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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142893
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ガイド機構
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/10 20170101AFI20241003BHJP
【FI】
B31B70/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055280
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】西松 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 崇
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA10
3E075AA22
3E075AA23
3E075BA42
3E075CA02
3E075DA14
3E075DB14
3E075DC01
3E075DD11
3E075GA01
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、折込部分を設けたフィルム材の蛇行を防止するとともに、折込部分の立ち上がりを防止することが可能なガイド機構を提供すること。
【解決手段】製袋装置100においてフィルム材をガイドするガイド機構106であって、フィルム材の折込部分でガイドするガイド部材110を有し、ガイド部材110は、フィルム材の折込部分の立ち上がりを上方から制限するアッパーガイド部113と、フィルム材の折込部分に挿入され折り目に接触して幅方向の移動を規制する走行ガイド部114とを有すること。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ねた状態の長尺のフィルム材をシールした後に切断する製袋装置においてフィルム材をガイドするガイド機構であって、
前記ガイド機構は、フィルム材の折込部分でガイドするガイド部材を有し、
前記ガイド部材は、フィルム材の折込部分と接触し幅方向の移動を規制する走行ガイド部を有することを特徴とするガイド機構。
【請求項2】
前記ガイド部材は、ガイド部材本体と、前記ガイド部材本体の下端から側方に延びる板状のアンダーガイド部と、前記アンダーガイド部の上方に位置し前記アンダーガイド部と平行に延びる板状のアッパーガイド部とを有することを特徴とする請求項1に記載のガイド機構。
【請求項3】
前記ガイド部材は、ガイド部材本体と、前記ガイド部材本体から側方に延びる板状のアッパーガイド部と、前記アッパーガイド部の先端に接続されて前記ガイド部材本体側に延びる板状のアンダーガイド部とを有することを特徴とする請求項1に記載のガイド機構。
【請求項4】
前記ガイド機構は、フィルム材の複数の折込部分に対応した複数の前記ガイド部材を有することを特徴とする請求項1に記載のガイド機構。
【請求項5】
前記ガイド機構は、複数の前記ガイド部材を支持するガイド支持部材を有し、
複数の前記ガイド部材は、前記ガイド支持部材への支持位置を個別に調整可能に構成され、
前記ガイド支持部材は、フィルム材の幅方向に位置調整可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載のガイド機構。
【請求項6】
前記複数のガイド部材は、幅方向の異なる方向に折り込まれた折込部分のそれぞれに接触するガイド部材を含むことを特徴とする請求項5に記載のガイド機構。
【請求項7】
重ねた状態の長尺のフィルム材をシールして切断し、個別の袋体を製造するパウチ製造装置であって、
長尺のフィルム材の走行経路に請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のガイド機構を備えたことを特徴とするパウチ製造装置。
【請求項8】
シールされたフィルム材からなるパウチであって、
請求項7に記載のガイド機構を備えたパウチ製造装置により製造されたパウチ。
【請求項9】
原反ロールから繰り出されたフィルム材に折込部分を付与して重ね合わせ、
重ねた状態の前記フィルム材をシールした後、分離切断して個別のパウチを製造する製造方法であって、
重ねた状態の前記フィルム材の走行時に前記折込部分を幅方向からガイド機構によってガイドすることを特徴とするパウチ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ねた状態の長尺のフィルム材をシールした後に切断する製袋装置においてフィルム材をガイドするガイド機構、それを備えたパウチ製造装置及びパウチ及びパウチ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パウチ等の製袋装置において、重ねた状態の長尺のフィルム材をシールして切断し、個別の袋体を製造するものは周知である。
