(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142937
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】可搬冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 15/00 20060101AFI20241003BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20241003BHJP
F25D 19/02 20060101ALI20241003BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F25D15/00
F25D17/06 302
F25D19/02 F
F25D11/00 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055357
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田村 盛蔵
(72)【発明者】
【氏名】川崎 淳一
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 志朗
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA07
3L045BA02
3L045CA02
3L045EA01
3L045PA04
3L345AA05
3L345AA13
3L345CC01
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】搬送性、利便性および操作性に優れる可搬冷却装置の提供。
【解決手段】本開示に係る可搬冷却装置100は、物品を収納する可搬ラック10と、可搬ラック10から吸入される空気を冷却して排出する冷却器11と、可搬ラック10内の空気を冷却器11に排出する伸縮可能な第1の可撓性ダクト12と、冷却器11で冷却された空気を可搬ラック10に供給する伸縮可能な第2の可撓性ダクト13と、可搬ラック10の外周に位置し、内側に可搬ラック10を固定可能な第1のフレーム構造体14と、冷却器11の外周に位置し、内側に冷却器11を固定可能な第2のフレーム構造体15と、を含み、第1の可撓性ダクト12および第2の可撓性ダクト13は、可搬ラック10および冷却器11のいずれか一方または両方に配置されたダクト収納部16に一端部を連結した状態で収納可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する可搬ラックと、
前記可搬ラックから吸入される空気を冷却して排出する冷却器と、
前記可搬ラック内の空気を前記冷却器に排出する伸縮可能な第1の可撓性ダクトと、
前記冷却器で冷却された空気を前記可搬ラックに供給する伸縮可能な第2の可撓性ダクトと、
前記可搬ラックの外周に位置し、内側に前記可搬ラックを固定可能な第1のフレーム構造体と、
前記冷却器の外周に位置し、内側に前記冷却器を固定可能な第2のフレーム構造体と、
を含み、
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトは、前記可搬ラックおよび前記冷却器のいずれか一方または両方に配置されたダクト収納部に一端部を連結した状態で収納可能である可搬冷却装置。
【請求項2】
前記冷却器が、前記第1の可撓性ダクトを前記第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第1のダクト収納部と、前記第2の可撓性ダクトを前記第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第2のダクト収納部とを含み、
前記可搬ラックが、前記第1の可撓性ダクトのもう一方の一端部を連結可能な第1のダクト連結部と、前記第2の可撓性ダクトのもう一方の一端部を連結可能な第2のダクト連結部とを含む、
請求項1に記載の可搬冷却装置。
【請求項3】
前記可搬ラックが、前記第1の可撓性ダクトを前記第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第3のダクト収納部と、前記第2の可撓性ダクトを前記第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第4のダクト収納部とを含み、
前記冷却器が、前記第1の可撓性ダクトのもう一方の一端部を連結可能な第3のダクト連結部と、前記第2の可撓性ダクトのもう一方の一端部を連結可能な第4のダクト連結部とを含む、
請求項1に記載の可搬冷却装置。
【請求項4】
