(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142956
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】攪拌装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/71 20220101AFI20241003BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20241003BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20241003BHJP
B01F 35/221 20220101ALI20241003BHJP
B01F 27/1122 20220101ALI20241003BHJP
B01F 27/2322 20220101ALI20241003BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20241003BHJP
B01F 27/82 20220101ALI20241003BHJP
B01F 101/21 20220101ALN20241003BHJP
B01F 101/06 20220101ALN20241003BHJP
【FI】
B01F35/71
B01F21/00 101
B01F23/53
B01F35/221
B01F27/1122
B01F27/2322
B01F27/90
B01F27/82
B01F101:21
B01F101:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055383
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000225016
【氏名又は名称】プライミクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 健太
(72)【発明者】
【氏名】平木 啓介
(72)【発明者】
【氏名】川久保 舞子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 恭平
(72)【発明者】
【氏名】松田 崇邦
(72)【発明者】
【氏名】樅山 貴志
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB46
4G035AE02
4G035AE13
4G037AA04
4G037AA08
4G037AA18
4G037EA04
4G078AA13
4G078AA30
4G078AB09
4G078AB20
4G078BA05
4G078BA07
4G078DA01
4G078DA28
4G078EA01
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】
攪拌容器と当該攪拌容器とは別の粉体を収容する容器とを接続する配管内の内圧を制御することにより、効率良く攪拌容器内に粉体を投入できる攪拌装置を提供する。
【解決手段】
液体が収容される攪拌容器と、粉体が収容される粉体容器と、前記攪拌容器の底部と前記粉体容器とを接続し、前記粉体容器に収容された粉体を、攪拌容器内に移送可能な配管と、前記攪拌容器の内部及び前記配管の内部を減圧する減圧手段と、前記配管に接続され、かつ前記配管の内部の圧力を制御可能な調圧手段とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容される攪拌容器と、
粉体が収容される粉体容器と、
前記攪拌容器の底部と前記粉体容器とを接続し、前記粉体容器に収容された粉体を、前記攪拌容器内に移送可能な配管と、
前記攪拌容器の内部及び前記配管の内部を減圧する減圧手段と、
前記配管に接続され、かつ前記配管の内部の圧力を制御可能な調圧手段と
を有することを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記調圧手段は、前記配管内に大気または気体を導入することにより、前記配管の内部の圧力を制御することを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記調圧手段は、調圧バルブの開閉により前記配管内に大気または気体を導入する量を制御することにより、前記配管の内部の圧力を制御することを特徴とする請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記調圧手段は、直線状に延伸する前記配管の延伸方向が10°~80°変化する部分の前記配管に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記配管の延伸方向が変化する部分は、延伸方向が曲線的に変化するR部であることを特徴とする請求項4に記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記調圧手段は、前記R部において、
