒子径が10.0μm以下である結晶セルロース複合体を原料として用いることにより、畜肉様加工食品の肉粒様のほぐれ感を改善する、畜肉様加工食品の食感改善方法。
[14] 前記結晶セルロース複合体のゆるみ見掛比重が、0.350g/cm3以上0.650g/cm3以下である、前記[12]又は[13]の畜肉様加工食品の食感改善方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ゲル化剤によるゲル状食感が抑えられ、肉粒様のほぐれ感のある、より食感の良好な畜肉様加工食品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
【0010】
<畜肉様加工食品>
本実施形態において、畜肉様加工食品とは、通常は、畜肉や魚介類、卵等の動物性素材を用いて製造される加工食品(以下、「畜肉加工食品」と称することがある。)であるものを、その原料となる動物性素材の一部又は全てを非動物性素材に置き換え、その風味や物性を再現した加工食品である。なお、本願明細書において、「畜肉」には、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギのような家畜の肉以外にも、ニワトリ、アヒル、イノシシ、シカ等の食用に供される鳥獣の肉も含まれる。また、「動物性素材」とは、動物に由来する可食性の素材を意味し、動物の組織自体に加えて、動物の組織のエキス等も含まれる。動物性素材と置き換える非動物性素材としては、大豆タンパク等の植物性タンパク素材、豆腐、おから、野菜ペースト、豆ペースト、ナッツペースト等の植物加工素材が挙げられる。本実施形態の畜肉様加工食品の代表的なものの例示としては、原料である挽肉の一部又は全部が大豆タンパク質に置き換えられたソイミートハンバーグ等が挙げられる。
【0011】
本実施形態の畜肉様加工食品の形態としては、挽肉や小片の動物性素材から製造される畜肉加工食品と同様の形態が挙げられる。このような加工食品としては、具体的には、ハム、ソーセージ、肉団子(ミートボール)、コンビーフ、つくね、ハンバーグ、メンチカツ、コロッケ、ミートローフ、シュウマイ、餃子、ロールキャベツ、肉まん、マーボー、坦坦麺の具、ミートソース、ナゲット、テリーヌ、すり身、つみれ、蒲鉾、ちくわ、はんぺん、揚げ蒲鉾、さつま揚げ等の加工食品が挙げられる。
【0012】
本発明及び本願明細書において、「畜肉様加工食品における成分Aの配合量(質量%)」とは、原料水以外の全ての原料の総重量(原料水以外の原料に由来する水分を含む)に対する、成分Aの使用量の比率(質量比)を意味する。
【0013】
<植物性タンパク質>
本実施形態において、植物性タンパク質とは、野菜、豆類、穀物、藻類等を原料とし、そのタンパク成分を分離したものである。代表的なものの例示としては、大豆タンパク質、小麦タンパク質、エンドウタンパク質、緑豆タンパク質、ヒヨコ豆タンパク質、そら豆タンパク質、インゲン豆タンパク質、ヘンプタンパク質、米タンパク質、トウモロコシタンパク質、オーツ麦タンパク質、アーモンドタンパク質、ココナッツタンパク質、クロレラタンパク質、スピルリナタンパク質等が挙げられる。また、粉末状、顆粒状であってもよく、粒状、塊状、組織状であってもよい。本実施形態の畜肉様加工食品に含有させる植物性タンパク質は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0014】
本実施形態の畜肉様加工食品において、植物性タンパク質は、畜肉加工食品で使用される動物性素材の一部又は全部と置き換えて畜肉様加工食品を製造するための非動物性素材である。本実施形態の畜肉様加工食品においては、原料とする動物性素材と植物性タンパク質の合計量に対する植物性タンパク質の量(質量比)が大きいほど、本発明の食感改良効果がより発揮される。このため、本実施形態の畜肉様加工食品としては、原料とする動物性素材と植物性タンパク質の合計量に対する植物性タンパク質の量比は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、80質量%以上がよりさらに好ましく、100質量%(動物性素材を原料として使用していない畜肉様加工食品)であってもよい。
【0015】
本実施形態の畜肉様加工食品における植物性タンパク質の配合量(質量%)は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましい。本実施形態の畜肉様加工食品における植物性タンパク質の配合量(質量%)の上限は、特に限定されるものではなく、例えば、90質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよい。
【0016】
本実施形態の畜肉様加工食品における動物性素材の配合量(質量%)は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、0質量%(動物性素材を含有していない畜肉様加工食品)であってもよい。
【0017】
<ゲル化剤>