前記冷却器が、前記第1の可撓性ダクトの一部を前記第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第1のダクト収納部と、前記第2の可撓性ダクトの一部を前記第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第2のダクト収納部とを含み、
前記可搬ラックが、前記第1の可撓性ダクトの一部を前記第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第3のダクト収納部と、前記第2の可撓性ダクトの一部を前記第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第4のダクト収納部とを含み、
前記第1の可撓性ダクトが、前記第1のダクト収納部と前記第3のダクト収納部にそれぞれ収納されたダクト部分のもう一方の一端部同士を連結して使用可能であり、
前記第2の可撓性ダクトが、前記第2のダクト収納部と前記第4のダクト収納部にそれぞれ収納されたダクト部分のもう一方の一端部同士を連結して使用可能である、
請求項1に記載の可搬冷却装置。
【請求項5】
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトが、蛇腹構造を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の可搬冷却装置。
【請求項6】
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトを収納するダクト収納部が、左右開き可能な収納部カバーを有し、さらに、下側に開口部を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の可搬冷却装置。
【請求項7】
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトを連結するダクト連結部が、左右開き可能な連結部カバーを有する、請求項2または3に記載の可搬冷却装置。
【請求項8】
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトが有する連結部が、1つの連結部に対して1つの留め具により連結可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の可搬冷却装置。
【請求項9】
前記可搬ラックが固定された前記第1のフレーム構造体と、前記冷却器が固定された前記第2のフレーム構造体とを、分離または結合した状態で使用可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の可搬冷却装置。
【請求項10】
前記物品が、電子機器を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の可搬冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可搬冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、冷却された空気を、ダクトを介して排出することにより、対象(例えば、機器搭載ラック等の可搬ラック)を冷却する冷却装置が種々開発されてきた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの冷却装置は、搬送時に、ダクトなどの付属品を分解し、空気を冷却する冷却器や可搬ラックとは別にこれらの付属品を搬送する必要があり、搬送性に優れた冷却装置の開発が求められた。また、このような冷却装置では、搬送の際、冷却器や可搬ラックにおけるダクトの連結部から異物が侵入しないように、連結部にキャップをする必要があり、これらのキャップの収納や紛失が問題となることがあった。さらに、使用時には、冷却器などにおけるキャップを連結部から外した後、別途搬送されたダクトを取出して各連結部に連結させる必要があり、操作に時間を要することがあった。
【0005】
本開示は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、搬送性、利便性および操作性に優れる可搬冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る可搬冷却装置は、物品を収納する可搬ラックと、前記可搬ラックから吸入される空気を冷却して排出する冷却器と、前記可搬ラック内の空気を前記冷却器に排出する伸縮可能な第1の可撓性ダクトと、前記冷却器で冷却された空気を前記可搬ラックに供給する伸縮可能な第2の可撓性ダクトと、前記可搬ラックの外周に位置し、内側に前記可搬ラックを固定可能な第1のフレーム構造体と、前記冷却器の外周に位置し、内側に前記冷却器を固定可能な第2のフレーム構造体と、を含み、
