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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014291
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】路面描画システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/00 20060101AFI20240125BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20240125BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20240125BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20240125BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240125BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240125BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20240125BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240125BHJP
【FI】
B60Q1/00 G
F21V14/04
F21V9/40 400
B60Q1/26 Z
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W103:60
F21W102:13
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117002
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】内山 直也
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 海乃
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 耕介
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA22
3K339AA43
3K339BA02
3K339BA22
3K339BA25
3K339BA30
3K339CA01
3K339DA01
3K339DA05
3K339EA09
3K339GB01
3K339HA01
3K339JA21
3K339KA06
3K339KA11
3K339KA27
3K339KA29
3K339LA06
3K339MA01
3K339MA10
3K339MB04
3K339MB05
3K339MC01
3K339MC13
3K339MC22
3K339MC27
3K339MC32
3K339MC35
3K339MC36
3K339MC41
3K339MC48
3K339MC90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】歩行者の状況を視認性よく把握することができる路面描画システムを提供する。
【解決手段】車両の前方空間を撮影するカメラと、カメラによって得られる画像データに基づいて前方空間に存在する歩行者100を検出するとともに車両の前方の道路の白線を検出し、各検出結果に基づいて道路に光を照射するための制御を行うコントローラと、コントローラによる制御を受けて前記道路に光を照射するランプユニットと、を含み、コントローラは、歩行者100が存在し、かつ歩行者100と車両との相対距離が閾値より小さい場合に、歩行者100の位置に対応する道路上の位置に第1輝線が照射されるようにランプユニットを制御するものであり、第1輝線は、道路に設けられている中央白線110の延在方向に沿った直線状の光であって中央白線110に重ねて照射される、路面描画システムである。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方空間を撮影するカメラと、
前記カメラによって得られる画像データに基づいて前記前方空間に存在する歩行者を検出するとともに前記車両の前方の道路の白線を検出し、当該各検出結果に基づいて前記道路に光を照射するための制御を行うコントローラと、
前記コントローラによる制御を受けて前記道路に光を照射するランプユニットと、
を含み、
前記コントローラは、前記歩行者が存在し、かつ当該歩行者と前記車両との相対距離が閾値より小さい場合に、前記歩行者の位置に対応する前記道路上の位置に第1輝線が照射されるように前記ランプユニットを制御するものであり、
前記第1輝線は、前記道路における前記車両の走行車線である自車線とこれに隣り合う対向車線との間に設けられている中央白線の延在方向に沿った直線状の光であって当該中央白線に重ねて照射される、
路面描画システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記歩行者の位置が前記対向車線側の前記白線よりも前記道路の外側にある場合には前記第1輝線が連続照射され、前記歩行者の位置が前記対向車線側の前記白線よりも前記道路の内側にある場合には前記第1輝線が点滅照射されるように前記ランプユニットを制御する、
請求項1に記載の路面描画システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記前方空間に前記歩行者が存在し、かつ前記歩行者と前記車両との前記相対距離が前記閾値以上である場合に、前記第1輝線よりも長い直線状の光である第2輝線を前記中央白線に重ねて照射させるように前記ランプユニットを制御する、