本実施形態において、ゲル化剤とは、液体をゲル化して固める機能を持った物質である。代表的なものとしては、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、カシアガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、グルコマンナン、ゼラチン、寒天、メチルセルロース等が挙げられる。特に、加熱によりゲル化する性質を有するメチルセルロースは、卵白の代替用途として優れている。ゲル化剤を含有しない場合、生地がまとまらず成形性に課題が生じてしまう。本実施形態の畜肉様加工食品に含有させるゲル化剤は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0018】
本実施形態の畜肉様加工食品に含まれるゲル化剤の量は、当該畜肉様加工食品が適切な形態を保持できる量であれば、特に限定されるものではなく、畜肉様加工食品の種類や求められる製品品質、使用するゲル化剤の種類等を考慮して適宜調整される。本実施形態の畜肉様加工食品におけるゲル化剤の配合量(質量%)は、例えば、0.1質量%以上とすることができ、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。本実施形態の畜肉様加工食品におけるゲル化剤の配合量(質量%)は、例えば、5.0質量%以下とすることができ、3.0質量%以下がより好ましく、2.0質量%以下がさらに好ましい。
【0019】
<結晶セルロース>
本実施形態において、結晶セルロースとは、α-セルロースを酸で部分的に解重合し、精製したものである。セルロースの原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。これらのうち、1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0020】
<結晶セルロースの平均重合度>
本実施形態において用いられる結晶セルロースとしては、平均重合度が500以下の結晶セルロースが好ましい。平均重合度は、「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)の結晶セルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定できる。平均重合度が500以下の結晶セルロースであれば、水溶性多糖類との複合化の工程において、セルロース系物質が攪拌、粉砕、摩砕等の物理処理を受けやすくなり、複合化が促進されやすくなるため好ましい。本実施形態において用いられる結晶セルロースの平均重合度は、より好ましくは300以下、さらに好ましくは250以下である。平均重合度が小さいほど複合化の制御が容易になるため、本実施形態において用いられる結晶セルロースの平均重合度の下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては10以上である。
【0021】
<結晶セルロースの加水分解>
平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースや、リグニン等の不純物も、取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。それにより、混練工程等で、セルロースと水溶性多糖類に機械的せん断力を与える工程において、セルロースが機械処理を受けやすくなり、セルロースが微細化されやすくなる。その結果、セルロースの表面積が高くなり、水溶性多糖類との複合化の制御が容易になる。
【0022】
加水分解の方法は、特に制限されないが、酸加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、セルロース系物質を水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌させながら、加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調製されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分間以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。
【0023】
<セルロースの粒子形状(L/D)>
本実施形態において用いられる結晶セルロース複合体中の結晶セルロースは、微細な粒子状の形状であることが好ましい。結晶セルロースの粒子形状は、本発明に係る結晶セルロース複合体を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機社製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED-7」、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を、純水で0.1~0.5質量%に希釈し、マイカ上にキャストし、風乾されたものを、高分解能走査型顕微鏡(SEM)、又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測された際に得られる粒子像の長径(L)と短径(D)とした場合の比(L/D)で表される。本発明において、結晶セルロースのL/Dは、100個~150個の粒子の平均値として算出される。