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトは、前記可搬ラックおよび前記冷却器のいずれか一方または両方に配置されたダクト収納部に一端部を連結した状態で収納可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、搬送性、利便性および操作性に優れる可搬冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】分解時の冷却装置の一例を示す概略斜視図である。
【
図3】搬送時の冷却装置の一例を説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係る可搬冷却装置を説明するための概略図であり、(a)はその概略斜視図であり、(b)はその概略側面図である。
【
図5】本実施形態に係る可搬冷却装置を説明するための概略斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る可搬冷却装置を説明するための概略斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る可搬冷却装置を説明するための概略正面図である。
【
図8】本実施形態に係る可搬冷却装置の操作手順を説明するための概略図である。
【
図9】本実施形態に係る可搬冷却装置におけるダクト連結部を説明するための概略図である。
【
図10】本実施形態に係る可搬冷却装置におけるダクト連結部を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0010】
まず、
図1~
図3に、これまで使用されてきた関連する冷却装置の一例の概略図を示す。当該冷却装置は、物品を収納する可搬ラック4(機器搭載ラック)と、可搬ラック4から吸入される空気を冷却してダクト1を介して可搬ラック4へと冷却した空気を排出する冷却器5(例えば、屋外運用型クーラーユニット)とを備える。
図1および
図2に示すように、このような冷却装置では、ダクト1の両端部(端部1a、1b)が、可搬ラック4の連結部2および冷却器5の連結部3と差し込み式で各連結部に対して2か所以上留め具で固定されている。そして、冷却装置を例えば屋外で使用するために搬送する際には、
図2に示すように、ダクト1を、可搬ラック4および冷却器5から取り外(分解)し、これらの機器とは別に搬送しなければならなかった。その際、ダクト1などの付属品一式を収納する収納袋を搬送する必要があり、搬送の準備や搬送自体に時間を要することがあり、さらに搬送物の重量が大きくなる傾向があった。また、
図3に示すように、可搬ラック4および冷却器5を搬送する際には、使用時にはダクト1と連結される連結部2、3に、可搬ラック4および冷却器5内に異物が浸入しないように、異物侵入防止用キャップ6を装着する必要があった。しかし、当該キャップは別部品のため、冷却装置使用時の収納や紛失が問題となることがあった。さらに、使用時には、異物侵入防止用キャップ6を連結部2、3から取り外した後、別途搬送されたダクトを収納袋から取り出して各連結部に連結させる必要があり、操作に時間を要することがあった。このように、上述した関連する冷却装置を搬送、使用(展開)、回収(撤収)する際には、可搬ラック4および冷却器5と、ダクト1とを、連結部において、連結(結合)したり、分解したりする必要があり、搬送性、利便性、操作性に改善が求められた。さらに、上述した関連する冷却装置では、異物侵入防止用キャップ6による連結部への密閉が不完全な場合には、当該連結部から水が浸入する場合があり、防水性が問題となることがあった。
【0011】
一方、本開示に係る可搬冷却装置(以降、本冷却装置とも記す)は、
図4~
図7に示すように、以下の構成を有する。すなわち、本冷却装置は、可搬ラック10(機器搭載ラック)と、冷却器11(クーラーユニット)と、第1の可撓性ダクト12と、第2の可撓性ダクト13と、第1のフレーム構造体14と、第2のフレーム構造体15とを備える。また、第1の可撓性ダクト12および第2の可撓性ダクト13は、可搬ラック10および冷却器11のいずれか一方または両方に配置されたダクト収納部16に一端部を連結した状態で収納可能である。
このように、本冷却装置では、可搬ラック10または冷却器11と、第1および第2の可撓性ダクトとを一体型にすることで、ダクトを別途搬送する必要がなくなり、搬送性および利便性が向上する。
また、本冷却装置は、可撓性ダクトの一端部が既に連結した状態で、可搬ラック10または冷却器11のダクト収納部16に収納されているため、使用時または回収時に、可撓性ダクトを1か所のみ連結、または、連結解除(分解)させればよく、操作性が向上する。すなわち、可撓性ダクトを可搬ラックまたは冷却器などの本体に集約することで、可撓性ダクトの脱着箇所を2か所から1か所に減らすことができる。
このように、本冷却装置は、搬送性、利便性および操作性に関する上述した課題を解決できるものであり、これらの性質に優れる。
