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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014293
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】即時脱型型枠
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/10 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B28B7/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117006
(22)【出願日】2022-07-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り アスザック株式会社は、令和3年11月10日に株式会社福井鉄工所に対し、自社所有の即時脱型型枠(CV-20クイックブロック型枠2ヶ取(4号機))を、田中正明(アスザック株式会社)が発明した即時脱型型枠(以下、本発明製品)に改造するため、具体的な構造を株式会社福井鉄工所に公開。
(71)【出願人】
【識別番号】000126447
【氏名又は名称】アスザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 正明
【テーマコード(参考)】
4G053
【Fターム(参考)】
4G053AA07
4G053BB03
4G053BD04
4G053BE02
4G053EA02
(57)【要約】
【課題】コンクリート製品の即時脱型型枠において、側板のどちら側からでも側板のロックを解除することが可能な即時脱型型枠の構成を提供すること。
【解決手段】底板10、底板10の上面において互いに接近・離反可能な第1側板32および第2側板34、底板10の上面において対向した状態で立設された第3側板36および第4側板38とで底板10の上面に上面開口の函状空間60を形成する側板部30、第1側板32と第2側板34を接近・離反動作させる側板駆動機構40、第3側板36と第4側板38の外表面に沿って第1側板32と第2側板34に掛け渡された状態で配設され、函状空間60を形成する型締め状態と函状空間60を開放可能にする開放可能状態を切り替える側板状態切替部50を具備し、第1回動板51および第2回動板52のいずれか一方の操作のみにおいて型締め状態および開放可能状態が切り替え可能である即時脱型型枠100である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、前記底板の上面において互いに対向した状態で立設されていると共に接近・離反可能な第1側板および第2側板と、前記底板の上面において互いに対向した状態で立設された第3側板および第4側板とにより前記底板の上面において上面開口の直方体状の函状空間が形成可能な側板部と、前記第1側板および前記第2側板を接近・離反動作させる側板駆動機構と、前記第3側板および前記第4側板のそれぞれの外表面に沿って前記第1側板と前記第2側板とに掛け渡された状態で配設され、前記第1側板および前記第2側板の接近・離反動作を規制して前記側板部により前記函状空間を形成する型締め状態と、前記第1側板および前記第2側板の接近・離反動作を許容して前記側板部による前記函状空間を開放可能にする開放可能状態とを切り替えする側板状態切替部と、を具備し、
前記第1側板および前記第2側板の幅方向両端部において、前記第1側板および前記第2側板が接近・離反動作する方向と同一水平面内で直交する側面にはピンが立設されていて、
前記側板状態切替部は、前記ピンが挿通される長孔が形成されていると共に前記ピンを中心軸として回動可能な、前記第1側板に取り付けられた第1回動板および前記第2側板に取り付けられた第2回動板と、前記第1回動板および前記第2回動板における前記ピンと平行に取り付けられた連結ピンと、前記第1回動板および前記第2回動板における前記連結ピンに連結された第1フックおよび第2フックと、前記第1フックと前記第2フックとを連結するロッドとを有し、