延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる前記配管の中心断面より外周側の前記配管に接続されている
ことを特徴とする請求項5に記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記調圧手段は、前記R部において、
延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して平行となる前記配管の中心断面と前記配管の表面との交線と、
延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる前記配管の中心断面と前記配管の表面との交線と
によって区画される前記配管の表面の領域に接続されている
ことを特徴とする請求項5に記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記R部の曲げR角度をα1、
前記R部の曲げR角度の曲率中心と当該R部の下流側の端部とを結ぶ直線と、前記調圧手段の中心線とのなす角をα2とするとき、
前記調圧手段は、前記R部において、
0<α2≦0.5×α1(0<α1<90)となる位置に接続されている
ことを特徴とする請求項5に記載の攪拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に粉体を溶解する機能を有する攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品や食品の分野を中心に、粉体を液体に溶解する機能を有する攪拌装置が広く利用されている。
従来、液体に粉体を溶解する機能を有する攪拌装置として、例えば、攪拌容器内に収納した液体の上方側から粉体を投入して液面に向けて落下させるとともに、攪拌羽根で液体を攪拌させながら、液面に落下した粉体を液体に溶解させる方式が採用されていたが、この方式であると、粉体が攪拌容器内の液面の上方で飛散して攪拌容器の内壁面等を汚すことがあり、攪拌装置のメンテナンス性を著しく低下させるという問題が生じていた。
また、液体に溶解させる粉体として、比重が小さいものを使用する場合においては、液面に落下した粉体が液面上に堆積して液体への溶解が阻害されるという問題も生じていた。
【0003】
この問題を解決する手段として、例えば、特許文献1に示す攪拌装置が提案されている。
特許文献1に示す攪拌装置は、液体が貯留された密閉タンク内を減圧しつつ、攪拌容器とは別の容器に収容される粉体を、接続配管を経由して攪拌容器の底側から負圧吸引して攪拌容器内に取り込み、攪拌容器内に貯留された液体に溶解させる方式を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
特許文献1に示す攪拌装置のように、粉体を攪拌容器の底側から負圧吸引して攪拌容器内に取り込み、攪拌容器内に貯留された液体に溶解させる方式であると、粉体が攪拌容器内の雰囲気中を経由することなく、攪拌容器内の液体中に直接送り込まれるため、粉体が攪拌容器内の液面の上方で飛散して攪拌容器の内壁面等を汚して、攪拌装置のメンテナンス性を著しく低下させるという問題が生じることも無く、また、液面に落下した粉体が液面上に堆積して液体への溶解が阻害されるという問題も生じることが無い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示す攪拌装置においては、攪拌容器の底側から負圧吸引による攪拌容器内への粉体の取り込みを開始する際、バルブを開けた直後に攪拌容器と攪拌容器と別の容器とを接続する配管内の内圧が一時的に低下して、攪拌容器と配管との間で生じる差圧が減少し、これに伴って攪拌容器内に収容されている液体が配管内に流入して粉体と接触して、配管内を閉塞させるという問題が生じる。
【0007】
この問題を解決するために本発明の発明者らが鋭意検討したところ、攪拌容器と当該攪拌容器とは別の粉体を収容する容器とを接続する配管内の内圧を制御することにより、上記課題を解決できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的には、本発明の攪拌装置は、液体が収容される攪拌容器と、粉体が収容される粉体容器と、前記攪拌容器の底部と前記粉体容器とを接続し、前記粉体容器に収容された粉体を、前記攪拌容器内に移送可能な配管と、前記攪拌容器の内部及び前記配管の内部を減圧する減圧手段と、前記配管に接続され、かつ前記配管の内部の圧力を制御可能な調圧手段とを有する(請求項1)。