【0012】
なお、
図4~
図7は、本実施形態に係る可搬冷却装置を説明するための概略斜視図、概略正面図または概略側面図であり、ダクト収納部16が冷却器11(のみ)に配置された場合の実施形態(第1の実施形態)を示すものである。第1の実施形態では、冷却器11と第1および第2の可撓性ダクトとが一体化されている。また、本冷却装置では、ダクト収納部が可搬ラック10(のみ)に配置されてもよいし(第2の実施形態)、可搬ラック10および冷却器11の両方に配置されてもよい(第3の実施形態)。第2の実施形態では、可搬ラック10と第1および第2の可撓性ダクトとが一体化されている。また、第3の実施形態では、可搬ラック10と第1および第2の可撓性ダクトの(一端部を含む)一部とが一体化されており、さらに、冷却器11と第1および第2の可撓性ダクトの(もう一方の端部を含む)一部とが一体化されている。以下、各実施形態における本冷却装置の構成について詳しく説明する。なお、本冷却装置は、屋内または屋外で使用および運搬することができる。本冷却装置は、例えば、酷暑等の屋外環境においても、可搬ラック10の内部を、可搬ラック10に収納された物品の使用適切温度に保持することができる。さらに、本冷却装置は、防水機能にも優れるため、例えば、雨天環境下においても、物品の運搬および使用が可能となる。
【0013】
(第1の実施形態)
図4~
図7に示すように、第1の実施形態に係る可搬冷却装置100は、ダクト収納部16が冷却器11のみに配置された構成を有する。これらの図に示す可搬冷却装置100は、可搬ラック10、冷却器11、第1の可撓性ダクト12、第2の可撓性ダクト13、第1のフレーム構造体14、第2のフレーム構造体15、ダクト収納部16、ダクト連結部17、収納部カバー18、連結部カバー19、スイッチ20、フィルタ21を含んで構成されている。なお、第1のフレーム構造体14および第2のフレーム構造体15の四隅には、コーナークッション14a、15aがそれぞれ配置されている。また、可搬冷却装置100には、可搬ラック10と第1のフレーム構造体14とを接続するショックマウント14b、ならびに、冷却器11と第2のフレーム構造体15とを接続するショックマウント(不図示)が配置されている。
【0014】
可搬ラック10は、屋内または屋外環境で使用可能な可搬型のラック構造で、物品を収納するものである。物品は、特に限定されず、屋内環境での使用を前提としたものであってもよいし、それ以外のものであってもよい。物品としては、例えば、ハブ、ルータ、PC(Personal Computer)等の電子機器や、薬剤や食品等を用いることができる。
【0015】
冷却器11は、可搬ラック10と同形状で、可搬ラック10を冷却するための冷却機能を備える。冷却器11の冷却方式は、特に限定されない。例えば、中央部に仕切り板を設け、冷却エリアと放熱エリアとに分け、冷却エリアにおいて、ラジエータ(熱交換器)もしくはヒートシンク等により、吸入した温風を冷却し、放熱エリアにおいて、取り込んだ外気によって、冷却エリアに発生し伝達された熱を放熱し排気してもよい。また、冷却器の冷却方式として、電子式冷却方式や、コンプレッサ式冷却方式などを採用してもよい。冷却器11は、可搬ラック10から第1の可撓性ダクト12を介して吸入される空気を冷却して、第2の可撓性ダクト13を介して可搬ラック10へと排出し、冷却された空気を可搬ラック10に供給する。冷却器としては、上述したように従来公知のものを使用でき、特に限定されない。
【0016】
第1の可撓性ダクト12は、可搬ラック10内から吸入される空気を冷却器11に供給(排出)するものである。また、第2の可撓性ダクト13は、冷却器11で冷却された空気を可搬ラック10に供給するものである。ここで、第1および第2の可撓性ダクトはいずれも伸縮可能であり、伸縮性を有する。
図5および
図7に示すように、第1および第2の可撓性ダクトとしては、蛇腹(ジャバラ)構造を有する部材を用いることができ、着脱可能な構成とすることができる。なお、第1および第2の可撓性ダクトの冷却器11との連結部は、原則として連結された状態で搬送、使用及び回収するため、可撓性ダクトと冷却器とが一体的に形成され、取り外しできないように構成してもよい。また、可撓性ダクトの修理交換の観点から、第1および第2の可撓性ダクトの冷却器11との連結部とを着脱可能な構成にし、搬送、使用及び回収時には連結した状態を維持していてもよい。ここで、蛇腹構造を有する可撓性ダクトは、後述するダクト収納部16に収納し易く、操作性に優れるため好ましい。なお、第2の可撓性ダクト13は、
図4~
図7に記載された第1の可撓性ダクト12が配された面とは反対側の面に、第1の可撓性ダクト12と同様の構造で配置することができる。
【0017】