作業者が前記側板状態切替部を操作し、前記第1回動板における前記連結ピンの位置を前記第1回動板における前記ピンの位置よりも外方側において前記ピンの位置よりも前記底板の側の位置にすること、および、前記第2回動板における前記連結ピンの位置を前記第2回動板における前記ピンの位置よりも外方側において前記ピンの位置よりも前記底板の側の位置にすることにより、前記型締め状態に設定可能であると共に、前記作業者が前記側板状態切替部を操作し、前記第1回動板における前記連結ピンの位置を前記第1回動板における前記ピンの位置よりも前記函状空間の前記上面開口の側の位置にすること、または、前記第2回動板における前記連結ピンの位置を前記第2回動板における前記ピンの位置よりも前記函状空間の前記上面開口の側の位置にすることにより、前記開放可能状態に設定可能であって、
前記ロッドは、前記第1回動板および前記第2回動板のいずれか一方の操作のみにおいて前記型締め状態および前記開放可能状態が切り替え可能な長さに形成されていて、
前記第1回動板には、前記開放可能状態において前記第2回動板の側で前記第1回動板の前記連結ピンの位置が前記第1回動板の前記ピンの位置よりも前記函状空間の前記上面開口の側の位置を維持するように前記第1回動板の回動を規制する第1ストッパが設けられ、
前記第2回動板には、前記開放可能状態において前記第1回動板の側で前記第2回動板の前記連結ピンの位置が前記第2回動板の前記ピンの位置よりも前記函状空間の前記上面開口の側の位置を維持するように前記第2回動板の回動を規制する第2ストッパが設けられていることを特徴とする即時脱型型枠。
【請求項2】
前記ロッドは、
前記第1フックから延びる第1ロッドと、前記第2フックから延びる第2ロッドと、前記第1ロッドおよび前記第2ロッドの先端部所要長さ範囲に形成されたねじ部に螺着されるターンバックルを有していることを特徴とする請求項1記載の即時脱型型枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は即時脱型型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートブロックに代表されるコンクリート製品を短時間で製造する際には、成形用空間を形成する型枠に水分量の少ないコンクリート材料が振動を加えられながら充填され、成形用空間内に充填されたコンクリート材料に圧力を加えた後、成形用空間からコンクリート製品を直ちに取り出すことを可能にした即時脱型型枠が知られている。このような即時脱型型枠としては、例えば特許文献1(特開平10-296711号公報)に開示されている構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-296711号公報(明細書段落0011-0018,図1および図6他)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている即時脱型型枠は、成形品が内蔵された状態の即時脱型型枠をベルトコンベアで搬送しながらコンクリート製品を成形用空間から取り出す脱型作業をベルトコンベアの片側に配置された作業員のみで行う(即時脱型型枠の側板の一方側の面からコンクリート製品を取り出す)ことを可能にしている。近年、即時脱型型枠を用いたコンクリート製品の製造装置においては、成形用空間への材料投入からコンクリート製品の取り出しが行われ、コンクリートブロックのみをベルトコンベア等で搬出する形態が多く採用されている。このような製造装置における即時脱型型枠は、コンクリート製品の取り出し時において製造装置内で即時脱型型枠を上下反転させる方向に回転させる必要がある。
【0005】
このため、特許文献1に開示されている即時脱型を適用した場合、即時脱型型枠の回転後のロック操作部は製造装置の奥側になってしまい、作業者がロック操作部を操作することができない。このため、作業者は即時脱型型枠を回転させる前に側板のロックを解除する必要があるが、即時脱型型枠を回転させる前に側板のロックを解除すると、即時脱型型枠の回転中にコンクリート製品が破損し、製造歩留まりが低下するといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、コンクリート製品の即時脱型型枠において、成形用空間を形成する側板部において互いに向かい合う側板のどちら側からでも側板のロック状態の解除およびロック状態の設定を切り替え操作することが可能な即時脱型型枠の提案を目的とする。
【0007】
