(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142974
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/80 20060101AFI20241003BHJP
B65G 47/86 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65G47/80 C
B65G47/86 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055403
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 純一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 英治
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA33
3F072GA05
3F072GB06
3F072GB07
3F072GB10
3F072GD01
3F072GE02
3F072GE09
3F072JA09
3F072KB01
3F072KB15
3F072KB19
3F072KC01
3F072KC07
3F072KE11
3F072KE18
(57)【要約】
【課題】物品の搬送部への受け渡し効率を向上させることができ、かつ搬送部において物品の安定した搬送を実現できる物品検査装置を提供すること。
【解決手段】吸着位置P1において錠剤Wを吸着穴32に吸引保持して検査位置に搬送する搬送部3と、投入された複数の錠剤Wを1つずつ吸着位置P1に供給する供給部2と、供給部2から吸着位置P1に供給される錠剤Wを一列に規制する1列規制ガイド25と、検査位置において錠剤Wの検査を行う検査部と、を備え、供給部2は、回転しながら錠剤Wを吸着位置P1に搬送する環状供給部22と、環状供給部22の内方に回転自在に設けられ、投入された錠剤Wを環状供給部22に供給する回転円板21と、を有し、1列規制ガイド25は、吸着位置P1に供給される錠剤Wの高さを所定の高さに規制する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け渡し位置(P1)において検査対象の物品(W)を所定間隔で保持して検査位置(P2)に搬送する搬送部(3)と、
投入された複数の物品を1つずつ前記受け渡し位置に供給する供給部(2)と、
前記供給部から前記受け渡し位置に供給される物品を一列に規制する規制ガイド部(25)と、
前記検査位置において前記物品の検査を行う検査部(4)と、を備え、
前記供給部は、
回転しながら前記物品を前記受け渡し位置に搬送する環状供給部(22)と、
前記環状供給部の内方に回転自在に設けられ、前記投入された物品を前記環状供給部に供給する回転供給部(21)と、を有し、
前記規制ガイド部は、前記受け渡し位置に供給される物品の高さを所定の高さ(H0)に規制する物品検査装置。
【請求項2】
前記規制ガイド部は、前記環状供給部に沿って前記受け渡し位置の直前まで延在するように弧状に形成された第1の内周壁(25a)を有し、
前記第1の内周壁の上部には、前記環状供給部との間に前記所定の高さを確保しつつ、前記受け渡し位置に向かうに従い徐々に前記第1の内周壁よりも径方向の内方にせり出す、せり出し部(25b)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記搬送部における前記物品の搬送経路の下方に設けられ、前記受け渡し位置において受け渡された物品の姿勢変化を軽減するよう前記物品を下方からガイドする姿勢ガイド(31)を、さらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記環状供給部に沿って弧状に形成された第2の内周壁(24a)を有し、前記環状供給部の径方向の外方に設けられたリターンガイド(24)を、さらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記環状供給部に沿って弧状に形成された第2の内周壁(24a)を有し、前記環状供給部の径方向の外方に設けられたリターンガイド(24)を、さらに備えることを特徴とする請求項3に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記受け渡し位置において受け渡し不良の物品を前記供給部に戻すリターン部(27)を更に備え、当該リターン部は、受け渡し位置側に向けてエアを吹き出すエアブロー装置によって構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項7】
前記受け渡し位置において受け渡し不良の物品を前記供給部に戻すリターン部(27)を更に備え、当該リターン部は、受け渡し位置側に向けてエアを吹き出すエアブロー装置によって構成されていることを特徴とする請求項3に記載の物品検査装置。
【請求項8】
前記受け渡し位置において受け渡し不良の物品を前記供給部に戻すリターン部(27)を更に備え、当該リターン部は、受け渡し位置側に向けてエアを吹き出すエアブロー装置によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載の物品検査装置。
【請求項9】
前記受け渡し位置において受け渡し不良の物品を前記供給部に戻すリターン部(27)を更に備え、当該リターン部は、受け渡し位置側に向けてエアを吹き出すエアブロー装置によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載の物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光学センサを用いて、個々の錠剤の正確な物性を連続的に測定し得る錠剤測定装置が開示されている。この錠剤測定装置は、錠剤コーティング装置から取り出された錠剤の物性を測定する錠剤測定装置であって、錠剤が導入される錠剤受け入れ部と、錠剤を搬送しつつ、この錠剤の物性を測定する測定部と、錠剤受け入れ部に導入された錠剤を測定部に供給する錠剤供給部と、物性が測定された錠剤を錠剤コーティング装置に戻す回収部と、を備え、測定部は、錠剤の物性を非接触状態にて測定可能な光学センサを有することを特徴とする。