長尺のフィルム材に対し正確な位置でシール、加工、検査、切断等を行うには、長尺のフィルム材を蛇行しないよう円滑に送る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4760159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シール、加工、切断等を行うに当たって複数の送りローラ、押さえローラ等を用いることから蛇行が発生し、正確な位置でシール、加工、検査、切断等を行うことができない可能性があった。
特に、特許文献1に示すように、長尺のフィルム材に折込部分を設ける場合、フィルム材の幅方向で異なる張力となり蛇行が発生しやすいという問題があった。
幅方向の両端部にガイドを設けることも考えられるが、幅方向の力によってフィルム材が容易に撓んで変形することから、両端部をガイドして蛇行を規制するのは困難であった。
また、折込部分が上方に立ち上がる可能性もあり、立ち上がった折込部分が装置の各部と干渉して正確なシール、加工、検査、切断等を行う上で支障となる可能性があった。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決するものであり、簡単な構成で、折込部分を設けたフィルム材の蛇行を防止するとともに、折込部分の立ち上がりを防止することが可能なガイド機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガイド機構は、重ねた状態の長尺のフィルム材をシールした後に切断する製袋装置においてフィルム材をガイドするガイド機構であって、前記ガイド機構は、フィルム材の折込部分でガイドするガイド部材を有し、前記ガイド部材は、フィルム材の折込部分と接触して幅方向の移動を規制する走行ガイド部とを有することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
本請求項1に係るガイド機構によれば、走行ガイド部によって折込部分と接触してガイドすることで、幅方向の両端部以外の位置でフィルム材を変形させることなく幅方向の力を大きく受けることができ、フィルム材の蛇行を確実に防止することができる。
本請求項2に記載の構成によれば、アッパーガイド部によってフィルム材の折込部分の立ち上がりを防止できるとともに、折込部分の立ち上がりを防止することで幅方向に大きな力がかかっても走行ガイド部が確実に折り目に沿ってフィルム材をガイドすることが可能となる。
【0008】
また、アッパーガイド部とアンダーガイド部との接続部分を折込部分の先端と接触して幅方向にガイドする走行ガイド部とすることができるとともに、アッパーガイド部とアンダーガイド部で折込部分を挟み込んで座屈を防止することでより確実に折込部分を幅方向にガイドすることが可能となる。
本請求項3に記載の構成によれば、アッパーガイド部とアンダーガイド部を一体に小さく構成することが可能となるとともに、ガイド部材本体を折込部分の直上に配置できるため、折込部分が近接して設けられていても隣接するガイド部材が干渉することなく配置できる。
本請求項4に記載の構成によれば、幅方向に複数の折込部分を有するフィルム材の走行をガイドすることが可能となる。
本請求項5に記載の構成によれば、複数のガイド部材の位置を個々に調整できるとともに、ガイド支持部材によって複数のガイド部材をまとめて一体に位置調整することが可能となる。
本請求項6に記載の構成によれば、幅方向の異なる方向に折り込まれた折込部分のそれぞれに接触するガイド部材を含むことにより、幅方向の両方向からフィルム材をガイドすることが可能となり、より確実に蛇行を抑制することができる。
本請求項7乃至9に係る発明によれば、確実にフィルム材の蛇行を抑制することで寸法精度に優れたパウチを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るガイド機構を有する製袋装置の説明斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係るガイド機構の全体の斜視図。
図3】本発明の一実施形態に係るガイド機構の全体の正面図。
図4】本発明の一実施形態に係るガイド機構の概略説明図。
図5】他の実施形態に係るガイド機構の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るガイド機構は、重ねた状態の長尺のフィルム材をシールした後に切断する製袋装置においてフィルム材をガイドするガイド機構であって、前記ガイド機構は、フィルム材の折込部分(切断後の袋体のガゼット部分)でガイドするガイド部材を有し、前記ガイド部材は、フィルム材の折込部分と接触し幅方向の移動を規制する走行ガイド部とを有するものである。
