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特開2024-142963検証方法、検証装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142963
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】検証方法、検証装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/398 20200101AFI20241003BHJP
   G06F 119/10 20200101ALN20241003BHJP
【FI】
G06F30/398
G06F119:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055390
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390015587
【氏名又は名称】株式会社図研
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 政司
(72)【発明者】
【氏名】吉島 憲輔
(72)【発明者】
【氏名】原 崇
(72)【発明者】
【氏名】入江 耕司
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓馬
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA21
5B146DG07
5B146GL10
5B146GQ01
(57)【要約】
【課題】EMC(電磁両立性)の検証を簡易かつ短時間に実行するために有利な技術を提供する。
【解決手段】コンピュータを用いて電磁両立性の検証を行う検証方法は、電磁波発生源から放射される電磁波がリスクを引き起こしうる範囲を指定するルール情報を取得する取得工程と、設計対象の電子装置に含まれる構成要素の周りに前記ルール情報に基づいてリスク領域を設定する設定工程と、前記リスク領域に干渉する設計要素が存在するエラーの有無を判定する判定工程と、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて電磁両立性の検証を行う検証方法であって、
電磁波発生源から放射される電磁波がリスクを引き起こしうる範囲を指定するルール情報を取得する取得工程と、
設計対象の電子装置に含まれる構成要素の周りに前記ルール情報に基づいてリスク領域を設定する設定工程と、
前記リスク領域に干渉する設計要素が存在するエラーの有無を判定する判定工程と、
を含むことを特徴とする検証方法。
【請求項2】
前記電子装置に含まれる複数の構成要素の中から電磁波発生源となりうる構成要素を抽出する抽出工程を更に含み、
前記設定工程では、前記抽出工程で抽出される構成要素の周りに前記ルール情報に基づいて前記リスク領域を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検証方法。
【請求項3】
前記判定工程で判定の対象とされる設計要素は、前記電子装置の筺体を構成する構成要素を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の検証方法。
【請求項4】
前記筺体を構成する構成要素は、開口を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の検証方法。
【請求項5】
前記判定工程で判定の対象とされる設計要素は、前記複数の構成要素の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の検証方法。
【請求項6】
前記設定工程で設定される前記リスク領域を示すリスク領域画像を、表示画面に表示される前記電子装置の画像に重ねて表示するリスク領域表示工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の検証方法。
【請求項7】
前記エラーが存在する領域を示すエラー画像を前記表示画面に表示するエラー表示工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の検証方法。
【請求項8】
前記判定工程で判定の対象とされる設計要素は、前記電子装置の筺体を構成する少なくとも1つの構成要素を含み、
前記エラー表示工程では、前記筺体を構成する構成要素にエラーが存在する場合において、前記エラーが存在する前記構成要素の全体を示す画像を前記エラー画像として表示する、
ことを特徴とする請求項7に記載の検証方法。
【請求項9】
前記判定工程で判定の対象とされる設計要素は、前記電子装置の筺体に設けられた開口を含み、
前記エラー表示工程では、前記開口に前記エラーが存在する場合において、前記開口の全体を示す画像を前記エラー画像として表示する、
ことを特徴とする請求項7に記載の検証方法。
【請求項10】
前記判定工程で判定の対象とされる設計要素は、前記電子装置の筺体に設けられた開口を含み、
前記エラー表示工程では、前記開口に前記エラーが存在する場合において、前記開口の全体のうち前記リスク領域と重複する領域を示す画像を前記エラー画像として表示する、
