(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142957
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/18 20220101AFI20241003BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20241003BHJP
F24H 15/45 20220101ALI20241003BHJP
F24H 15/457 20220101ALI20241003BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20241003BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20241003BHJP
【FI】
F24H15/18
F24H4/02 F
F24H15/45 101
F24H15/457
F24H15/395
F24H15/281
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055384
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】難波 知世
(72)【発明者】
【氏名】北尾 啓祐
(72)【発明者】
【氏名】黒石 絢子
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA63
3L122AA64
3L122AA65
3L122AB22
3L122AB42
3L122BA42
3L122FA03
3L122FA04
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA27
(57)【要約】
【課題】宅外の外部通信端末の遠隔操作により給湯設定温度が変更されたとしても、ユーザがその給湯設定温度の変更を認識することができる給湯システムを提供する。
【解決手段】給湯システムは、宅内に湯を供給する給湯手段と、宅内に配置され、給湯手段の給湯設定温度及び運転状態を通知するリモコンと、宅外の外部通信端末と通信可能な通信手段と、外部通信端末から給湯設定温度を変更した際に、リモコンにて給湯設定温度の変更を報知する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅内に湯を供給する給湯手段と、
宅内に配置され、前記給湯手段の給湯設定温度及び運転状態を通知するリモコンと、
宅外の外部通信端末と通信可能な通信手段と、
前記外部通信端末の操作により前記給湯設定温度を変更した際に、前記リモコンにて前記給湯設定温度の変更を報知する制御部と、を備える給湯システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記外部通信端末の操作により前記給湯設定温度を変更した際に、前記リモコンにて前記報知が完了した後に、前記給湯手段の実際の給湯温度を変更する請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記給湯手段の給湯機能を使用している際には、前記給湯設定温度の変更を禁止することを特徴とする、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記給湯手段の給湯機能を使用開始する際に、前回の給湯機能使用時から前記給湯設定温度の変更があった場合は、前回から変更があった旨を前記リモコンにて報知する請求項1に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記制御部は、給湯設定温度を変更した際に、変更操作元の差異により前記リモコンでの報知内容を変える請求項1に記載の給湯システム。
【請求項6】
請求項1に記載の給湯システムであって、前記リモコンが音量を設定可能であるものにおいて、
前記制御部は、前記リモコンでの報知は、前記リモコンの音量設定が音量なしの場合でも、音を伴う報知を行う給湯システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記外部通信端末から前記給湯設定温度を変更する際に、変更される前記給湯設定温度の値が所定の上限値を超える場合のみ、前記リモコンから報知音を発する請求項1に記載の給湯システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記外部通信端末から前記給湯設定温度を変更する際に、変更される前記給湯設定温度の値が所定の下限値を下回る場合のみ、前記リモコンから報知音を発する請求項1に記載の給湯システム。