第1のフレーム構造体14は、可搬ラック10の外周に位置し、内側に可搬ラック10を固定可能なフレーム構造(枠構造)を有する。また、第2のフレーム構造体15は、冷却器11の外周に位置し、内側に冷却器11を固定可能なフレーム構造を有する。これらのフレーム構造は内側に取り付ける対象物(可搬ラックや冷却器)の形状に応じて、適宜設定することができる。例えば、これらのフレーム構造は、対象物の各辺に平行に配置されたフレームバーを結合部材で結合することにより形成できる。さらに、第1および第2のフレーム構造体は、例えば、不図示の着脱機構を備えることができ、互いの着脱が可能な構造とすることができる。着脱機構は、フレームバーを結合する結合部材に設けられてもよい。すなわち、可搬冷却装置100は、必要に応じて、可搬ラック10と冷却器11とを分離した状態で使用してもよいし、両フレーム構造体を積載させた状態(両機器をスタックさせた状態)で使用してもよい。また、可搬冷却装置100は、
図4~
図7に示すように、冷却器11と可搬ラック10をスタック(積み上げた)状態で搬送または使用してもよいし、両機器を分離した状態で個々に搬送または使用してもよい。さらに、冷却不要の場合には、可搬冷却装置100は、可搬ラック10(第1のフレーム構造体14に固定された可搬ラック10)のみを運搬し、使用してもよい。このように、可搬冷却装置100は、可搬ラック10が固定された第1のフレーム構造体14と、冷却器11が固定された第2のフレーム構造体15とを、分離または結合した状態で使用可能である。なお、これらの図では、可搬ラック10を上側、冷却器11を下側に配置した状態でスタックされているが、可搬ラック10内に収納される物品の重量等に応じて、可搬ラック10を下側、冷却器11を上側に配置してもよい。
【0018】
各フレーム構造体に配置可能なショックマウント(例えば、符号14b)は、各フレーム構造体と可搬ラック10および冷却器11のケースの間に実装され、例えば、防振ゴム等の弾性材で構成できる。このため、振動が発生した場合でも、ショックマウントにより振動が緩和され、使用時および運搬時の機器の故障を防ぐことができる。また、各フレーム構造体の四隅には、コーナークッション14a、15aも配置され、これらの部材も防振ゴム等の弾性材で構成でき、使用時および運搬時の機器の故障を防ぐことができる。
【0019】
図4~
図7に示す可搬冷却装置100では、第1の可撓性ダクト12および第2の可撓性ダクト13は、冷却器11に配置されたダクト収納部16に一端部を連結した状態で収納されている。なお、
図4(b)に示すように、第2の可撓性ダクト13は、第1の可撓性ダクト12と同様の配置構成とすることができる。冷却器11には、第1の可撓性ダクト12を第1の可撓性ダクト12の一端部を連結した状態で収納可能な第1のダクト収納部16aと、第2の可撓性ダクト13を第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第2のダクト収納部16bとが配置されている。
【0020】
これらのダクト収納部は、
図6に示すように、可撓性ダクトを収納した後、異物(ほこりや雨等)が混入しないように、収納部カバー18を設置することが好ましい。収納部カバー18は、上下開きであっても、左右開き(横開き)であってもよいが、操作性の観点から、左右開きであることが好ましい。また、収納部カバー18は、汎用性の観点から、
図6に示すように、右開きであることがより好ましい。なお、カバーのヒンジには、風などで扉がバタつかないようトルクヒンジを使用することが好ましい。さらに、ダクト収納部の上側部分は、雨水等が浸入しないように覆われていることが好ましいが、ダクト収納部の下側部分は、雨水やほこり等がとどまらないように開口部を有することが好ましい。また、
図4~
図6に示すように、ダクト収納部は、機能性とデザイン性とを両立させる観点から、テーパー形状を有することが好ましい。
【0021】
また、
図4(b)に示すように、可搬冷却装置100では、可搬ラック10に、第1の可撓性ダクト12のもう一方の一端部を連結可能な第1のダクト連結部17aと、第2の可撓性ダクト13のもう一方の一端部を連結可能な第2のダクト連結部17bとが配置されている。なお、
図4(a)および
図5では、ダクト連結部17が、上下開き可能な連結部カバー19を有する構成が示されている。また、
図4(b)、
図6および
図7では、ダクト連結部17が、左右開き(横開き)可能な連結部カバー19を有する構成が示されている。このように、可搬冷却装置100を使用しない際(例えば、搬送時)には、可搬ラック10内に異物が浸入しないように、ダクト連結部には、連結部カバーを設置することが好ましい。この連結部カバーは、これらの図に示すように、上下開きであってもよいし、左右開きであってもよい。しかしながら、可搬ラック10を冷却器11よりも上側にスタックした際には、上下開きの場合に使用時に誤って手をついて破損したりしないよう、操作性の観点からも左右開き(横開き)であることが好ましく、汎用性の観点から右開きであることが好ましい。
