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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142922
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】引戸用クローザのトリガー構造
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/16 20060101AFI20241003BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20241003BHJP
   E05F 5/00 20170101ALI20241003BHJP
【FI】
E05F1/16 A
E05D15/06 125Z
E05F5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055334
(22)【出願日】2023-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】592166126
【氏名又は名称】株式会社中尾製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】若山 豊
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034CA15
2E034CB03
2E034EA05
(57)【要約】
【課題】戸袋の外側でトリガーを交換することができ、かつ引戸が開かれる際に生じる衝突音を抑えることができる引戸用クローザのトリガー構造を提供する。
【解決手段】戸袋2内を出入りする引戸3を吊り下げるレール4に取り付けられ、戸袋2内に位置するトリガー21を有し、引戸用クローザ5がトリガー21に係合することにより、引戸3を戸袋2内に引き込むものであり、トリガー21が固定される帯状のトリガープレート6と、戸袋2内でレール4の上面部に固定される帯状の戸尻側ストッパ12と、戸袋2の外側でレール4に着脱可能に取り付けられる帯状の戸先側ストッパ15とを備える。レール4の内部に設けられる案内部4bに支持されるトリガープレート6が戸尻側ストッパ12と戸先側ストッパ15との間に挟まれている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸袋内を出入りする引戸を吊り下げるレールに取り付けられ、前記戸袋内に位置するトリガーを有し、前記引戸の上部に取り付けられる引戸用クローザが前記トリガーに係合することにより、前記引戸を前記戸袋内に引き込む引戸用クローザのトリガー構造であって、
前記トリガーが固定される帯状のトリガープレートと、
前記戸袋内で前記レールの内部の上面部に固定される帯状の戸尻側ストッパと、
前記戸袋の外側で前記レールの内部の上面部に着脱可能に取り付けられる帯状の戸先側ストッパとを備え、
前記レールの内部に前記レールの長さ方向に沿って設けられる案内部を有し、前記案内部に前記トリガープレートが前記レールの長さ方向に沿って移動可能に支持されており、
前記トリガープレートが前記戸尻側ストッパと前記戸先側ストッパとの間に挟まれている引戸用クローザのトリガー構造。
【請求項2】
前記戸尻側ストッパが下方に突出する凸部を有し、前記凸部が前記戸尻側ストッパの戸先側端部よりも戸尻側に位置しており、前記戸尻側ストッパの凸部が前記トリガープレートの戸尻側端部を受けるものであり、
前記戸尻側ストッパの戸先側端部が前記トリガープレートの上方に位置し、
前記戸尻側ストッパの戸先側端部に下向きの突出部が設けられ、前記突出部が前記トリガープレートを前記レールの案内部の下部に押し付けるようになっている請求項1に記載の引戸用クローザのトリガー構造。
【請求項3】
前記トリガープレートの長さ方向両方向の端部に凹部が設けられ、前記戸尻側ストッパおよび前記戸先側ストッパが、前記レールの長さ方向内側を向き、かつ前記凹部に嵌合する受け面部を有し、
前記トリガープレートと前記戸尻側ストッパとの間、および前記トリガープレートと前記戸先側ストッパとの間が、前記凹部と前記受け面部との嵌合により係合している請求項1または請求項2に記載の引戸用クローザのトリガー構造。
【請求項4】