ことを特徴とする請求項7に記載の検証方法。
【請求項11】
前記取得工程では、前記ルール情報として距離情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検証方法。
【請求項12】
前記取得工程では、ユーザインターフェースを介して前記距離情報を取得する、
ことを特徴とする請求項11に記載の検証方法。
【請求項13】
前記設定工程では、前記電子装置に含まれる前記構成要素の周りに、前記ルール情報としての前記距離情報に基づいて、前記構成要素を三次元状に包囲するように前記リスク領域を設定する、
ことを特徴とする請求項11に記載の検証方法。
【請求項14】
前記設定工程では、前記電子装置に含まれる前記構成要素の周りに、前記構成要素を三次元状に包囲するように前記リスク領域を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検証方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の検証方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項16】
電磁両立性の検証を行う検証装置であって、
電磁波発生源から放射される電磁波がリスクを引き起こしうる範囲を指定するルール情報を取得する取得手段と、
設計対象の電子装置に含まれる構成要素の周りに前記ルール情報に基づいてリスク領域を設定する設定手段と、
前記リスク領域に干渉する設計要素が存在するエラーの有無を判定する行う判定手段と、
を含むことを特徴とする検証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検証方法、検証装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の設計開発において、回路基板におけるEMC(電磁両立性)問題の考慮は不可避である。その対策として、回路基板の設計段階において、コンピュータによるEMCシミューションが行われうる。EMC問題は、電子装置の全体の問題であるので、回路基板内での影響を考慮した対策のみでは不十分であり、回路基板を取り囲む筐体等の機械的な構造も考慮する必要がある。そこで、筺体等の機械的な構造を考慮するEMCシミュレーションが行われうるが、そのためには、回路基板の構造および筺体の構造を解析用のモデルとして表現するための準備作業が必要であり、また、EMCシミュレーションには相応の実行時間が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-309420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、EMC(電磁両立性)の検証を簡易かつ短時間に実行するために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面は、コンピュータを用いて電磁両立性の検証を行う検証方法に係り、前記検証方法は、電磁波発生源から放射される電磁波がリスクを引き起こしうる範囲を指定するルール情報を取得する取得工程と、設計対象の電子装置に含まれる構成要素の周りに前記ルール情報に基づいてリスク領域を設定する設定工程と、前記リスク領域に干渉する設計要素が存在するエラーの有無を判定する判定工程と、を含む。
【0006】
本発明の第2側面は、検証方法をコンピュータに実行させるプログラムに係り、前記検証方法は、電磁波発生源から放射される電磁波がリスクを引き起こしうる範囲を指定するルール情報を取得する取得工程と、設計対象の電子装置に含まれる構成要素の周りに前記ルール情報に基づいてリスク領域を設定する設定工程と、前記リスク領域に干渉する設計要素が存在するエラーの有無を判定する判定工程と、を含む。
【0007】
本発明の第3側面は、電磁両立性の検証を行う検証装置に係り、前記検証装置は、電磁波発生源から放射される電磁波がリスクを引き起こしうる範囲を指定するルール情報を取得する取得手段と、設計対象の電子装置に含まれる構成要素の周りに前記ルール情報に基づいてリスク領域を設定する設定手段と、前記リスク領域に干渉する設計要素が存在するエラーの有無を判定する行う判定手段と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電磁両立性の検証を簡易かつ短時間に実行するために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の検証装置あるいは設計支援装置の構成を例示する図。
図2】一実施形態の検証装置あるいは設計支援装置において実行されうる検証方法の流れを例示する図。
図3】検証方法の具体例を視覚的に示す図。
図4】検証方法の具体例を視覚的に示す図。
図5】検証方法の具体例を視覚的に示す図。
図6】検証方法の具体例を視覚的に示す図。
図7】検証方法の具体例を視覚的に示す図。
図8】検証方法の具体例を視覚的に示す図。
図9】検証方法の具体例を視覚的に示す図。
図10】検証方法の具体例を視覚的に示す図。
図11】検証方法の具体例を視覚的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
