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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142955
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】地図エリア設定装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20241003BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20241003BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20241003BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20241003BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241003BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
G01C21/26 B
G09B29/00 F
G09B29/10 A
G16Y40/60
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055381
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】山本 和義
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HC11
2C032HD11
2F129AA03
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD53
2F129DD65
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE57
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF36
2F129FF41
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF72
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】リンクが境界となるエリアを容易に地図上に設定することを可能にした地図エリア設定装置を提供する。
【解決手段】選択された複数のリンク毎に、該リンクと道なりの関係にあるリンクがない場合には該リンクのみを、該リンクと道なりの関係にあるリンクがある場合には道なり関係にあるリンクを含めたリンク列を、選択リンクとして取得し、複数の選択リンクによって囲まれたエリアを取得して対象エリアとして設定する一方で、複数の選択リンクの間が繋がらない場合に、繋がらない選択リンクの内の一方の選択リンクから他方の選択リンクの間を結ぶ経路を地図情報を用いて探索し、探索された経路で一方の選択リンクと他方の選択リンクの間を繋ぐことで選択リンクを補完し、補完後の選択リンクによって囲まれたエリアを取得するように構成する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクを選択するリンク選択手段と、
前記リンク選択手段により選択された複数のリンク毎に、該リンクと道なりの関係にあるリンクがない場合には該リンクのみを、該リンクと道なりの関係にあるリンクがある場合には道なり関係にあるリンクを含めたリンク列を、選択リンクとして取得する選択リンク取得手段と、
前記複数の選択リンクによって囲まれたエリアを取得して対象エリアとして設定するエリア設定手段と、を有し、
前記エリア設定手段は、
前記複数の選択リンクの間が繋がらない場合に、繋がらない選択リンクの内の一方の選択リンクから他方の選択リンクの間を結ぶ経路を地図情報を用いて探索し、
前記探索された経路で前記一方の選択リンクと前記他方の選択リンクの間を繋ぐことで前記選択リンクを補完し、補完後の前記選択リンクによって囲まれたエリアを取得する地図エリア設定装置。
【請求項2】
前記エリア設定手段は、前記一方の選択リンクと前記他方の選択リンクの互いの最近点を夫々始点と終点として始点から終点の間を結ぶ経路を探索する請求項1に記載の地図エリア設定装置。
【請求項3】
前記一方の選択リンクから前記他方の選択リンクの間を結ぶ経路を探索する際の探索条件を複数の条件の内から設定する探索条件設定手段を有し、
前記エリア設定手段は、設定された探索条件に基づいて前記一方の選択リンクから前記他方の選択リンクの間を結ぶ経路を探索する請求項1に記載の地図エリア設定装置。
【請求項4】
地図画像を表示する画像表示手段を有し、