すなわち本発明は、底板と、前記底板の上面において互いに対向した状態で立設されていると共に接近・離反可能な第1側板および第2側板と、前記底板の上面において互いに対向した状態で立設された第3側板および第4側板とにより前記底板の上面において上面開口の直方体状の函状空間が形成可能な側板部と、前記第1側板および前記第2側板を接近・離反動作させる側板駆動機構と、前記第3側板および前記第4側板のそれぞれの外表面に沿って前記第1側板と前記第2側板とに掛け渡された状態で配設され、前記第1側板および前記第2側板の接近・離反動作を規制して前記側板部により前記函状空間を形成する型締め状態と、前記第1側板および前記第2側板の接近・離反動作を許容して前記側板部による前記函状空間を開放可能にする開放可能状態とを切り替えする側板状態切替部と、を具備し、前記第1側板および前記第2側板の幅方向両端部において、前記第1側板および前記第2側板が接近・離反動作する方向と同一水平面内で直交する側面にはピンが立設されていて、前記側板状態切替部は、前記ピンが挿通される長孔が形成されていると共に前記ピンを中心軸として回動可能な、前記第1側板に取り付けられた第1回動板および前記第2側板に取り付けられた第2回動板と、前記第1回動板および前記第2回動板における前記ピンと平行に取り付けられた連結ピンと、前記第1回動板および前記第2回動板における前記連結ピンに連結された第1フックおよび第2フックと、前記第1フックと前記第2フックとを連結するロッドとを有し、作業者が前記側板状態切替部を操作し、前記第1回動板における前記連結ピンの位置を前記第1回動板における前記ピンの位置よりも外方側において前記ピンの位置よりも前記底板の側の位置にすること、および、前記第2回動板における前記連結ピンの位置を前記第2回動板における前記ピンの位置よりも外方側において前記ピンの位置よりも前記底板の側の位置にすることにより、前記型締め状態に設定可能であると共に、前記作業者が前記側板状態切替部を操作し、前記第1回動板における前記連結ピンの位置を前記第1回動板における前記ピンの位置よりも前記函状空間の前記上面開口の側の位置にすること、または、前記第2回動板における前記連結ピンの位置を前記第2回動板における前記ピンの位置よりも前記函状空間の前記上面開口の側の位置にすることにより、前記開放可能状態に設定可能であって、前記ロッドは、前記第1回動板および前記第2回動板のいずれか一方の操作のみにおいて前記型締め状態および前記開放可能状態が切り替え可能な長さに形成されていて、前記第1回動板には、前記開放可能状態において前記第2回動板の側で前記第1回動板の前記連結ピンの位置が前記第1回動板の前記ピンの位置よりも前記函状空間の前記上面開口の側の位置を維持するように前記第1回動板の回動を規制する第1ストッパが設けられ、前記第2回動板には、前記開放可能状態において前記第1回動板の側で前記第2回動板の前記連結ピンの位置が前記第2回動板の前記ピンの位置よりも前記函状空間の前記上面開口の側の位置を維持するように前記第2回動板の回動を規制する第2ストッパが設けられていることを特徴とする即時脱型型枠である。
【0008】
これにより、コンクリート製品の即時脱型型枠において、成形用空間を形成する側板部において互いに向かい合う側板のどちら側からでも側板のロック状態の解除およびロック状態の設定を切り替え操作することが可能になる。
【0009】
また、前記ロッドは、前記第1フックから延びる第1ロッドと、前記第2フックから延びる第2ロッドと、前記第1ロッドおよび前記第2ロッドの先端部所要長さ範囲に形成されたねじ部に螺着されるターンバックルを有していることが好ましい。
【0010】
これにより、ロッドの長さ調整がターンバックル部分で微調整することができるため、ロッドを構成する第1ロッドと第2ロッドの長さ調整を厳密に行う必要がなくなり、ロッドの製造コストを低減させると共に、ロッドの長さを微調整することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、コンクリート製品の即時脱型型枠において、成形用空間を形成する側板部において互いに向かい合う側板のどちら側からでも側板のロック状態の解除およびロック状態の設定を切り替え操作することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態における即時脱型型枠の概略構成を示す平面図である。
図2】本実施形態における即時脱型型枠の正面図である。
図3】本実施形態における即時脱型型枠の左側面図である。