図1には、一実施形態の検証装置100の構成が示されている。検証装置100は、電子装置の設計を支援する設計支援装置として理解されてもよい。検証装置100は、例えば、CPU(プロセッサ)110、入力部120、表示部122、出力部124およびメモリ130を備える汎用又は専用のコンピュータ101で構成されうる。メモリ130は、プログラム(コンピュータプログラム)132を格納しうる。プログラム132は、例えば、コンピュータによって読み取り可能なメモリ媒体に格納された状態で、あるいは、通信回線を介して、コンピュータ101に提供されうる。プログラム132が組み込まれたコンピュータ101あるいは検証装置100は、設計対象の電子装置に関して電磁両立性(EMC)の検証を行う装置として動作しうる。メモリ130には、他のプログラム(例えば、プリント配線基板における部品および導電経路等の配置を設計するための設計支援ツール)が格納されてもよい。あるいは、プログラム132は、他のプログラム、例えば、設計支援ツールに組み込まれてもよい。
【0012】
CPU110は、メモリ130に格納されたプログラム132に従って動作しうる。入力部120は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、受信装置(通信装置)、メディアドライブ等の入力機器を含みうる。表示部122は、画像を表示する表示画面DSを有する。入力部120の一部と表示部122の一部とは一体化される場合もありうる。入力部120および表示部122は、ユーザインターフェースを構成する。出力部124は、例えば、プリンタ、送信装置(通信装置)、メディアドライブ等の出力機器を含みうる。
【0013】
図2には、検証装置100においてプログラム132に従ってCPU110によって実行されうる検証方法の流れが例示されている。この検証方法は、コンピュータを用いて電磁両立性の検証を行う検証方法として理解されてもよい。図2に示された検証方法は、EMC検証ツールとして提供され、例えば、電子装置を設計する設計支援ツールの動作中に、ユーザからの要求に従って起動され、当該設計支援ツールによって設計が支援されている設計対象に対する検証を行いうる。あるいは、この検証方法は、EMC検証ツールとして提供され、電子装置を設計する設計支援ツールの動作中に、当該設計支援ツールによって設計が支援されている設計対象に対する検証をリアルタイムで行いうる。あるいは、この検証方法は、EMC検証ツールとして提供され、電子装置を設計する設計支援ツールの動作中に、定期的に、又は、予め設定されたスケージュールに従って起動されうる。あるいは、この検証方法は、EMC検証ツールとして提供され、電子装置を設計する設計支援ツールの動作中に、設計支援ツールによるCPU110の使用率が基準値を下回ったことに応じて起動されうる。
【0014】
工程S201では、CPU110は、電磁波発生源から放射される電磁波がリスクを引き起こしうる範囲を指定するルール情報を取得する取得工程を実行する。電磁波発生源は、例えば、高い周波数で動作するデバイス(例えば、発振回路、CPU)、高い周波数で信号レベルが変動する信号を伝送する信号伝送ライン等でありうる。ルール情報は、距離情報でありうる。距離情報は、電磁波発生源からの距離を示す情報でありうる。ルール情報は、例えば、デザインルールチェック(DRC)用の情報の一部として与えられてもよい。取得工程では、CPU110は、例えば、入力部120および表示部122によって構成されうるユーザインターフェースを介して距離情報を取得してもよい。この場合、CPU110は、表示部122の表示画面DSに距離情報の入力を促す表示を行い、入力部120を介して入力される距離情報を取得しうる。
【0015】
工程S202では、CPU110は、設計対象の電子装置に含まれる複数の構成要素の中から電磁波発生源となりうる構成要素を抽出する抽出工程を実行しうる。CPU110は、例えば、電子装置に含まれる複数の構成要素のそれぞれに予め与えられた属性情報に基づいて、電磁波発生源となりうる構成要素を抽出することができる。属性情報は、例えば、電磁波発生源となりうることを直接的に示す情報であってもよいし、当該構成要素が入力および/または出力する信号の周波数(最大周波数)を示す情報でもよいし、当該構成要素の名称または識別情報であってもよいし、他の情報であってもよい。あるいは、CPU110は、電子装置に含まれる複数の構成要素のうちユーザインターフェースを介してユーザによって指定される構成要素を、電磁波発生源となりうる構成要素として抽出してもよい。あるいは、CPU110は、電子装置に含まれる複数の構成要素のすべてを、電磁波発生源となりうる構成要素として抽出してもよい。
【0016】
工程S203では、設計対象の電子装置に含まれる構成要素の周りにリスク領域を設定する設定工程を実行しうる。ここで、設定工程は、工程S201で取得したルール情報に基づいてなされうる。また、設定工程は、工程S202において抽出された構成要素を対象としてなされうる。リスク領域は、工程S201で取得されたルール情報、例えば距離情報に基づいて、電磁波発生源となりうる構成要素を三次元状に包囲するように設定されうる。一例において、CPU110は、電磁波発生源となりうる構成要素の表面を複数の小領域(例えば、多角形)に分割し、各小領域の中心の周りにルール情報としての距離情報によって与えられる寸法を半径とする球を計算し、このようにして得られる複数の球の集合体の包絡面によって囲まれる三次元空間をリスク領域として設定することができる。
