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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142897
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】食器洗い機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A47L15/42 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055285
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板橋 達也
(72)【発明者】
【氏名】冨山 佳祐
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BD02
3B082BD04
(57)【要約】
【課題】本開示は、ホースを用いることなく、排水トラップの封水深さを一意に規定することができる食器洗い機を提供する。
【解決手段】食器洗い機1は、内部に洗浄槽12を備えた筐体と、洗浄槽12に給水する給水経路30および洗浄槽12から排水される排水経路40を備えたエアブレイク装置20と、を備え、筐体の外側には、排水経路40と、設置箇所に設けられた排水立ち上げ管61との間に位置する剛体で形成された排水トラップ50が設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に洗浄槽を備えた筐体と、
前記洗浄槽に給水する給水経路および前記洗浄槽から排水される排水経路を備えたエアブレイク装置と、を備え、
前記筐体の外側には、前記排水経路と、設置箇所に設けられた排水立ち上げ管との間に位置する剛体で形成された排水トラップが設けられている、
ことを特徴とする食器洗い機。
【請求項2】
前記排水トラップは、前記エアブレイク装置の内部に一体に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の食器洗い機。
【請求項3】
前記排水経路の上流側の端部には、内部排水ホースが接続される排水接続部が設けられ、
前記排水経路の下流側の端部には、前記排水トラップが設けられ、
前記排水トラップは、前記排水接続部よりも上方に位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載の食器洗い機。
【請求項4】
前記排水トラップは、前記エアブレイク装置と、別体に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の食器洗い機。
【請求項5】
前記排水経路の上流側の端部には、内部排水ホースが接続される排水接続部が設けられ、
前記排水経路の下流側の端部には、前記排水トラップが設けられ、
前記排水トラップは、前記排水接続部よりも下方に位置する、
ことを特徴とする請求項4に記載の食器洗い機。
【請求項6】
前記排水トラップは、外部排水ホースが接続される排水口を備え、前記排水口は、前記筐体の後方角部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の食器洗い機。
【請求項7】
前記排水口は、前記排水立ち上げ管の上端部より高い位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の食器洗い機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食器洗い機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、前面に前方開口部を有する筐体と、筐体内に設けられ被洗浄物が収容される洗浄槽と、柔軟な給水ホースを含み、洗浄槽内に洗浄水を供給する給水部と、給水部に含まれ排水の逆流を防止するエアブレイク装置と、洗い工程およびすすぎ工程を含む洗浄運転を実行する制御部と、を備え、洗浄槽は、上面が開口され筐体内から引き出し可能に設けられ、エアブレイク装置は、洗浄槽の外側に設置される食器洗い機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-205689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ホースを用いることなく、排水トラップの封水深さを一意に規定することができる食器洗い機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における食器洗い機は、内部に洗浄槽を備えた筐体と、前記洗浄槽に給水する給水経路および前記洗浄槽から排水される排水経路を備えたエアブレイク装置と、を備え、前記筐体の外側には、前記排水経路と、設置箇所に設けられた排水立ち上げ管との間に位置する剛体で形成された排水トラップが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、排水トラップの封水深さを規定することができる。そのため、ホースの引き回しにより排水トラップを形成する必要がなく、食器洗い機の施工時に作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における食器洗い機を示す扉体を開いた状態の全体斜視図