図4】本実施形態における第1回動板と第1フックおよび第1ロッドの組立状態における正面図および平面図である。
図5図4に示す第1回動板と第1フックおよび第1ロッドの組立体を第1フックおよび第1ロッドと第1回動板に分解した状態における正面図である。
図6図3に示した即時脱型型枠を上下反転させる方向に回転させた状態を示す左側面図である。
図7図6に示した状態から第2回動板のロックを解除した後、側板駆動機構により第2側板を第1側板から離反させている状態を示す左側面図である。
図8図7に続く状態であって、第2側板と第1側板が離反しきった状態を示す左側面図である。
図9図8に続く状態であって、第1回動板のロック状態を解除した状態を示す左側面図である。
図10図9に続く状態であって、第1回動板を再びロックした状態を示す左側面図である。
図11図10に続く状態であって、側板駆動機構により第1側板を第2側板に接近させている状態を示す左側面図である。
図12図11に続く状態であって、第1側板と第2側板を接近させきった後、第1回動板および第2回動板をロックした状態を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態における即時脱型型枠100は護岸用コンクリートブロックを成形品として製造するためのものであるが、本発明における即時脱型型枠100の成形品は護岸用コンクリートブロックに限定されるものではない。
【0014】
図1図2に示すように本実施形態における即時脱型型枠100は、底板10、底板10の上面に配設された中子20、底板10の上面に立設された側板部30、側板部30の一部を接近・離反動作させる側板駆動機構40および側板状態切替部50を具備している。底板10と側板部30によって底板10の上面には護岸用コンクリートブロック(以下、単にブロックという)の成形用空間としての上面開口の直方体状の函状空間60が形成されている。
【0015】
本実施形態における底板10は、平面視長方形状に形成されている。底板10の平面視長手側端縁には、側板部30を構成する複数枚の側板のうちの対向する一対の側板である移動側板31を接近・離反動作させるための側板駆動機構40の一部である油圧シリンダ42が取り付けステー12を介して取り付けられている。底板10の上面には中子20が配設されている。本実施形態における中子20は、函状空間60に複数のブロックを形成するための仕切板22と仕切板22に当接してブロックの輪郭線を形成するための輪郭形成用板24を固定する固定部材26を有しているが、この形態に限定されるものではない。また、底板10への中子20の取り付けは省略することもできる。
【0016】
また、底板10の上面に立設された側板部30は、底板10の外周縁に沿って平面視長方形状に配置された第1側板32、第2側板34、第3側板36および第4側板38を有している。本実施形態における第1側板32と第2側板34には、側板駆動機構40の一部を構成する油圧供給ポンプ44からの油圧により伸縮する油圧シリンダ42の出力軸(図示はせず)が連結されており、互いに接近・離反動作する移動側板31を構成している。第1側板32と第2側板34は、底板10の平面視長手側端縁に平行に立設されていると共に、内側面にはブロックの外表面に模様を振るための図示しない凹凸が形成されている。また、第1側板32および第2側板34の幅方向両端部には、第1側板32と第2側板34が接近・離反する方向と同一水平面内で直交する側面(第3側板36または第4側板38の外表面に平行な側面)にはピン32A(34A)が立設されている。
【0017】
また、第3側板36と第4側板38は、第1側板32および第2側板34の幅方向両端面に当接していると共に、底板10の平面視短手側端縁と平行に立設されている。第3側板36と第4側板38は、底板10の上面の所要位置において底板10に固定されており、固定側板39を構成している。
【0018】
本実施形態における側板駆動機構40は、第1側板32と第2側板34に取り付けられた油圧シリンダ42と、油圧シリンダ42に油圧を供給する油圧供給ポンプ44と、油圧供給チューブ46とを具備している。油圧供給チューブ46は、油圧供給ポンプ44と、油圧シリンダ42、第1側板32および第2側板34の各々に連結されている。油圧シリンダ42、油圧供給ポンプ44および油圧供給チューブ46は、公知の構成を採用することができるため、ここでの各々の構成に関する詳細な説明は省略する。