請求項1に記載の路面描画システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記歩行者の位置が前記対向車両側の前記白線よりも前記道路の外側にある場合には前記第2輝線が連続照射され、前記歩行者の位置が前記対向車両側の前記白線よりも前記道路の内側にある場合には前記第2輝線が点滅照射されるように前記ランプユニットを制御する、
請求項3に記載の路面描画システム。
【請求項5】
前記第1輝線は、前記歩行者の位置の移動に伴って照射位置が変更される、
請求項1に記載の路面描画システム。
【請求項6】
雨滴センサを更に備え、
前記コントローラは、前記雨滴センサの出力に基づき前記前方空間が雨天であることを検出した場合には、前記歩行者と前記車両との前記相対距離に関わらず前記第2輝線の照射を継続させるとともに、当該第2輝線に重ねて前記第1輝線を照射させるように前記ランプユニットを制御する、
請求項3に記載の路面描画システム。
【請求項7】
前記第1輝線は、前記第2輝線よりも高い照度で照射され、及び/又は前記第2輝線とは異なる色調で照射される、
請求項6に記載の路面描画システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記中央白線を検出できない場合には、前記道路の幅ないし形状に基づいて、前記道路の延在方向に沿って延びる仮想線であって前記道路の略中央配置されるものである境界線を演算し、前記歩行者と前記車両との前記相対距離に関わらずに当該境界線に沿って前記第2輝線を照射させるとともに、当該第2輝線に重ねて前記第1輝線を照射させるように前記ランプユニットを制御する、
請求項3に記載の路面描画システム。
【請求項9】
前記第1輝線は、前記第2輝線よりも高い照度で照射され、及び/又は前記第2輝線とは異なる色調で照射される、
請求項8に記載の路面描画システム。
【請求項10】
前記コントローラは、複数の前記歩行者が存在する場合には、各前記歩行者と前記車両との相対距離に関わらず、各前記歩行者の位置に対応する前記道路上の位置のそれぞれに前記第1輝線が照射されるように前記ランプユニットを制御する、
請求項1に記載の路面描画システム。
【請求項11】
複数の前記第1輝線に対応する歩行者のうち、少なくとも1つの歩行者の位置が前記白線よりも前記道路の内側にある場合には、前記道路の内側にいる前記歩行者に対応した前記第1輝線が点滅照射されるように前記ランプユニットを制御する、
請求項10に記載の路面描画システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、路面描画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008-143510号公報(特許文献1)には、自車両から危険であると推定された人物の方向及び該人物までの距離を表示する光を路面に照射することにより、人物の着衣の色に係わらずドライバ及び人物の両者に対して注意喚起を行う注意喚起照射装置が記載されている。路面に照射される光としては、それぞれ人物へ向かって延びるように照射されるT字形状、Y字形状、矢印形状などの光(路面描画)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-143510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来技術においては、対向車線側の白線の外側(歩道)に歩行者が存在した場合、その歩行者の存在やその位置を運転者へ伝えるために、T字等の複雑な文字描画を照射するが、対向車線に対向車が自車両と歩行者の間を通った時、T字等の複雑な文字描画は対向車に当たるため、その描画が歩行者に向かわなくなり、運転手は歩行者の位置を見失うことになる。また、その描画の光は対向車の運転手に対してはグレアにもなり得る。これは複雑な文字描画だけでなく、例えば自車両から歩行者真っすぐ向かう1本のライン状描画でも同じ問題が起こる。本開示に係る具体的態様は、自車両の運転手が歩行者の状況を視認性よく把握することができる路面描画システムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る一態様の路面描画システムは、(a)車両の前方空間を撮影するカメラと、(b)前記カメラによって得られる画像データに基づいて前記前方空間に存在する歩行者を検出するとともに前記車両の前方の道路の白線を検出し、当該各検出結果に基づいて前記道路に光を照射するための制御を行うコントローラと、(c)前記コントローラによる制御を受けて前記道路に光を照射するランプユニットと、を含み、(d)前記コントローラは、前記歩行者が存在し、かつ当該歩行者と前記車両との相対距離が閾値より小さい場合に、前記歩行者の位置に対応する前記道路上の位置に第1輝線が照射されるように前記ランプユニットを制御するものであり、(e)前記第1輝線は、前記道路における前記車両の走行車線である自車線とこれに隣り合う対向車線との間に設けられている中央白線の延在方向に沿った直線状の光であって当該中央白線に重ねて照射される、路面描画システムである。
【0006】
上記構成によれば、歩行者の状況(正確な位置や距離感や道路内への侵入有無)を視認性よく把握することができる路面描画システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態の路面描画システムの構成を示すブロック図である。
図2図2(A)は、各ランプユニットの設置例を模式的に示す図である。図2(B)は、ランプユニットの構成例を模式的に示す図である。