図2】実施の形態1における食器洗い機を示す側面斜視図
図3】実施の形態1における食器洗い機を示す側面図
図4】実施の形態1における食器洗い機のエアブレイク装置部分の拡大図
図5】実施の形態1における排水トラップの排水完了状態を示す説明図
図6】実施の形態1における排水トラップの排水開始状態を示す説明図
図7】実施の形態1における排水トラップの排水完了間際の状態を示す説明図
図8】排水トラップをエアブレイク装置と別体に設ける場合の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、エアブレイク装置(空気遮断部)を洗浄槽の外側に設置するようにした食器洗い機がある。
このような食器洗い機においては、エアブレイク装置の排水経路中に大気開放部を設けるため、排水経路は逆U字形状を有し、かつ、洗浄槽からの排水ホース接続部と機外への排水ホース接続部はともにエアブレイク装置下部に配設されており、機外への排水ホースは製品下部背面から引き出す構成が一般的である。
そのため、キッチン側の排水管に製品の排水ホースを接続するには一旦立ち上げる必要がある。
排水トラップは、大気開放部より下流側に配設する必要があるため、立ち上げたホースで排水トラップを形成することになる。ホースによる排水トラップでは、ホースがたわんで形状が安定しないことから、封水深さを構造的に一意に定めることができず、排水性能に影響を及ぼす可能性があるという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
本開示は、ホースを用いることなく、排水トラップの封水深さを一意に規定することができる食器洗い機を提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1-1.食器洗い機の構成]
図1は、実施の形態1における食器洗い機を示す扉体を開いた状態の全体斜視図である。図2は、食器洗い機の側面斜視図である。図3は、食器洗い機の側面図である。図4は、エアブレイク装置部分の拡大図である。
【0011】
図1から図3に示すように、本実施の形態の食器洗い機1は、箱型を有し前面が開放された筐体10を備えている。筐体10は、システムキッチンの内部に収容されている。
筐体10の前面には、扉体11が下端部を中心として開閉自在に取付けられている。扉体11の前面側には、システムキッチンの化粧板(図示せず)が装着される。
本実施の形態の食器洗い機1は、システムキッチンにビルトインされたいわゆるフロントオープン式の食器洗い機1とされている。
【0012】
筐体10の内部は、洗浄槽12とされている。洗浄槽12の内部には、洗浄カゴ13が設置されており、洗浄カゴ13には、被洗浄物14が載置可能に構成されている。
洗浄カゴ13の下方には、図示しない噴射ノズルが略水平面において回転自在に配置されている。
そして、後述する給水ホースから送られる水道水を洗浄ポンプ(図示せず)で噴射ノズルに供給することで、給水された洗浄水を洗浄槽12の内部に噴射するように構成されている。
【0013】
[1-1-2.エアブレイク装置の構成]
図2から図4に示すように、食器洗い機1の左側側面の後方には、エアブレイク装置20が設けられている。
エアブレイク装置20は、給水経路30と排水経路40とを具備しており、エアブレイク装置20内の給水経路30中に大気開放部43を設けることで、何らかの原因で給水道管の圧力が負圧になった際、洗浄水の逆流を防止することができる。
また、エアブレイク装置20内の排水経路40中にも大気開放部43を設けることで、何らかの原因で排水管の圧力が負圧になった際、サイホン効果により意図せず排水されてしまう等の誤排水を防止することができる。
エアブレイク装置20は、例えば、樹脂などの剛性材料からなる本体21を有している。本体21の内部には、給水経路30および排水経路40が形成されている。
給水経路30は、本体21の下端部から上方に延在するように形成されており、給水経路30の上端部は洗浄槽12に連通している。
【0014】
給水経路30の中央には、円形の庫内連通孔33が設けられている。庫内連通孔33は、洗浄槽12内と大気とを接続しており、排気や給水を行う。本実施の形態では、庫内連通孔33を通じて洗浄槽12へ洗浄水を供給する。
給水経路30の下端部には、給水接続部31が設けられている。給水接続部31には、給水ホース32が接続されている。
そして、給水ホース32から水道水を供給し、水道水は、給水接続部31、給水経路30をそれぞれ介して移動し、最終的には、洗浄槽12に連通している庫内連通孔33を通じて洗浄槽12に給水を行う。このとき、庫内連通孔33の右上から上方に伸びる経路の先の位置である、給水経路30の上端部に大気開放部43を設けているので、何らかの原因で給水道管の圧力が負圧になった際、洗浄水の逆流を防止することができる。
【0015】
排水経路40は、本体21の下端部から上方に延在し、本体21の上端部で下方に曲成して形成されている。