【0024】
結晶セルロース複合体中の結晶セルロースのL/Dは、懸濁安定性の点で20未満が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましく、5未満が格別に好ましく、4以下が最も好ましい。
【0025】
<結晶セルロース複合体>
本実施形態においては、結晶セルロースは、結晶セルロース複合体として用いる。結晶セルロース複合体とは、主成分である結晶セルロースに水溶性高分子が複合化されたものである。複合化とは、結晶セルロースの表面が、水素結合等の化学結合により、水溶性高分子で被覆された形態を意味する。したがって、結晶セルロース複合体は、結晶セルロース粉末と水溶性高分子とを単に混合した状態ではなく、水溶性高分子が結晶セルロース表面を被覆した状態である。そのため、結晶セルロース複合体を水系媒体中に分散させると、該水溶性高分子が結晶セルロース表面から剥離することなく、水中でコロイド状となる。このコロイド状で存在する結晶セルロース複合体は、それぞれの水素結合や静電反発、立体反発、ファンデルワールス力等の相互作用によって、高次のネットワーク構造を形成することができる。
【0026】
結晶セルロース複合体に使用できる水溶性高分子は、化学構造の一部に糖又は多糖を含むものである。当該水溶性高分子として多糖類を用いる場合には、当該多糖類としては、ジェランガム、サイリウムシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、タマリンドガム、カラヤガム、キトサン、アラビアガム、ガティガム、グルコマンナン、トラガントガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ペクチン、カードラン、プルラン、澱粉、加工澱粉、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が好適な例として挙げられる。この中でも特に、ジェランガム、サイリウムシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、タマリンドガム、カラヤガム、アラビアガム、ガティガム、グルコマンナン、寒天、カラギーナン、ペクチンといった天然由来の多糖類を用いることにより、結晶セルロース複合体の畜肉様加工食品中での分散性に優れたものが得られる。本実施形態の畜肉様加工食品に含有させる結晶セルロース複合体に使用できる水溶性高分子は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0027】
また、結晶セルロース複合体は、さらに分散性を高める目的で、前記水溶性高分子に加えて、又はそれに替えて、その他の親水性物質を含んでいてもよい。当該他の親水性物質としては、例えば、デキストリン、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳糖、マルトース、ショ糖、シクロデキストリン、ソルビトール、マルチトール、ソルビット、エリスリトール、パラチノース、イソマルト、ブドウ糖、果糖等が適している。これらの親水性物質は、1種類であってもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
【0028】
本実施形態の畜肉様加工食品に含有させる結晶セルロース複合体において、結晶セルロースと水溶性多糖類の質量比は、99/1~50/50が好ましい。質量比がこの範囲となることで、結晶セルロース複合体における結晶セルロース表面が、水溶性多糖類で充分に被覆(複合化)されると考えられる。
【0029】
結晶セルロース複合体は、複合化を進める目的で、二価のイオン性物質を配合してもよい。二価のイオン性物質は、水に溶解した際に、カルシウム、マグネシウム等の二価のイオンを生じるものであり、具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が例示される。結晶セルロース複合体全量に対する当該二価のイオン性物質の含有量(質量比)としては、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。二価のイオン性物質の配合量が高すぎると、当該結晶セルロース複合体を含有させた畜肉様加工食品の味に影響するおそれがあるため、結晶セルロース複合体全量に対する当該二価のイオン性物質の配合量の上限としては、10質量%以下が好ましい。
【0030】
<結晶セルロース複合体の製造方法>
本実施形態において用いられる結晶セルロース複合体は、混練工程において結晶セルロースと水溶性高分子に機械的せん断力をあたえ、結晶セルロースを微細化させるとともに、結晶セルロース表面に水溶性高分子を複合化させることによって得られる。また、結晶セルロースと水溶性高分子以外の親水性物質、及び、その他の添加剤などを添加してもよい。上述の処理を経たものは、必要に応じ、乾燥される。本実施形態において用いられる結晶セルロース複合体は、上述の機械的せん断を経て、未乾燥のもの及びその後乾燥されたもの等、いずれの形態でもよい。