図3図3は、コンピュータシステムの構成例を示す図である。
図4図4は、路面描画システムの動作手順を示すフローチャートである。
図5図5(A)~図5(C)は、輝線の描画態様を説明するための図である。
図6図6(A)~図6(C)は、輝線の描画態様を説明するための図である。
図7図7(A)~図7(B)は、輝線の描画態様を説明するための図である。
図8図8(A)~図8(B)は、輝線の描画態様を説明するための図である。
図9図9(A)~図9(C)は、輝線の描画態様を説明するための図である。
図10図10(A)~図10(B)は、輝線の描画態様を説明するための図である。
図11図11(A)~図11(C)は、輝線の描画態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、一実施形態の路面描画システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の路面描画システム1は、コントローラ10、カメラ11、雨滴センサ12、車速センサ13、一対のランプユニット30L、30Rを含んで構成されている。この路面描画システム1は、車両前部に搭載され、車両前方に存在する歩行者の状況に応じて車両前方の路面に輝線(ライン状の光)を描画するものである。歩行者とは、歩いている人間だけでなく、自転車に乗った人間も含む。
【0009】
コントローラ10は、各前照灯ユニット30L、30Rによる光照射を制御するものである。このコントローラ10は、例えばプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶デバイス、入出力インターフェースなどを備えたコンピュータシステムを用いて構成することができる。本実施形態のコントローラ10は、予め記憶デバイス(あるいはROM)に記憶されたプログラムがプロセッサによって読み出されて実行されることにより、所定の機能を発揮できる状態となる。
【0010】
カメラ11は、自車両前方の空間を撮影して画像データを生成する。この画像データに基づいてコントローラ10の画像処理部20により歩行者の位置などの状況が検出される。なお、画像処理部20による機能はカメラ11側に設けられていてもよい。
【0011】
雨滴センサ12は、自車両の存在する場所における降雨量を検出し、降雨量に応じた変化を示す信号(又はデータ)を出力する。雨滴センサ12としては公知の種々のものを用いることが可能である。一例を挙げると、特開2006-29807号公報に記載されるような、自車両のフロントガラスの内側に設置されて当該ガラスの外面に付着する雨滴を光学的手法によって検出するセンサを用いることができる。
【0012】
車速センサ13は、自車両の車速を検出して車速信号(車速パルス)を出力する。なお、他の用途などで予め自車両に備わっている車速センサがある場合にはそれを車速センサ13として用いてもよい。
【0013】
自車位置データ14は、自車両に備わっているカーナビゲーションシステムやGPSセンサなどの位置検出手段(図示せず)により生成され、コントローラ10の自車位置検出部221へ入力される。
【0014】
一対のランプユニット30L、30Rは、自車両前部の左右の所定位置に搭載されており、コントローラ10から与えられる制御信号に応じて動作して自車両前方の所望位置へ直線状(ライン状)の光を照射する。各ランプユニット30L、30Rは、ドライバ31と、このドライバ31によって駆動されるLEDアレイ32を備える。
【0015】
上記したコントローラ10は、プログラム実行によって実現される機能ブロックとしての画像処理部20、自車位置検出部21、天候検出部22、相対位置演算部23、相対距離演算部24、境界線演算部25、路面描画制御部26を含んで構成されている。
【0016】
画像処理部20は、カメラ11によって生成された画像データに対して画像認識処理を行うことにより、歩行者の位置、前方車両(先行車両または対向車両)の位置、道路上の白線など自車両前方の状況を検出する。
【0017】
自車位置検出部21は、自車位置データに基づいて自車両の位置を検出する。自車両の位置を知るために、この自車位置データ14はカーナビゲーションシステムを含んだ構成でもよく、このカーナビの地図情報から自車両位置が、街中か、または、100m以上の直線をもつ道路か、または100m未満の直線しかない道路を自車両が位置しているか演算することもできる。本開示でいう道路の定義は、運転手が視認できるような見通しのよい道路としているため、直線道路はもちろんだが、見通せるならばカーブも含まれる。言い換えれば、前方を見通せる十字路やS字も道路として含めている。
【0018】
天候検出部22は、雨滴センサ13の出力に基づいて天候状態、具体的には雨量を検出する。天候検出部22は、雨量が所定値を超えた場合にはその旨を路面描画制御部26へ出力する。
【0019】
相対位置演算部23は、画像処理部20による画像認識結果に基づいて、自車両の前方に存在する白線の位置と形状を検出する。
【0020】
相対距離演算部24は、自車位置データに基づいて自車位置検出により検出される現在位置や画像処理部20による画像認識結果に基づいて歩行者と自車両との相対距離を演算する。
【0021】
境界線演算部25は、路面上に白線が存在しない場合において、画像処理部20による画像認識結果に基づいて白線に代替し得る仮想線である境界線を演算する。
【0022】
路面描画制御部26は、相対位置演算部23により求められる白線の位置や形状、相対距離演算部24によって求められる歩行者と自車両との相対距離、境界線演算部25によって求められる境界線、天候検出部22によって検出される天候状態などに基づいて、路面上に輝線を照射するための制御信号を生成し、当該制御信号を各ランプユニット30L、30Rへ出力する。