【0019】
本実施形態における即時脱型型枠100における第4側板38は、第3側板36と同様の形状であるため、図3を用いた第3側板36の形態を説明することで、右側面図を用いた第4側板38についての詳細な説明は省略している。図1図3に示すように、本実施形態における即時脱型型枠100には、第3側板36の外側表面に沿って側板状態切替部50が配設されている。側板状態切替部50は、第1側板32と第2側板34とに掛け渡された状態で配設されている。側板状態切替部50は、第1側板32および第2側板34の接近・離反動作を規制して函状空間60を形成する型締め状態と、第1側板32および第2側板34の接近・離反動作を許容して函状空間60を開放可能にする開放可能状態とを切り替えするものである。
【0020】
図3図5に示すように、本実施形態における側板状態切替部50は、第1回動板51、第2回動板52、連結ピン53、第1フック54、第2フック55、ロッド56およびターンバックル57を有している。なお、図面を簡略化するため、図1および図2以外の図面においては、側板駆動機構40の図示が省略されている。
【0021】
第1回動板51は同じ形で2枚形成されている。2枚の第1回動板51は、長孔58の位置が重複するように板厚方向に所要間隔をあけて平行にした状態にすると共に第1回動板51どうしの隙間部分に第1フック54を挟み込んだ状態にして連結ピン孔54Aに連結ピン53を挿通させた状態で連結されている。すなわち第1フック54は、連結ピン53が回転の中心軸として回動可能になっている。連結ピン53により連結された2枚の第1回動板51には、第1側板32の幅方向両端面に立設されたピン32Aが長孔58に挿通されている。第1回動板51は、長孔58に挿通されたピン32Aが回転の中心軸となって回動可能に保持されている。
【0022】
また、連結された2枚の第1回動板51の外周縁の一部には、第1回動板51を回動させる際に作業者が使用する操作棒(図示はせず)を差し込む操作棒差込部51Aが取り付けられている。本実施形態における操作棒差込部51Aは筒状体に形成されており、第1回動板51の外周縁部分において差込棒の差込角度を異らせた(各々の操作棒差込部51Aの中心線どうしを直交させた)2箇所において第1回動板51によって挟み込んで取り付けられている。なお、操作棒差込部51Aは、第1回動板51の任意の位置に1箇所または3箇所以上に取り付けることもできる。本実施形態においては、一方の操作棒差込部51Aの内表面が第1回動板51のピン32A周りの回動角度を規制する第1ストッパ51Bとして機能する。
【0023】
第2回動板52は、第1回動板51と同様に形成されている。すなわち、第2回動板52は同じ形で2枚形成されている。2枚の第2回動板52は、長孔58の位置が重複するように板厚方向に所要間隔をあけて平行にした状態にすると共に第2回動板52どうしの隙間部分に第2フック55を挟み込んだ状態にして連結ピン孔55Aに連結ピン53を挿通させた状態で連結されている。すなわち第2フック55は、連結ピン53が回転の中心軸として回動可能になっている。連結ピン53により連結された2枚の第2回動板52は、第2側板34の幅方向両端面に立設されたピン34Aが長孔58に挿通されている。第2回動板52は、長孔58に挿通されたピン34Aが回転の中心軸となって回動可能に保持されている。
【0024】
また、連結された2枚の第2回動板52の外周縁の一部には、第2回動板52を回動させる際に作業者が使用する操作棒(図示はせず)を差し込む操作棒差込部52Aが取り付けられている。本実施形態における操作棒差込部52Aは筒状体に形成されており、第2回動板52の外周縁部分において差込棒の差込角度を異らせた(各々の操作棒差込部52Aの中心線どうしを直交させた)2箇所において第2回動板52によって挟み込んで取り付けられている。なお、操作棒差込部52Aは、第2回動板52の任意の位置に1箇所または3箇所以上に取り付けることもできる。本実施形態においては、一方の操作棒差込部52Aの内表面が第2回動板52のピン34A周りの回動角度を規制する第2ストッパ52Bとして機能する。
【0025】