前記戸尻側ストッパの戸先側先端部が、前記レールの長さ方向内側に向かうに従い上向きに延びるテーパ面を有している請求項1または請求項2に記載の引戸用クローザのトリガー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、戸袋内に引戸を引き込む引戸用クローザを作動させる引戸用クローザのトリガー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、戸袋の上枠に設けたレールに吊り下げられた引戸に引戸用クローザが設けられている。この引戸用クローザは、引戸を戸袋内の戸尻寄りの位置から戸尻側端部まで自動的に引き込んで開かせるものである。そして、引戸用クローザは、戸袋内の上枠に設けたレールに取り付けられたトリガーに係合することで、引戸を戸袋内に引き込むようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、戸袋内に配置される内側レールと、内側レールから戸先側へ向かって延びる外側レールと、引戸の上部に設けられ、前記レールを移動可能な引戸に設けた引戸用クローザと、戸袋内に配置されるトリガーとを備える引戸クローザセットが開示されている。
【0004】
上記の引戸用クローザのトリガー構造では、前記トリガーが一体に結合されるトリガー一体プレート(本願でのトリガープレート)を備え、前記内側レールには、前記トリガー一体プレートを戸先側から挿入、かつ引き抜き可能な案内部が設けられている。このトリガー一体プレートは、長さ方向の一端部に前記トリガーが結合され、他端部に外側レールに対する取付け部が設けられているものである。前記トリガー一体プレートの大部分は、前記内側レールの案内部に挿入されている。また、前記トリガー一体プレートの取付け部は、前記戸袋の外側に位置する外側レールの案内部に挿入され、ねじ等の締結部材により前記外側レールに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-176331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、引戸が勢いよく開閉されるなどして、引戸用クローザからトリガーに大きな力が掛かり続けられることで、前記トリガーに変形や破損が生じることがある。この場合、特許文献1での引戸用クローザのトリガー構造では、トリガー一体プレートの取付け部のねじ等の締結部材を外して、トリガー一体プレートを戸袋の外側で交換することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1での引戸用クローザのトリガー構造では、トリガー一体プレートは内側レールに対して固定されておらず、トリガー一体プレートの取り付け部において、外側レールに固定されているのみである。このため、引戸が勢い良く開かれて、引戸用クローザがトリガーに係合する際、トリガーと共にトリガー一体プレートの一端側が勢いよく跳び上がる。その結果、トリガー一体プレートの一端部が内側レールの案内部の上部に衝突して、大きな衝突音が発生する。
【0008】
そこで、この発明の課題は、戸袋の外側でトリガーを交換することができ、かつ引戸が勢い良く開かれる際に生じる衝突音を抑えることができる引戸用クローザのトリガー構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、以下の構成1~4を備えるものである。
[構成1]
戸袋内を出入りする引戸を吊り下げるレールに取り付けられ、前記戸袋内に位置するトリガーを有し、前記引戸の上部に取り付けられる引戸用クローザが前記トリガーに係合することにより、前記引戸を前記戸袋内に引き込む引戸用クローザのトリガー構造であって、前記トリガーが固定される帯状のトリガープレートと、前記戸袋内で前記レールの内部の上面部に固定される帯状の戸尻側ストッパと、前記戸袋の外側で前記レールの内部の上面部に着脱可能に取り付けられる帯状の戸先側ストッパとを備え、前記レールの内部に前記レールの長さ方向に沿って設けられる案内部を有し、前記案内部に前記トリガープレートが前記レールの長さ方向に沿って移動可能に支持されており、前記トリガープレートが前記戸尻側ストッパと前記戸先側ストッパとの間に挟まれている引戸用クローザのトリガー構造。
【0010】
この構成では、引戸が勢い良く開かれて、引戸用クローザがトリガーに係合する際、トリガーと共にトリガープレートの戸尻側端部に作用する上向きの外力を、戸尻側ストッパで受けることができる。このため、トリガープレートの戸尻側端部のレールの案内部の上部への衝突を抑えることができる。
【0011】
[構成2]
前記戸尻側ストッパが下方に突出する凸部を有し、前記凸部が前記戸尻側ストッパの戸先側端部よりも戸尻側に位置しており、前記戸尻側ストッパの凸部が前記トリガープレートの戸尻側端部を受けるものであり、前記戸尻側ストッパの戸先側端部が前記トリガープレートの上方に位置し、前記戸尻側ストッパの戸先側端部に下向きの突出部が設けられ、前記突出部が前記トリガープレートを前記レールの案内部の下部に押し付けるようになっている構成1に記載の引戸用クローザのトリガー構造。