【0023】
図2(A)は、各ランプユニットの設置例を模式的に示す図である。各ランプユニット30L、30Rは、自車両50の前部において左右それぞれの所定位置に配置されている。図示の例では、ランプユニット30L、30Rは、それぞれ、ハイビームやロービームを照射するためのランプユニット40L、40Rと隣り合って配置されている。
【0024】
図2(B)は、ランプユニットの構成例を模式的に示す図である。図示の例のランプユニット30L(30R)は、二方向に配列された複数のLED(Light Emitting Diode)を有するLEDアレイ32と、このLEDアレイ32から放出される光を投影するレンズ33を含んで構成されている。LEDアレイ32は、その中心がレンズ33の焦点と略一致するように配置されている。LEDアレイ32の各LEDの点灯状態をドライバ31によって個別に制御することにより、路面上の所望の位置へ輝線を照射することができる。路面描画を照射する領域は、前後方向については少なくともハイビーム領域とロービーム領域の両方を含んだ領域(例えば、車両手前付近から100m以内の領域、または100m以上の領域でもよい)であり、左右方向は少なくとも走行車線(走行車線側白線と中央白線含む)の領域であり、さらには対向車線(対向車線側の白線含む)も含めた領域のことを指す。実施形態においては、前後方向は自車両手前から100mであり、左右方向は走行車線と対向車線の両方を含んだ領域となっている。
【0025】
なお、ランプユニット30L等の構成はこれに限定されず公知の種々の構成を採用することができる。例えば、光源バルブと反射鏡や遮蔽板を組み合わせた構成のランプユニットを用いてもよい。また、光源と液晶素子などを備え、液晶素子の各画素の光透過状態を個別に制御可能なランプユニットを用いてもよい。また、レーザダイオードなどの発光素子と、この発光素子から出射する光を走査するミラーデバイス等の走査素子などを備え、発光素子の点消灯のタイミングと走査素子による走査タイミングを制御可能なランプユニットを用いてもよい。
【0026】
図3は、コンピュータシステムの構成例を示す図である。上記したコントローラ10は、例えば図示のようなコンピュータシステムを用いて構成することが可能である。CPU(中央演算ユニット)201は、記憶デバイス204に格納されたプログラム207を読み出してこれを実行することにより情報処理を行う。ROM(読み出し専用メモリ)202は、CPU201の動作に必要な基本制御プログラムなどを格納する。RAM(一時記憶メモリ)203は、CPU201の情報処理に必要なデータを一時記憶する。記憶デバイス204は、データを記憶するための大容量記憶装置であり、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブなどで構成される。通信デバイス205は、外部の他装置との間でのデータ通信に係る処理を行う。入出力部206は、外部装置との接続を図るインターフェースであり、本実施形態ではカメラ11、雨滴センサ12、車速センサ13、各ランプユニット30L、30Rとの間の接続に用いられる。CPU201等の相互間はバスにより相互に通信可能に接続されている。
【0027】
図4は、路面描画システムの動作手順を示すフローチャートである。なお、各処理の順番については制御結果に不整合を生じない限りにおいて入れ替えることも可能であり、また説明しない他の処理が追加されてもよく、それらの態様も排除されない。まず、基本的な描画態様として、図5(A)~図5(C)及び図6(A)~図6(C)に自車両から見た前方道路の様子を例示するように、対向車線側において歩行者100が比較的遠方にいる場合には中央白線110に重ねて相対的に長い輝線(第2輝線)113を照射し、歩行者100が比較的近くにいる場合には中央白線110に重ねて相対的に短い輝線(第1輝線)114を照射し、かつ歩行者100の位置が対向車線側の白線112の内側(道路側)に入った際には輝点113又は114を点滅させて照射する態様を参照しつつ路面描画システム1の動作手順を説明する。
【0028】
なお、図6(A)~図6(C)において輝線113又は114の近くに示されているいくつかの三角形は、輝線113又は114が点滅していることを擬似的に表現するものであり、実際に路面に照射されるものではない。また、各図では中央白線110の一例として破線状のものを示しているが中央白線110は途切れのない直線状のものであってもよい。また、便宜上「白線」と称しているが他の色調の線であってもよい(以下において同様)。
【0029】
車速センサ13により検出される自車両の車速が時速10km以上であり(ステップS10;YES)、かつカメラ11により得られる画像データに基づいて画像処理部20により自車両前方の対向車線側に歩行者が検出されている場合に(ステップS11;YES)、相対距離演算部24は、自車位置検出により検出される現在位置や画像処理結果に基づいて歩行者と自車両との相対距離を演算する(ステップS12)。また、相対位置演算部23は、画像処理部20による画像認識結果に基づいて、自車両の前方に存在する中央白線110、白線111、112の位置と形状を検出する(ステップS13)。演算された相対距離、位置、形状の各データはメモリに一時記憶される。
【0030】