【0003】
この種の検査装置は、錠剤等の成形品に光を照射し、その反射光を測定することで、検査を行うことができる。検査装置は、光を照射することによる検査を高速で行うため、吸引機構を持った搬送ディスクに成形品を吸着させた状態で測定部に搬送し、検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の錠剤測定装置にあっては、錠剤供給部の回転フィーダから錠剤取得部に送られる錠剤に対して、当該錠剤をガイドする機構が備えられていない。このため、例えば、錠剤が重なったり縦になったりした状態で錠剤取得部に送られてしまう。こうした場合、搬送ディスクへの錠剤の吸着効率が低下し、その結果、搬送ディスクにおける搬送効率が低下してしまったり、また、1つの吸着孔に複数の錠剤が吸着し、これが原因で搬送ディスクにおいて搬送不良が発生したりするおそれがある。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、物品の搬送部への受け渡し効率を向上させることができ、かつ搬送部において物品の安定した搬送を実現できる物品検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物品検査装置は、受け渡し位置において検査対象の物品を所定間隔で保持して検査位置に搬送する搬送部と、投入された複数の物品を1つずつ前記受け渡し位置に供給する供給部と、前記供給部から前記受け渡し位置に供給される物品を一列に規制する規制ガイド部と、前記検査位置において前記物品の検査を行う検査部と、を備え、前記供給部は、回転しながら前記物品を前記受け渡し位置に搬送する環状供給部と、前記環状供給部の内方に回転自在に設けられ、前記投入された物品を前記環状供給部に供給する回転供給部と、を有し、前記規制ガイド部は、前記受け渡し位置に供給される物品の高さを所定の高さに規制する構成を有する。
【0008】
さらに、本発明に係る物品検査装置は、供給部から受け渡し位置に供給される物品を一列に規制するとともに受け渡し位置に供給される物品の高さを所定の高さに規制する規制ガイド部を備えるので、受け渡し位置に物品を1つずつ供給できるとともに、受け渡し位置に達する前に所定の高さよりも低い姿勢以外の物品を排除することができる。この結果、物品の搬送部への受け渡し効率を向上させることができる。
【0009】
本発明に係る物品検査装置において、前記規制ガイド部は、前記環状供給部に沿って前記受け渡し位置の直前まで延在するように弧状に形成された第1の内周壁を有し、前記第1の内周壁の上部には、前記環状供給部との間に前記所定の高さを確保しつつ、前記受け渡し位置に向かうに従い徐々に前記第1の内周壁よりも径方向の内方にせり出す、せり出し部が形成されていることが好ましい。
【0010】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、規制ガイド部の第1の内周壁が環状供給部に沿って受け渡し位置の直前まで延在するように弧状に形成されているので、受け渡し位置まで距離がある段階で物品を早期に搬送部に受け渡してしまうことを防止でき、安定した姿勢で物品を搬送部に受け渡すことができる。さらに、本実施形態に係る物品検査装置は、規制ガイド部の第1の内周壁の上部に、環状供給部との間に所定の高さを確保しつつ、受け渡し位置に向かうに従い徐々に径方向の内方にせり出すせり出し部が形成されているので、所定の高さよりも低い姿勢以外の物品を回転供給部に戻すことができる。これにより、物品の噛み込みや詰まりを生じさないようにすることができる。
【0011】
本発明に係る物品検査装置は、前記搬送部における前記物品の搬送経路の下方に設けられ、前記受け渡し位置において受け渡された物品の姿勢変化を軽減するよう前記物品を下方からガイドする姿勢ガイドを、さらに備えることが好ましい。
【0012】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、受け渡し位置において受け渡された物品の姿勢変化を軽減するよう物品を下方からガイドする姿勢ガイドをさらに備えるので、搬送部への受け渡し時に物品の姿勢が大きく変化してしまうことを防止できる。
【0013】
本発明に係る物品検査装置は、前記環状供給部に沿って弧状に形成された第2の内周壁を有し、前記環状供給部の径方向の外方に設けられたリターンガイドを、さらに備えることが好ましい。
【0014】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、環状供給部に沿って弧状に形成された第2の内周壁を有するリターンガイドが環状供給部の径方向の外方に設けられているので、回転供給部から環状供給部に供給される物品の環状供給部の外方への飛び出しを第2の内周壁によって阻止することができる。
【0015】
本発明に係る物品検査装置は、前記受け渡し位置において受け渡し不良の物品を前記供給部に戻すリターン部を更に備え、当該リターン部は、受け渡し位置側に向けてエアを吹き出すエアブロー装置によって構成されていることが好ましい。
【0016】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、受け渡し位置において受け渡し不良の物品を供給部に戻すリターン部を備えるので、受け渡し不良の物品を排除でき、搬送部において物品の安定した搬送を実現できる。
【0017】
さらに、本発明に係る物品検査装置は、リターン部が受け渡し位置側に向けてエアを吹き出すエアブロー装置によって構成されているので、簡易な機構で確実に受け渡し不良の物品を排除することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、物品の搬送部への受け渡し効率を向上させることができ、かつ搬送部において物品の安定した搬送を実現できる物品検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の概略平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の供給部及び搬送部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の供給部及び搬送部を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の1列規制ガイドを示す拡大平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の供給部及び搬送部を