【0017】
工程S204では、CPU110は、リスク領域表示工程を実行しうる。リスク領域表示工程では、CPU110は、工程S203で設定されたリスク領域を示すリスク領域画像を、表示部122の表示画面DSに表示される電子装置の画像に重ねて表示する。ここで、表示画面DSに表示される電子装置の画像は、三次元画像でありうる。三次元画像は、三次元構造を有する電子装置を指定された視点から見た二次元画像、あるいは、三次元構造を有する電子装置を指定された仮想面(視点を含む平面)に投射した画像でありうる。
【0018】
工程S205では、CPU110は、工程S203で設定されたリスク領域に干渉する設計要素が存在するエラーの有無を判定する判定工程を実行する。より詳しくは、判定工程では、CPU110は、工程S203で設定されたリスク領域に干渉する設計要素が存在する場合にエラーがあると判定し、該リスク領域に干渉する設計要素が存在しない場合にエラーがないと判定しうる。判定工程で判定の対象とされる設計要素は、例えば、電子装置の筺体を構成する構成要素でありうる。そのような構成要素は、例えば、通風孔、隙間(2以上の部材の間の隙間)、等の開口を含みうる。あるいは、判定工程で判定の対象とされる設計要素は、設計対象の電子装置に含まれる複数の構成要素の少なくとも1つ、例えば、電子部品(例えば、IC、キャパシタ、抵抗素子、センサ)または信号伝送ラインでありうる。判定工程においてエラーが存在すると判定された場合には、工程S206が実行され、判定工程においてエラーが存在しない判定された場合には、図2に示された検証方法に係る一連の処理が終了する。
【0019】
判定工程においてエラーが存在すると判定された場合、工程S206では、CPU110は、エラーが存在する領域を示すエラー画像を表示画面DSに表示するエラー表示工程を実行しうる。例えば、工程S205(判定工程)で判定の対象とされる設計要素が電子装置の筺体を構成する少なくとも1つの構成要素を含み、かつ、該筺体を構成する少なくとも1つの構成要素にエラーが存在する場合において、エラー表示工程では、当該エラーが存在する構成要素の全体を示す画像をエラー画像として表示しうる。
【0020】
あるいは、工程S205(判定工程)で判定の対象とされる設計要素が電子装置の筺体に設けられた開口を含み、かつ、該開口にエラーが存在する場合に、おいて、エラー表示工程では、と該開口の全体を示す画像をエラー画像として表示しうる。
【0021】
あるいは、工程S205(判定工程)で判定の対象とされる設計要素が電子装置の筺体に設けられた開口を含み、かつ、該開口にエラーが存在する場合において、エラー表示工程では、当該開口の全体のうちリスク領域と重複する領域を示す画像を表示しうる。
【0022】
以上のように、電磁波発生源から放射される電磁波がリスクを引き起こしうる範囲を指定するルール情報に基づいてリスク領域を設定し、そのリスク領域に干渉する設計要素が存在するエラーの有無を判定することによって電磁両立性の検証を簡易かつ短時間に実行することができる。
【0023】
以下、図3図11を参照しながら、より具体的な例を説明する。図3には、設計支援ツールによって電子装置300を設計している際に表示部122の表示画面DSに表示される画像の1つの例が示されている。電子装置300は、電子装置300の複数の構成要素として、プリント配線基板310と、プリント配線基板310に搭載された電子部品(例えば、IC)311と、電子部品311に接続されるようにプリント配線基板310に配置された信号伝送ライン312とを含みうる。より正確には、表示画面DSにおける電子装置300、プリント配線基板310、電子部品311、信号伝送ライン312は、それらを示す二次元画像または三次元画像である。以降で説明される他の構成要素についても同様である。
【0024】
図4には、図3における電子装置300の表示に電子装置300の筺体320の表示を加えた例が示されている。ユーザは、不図示のコマンドボタン等を操作することによって、電子装置300の筺体320を電子装置300の他の部分に重ねた状態で表示画面DSに表示させることができる。一例において、筐体320には、設計支援ツールによって導体の属性が事前に付加され、EMC検証ツールでは、導体の属性が付加された構成要素を、電磁波を遮蔽する部材として認識しうる。なお、属性がプラスチックの様な非導体である構成要素は、電磁波を遮蔽する部材として認識されない。
【0025】
図5には、工程S202において、信号伝送ライン312が電磁波発生源として抽出され、工程S203、S204において、信号伝送ライン312の周りにルール情報に基づいてリスク領域が設定され、そのリスク領域を示すリスク領域画像RRが表示画面DSに表示された例が示されている。図5の例では、電磁波発生源としての信号伝送ライン312を三次元状に包囲するようにリスク領域が設定され、そのリスク領域を示すリスク領域画像RRが表示画面DSに表示されている。ユーザは、視点を変更することによって、電子装置300およびリスク領域画像RRを別の角度から観察することができる。