【請求項9】
前記制御部は、夜間の所定時間帯には前記リモコンによる報知音での報知を禁止する請求項1に記載の給湯システム。
【請求項10】
前記制御部は、報知音での報知を行うか行わないかを設定可能な報知切替手段を備えた請求項1に記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯システムに関し、より詳しくは、貯湯式給湯機を備える給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には給湯システムとしての熱源装置が開示されている。この熱源装置は、給湯栓に供給する湯の設定温度(以下「給湯設定温度」という)を、宅内に設置されたリモコンの操作だけでなく、宅外に存する外部通信端末の遠隔操作によって変更可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1では、ユーザである入浴者がリモコンにより浴室優先モードに設定することで、外部通信端末による給湯設定温度の変更が禁止される。これにより、ユーザがシャワー等により意図しない温度の湯を浴びることが防止される。
【0005】
しかし、浴室優先モードを一旦解除した後、浴室優先モードを設定し忘れたような場合には、外部通信端末の遠隔操作による給湯設定温度の変更が可能となる。この場合、給湯温度が変更されたことをユーザが認識することができず、結果として、ユーザが意図しない温度の湯を浴びる虞がある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものである。本開示は、宅外の外部通信端末の遠隔操作により給湯設定温度が変更されたとしても、ユーザがその給湯設定温度の変更を認識することができる給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る給湯システムは、宅内に湯を供給する給湯手段と、宅内に配置され、給湯手段の給湯設定温度及び運転状態を通知するリモコンと、宅外の外部通信端末と通信可能な通信手段と、を備え、外部通信端末から給湯設定温度を変更した際に、リモコンにて給湯設定温度の変更を報知する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、外部通信端末の遠隔操作により給湯設定温度が変更された場合でも、リモコンにより給湯設定温度の変更が報知されるため、宅内にいるユーザが給湯設定温度の変更を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1による給湯システムの構成の一例を示す概略図である。
【
図2】実施の形態1における外部通信端末から給湯設定温度を変更した場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による給湯システムの構成の一例を示す概略図である。給湯システム1は、貯湯式給湯機2を備える。貯湯式給湯機2は、ヒートポンプサイクルを利用するヒートポンプユニット(以下「HPユニット」という)3と、タンクユニット4とを備える。貯湯式給湯機2は、宅内の台所に設けられる台所リモコン50と、浴槽60が配置される宅内の浴室6に設けられる浴室リモコン61とを備える。HPユニット3とタンクユニット4とは、HP往き配管11とHP戻り配管12と図示しない電気配線とを介して接続されている。HPユニット3及びタンクユニット4は、宅内に湯を供給する給湯機能を有する給湯手段を構成する。
【0012】
HPユニット3は、タンクユニット4に設けられる後述の貯湯タンク41から導かれた低温水を加熱するための加熱手段として機能する。HPユニット3は、圧縮機31と、水冷媒熱交換器32と、膨張弁33と、空気熱交換器34とを冷媒循環配管35により環状に接続した冷媒回路を備え、この冷媒回路がヒートポンプサイクルを構成する。水冷媒熱交換器32は、冷媒循環配管35を流れる冷媒とタンクユニット4から導かれた低温水との間で熱交換を行う。
【0013】
タンクユニット4には、以下の部品や配管などが内蔵されている。即ち、タンクユニット4は、貯湯タンク41と、減圧弁42と、熱源ポンプP1と、ふろ用熱交換器43と、ふろ循環ポンプP2と、ふろ戻り温度センサS1と、ふろ往き温度センサS2と、水流検知センサS3と、水位センサS4と、一般給湯用混合弁44と、ふろ用混合弁45と、ふろ用電磁弁46と、ふろ用流量センサS5と、給湯栓47と、一般給湯用流量センサS6と、を備える。また、タンクユニット4は、第1給水配管51a(9a)と、第2給水配管51bと、第3給水配管51cと、水導出口配管52と、第1バイパス配管53aと、第2バイパス配管53bと、温水導入配管54aと、温水導出配管54bと、追いだき接続配管54cと、熱回収接続配管54dと、給湯配管55と、第1給湯配管55aと、第2給湯配管55bと、送湯配管56と、ふろ往き配管57と、ふろ戻り配管58と、を備える。