図2とは別方向から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の1列規制ガイドを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置のリターン機構の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置のリターン機構の変形例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置のガイド部及び検査部の概略構成図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置のガイド部の断面図であって、(a)は
図9における(a)-(a)矢視断面図、(b)は
図9における(b)-(b)矢視断面図、(c)は
図9における(c)-(c)矢視断面図をそれぞれ示している。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る物品検査装置について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る物品検査装置1は、検査対象の物品を整列して単品搬送させながら所定の検査位置で光を照射し、この光の照射に伴って物品を透過した光の分光特性に基づいて物品の品質を検査する。
【0022】
検査対象である物品は、光の照射領域が検査対象の物品に光を照射する照射口の径に比較的近い小径の物品であり、非包装で単品搬送が可能な外径φ:数mm~数十mmの物品、一口サイズの物品の他、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された所定形状の物品や成形品、特に搬送過程で形が変化しない物品を含む。
【0023】
該当する物品としては、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ドロップ剤などの製剤、飴、チョコレートなどがある。以下、検査対象の物品として、平面視で円形とされ、その直径に比して高さ(厚さ)の小さい側面視が略円柱状であって厚さ方向の両端面が曲面形状の錠剤Wを例にとって説明する。本実施形態の錠剤Wは、物品を構成する。なお、検査対象の物品としては、平面視で円形に限らず、楕円形状や多角形状等、種々の形状の物品を適用可能である。
【0024】
物品検査装置1は、供給部2と、搬送部3と、検査部4と、ガイド部5と、を含んで構成されている。
【0025】
(供給部)
図2に示すように、供給部2は、回転する深皿状の供給容器20と、供給容器20の内方に回転自在に設けられ、供給容器20と別の駆動源で回転する円形の回転供給部としての回転円板21と、を有する無振動タイプの回転式パーツフィーダとして構成されている。回転円板21の回転方向は、供給容器20の回転方向A(
図1参照)と同一である。供給部2は、図示しない基台を介して本体フレーム(不図示)に支持されている。
【0026】
供給容器20は、上面が開放され、上面から下方に向かって断面積が漸次小さくなる円形形状に形成されており、上面の開口端部に、錠剤Wの供給経路となる環状供給部22が形成されている。環状供給部22は、回転しながら錠剤Wを受け渡し位置としての吸着位置P1に搬送するものである。
【0027】
回転円板21は、供給容器20の回転中心軸と異なる回転中心軸で回転するよう構成されており、供給容器20の内部に傾斜して配置されている。具体的には、回転円板21は、傾斜方向の上端部が供給容器20の上端すなわち環状供給部22に対峙し、傾斜方向の下端部が上端部とは180°反対側の位置において供給容器20の下方に位置するように、供給容器20の内部に配置されている。回転円板21は、回転することによって供給容器20内の錠剤Wを環状供給部22に供給するものである。
【0028】
図1に示すように、供給容器20には、錠剤投入部6から錠剤Wが供給されるようになっている。錠剤投入部6は、例えば、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された成形品の錠剤Wが投入される図示しないホッパ等の容器と、容器内に蓄積された錠剤Wを供給容器20に供給する供給シュート61と、を含んで構成されている。
【0029】
錠剤投入部6は、ホッパ等の容器を有さず、検査工程の前工程から直接、搬送された錠剤Wを供給シュート61から供給容器20に供給する構成であってもよい。
【0030】
供給部2において、錠剤投入部6から供給容器20に錠剤Wを投入しつつ、供給容器20と回転円板21とを同方向に同速度でそれぞれ回転させると回転円板21の最も低い部分(傾斜方向の下端部側)に落下した錠剤Wは、回転円板21の回転に伴い、回転円板21の最も高い部分(傾斜方向の上端部側)まで移動し、環状供給部22に載る。なお、供給容器20と回転円板21の回転速度は、同一速度でなくてもよい。
【0031】
環状供給部22に載った錠剤Wは、供給容器20の回転に伴って周方向に整列しながら移動し、吸着位置P1に送られる。吸着位置P1は、供給部2から搬送部3に錠剤Wを受け渡す位置である。吸着位置P1に送られた錠剤Wは、搬送部3において回転する搬送ディスク30に吸着される。
【0032】
環状供給部22には、リターンガイド24と、規制ガイド部としての1列規制ガイド25と、が設けられている。本実施形態において、リターンガイド24と1列規制ガイド25とは別体で構成されているが、一体に構成されていてもよい。
【0033】
リターンガイド24及び1列規制ガイド25は、図示しない基台に回転不能に固定されている。このため、供給容器20が回転する一方で、リターンガイド24及び1列規制ガイド25は回転しないように構成されている。