【0012】
この構成によると、トリガープレートの戸尻側端部がレールの案内部の下部と戸尻側ストッパの戸先側端部の突出部との間で保持されるので、上述するトリガープレートの戸尻側端部に作用する上向きの外力を、戸尻側ストッパの戸先側端部で確実に受けることができる。
【0013】
[構成3]
前記トリガープレートの長さ方向両方向の端部に凹部が設けられ、前記戸尻側ストッパおよび前記戸先側ストッパが、前記レールの長さ方向内側を向き、かつ前記凹部に嵌合する受け面部を有し、
前記トリガープレートと前記戸尻側ストッパとの間、および前記トリガープレートと前記戸先側ストッパとの間が、前記凹部と前記受け面部との嵌合により係合している構成1または構成2に記載の引戸用クローザのトリガー構造。
【0014】
この構成によると、トリガープレートは戸尻側ストッパおよび戸先側ストッパとの間で、凹部と受け面部との嵌合により係合している。このため、トリガープレートがレールに対して、レールの幅方向に位置決めされる。
【0015】
[構成4]
前記戸尻側ストッパの戸先側先端部が、前記レールの長さ方向内側に向かうに従い上向きに延びるテーパ面を有している構成1から構成3のいずれかに記載の引戸用クローザのトリガー構造。
【0016】
この構成では、レールの案内部内に沿ってトリガープレートを戸尻側ストッパへ向かって移動させる際、トリガープレートが戸尻側ストッパの戸先側先端部に突き当たることなく、戸尻側ストッパの戸先側端部の下方に円滑に移動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、トリガーを固定したトリガープレートが、戸尻側ストッパと戸先側ストッパとの間に挟まれているので、引戸が勢い良く開かれて、引戸用クローザがトリガーに係合する際、トリガーと共にトリガープレートの戸尻側端部に作用する上向きの外力を、戸尻側ストッパで受けることができる。その結果、引戸が勢い良く開かれる際に生じる衝突音を抑えることができる。
【0018】
また、戸先側側ストッパを戸袋の外側で取り外して、さらに戸袋の外側に配置されるレールを外すことで、トリガープレートをレールの案内部から抜き取ることができる。このため、戸袋を破壊することなく、トリガーが固定されたトリガープレートを容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施形態に係る引戸用クローザのトリガー構造を用いた引戸を示す正面図
図2】同実施形態に係る引戸用クローザのトリガー構造を示す要部拡大断面図
図3図2中のA-A線における断面図
図4】同実施形態の戸先側ストッパ、戸尻側ストッパおよびトリガープレートを示す斜視図
図5】(a)同実施形態の戸先側ストッパの上方から見た斜視図、(b)同実施形態の戸先側ストッパの側面図
図6図2中のB-B線における断面図
図7図2中のC-C線における断面図
図8図2中のD-D線における断面図
図9】同実施形態での内側レールに戸尻側ストッパが取り付けられた状態を示す一部切り欠き斜視図
図10図9に示す内側レールの戸尻側ストッパがトリガープレートを受ける状態を示す一部切り欠き斜視図
図11図9に示す内側レールに戸先側ストッパの戸尻側先端部を挿入する前の状態を示す拡大斜視図
図12図9に示す外側レールに戸先側ストッパを取り付けて、上枠に外側レールを固定した状態を示す一部切り欠き斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の引戸用クローザのトリガーの取り付け構造の実施形態を図面の図1図12に基づいて説明する。図1は、この発明の引戸用クローザのトリガー構造の使用の一例を示している。引戸用クローザのトリガー構造は、部屋の出入り口1に隣接して設けられる戸袋2内で用いられる。
【0021】
図1、2に示すように、引戸用クローザのトリガー構造は、戸袋2内を出入りする方向にスライド移動する引戸3を吊り下げるレール4に取り付けられ、戸袋2内に位置するトリガー21が固定されるトリガープレート6を有する。トリガープレート6のトリガー21に、引戸3の上部に取り付けられる引戸用クローザ5が係合することにより、引戸3を戸袋2内に引き込む。なお、以下において、引戸3のスライド移動する方向を左右方向とし、左右方向に対して直交する引戸3の厚さ方向を前後方向と呼ぶものとする。
【0022】
部屋の出入り口1および戸袋2には、その上縁に沿って左右方向に延びる鴨居としての上枠7が設けられ、上枠7の下面にレール4が取り付けられている。図3に示すように、レール4は、断面矩形の下方に開放する角筒状の枠体である。レール4は、戸袋2内に配置される内側レール8と、出入り口1側に配置される外側レール9とを含む。