【0009】
好ましくは、前記調圧手段は、前記配管内に大気または気体を導入することにより、前記配管の内部の圧力を制御する(請求項2)。
また、前記調圧手段は、調圧バルブの開閉により前記配管内に大気または気体を導入する量を制御することにより、前記配管の内部の圧力を制御する(請求項3)。
【0010】
より好ましくは、前記調圧手段は、直線状に延伸する前記配管の延伸方向が10°~80°変化する部分の前記配管に接続されている(請求項4)。
また、前記配管の延伸方向が変化する部分は、延伸方向が曲線的に変化するR部である(請求項5)。
【0011】
さらに好ましくは、前記調圧手段は、前記R部において、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる前記配管の中心断面より外周側の前記配管に接続されている(請求項6)。
また、前記調圧手段は、前記R部において、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して平行となる前記配管の中心断面と前記配管の表面との交線と、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる前記配管の中心断面と前記配管の表面との交線とによって区画される前記配管の表面の領域に接続されている(請求項7)。
また、前記R部の曲げR角度をα1、前記R部の曲げR角度の曲率中心と当該R部の下流側の端部とを結ぶ直線と、前記調圧手段の中心線とのなす角をα2とするとき、前記調圧手段は、前記R部において、0<α2≦0.5×α1(0<α1<90)となる位置に接続されている(請求項8)。
【発明の効果】
【0012】
一般に、液体が貯留された密閉タンク内を減圧しつつ、攪拌容器とは別の容器に収容される粉体を、攪拌容器と別の容器とを接続する配管を経由して攪拌容器の底側から負圧吸引して攪拌容器内に取り込み、攪拌容器内に貯留された液体に溶解させる方式の攪拌装置においては、粉体が容器内の雰囲気中を経由することなく、攪拌容器内の液体中に直接送り込まれるため、粉体が攪拌容器内の液面の上方で飛散して攪拌容器の内壁面等を汚して、攪拌装置のメンテナンス性を著しく低下させるという問題が生じることも無く、また、液面に落下した粉体が液面上に堆積して液体への溶解が阻害されるという問題も生じることが無いといった利点がある一方で、攪拌容器の底側から負圧吸引による攪拌容器内への粉体の取り込みを開始する際、バルブを開けた直後に攪拌容器と攪拌容器と別の容器とを接続する配管内の内圧が一時的に低下して、攪拌容器と配管との間で生じる差圧が減少し、これに伴って攪拌容器内に収容されている液体が配管内に流入して粉体と接触して、配管内を閉塞させるという問題が生じる。
【0013】
これに対し、本発明のように、液体が収容される攪拌容器と、粉体が収容される粉体容器と、攪拌容器の底部と粉体容器とを接続し、粉体容器に収容された粉体を、攪拌容器内に移送可能な配管と、攪拌容器の内部及び配管の内部を減圧する減圧手段と、配管に接続され、かつ配管の内部の圧力を制御可能な調圧手段とを有するようにしていると、攪拌容器の底側から負圧吸引による攪拌容器内への粉体の取り込みを開始する際、バルブを開けた直後に攪拌容器と攪拌容器と別の容器とを接続する配管内の内圧が一時的に低下して、攪拌容器と配管との間で生じる差圧が減少し、これに伴って攪拌容器内に収容されている液体が配管内に流入して粉体と接触して、配管内を閉塞させるという問題の発生を抑制することができるようになる。
【0014】
ここで、調圧手段として、配管内に大気または気体を導入する手段を採用すると、複雑な機構を採用する必要もなく、しかも粉体の性状を損なうこともなく、比較的容易に配管の内部の圧力を制御するすることができるようになる。
【0015】
また、調圧手段として、調圧バルブの開閉により配管内に大気または気体を導入する量を制御する手段を採用すると、配管の内部の圧力を制御し易くなる。
【0016】
ここで、調圧手段を接続する位置が、粉体を攪拌容器内に移送可能な配管の延伸方向が10°~80°変化する部分の配管の表面であると、配管の内部の圧力を制御して、攪拌容器内に収容されている液体が配管内に流入して粉体と接触するという問題の発生を抑制するといった効果を確実に発揮することが可能となる。
また、配管の延伸方向が変化する部分が、延伸方向が曲線的に変化するR部であると、上記効果をより確実に発揮させることが可能となる。
【0017】
