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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142903
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】航空機
(51)【国際特許分類】
   B64D 27/02 20060101AFI20241003BHJP
   B64D 27/24 20240101ALI20241003BHJP
   B64D 33/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B64D27/02
B64D27/24
B64D33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055297
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】市川 小月
(72)【発明者】
【氏名】福地 有一
(72)【発明者】
【氏名】平▲柳▼ 光
(72)【発明者】
【氏名】久保田 拓也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】航空機の内部に設けられた部品の過熱を抑制する。
【解決手段】航空機10の機体12には、VTOLモータ、第1ラジエータ44a、48a及び第2ラジエータ46a、50aと、機体の外部の空気を第1ラジエータ及び第2ラジエータに供給すると共に空気を機体の内部に取り込む第1冷却ファン44b、48b及び第2冷却ファン46b、50bと、を有する冷却ユニット43が設けられている。航空機は、機体の内部に取り込まれた空気を排出するための排出口68を有し、冷却ユニットは、エンジンよりも前記機体の前方に配置され、排出口は、エンジンよりも機体の後方に位置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の内部にエンジンが配置された航空機であって、
前記機体には、前記機体に推力を発生させるモータと前記モータに電力を供給する電力変換装置との少なくともいずれかを冷却するためのラジエータと、前記機体の外部の空気を前記ラジエータに供給すると共に前記空気を前記機体の前記内部に取り込む冷却ファンと、を有する冷却ユニットが設けられ、
前記航空機は、前記機体の前記内部に取り込まれた前記空気を排出するための排出口を有し、
前記冷却ユニットは、前記エンジンよりも前記機体の前方に配置され、
前記排出口は、前記エンジンよりも前記機体の後方に位置する、航空機。
【請求項2】
請求項1に記載の航空機であって、
前記機体の前記内部には、電子デバイスが備えられた電子機器が前記エンジンよりも前方に配置されている、航空機。
【請求項3】
請求項2に記載の航空機であって、
前記エンジンに連結された回転電機を備え、
前記回転電機は、前記エンジンよりも前記機体の前方に配置されている、航空機。
【請求項4】
請求項3に記載の航空機において、
前記電子機器は、前記電力変換装置又は前記回転電機からの電力を前記モータに供給する電力装置を含む、航空機。
【請求項5】
請求項4に記載の航空機であって、
前記冷却ユニットは、第1冷却ユニットと第2冷却ユニットとを含み、
前記第1冷却ユニットの前記冷却ファンである第1冷却ファンによって前記機体の前記内部に取り込まれた前記空気は、前記電子機器に導かれ、
前記第2冷却ユニットの前記冷却ファンである第2冷却ファンによって前記機体の前記内部に取り込まれた前記空気は、前記回転電機に導かれる、航空機。
【請求項6】
請求項5に記載の航空機であって、
前記第1冷却ユニットと前記電子機器とは、互いに向かい合うように配置されている、航空機。
【請求項7】
請求項6に記載の航空機であって、
前記第1冷却ユニットは、複数設けられ、
複数の前記第1冷却ユニットは、前記電子機器を前記機体の左右方向から挟むように配置されている、航空機。
【請求項8】
請求項5に記載の航空機であって、
前記第2冷却ユニットと前記回転電機とは、互いに向かい合うように配置されている、航空機。
【請求項9】
請求項1に記載の航空機であって、