前記リンク選択手段は、前記画像表示手段により表示された前記地図画像上で操作者の操作に基づいて複数のリンクを選択する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図エリア設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上でエリアを設定する地図エリア設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地図上において仮想的な境界線で囲まれた任意のエリア(ジオフェンス)を管理者側で設定し、GPS等による位置情報を利用して、設定したジオフェンスへの人や車の出入りを判断するジオフェンス機能について知られている。ジオフェンス機能の活用例としては、例えば被災地の危険地域にジオフェンスを設定し、ジオフェンスに侵入した人や車に対して危険地域であることを通知したり、電気自動車のみに走行が制限された地域にジオフェンスを設定し、車両のナビゲーション装置において表示される地図画像にジオフェンスを表示したり、ジオフェンスに侵入した電気自動車以外の車に対して退出を求めるように通知したり、ハイブリッド車両ではEV走行への切り替え制御を行わせることなどが可能である。
【0003】
そして、上記ジオフェンスの設定は一般的に管理者がディスプレイに表示された地図画像上で境界線を指定することにより行われていた。このような管理者側による操作として例えば特開2013-16207号公報には災害発生位置情報を管理者が入力することによって地図画像上に災害発生位置を表示させる技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-16207号公報(段落0021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えば図11に示すようにリンクの途中にジオフェンスの境界線が設定されると一旦該リンクに進入した車両は、ジオフェンスに侵入の意図がなかったとしてもリンクの途中でUターンしない限りジオフェンスに侵入せざるを得ない状況が生じる。従って、このような状況を回避するためにはジオフェンスの境界線はリンクに沿って設定する、即ちリンクを境界線とするのが望ましい。しかしながら、上記特許文献1のように管理者による操作に基づいて境界線を設定する場合に、例えば管理者に境界線とするリンクを全て指定させるのは非常に煩雑な作業となる問題がある。また、指定されたリンク同士がつながらずにエリアが形成できない場合も生じ得る。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、リンクを境界線としたエリアを地図上に設定する場合に、管理者がエリアの境界線とするリンクを全て選択する必要なく、いくつかのリンクを選択すればそのリンクが境界となるエリアを容易に地図上に設定することを可能にした地図エリア設定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る地図エリア設定装置は、複数のリンクを選択するリンク選択手段と、前記リンク選択手段により選択された複数のリンク毎に、該リンクと道なりの関係にあるリンクがない場合には該リンクのみを、該リンクと道なりの関係にあるリンクがある場合には道なり関係にあるリンクを含めたリンク列を、選択リンクとして取得する選択リンク取得手段と、前記複数の選択リンクによって囲まれたエリアを取得して対象エリアとして設定するエリア設定手段と、を有し、前記エリア設定手段は、前記複数の選択リンクの間が繋がらない場合に、繋がらない選択リンクの内の一方の選択リンクから他方の選択リンクの間を結ぶ経路を地図情報を用いて探索し、前記探索された経路で前記一方の選択リンクと前記他方の選択リンクの間を繋ぐことで前記選択リンクを補完し、補完後の前記選択リンクによって囲まれたエリアを取得する。
尚、「道なり」とは、基本的にリンクとリンクの関係(但し3本以上のリンク間の関係としても良い)を特定するものである。また、どのリンクとどのリンクが道なりの関係にあるかについては、基本的に地図情報において規定されており、例えば同じ道路種別(高速道路や国道などの道路規格が同じとしても良いし、路線番号が同じとしても良い)で所定角度以内に接続されたリンク同士(3本以上でも良い)を道なりの関係にあるとする。但し、上記条件以外で「道なり」の関係を規定することも可能である。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る地図エリア設定装置によれば、リンクを境界線としたエリアを地図上に設定する場合に、管理者がエリアの境界線とするリンクを全て選択する必要がなく、いくつかのリンクを選択すればそのリンクが境界となるエリアを容易に地図上に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るジオフェンスシステムを示した概略構成図である。
図2】管理サーバ装置と管理サーバ装置を管理する管理者を示した模式図である。
図3】本実施形態に係る管理サーバ装置の構成を示したブロック図である。
図4】登録情報DBに記憶される登録情報の一例を示した図である。
図5】本実施形態に係るジオフェンス設定処理プログラムのフローチャートである。
図6】管理者がジオフェンスを設定する際の操作方法について説明した図である。
図7】道なり関係にあるリンクを示した図である。
図8】選択リンクの間が繋がらない場合について説明した図である。
図9】選択リンクの間が繋がらない場合の補完方法を説明した図である。
図10】設定されたジオフェンスの例を示した図である。