【0034】
図2及び
図3に示すように、リターンガイド24は、環状供給部22の径方向の外方に設けられ、かつ環状供給部22の周方向において回転円板21の傾斜方向の上端部と対向する側に配置されている。さらに、リターンガイド24は、環状供給部22の周方向に沿って環状供給部22を囲むようにして1/4周程度、連続して設けられている。リターンガイド24の周方向の長さは、本実施形態に示した長さに限定されるものではなく、供給部2の仕様等に応じて適宜最適な長さに設定される。
【0035】
リターンガイド24は、環状供給部22に沿って弧状に形成された第2の内周壁としての内周壁24aを有する。リターンガイド24は、回転円板21上を上端部に向かって上昇してくる錠剤Wが供給容器20の外部に飛び出さないように内周壁24aによって規制するガイドである。
【0036】
1列規制ガイド25は、供給部2から吸着位置P1に供給される錠剤Wをガイドするものであって、環状供給部22の径方向の外方に設けられ、かつ環状供給部22の周方向にリターンガイド24と隣接して配置されている。さらに、1列規制ガイド25は、吸着位置P1から環状供給部22の周方向に環状供給部22を囲むようにして半周程度、連続して設けられている。1列規制ガイド25の周方向の長さは、本実施形態に示した長さに限定されるものではなく、供給部2の仕様等に応じて適宜最適な長さに設定される。
【0037】
1列規制ガイド25は、環状供給部22に沿って弧状に形成された第1の内周壁としての内周壁25aを有する。1列規制ガイド25は、環状供給部22の径方向(周方向に直交する水平方向)の幅を、錠剤Wが径方向に2つ並ばないような幅に規制している。例えば、1列規制ガイド25は、環状供給部22の径方向の幅が錠剤Wの径方向の幅と同程度の幅となるように設けられている。これにより、環状供給部22に乗った錠剤Wが1列に整列するようになっている。また、内周壁25aは、吸着位置P1側の先端25cが吸着位置P1の直前に位置するように設けられている。つまり、内周壁25aは、吸着位置P1の直前まで延在している。これにより、吸着位置P1まで距離がある段階で搬送ディスク30に吸着してしまうことを防止でき、吸着位置P1の手前で早期に吸着されることによる錠剤Wの姿勢が悪化してしまうといった事態を防止することができる。
【0038】
図4から
図6に示すように、1列規制ガイド25は、吸着位置P1側の内周壁25aの上部には、環状供給部22との間に上下方向に所定の高さH0(
図6(b)参照)を確保しつつ、吸着位置P1に向かうに従い徐々に内周壁25aよりも径方向の内方にせり出す、せり出し部25bが形成されている。
【0039】
せり出し部25bは、例えば、吸着位置P1に向かうに従い徐々に回転円板21の回転中心に近づくようにカーブした形状に形成されている。なお、せり出し部25bは、吸着位置P1に向かうに従い徐々に内周壁25aよりも径方向の内方にせり出す形状であれば、いずれの形状であってもよく、例えば直線状に形成されていてもよい。
【0040】
せり出し部25bの環状供給部22からの高さH0は、円柱状の軸線が鉛直方向と平行となる姿勢の錠剤Wの厚さに僅かなマージンを加えた程度の寸法に設定されている。これにより、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、回転円板21から環状供給部22に載った錠剤Wのうち、厚さ方向が水平となるように起立した錠剤Wや、厚さ方向が水平面に垂直な状態の錠剤Wに少なくとも一部が重なった錠剤Wなど、適正な状態で環状供給部22に載っていない錠剤Wが1列規制ガイド25によって排除される。本実施形態では、厚さ方向が水平面に垂直な状態で環状供給部22に載った錠剤Wを、適正な状態で環状供給部22に載った錠剤Wと定義する。
図6(a)及び
図6(b)は、弧状の1列規制ガイド25を直線状に展開した概略図である。
【0041】
具体的には、回転円板21から環状供給部22に載った錠剤Wが1列規制ガイド25に沿って吸着位置P1側に向かって進むにつれて、適正な状態で環状供給部22に載った錠剤Wはせり出し部25bと環状供給部22との間を遠心力によって内周壁25aに沿って吸着位置P1側に移動する一方、適正な状態で環状供給部22に載っていない錠剤Wは、せり出し部25bによって径方向の内方に押し出される。押し出された錠剤Wは、供給容器20内に戻される。1列規制ガイド25は、錠剤Wを径方向の内方に押し出すように機能するため、錠剤の噛み込みや詰まりを生じさせないようになっている。なお、1列規制ガイド25は、錠剤Wが内周壁25aに沿って移動するため、内周壁25aでの摩擦が少ないほうが望ましい。そこで、1列規制ガイド25は、例えば、摩擦係数の低い素材から構成されていたり、摩擦係数が低くなるような加工が施されていたりしてもよい。
【0042】
このように、1列規制ガイド25は、供給部2から吸着位置P1に供給される錠剤Wを一列に規制するとともに、吸着位置P1に供給される錠剤Wの高さを所定の高さH0に規制する。なお、1列規制ガイド25は、検査対象の高さ(厚み)に応じて、図示しない調節機構によって高さ方向の位置を調節可能に構成されている。すなわち、1列規制ガイド25は、検査対象の高さ(厚み)に応じて、せり出し部25bの環状供給部22からの高さH0を変更可能に構成されている。
【0043】
図5に示すように、吸着位置P1の上方には、リターン部としてのリターン機構27が設けられている。リターン機構27は、ブラケットなどを介して図示しない基台に支持されている。
【0044】
リターン機構27は、吸着位置P1において吸着不良の錠剤Wを供給容器20内に戻すための機構であって、本実施形態ではエアブロー装置によって構成されている。吸着不良としては、例えば、1つの吸着穴32に複数の錠剤Wが吸着してしまっている場合、吸着穴32との間に大きな隙間を生じさせて錠剤Wが吸着してしまっている場合や、吸着穴32に吸着された錠剤W間に他の錠剤Wが挟まってしまっている場合等がある。
【0045】
図5及び