前記排出口は、前記機体の後端部に設けられた機体排出口を含む、航空機。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の航空機であって、
前記機体には、舵面を有する翼部が接続され、
前記翼部の内部には、前記機体の前記内部に連通する連通路が設けられ、
前記連通路には、前記舵面の駆動を制御する駆動制御部が配置され、
前記排出口は、前記翼部に設けられた翼部排出口を含む、航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低炭素社会又は脱炭素社会の実現に向けた取り組みが活発化し、航空機においてもCO排出量の削減やエネルギー効率の改善のための研究開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、機体の内部に発熱するエンジン(ガスタービンエンジン)を配置した航空機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0091850号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
簡単な構成により、航空機の内部に設けられた部品の過熱を抑制し得る航空機が待望されている。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、機体の内部にエンジンが配置された航空機であって、前記機体には、前記機体に推力を発生させるモータと前記モータに電力を供給する電力変換装置との少なくともいずれかを冷却するためのラジエータと、前記機体の外部の空気を前記ラジエータに供給すると共に前記空気を前記機体の前記内部に取り込む冷却ファンと、を有する冷却ユニットが設けられ、前記航空機は、前記機体の前記内部に取り込まれた前記空気を排出するための排出口を有し、前記冷却ユニットは、前記エンジンよりも前記機体の前方に配置され、前記排出口は、前記エンジンよりも前記機体の後方に位置する、航空機である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構成により、航空機の内部に設けられた部品の過熱を抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る航空機の模式図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った一部断面側面図である。
図3図3は、航空機の後部の一部断面平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、航空機の内部の空気の流れを示す説明図である。
図6図6は、航空機の内部の空気の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る航空機10について図面を用いて以下に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る航空機10は、例えば、電動垂直離着陸機(eVTOL:Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)である。
【0011】
航空機10は、機体12と、前翼部14と、後翼部16と、8つのVTOLロータ18と、8つのVTOLモータ20と、2つのクルーズロータ22と、4つのクルーズモータ24とを有する。機体12は、航空機10の前後方向に延在している。前翼部14は、機体12の前後方向の中央よりも前方の部分に設けられている。後翼部16は、機体12の前後方向の中央よりも後方の部分に設けられている。
【0012】
VTOLロータ18は、航空機10に対して上方向の推力を発生させる。1つのVTOLロータ18には、1つのVTOLモータ20が接続されている。VTOLモータ20は、VTOLロータ18を回転させるための電動モータである。クルーズロータ22は、航空機10に対して水平方向の推力を発生させる。1つのクルーズロータ22には、2つのクルーズモータ24が接続されている。クルーズモータ24は、クルーズロータ22を回転させるための電動モータである。なお、図2図3図5及び図6では、クルーズロータ22の図示を省略している。
【0013】