図11】従来技術の問題点について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る地図エリア設定装置について管理サーバ装置1に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る管理サーバ装置1を含むジオフェンスシステム2の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るジオフェンスシステム2を示した概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るジオフェンスシステム2は、情報管理センタ3が備える管理サーバ装置1と、ユーザ4が所持する通信端末5と、を基本的に有する。また、管理サーバ装置1と通信端末5は通信ネットワーク網6を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、通信端末5としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等がある。また、以下の説明ではユーザ4は車両で移動していることを前提とするが、車両以外の移動手段で移動しても良いし、徒歩で移動或いは移動せずいずれかの地点に滞在している状態であっても良い。
【0012】
管理サーバ装置1は、ジオフェンスシステム2においてジオフェンスの設定や設定されたジオフェンスに関する情報の送受信等を管理するサーバ装置であり、図2に示すように管理サーバ装置1を管理する管理者(操作者)7によって操作される。
【0013】
ここで、図2に示すようにジオフェンス8は地図画像9上において仮想的な境界線で囲まれたエリアが該当する。特に本実施形態ではジオフェンスの境界線はリンクに沿って設定する、即ちリンクを境界線とする。例えば災害発生時において被災地の危険地域にジオフェンス8を設定することで、ジオフェンス8に侵入した人や車に対して危険地域であることを通知することが可能となる。或いは、電気自動車のみに走行が制限された地域にジオフェンス8を設定することで、車両のナビゲーション装置において表示される地図画像にジオフェンス8を表示したり、ジオフェンス8に侵入した電気自動車以外の車に対して退出を求めるように通知したり、ハイブリッド車両ではEV走行への切り替え制御を行わせることなどが可能である。そして、本実施形態では管理サーバ装置1において管理者7の操作に基づいて後述のようにジオフェンス8の設定を行う。ジオフェンス8の設定の詳細については後述する。
【0014】
また、管理サーバ装置1は管理者7によって設定されたジオフェンス8を特定する情報をDB等に格納し、必要に応じて通信ネットワーク網6を介して通信端末5(ユーザ)に対して提供(配信)する。
【0015】
一方、通信端末5は、ユーザ4が所持し、現在位置を検出する機能や周辺の地図情報を表示したり設定された目的地までの移動案内を行うナビ機能を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等が該当する。特に通信端末5がスマートフォン等のアプリケーションを実行可能な端末である場合には、アプリケーションの一つとして前述のジオフェンス8に関する情報やその他のユーザにとって有益な各種情報の提供を受けることが可能となるアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0016】
例えば、通信端末5では管理サーバ装置1からジオフェンス8を特定する情報を受信すると、通信端末5において表示される地図画像にジオフェンス8を表示したり、ジオフェンス8に侵入した場合には侵入したことに対する通知を行うことが可能である。また、ナビ機能において目的地までの経路探索を行う場合に、ジオフェンス8を避けた(ジオフェンス8内を通過しない)経路を探索することも可能である。また、ジオフェンス8が電気自動車のみに走行が制限された地域であって、車両がEV走行の可能なハイブリッド車両である場合についてはジオフェンス8に侵入した際に車両側のECUに信号を送信し、EV走行への切り替え制御を行わせることも可能である。
尚、これらのジオフェンス8に関する情報の提供を受ける機能は、目的地までの移動案内を行うナビ機能の一部としても良いし、ナビ機能とは異なるアプリケーションプログラムにより実行されても良い。
【0017】
また、通信ネットワーク網6は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は通信端末5との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網6の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末5の通信を管理サーバ装置1との間で中継する役割を持つ。
【0018】
続いて、ジオフェンスシステム2が有する管理サーバ装置1の構成について図3を用いてより詳細に説明する。図3は本実施形態に係る管理サーバ装置1の構成を示したブロック図である。
【0019】
管理サーバ装置1は、図3に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としての地図情報DB12と、登録情報DB13と、ディスプレイ14と、操作部15と、センタ通信装置16と、を基本的に有する。