さらに、調圧手段が、R部において、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる配管の中心断面より外周側の配管に接続されていると、粉体容器から攪拌容器への粉体の流動を阻害することなく、配管の内部の圧力を制御して、攪拌容器内に収容されている液体が配管内に流入して粉体と接触するという問題の発生を抑制する効果を確実に発揮することが可能となる。
【0018】
また、調圧手段が、R部において、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して平行となる配管の中心断面と配管の表面との交線と、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる配管の中心断面と配管の表面との交線とによって区画される配管の表面の領域に接続されていると、粉体容器から攪拌容器への粉体の流動の阻害を抑制する効果が特に高められるとともに、配管の内部の圧力を制御して、攪拌容器内に収容されている液体が配管内に流入して粉体と接触するという問題の発生を抑制するといった効果を確実に発揮することが可能となる。
【0019】
さらに、R部の曲げR角度をα1、R部の曲げR角度の曲率中心とR部の下流側の端部とを結ぶ線と、調圧手段の中心線とのなす角をα2とするとき、調圧手段が、R部において、0<α2≦0.5×α1(0<α1<90)となる位置に接続されていると、粉体容器から攪拌容器への粉体の流動の阻害を抑制する効果が特に高められるとともに、配管の内部の圧力の制御の精度を向上させることができ、攪拌容器内に収容されている液体が配管内に流入して粉体と接触するという問題の発生を抑制する効果をより高めることが可能となる。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図6】本発明及び比較例に係る調圧手段を示す模式図である。
【
図7】本発明及び比較例に係る調圧手段を示す平面図である。
【
図8】本発明及び比較例に係る調圧手段を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
また、理解を容易にするため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0023】
図1に示すように、攪拌装置1は、円筒状の容器2と、この容器2の底面を含む外周面に冷却水または温水を供給かつ排出する配管3が接続された外層(ジャケット)4とを備えている。
また、攪拌装置1は、第1攪拌部5、第2攪拌部6および第3攪拌部7を備えている。
【0024】
容器2は、例えば、50リットルの液体を保持可能な容量を有する。
容器2は、外周面等に備えるにジャケット4により、容器2内に収容された液体を保温又は冷却することが可能となっている。
また、容器2には、液体注入経路8が接続されており、容器2内に収容される液体は、液体注入経路8を経由して容器2内に注入される。
さらに、容器2には、排出経路9が接続されており、容器2内で処理された処理液は、排出経路9を経由して容器2外に排出される。
【0025】
第1攪拌部5は、容器2内の処理液を容器2の全体でゆっくり攪拌する機能を有する。
第1攪拌部5は、例えば、アンカーミキサーである。
第1攪拌部5は攪拌翼を含み、攪拌翼はシャフトを介して攪拌翼を回転させるモータに接続されている。
第1攪拌部5の攪拌翼は、容器2の底部と側部に沿った形状を有しており、モータによって回転されることによって、容器2内の処理液を、容器2の全体でゆっくり攪拌する。
【0026】
第2攪拌部6は、容器2内の処理液を高速で攪拌する機能を有する。
第2攪拌部6は、例えば、ホモミキサー又はディスパーミキサー等の高速分散機である。
第2攪拌部6は攪拌翼を含み、攪拌翼はシャフトを介して攪拌翼を回転させるモータに接続されている。
第2攪拌部6の攪拌翼は、モータによって高速で回転し、容器2内の処理液を高速で攪拌して、例えば、処理液の乳化を促進する。
【0027】
第3攪拌部7は、容器2内の処理液を、中速で攪拌する機能を有する。
第3攪拌部7は、例えば、ディスパー等の中速分散機である。
第3攪拌部7は攪拌翼を含み、攪拌翼はシャフトを介して攪拌翼を回転させるモータに接続されている。
第3攪拌部7の攪拌翼は、モータによって高速で回転し、容器2内の処理液を中速で攪拌して、例えば、処理液の分散を促進する。
なお、本実施の形態においては、第3攪拌部7に攪拌翼が2つ含まれる例を示したが、これに限られるものではなく、処理対象の性状等に応じて、増減させることができる。
【0028】
本実施の形態においては、第1攪拌部5、第2攪拌部6および第3攪拌部7を備えている例を示したが、これに限られるものではなく、処理対象の性状等に応じて、いずれかの攪拌部のみ、またはいずれか2つの攪拌部組み合わせて使用することも可能である。
【0029】
容器2は密閉構造となっている。