VTOLロータ18、VTOLモータ20、クルーズロータ22及びクルーズモータ24の各々の数及び配置は、適宜設定可能である。1つのクルーズロータ22には、クルーズモータ24が1つのみ接続されてもよい。
【0014】
図2及び図3に示すように、機体12の内部には、第1発電モジュール26aと、第2発電モジュール26bと、第1電子機器30aと、第2電子機器30bとが配置されている。第1発電モジュール26aは、機体12の左右方向の中心線Aに対して左側に配置されている。第2発電モジュール26bは、中心線Aに対して右側に配置されている。第1発電モジュール26aと第2発電モジュール26bとは、中心線Aに対して左右対称に配置されている。第1発電モジュール26aと第2発電モジュール26bとは、中心線Aに対して左右対称に配置されていなくてもよい。機体12の内部に配置される発電モジュールは、第1発電モジュール26a及び第2発電モジュール26bの二基に限定されず、一基又は三基以上であってもよい。
【0015】
第1発電モジュール26aは、第1エンジン34aと、第1回転電機36aと、第1排気装置38aとを含む。第1エンジン34aは、例えば、ガスタービンエンジンである。第1エンジン34aは、燃料を燃焼させることにより高温の燃焼ガスを発生させ、当該燃焼ガスにより図示しないタービンを駆動させる。なお、第1エンジン34aは、ガスタービンエンジンに限定されず、適宜の内燃機関又は外燃機関であってもよい。
【0016】
第1回転電機36aは、第1エンジン34aに接続されている。第1回転電機36aは、例えば、第1エンジン34aの駆動によって発電する発電機として機能する。また、第1回転電機36aは、例えば、第1エンジン34aを起動させる際に図示しないコンプレッサを回転させるモータとして機能する。第1回転電機36aは、第1エンジン34aに対して機体12の前方に配置されている。
【0017】
第1排気装置38aは、第1エンジン34aに接続されている。第1排気装置38aは、第1エンジン34aから排出された高温の排気ガスを機体12の外部に導出する。第1排気装置38aは、第1エンジン34aに対して機体12の後方に配置されている。
【0018】
第1排気装置38aは、排気管40と、ガス混合部42とを含む。排気管40は、第1エンジン34aから機体12の後方に向かって延出したディフューザである。排気管40の後端は、機体12の後端に位置する。ガス混合部42は、排気管40に設けられている。ガス混合部42は、排気管40の内部を流通する高温の排気ガスに冷却ガスを混合させる。
【0019】
図3に示すように、第2発電モジュール26bは、第2エンジン34bと、第2回転電機36bと、第2排気装置38bとを有する。第2発電モジュール26bは、第1発電モジュール26aと同一の構成を備える。そのため、第2発電モジュール26bの詳細な構成の説明については省略する。
【0020】
以下の説明では、第1エンジン34aと第2エンジン34bとを併せてエンジン34と称呼することがある。また、第1回転電機36aと第2回転電機36bとを併せて回転電機36と称呼することがある。さらに、第1排気装置38aと第2排気装置38bとを併せて排気装置38と称呼することがある。
【0021】
第1電子機器30aは、中心線Aに対して左側に配置されている。第2電子機器30bは、中心線Aに対して右側に配置されている。第1電子機器30aと第2電子機器30bとは、中心線Aに対して左右対称に配置されている。第1電子機器30aと第2電子機器30bとは、機体12の左右方向に互いに離間している。第1電子機器30aと第2電子機器30bとは、中心線Aに対して左右対称に配置されていなくてもよい。
【0022】
第1電子機器30aは、第1回転電機36aに対して機体12の前方に配置されている。第1電子機器30aには、電子デバイスが備えられている。第1電子機器30aは、例えば、電力変換装置31と、電力装置33とを有する。電力変換装置31は、VTOLモータ20及びクルーズモータ24に電力を供給する。電力変換装置31は、例えば、VTOLモータ20及びクルーズモータ24を駆動させるための複数のインバータを含む。
【0023】