【0020】
サーバ制御部11は、管理サーバ装置1の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述のジオフェンス設定処理プログラム(図5)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御部11は処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、リンク選択手段は、複数のリンクを選択する。選択リンク取得手段は、リンク選択手段により選択された複数のリンク毎に、該リンクと道なりの関係にあるリンクがない場合には該リンクのみを、該リンクと道なりの関係にあるリンクがある場合には道なり関係にあるリンクを含めたリンク列を、選択リンクとして取得する。エリア設定手段は、複数の選択リンクによって囲まれたエリアを取得して対象エリアとして設定する。
【0021】
一方、地図情報DB12は、地図情報が記憶される記憶手段である。地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ25、ノード点に関するノードデータ26、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0022】
また、リンクデータ25としては、道路ネットワークを構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線毎の進行方向の通行区分、対向車線の有無(対面通行区間か否か)、中央分離帯の有無、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、高速道路と一般道(国道、県道、細街路等)を表すデータがそれぞれ記録される。
【0023】
また、特にリンクデータ25には、リンクの道なり関係を特定する情報についても記憶される。ここで、「道なり」とは、基本的にリンクとリンクの関係(但し3本以上のリンク間の関係としても良い)を特定するものである。リンクデータ25には、どのリンクとどのリンクが道なりの関係にあるかについて規定されており、例えば同じ道路種別(高速道路や国道などの道路規格が同じとしても良いし、路線番号が同じとしても良い)で所定角度以内に接続されたリンク同士(3本以上でも良い)を道なりの関係にあるとする。但し、上記条件以外で「道なり」の関係を規定することも可能である。
【0024】
また、ノードデータ26としては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)や各道路に曲率半径等に応じて所定の距離毎に設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0025】
但し、上記地図情報DB12については管理サーバ装置1が有するのではなく、通信可能にある他の外部のサーバが備えていても良い。その場合には、必要に応じて管理サーバ装置1は地図情報を外部のサーバから通信で取得するようにする。
【0026】
一方で、登録情報DB13は、管理サーバ装置1において現在設定されているジオフェンス8に関する情報が登録される記憶手段である。ここで、ジオフェンス8は後述のように管理サーバ装置1を管理する管理者7が管理サーバ装置1の操作部15の操作を行うことによって設定される。但し、管理者7の操作ではなく外部から入力された情報に基づいて設定するようにしても良い。
【0027】
図4は登録情報DB13に記憶される登録情報の一例を示した図である。図4に示すように登録情報DB13には、ジオフェンス8を設定した日時と、ジオフェンス8の種類と、ジオフェンス8の範囲を特定する情報とを含む。ここで、ジオフェンス8の種類はジオフェンス8がどのようなエリアかを示す情報であり、例えば災害発生時において被災地の危険地域に設定したジオフェンス8は『危険地域』となる。また、電気自動車のみに走行が制限された地域に設定したジオフェンス8は『EV制限』となる。また、ジオフェンス8の範囲を特定する情報としては、例えば境界線を形成するリンクのリンク番号とする。但し、ジオフェンス8の範囲を特定する情報としては、座標点(各座標点を繋げたものが境界線となる)であっても良い。
【0028】
但し、登録情報DB13には上記全ての情報を登録する必要は無く、例えばジオフェンス8の範囲を特定する情報のみを格納しても良い。
【0029】
また、ディスプレイ14は、管理サーバ装置1において出力される情報を表示する為の表示装置であり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。特に本実施形態では、ジオフェンス8の設定を行う際に地図画像が表示される。そして、管理サーバ装置1の管理者7はディスプレイ14に表示された地図画像を用いて、ジオフェンス8として設定するエリアを指定することが可能となる。詳細については後述する。
【0030】
また、操作部15は、管理者7によってジオフェンス8の設定を行う際等に操作され、例えばキーボードやマウス等から構成される。そして、サーバ制御部11は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部15はディスプレイ14の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0031】