また、第1回動板51の連結ピン53に回動可能に連結させた第1フック54には第1ロッド56Aが連結されており、第1フック54から第2フック55に向けて第1ロッド56Aが延びている。第2回動板52の連結ピン53に回動可能に連結させた第2フック55には第2ロッド56Bが連結されており、第2フック55から第1フック54に向けて第2ロッド56Bが延びている。本実施形態におけるロッド56は、第1ロッド56Aと第2ロッド56Bにより構成されている。第1ロッド56Aの先端部所要長さ範囲と第2ロッド56Bの先端部所要長さ範囲はそれぞれねじ部56Cに形成されており、これらのねじ部56Cはナット56Dによりターンバックル57に取り付けられている。これにより第1側板32に取り付けられた第1回動板51から延びる第1ロッド56Aと第2側板34に取り付けられた第2回動板52から延びる第2ロッド56Bが、ターンバックル57により長さ調整可能な状態で連結されたリンク機構が構成されている。このようにリンク機構に構成された側板状態切替部50は、第1側板32と第2側板34との間に掛け渡された状態で取り付けられている。
【0026】
作業者は、第1側板32(第1回動板51)側または第2側板34(第2回動板52)の側から図示しない操作棒を操作棒差込部51A(52A)に差し込んで回動させることで側板状態切替部50を操作することができる。側板状態切替部50を操作することにより、底板10と側板部30に形成された函状空間60を型締め状態と開放可能状態に切り替えることができる。
【0027】
即時脱型型枠100の型締め状態について説明する。本実施形態では、即時脱型型枠100を用いた図示しないブロック製造装置における作業者の立ち位置は、ブロックの製造開始時においては第1側板32に対面する位置(後述する各々の左側面図における即時脱型型枠100の右側位置)である。また、即時脱型型枠100は、函状空間60に即時脱型用のコンクリート材料の成形が完了した後、ブロックの取り出しのためにブロック製造装置内において即時脱型型枠100が上下反転させる方向に回転される。すなわち、ブロック製造装置における作業者の立ち位置は変わっていないが、ブロック取り出し時における作業者の立ち位置は第2側板34に対面した状態になる。作業者の即時脱型型枠100に対する立ち位置は上記の前提で行うものとする。
【0028】
作業者は、第1側板32の側に配設されている第1回動板51を回動操作し、第1回動板51と第2回動板52に掛け渡された側板状態切替部50のリンク機構により第2回動板52を回動操作することができる。作業者が第1回動板51を回動操作すると、第2回動板52における連結ピン53の位置をピン34Aの位置よりも外方側の位置においてピン34Aの位置よりも底板10の側の位置にセットして第2回動板52をロック状態にすることができる。つづけて作業者は第1回動板51を回動操作し、第1回動板51の連結ピン53の位置をピン32Aの位置よりも外方側の位置においてピン32Aの位置よりも底板10の側の位置にセットして第1回動板51をロック状態にする。本実施形態における即時脱型型枠100の第1回動板51と第2回動板52を共にロック状態にすることで、移動側板31である第1側板32と第2側板34は、互いに接近・離反動作が規制された型締め状態になる。型締め状態においては、ブロックの成形用空間である函状空間60が形成・維持される。
【0029】
この型締め状態にした即時脱型型枠100の函状空間60に即時脱型用のコンクリート材料が充填される。なお、函状空間60へのコンクリート材料の投入後には、即時脱型型枠100の上面開口部に函状空間60に充填されたコンクリート材料を押圧する蓋(図示はせず)がブロック製造装置によって取り付けられる。作業者は、ブロック製造装置によって即時脱型型枠100および蓋に振動を付与すると共に蓋を函状空間60の内部に進入させることでコンクリート材料の圧縮成形を行う。このような即時脱型型枠100によるコンクリート材料の圧縮成形方法は公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。函状空間60に充填されたコンクリート材料の圧縮成形が完了したら、作業者は、ブロック製造装置によって即時脱型型枠100を上下反転させる方向に回転させ、ブロックの取り出し工程に移行する。
【0030】