【0023】
図3に示すように、内側レール8の上面部には、内側レール8の内部から上向きに凹む上溝部4aと、上溝部4aの前後方向両側の下端に位置し、前後方向外向きに凹む前後一対の案内部4bとを有する。上溝部4aの溝底面は平坦面である。上溝部4aの前後方向両側に形成される溝側面4cは、下方に向かうに従って前後方向外向きに広がるテーパ面となっている。上溝部4aのそれぞれの溝側面4cの下端部に、案内部4bが位置している。前後一対の案内部4bは前後方向に対向している。
【0024】
内側レール8の前後方向両方の下端部には、前後方向内向きにそれぞれ突出する突出部4dが設けられ、それぞれの突出部4dの間が開放している。上溝部4a、案内部4bおよび突出部4dは内側レール8の全長にわたって設けられている。外側レール9は、内側レール8と同じ構造であるので、内側レール8と同じ符号を付してその構造の説明を省略する。外側レール9の上溝部4a内の上面部には、戸先側のトリガー(図示省略)が固定されている。
【0025】
図1に示すように、引戸3は、その上部の戸先側端部と戸尻側端部にそれぞれ設けられる戸車ユニット10と、戸先側寄りの上部に設けられる引戸用クローザ5とを有する。戸車ユニット10は二対の戸車10aを有する。図3に示すように、二対の戸車10aは、内側レール8(外側レール9)の突出部4d上を転走する。
【0026】
引戸用クローザ5は、戸先側端部に戸車ユニット10が着脱可能に取り付けられ、戸尻側端部に一対の戸車11aを有する戸車ユニット11が着脱可能に取り付けられている。一対の戸車11aも戸車ユニット10の戸車10aと同様に、内側レール8(外側レール9)の突出部4d上を転走する。
【0027】
引戸用クローザ5は、ばねやダンパを用いて、引戸3が急激に開閉されるときに、捕捉した後述するトリガープレート6のトリガー21または戸先側のトリガーを所定の位置まで引き込み、引戸3が戸袋2内へゆっくり引き込まれて開き、または引戸3がゆっくり閉まるようにする制動装置である。なお、このような制動装置は、従来から広く知られたものである。したがって、詳細な説明は省略する。
【0028】
図4および図5に示すように、内側レール8の上溝部4a内の上面部に戸尻側ストッパ12が取り付けられている。戸尻側ストッパ12は左右方向に延びる帯状部材である。戸尻側ストッパ12は下向きの凸部13を有する。凸部13は戸先側を向く受け面部13aを有する。受け面部13aは前後方向中央に向かって左右方向内向きに突き出る山形のテーパ面を有する。戸尻側ストッパ12の左右方向両側の端部に取り付け孔12aが設けられる。
【0029】
戸尻側ストッパ12の下面の前後方向両側に二本の突出部となる突条12bが設けられる。突条12bは、凸部13に対して戸先側に位置し、左右方向に沿って下向きに設けられる。戸尻側ストッパ12の戸先側の先端部に傾斜面部12cが設けられる。傾斜面部12cは戸先側に向かって上向きに傾斜している。
【0030】
戸尻側ストッパ12は、内側レール8の上溝部4a内の上面部に対して、取り付け孔12aに通したリベット22の加締めにより取り付けられる。戸尻側ストッパ12の内側レール8に対する左右方向の取り付け位置は、引戸3が戸袋2の戸尻側端部に近づいたときに、トリガープレート6のトリガー21が引戸用クローザ5に捕捉されて引き込まれる位置にある。
【0031】
トリガープレート6は、左右方向に沿う長尺の帯状部材である。トリガープレート6の戸尻側端部寄りにトリガー21が取り付けられる。トリガー21は円柱状部材であり、下向きに突出している。引戸3が内側レール8の戸尻側端部に近づいたとき、トリガー21が引戸用クローザ5に捕捉され引き込まれて、引戸用クローザ5を作動させる。トリガープレート6の左右方向両端部には、凹部14が設けられる。それぞれの凹部14は、前後方向中央に向かって左右方向内向きに凹む谷形をなしている。
【0032】
図7に示すように、トリガープレート6は、前後一対の案内部4bの間に架け渡される状態で、前後一対の案内部4b内に挿入されている。これにより、トリガープレート6は前後一対の案内部4bに支持されている。トリガープレート6の戸尻側端部は、戸尻側ストッパ12の戸先側端部と前後一対の案内部4bの下部との間に位置している。このとき、トリガープレート6の戸尻側端部は、戸尻側ストッパ12の突条12bにより、前後一対の案内部4bの下部へ向かって押し付けられている。また、トリガープレート6の戸尻側の凹部14と戸尻側ストッパ12の凸部13の受け面部13aとが互いに係合する状態となっている(図10参照)。
【0033】