歩行者と自車両との相対距離が所定の閾値以上(一例として100m以上)である場合であり(ステップS14;YES)、かつ、歩行者の位置が白線の外側である場合に(ステップS15;YES)、路面描画制御部26は、自車線と対向車線との間に設けられている車線である中央白線110に重ねるようにして相対的に長い輝線113を連続照射するように制御信号を生成し、この制御信号を各ランプユニット30L、30Rへ出力する(ステップS16)。これにより、図5(A)に示すように、中央白線110に重ねて輝線113が連続照射される。なお、実施形態では、監視開始をハイビーム領域内と想定したため、所定の閾値を100mとしたが、街中の場合は見通しのよい道路が短いため、100m先に道路がない場合もある。その場合、監視開始をロービーム領域付近と想定し、所定の閾値を30m~50mの間(一例として40m)に設定してもよい。カーナビゲーションシステムなどの地図情報で街中か、または見通しのよい道路が100m以下の区間であることがわかれば、自動的に所定の閾値を変更できるようにしてもよい。
【0031】
ここでいう長い輝線113とは、中央白線110と略平行、すなわち道路の延在方向と略平行な直線状の光からなるものである。輝線113の幅は、照射される各位置において中央白線110と同程度か中央白線110の幅よりも若干広いくらいに設定されることが好ましい。白線111が劣化や汚れなどで描画の長い輝線113と同じまたは類似の色になった場合や長い輝線113の明るさが不十分だった場合、中央白線110の幅より広ければ、中央白線110からはみ出した分描画のされた長い輝線113を自車両の運転手または歩行者が視認しやすくなる。また、長い輝線113の長さは、遠方の歩行者の存在を視認させるに必要十分な長さであり、例えばハイビームが届く距離の100m程度としているが、ロービームが届く距離の40m程度でもよい。さらに言えば、相対的に長い輝線とは、短い輝線と見分けがつけばよいため、短い輝線より3倍以上の9m~100mの間の長さがあれば十分な長さと言える。
【0032】
また、歩行者と自車両との相対距離が所定の閾値以上(一例として100m以上)である場合であり(ステップS14;YES)、かつ、歩行者の位置が白線の内側、すなわち道路内である場合である場合に(ステップS15;NO)、路面描画制御部26は、中央白線110に重ねて長い輝線113を点滅照射するように制御信号を生成し、この制御信号を各ランプユニット30L、30Rへ出力する(ステップS17)。これにより、図6(A)に示すように、中央車線110に重ねて長い輝線113が点滅照射される。なお、実施形態では、監視開始をハイビーム領域内と想定したため、所定の閾値(相対距離の閾値)を100mとしたが、街中の場合は見通しのよい道路が短いため、100m先に道路がない場合もある。その場合、監視開始をロービーム領域付近と想定し、所定の閾値を30m~50mの間(一例として40m)に設定してもよい。つまり、予めカーナビゲーションシステムなどの地図情報から自車両の位置が、街中か、または100m以下の見通しのよい道路区間であることがわかっていれば、自動的に所定の閾値を変更できるようにしてもよい。
【0033】
歩行者と自車両との相対距離が閾値より小さく(ステップS14;NO)、かつ、歩行者の位置が白線の外側、すなわち道路外(歩道など)である場合に(ステップS18;YES)、路面描画制御部26は、歩行者の位置に応じた位置で中央白線110に重ねて相対的に短い輝線114を連続照射するように制御信号を生成し、この制御信号を各ランプユニット30L、30Rへ出力する(ステップS19)。これにより、図5(B)又は図5(C)に示すように、中央車線110に重ねて短い輝線114が連続照射される。
【0034】
ここでいう短い輝線114は、中央白線110と略平行、すなわち道路の延在方向と略平行な直線状の光からなるものである。短い輝線114の幅は、照射される各位置において中央白線110と同程度か中央白線110よりも若干広いくらいに設定されることが好ましい。白線111が劣化や汚れなどで描画の輝線113と同じまたは類似の色になった場合や輝線113の明るさが不十分だった場合、白線111の幅より広ければ、白線111からはみ出した分描画のされた輝線113を自車両の運転手または歩行者が視認しやすくなる。また、短い輝線114の長さは、歩行者の位置を視認させるに必要十分な長さ(人間の幅より広い長さで、例えば0.5m以上2m以内)であって上記した輝線113より相対的に短い長さであり、例えば、人間の身長または人間が手を広げたくらいの長さの1.5m程度であることが好ましい。描画位置の距離が100mと遠方の場合、白線の幅の同程度または若干の広めと長さ1.5mの輝線サイズでは、自車両の運転手が視認しにくい場合もあるため、幅や長さを例えば1.5倍~2倍に変更して視認性を向上させてもよい。相対距離が短くなってきたら(例えば50m以下)、幅や長さを短くし所定の幅や長さに戻してもよい(幅や長さの調整は、徐変でも、段階的でもよい)。これは相対距離演算部24で相対距離が遠方であると検知できたとき、路面描画制御部26が輝線113の幅と長さを調整したサイズを描画するように制御信号を生成し、この制御信号を各ランプユニット30L、30Rへ出力すればよい。
【0035】
歩行者と自車両との相対距離が閾値より小さく(ステップS14;NO)、かつ、歩行者の位置が白線の内側、すなわち道路内である場合である場合に(ステップS18;NO)、路面描画制御部26は、歩行者の位置に応じた位置で中央白線110に重ねて相対的に短い輝線114を点滅照射するように制御信号を生成し、この制御信号を各ランプユニット30L、30Rへ出力する(ステップS20)。これにより、図6(B)又は図6(C)に示すように、中央車線110に重ねて短い輝線114が点滅照射される。
【0036】