即時脱型型枠100からブロックを取り出すため、型締め状態から開放可能状態に切り替える操作について説明する。図6に示すようにコンクリート材料投入時の状態に対して上下反転させる方向に回転された即時脱型型枠100に対し、作業者が第2回動板52を図6中の矢印Aの方向に回動させる。すると図7に示すように、第2回動板52における連結ピン53の位置が、第2回動板52におけるピン34Aの位置よりも函状空間60の上面開口の側の位置(図7中ではピン34Aの位置よりも下方側の位置)になる。このように第2回動板52(または第1回動板51)のロック状態が解除されれば、第1側板32と第2側板34の接近・離反動作が許容され、函状空間60を開放させることが可能な開放可能状態にすることができる。本実施形態における即時脱型型枠100の開放可能状態とは、第1回動板51または第2回動板52の少なくとも一方のロック状態が解除された状態を指している。
【0031】
第2回動板52が所定回動角度まで回動すると、第2ストッパ52Bとしての操作棒差込部52Aの内表面が第2フック55に当接することになる。これにより第2回動板52は、開放可能状態において第1回動板51の側で第2回動板52の連結ピン53の位置が第2回動板52のピン34Aの位置よりも図7中の下側の位置(函状空間60の上面開口の側(蓋側)の位置)を維持するようにピン34A周りの回動が規制される。そして、作業者が油圧供給ポンプ44を作動させると、油圧供給チューブ46を経由して供給された油圧により油圧シリンダ42の出力軸が伸長し、図7に示すように、第1側板32と第2側板34が離反する。本実施形態においては、油圧供給ポンプ44からの油圧供給チューブ46の長さの関係で、油圧供給ポンプ44の作動直後は、第2側板34のみが第1側板32に対して(作業者側に)離反することになる。
【0032】
なお、第2回動板52の回動角度を規制する第2ストッパ52Bと、第1回動板51の連結ピン53および第2回動板52の連結ピン53との離間距離が所定の長さに設定されていることにより、第2回動板52の連結ピン53がピン34Aよりも内側(第1回動板51の側)の位置でピン34Aよりも図7中の下側位置を維持することができる。このように開放可能状態における第2回動板52のピン34Aに対する連結ピン53の位置が規制された状態で第1回動板51または第2回動板52を回動操作することで、第2回動板52または第1回動板51を開放可能状態から型締め状態に切り替え操作することが可能になっている。
【0033】
そして、第1側板32に対する第2側板34の離反動作が完了(第2側板34が設計上の最大離反距離まで離反)すると、図8に示すように、第1側板32が第2側板34から離反する方向に移動する。このとき第1回動板51はロック状態であり、第1回動板51から延びる第1ロッド56Aにターンバックル57を介して連結された第2ロッド56Bに第2回動板52が引っ張られる。また、第1回動板51の連結ピン53と第2回動板52の連結ピン53との離間距離は一定であり、かつ、第2回動板52には長孔58が形成されているため、第2回動板52は横方向を向いている長孔58に沿って第1回動板51の側に移動することになる。これにより第2側板34に対する第1側板32の離反が許容されている。また、図9に示すように、第1側板32および第2側板34を最大限離反させた状態になったら、作業者が第2回動板52を回動操作することで、ブロック製造装置の奥側に位置している(直接操作することができない)第1回動板51の型締め状態(ロック状態)を解除してもよい。
【0034】
即時脱型型枠100を図8または図9に示す状態にすることで、函状空間60からブロックが取り出され、図示しない蓋の上に成形品であるブロックを載置した状態にすることができる。実際には蓋および蓋に載置されたブロックは、図示しないベルトコンベア等に代表される搬送装置によってブロック製造装置から搬出することができる。
【0035】
続いて、図9に示すように、第1側板32と第2側板34とを最大限離反させた後、再び第1側板32と第2側板34を接近させると共に函状空間60の型締め状態への切り替えについて説明する。図10に示すように、作業者が第2回動板52を回動操作してブロック製造装置の奥側に位置している(直接操作することができない)第1回動板51をロック状態にする。続いて作業者が油圧供給ポンプ44を逆回転させることにより、第1側板32と第2側板34とを接近させる。図11においては、まず第1側板32が第2側板34に向けて接近している。この後、第2側板34に対する第1側板32の接近動作が完了(第1側板32が第3側板36および第4側板38に当接)すると、第2側板34が第1側板32に対して接近する。やがて第2側板34は、第3側板36および第4側板38に当接し、第1側板32、第2側板34、第3側板36および第4側板38によって再び平面視矩形状の側板部30になる。