【0031】
機械的せん断力を与えるには、混練機等を用いて混練する方法を適用することができる。混練機は、ニーダー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機等を用いることができ、連続式でもバッチ式でもよい。混練時の温度は、特に限定されず、成り行きでもよいが、混練の際の複合化反応、摩擦等により発熱する場合にはこれを除熱しながら混練してもよい。これらの機種を単独で使用することも可能であるが、2種以上の機種を組み合わせて用いることも可能である。これらの機種は、種々の用途における粘性要求等により適宜選択すればよい。
【0032】
<結晶セルロース複合体の平均粒子径>
本実施形態の畜肉様加工食品に含有させる結晶セルロース複合体の平均粒子径の上限は、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径が前記上限値以下であることにより、分散しきれなかった結晶セルロースによるざらざらとした食感が抑えられる。結晶セルロース複合体の平均粒子径は、体積頻度粒度分布における積算50%粒子径を意味し、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA-950」)の乾式ユニットを用いて測定することができる。
【0033】
<結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径>
結晶セルロース複合体は、表面に存在する水溶性高分子によって、分散媒中でコロイド状に分散し、このコロイド状態であることにより、畜肉様加工食品の食感改良機能を発揮する。このため、結晶セルロース複合体の水分散時の粒子径が、結晶セルロース複合体の機能性を得るために重要な指標の1つとなる。
【0034】
(1)単純分散法による水分散時の平均粒子径
結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径は、例えば、3gの結晶セルロース複合体を300mLの純水に添加し、エクセルオートホモジナイザー(日本精機社製、商品名「ED-7」)を用いて15000rpmで5分間の分散を行った後、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA-950」)を用いて測定することができる(単純分散法)。以下、単純分散法により測定された結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径を「結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径(I)」という。
【0035】
本実施形態の畜肉様加工食品に含有させる結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径(I)は、20.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは17.0μm以下であり、さらに好ましくは15.0μm以下であり、よりさらに好ましくは13.0μm以下である。水分散時の平均粒子径(I)が小さいことにより、より顕著な食感改良効果が得られる。本実施形態の畜肉様加工食品に含有させる結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径(I)は、2.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以上であり、さらに好ましくは7.0μm以上である。
【0036】
(2)分画法による水分散時の平均粒子径
結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径をより正確に得る手法として、水分散液を遠心分離して3つに分画し、それぞれの粒度分布を測定した上で、各画分の乾燥重量比に基づいて粒度分布を合成し、全体としての平均粒子径を得る方法(分画法)が挙げられる。例えば、3gの結晶セルロース複合体を300mLの純水に添加し、ホモミクサー(プライミクス社製、商品名「MARKII f-model」)を用いて5000rpmで30分間の分散を行った後、遠心分離機(久保田商事社製、商品名「6930」)を用いて4000×gで10分間の遠心分離を行い、沈殿(画分A)と上澄液A′を得る。上澄液A′に対して更に12100×gで45分間の遠心分離を行い、上澄液(画分B)と沈殿(画分C)を得る。画分A、画分B、及び画分Cのそれぞれの乾燥重量を測定した後、それぞれに水を加えて手で緩やかに分散させて、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA-950」)を用いて粒度分布を測定する。ここで得られた粒度分布に対して、画分A、画分B、及び画分Cそれぞれの乾燥重量比を乗算した上で足し合わせることによって、元々の水分散液の粒度分布を得ることができ、また平均粒子径を算出することができる。以下、分画法により測定された結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径を「結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径(II)」という。