ステップS16、ステップS17、ステップS19又はステップS20の何れかが実行されるとステップ10へ戻る。ステップS10以降の処理が繰り返されることで、歩行者100の相対位置が変化するのに追随して長い輝線113から短い輝線114に切り替わり、あるいは短い輝線114の照射位置が歩行者の位置に応じて変更される。また、歩行者の位置が白線外から白線内へ移動した際には長い輝線113又は短い輝線114が点滅照射に切り替えられる。長い輝線が光ることにより、遠方に歩行者が存在することを運転手は認識できるため、歩行者に注意した運転を事前に準備することができる。短い輝線を照射することにより、歩行者の位置を運転手は直感的に認識することができ、さらにその短い輝線が白線上に重ねて照射され、連続して続く白線上に短い輝線が光って見えるため、自車両と歩行者との相対的な距離感、つまり、正確な歩行者の位置を運転手は認識することが可能になる。また、輝線の光り方の変化により、歩行者の状況(この場合は、道路内への侵入有無)に変化があったことを運転手が直感的に認識できるため、歩行者の行動に注意しつつ運転することが可能になる。
【0037】
例えば、あるタイミングで歩行者100の位置が自車両から遠方の白線外で、次のタイミングで歩行者100の位置が白線内となった場合には、図5(A)に示す描画態様(連続照射)から図6(A)に示す描画態様(点滅照射)へ遷移する。また、あるタイミングで自車両から遠方かつ白線外であった歩行者100の位置が次のタイミングで相対的に自車両へ近づき、さらにその次のタイミングで歩行者100の位置が白線内となった場合には、図5(A)に示す描画態様(連続照射)、図5(B)に示す描画態様(連続照射)、図6(B)に示す描画態様(点滅照射)というように描画態様が遷移する。短い輝線が白線上に重ねて照射されているため、連続して続く白線上に沿って短い輝線が遷移しながらどんどん近づいてくるように見える(しかも一方方向に遷移する)ため、運転手は歩行者との距離感を直感的に認識することが可能になる。
【0038】
他方で、車速が時速10kmより小さい場合(ステップS10;NO)、又は車速が時速10km以上であっても歩行者が存在しない場合(ステップS11;NO)においては、路面描画制御部26による輝線の照射が終了する(ステップS21)。なお、元々輝線の照射が行われていなかった場合はその状態が維持される。実施形態ではステップS10を「自車両の車速が時速10km以上」としたが、車速は一例であり車が走行状態であれば、ステップ10はYESとなるし、極端に言えば、走行前のイグニッションONでステップ10をYESとしてもよい。また、ステップS15、S16、S17は遠方監視を目的としているので、カーナビゲーションシステム等で検出される自車両の位置が遠方監視をする必要のない街中であれば、利用する可能性が低いため制御を停止してもよいし、最初からシステムに入れず、短い輝線を使ったステップS18、S19、S20だけで制御システムを構成してもよい。
【0039】
図7(A)~図7(B)は、輝線の描画態様の一例を説明するための図である。上記した描画態様では、自車両の進行方向に中央白線や側方の各白線が存在することを前提としていたが、中央白線等が存在しない場合や天候等により検出不能な場合には、図7(A)に例示するように、中央白線に相当する長い輝線113aを照射することもできる。具体的には、画像処理部20によって検出される路面両側の端部輪郭121、122に基づいて、境界線演算部25により、自車両と歩行者110が安全に通れると考えられる境界を示す仮想線である境界線を演算する。境界線は、道路の略中央において道路の延在方向に延びる仮想線であり、道路の幅ないし形状に基づいて求めることができる。
【0040】
例えば、端部輪郭121、122の相互間距離である道路幅を検出し、この道路幅に基づいて端部輪郭121又は端部輪郭122の何れかから一定距離離れた位置に境界線を設定することができる。そして、この求められた境界線に沿って長い輝線113aを照射することができる。この長い輝線113aは、中央白線に代替するものとして用いることができるものであり、その長さは例えば自車位置から100m以内とすることができる。また、長い輝線113aは、歩行者100と自車両との相互間距離に関わらず連続照射される。実施形態では、監視開始をハイビーム領域内と想定したため、所定の閾値を100mとしたが、街中の場合は見通しのよい道路が短いため、100m先に道路がない場合もある。その場合、監視開始をロービーム領域付近と想定し、所定の閾値を30m~50mの間(一例として40m)に設定してもよい。
【0041】
また、図7(A)に示すように、歩行者100の位置が道路外側(端部輪郭122の外側)である場合には、相対的に長い輝線113aを仮想の境界線に重ねて、歩行者100の位置に対応した相対的に短い輝線114aを長い輝線113aに重ねて照射することができる。この短い輝線114aは、長い輝線113a上に光って見えるため、歩行者の正確な位置を運転手は認識することができる。このとき、短い輝線114aは、長い輝線113aよりも照度が高くなるようにするか、あるいは輝線113aとは異なる色調にて照射されることが好ましい。輝線114aの視認性をより向上できるからである。なお、輝線113aと輝線114aの照度が同程度であったとしても、輝線114aの部分では照度がより高くなるので視認可能である。さらに、図7(B)に示すように、歩行者100の位置が道路内側(端部輪郭122の内側)に入った場合には、輝線114aを点滅させるようにして照射する。この短い輝線114aの点滅により、歩行者状況が変わり、歩行者が道路内に侵入したことを運転手が直感的に認識し、歩行者の行動に注意しつつ運転することができる。また、短い輝線114aは、長い輝線113aよりも幅を広くしてもよい。これは、長い輝線113aの幅より広ければ、長い輝線113aからはみ出した分描画のされた短い輝線114aを自車両の運転手または歩行者が視認しやすくなるためである。
【0042】