このように、可搬冷却装置100では、従来使用していたダクトと異物混入用防止キャップなどの付属品と、付属品の機能を、可搬ラックや冷却器などの本体に集約することができ、搬送性、利便性および操作性に優れる。
【0022】
ここで、
図9および
図10に、本実施形態に係る可搬冷却装置におけるダクト連結部を説明するための概略図を示す。これらの図に示すように、第1の可撓性ダクト12および前記第2の可撓性ダクト13が有する連結部は、1つの連結部に対して1つの留め具により連結することが好ましい。なお、第1の実施形態では、当該連結部として、第1および第2の可撓性ダクトにおける、可搬ラック10との連結部(および必要に応じて冷却器11との連結部)を挙げることができる。なお、上述した関連する冷却装置では、
図2および
図3に示すように、差し込み式で各連結部において留め具により2か所以上固定する必要があった。このように、差し込み式の留め具の場合、防水性を保つため、Oリングなどを設置する必要があり、異物混入防止用キャップはより強固な形状を必要とし、非常に重量を有するものとなり、操作性が劣る傾向があった。
【0023】
一方、
図9に示すように、フックを突起(ツメ)に引っ掛けてレバーを倒すことにより、連結部を密閉させる留め具22(例えば、キャッチクリップ)を使用することにより、1つの連結部に対して1つの留め具で防水性を保った状態で密閉できる。したがって、上述した関連する冷却装置よりも操作性により優れたものとなる。なお、
図9中、符号23は、パッキンを表し、符号24は、第1の可撓性ダクト12及び第2の可撓性ダクト13の一端部に備えられたアタッチメントを表す。また、符号22aは、留め具22の引掛け部を表し、符号22bはツメを表す。
【0024】
次に、
図9および
図10に示したダクト連結部17の詳細な図を用いて、アタッチメント24をダクト連結部17に接続するための詳細な構造について説明する。
図9に示すアタッチメント24は金属リングであり、外周部に留め具22とツメ22bを備える。
図10(a)~(d)に示すとおり、金属リングのダクト受けプレート27は、スペースパッキン25を介してダクト連結部17の内壁に固定されている。連結部カバー19はヒンジ機構によりダクト連結部17と接続し、連結部カバー19の内壁にパッキン26が固定されており、連結部カバー19を閉じると
図10(a)のとおりダクト受けプレート27にパッキン26が密着し、可搬ラック10の開口部を塞ぐことができる。
図10(e)に示すとおりダクト受けプレート27は、留め具22の引掛け部22aを引掛けるための引掛けツメ28を外周の一部に備え、ツメ22bを通す穴であるツメ通し部29を外周の一部に備える。
可撓性ダクト12をダクト連結部17に接続する際は、
図10(d)に示すとおりツメ22bをツメ通し部29の穴に通し、引掛け部22aを引掛けツメ28に引掛け、留め具22のレバーを倒すことにより、アタッチメント24側のパッキン23とダクト受けプレート27が面密着した状態で固定される。
【0025】
ここで、
図8に、本実施形態に係る可搬冷却装置の操作手順を説明するための概略図を示す。可搬冷却装置100を運搬後、使用する際には、
図8(a)および(b)に示すように、まず、収納部カバー18および連結部カバー19を横開きする。その際、
図8(b)に示すように、蛇腹構造を有する可撓性ダクト(ここでは、第2の可撓性ダクト13を例に記載している)は、収納部カバー18の内側に1つの留め具(例えば、キャッチクリップ)により固定されている。収納部カバー18の内側のダクト固定部は、
図10のダクト受けプレート27と同じ構造(ただし、中央の穴はない)ものとし、可撓性ダクトの固定方法は、上述したダクト受けプレート27とアタッチメント24との固定方法と同じである。なお、可撓性ダクトのもう一端部は、冷却器11と一体的に形成され取り外しできないように構成されていてもよいし、可撓性ダクトの修理交換などを容易にする観点から、1つの留め具により固定され、取り外し可能に構成されていてもよい。そして、
図8(c)に示すように、可撓性ダクトの留め具を外し、収納部カバー18から取り外す。そして、
図8(d)に示すように、可撓性ダクトを可搬ラックのダクト連結部17に取り付ける。可撓性ダクトとダクト連結部17の詳細な接続方法は、
図9及び
図10を用いて説明したとおりであり、1つの留め具により1か所固定され、面密着により密閉され、防水性が担保されている。このように、可搬冷却装置100では、上述した関連する冷却装置よりも簡易な構造で容易に防水性を担保することができる。使用終了後、可搬冷却装置100の回収(撤収)手順は、使用時の逆となり、収納部カバー18に可撓性ダクトの先端を留め具により取り付け固定した後に、収納部カバーを閉めて収納する。
【0026】