排水経路40の下端部には、排水接続部41が設けられている。
図4に、排水経路40の流れを破線で示している。排水接続部41は、排水経路40の上流側の端部に相当する。
排水接続部41には、洗浄槽12に接続された内部排水ホース42の他端部が接続されている。内部排水ホース42には、排水ポンプ(図示せず)を駆動することで、洗浄槽12の洗浄後の排水が送給されるように構成されている。
排水経路40の上端部には、本体21の外部に連通する大気開放部43が形成されている。
【0016】
排水経路40の先端部には、排水トラップ50が連続して接続されている。
なお、このとき排水経路40と排水トラップ50との接続箇所は、排水経路40の下流側の端部に相当する。
排水トラップ50は、略U字状に形成されている。排水トラップ50の上端部には、わずかに下方に向かって傾斜した排水部51が形成されている。
排水トラップ50は、排水接続部41より上方に位置していてる。
排水部51の先端部には、下方に指向された排水口52が設けられている。排水口52には、外部排水ホース60が接続されている。外部排水ホース60は、食器洗い機1の設置場所に設けられた排水立ち上げ管61に挿入されている。
【0017】
本実施の形態においては、排水トラップ50は、本体21の内部に設けられており、ホースではなく、剛体である本体21により構成されている。
そして、内部排水ホース42には、排水ポンプ(図示せず)を駆動して洗浄槽12の洗浄後の排水が送給されると、排水は、排水接続部41、排水流路40をそれぞれ介して排水トラップ50に流れ込む。排水トラップ50に流れ込んだ排水は、排水部51、排水口52を通過した後、外部排水ホース60に流れて機外に排水される。このとき、排水流路40の上端部に本体21の外部に連通する大気開放部43を設けているので、何らかの原因で排水管の圧力が負圧になった際、サイホン効果により意図せず排水されてしまう等の誤排水を防止することができる。
【0018】
ここで、建築基準法には、排水トラップ50の構造について、「排水管内の臭気、衛生害虫等の食器洗い機1への侵入を有効に防止することができる構造とすること。」と規定されており、「ビニールホースや蛇腹管を用いて形成してはならない。」とも規定されている。
本実施の形態においては、排水トラップ50を剛体である本体21の内部に一体に設けているので、ビニールホースや蛇腹管を用いることなく、排水トラップ50を構成することができる。
【0019】
また、本実施の形態においては、図4に矢印Aで示すように、排水トラップ50の封水深さは、50mm~100mmとなるように構成されている。
建築基準法には、「排水トラップ50の深さ(排水管内の臭気、衛生害虫等の食器洗い機1への侵入を防止するための有効な深さをいう。)は、5cm以上10cm以下(阻集器を兼ねる排水トラップ50にあっては、5cm以上)とすること。」と規定されている。本実施の形態においては、封水深さについても建築基準法を満たすことができる。
【0020】
また、排水トラップ50の排水口52は、食器洗い機1の筐体の左側面後方角部に配置されており、外部排水ホース60は、筐体の後方角部から後方に引き出されるように構成されている。
本実施の形態においては、食器洗い機1は、フロントオープン式の食器洗い機1とされているため、洗浄槽12の容積を確保するためには、システムキッチンの後方限界まで後面を位置させる必要がある。
そのため、食器洗い機1の一側面の後方にエアブレイク装置20を配置し、排水トラップ50の排水口52を筐体の後方角部に配置することにより、洗浄槽12の外形に影響を与えにくく、洗浄槽12の容量を確保することが可能となる。
【0021】
[1-2.作用]
次に、上記構成を備える食器洗い機1の動作について説明する。
まず、使用者は、扉体11を開いて、洗浄カゴ13に、食器などの被洗浄物14を洗浄カゴ13にセットし、扉体11を閉じる。
そして、使用者が所定の操作部を操作することで、所定の運転コースを選択するとともに、洗浄開始を選択して洗浄運転が開始される。
これにより、食器洗い機1は、所定の運転コースに基づいて、洗浄運転を行う。
【0022】
洗浄運転は、洗浄ポンプを駆動することにより、給水ホース32から、給水経路30を介して洗浄槽12に給水を行い、洗浄ノズルから給水された洗浄水を噴射させる。これにより、被洗浄物14の洗浄が行われる。
【0023】
洗浄後の洗浄水は、排水ポンプを駆動することで、内部排水ホース42に送給される。
内部排水ホース42に送給された排水は、エアブレイク装置20の排水接続部41を介して排水経路40に流入する。
図5は、排水トラップ50の排水完了状態を示す説明図である。図6は、排水トラップ50の排水開始状態を示す説明図である。図7は、排水トラップ50の排水完了間際の状態を示す説明図である。なお、排水は、図中斜線で示している。
【0024】
排水経路40に流入した排水は、排水ポンプにより、図5に示す状態から図6に示すように、排水経路40の下流側および排水トラップ50に送られ、排水で満たされる。この排水は、排水口52から外部排水ホース60を介して排水立ち上げ管61から外部に排出される。