電力装置33は、例えば、ジャンクションボックスである。電力装置33は、例えば、2つの電気回路部を含む。各電気回路部は、図示しないパワーコントロールユニットと複数の電気負荷とを互いに接続する。パワーコントロールユニットは、回転電機36が発電した交流電力を直流電力に変換する。電気負荷は、例えば、2つのVTOLモータ20と、1つのクルーズモータ24と、1つのバッテリとを含む。電気負荷は、VTOLモータ20、クルーズモータ24及びバッテリ以外の電子デバイスを含んでもよい。電力装置33の構成は、適宜設定可能である。
【0024】
第1電子機器30aは、電力変換装置31及び電力装置33の一方のみを含んでいてもよい。第1電子機器30aは、回転電機36が発電した交流電力を直流電力に変換するパワーコントロールユニットを含んでいてもよい。
【0025】
第2電子機器30bは、第2回転電機36bに対して機体12の前方に配置されている。第2電子機器30bは、第1電子機器30aと同一に構成されている。そのため、第2電子機器30bの詳細な構成の説明については省略する。
【0026】
以下の説明では、第1電子機器30aと第2電子機器30bとを併せて電子機器30と称呼することがある。
【0027】
図3及び図4に示すように、機体12の内部には、4つの冷却ユニット43が配置されている。4つの冷却ユニット43は、エンジン34よりも機体12の前方に配置されている。4つの冷却ユニット43は、2つの第1冷却ユニット44、48と、2つの第2冷却ユニット46、50とを含む。第1冷却ユニット44と第2冷却ユニット46とは、機体12の中心線Aに対して左側に配置されている。第1冷却ユニット48と第2冷却ユニット50とは、機体12の中心線Aに対して右側に配置されている。
【0028】
第1冷却ユニット44は、第1電子機器30aに対して機体12の左側に配置されている。第1冷却ユニット44は、第1ラジエータ44aと、第1冷却ファン44bとを有する。第1ラジエータ44aには、冷却媒体が流通する。第1ラジエータ44aを流通する冷却媒体は、第1電子機器30aの電力装置33の一方の電気回路部に接続された2つのVTOLモータ20と1つのクルーズモータ24とを冷却する。また、第1ラジエータ44aを流通する冷却媒体は、第1電子機器30aの電力変換装置31を冷却する。具体的には、第1ラジエータ44aを流通する冷却媒体は、当該冷却媒体によって冷却される2つのVTOLモータ20と1つのクルーズモータ24とに対応するインバータを冷却する。
【0029】
第1ラジエータ44aの形状は、全体として平板状に形成されている。機体12には、第1取込口52が設けられている。第1取込口52と第1ラジエータ44aとは、互いに向かい合う。すなわち、第1取込口52は、第1ラジエータ44aに対して機体12の左側に位置する。
【0030】
第1冷却ファン44bは、第1ラジエータ44aと第1電子機器30aとの間に配置されている。第1冷却ファン44bと第1電子機器30aとの間には、空気が流通可能な空間が設けられている。第1冷却ファン44bは、機体12の外部の空気を第1取込口52から機体12の内部に取り込む。第1冷却ファン44bは、機体12の内部に取り込んだ空気を第1ラジエータ44aに供給する。
【0031】
第2冷却ユニット46は、第1回転電機36aの下方に配置されている。第2冷却ユニット46は、第2ラジエータ46aと、第2冷却ファン46bとを有する。第2ラジエータ46aには、冷却媒体が流通する。第2ラジエータ46aを流通する冷却媒体は、第1電子機器30aの電力装置33の他方の電気回路部に接続された2つのVTOLモータ20と1つのクルーズモータ24とを冷却する。また、第2ラジエータ46aを流通する冷却媒体は、第1電子機器30aの電力変換装置31を冷却する。具体的には、第2ラジエータ46aを流通する冷却媒体は、当該冷却媒体によって冷却される2つのVTOLモータ20と1つのクルーズモータ24とに対応するインバータを冷却する。
【0032】
第2ラジエータ46aの形状は、全体として平板状に形成されている。図4に示すように、機体12には、第2取込口54が設けられている。第2取込口54と第2ラジエータ46aとは、互いに向かい合う。すなわち、第2取込口54は、第2ラジエータ46aの下方に位置する。
【0033】
第2冷却ファン46bは、第2ラジエータ46aと第1回転電機36aとの間に配置されている。第2冷却ファン46bと第1回転電機36aとの間には、空気が流通可能な空間が設けられている。第2冷却ファン46bは、機体12の外部の空気を第2取込口54から機体12の内部に取り込む。第2冷却ファン46bは、機体12の内部に取り込んだ空気を第1回転電機36aに供給する。