【0014】
貯湯タンク41は、湯水を貯留する。貯湯タンク41には、水導入口41a、水導出口41b、温水導入口41c、温水導入出口41d及び熱回収出口41eが設けられている。貯湯タンク41の下部に設けられた水導入口41aには、第3給水配管51cが接続されている。水道等の水源から供給される水は、減圧弁42で所定圧力に調圧された上で、第3給水配管51cを通って貯湯タンク41内に流入する。貯湯タンク41の上部に設けられた温水導入出口41dには、貯湯タンク41内に貯留された湯を貯湯式給湯機2の外部(浴室6)へ供給するための給湯配管55と、送湯配管56とが接続されている。なお、貯湯タンク41には、HPユニット3を用いて加熱された高温湯が温水導入出口41dから流入するとともに、第3給水配管51cからの低温水が水導入口41aから流入することにより、上下部で温度差が生じるように湯水が貯留される。また、貯湯タンク41の表面には、複数の貯湯温度センサ411,412が高さを変えて取り付けられている。後述する制御部40は、貯湯温度センサ411,412で貯湯タンク41内の湯水の温度分布を検出することにより、貯湯タンク41内の残湯量を把握した上で、HPユニット3による貯湯タンク41内の湯水の沸上運転の開始、停止などを制御する。
【0015】
熱源ポンプP1は、タンクユニット4内の上述する各種配管に湯水を循環させるためのポンプであり、HP往き配管11上に設けられている。
【0016】
ふろ用熱交換器43は、貯湯タンク41やHPユニット3から供給される高温湯を利用して、2次側の加熱対象水(浴槽水や暖房用水など)を加熱するための熱交換器である。本実施の形態では、ふろ用熱交換器43の2次側の構成として、浴室6の浴槽60内の湯水を循環させるふろ往き配管57とふろ戻り配管58を例示して説明する。ふろ用熱交換器43は、ふろ往き配管57とふろ戻り配管58の途中に設置されている。ふろ往き配管57とふろ戻り配管58の途中には、ふろ循環ポンプP2と、ふろ戻り温度センサS1と、ふろ往き温度センサS2と、水流検知センサS3と、水位センサS4とが設置されている。ふろ循環ポンプP2は、浴槽水を循環させるためのポンプである。ふろ戻り温度センサS1は、浴槽60から出た浴槽水の温度を検出する。ふろ往き温度センサS2は、ふろ用熱交換器43から出た熱交換後の湯の温度を検出する。水流検知センサS3は、湯水の循環を判定する。水位センサS4は、浴槽60の水位を検出する。浴槽60からふろ戻り配管58とふろ往き配管57は循環回路を形成しているため、この循環回路を「ふろ循環回路」とする。
【0017】
第1給水配管51aの一端は水道等の水源に接続され、第1給水配管51aの他端は減圧弁42を介して第2給水配管51b及び第3給水配管51cが接続され、これらによって「給水管路」が構成されている。第2給水配管51bは、途中から分岐してそれぞれ一般給湯用混合弁44とふろ用混合弁45とに接続されている。また、給湯配管55は、途中から分岐してそれぞれ一般給湯用混合弁44及びふろ用混合弁45に接続されている。第2給湯配管55bの途中には、ふろ用電磁弁46とふろ用流量センサS5とが設けられている。ふろ用電磁弁46は、第2給湯配管55bを開閉する。ふろ用流量センサS5は、第2給湯配管55bを通る湯の流量を検出する。
【0018】
一般給湯用混合弁44及びふろ用混合弁45は、給湯配管55から供給される高温湯と、第2給水配管51bから供給される低温水との流量比を調整することにより、使用者が台所リモコン50、または、浴室リモコン61、または、外部通信端末70にて、設定・変更した一般給湯設定温度の湯を生成し、第1給湯配管55a及び第2給湯配管55bにそれぞれ流入させる。一般給湯用混合弁44で温度調整された湯は、第1給湯配管55aから給湯栓47から給湯外部配管62を経由して、使用者が使用するシャワー63やカラン等の蛇口(図示省略)に供給される。このときの一般給湯流量は、第1給湯配管55aに設けられた一般給湯用流量センサS6により検出することができる。一般給湯流量があるときに、一般給湯が行われており、給湯機能の使用ありと判断する。一方、ふろ用混合弁45で設定温度に調整された湯は、第2給湯配管55bからふろ用電磁弁46、ふろ用流量センサS5、ふろ往き配管57、ふろ戻り配管58を経て浴槽60に供給される。このときのふろ給湯流量はふろ用流量センサS5により検出することができる。ふろ給湯流量があるときに、ふろ給湯が行われており、給湯機能の使用ありと判断する。
【0019】