図7に示すように、リターン機構27は、吸着位置P1側に向けて開口した複数のエア吹き出し穴27aからエアを吹き出すことで、吸着不良の錠剤Wを供給容器20内に戻すようになっている。リターン機構27のエアの圧力は、吸着不良の錠剤Wを吹き飛ばすことができ、かつ、正常に吸着した錠剤Wが搬送ディスク30の吸着穴32から外れてしまうことのない圧力に設定される。より好ましくは、吸着不良の錠剤Wを吹き飛ばすことができ、かつ、正常に吸着した錠剤Wが吸着穴32から外れることも大きく姿勢を崩すこともない圧力に設定される。「正常に吸着」とは、円柱状の軸線が鉛直方向と平行となる姿勢の錠剤Wの円柱部分の周面が吸着穴32を覆うように吸着している状態をいう。また、リターン機構27は、図示しない可変機構によって、錠剤Wに対するエアの吹き出し角度や、錠剤Wとの距離を変更できるようになっている。
【0046】
図8に示すように、リターン機構27は、吸着位置P1の近傍において搬送ディスク30の上方に配置されたエアノズル28と、搬送ディスク30の内部に形成されたエア通路29と、によって構成されてもよい。
【0047】
エアノズル28は、上方からエア通路29の入口に向けてエアを供給する。エア通路29は、入口が搬送ディスク30の上方に設けられ、出口が搬送ディスク30の周方向に並ぶ吸着穴32間に設けられている。これにより、
図8に示すリターン機構27は、エアノズル28から吹き出されたエアがエア通路29を通って搬送ディスク30の径方向の外方に向けて吹き出されることによって、吸着不良の錠剤Wを吹き飛ばすことができる。
【0048】
このように構成された供給部2が支持される図示しない基台は、本体フレーム(不図示)に移動自在に支持されている。このため、供給部2は、搬送部3に対する位置を調整可能に構成されている。例えば、供給部2は、基台を介して、上下に移動可能、かつ搬送部3に対して近接及び離間する方向に移動可能に構成されている。これにより、供給部2と搬送部3との位置関係を調整することで、錠剤Wを吸着穴32の中心に効率良く吸着させることができる。
【0049】
(搬送部)
図1に示すように、搬送部3は、図示しない本体フレームに回転可能かつ水平に支持された円板状の搬送ディスク30を備えている。搬送ディスク30は、駆動モータ30M(
図11参照)によって回転駆動するようになっている。搬送ディスク30は、錠剤Wを吸引保持して検査位置P2に搬送するものであって、外周縁30aの全周に亘って吸着穴32が所定間隔で複数形成されている。
【0050】
搬送ディスク30の吸着穴32には、図示しない真空ポンプ等の吸引装置が接続されており、吸引装置が発生する負圧によって錠剤Wが吸着されるようになっている。これにより、搬送ディスク30は、錠剤Wを吸着穴32に吸着させながら回転搬送することができる。
【0051】
錠剤Wは、吸着位置P1において、厚さ方向が水平面に垂直な姿勢、つまり円柱状の軸線が鉛直方向と平行となる姿勢で搬送ディスク30に吸着保持され、その姿勢を維持したまま搬送ディスク30の回転とともに検査位置P2に向けて周方向に搬送される。
【0052】
このとき、錠剤Wは、吸着位置P1において円柱状の軸線が鉛直方向と平行となる姿勢で搬送ディスク30に吸着保持されるのが理想であるが、搬送ディスク30への吸着時に姿勢が変化し、円柱状の軸線が鉛直方向と平行となる姿勢とならないおそれがある。
【0053】
本実施形態では、こうした搬送ディスク30への吸着時の錠剤Wの姿勢変化を軽減するために、吸着位置P1から搬送方向下流に向けて所定の長さだけ延在する姿勢ガイド31が設けられている。
【0054】
図5に示すように、姿勢ガイド31は、搬送ディスク30の外周縁30aに沿うように弧状に形成され、搬送ディスク30によって搬送される錠剤Wの搬送経路の下方に配置されている。姿勢ガイド31は、搬送ディスク30の下方側から錠剤Wの下面に接触して錠剤Wの姿勢変化を軽減するようになっている。
【0055】
なお、本実施形態では、姿勢ガイド31を設けた例について説明するが、この姿勢ガイド31は設けられていなくてもよい。
【0056】
ここで、搬送部3における搬送方向とは、吸着位置P1において吸着された錠剤Wが進む方向、すなわち搬送ディスク30に吸着された錠剤Wが回転する方向のことを意味する。したがって、搬送方向下流とは、搬送ディスク30に吸着された錠剤Wが進む方向において下流側のことをいい、搬送方向上流とは、搬送ディスク30に吸着された錠剤Wが進む方向において上流側のことをいう。
【0057】
また、本実施形態では、吸着位置P1において吸着された錠剤Wが進む経路を搬送経路という。なお、搬送部3は、円形の搬送ディスク30により錠剤Wを搬送する機構に限らず、直線的に錠剤Wを搬送する機構、例えば錠剤Wを横吸着させる直線タイプのコンベアであってもよい。
【0058】
図1に示すように、搬送ディスク30の周囲には、錠剤Wの搬送経路に沿って搬送方向上流側から順に、吸着位置P1、検査位置P2、NG排出位置P3、全排出位置P4、OK排出位置P5が配置されている。
【0059】
NG排出位置P3には、NG排出位置P3において排出された錠剤Wを回収するNG回収ボックス71と、NG排出位置P3において錠剤WをNG回収ボックス71に排出するためのエアを吹き出すNGエアノズル72と、が配置されている。
【0060】
全排出位置P4には、全排出位置P4において排出された錠剤Wを回収する全排出回収ボックス73と、全排出位置P4において錠剤Wを全排出回収ボックス73に排出するためのエアを吹き出す全排出エアノズル74と、が配置されている。
【0061】
全排出回収ボックス73は、物品検査装置1の運転開始時や、非常停止後の復帰動作後や、NG排出を失敗した錠剤Wなど、正常な検査ができなかった、または、排出を失敗した錠剤Wなどを回収するものである。
【0062】
全排出回収ボックス73の搬送方向上流側には、全排出検知センサ40が配置されている。全排出エアノズル74は、全排出検知センサ40によって錠剤Wが検知されると、その検知された錠剤Wが全排出位置P4に到達したタイミングで当該錠剤Wに対してエアを吹き出す。
【0063】
錠剤Wが全排出位置P4に到達したタイミングは、例えばロータリエンコーダを用いて検出される搬送ディスク30の回転角と、全排出検知センサ40の検知タイミングと、に基づき計ることができる。
【0064】
また、全排出エアノズル74の搬送方向下流側には、全排出されるべき錠剤Wが全排出回収ボックス73に排出されたか否かを監視するための排除失敗検知センサ41が配置されている。