【0034】
図3及び図4に示すように、第1冷却ユニット48は、第2電子機器30bに対して機体12の右側に配置されている。すなわち、第1冷却ユニット44と第1冷却ユニット48とは、電子機器30を機体12の左右方向から挟むように配置されている。第1冷却ユニット48は、第1ラジエータ48aと、第1冷却ファン48bとを有する。第1ラジエータ48aには、冷却媒体が流通する。第1ラジエータ48aを流通する冷却媒体は、第2電子機器30bの電力装置33の一方の電気回路部に接続された2つのVTOLモータ20と1つのクルーズモータ24とを冷却する。また、第1ラジエータ48aを流通する冷却媒体は、第2電子機器30bの電力変換装置31を冷却する。具体的には、第1ラジエータ48aを流通する冷却媒体は、当該冷却媒体によって冷却される2つのVTOLモータ20と1つのクルーズモータ24とに対応するインバータを冷却する。
【0035】
第1ラジエータ48aの形状は、全体として平板状に形成されている。機体12には、第3取込口56が設けられている。第3取込口56と第1ラジエータ48aとは、互いに向かい合う。すなわち、第3取込口56は、第1ラジエータ48aに対して機体12の右側に位置する。
【0036】
第1冷却ファン48bは、第1ラジエータ48aと第2電子機器30bとの間に配置されている。第1冷却ファン48bと第2電子機器30bとの間には、空気が流通可能な空間が設けられている。第1冷却ファン48bは、機体12の外部の空気を第3取込口56から機体12の内部に取り込む。第1冷却ファン48bは、機体12の内部に取り込んだ空気を第1ラジエータ48aに供給する。
【0037】
第2冷却ユニット50は、第2回転電機36bの下方に配置されている。第2冷却ユニット50は、第2ラジエータ50aと、第2冷却ファン50bとを有する。第2ラジエータ50aには、冷却媒体が流通する。第2ラジエータ50aを流通する冷却媒体は、第2電子機器30bの電力装置33の他方の電気回路部に接続された2つのVTOLモータ20と1つのクルーズモータ24とを冷却する。また、第2ラジエータ50aを流通する冷却媒体は、第2電子機器30bの電力変換装置31を冷却する。第2ラジエータ50aを流通する冷却媒体は、当該冷却媒体によって冷却される2つのVTOLモータ20と1つのクルーズモータ24とに対応するインバータを冷却する。
【0038】
第2ラジエータ50aの形状は、全体として平板状に形成されている。図4に示すように、機体12には、第4取込口58が設けられている。第4取込口58と第2ラジエータ50aとは、互いに向かい合う。すなわち、第4取込口58は、第2ラジエータ50aの下方に位置する。
【0039】
第2冷却ファン50bは、第2ラジエータ50aと第2回転電機36bとの間に配置されている。第2冷却ファン50bと第2回転電機36bとの間には、空気が流通可能な空間が設けられている。第2冷却ファン50bは、機体12の外部の空気を第4取込口58から機体12の内部に取り込む。第2冷却ファン50bは、機体12の内部に取り込んだ空気を第2回転電機36bに供給する。
【0040】
図1に示すように、後翼部16は、左翼部60aと、右翼部60bとを有する。左翼部60aと右翼部60bとは、機体12に接続されている。左翼部60aは、機体12の上端部から左方向に延出している(図2参照)。右翼部60bは、機体12の上端部から右方向に延出している。左翼部60a及び右翼部60bは、エンジン34よりも機体12の上方に位置する。
【0041】
左翼部60aには、左舵面(左動翼)62aが設けられている。左舵面62aは、左翼部60aの後端部に位置する。左舵面62aは、左翼部60aの延出方向に沿って延びている。図2及び図3に示すように、左翼部60aの内部には、左連通路64aが設けられている。左連通路64aは、機体12の内部に連通している。左連通路64aには、左舵面62aの駆動を制御する第1駆動制御部66aが配置されている。
【0042】