また容器2には、容器内を減圧する減圧手段10が接続されている。
減圧手段10は真空ポンプを含み、容器2内の雰囲気を真空ポンプによって容器2外に排出することにより容器2内を減圧することができる。
【0030】
攪拌装置1は、容器2とともに粉体容器11を備えている。
粉体容器11は、容器2へ投入するための粉体を貯留するためのタンクであり、底部が円錐状のいわゆるホッパである。
粉体容器11の底部には、粉体を容器2に移送するための配管12が接続されている一方で、配管12の他端側は、容器2の底部に接続されている。
粉体容器11に収容された粉体は、容器2内を減圧したときに生じる容器2/粉体容器11間の差圧によって配管12内を経由して移送され、容器2内に投入される。
配管12にはバルブが配置されており、当該バルブの開閉量を制御することにより、容器内に投入される粉体の量及び速度を制御することができる。
【0031】
攪拌装置1は、以上のような粉体の供給機構を備えていることにより、粉体が容器2内の雰囲気中を経由することなく、容器2内に収容された処理液体中に直接投入されるため、粉体が攪拌容器2内の液面の上方で飛散して攪拌容器2の内壁面等を汚して、攪拌装置1のメンテナンス性を著しく低下させるという問題が生じることも無く、また、処理液の液面に落下した粉体が液面上に堆積して処理液への溶解が阻害されるという問題も生じることも無くなる。
【0032】
さらに、攪拌装置1には、配管12の内部の圧力を制御可能な調圧手段13が配管12に接続されている。
調圧手段13は、配管12内に大気または気体を導入することにより、配管12の内部の圧力を制御することができるようになっており、配管12内への大気等の導入は、配管12に接続される導入経路14を経由して行われる。
導入経路14には、バルブが配置されており、当該バルブの開閉量を制御することにより、配管12内に導入される大気等の量及び速度を制御することができる。
なお、本実施の形態においては、導入経路14の他端が開放されていて、配管12内に大気を導入する例を示したが、これに限られるものではなく、例えば、導入経路14の他端を窒素、希ガス等の不活性ガスのボンベに接続して、これらのガスを配管12内に導入して配管12の内部の圧力を制御することもできる。
【0033】
図2~
図5に示すように、調圧手段13を構成する配管12と導入経路14との結合部は、直線状に延伸する配管12の延伸方向が変化する部分の前記配管の表面に設けられている。
一般に、配管12内での粉体の移送は、
図6(a)に示すように、粉体が配管12内を満遍なく広がった状態で移送されるが、上述のように配管12と導入経路14との結合部が、延伸する配管12の延伸方向が変化する部分に設けられていると、
図6(b)に示すように、配管12内を移送される粉体が、配管12内の一方の側に遍在するようにして移送されている状態で導入経路14から配管12内に大気または気体を導入することができ、配管12内に導入される大気等の量及び速度を制御することが容易となる。
【0034】
ここで、
図2~
図5に示すように、直線状に延伸する配管12の延伸方向が変化する部分が、延伸方向が曲線的に変化するR部であると、配管12内を移送される粉体が、配管12内の一方の側に遍在するようにして移送される状態を維持し易くなり、配管12内に導入される大気等の量及び速度を制御することがさらに容易となる。
【0035】
延伸方向が曲線的に変化するR部は、
図2において定義する当該R部の両端のなす角α1が10°~80°の範囲に設定されていることが好ましい。
α1が10°を下回ると、粉体が配管12内の一方の側に遍在するようにして移送される状態を維持することが困難なる一方で、α1が80°を上回ると、配管12内での粉体の移送そのものが阻害されることになるからである。
好ましくは、α1が20°~70°の範囲に設定されていることが好ましく、より好ましくは、α1が30°~60°の範囲に設定されていることが好ましく、さらに好ましくは、α1が40°~50°の範囲に設定されていることが好ましい。
【0036】
また、調圧手段13は、R部において、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる配管12の中心断面より外周側の配管12の表面に設けられていることが好ましい。
このように調圧手段13が当該位置に設けられていると、配管12内に導入される大気等の量及び速度を制御することが容易となる効果を維持しつつ、調圧手段13の作用により、配管12内での粉体の移送量及び移送速度を制御することが可能となるからである。
【0037】
ここで、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる配管12の中心断面は、
図2及び