【0065】
さらに、排除失敗検知センサ41の搬送方向下流側には、NG混入防止ゲート75が配置されている。NG混入防止ゲート75は、例えばエアシリンダ等のアクチュエータを駆動源とし、オフ状態では錠剤Wの搬送経路を遮断するよう搬送経路上に位置しており、搬送経路を常時遮断している。NG混入防止ゲート75は、検査部4によりOK品と判定された錠剤Wが搬送経路を通過するときのみ、オン状態に制御され搬送経路を開放する。このように、NG混入防止ゲート75は、OK品の錠剤Wのみを通過させるよう機能している。したがって、NG混入防止ゲート75にOK品以外の錠剤Wが搬送されてきた場合には、当該錠剤Wは、オフ状態のNG混入防止ゲート75によって強制的に搬送系外に排出される。NG混入防止ゲート75によって排出された錠剤Wは、全排出回収ボックス73に回収される。これにより、NG品の錠剤Wが誤ってOK品の錠剤WとしてOK回収ボックス76に回収されて次工程に進んでしまうことが防止される。
【0066】
OK排出位置P5には、OK排出位置P5において排出された錠剤Wを回収するOK回収ボックス76と、OK排出位置P5において錠剤WをOK回収ボックス76に排出するためのエアを吹き出すOKエアノズル77と、が配置されている。
【0067】
OKエアノズル77は、検査部4よりも錠剤Wの搬送方向下流、詳細には全排出エアノズル74よりも錠剤Wの搬送方向下流に設けられ、検査部4の検査結果に応じて、エアを吹き出すことによって錠剤WをOK回収ボックス76に排出する。なお、OKエアノズル77は、錠剤Wを排出するタイミングでエアを吹き出すように間欠的に駆動されるのではなく、常時エアを吹き出すように連続的に駆動されてもよい。この場合、駆動系の早期摩耗を抑制することができる。また、本実施形態では、OKエアノズル77を用いた例について説明したが、これに限らず、OKエアノズル77に代えて例えばNG混入防止ゲート75のようなゲートを用いてもよい。
【0068】
搬送ディスク30は、検査対象の錠剤Wを、吸着位置P1から検査位置P2を経て、NG排出位置P3、全排出位置P4又はOK排出位置P5のいずれかに搬送し、これらNG排出位置P3、全排出位置P4又はOK排出位置P5のいずれかにおいてNG回収ボックス71、全排出回収ボックス73又はOK回収ボックス76に排出するものである。
【0069】
OK排出位置P5の搬送方向下流側には、OK排出ミス回収ボックス78が配置されている。OK排出ミス回収ボックス78には、OK排出位置P5においてOK回収ボックス76に排出し損ねた錠剤Wが回収される。
【0070】
(検査部)
検査部4は、検査位置P2において、搬送ディスク30を支持する本体フレームに取付けられている。検査部4は、検査位置P2にて、錠剤Wに対して光Lを照射することにより錠剤Wを検査するもので、具体的には錠剤Wの品質の良否判定を行う。
【0071】
検査部4の搬送方向上流には、錠剤検知センサ44が配置されている。検査部4は、錠剤検知センサ44によって錠剤Wが検知されると、その検知された錠剤Wが検査位置P2に到達したタイミングで当該錠剤Wに対して光Lを照射する。錠剤Wが検査位置P2に到達したタイミングは、搬送ディスク30の回転角と、錠剤検知センサ44の検知タイミングと、に基づき計ることができる。
【0072】
図9に示すように、検査部4は、搬送ディスク30によって搬送されてきた錠剤Wの分光特性を、光照射部42と光検出部43とから構成された光学センサによって非接触な状態で測定可能に構成されている。検査部4は、測定した分光特性に基づき、錠剤Wの品質、規格範囲内か否か等の良否(OK品又はNG品)判定を行うようになっている。本実施形態では、規格範囲内の錠剤Wを「OK品」とし、規格範囲外の錠剤Wを「NG品」とする。
【0073】
検査部4の良否判定により「OK品」と判定された錠剤Wは、OK排出位置P5に到達したタイミングでOK回収ボックス76に排出される。OK排出位置P5の搬送方向上流には、OK排出位置P5に向けて搬送されてくる錠剤Wを検出するOK検知センサ45が配置されている。OKエアノズル77は、OK検知センサ45の検知タイミングと搬送ディスク30の回転角とに基づき、錠剤WがOK排出位置P5に到達したタイミングでエアを吹き出す。
【0074】
検査部4の良否判定により「NG品」と判定された錠剤Wは、NG排出位置P3に到達したタイミングでNG回収ボックス71に排出される。NG排出位置P3の搬送方向上流には、NG排出位置P3に向けて搬送されてくる錠剤Wを検出するNG検知センサ46が配置されている。NGエアノズル72は、NG検知センサ46の検知タイミングと搬送ディスク30の回転角とに基づき、錠剤WがNG排出位置P3に到達したタイミングでエアを吹き出す。
【0075】
ここで、例えば検査部4において検査される錠剤Wの姿勢や位置が最適な検査時の姿勢や位置に維持されていなかったり、錠剤ごとにばらついたりすると、検査部4における検査の精度が低下してしまう。
【0076】
本実施形態では、検査部4における検査の精度を向上させるために、検査部4に搬送される各錠剤Wの姿勢や位置を安定させ、各錠剤Wを常に同じ位置、同じ姿勢で、望ましくは後述する正規の吸着位置及び正規の姿勢で、検査部4に搬送するガイド部5を設けた。
【0077】
(ガイド部)
図1に示すように、ガイド部5は、錠剤Wの搬送経路に沿って吸着位置P1と検査位置P2との間に設けられており、検査位置P2に搬送される錠剤Wをガイドするものである。
【0078】
ガイド部5は、第1のガイド11と、第2のガイド12と、第3のガイド13を、を含んで構成されている。これら第1のガイド11、第2のガイド12及び第3のガイド13は、図示しない本体フレームに回転不能に支持されている。
【0079】
本実施形態では、錠剤Wの搬送経路に沿って搬送方向上流側から第1のガイド11、第2のガイド12、第3のガイド13の順に配置されている。第1のガイド11、第2のガイド12及び第3のガイド13は、いずれも平面視で錠剤Wの搬送経路に沿うように弧状に形成されている。
【0080】
図5に示すように、第1のガイド11は、錠剤Wに上方から接する第1の上ガイド片51と、錠剤Wの搬送経路を挟んで第1の上ガイド片51と対向するように配置された第1の下ガイド片52と、を有している。