図1に示すように、右翼部60bには、右舵面(右動翼)62bが設けられている。右舵面62bは、右翼部60bの後端部に位置する。右舵面62bは、右翼部60bの延出方向に沿って延びている。図3に示すように、右翼部60bの内部には、右連通路64bが設けられている。右連通路64bは、機体12の内部に連通している。右連通路64bには、右舵面62bの駆動を制御する第2駆動制御部66bが配置されている。
【0043】
図1図3に示すように、航空機10は、機体12の内部の空気を外部に排出するための複数の排出口68を有する。排出口68は、第1エンジン34a及び第2エンジン34bよりも機体12の後方に位置する。航空機10は、複数の排出口68として、機体排出口70と、第1翼部排出口72aと、第2翼部排出口72bとを含む。
【0044】
図3に示すように、機体排出口70は、機体12の後端部に設けられている。機体排出口70は、排気装置38の後端部と機体12の後端部との間とに設けられている。
【0045】
図1及び図3に示すように、第1翼部排出口72aは、左翼部60aの上面に設けられている。第1翼部排出口72aは、左連通路64aに連通する。第1翼部排出口72aは、左舵面62aの近傍に位置する。第1駆動制御部66aは、左連通路64aにおける機体12の内部から第1翼部排出口72aまでの区間に配置されている(図3参照)。
【0046】
第2翼部排出口72bは、右翼部60bの上面に設けられている。第2翼部排出口72bは、右連通路64bに連通する。第2翼部排出口72bは、右舵面62bの近傍に位置する。第2駆動制御部66bは、右連通路64bにおける機体12の内部から第2翼部排出口72bまでの区間に配置されている。
【0047】
このような航空機10では、第1エンジン34a及び第2エンジン34bは、駆動時に燃焼ガスが発生するため高温になる。第1回転電機36a、第2回転電機36b、第1電子機器30a、第2電子機器30b、第1駆動制御部66a及び第2駆動制御部66b等の航空機10の内部に設けられた部品は、第1エンジン34a及び第2エンジン34bによって過熱され得る。
【0048】
本実施形態では、第1冷却ファン44bが駆動すると、機体12の外部の空気が第1取込口52から機体12の右側に向かって機体12の内部に取り込まれる。当該空気は、第1ラジエータ44aを通過した後で、第1電子機器30aに導かれる。これにより、第1電子機器30aが良好に冷却される。
【0049】
第2冷却ファン46bが駆動すると、機体12の外部の空気が第2取込口54から上方に向かって機体12の内部に流入する。当該空気は、第2ラジエータ46aを通過した後で、第1回転電機36aに導かれる。これにより、第1回転電機36aが良好に冷却される。
【0050】
図5及び図6に示すように、第1冷却ファン44b及び第2冷却ファン46bの駆動によって機体12の内部に取り込まれた空気は、機体12の後方及び上方に向かって流れる。第1電子機器30a及び第1回転電機36aから機体12の後方に向かって流れた空気は、第1エンジン34aを冷却すると共に第1エンジン34aによって加熱された空気を機体12の後方に向かって押し流す。これにより、例えば、機体排出口70から機体12の前方に向かって機体12の内部に空気が流入することにより第1エンジン34aによって加熱された空気が第1回転電機36a及び第1電子機器30aに向かって流れることを抑制できる。第1エンジン34aよりも機体12の後方に流れた空気は、第1排気装置38aを冷却した後で機体排出口70から機体12の外部に排出される。
【0051】
第1電子機器30a及び第1回転電機36aから上方に向かって流れた空気は、左連通路64aを介して第1駆動制御部66aに導かれる。これにより、第1駆動制御部66aが良好に冷却される。第1駆動制御部66aに導かれた空気は、第1翼部排出口72aから左翼部60aの外部に排出される。
【0052】
第1冷却ファン48bが駆動すると、機体12の外部の空気が第3取込口56から機体12の左側に向かって機体12の内部に流入する。当該空気は、第1ラジエータ48aを通過した後で、第2電子機器30bに導かれる。これにより、第2電子機器30bが良好に冷却される。
【0053】
第2冷却ファン50bが駆動すると、機体12の外部の空気が第4取込口58から上方に向かって機体12の内部に流入する。当該空気は、第2ラジエータ50aを通過した後で、第2回転電機36bに導かれる。これにより、第2回転電機36bが良好に冷却される。