図8(A)~図8(B)は、輝線の描画態様の一例を説明するための図である。自車両の走行する場所にて雨天が発生している場合には路面に照射される輝線の視認性が低下する可能性があるので、上記した中央白線が存在しない場合と同様の描画態様を実施することが好ましい。雨天の発生については雨滴センサ12の出力に基づいて天候検出部22により検出される。例えば、所定値を超える雨量が検出されている場合には天候検出部22からその旨が路面描画制御部26へ出力される。
【0043】
具体的には、図8(A)に例示するように、歩行者100と自車両との相互間距離に関わらず、中央白線110に重ねて長い輝線113aを照射したうえで、歩行者110の位置に対応した短い輝線114aを照射することができる。さらに、図8(B)に示すように、歩行者100の位置が車線内側(白線112の内側)に入った場合には、輝線114aを点滅させるようにして照射する。このとき、短い輝線114aは、長い輝線113aよりも照度が高くなるようにするか、あるいは輝線113aとは異なる色調にて照射されることが好ましい。雨で中央白線110が見えにくい道路状況で、短い輝線114aを中央白線110に重ねて照射しても、運転手は短い輝線114aしか見えないため、短い輝線114aの相対的な位置が不明確になり、運転手は歩行者の位置を正確に認識することが難しくなる。本実施形態では、見えにくい中央白線110の代わりに長い輝線113aを照射しているため、短い輝線114aが長い輝線113a上で光って見えるため、短い輝線114aの相対的な位置が明確になり、運転手は歩行者の正確な位置を認識することが可能になる。また、短い輝線114aを点滅に切り替えれば、歩行者状況が変わり歩行者が道路内に侵入したことを運転手が直感的に認識し、歩行者の行動に注意しつつ運転することができる。
【0044】
図9(A)~図9(C)は、輝線の描画態様の一例を説明するための図である。歩行者が複数存在する場合には、それぞれの歩行者の位置に対応して輝線を照射することができる。具体的には、図9(A)に例示するように、複数の歩行者100a、100bがそれぞれ白線112の外側に存在する場合には、歩行者100a、100bの各位置に対応した短い輝線114b、114cが中央白線110に重ねて照射される。
【0045】
また、図9(B)に例示するように、一方の歩行者100aが白線112の内側(車道内)へ入った場合には、この歩行者100aに対応する輝線114bを点滅させるようにして照射する。同様に、図9(C)に例示するように、他方の歩行者100bが白線112の内側(車道内)へ入った場合には、この歩行者100bに対応する輝線114cを点滅させるようにして照射する。図示を省略するが各歩行者100a、100bのいずれも白線112の内側に入った場合には各輝線114b、114cが点滅照射される。これにより、中央白線100上で光る短い輝線114b、114cが複数になることにより、複数人の歩行者が前方の対向車線側の白線外(歩道など)に存在していることを運転手は認識できる。さらに、一部の短い輝線114bまたは輝線114cが点滅に切り替わった場合、運転手は歩行者が道路内に侵入したことを直感的に認識できるため、複数の歩行者全員から点滅する短い輝線に対応した歩行者の方に注意を集中しながら運転すればよいため、歩行者と自車両が接近した時の運転対応もしやすくなる。
【0046】
なお、図9(A)~図9(C)は、輝線の描画態様においては、中央白線110に重ねて相対的に長い輝線を照射し、その上に重ねて上記した各輝線114b、114cを照射(連続照射/点滅照射)してもよい。これにより、雨の日は中央白線110が見えにくくなるため、長い輝線の上に短い輝線114b、114cを照射した方が、短い輝線の相対位置を運転手は認識しやすくなるため、歩行者の正確な位置を認識しやすくなる。
【0047】
図10(A)~図10(B)及び図11(A)~図11(C)は、輝線の描画態様の一例を説明するための図である。上記した各描画態様では中央白線110(ないしそれに代替する境界線)に重ねて輝線を照射していたが、対向車線に車両が存在しない間は対向車線側の白線112に重ねて輝線を照射し、対向車線に車両が現れた場合には中央白線110に重ねて輝線を照射するようにしてもよい。対向車両の有無は画像処理部20による画像認識結果により判断できる。
【0048】
例えば、図10(A)に示すように、対向車線に車両がいない場合において、歩行者100と自車両との相対距離が100m以上であり、かつ歩行者100が対向車線側の白線112より外側にいる場合には、相対的に長い輝線115を白線112に重ねて連続照射する。また、図10(b)に示すように、歩行者100が白線112の内側に入った場合には輝線115を点滅照射する。
【0049】
そして、図11(A)に示すように、対向車線に車両130が現れた場合には、白線112へ重ねた輝線115の照射を停止し、中央白線110に重ねて相対的に長い輝線113を連続照射する。また、歩行者100と自車両との相対距離が100mより小さく、かつ歩行者100が対向車線側の白線112より外側にいる場合には、相対的に短い輝線114を歩行者100の位置に対応して中央白線110に重ねて連続照射する。また、図11(C)に示すように、歩行者100が白線112の内側に入った場合には輝線114を点滅照射する。
【0050】