また、センタ通信装置16は、通信端末5やVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の外部の交通情報センタと通信ネットワーク網6を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、センタ通信装置16を介してジオフェンス8に関する情報を通信端末5へと配信する。
【0032】
続いて、前記構成を有するジオフェンスシステム2において管理サーバ装置1が実行するジオフェンス設定処理プログラムについて図5に基づき説明する。図5は本実施形態に係るジオフェンス設定処理プログラムのフローチャートである。ここで、ジオフェンス設定処理プログラムは管理サーバ装置1においてジオフェンス8の設定を開始する為の所定の操作を受け付けた後に実行され、管理者7の操作に基づいてジオフェンス8の設定を行うプログラムである。尚、以下の図5にフローチャートで示されるプログラムは、管理サーバ装置1が備えているRAM22やROM23等に記憶されており、CPU21により実行される。
【0033】
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU21は、地図情報DB12から地図情報を読み出してディスプレイ14に対して地図画像を表示する。尚、表示対象とする地図画像のエリアや表示縮尺については管理者7の操作により適宜変更可能である。また、地図情報については通信可能にある外部のサーバから取得するようにしても良い。
【0034】
次に、S2においてCPU21は、管理者7によってジオフェンス8の境界線とするリンクを選択する操作を受け付けたか否かを判定する。ここで、ジオフェンス8の境界線とするリンクを選択する操作は、例えば図6に示すようにマウスのポインタ31を用いて地図画像9上にあるリンク32を選択する操作とする。他の操作としてはタッチパネルを用いて同様に地図画像9上にあるリンク32を選択する操作としても良い。また、リンク番号や道路名などのリンクを識別する情報を入力することでリンクを選択するようにしても良い。また、S2以降の処理は選択されたリンクによってジオフェンス8が設定される(S9:YES)まで繰り返し実行される。即ち、ジオフェンス8が設定されるまで管理者によるリンクの選択が繰り返し実行され、複数のリンクが管理者によって選択されることとなる。
【0035】
そして、管理者7によってジオフェンス8の境界線とするリンクを選択する操作を受け付けたと判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、管理者7によってジオフェンス8の境界線とするリンクを選択する操作を受け付けていないと判定された場合(S2:NO)には、操作を受け付けるまで待機する。
【0036】
S3においてCPU21は、地図情報DB12のリンクデータ25を参照し、前記S2で受け付けたと判定された操作に基づいて選択されたリンク(以下、選択リンクという)と道なり関係にあるリンクがある場合には道なり関係にあるリンクについて取得する。尚、リンクデータ25には、前述したようにどのリンクとどのリンクが道なりの関係にあるかについて特定する情報が含まれている。そして、道なり関係にあるリンクがある場合には、選択リンクと道なり関係にあるリンクを含めたリンク列を選択リンクとする。また、前記S3で取得対象となる“道なり関係にあるリンク”とは選択されたリンクと隣接したリンクに限られず、道なり関係にある全てのリンクを含む。また、道なり関係にあるリンクに対して道なり関係にあるリンクも含めても良い。また、進行方向についても問わないので、例えば高速道路などの進行方向が限定されたリンクにおいて道路の進行方向と逆方向に接続された道なり関係にあるリンクも対象となる。例えば図7に示す例ではリンクA1~リンクA4が道なり関係にある場合を示す。この場合においてリンクA2が管理者によってジオフェンス8の境界線とするリンクとして選択されると、リンクA1~A4のリンク列が選択リンクとなる。尚、リンクA1、リンクA3、リンクA4が選択された場合についても同様にリンクA1~A4のリンク列が選択リンクとなる。
【0037】
また、前記S3で選択リンクに含まれるリンクはディスプレイ14で表示対象になっているリンクか否かは問わない。即ち、一般的に地図画像では縮尺によって表示対象となるリンクが変化し、一部の高規格道路を除けば所定縮尺以上でのみ表示対象となるリンクが存在する。前記S3では、リンクを選択する操作を受け付けたと判定された時点においてディスプレイ14で表示対象となっていないリンクであっても選択リンクに含めても良い。即ち、表示対象となっていないリンクを選択可能にしても良いし、表示されていないリンクであっても選択されたリンクと道なり関係にあれば選択リンクに含めるようにしても良い。一方、リンクを選択する操作を受け付けたと判定された時点においてディスプレイ14で表示対象となっているリンクのみに選択リンクの対象を限定しても良い。
【0038】
続いてS4においてCPU21は、前記S2で受け付けたと判定されたリンクを選択する操作が最初のリンクを選択する操作であったか否かを判定する。
【0039】