図4中の一点鎖線A-Aで表される断面であり、調圧手段13は、当該中心断面より外周側(
図2及び
図4中の一点鎖線A-Aより右側)の配管12の表面に接続されている。
【0038】
また、調圧手段13は、R部において、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して平行となる配管12の中心断面と配管12の表面との交線と、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる配管12の中心断面と配管12の表面との交線とによって区画される配管12の表面の領域に設けられていることが好ましい。
このように調圧手段13が当該位置に設けられていると、配管12内に導入される大気等の量及び速度を制御することが容易となる効果を維持しつつ、調圧手段13の作用により、配管12内での粉体の移送量及び移送速度をより精度よく制御することが可能となるからである。
【0039】
ここで、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して平行となる配管12の中心断面は、
図3及び
図4中の一点鎖線B-Bで表される断面であり、調圧手段13は、当該中心断面と配管12の表面との交線と、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる配管12の中心断面(
図2及び
図4中の一点鎖線A-A)と配管12の表面との交線とによって区画される配管12の表面の領域(
図4中の矢印Sで示す領域)に接続されている。
なお、ここでいう
図4中の矢印Sで示す領域に設けられているということは、少なくとも調圧手段13の中心が当該領域に設けられていればよく、調圧手段13の外周部分が当該領域外に設けられていても良い。
【0040】
このように調圧手段13が当該位置に設けられていると、配管12内に導入される大気等の量及び速度を制御することが容易となる効果を維持しつつ、調圧手段13の作用により、配管12内での粉体の移送量及び移送速度をより精度よく制御することが可能となる。
【0041】
ここで、
図7に示すように、調圧手段13が
図4中の矢印Sで示す領域に設けられた場合(
図7(a))と、調圧手段13が、延伸方向が曲線的に変化する方向を含む平面に対して垂直となる配管12の中心断面(
図2及び
図4中の一点鎖線A-A)上に中心が配置されるようにして設けられた場合(
図7(b))とを比較すると、
図8に示すように、前者(
図8(a))の場合では、配管12内を一方の側に遍在するようにして移送されている粉末Pの側方に接するようにして、導入経路14から配管12内に大気または気体Fを導入することができるのに対し、後者(
図8(b))の場合では、配管12内を一方の側に遍在するようにして移送されている粉末Pの中央部に向けて導入経路14から配管12内に大気または気体Fが導入されることになる。
このため、前者(
図8(a))の場合では、前者(
図8(b))の場合にくらべ、配管12内に導入される大気等の量及び速度を制御することが容易となる効果を維持しつつ、調圧手段13の作用により、配管12内での粉体の移送量及び移送速度をより一層精度よく制御することが可能となる。
【0042】
また、
図2に示すように、R部の曲げR角度(R部の両端のなす角)をα1、R部の曲げR角度の曲率中心と当該R部の下流側の端部とを結ぶ直線と、調圧手段13の中心線とのなす角をα2とするとき、調圧手段13は、R部において、0<α2≦0.5×α1(0<α1<90)となる位置に設けられていることが好ましい。
ここで、調圧手段13の中心線は、本実施の形態のように、調圧手段13が円筒状の場合は、その延伸方向の中心線で定義されるが、これに限られるものではなく、例えば、調圧手段13が断面多角形となる角筒状である場合は、調圧手段13の延伸方向の2箇所以上の断面における断面中心を通る直線を調圧手段13の中心線とすることができる。
このように調圧手段13が当該位置に接続されていると、配管12内に導入される大気等の量及び速度を制御することが容易となる効果を維持しつつ、調圧手段13の作用により、配管12内での粉体の移送量及び移送速度をより更に一層精度よく制御することが可能となる。
【0043】
本発明に係る攪拌装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る攪拌装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0044】
1 攪拌装置
2 容器
3 配管
4 外層
5 第1攪拌部
6 第2攪拌部
7 第3攪拌部
8 液体注入経路
9 排出経路
10 減圧手段
11 粉体容器
12 配管
13 調圧手段
14 導入経路