タンクユニット4には、制御部40が内蔵されている。HPユニット3及びタンクユニット4に設けられる上述した各種部品、各種弁類、ポンプ類等の作動は、これらと電気的に接続された制御部40により制御される。
【0020】
制御部40と、台所リモコン50及び浴室リモコン61は相互通信可能に接続されている。それぞれのリモコン50,61には、給湯システム1の状態等の情報を表示する表示部50a,61aのほか、図示を省略するが、ユーザが操作するスイッチ等の操作部、スピーカ、マイク等が搭載されている。また、それぞれのリモコン50,61では、音量を設定できるようになっている。また、浴槽60に設けられる浴槽栓60aは、制御部40と電気的に接続されている。これにより、制御部40は、浴槽栓60aの開閉状態の確認と開閉指示とが可能である。また、制御部40は、外部通信装置7と接続され、外部回線と通信可能になっている。外部回線とは、例えば宅内のブロードバンドルータを経由したインターネット回線のことである。外部回線通信では、図示していないがクラウドサーバーへ接続され、貯湯式給湯機2の一般給湯の有無情報、一般給湯設定温度、ふろ給湯の有無情報、ふろ給湯設定温度、外部通信端末70の操作者の識別情報(ID)などの送受信を行う。
【0021】
制御部40の各機能は、複数の機器が連携することで実現されてもよいし、単一の機器によって実現されてもよい。また、制御部40の各機能の少なくとも一部は、外部ネットワーク上のサーバ等に実装されていてもよい。
【0022】
次に、上記給湯システム1の動作について説明する。先ず、湯はりについて説明する。湯はりは、浴室リモコン61をユーザが操作することで開始される。湯はりが開始された場合、給湯設定温度で設定された湯量を浴槽60へ給湯する。設定された湯量を給湯した後、浴槽60の温度を一定に保つふろ自動運転を続けて行う。ふろ自動運転は、定期的な間隔(例えば10分)毎に、ふろ循環ポンプP2を運転させて、浴槽60の湯をふろ循環回路に循環させる。このとき、ふろ戻り温度センサS1により浴槽湯温を検出し、浴槽温度が設定温度より低下していれば、浴槽湯の追いだきを開始し、設定温度まで浴槽温度が上昇すれば、追いだきを停止する。ふろ自動運転は、ユーザが出浴時に手動で停止するか、設定された時間まで動作を継続する。
【0023】
図2は、外部通信端末70から給湯設定温度を変更した場合の動作を示すフローチャートである。
【0024】
ステップS1では、外部通信端末70から一般給湯設定温度、または、ふろ給湯設定温度の変更有無の確認を行う。一般給湯設定温度、または、ふろ給湯設定温度の変更があれば、ステップS2に進み、変更がなければ、ステップS1で待機する。なお、ステップS1では、外部通信端末70から温度設定の変更範囲に制限を設けてもよい。これは、宅内の給湯使用者が、外部通信端末70からの設定変更に万一気づかない場合でも、不快にならないような温度変更範囲とするためである。即ち、外部通信端末70からの給湯設定温度の変更値が所定の上限値を超える場合、または所定の下限値を下回った場合に、ステップS2に進むように構成してもよい。
【0025】
ステップS2では、給湯機能の使用有無を確認する。ステップS1にて、外部通信端末70により一般給湯設定温度を変更操作されたとき、一般給湯流量ありの場合に給湯機能の使用ありと判断する。ステップS1にて、ふろ給湯設定温度が変更操作されたとき、ふろ給湯流量ありの場合に給湯機能の使用ありと判断する。給湯機能の使用なしの場合、ステップS3に進む。給湯機能の使用ありの場合、給湯機能の使用なしになるまで、ステップS2で待機することで、実際の給湯温度の変更が保留(禁止)される。これは、給湯機能の使用中に給湯設定温度を変更した場合、宅内の給湯機能使用者が、意図しない給湯温度の湯を浴びることを防ぐためである。なお、ステップS2では、給湯機能の使用ありの場合、給湯機の使用なしになるまでステップS2で待機しているが、給湯機能の使用ありの場合、給湯設定温度を変更せずに本ルーチンを一旦終了してもよい。
【0026】
ステップS3では、給湯設定温度の変更があった旨を台所リモコン50と浴室リモコン61で報知する。リモコン50,61の表示部50a,61aによる文字ガイダンスに加え、報知音や音声により報知することで、宅内のユーザに給湯設定温度の変更があったことを認識させることができる。報知が完了したら、ステップS4に進む。なお、リモコン50,61で報知する際に、外部通信端末70の操作者をID(識別情報)などで管理し、そのID情報をリモコン50,61に送信し、そのID情報をもとにリモコン50,61での報知内容を変えてもよい。即ち、変更操作者の差異により、報知内容を変えてもよい、例えば、そのID情報に登録しているユーザ名からの操作であることを、音声で報知すれば、外部通信端末70の操作者が明確になり、使い勝手を向上させることができる。また、リモコン50,61ごとに音量が設定されており、リモコン50,61が音量なしの設定になっている場合でも、遠隔からの操作があったことを伝えるため、報知音や音声を発報して、ユーザが気づく頻度を上げて、使い勝手を確保するように構成してもよい。