なお、可搬冷却装置100は、運搬性を向上させる観点から、第1のフレーム構造体14および第2のフレーム構造体15のいずれか一方(特にスタックした際に下側に配置される構造体)にキャスタを設置することが好ましい。また、日よけカバーや取り扱い説明書等の付属品(小物類)を収納できるサイドポケットを例えば、可撓性ダクト等が配置される面と異なる面(側面)に設置してもよい。さらに、ダクトなどが配置されない位置に、表示LEDやスイッチ20や、機能性およびデザイン性を兼ね揃えたフィルタ21を設置してもよい。
【0027】
(第2の実施形態)
基本的な構成は上述した第1の実施形態と同一であるが、第2の実施形態に係る可搬冷却装置は、可搬ラック10に可撓性ダクトを収納するダクト収納部が配置され、冷却器11にダクト収納部から取り出された可撓性ダクトの先端部を連結させるダクト連結部が形成される。すなわち、可搬ラック10が、第1の可撓性ダクトを第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第3のダクト収納部と、第2の可撓性ダクトを第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第4のダクト収納部とを備える。そして、冷却器11が、第1の可撓性ダクトのもう一方の一端部を連結可能な第3のダクト連結部と、第2の可撓性ダクトのもう一方の一端部を連結可能な第4のダクト連結部とを備える。それ以外の構造は、第1の実施形態と同一であるため説明を省略する。第2の実施形態に係る可搬冷却装置は、例えば、冷却器11よりも下側に可搬ラック10をスタックして用いる場合に適用できる。
【0028】
(第3の実施形態)
基本的な構成は上述した第1の実施形態と同一であるが、第3の実施形態に係る可搬冷却装置は、可搬ラック10と冷却器11との両方に可撓性ダクトを収納するダクト収納部が配置される。そして、可搬ラック10および冷却器11のダクト収納部から取り出されたそれぞれ可撓性ダクトの端部(例えば、使用時の可撓性ダクトの中央部となる位置)を連結させる。すなわち、冷却器11が、第1の可撓性ダクトの一部を第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第1のダクト収納部と、第2の可撓性ダクトの一部を第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第2のダクト収納部とを備える。また、可搬ラック10が、第1の可撓性ダクトの一部を第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第3のダクト収納部と、第2の可撓性ダクトの一部を第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第4のダクト収納部とを備える。そして、第1の可撓性ダクトが、前記第1のダクト収納部と前記第3のダクト収納部にそれぞれ収納されたダクト部分のもう一方の一端部同士を連結して使用可能である。また、第2の可撓性ダクトが、第2のダクト収納部と第4のダクト収納部にそれぞれ収納されたダクト部分のもう一方の一端部同士を連結して使用可能である。それ以外の構造は、第1の実施形態と同一であるため説明を省略する。第3の実施形態に係る可搬冷却装置は、例えば、可搬ラック10と、冷却器11とを分離した状態で使用する場合(可撓性ダクトに長さが必要となる場合)、に適用できる。
【0029】
このように、本開示に係る可搬冷却装置は、可搬ラックまたは冷却器と可撓性ダクトを一体型にし、ダクト収納部およびダクト連結部に異物侵入防止用キャップの機能を持たせた。このため、別部品の異物侵入防止用キャップを使用する必要がなくなり、輸送性が向上するとともに、当該キャップの紛失を防止することができる。また、搬送が必要となる付属を減らし軽量化できるため、搬送性が向上する。さらに、本開示に係る可搬冷却装置では、結合、分解箇所が1か所と従来に比べて減ったため、操作性が向上し、さらに、特定の留め具を使用することで、防水性を容易に付与できる。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0031】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限らない。
(付記1)
物品を収納する可搬ラックと、
前記可搬ラックから吸入される空気を冷却して排出する冷却器と、
前記可搬ラック内の空気を前記冷却器に排出する伸縮可能な第1の可撓性ダクトと、
前記冷却器で冷却された空気を前記可搬ラックに供給する伸縮可能な第2の可撓性ダクトと、
前記可搬ラックの外周に位置し、内側に前記可搬ラックを固定可能な第1のフレーム構造体と、
前記冷却器の外周に位置し、内側に前記冷却器を固定可能な第2のフレーム構造体と、
を含み、