【0036】
続いて、図12に示すように、作業者が第2回動板52を回動操作して、第2回動板52もロック状態にする。図12に示した状態の即時脱型型枠100を上下反転させる方向に回転させれば、図3に示した状態にすることができ、函状空間60にコンクリート材料の投入が可能になり、以降は同様の操作を繰り返し実行することができる。
【0037】
以上の実施形態では、新規の即時脱型型枠100をブロック製造装置に適用した場合におけるブロック製造の操作手順を説明したが、ブロック製造装置で繰り返しブロックの製造を行う際には、作業者の前には型締め状態の即時脱型型枠100が供給されることになる。したがって、作業者は、直ちに函状空間60にコンクリート材料を投入することができる。
【0038】
以上、本実施形態に基づいて本発明にかかる即時脱型型枠100について説明したが、本発明の技術的範囲は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態における即時脱型型枠100は、ブロックの圧縮成形後に図6に示すように上下反転させる方向に回転させた後、第2回動板52のロック状態のみを解除しているがこの形態に限定されるものではない。第2回動板52のロック状態の直前または直後に作業者が第1回動板51のロック状態を解除する形態を採用することもできる。第1回動板51のロック状態を解除して、第1回動板51がピン32A周りに所要角度回動すると、第1ストッパ51Bとしての操作棒差込部51Aの内表面が第1フック54に当接することになる。これにより第1回動板51は第2回動板52と同様に、開放可能状態において第2回動板52の側で第1回動板51の連結ピン53の位置が第1回動板51のピン32Aの位置よりも図7中の下側の位置を維持するようにピン34A周りの回動が規制される。
【0039】
また、本実施形態においては図9に示した状態の後、第1回動板51のみをロック状態にしているが、第1回動板51と第2回動板52のロック解除状態が維持された状態であっても第1側板32と第2側板34を接近させることができる。この場合、作業者は、第1側板32と第2側板34の接近が完了した後も第1回動板51と第2回動板52のロック解除状態のまま即時脱型型枠100を上下反転させる方向に回転させることもできる。また、作業者は、第1側板32と第2側板34の接近が完了した後、第1回動板51と第2回動板52をロック状態にしてから即時脱型型枠100を上下反転させる方向に回転させることもできる。これにより、即時脱型型枠100を図3に示す状態にすることができる。
【0040】
また、本実施形態におけるロッド56は、第1ロッド56Aと第2ロッド56Bにより構成されているが、予め長さ調整された1本のロッド56で形成することもできる。1本のロッド56を採用した場合は、ロッド56の熱膨張による長さ変化に対応させること、およびロッド56の長さの微調整を可能にするため、第1フック54または第2フック55のいずれか一方との連結部分にターンバックル57を設けておくことが好ましい。
【0041】
さらに、以上に説明した本実施形態の構成に対し、明細書中に記載されている変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【符号の説明】
【0042】
10:底板
12:取付ステー
20:中子
22:仕切板,24:輪郭形成用板,26:固定部材
30:側板部
31:移動側板,32:第1側板,32A:ピン,34:第2側板,34A:ピン,
36:第3側板,38:第4側板,39:固定側板
40:側板駆動機構
42:油圧シリンダ,44:油圧供給ポンプ,46:油圧供給チューブ
50:側板状態切替部
51:第1回動板,51A:操作棒差込部,51B:第1ストッパ,
52:第2回動板,52A:操作棒差込部,52B:第2ストッパ,
53:連結ピン,
54:第1フック,54A:連結ピン孔,
55:第2フック,55A:連結ピン孔,
56:ロッド,56A:第1ロッド,56B:第2ロッド,
56C:ねじ部,56D:ナット,57:ターンバックル,58:長孔
60:函状空間
100:即時脱型型枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12