【0011】
本発明の一実施形態に係るガイド機構を有する製袋装置100は、例えば図1に示すように、原反ロール101からフィルム材が繰り出し機構102において繰り出され、重合・折込機構103により折込部分を付与(折込機構の詳細は省略)して重ね合わされ、重ねた状態のフィルム材がシール機構104でシールされ後処理・検査機構105を経て、下流に排出され個別の袋体(パウチP)に切断分離されて製品として排出されるように構成されている。
【0012】
本発明の一実施形態に係るガイド機構106は、例えば図1に示すシール機構104の中間部分、シール機構104の最下流、後処理・検査機構105の中間部分等に配置されている。
ガイド機構106のガイド部材110は、図2-4示すように、ガイド部材本体111と、ガイド部材本体111の下端から側方に延びる板状のアンダーガイド部112と、アンダーガイド部112の上方からアンダーガイド部112と平行に延びる板状のアッパーガイド部113とを有している。
本実施形態では、ガイド部本体111のアッパーガイド部113とアンダーガイド部112との間の端面が走行ガイド部114を構成し、フィルム材Fの折込部分Gの先端と接触して折込部分Gに対して搬送方向と直交する幅方向に力を作用させることで、フィルム材Fの蛇行を抑制している。
【0013】
本実施形態では、アンダーガイド部112、アッパーガイド部113の端縁部は、フィルム材F、折込部分Gとの接触で損傷を与えないよう滑らかな面となるような形状に構成されている。
ガイド部材本体111、アンダーガイド部112及びアッパーガイド部113は、機能的に存在すればよく、具体的な構成として別体であっても、一部一体であっても、全部が一体であってもよい。
また、アンダーガイド部112の端縁部が折込部分Gの折り目と接触して幅方向にガイドする走行ガイド部として機能してもよい。
さらに、アンダーガイド部及びアッパーガイド部の一方あるいは両方を設けず、ガイド本体の端面のみが走行ガイド部としてフィルム材Fの折込部分Gの先端と接触して幅方向にガイドしてもよい。
【0014】
ガイド支持部材120は、位置調整ユニット121によって全体がフィルム材Fの幅方向に位置調整可能に構成されている。
図4に示すように、複数の折込部分Gの少なくとも1つが異なる方向に折り込まれていれば、異なる方向のものを含む複数の折込部分Gをガイド部材110でガイドし、ガイド部材110それぞれの位置、ガイド支持部材120の位置を固定することで、フィルム材Fの蛇行が抑制されるため、好ましい。
前記異なる方向は、逆方向であることがより好ましい。
この際、フィルム幅方向の一定領域の端部に、それぞれの端部側に向けて逆方向に折り込まれた折込部分をガイドするガイド部材が設けられていてもよく、フィルム幅方向のある箇所を中心として、その箇所に向けて逆方向に折り込まれた折込部分をガイドするガイド部材が設けられていてもよい。
また、フィルム材Fの幅方向の僅かなずれを検出し、位置調整ユニット121によってガイド支持部材120を反対方向に僅かに移動させることで、製袋装置の稼働中に動的に蛇行を抑制するようにしてもよい。
【0015】
本発明の他の実施形態のガイド部材210は、図5に示すように、ガイド部材本体211と、ガイド部材本体211から側方に延びる板状のアッパーガイド部213と、アッパーガイド部213の先端に接続されてガイド部材本体211側に延びる板状のアンダーガイド部212とを有している。
アッパーガイド部213とアンダーガイド部212との間の接続部分が、フィルム材の折込部分の先端と接触して幅方向にガイドする走行ガイド部214を構成している。
なお、本実施形態において、ガイド部材本体211の底面はアッパーガイド部213の下面と連続して折込部分Gの立ち上がりを防止するようにすることで、アッパーガイド部213を短くしてもよい。
また、アンダーガイド部212の端縁部が折込部分Gの折り目と接触して幅方向にガイドする走行ガイド部として機能してもよい。
さらに、アンダーガイド部を省略し、アッパーガイド部213の先端側をフィルム材Fの折込部分Gの先端と接触して幅方向にガイドする形状として走行ガイド部としてもよい。
【符号の説明】
【0016】
100 ・・・ 製袋装置
101 ・・・ 原反ロール
102 ・・・ 繰り出し機構
103 ・・・ 重合・折込機構
104 ・・・ シール機構
105 ・・・ 後処理・検査機構
106 ・・・ ガイド機構
110、210 ・・・ ガイド部材
111、211 ・・・ ガイド部材本体
112、212 ・・・ アンダーガイド部
113、213 ・・・ アッパーガイド部
114、214 ・・・ 走行ガイド部
120 ・・・ ガイド支持部材
121 ・・・ 位置調整ユニット
F ・・・ フィルム材
G ・・・ 折込部分(ガゼット)
図1
図2
図3
図4
図5