図4図5(a)に示すように、戸先側ストッパ15は、帯状をなす基部15aと、基部15aの戸先側の下部に一体に形成される支持板部15bと、支持板部15bから戸尻側へ延び出す受け片部15cとを有する。基部15aは内側レール8の上溝部4aに嵌まり合う。基部15aの断面形状は上溝部4aの内部の断面形状と合致している(図3参照)。基部15aの上面は上溝部4aの溝底面に沿う平坦面である。基部15aの前後方向両方の側面は上溝部4aの溝側面4cに沿って、下方に向かうに従って前後方向外向きに広がるテーパ面である。
【0034】
基部15aは、受け片部15cよりも戸尻側へ突き出ている。基部15aの戸尻側端部の下面には、前後方向両側に突条15dが設けられている。それぞれの突条15dは、左右方向に沿って形成されている。図5(b)に示すように、基部15aの戸尻側先端面は下方に向かうに従って左右方向外向きに傾斜するテーパ面となっている。
【0035】
支持板部15bは長方形であって、基部15aの戸先側部分に対して、前後方向両方向に突き出している。図3に示すように、支持板部15bは、内側レール8の前後一対の案内部4bの間に架け渡されている状態で、その前後一対の案内部4bの下部に支持されている。
【0036】
受け片部15cは基部15aおよび支持板部15bと一体に形成される。受け片部15cの前後方向の幅は、支持板部15bの前後方向の幅よりも小さく、かつ、基部15aの下端部の前後方向の幅と同じである。受け片部15cの前後方向の両縁と、基部15aの下端部の前後方向の両縁とが揃っている。受け片部15cの戸尻側端部に、戸尻側を向く端面となる受け面部15eを有する。受け面部15eは、前後方向中央に向かって左右方向内向きに突き出る山形のテーパ面を有している。戸先側ストッパ15の左右方向中央よりも戸先側に取り付け孔15fが二箇所に設けられている。
【0037】
図8に示すように、トリガープレート6の戸先側端部は、戸先側ストッパ15の支持板部15bの戸尻側端部と前後一対の案内部4bの下部との間に位置している。このとき、トリガープレート6の戸先側端部は、戸先側ストッパ15の突条15dにより、前後一対の案内部4bの下部へ向かって押し付けられている。また、トリガープレート6の戸先側の凹部14と戸先側ストッパ15の受け面部15eとが互いに係合する状態となっている(図4参照)。トリガープレート6が、戸尻側ストッパ12と戸先側ストッパ15との間に挟まれる。これにより、トリガープレート6は戸袋2内で内側レール8の長さ方向に位置決めされる。ここで、トリガープレート6の支持板部15bの戸尻側端部は、内側レール8内であって、戸袋2内に位置している。
【0038】
外側レール9内に戸先側のトリガー(図示省略)が取り付けられている。戸先側のトリガーの外側レール9に対する左右方向の位置は、引戸3が戸先側端部に近づいたときに、戸先側のトリガーが引戸用クローザに捕捉され引き込まれる位置にある。
【0039】
この発明に係る実施形態の引戸用クローザのトリガー構造は以上のように構成される。次に、この引戸用クローザのトリガー構造のトリガープレート6の取り付けを図面に基づいて説明する。
【0040】
まず、内側レール8の上溝部4a内に戸尻側ストッパ12を配置する。続いて、リベット22により戸尻側ストッパ12を内側レール8の上面部の所定位置に固定する。このとき、戸尻側ストッパ12の凸部13が下向きに突出し、かつ、その凸部13の受け面部13aが戸先側を向く状態となっている。
【0041】
図9に示すように、戸袋2を施工後、戸尻側ストッパ12が固定された内側レール8を上枠7の下面に固定する。ここで、内側レール8が戸袋2内に位置している。そして、トリガープレート6を内側レール8の案内部4bに戸尻側へ挿入する。このとき、トリガープレート6のトリガー21は、戸尻側に位置する状態、かつ下方に突出する状態となっている。さらに、トリガープレート6を、戸尻側ストッパ12の戸先側端部の下方に挿入する。そして、トリガープレート6の戸尻側の凹部14を戸尻側ストッパ12の凸部13の受け面部13aに当てる(図10参照)。なお、戸袋2の施工前に予め内側レール8に戸尻側ストッパ12を固定してもよい。
【0042】
次に、内側レール8の内部に戸車ユニット10、10を入れて引戸3を内側レール8に吊り下げる。そして、図11に示すように、外側レール9の戸尻側端部の上溝部4aおよび前後一対の案内部4bに、戸先側ストッパ15を戸先側端部から挿入する。この状態の外側レール9を上枠7に沿って配置し、外側レール9の戸尻側端面を内側レール8の戸先側端面に突き合わせる。そして、戸先側ストッパ15を戸尻側へ向かって移動させる。ここで、戸先側ストッパ15の基部15aの断面形状は、内側レール8および外側レール9の上溝部4aと同じ断面形状である。このため、戸先側ストッパ15の基部15aを、外側レール9の上溝部4a内と、内側レール8の上溝部4a内に跨って挿入させることにより、内側レール8に対して外側レール9のセンター出し(前後方向の位置合わせ)を行うことができる。内側レール8に対して外側レール9のセンター出しが行われた後、外側レール9を上枠7に固定する。