【0026】
図6には、工程S205において、電子装置300の筺体320に設けられた開口321がリスク領域画像RRとして表示されるリスク領域に干渉するエラーが存在すると判定され、工程S206において、開口321にエラーが存在することを示すエラー画像ERが表示された例が示されている。ここで、エラー画像ERは、エラーが存在する開口321の全体を示す画像であってもよいし、エラーが存在する開口321の全体のうちリスク領域と重複する領域を示す画像であってもよいし、他の態様の画像であってもよい。ユーザは、視点を変更することによって、電子装置300、リスク領域画像RRおよびエラー画像ERを別の角度から観察することができる。
【0027】
EMC検証ツールは、「リスク領域の表面積からエラーが存在する開口321の表面積を引いた値」と「リスク領域の表面積の値」との比率(つまり、「リスク領域の表面積からエラーが存在する開口321の表面積を引いた値」/「リスク領域の表面積の値」)(これは「シールド率」として定義されうる)に基づき、設計支援ツールにより設定された閾値によって、合格、ワーニング、不合格等の判断指標を表示する様にしてもよい。比率の算出方法は一例であり、これに限られるものではない。
【0028】
図7には、図6に例示された状態でエラーの存在或いは前記判断指標を確認したユーザが設計支援ツールを使用して信号伝送ライン312の配置を変更する編集作業の様子が示されている。図8には、図7に示された編集作業によってエラーが解消した状態が模式的に示されている。設計支援ツールは、エラーを解消させるように、信号伝送ライン312を移動させ、または、開口ERを移動させてもよい。
【0029】
図9には、設計支援ツールによって電子装置300を設計している際に表示部122の表示画面DSに表示される画像の他の例が示されている。電子装置300は、電子装置300の複数の構成要素として、プリント配線基板310と、プリント配線基板310に搭載された電子部品(例えば、IC)311、313、314とを含む。より正確には、表示画面DSにおける電子装置300、プリント配線基板310、電子部品311、313、314は、それらを示す二次元画像または三次元画像である。以降で説明される他の構成要素についても同様である。
【0030】
図10には、工程S202において、電子部品311が電磁波発生源として抽出され、工程S203、S204において、電子部品311の周りにルール情報に基づいてリスク領域が設定され、そのリスク領域を示すリスク領域画像RRが表示画面DSに表示された例が示されている。図10の例では、電磁波発生源としての電子部品311を三次元状に包囲するようにリスク領域が設定され、そのリスク領域を示すリスク領域画像RRが表示画面DSに表示されている。ユーザは、視点を変更することによって、電子装置300およびリスク領域画像RRを別の角度から観察することができる。図10にはまた、工程S205において、電子部品314がリスク領域画像RRとして表示されるリスク領域に干渉するエラーが存在すると判定され、工程S206において、電子部品314にエラーが存在することを示すエラー画像ERが表示された例が示されている。ユーザは、視点を変更することによって、電子装置300、リスク領域画像RRおよびエラー画像ERを別の角度から観察することができる。
【0031】
設計支援ツールは、電子部品に対して、リスク領域の干渉チェック対象とする属性、または、リスク領域の干渉チェック対象外とする属性を与えることができる。この例では、設計支援ツールにより、電子部品314にはリスク領域の干渉チェック対象とする属性が付加され、電子部品313にはリスク領域の干渉チェック対象外とする属性が付加されている。この為、電子部品313は、リスク領域内に存在していてもエラーとはならない。
【0032】
電子部品には、コンデンサー、抵抗、ダイオード等の様に電磁波のリスクを受け無いものが存在している為、これらをチェック対象から除外する事で効率的な判定をおこなう事が可能となる。
【0033】
図11には、図10に例示された状態でエラーの存在を確認したユーザが設計支援ツールを使用して、電子部品311を囲むようにシールド330を配置する編集作業の様子が示されている。ユーザは、電子部品311を囲むようにシールド330が配置することによってリスク領域に対する電子部品314の干渉によるエラーを解消させることができる。あるいは、設計支援ツールは、エラーを解消させるように、シールド330を配置し、または、電子部品414を移動させ、または、電子部品311を移動させてもよい。
【0034】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
DS:表示画面、300:電子装置(の画像)、310:プリント配線基板(の画像)、311:電子部品(の画像)、312:信号伝送ライン(の画像)、313:電子装置部品(の画像)、314:電子装置部品(の画像)、320:筺体、321:開口(の画像)、330:シールド、RR:リスク領域画像、ER:エラー画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11