以上のような実施形態によれば、中央白線上、または長い輝線上に、短い輝線を重ねて照射することにより、対向車が通っても、短い輝線は対向車線を横切って照射していないため、短い輝線が対向車に当たって、描画の機能を損ねたり、対向車の運転手にグレアを与えることもなくなる。さらに、中央白線上、または長い輝線上で光る短い輝線により、運転手は歩行者の状況(正確な位置や距離感や道路内への侵入有無)を視認性よく把握することができる路面描画システムが得られる。具体的には、中央白線に沿った直線状の輝線によって歩行者の存在やその正確な位置が運転者へ伝えられるので、T字等の複雑な光を照射する場合よりも運転者の注目すべき範囲がより絞り込まれ、歩行者の位置が明確に分かりやすくなる。また、運転者の注目すべき範囲がより絞り込まれることで運転者の視線移動も少なくなる。これは歩行者が遠方に存在する場合に特に顕著となる。これらにより、歩行者の状況を視認性よく把握することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態では白線に対する歩行者の位置(白線内/白線外)に応じて輝線の描画態様を連続照射から点滅照射に切り替えているので、歩行者の状況変化をより把握しやすい。さらに、天候の悪い場合や白線が存在しない場合(検出不能の場合を含む)においても輝線の描画態様を切り替えているので、歩行者の状況変化をより把握しやすい。また、特に図10(A)及び図10(B)に示した描画態様では、歩行者の足下に輝線が照射されることになるので、例えばスマートフォンを操作するために下を向いている歩行者などに対しても注意喚起を図りやすいという利点もある。
【0052】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。
【0053】
本開示は、以下に付記する特徴を有する。
【0054】
(付記1)
車両の前方空間を撮影するカメラと、
前記カメラによって得られる画像データに基づいて前記前方空間に存在する歩行者を検出するとともに前記車両の前方の道路の白線を検出し、当該各検出結果に基づいて前記道路に光を照射するための制御を行うコントローラと、
前記コントローラによる制御を受けて前記道路に光を照射するランプユニットと、
を含み、
前記コントローラは、前記歩行者が存在し、かつ当該歩行者と前記車両との相対距離が閾値より小さい場合に、前記歩行者の位置に対応する前記道路上の位置に第1輝線が照射されるように前記ランプユニットを制御するものであり、
前記第1輝線は、前記道路における前記車両の走行車線である自車線とこれに隣り合う対向車線との間に設けられている中央白線の延在方向に沿った直線状の光であって当該中央白線に重ねて照射される、
路面描画システム。
(付記2)
前記コントローラは、前記歩行者の位置が前記対向車線側の前記白線よりも前記道路の外側にある場合には前記第1輝線が連続照射され、前記歩行者の位置が前記対向車線側の前記白線よりも前記道路の内側にある場合には前記第1輝線が点滅照射されるように前記ランプユニットを制御する、
付記1に記載の路面描画システム。
(付記3)
前記コントローラは、前記前方空間に前記歩行者が存在し、かつ前記歩行者と前記車両との前記相対距離が前記閾値以上である場合に、前記第1輝線よりも長い直線状の光である第2輝線を前記中央白線に重ねて照射させるように前記ランプユニットを制御する、
付記1又は2に記載の路面描画システム。
(付記4)
前記コントローラは、前記歩行者の位置が前記対向車両側の前記白線よりも前記道路の外側にある場合には前記第2輝線が連続照射され、前記歩行者の位置が前記対向車両側の前記白線よりも前記道路の内側にある場合には前記第2輝線が点滅照射されるように前記ランプユニットを制御する、
付記3に記載の路面描画システム。
(付記5)
前記第1輝線は、前記歩行者の位置の移動に伴って照射位置が変更される、
付記1~4の何れかに記載の路面描画システム。
(付記6)
雨滴センサを更に備え、
前記コントローラは、前記雨滴センサの出力に基づき前記前方空間が雨天であることを検出した場合には、前記歩行者と前記車両との前記相対距離に関わらず前記第2輝線の照射を継続させるとともに、当該第2輝線に重ねて前記第1輝線を照射させるように前記ランプユニットを制御する、
付記3又は4に記載の路面描画システム。
(付記7)
前記第1輝線は、前記第2輝線よりも高い照度で照射され、及び/又は前記第2輝線とは異なる色調で照射される、
付記6に記載の路面描画システム。
(付記8)
前記コントローラは、前記中央白線を検出できない場合には、前記道路の幅ないし形状に基づいて、前記道路の延在方向に沿って延びる仮想線であって前記道路の略中央配置されるものである境界線を演算し、前記歩行者と前記車両との前記相対距離に関わらずに当該境界線に沿って前記第2輝線を照射させるとともに、当該第2輝線に重ねて前記第1輝線を照射させるように前記ランプユニットを制御する、
付記3又は4に記載の路面描画システム。
(付記9)
前記第1輝線は、前記第2輝線よりも高い照度で照射され、及び/又は前記第2輝線とは異なる色調で照射される、
付記8に記載の路面描画システム。
(付記10)
前記コントローラは、複数の前記歩行者が存在する場合には、各前記歩行者と前記車両との相対距離に関わらず、各前記歩行者の位置に対応する前記道路上の位置のそれぞれに前記第1輝線が照射されるように前記ランプユニットを制御する、
付記1~9に記載の路面描画システム。
(付記11)
複数の前記第1輝線に対応する歩行者のうち、少なくとも1つの歩行者の位置が前記白線よりも前記道路の内側にある場合には、前記道路の内側にいる前記歩行者に対応した前記第1輝線が点滅照射されるように前記ランプユニットを制御する、
付記10に記載の路面描画システム。
【符号の説明】
【0055】
1:路面描画システム、10:コントローラ、11:カメラ、12:雨滴センサ、13:車速センサ、14:自車位置データ、20:画像処理部、21:自車位置検出部、22:天候検出部、23:相対位置演算部、24:相対距離演算部、25:境界線演算部、26:路面描画制御部、30L、30R:ランプユニット、31:ドライバ、32:LEDアレイ、100:歩行者、110:中央白線、111、112:白線、113、114:輝線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11