【0054】
第1冷却ファン48b及び第2冷却ファン50bの駆動によって機体12の内部に取り込まれた空気は、機体12の後方及び上方に向かって流れる。第2電子機器30b及び第2回転電機36bから機体12の後方に向かって流れた空気は、第2エンジン34bを冷却すると共に第2エンジン34bによって加熱された空気を機体12の後方に向かって押し流す。これにより、例えば、機体排出口70から機体12の前方に向かって機体12の内部に空気が流入することにより第2エンジン34bによって加熱された空気が第2回転電機36b及び第2電子機器30bに向かって流れることを抑制できる。第2エンジン34bよりも機体12の後方に流れた空気は、第2排気装置38bを冷却した後で機体排出口70から機体12の外部に排出される。
【0055】
第2電子機器30b及び第2回転電機36bから上方に向かって流れた空気は、右連通路64bを介して第2駆動制御部66bに導かれる。これにより、第2駆動制御部66bが良好に冷却される。第2駆動制御部66bに導かれた空気は、第2翼部排出口72bから右翼部60bの外部に排出される。
【0056】
本実施形態によれば、エンジン34よりも機体12の前方に位置する冷却ユニット43によって機体12の内部に取り込まれた空気をエンジン34よりも機体12の後方に位置する排出口68から排出させることができる。これにより、エンジン34を良好に冷却できるため、エンジン34の輻射熱を低減することができる。また、エンジン34によって加熱された空気がエンジン34よりも機体12の前方に流れることを抑制できる。従って、エンジン34よりも機体12の前方に位置する航空機10の内部に設けられた部品(回転電機36及び電子機器30)の過熱を抑制し得る。さらに、本実施形態では、VTOLモータ20、クルーズモータ24及び電力変換装置31を冷却する第1冷却ファン44b、48b及び第2冷却ファン46b、50bによって機体12の内部に空気を取り込むため、専用の冷却ファンを新たに設ける必要がない。よって、航空機10の構成を簡単にできる。
【0057】
本実施形態では、航空機10が飛行状態ではない場合で航空機10のエンジン34が停止すると共にエンジン34の関連部品が高温状態である時に(ホットソーク中に)、第1冷却ファン44b、48b及び第2冷却ファン46b、50bを継続して駆動させてもよい。これにより、ホットソーク中にエンジン34によって加熱された空気がエンジン34よりも機体12の前方に流れることを抑制できる。
【0058】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0059】
(付記1)
航空機(10)は、機体(12)の内部にエンジン(34)が配置された航空機であって、前記機体には、前記機体に推力を発生させるモータ(20、24)と前記モータに電力を供給する電力変換装置(31)との少なくともいずれかを冷却するためのラジエータ(44a、46a、48a、50a)と、前記機体の外部の空気を前記ラジエータに供給すると共に前記空気を前記機体の前記内部に取り込む冷却ファン(44b、46b、48b、50b)と、を有する冷却ユニット(43)が設けられ、前記航空機は、前記機体の前記内部に取り込まれた前記空気を排出するための排出口(68)を有し、前記冷却ユニットは、前記エンジンよりも前記機体の前方に配置され、前記排出口は、前記エンジンよりも前記機体の後方に位置する。
【0060】
このような構成によれば、エンジンよりも機体の前方に位置する冷却ユニットによって機体の内部に取り込まれた空気をエンジンよりも機体の後方に位置する排出口から排出させることができる。これにより、エンジンを良好に冷却できるため、エンジンの輻射熱を低減することができる。また、エンジンによって加熱された空気がエンジンよりも機体の前方に流れることを抑制できる。従って、航空機の内部に設けられた部品の過熱を抑制し得る。さらに、本実施形態では、モータ若しくは電力変換装置を冷却する冷却ファンによって機体の内部に空気を取り込むため、専用の冷却ファンを新たに設ける必要がない。よって、航空機の構成を簡単にできる。
【0061】
(付記2)
付記1に記載の航空機において、前記機体の前記内部には、電子デバイスが備えられた電子機器(30)が前記エンジンよりも前方に配置されてもよい。