そして、前記S2で受け付けたと判定されたリンクを選択する操作が最初のリンクを選択する操作であったと判定された場合(S4:YES)、即ち他に選択リンクが存在しない場合にはS9へと移行する。それに対して、前記S2で受け付けたと判定されたリンクを選択する操作が最初のリンクを選択する操作でないと判定された場合(S4:YES)、即ち既に選択リンクが存在する場合にはS5へと移行する。
【0040】
S5においてCPU21は、既に存在する選択リンク(今回の操作で選択された選択リンクは除く)の内、特に前回の操作で選択された選択リンクについて、今回の操作で選択された選択リンクと接続するか否かを判定する。尚、接続とは共通するノードを有することであり、端部同士が繋がる関係であっても良いし、リンクの一部が重複する関係であっても良いし、交差する関係であっても良い。但し、前記S5では前回の操作で選択された選択リンクに限定されず、存在する選択リンクのいずれかが今回の操作で選択された選択リンクと接続するか否かを判定しても良い。
【0041】
そして、前回の操作で選択された選択リンクと今回の操作で選択された選択リンクとが接続すると判定された場合(S5:YES)には、S9へと移行する。それに対して、前回の操作で選択された選択リンクと今回の操作で選択された選択リンクとが接続しないと判定された場合(S5:NO)には、S6へと移行する。
【0042】
S6においてCPU21は、前回の操作で選択された選択リンク(以下、前回選択リンクという)と今回の操作で選択された選択リンク(以下、今回選択リンクという)の最近点を互いに取得する。具体的には前回選択リンク上で今回選択リンクに最も近い点と、今回選択リンク上で前回選択リンクに最も近い点とを夫々特定する。例えば、図8に示すように前回選択リンク41と今回選択リンク42が存在する場合には、前回選択リンク41上で今回選択リンク42に最も近い最近点Xと、今回選択リンク42上で前回選択リンク41に最も近い最近点Yが夫々特定される。尚、最近点はノードである必要はないが、ノード上に限定しても良い。即ち前回選択リンク上で今回選択リンクに最も近いノード点と、今回選択リンク上で前回選択リンクに最も近いノード点とを夫々特定しても良い。
【0043】
その後、S6においてCPU21は、前記S6で取得された2つの最近点の内、一方を始点、他方を終点として、始点から終点までを結ぶ経路を探索する。どちらを始点にしても良いが、例えば前回選択リンク上の最近点を始点、今回選択リンク上の最近点を終点とする。また、経路の探索については地図情報DB12に格納された地図情報を用い、公知のダイクストラ法によりコスト値の合計が最小となる経路を探索する。尚、ダイクストラ法を用いた経路探索処理は既に公知であるので詳細は省略する。
【0044】
また、一般的にナビゲーション装置などの経路探索機能を備えた装置で経路の探索を行う場合には探索条件として複数の条件が存在し、探索条件によってコストの算出方法を変えることが知られている。例えば探索条件としては『推奨』、『距離優先』、『一般道優先』、『有料道路優先』、『エコ』、『景観優先』等がある。前記S7の経路の探索では実際に走行する対象となる経路を探索するわけではないので、基本的には始点から終点までの距離が短くなることを優先した『距離優先』により経路の探索を行うこととする。
【0045】
但し、前記S7の経路の探索を行う際の探索条件を管理者7が選択可能にしても良い。例えば、前記S2のリンクの選択操作を行う際や、その前に上記『推奨』、『距離優先』、『一般道優先』、『有料道路優先』、『エコ』、『景観優先』の中からいずれかの探索条件を管理者7が選択して設定することで、前記S7では設定された探索条件により探索を行うようにすることが可能である。
【0046】
また、上記S7の経路の探索処理は、管理サーバ装置1でなく通信可能な外部のサーバにより行っても良い。その場合には、経路探索を要求する為の経路探索要求(始点や終点を特定する情報を含む)を外部のサーバへと送信し、外部のサーバが有する地図情報に基づいて始点から終点までの経路の探索が行われる。そして、探索された結果を外部のサーバから受信するようにする。
【0047】
その後、S8においてCPU21は、前記S7で探索された経路で前回選択リンクと今回選択リンクの間を補完する。その結果、図9に示すように前回選択リンク41と今回選択リンク42が接続されていなかったとしても、最近点Xと最近点Yとの間が前記S7で探索された経路43で接続されることで、前回選択リンク41と今回選択リンク42とが接続した状態となる。その後、S9へと移行する。
【0048】
S9においてCPU21は、現在までに前記S3で選択された選択リンク(前記S8で補完された場合には補完した経路を含む補完後の選択リンク)によって囲まれたエリアが形成できたか否かを判定する。
【0049】
そして、現在までに前記S3で選択された選択リンクによって囲まれたエリアが形成できたと判定された場合(S9:YES)には、S10へと移行する。それに対して、現在までに前記S3で選択された選択リンクによって囲まれたエリアが形成できなかったと判定された場合(S9:NO)にはS2へと戻り、継続して管理者7によるリンクの選択を行わせる。
【0050】
S10においてCPU21は、現在までに前記S3で選択された選択リンク(前記S8で補完された場合には補完した経路を含む補完後の選択リンク)によって囲まれたエリアをジオフェンス8として設定する。