【0027】
また、ステップS3では、リモコン50,61で報知する際に、給湯温度の設定変更が所定温度以上(例えば60℃)の場合に報知を行い、所定温度未満であれば報知をしないとしてもよい。または、給湯温度の設定変更が所定値以下(例えば15℃)の場合に報知を行い、所定温度を超えている場合は報知をしないとしてもよい。これは、設定変更による過度な報知を抑制し煩わしさを解消するとともに、設定変更に気づかないと使用者が不快に感じてしまうような極端に高い設定温度や低い設定温度の場合は報知をすることで、宅内の使用者に気づかせることができる。
【0028】
また、ステップS3では、報知する時間帯を制限してもよい。例えば、夜間で一般的に就寝している時間帯である23時から7時の間は、リモコン50,61での音または音声による報知を禁止する(報知音を鳴らさない)ようにしてもよい。これにより、夜間の就寝中に、リモコン50,61から突然報知音が発せられて、不審に思ったり、驚いたり安眠妨害になることを防ぐことができる。
【0029】
また、ステップS3において、制御部40が、外部通信端末70からの設定変更を受けての音声報知をするかしないかを設定可能な報知切替手段を備えてもよい。これは、例えば一人暮らしの場合は、外部通信端末70からの設定変更者と給湯使用者は同一人物であるため、報知音は不要であり、報知音をしない設定とすることで、報知のわずらわしさを防ぐことができる。
【0030】
ステップS4では、給湯設定温度の更新を行う。ステップS1にて、一般給湯設定温度が変更操作されたときは、一般給湯設定温度を更新し、ふろ給湯設定温度が変更操作されたときは、ふろ給湯設定温度を更新する。その後、ステップS5に進む。
【0031】
ステップS5では、給湯機能の使用有無を確認する。ステップS1にて一般給湯設定温度の変更操作があると判別されたとき、一般給湯流量ありの場合に給湯機能の使用ありと判断する。ステップS1にて、ふろ給湯設定温度の変更操作があると判別されたとき、ふろ給湯流量ありの場合に給湯機能の使用ありと判断する。給湯機能の使用ありの場合、ステップS6に進み、給湯機能の使用なしの場合、給湯機能使用ありになるまでステップS5で待機する。
【0032】
ステップS6では、給湯設定温度の変更があった旨をリモコン50,61で報知する。リモコン50,61の表示部50a,61aによる文字ガイダンスに加え、報知音や音声により、報知を行うことで、給湯機能を使用開始するユーザに、給湯設定温度の変更があったことを認識させる。なお、ステップS3にてリモコン50,61で報知しているが、その報知時にリモコン50,61の近くにユーザがいなかった場合や忘れてしまう場合を考慮して、給湯機能を使い始める場合にも変更があったことを再報知することで、確実にユーザに給湯設定温度の変更を認識させて、使い勝手を向上させることができる。特に、給湯機能を使う場合は、そのユーザは宅内におり、宅内に据え付けられたリモコン50,61で再報知することで、ユーザに確実に認識させることができ、効果的である。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態によれば、遠隔の外部通信端末70からの一般給湯や湯はりの給湯設定温度の変更があった際に、その変更をリモコン50,61で報知することで、ユーザに給湯設定温度の変更があったことを認識させることができ、使い勝手のよい給湯システム1を提供することができる。
【0034】
なお、
図2に示すフローチャートでは、ふろ給湯設定温度を変更した際の給湯機能の使用有無をふろ給湯流量の有無で判断をしたが、ふろ自動運転中を含めてもよい。即ち、ふろ自動運転中は、給湯機能の使用有りと判断してもよい。また、本実施の形態では、一般給湯設定温度の変更、及び、ふろ給湯設定温度の変更を例示したが、外部通信端末70からのふろ湯量の設定変更の場合に音による報知をするとしてもよい。また、リモコン通常の設定変更での「報知音」と、外部通信端末70からの設定変更での「報知音」を異なるものとしてもよい。例えば、リモコン50,61からの設定変更の場合には、「給湯温度が42度に変更されました」と報知するのに対し、外部通信端末70からの設定変更の場合には、「外部から(外部通信端末70から)、給湯温度が42度に変更されました」と報知するようにしてもよい。これにより、外部通信端末70から変更されたことをよりユーザが簡単に認識(理解)することができる。また、外部通信端末70からの設定変更の場合だけ、特有の「報知音」を「変更報知」の前に行うようにしてもよい。例えば、リモコン50,61からの設定変更の場合には「給湯温度が42度に変更されました」と報知するのに対して、外部通信端末70からの設定変更の場合には「ピピッ、給湯温度が42度に変更されました」と報知するようにしてもよい。これにより、外部通信端末70から変更されたということをユーザがより簡単に理解することができる。