【0037】
本実施形態の畜肉様加工食品に含有させる結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径(II)は、10.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以下であり、よりさらに好ましくは0.5μm以下である。また、本実施形態の畜肉様加工食品に含有させる結晶セルロース複合体の水分散時の平均粒子径(II)は、0.01μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上であり、さらに好ましくは0.1μm以上である。
【0038】
<結晶セルロース複合体のゆるみ見掛比重>
結晶セルロース複合体のゆるみ見掛比重は、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製、商品名「PT-R」)を用いて、ゆるみ見掛比重のモードにて測定を行うことができる。本実施形態の畜肉様加工食品に含有させる結晶セルロース複合体のゆるみ見掛比重は、0.350g/cm3以上であることが好ましく、より好ましくは0.400g/cm3以上であり、さらに好ましくは0.500g/cm3以上である。ゆるみ見掛比重が大きいほうが、結晶セルロース複合体の分散性が良好になり、均一に分散させやすくなる。本実施形態の畜肉様加工食品に含有させる結晶セルロース複合体のゆるみ見掛比重の上限値は、特に限定されるものではなく、例えば、1.000g/cm3以下であることが好ましく、0.800g/cm3以下であることがより好ましく、0.650g/cm3以下であることがさらに好ましい。
【0039】
<結晶セルロース複合体の配合量>
本実施形態の畜肉様加工食品における結晶セルロース複合体の配合量(質量%)は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上であり、さらに好ましくは2.0質量%以上である。上限としては、5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは3.0質量%以下である。当該範囲内であれば、ゲル状食感を抑え、肉粒様のほぐれ感に優れた食感の良好な畜肉様加工食品を得やすく、また作業性の悪化等が生じ難く、好適な結果を奏することができる。
【0040】
<畜肉様加工食品の製造方法>
本実施形態の畜肉様加工食品は、植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、水分散時の粒子径が15.0μm以下である結晶セルロース複合体を原料として用いることにより、製造できる。具体的には、一般的な畜肉加工食品の製造において、原料の動物性素材の一部又は全部を、植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、水分散時の粒子径が15.0μm以下である結晶セルロース複合体に置き換えることにより製造できる。動物性素材と同様に、その他の原料に、植物性タンパク質、ゲル化剤、及び、結晶セルロース複合体をそれぞれ独立して添加して混合してもよく、予め、物性タンパク質、ゲル化剤、及び、結晶セルロース複合体を混練した混練物を、動物性素材と置き換えて原料として用いてもよい。
【0041】
結晶セルロース複合体は、粉末を原料として用いてもよく、予め水に攪拌して分散させた水分散液を調製しておき、この水分散液の状態で原料として用いてもよい。粉末状の結晶セルロース複合体をそのまま原料とする場合には、結晶セルロース複合体の粉末を植物性タンパク質を含む他の原料と共に練り合わせる等、食品製造時に剪断力を加えることによって、食品中に結晶セルロース複合体をコロイド状に分散させることができ、食感改良機能を発揮することができる。一方で、コロイドが予め形成されている水分散液を原料とする場合には、他原料との練り合わせなどの工程における剪断力が弱い場合でも、十分な食感改良機能をより容易にかつ安定して発揮することができる。
【実施例0042】
本発明を、下記の実施例により説明する。ただし、これらは、本発明の範囲を制限するものではない。
【0043】
[物性1]
(固さ)
固さは、テクスチャーアナライザー(栄弘精機製、商品名「TA.XT plus」)を用いて、サンプルを90℃の湯煎で解凍後、下記の条件で測定を行い、応力のピークの値を測定した。
【0044】
(測定条件)
Mode: Measure Force Compression
Option: Return to Start
Pre-Test Speed: 1.5mm/s
Test Speed: 1.5mm/s
Post-Test Speed: 10mm/s
Distance: 8mm
Triger Type: Auto-10g
Tare Mode: Auto