その後、排水を続け、洗浄槽の排水がなくなると、排水の最後は空気層となり、図7に示すように、排水経路40および排水トラップ50に空気が入り込む。この空気層により排水ポンプが空転するため、排水トラップ50付近の排水はさらに押し出されることがなく、排水ポンプの運転が停止する。これにより、図5に示すように、排水トラップ50付近で残った排水が排水トラップ50の低位置に溜まり、U字状部分の両側を埋めるように、U字型の排水トラップ50が形成される。
【0025】
[1-3.効果等]
以上述べたように、本実施の形態の食器洗い機1は、内部に洗浄槽12を備えた筐体と、洗浄槽12に給水する給水経路30および洗浄槽12から排水される排水経路40を備えたエアブレイク装置20と、を備え、筐体の外側には、排水経路40と、設置箇所に設けられた排水立ち上げ管61との間に位置する剛体で形成された排水トラップ50が設けられている。
これにより、排水トラップ50の封水深さを規定することができる。そのため、ホースの引き回しにより排水トラップ50を形成する必要がなく、食器洗い機1の施工時に作業者の負担を軽減することができる。
【0026】
また、本実施の形態においては、排水トラップ50は、エアブレイク装置20の内部に一体に設けられている。
これにより、エアブレイク装置20を設置するだけで、別途排水トラップ50を設置する必要がなく、食器洗い機1の施工時に作業者の負担を軽減することができる。
また、排水トラップ50とエアブレイク装置20を一体とすることで、排水トラップ50とエアブレイク装置20の大気開放を兼ねて1つの大気開放部43とすることができる。
さらに、排水トラップ50と大気開放部43とはどちらもエアブレイク装置20の中央付近に配置される庫内連通孔33より上方に位置しており、排水トラップ50と大気開放部43との距離が近いため、排水トラップ50内の水位をより安定させることができる。
【0027】
また、本実施の形態においては、排水経路40の上流側の端部には、内部排水ホース42が接続される排水接続部41が設けられ、排水経路40の下流側の端部には、排水トラップ50が設けられ、排水トラップ50は、排水接続部41よりも上方に位置する。
これにより、エアブレイク装置を設置するだけで、別途排水トラップを設置する必要がなく、食器洗い機の施工時に作業者の負担を軽減することができる。また、排水トラップを排水接続部より上方に位置させることで、食器洗い機の外側面から排水することができる。
【0028】
また、本実施の形態においては、排水トラップ50は、外部排水ホース60が接続される排水口52を備え、排水口52は、筐体の後方角部に設けられている。
これにより、排水トラップ50の排水口52を筐体の後方角部に配置することにより、洗浄槽12の外形に影響を与えにくく、洗浄槽12の容量を確保することができる。
【0029】
また、本実施の形態においては、排水口52は、排水立ち上げ管61の上端部より高い位置に設けられている。
これにより、排水トラップ50の排水口52に接続された外部排水ホース60を排水立ち上げ管61に接続する際に、外部排水ホース60を上方に引き回す必要がなく、外部排水ホース60による二重トラップを抑制することができる。
【0030】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する例示として、上記実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0031】
例えば、排水トラップ50は、エアブレイク装置20と、別体に設けるようにしてもよい。
排水トラップ50をエアブレイク装置20と別体に設ける場合、例えば、排水トラップ50を樹脂などの剛体により形成し、排水トラップ50とエアブレイク装置20とをパッキンあるいはホースにより接続するようにすればよい。
【0032】
このとき、排水トラップ50とエアブレイク装置20とを接続するホースがたわんで、ホースにより排水トラップ50が形成されないようにすることが必要である。
【0033】
図8は、排水トラップ50をエアブレイク装置20と別体に設ける場合の一例を示す概略図である。
図8に示すように、排水経路40は、本体21の下端部から上方に延在し、本体21の上端部で下方に曲成して、本体21の上端部から下方に延在して形成されている。
排水経路40の下流側の端部は、パッキンあるいはホースを介して、排水接続部41より下方の位置において排水トラップ50と接続される。ここで、一例として図8では、エアブレイク装置20と排水トラップ50とが、パッキンを介して接続されている。
この例においても、排水トラップ50は、略U字状に形成され、排水トラップ50の封水深さは、50mm~100mmとなるように構成されている。
【0034】
排水トラップ50の端部のうち、エアブレイク20と接続されている端部と反対側の端部には、排水口52が設けられている。排水口52は、外部排水ホース60と接続される。外部排水ホース60は、食器洗い機1の設置場所に設けられた排水立ち上げ管61に挿入されている。
【0035】
本実施の形態においては、排水口52は、排水立ち上げ管61の上端部より高い位置に設けられている。
これにより、排水トラップ50の排水口52に接続された外部排水ホース60を排水立ち上げ管61に接続する際に、外部排水ホース60を上方に引き回す必要がなく、外部排水ホース60がたわんで、二重トラップが形成されることを抑制することができる。