【0062】
このような構成によれば、エンジンから発生した熱によって電子機器が過熱されることを抑制し得る。
【0063】
(付記3)
付記2に記載の航空機において、前記エンジンに連結された回転電機(36)を備え、前記回転電機は、前記エンジンよりも前記機体の前方に配置されてもよい。
【0064】
このような構成によれば、エンジンから発生した熱によって回転電機が過熱されることを抑制できる。
【0065】
(付記4)
付記2又は3に記載の航空機において、前記電子機器は、前記電力変換装置又は前記回転電機からの電力を前記モータに供給する電力装置(33)を含んでもよい。
【0066】
このような構成によれば、エンジンから発生した熱によって電力変換装置又は電力装置が過熱されることを抑制できる。
【0067】
(付記5)
付記4に記載の航空機において、前記冷却ユニットは、第1冷却ユニット(44、48)と第2冷却ユニット(46、50)とを含み、前記第1冷却ユニットの前記冷却ファンである第1冷却ファンによって前記機体の前記内部に取り込まれた前記空気は、前記電子機器に導かれ、前記第2冷却ユニットの前記冷却ファンである第2冷却ファンによって前記機体の前記内部に取り込まれた前記空気は、前記回転電機に導かれてもよい。
【0068】
このような構成によれば、第1冷却ファンによって電子機器を良好に冷却することができる。また、第2冷却ファンによって回転電機を良好に冷却することができる。
【0069】
(付記6)
付記5に記載の航空機において、前記第1冷却ユニットと前記電子機器とは、互いに向かい合うように配置されてもよい。
【0070】
このような構成によれば、第1冷却ファンによって機体の内部に取り込んだ空気を電子機器に円滑に導くことができる。
【0071】
(付記7)
付記6に記載の航空機において、前記第1冷却ユニットは、複数設けられ、複数の前記第1冷却ユニットは、前記電子機器を前記機体の左右方向から挟むように配置されてもよい。
【0072】
このような構成によれば、電子機器をより一層良好に冷却することができる。
【0073】
(付記8)
付記5~7のいずれかに記載の航空機において、前記第2冷却ユニットと前記回転電機とは、互いに向かい合うように配置されてもよい。
【0074】
このような構成によれば、第2冷却ファンによって機体の内部に取り込んだ空気を回転電機に円滑に導くことができる。
【0075】
(付記9)
付記1~8のいずれかに記載の航空機において、前記排出口は、前記機体の後端部に設けられた機体排出口(70)を含んでもよい。
【0076】
このような構成によれば、簡単な構成により機体排出口をエンジンよりも機体の後方に配置することができる。
【0077】
(付記10)
付記1~9のいずれかに記載の航空機において、前記機体には、舵面(62a、62b)を有する翼部(60a、60b)が接続され、前記翼部の内部には、前記機体の前記内部に連通する連通路(64a、64b)が設けられ、前記連通路には、前記舵面の駆動を制御する駆動制御部(66a、66b)が配置され、前記排出口は、前記翼部に設けられた翼部排出口(72a、72b)を含んでもよい。
【0078】
このような構成によれば、冷却ファンにより機体の内部に取り込んだ空気によって駆動制御部を良好に冷却することができる。
【0079】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0080】
10…航空機 12…機体
20…VTOLモータ(モータ) 24…クルーズモータ(モータ)
30…電子機器 34…エンジン
36…回転電機 43…冷却ユニット
44…第1冷却ユニット 44a…第1ラジエータ
44b…第1冷却ファン 46…第2冷却ユニット
46a…第2ラジエータ 46b…第2冷却ファン
48…第1冷却ユニット 48a…第1ラジエータ
48b…第1冷却ファン 50…第2冷却ユニット
50a…第2ラジエータ 50b…第2冷却ファン
60a…左翼部 60b…右翼部
62a…左舵面 62b…右舵面
64a…左連通路 64b…右連通路
66a…第1駆動制御部 66b…第2駆動制御部
68…排出口 70…機体排出口
72a…第1翼部排出口 72b…第2翼部排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6