Data Acquisition Rate: 200pps
Probe: 10mm Cylinder Probe
【0045】
[評価1]
(ドリップ)
焼成し、冷解凍処理を行った後、ドリップの発生量を目視で評価した。
【0046】
(評価基準)
○:ドリップは見られず、良好な状態である。
△:少量のドリップが発生している。
×:多量のドリップが発生しており、不適である。
【0047】
[評価2]
(食感)
焼成し、冷解凍処理を行った後、7名のテスターで試食を行い、その食感について官能評価を実施した。なお、「肉粒様のほぐれ感」とは、「咀嚼時に挽肉のような適度なサイズの肉粒にほぐれていく食感」を意味し、「繊維感」とは、「咀嚼時に繊維状の不均一性が存在することにより生じる肉様の食感」を意味する。
【0048】
(肉粒様のほぐれ感の評価基準)
○:肉粒感が感じられ、ほぐれやすく良好な食感である。
△:ゲル状感はあるが、ややほぐれやすさを感じる食感である。
×:ゲル状感が強く、畜肉様の食感が感じられない。
【0049】
(繊維感の評価基準)
○:畜肉様の繊維感が感じられる。
△:畜肉様の繊維感がわずかに感じられる。
×:畜肉様の繊維感が感じられない。
【0050】
[実施例1]
メチルセルロースを1.32g、キャノーラ油を6.93g、カラメル色素を0.264gをフードカッターで攪拌し、更に攪拌しながら冷水を24.486g加えて、メチルセルロースの乳化物33.0gを得た。また、粒状大豆タンパク19.0gに水を35.0g加えて、1時間水戻しを行った。メチルセルロースの乳化物を33.0gに、濃口醤油を1.5g、イーストエキスを0.5g、油脂加工澱粉を0.5g、上白糖を1.2g、野菜ブイヨンパウダーを1.0g、ガーリックパウダーを0.1g、ナツメグパウダーを0.1g、プラックペッパーパウダーを0.1g、植物性バター風味調味料を5.0g、水戻しした粒状大豆タンパクを54.0g、水溶性高分子としてキサンタンガムと加工澱粉を含有する結晶セルロース複合体Aを3.0g、順に縦型ミキサーで混合し、プラントベースハンバーグ生地を作成した。その後、当該生地を1つあたり45g(φ5cm、厚さ2cm)に成型し、200℃の鉄板で両面を90秒間ずつ焼成した後、コンベクションオーブンで150℃で10分間蒸しあげ、粗熱を取った上で冷凍し、プラントベースハンバーグを作成した。冷凍したプラントベースハンバーグは、90℃で30分間湯煎することで解凍し、評価に用いた。
【0051】
[実施例2]
結晶セルロース複合体を、水溶性高分子としてカラヤガムを含有する結晶セルロース複合体Bとした以外は実施例1と同様の手法にてプラントベースハンバーグを作成した。
【0052】
[実施例3]
結晶セルロース複合体を、水溶性高分子としてキサンタンガムを含有する結晶セルロース複合体Cとした以外は実施例1と同様の手法にてプラントベースハンバーグを作成した。
【0053】
[比較例1]
結晶セルロース複合体を使用せず、粒状大豆タンパクの水戻し時の水を38.0gとした以外は実施例1と同様の手法にてプラントベースハンバーグを作成した。
【0054】
[比較例2]
結晶セルロース複合体を、複合体ではない結晶セルロースDとした以外は実施例1と同様の手法にてプラントベースハンバーグを作成した。
【0055】
[比較例3]
結晶セルロース複合体を、複合体ではない結晶セルロースEとした以外は実施例1と同様の手法にてプラントベースハンバーグを作成した。
【0056】
[比較例4]
結晶セルロース複合体を、複合体ではない結晶セルロースFとした以外は実施例1と同様の手法にてプラントベースハンバーグを作成した。
【0057】
[比較例5]
結晶セルロース複合体を、粉末セルロースGとした以外は実施例1と同様の手法にてプラントベースハンバーグを作成した。
【0058】
[比較例6]
結晶セルロース複合体を、竹食物繊維Hとした以外は実施例1と同様の手法にてプラントベースハンバーグを作成した。
【0059】
使用した結晶セルロース複合体、結晶セルロース、及び竹食物繊維の平均粒子径(μm)、水分散時の平均粒子径(I)(μm)、水分散時の平均粒子径(II)(μm)、及びゆるみ見掛比重(g/cm3)を測定した結果を表1に示す。また、製造した各ハンバーグの固さ(g)、ドリップの状態、及び食感(肉粒様のほぐれ感、繊維感)を評価し、評価結果を表2に示す。
【0060】
【0061】
【0062】
結晶セルロース複合体A~Cを用いた実施例1~3のハンバーグでは、固さ(応力のピークの値)が400g以下であり、柔らかく、食感もハンバーグらしい肉粒様のほぐれ感に優れた非常に良好なものであった。これに対して、結晶セルロースD~Gを使用した比較例2~5のハンバーグ、及び竹食物繊維を使用した比較例6のハンバーグは、いずれも固さが900g以上と固く、繊維感が強く肉らしいしっかりした食感はあるものの、ゲル状感も強く、咀嚼するとブチっと真っ二つに割れてしまい、ハンバーグとしては違和感のある食感であった。一方で、結晶セルロース複合体も結晶セルロースも使用していない比較例1のハンバーグは、固さが1000g以上と固いが、肉様の繊維感もなく、多量のドリップも発生していた。