【0035】
以上、本開示の給湯システムについて実施の形態を例示して説明したが、前述のように、本開示は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0036】
なお、上述した実施の形態が有する特徴のうち、組み合わせることが可能な二つ以上の特徴を組み合わせて実施してもよい。以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0037】
(付記1)
宅内に湯を供給する給湯手段と、
宅内に配置され、前記給湯手段の給湯設定温度及び運転状態を通知するリモコンと、
宅外の外部通信端末と通信可能な通信手段と、
前記外部通信端末の操作により前記給湯設定温度を変更した際に、前記リモコンにて前記給湯設定温度の変更を報知する制御部と、を備える給湯システム。
(付記2)
前記制御部は、前記外部通信端末の操作により前記給湯設定温度を変更した際に、前記リモコンにて前記報知が完了した後に、前記給湯手段の実際の給湯温度を変更する付記1に記載の給湯システム。
(付記3)
前記制御部は、前記給湯手段の給湯機能を使用している際には、前記給湯設定温度の変更を禁止することを特徴とする、付記1または付記2に記載の給湯システム。
(付記4)
前記制御部は、前記給湯手段の給湯機能を使用開始する際に、前回の給湯機能使用時から前記給湯設定温度の変更があった場合は、前回から変更があった旨を前記リモコンにて報知する付記1から付記3のいずれか1項に記載の給湯システム。
(付記5)
前記制御部は、給湯設定温度を変更した際に、変更操作元の差異により前記リモコンでの報知内容を変える付記1から付記4のいずれか1項に記載の給湯システム。
(付記6)
付記1から付記5のいずれか1項に記載の給湯システムであって、前記リモコンが音量を設定可能であるものにおいて、
前記制御部は、前記リモコンでの報知は、前記リモコンの音量設定が音量なしの場合でも、音を伴う報知を行う給湯システム。
(付記7)
前記制御部は、前記外部通信端末から前記給湯設定温度を変更する際に、変更される前記給湯設定温度の値が所定の上限値を超える場合のみ、前記リモコンから報知音を発する付記1から付記6のいずれか1項に記載の給湯システム。
(付記8)
前記制御部は、前記外部通信端末から前記給湯設定温度を変更する際に、変更される前記給湯設定温度の値が所定の下限値を下回る場合のみ、前記リモコンから報知音を発する付記1から付記6のいずれか1項に記載の給湯システム。
(付記9)
前記制御部は、夜間の所定時間帯には前記リモコンによる報知音での報知を禁止する付記1から付記8のいずれか1項に記載の給湯システム。
(付記10)
前記制御部は、報知音での報知を行うか行わないかを設定可能な報知切替手段を備えた付記1から付記9のいずれか1項に記載の給湯システム。
【符号の説明】
【0038】
1…給湯システム、11…HP往き配管、12…HP戻り配管、2…貯湯式給湯機、3…ヒートポンプユニット、31…圧縮機、32…水冷媒熱交換器、33…膨張弁、34…空気熱交換器、35…冷媒循環配管、4…タンクユニット、40…制御部、41…貯湯タンク、41a…水導入口、41b…水導出口、41c…温水導入口、41d…温水導入出口、41e…熱回収出口、42…減圧弁、43…ふろ用熱交換器、44…一般給湯用混合弁、45…ふろ用混合弁、46…ふろ用電磁弁、47…給湯栓、48a…三方弁、48b…熱回収切替弁、49…四方弁、50…台所リモコン、50a…表示部、51a…第1給水配管、51b…第2給水配管、51c…第3給水配管、52…水導出口配管、53a…第1バイパス配管、53b…第2バイパス配管、54a…温水導入配管、54b…温水導出配管、54c…追いだき接続配管、54d…熱回収接続配管、55a…第1給湯配管、55b…第2給湯配管、56…送湯配管、57…ふろ往き配管、58…ふろ戻り配管、6…浴室、60…浴槽、60a…浴槽栓、61…浴室リモコン、61a…表示部、62…給湯外部配管、63…シャワー、7…外部通信装置、70…外部通信端末、P1…熱源ポンプ、P2…ふろ循環ポンプ、S1…ふろ戻り温度センサ、S2…ふろ往き温度センサ、S3…水流検知センサ、S4…水位センサ、S5…ふろ用流量センサ、S6…一般給湯用流量センサ