【0081】
図9に示すように、第1の上ガイド片51の搬送経路側には、錠剤Wに接するガイド面51aが形成されている。第1の下ガイド片52の搬送経路側には、ガイド面52aが形成されている。
図9は、円板状の搬送ディスク30と、弧状の第1のガイド11、第2のガイド12及び第3のガイド13とを直線状に展開した概略図である。
【0082】
第1のガイド11において、搬送方向上流側の端部を第1のガイド11の入口11Aとし、搬送方向下流側の端部を第1のガイド11の出口11Bとする。第2のガイド12において、搬送方向上流側の端部を第2のガイド12の入口12Aとし、搬送方向下流側の端部を第2のガイド12の出口12Bとする。
【0083】
ガイド面51aとガイド面52aとは、錠剤Wの搬送方向上流側から搬送方向下流側に向けて互いの間隔が狭くなるよう、それぞれ傾斜している。
【0084】
換言すれば、ガイド面51aとガイド面52aとは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かうに従い徐々に搬送経路に近接するように傾斜している。さらに、ガイド面51aとガイド面52aとは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって緩やかにカーブした形状をなしている。このため、ガイド面51aとガイド面52aとは、搬送方向下流側に向かうに従い傾斜が緩くなるように形成されている。
【0085】
したがって、第1のガイド11は、入口11Aが上下方向に幅広で、出口11Bが入口11Aよりも上下方向に幅狭となるよう構成されている。第2のガイド12も、入口12Aが上下方向に幅広で、出口12Bが入口12Aよりも上下方向に幅狭となるよう構成されている。
【0086】
本実施形態では、第1のガイド11の入口11Aの上下方向の幅H1と第2のガイド12の入口12Aの上下方向の幅H3とは、同一幅に設定されている。
【0087】
また、第1のガイド11の出口11Bの上下方向の幅H2と第2のガイド12の出口12Bの上下方向の幅H4とは、同一幅に設定されている。幅H2及び幅H4は、錠剤Wの厚さ、つまり円柱状の軸線方向における錠剤Wの長さよりも、僅かに大きく設定されている。
【0088】
なお、各ガイドの入口及び出口の上下方向の幅は、上ガイド片と下ガイド片との位置を調整することで変更可能であり、検査対象の種類や寸法等に応じて適宜変更可能である。
【0089】
本実施形態では、第1のガイド11の出口11Bが第2のガイド12の出口12Bよりも下方に位置している。具体的には、第1のガイド11の出口11Bは、出口11Bの上下方向の中心が各吸着穴32の中心を結ぶ中心線Oよりも下方に位置するように配置されている。つまり、出口11Bは、中心線Oに対して下方に偏った位置に配置されている。
【0090】
このように第1のガイド11の出口11Bが配置されているため、錠剤Wは、第1のガイド11によってガイドされる際、第1の上ガイド片51のガイド面51aに接しつつ搬送方向下流側に移動する。
【0091】
これにより、第1のガイド11によってガイドされる錠剤Wは、第1の上ガイド片51によって搬送方向下流側に向かうに従い徐々に押し下げられ、出口11Bの通過時に、上下方向の中心が中心線Oよりも下方にずれた位置となるまで押し下げられることになる。
【0092】
第1の下ガイド片52は、第1の上ガイド片51によって押し下げられる錠剤Wが下方に行き過ぎてしまうことを防止したり、出口11Bにおいて錠剤Wが中心線Oに対して斜めになる等、大きく姿勢が崩れてしまうことを防止したりする。
【0093】
図5に示すように、第2のガイド12は、錠剤Wに下方から接する第2の下ガイド片53と、錠剤Wの搬送経路を挟んで第2の下ガイド片53と対向するように配置された第2の上ガイド片54と、を有している。
【0094】
図9に示すように、第2の下ガイド片53の搬送経路側には、錠剤Wに接するガイド面53aが形成されている。第2の上ガイド片54の搬送経路側には、ガイド面54aが形成されている。
【0095】
ガイド面53aとガイド面54aとは、錠剤Wの搬送方向上流側から搬送方向下流側に向けて互いの間隔が狭くなるよう、それぞれ傾斜している。
【0096】
換言すれば、ガイド面53aとガイド面54aとは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かうに従い徐々に搬送経路に近接するように傾斜している。さらに、ガイド面53aとガイド面54aとは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって緩やかにカーブした形状をなしている。このため、ガイド面53aとガイド面54aとは、搬送方向下流側に向かうに従い傾斜が緩くなるように形成されている。
【0097】
本実施形態では、第2のガイド12の出口12Bが第1のガイド11の出口11Bよりも上方であって、かつ、出口12Bの上下方向の中心が中心線Oよりも上方に位置するように配置されている。すなわち、出口12Bは、錠剤Wの厚さと出口12Bの上下方向の幅H4との差分の1/2だけ上下方向の中心が中心線Oよりも上方に位置するように配置されている。
【0098】
このように第2のガイド12の出口12Bが配置されているため、錠剤Wは、第2のガイド12によってガイドされる際、第2の下ガイド片53のガイド面53aに接しつつ搬送方向下流側に移動する。
【0099】
これにより、第2のガイド12によってガイドされる錠剤Wは、第2の下ガイド片53によって搬送方向下流側に向かうに従い徐々に押し上げられ、出口12Bの通過時に、錠剤Wの上下方向の中心が中心線Oに一致する正規の吸着位置となるまで押し上げられることになる。
【0100】
正規の吸着位置においては、吸着穴32との間に隙間なく、または姿勢が大きく崩れる程の隙間を生じさせることなく、錠剤Wが吸着穴32に吸着される。このため、正規の吸着位置で錠剤Wが吸着している場合には、錠剤Wの姿勢が安定しやすいうえに、その位置も維持しやすい。
【0101】