【0051】
尚、前記S10で設定されるジオフェンス8の境界線は、前記S3で選択された選択リンクと前記7で探索された経路の組み合わせ(但し選択リンクのみでエリアが囲める場合には選択リンクのみ)となるので、管理者7がどのようにリンクを選択し、そのリンク同士が接続されていなかったとしても図10に示すようにジオフェンス8の境界線45は必ずリンクに沿って設定される、即ちリンクがジオフェンス8の境界線45となる。その結果、境界線がリンク途中に位置することがないので、図11に示すように人や車が意図せずにジオフェンス8内へと侵入することを防止できる。
【0052】
その後、管理サーバ装置1は、前記S13で最終的に修正されて設定されたジオフェンス8を特定する情報を登録情報DB13(図4)に格納し、必要に応じて通信ネットワーク網6を介して通信端末5(ユーザ)に対して提供(配信)する。
【0053】
一方、通信端末5では管理サーバ装置1からジオフェンス8を特定する情報を受信すると、通信端末5において表示される地図画像にジオフェンス8を表示したり、ジオフェンス8に侵入した場合には侵入したことに対する通知を行うことが可能である。また、ナビ機能において目的地までの経路探索を行う場合に、ジオフェンス8を避けた(ジオフェンス8内を通過しない)経路を探索することも可能である。また、ジオフェンス8が電気自動車のみに走行が制限された地域であって、車両がEV走行の可能なハイブリッド車両である場合についてはジオフェンス8に侵入した際に車両側のECUに信号を送信し、EV走行への切り替え制御を行わせることも可能である。
【0054】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る管理サーバ装置1、ジオフェンスシステム2及び管理サーバ装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、選択された複数のリンク毎に、該リンクと道なりの関係にあるリンクがない場合には該リンクのみを、該リンクと道なりの関係にあるリンクがある場合には道なり関係にあるリンクを含めたリンク列を、選択リンクとして取得し(S3)、複数の選択リンクによって囲まれたエリアを取得して対象エリアとして設定する(S10)一方で、複数の選択リンクの間が繋がらない場合に、繋がらない選択リンクの内の一方の選択リンクから他方の選択リンクの間を結ぶ経路を地図情報を用いて探索し(S7)、探索された経路で一方の選択リンクと他方の選択リンクの間を繋ぐことで選択リンクを補完し(S8)、補完後の選択リンクによって囲まれたエリアを取得する(S10)ので、リンクを境界線としたエリアを地図上に設定する場合に、管理者がエリアの境界線とするリンクを全て選択する必要がなく、いくつかのリンクを選択すればそのリンクが境界となるエリアを容易に地図上に設定することが可能となる。
また、一方の選択リンクと他方の選択リンクの互いの最近点を夫々始点と終点として始点から終点の間を結ぶ経路を探索するので、複数の選択リンクの間が繋がらない場合に、繋がらない選択リンクの間を最短で且つリンクを通過する経路で補完することが可能となる。
また、一方の選択リンクから他方の選択リンクの間を結ぶ経路を探索する際の探索条件を複数の条件の内から設定し、設定された探索条件に基づいて一方の選択リンクから他方の選択リンクの間を結ぶ経路を探索する(S7)ので、管理者の希望する条件に合うリンクを境界とするエリアを設定することが可能となる。
また、表示された地図画像上で操作者の操作に基づいて複数のリンクを選択する(S2)ので、管理者(操作者)の操作に基づいて管理者が希望するエリアを容易に設定することが可能となる。
【0055】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では特にジオフェンスを設定する例を説明したが、地図画像上に設定するエリアであれば特にジオフェンスに限られない。
【0056】
また、本実施形態では前記S2において管理者がリンクを選択する操作を行う場合に、ディスプレイ14に地図画像を表示して表示した地図画像上でリンクの選択を行っているが、リンクの選択を行う際に地図画像は必ずしも表示する必要はない。例えば、リンク番号や道路名などのリンクを特定する情報を入力することでリンクを選択するようにしても良い。また、前記S2では管理者の操作に基づいてリンクを選択するのではなく、外部から入力されたデータに基づいてリンクの選択を行っても良い。例えば外部の災害を管理するサーバから災害の発生地点が入力された場合に、発生地点の周囲1km前後に位置するリンクを選択することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…管理サーバ装置、2…ジオフェンスシステム、3…情報管理センタ、4…ユーザ、5…通信端末、6…通信ネットワーク網、7…管理者、8…ジオフェンス。9…地図画像、11…サーバ制御部、12…地図情報DB、13…登録情報DB、14…ディスプレイ、15…操作部、41…前回選択リンク、42…今回選択リンク、43…保管する経路、45…境界線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11