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトは、前記可搬ラックおよび前記冷却器のいずれか一方または両方に配置されたダクト収納部に一端部を連結した状態で収納可能である可搬冷却装置。
(付記2)
前記冷却器が、前記第1の可撓性ダクトを前記第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第1のダクト収納部と、前記第2の可撓性ダクトを前記第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第2のダクト収納部とを含み、
前記可搬ラックが、前記第1の可撓性ダクトのもう一方の一端部を連結可能な第1のダクト連結部と、前記第2の可撓性ダクトのもう一方の一端部を連結可能な第2のダクト連結部とを含む、
付記1に記載の可搬冷却装置。
(付記3)
前記可搬ラックが、前記第1の可撓性ダクトを前記第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第3のダクト収納部と、前記第2の可撓性ダクトを前記第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第4のダクト収納部とを含み、
前記冷却器が、前記第1の可撓性ダクトのもう一方の一端部を連結可能な第3のダクト連結部と、前記第2の可撓性ダクトのもう一方の一端部を連結可能な第4のダクト連結部とを含む、
付記1に記載の可搬冷却装置。
(付記4)
前記冷却器が、前記第1の可撓性ダクトの一部を前記第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第1のダクト収納部と、前記第2の可撓性ダクトの一部を前記第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第2のダクト収納部とを含み、
前記可搬ラックが、前記第1の可撓性ダクトの一部を前記第1の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第3のダクト収納部と、前記第2の可撓性ダクトの一部を前記第2の可撓性ダクトの一端部を連結した状態で収納可能な第4のダクト収納部とを含み、
前記第1の可撓性ダクトが、前記第1のダクト収納部と前記第3のダクト収納部にそれぞれ収納されたダクト部分のもう一方の一端部同士を連結して使用可能であり、
前記第2の可撓性ダクトが、前記第2のダクト収納部と前記第4のダクト収納部にそれぞれ収納されたダクト部分のもう一方の一端部同士を連結して使用可能である、
付記1に記載の可搬冷却装置。
(付記5)
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトが、蛇腹構造を有する、付記1~付記4のいずれかに記載の可搬冷却装置。
(付記6)
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトを収納するダクト収納部が、左右開き可能な収納部カバーを有し、さらに、下側に開口部を有する、付記1~付記5のいずれかに記載の可搬冷却装置。
(付記7)
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトを連結するダクト連結部が、左右開き可能な連結部カバーを有する、付記2または付記3に記載の可搬冷却装置。
(付記8)
前記第1の可撓性ダクトおよび前記第2の可撓性ダクトが有する連結部が、1つの連結部に対して1つの留め具により連結可能である、付記1~付記7のいずれかに記載の可搬冷却装置。
(付記9)
前記可搬ラックが固定された前記第1のフレーム構造体と、前記冷却器が固定された前記第2のフレーム構造体とを、分離または結合した状態で使用可能である、付記1~付記8のいずれかに記載の可搬冷却装置。
(付記10)
前記物品が、電子機器を含む、付記1~付記9のいずれかに記載の可搬冷却装置。
【符号の説明】
【0032】
1 ダクト
1a 端部
1b 端部
2 連結部
3 連結部
4 可搬ラック
5 冷却器
6 異物侵入防止用キャップ
10 可搬ラック
11 冷却器
12 第1の可撓性ダクト
13 第2の可撓性ダクト
14 第1のフレーム構造体
14a コーナークッション
14b ショックマウント
15 第2のフレーム構造体
15a コーナークッション
16 ダクト収納部
16a 第1のダクト収納部
16b 第2のダクト収納部
17 ダクト連結部
17a 第1のダクト連結部
17b 第2のダクト連結部
18 収納部カバー
19 連結部カバー
20 スイッチ
21 フィルタ
22 留め具
22a 引掛け部
22b ツメ
23 パッキン
24 アタッチメント
25 スペースパッキン
26 パッキン
27 ダクト受けプレート
28 引掛けツメ
29 ツメ通し部
100 可搬冷却装置