【0043】
続いて、戸先側ストッパ15の基部15aの戸尻側端部を、内側レール8の上溝部4a内に挿入しつつ、トリガープレート6の上方に差し込む。そして、戸先側ストッパ15の受け面部15eをトリガープレート6の戸先側の凹部14に当てる。この状態で、外側レール9の下方から、ねじ23を外側レール9を貫通させて、戸先側ストッパ15を上枠7に取り付ける。その後、外側レール9に戸先側トリガー(図示省略)を固定する。なお、外側レール9を上枠7に取り付ける前に、戸先側トリガーを外側レール9に取り付けてもよい。以上のようにして、トリガープレート6が内側レール8に取り付けが行われる。
【0044】
この発明に係る実施形態において、トリガープレート6は、経年劣化や、引戸3の激しい開閉により、トリガープレート6のトリガー21が損傷した場合など、交換する必要がある。トリガープレート6の交換は、以下のようにして行われる。すなわち、まず、戸先側ストッパ15のねじ23を外す。そして、戸先側ストッパ15を完全に外側レール9内へと戸先側へ移動させた後、上枠7から外側レール9を外す。続いて、内側レール8からトリガープレート6を抜き出し、新品のトリガープレート6を内側レール8の案内部4bへ挿入する。その後、上述したように、戸先側ストッパ15と外側レール9を上枠7に取り付ける。このようにしてトリガー21を有するトリガープレート6を容易に交換することができる。
【0045】
この発明に係る実施形態では、戸袋2内の内側レール8内において、トリガー21を有するトリガープレート6が、戸尻側ストッパ12の凸部13の受け面部13aと、戸先側ストッパ15の受け面部15eとの間に挟まれた状態となっている。これにより、引戸3が勢い良く開かれて、引戸用クローザ5がトリガー21に勢い良く係合する際、トリガー21と共にトリガープレート6の戸尻側端部に作用する上向きの外力を、戸尻側ストッパ12の凸部13の受け面部13aで受けることができる。その結果、トリガープレート6の戸尻側端部と、内側レール8の案内部4bの上部との衝突を抑えることができ、さらに衝突音の発生も抑えることができる。
【0046】
また、戸尻側ストッパ12は、突条12bによりトリガープレート6を内側レール8の案内部4bの下部に押し付ける。この押し付けにより、トリガープレート6の戸尻側端部が内側レール8の案内部4bの下部と戸尻側ストッパ12の戸先側端部との間で保持される。そして、上述するトリガープレート6の戸尻側端部に作用する上向きの外力を、戸尻側ストッパ12の戸先側端部で確実に受けることができる。
【0047】
さらに、戸先側ストッパ15は、突条15dによりトリガープレート6を内側レール8の案内部4bの下部に押し付けるものである。この押しつけにより、トリガープレート6の戸先側端部が内側レール8の案内部4bの下部と戸先側ストッパ15の基部15aの戸尻側端部との間で確実に保持される。
【0048】
また、トリガープレート6の戸尻側の凹部14は、戸尻側ストッパ12の凸部13の受け面部13aに嵌合している。さらに、トリガープレート6の戸先側の凹部14は、戸先側ストッパ15の受け面部15eに嵌合している。この嵌合によって、トリガープレート6は戸尻側ストッパ12および戸先側ストッパ15に係合して、内側レール8の幅方向に位置決めされる。その結果、トリガープレート6のトリガー21の位置決めがなされて、引戸3の引戸用クローザ5に確実に捕捉され、引き込まれる。
【0049】
さらに、戸尻側ストッパ12の戸先側の先端部が傾斜面部12cとなっている。この傾斜面部12cは、戸先側に向かって上向きに傾斜しているので、トリガープレート6を戸尻側ストッパ12の戸先側端部の下方に円滑に移動させることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 出入り口
2 戸袋
3 引戸
4 レール
4a 上溝部
4b 案内部
4c 溝側面
4d 突出部
5 引戸用クローザ
6 トリガープレート
7 上枠
8 内側レール
9 外側レール
10、11 戸車ユニット
10a、11a 戸車
12 戸尻側ストッパ
12a 取り付け孔
12b 突条
12c 傾斜面部
13 凸部
13a 受け面部
14 凹部
15 戸先側ストッパ
15a 基部
15b 支持板部
15c 受け片部
15d 突条
15e 受け面部
15f 取り付け孔
21 トリガー
22 リベット
23 ねじ
図1
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