【0036】
また、排水トラップ50の排水口52は、食器洗い機1の筐体の左側面後方角の底部に配置されており、外部排水ホース60は、筐体の後方角部から後方に引き出されるように構成されている。
この構成により、食器洗い機1の一側面の後方にエアブレイク装置20を配置し、排水トラップ50の排水口52を筐体の後方角の底部に配置することにより、洗浄槽12の外形に影響を与えにくく、洗浄槽12の容量を確保することが可能となる。
【0037】
このように排水トラップ50をエアブレイク装置20と別体に設けた場合でも、排水トラップ50の封水深さを規定することができる。そのため、ホースの引き回しにより排水トラップ50を形成する必要がなく、食器洗い機1の施工時に作業者の負担を軽減することができる。また、排水トラップを排水接続部より下方に位置させることで、食器洗い機の筐体下部から排水することができる。
【0038】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)内部に洗浄槽を備えた筐体と、前記洗浄槽に給水する給水経路および前記洗浄槽から排水される排水経路を備えたエアブレイク装置と、を備え、前記筐体の外側には、前記排水経路と、設置箇所に設けられた排水立ち上げ管との間に位置する剛体で形成された排水トラップが設けられていることを特徴とする食器洗い機。
この構成により、排水トラップの封水深さを規定することができる。そのため、ホースの引き回しにより排水トラップを形成する必要がなく、食器洗い機の施工時に作業者の負担を軽減することができる。
【0039】
(技術2)前記排水トラップは、前記エアブレイク装置の内部に一体に設けられていることを特徴とする技術1に記載の食器洗い機。
この構成により、エアブレイク装置を設置するだけで、別途排水トラップを設置する必要がなく、食器洗い機の施工時に作業者の負担を軽減することができる。
【0040】
(技術3)前記排水経路の上流側の端部には、内部排水ホースが接続される排水接続部が設けられ、前記排水経路の下流側の端部には、前記排水トラップが設けられ、前記排水トラップは、前記排水接続部よりも上方に位置することを特徴とする技術2に記載の食器洗い機。
この構成により、エアブレイク装置を設置するだけで、別途排水トラップを設置する必要がなく、食器洗い機の施工時に作業者の負担を軽減することができる。また、排水トラップを排水接続部より上方に位置させることで、食器洗い機の外側面から排水することができる。
【0041】
(技術4)前記排水トラップは、前記エアブレイク装置と、別体に設けられていることを特徴とする技術1に記載の食器洗い機。
この構成により、排水トラップをエアブレイク装置と別体に設けた場合でも、排水トラップの封水深さを規定することができる。そのため、ホースの引き回しにより排水トラップを形成する必要がなく、食器洗い機の施工時に作業者の負担を軽減することができる。
【0042】
(技術5)前記排水経路の上流側の端部には、内部排水ホースが接続される排水接続部が設けられ、前記排水経路の下流側の端部には、前記排水トラップが設けられ、前記排水トラップは、前記排水接続部よりも下方に位置することを特徴とする技術4に記載の食器洗い機。
この構成により、エアブレイク装置を設置するだけで、別途排水トラップを設置する必要がなく、食器洗い機の施工時に作業者の負担を軽減することができる。また、排水トラップを排水接続部より下方に位置させることで、食器洗い機の筐体下部から排水することができる。
【0043】
(技術6)前記排水トラップは、外部排水ホースが接続される排水口を備え、前記排水口は、前記筐体の後方角部に設けられていることを特徴とする技術1から技術3のいずれか一項に記載の食器洗い機。
この構成により、排水トラップの排水口を筐体の後方角部に配置することにより、洗浄槽の外形に影響を与えにくく、洗浄槽の容量を確保することができる。
【0044】
(技術7)前記排水口は、前記排水立ち上げ管の上端部より高い位置に設けられていることを特徴とする技術4に記載の食器洗い機。
この構成により、排水トラップの排水口に接続された外部排水ホースを排水立ち上げ管に接続する際に、外部排水ホースを上方に引き回す必要がなく、外部排水ホースによる二重トラップを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示は、ホースを用いることなく、排水トラップの封水深さを一意に規定することができる食器洗い機として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 食器洗い機
10 筐体
11 扉体
12 洗浄槽
13 洗浄カゴ
14 被洗浄物
20 エアブレイク装置
21 本体
30 給水経路
31 給水接続部
32 給水ホース
33 庫内連通孔
40 排水経路
41 排水接続部
42 内部排水ホース
43 大気開放部
50 排水トラップ
51 排水部
52 排水口
60 外部排水ホース
61 排水立ち上げ管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8