さらに、錠剤Wは、第2のガイド12を通過した時点において正規の姿勢に制御される。正規の姿勢とは、錠剤Wの円柱状の軸線が鉛直方向と平行となるときの錠剤Wの姿勢をいう。より確実に正規の姿勢を実現できるように、例えば、第2の下ガイド片53の搬送方向下流側のガイド面53aを水平に形成してもよい。
【0102】
第2の上ガイド片54は、第2の下ガイド片53によって押し上げられる錠剤Wが上方に行き過ぎてしまうことを防止したり、出口12Bにおいて錠剤Wが中心線Oに対して斜めになる等、大きく姿勢が崩れてしまうことを防止したりする。
【0103】
本実施形態では、錠剤Wの上下方向の中心が中心線Oに一致する位置を正規の吸着位置としたため、出口11B及び出口12Bの配置を上述のように設定したが、正規の吸着位置が本実施形態と異なる場合には、これに合わせて出口11B及び出口12Bの配置も変更になる。この場合、出口11Bの通過時に錠剤Wを正規の吸着位置より下方となるように押し下げ、かつ、この押し下げられた錠剤Wを出口12Bの通過時に正規の吸着位置まで押し上げることができるような出口11B及び出口12Bの配置であればよい。
【0104】
なお、上述のガイド面51a、ガイド面52a、ガイド面53a及びガイド面54aのカーブは、例えば、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かうに従い曲率が小さくなる湾曲形状をなしている。また、上述のガイド面51a、ガイド面52a、ガイド面53a及びガイド面54aは、完全なカーブ面でなく、角度の異なる複数の平面を連続的に形成してカーブ面相当を実現する形状であってもよい。
【0105】
図5に示すように、第3のガイド13は、第1のガイド11及び第2のガイド12よりも検査位置P2側であって錠剤Wの搬送経路の下方に配置された単一のガイド片からなる。
【0106】
図9に示すように、第3のガイド13の搬送経路側には、錠剤Wの搬送方向上流側において下方から錠剤Wに接するガイド面13aが形成されている。当該ガイド面13aは、錠剤Wの搬送方向下流側に向かうに従い徐々に錠剤Wから離隔するように傾斜している。
【0107】
第3のガイド13は、ガイド面13aの搬送方向上流側の端部の高さが第2の下ガイド片53のガイド面53aの搬送方向下流側の端部の高さと一致するように、配置されている。これにより、第2のガイド12の出口12Bを通過した錠剤Wが、正規の吸着位置及び正規の姿勢を維持したまま第3のガイド13に移動する。
【0108】
第3のガイド13に移動した錠剤Wは、搬送方向下流に向かうに従いガイド面13aから徐々に離隔していくので、正規の吸着位置及び正規の姿勢が維持されやすい。第3のガイド13を通過した錠剤Wは、正規の吸着位置及び正規の姿勢を維持した状態で、検査部4に搬送される。
【0109】
ここで、仮に第3のガイド13が設けられていないとした場合、第2のガイド12の出口12Bを通過した錠剤Wは下方からの支えを突然失うことになる。このとき、錠剤Wが搬送ディスク30の吸着穴32に対して例えば搬送方向下流側に偏った隙間を生じさせた状態で吸着していた場合には、錠剤Wが第2のガイド12の支えを突然失うと、偏った隙間を解消しようとして錠剤Wが進行方向に回転してしまう。
【0110】
本実施形態では、上述したように、錠剤Wが第2のガイド12の出口12Bの通過後に突然、支えを失うことなく、第3のガイド13によってガイドされるので、進行方向に錠剤Wが回転してしまうことが抑制される。さらに、その後も、第3のガイド13によって錠剤Wの支えが徐々に解除されてゆくので、突然、支えが失われることがない。
【0111】
上述した第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13は、それぞれの取付位置が調整機構50(
図11参照)によって調整可能に構成されている。調整機構50は、例えば、モータ等を駆動源とする、ラックアンドピニオン機構やボールねじ等の直動機構によって構成されている。なお、前述の各ガイド片及びガイドは、その取付位置を手動で調整可能な構成であってもよい。
【0112】
次に、
図10を参照して、第1のガイド11、第2のガイド12及び第3のガイド13の各ガイド面の断面について、説明する。
図10(a)は第1のガイド11の断面、
図10(b)は第2のガイド12の断面、
図10(c)は第3のガイド13の断面をそれぞれ示している。
【0113】
図10(a)に示すように、第1の上ガイド片51のガイド面51aは、錠剤Wの搬送経路に直交する断面の形状が、第1の上ガイド片51の内方に窪んだV溝を有するV溝状に形成されている。このため、ガイド面51aは、錠剤Wに対して1点又は2点以上で接触しつつ、錠剤Wをガイドすることが可能となる。また、錠剤Wが本実施形態のように曲面を有する場合には、V溝状のガイド面51aが曲面に沿うようにして接触する。
【0114】
本実施形態においては、ガイド面51aのV溝の最深部であるV溝の頂点が錠剤Wの円柱状の軸線上に一致するように、ガイド面51aが配置されていることが好ましい。
【0115】
第1の下ガイド片52のガイド面52aは、錠剤Wの搬送経路に直交する断面の形状が、第1の下ガイド片52の内方に窪んだV溝状に形成されている。このため、ガイド面52aは、錠剤Wに対して1点又は2点以上で接触することが可能となる。また、錠剤Wが本実施形態のように曲面を有する場合には、V溝状のガイド面52aが曲面に沿うようにして接触することが可能である。
【0116】
本実施形態においては、ガイド面52aのV溝の頂点が錠剤Wの円柱状の軸線上に一致するように、ガイド面52aが配置されていることが好ましい。
【0117】
図10(b)に示すように、第2の下ガイド片53のガイド面53aは、錠剤Wの搬送経路に直交する断面の形状が、第2の下ガイド片53の内方に窪んだV溝状に形成されている。このため、ガイド面53aは、錠剤Wに対して1点又は2点以上で接触しつつ、錠剤Wをガイドすることが可能となる。また、錠剤Wが本実施形態のように曲面を有する場合には、V溝状のガイド面53aが曲面に沿うようにして接触する。
【0118】
本実施形態においては、ガイド面53aのV溝の頂点が錠剤Wの円柱状の軸線上に一致するように、ガイド面53aが配置されていることが好ましい。
【0119】
第2の上ガイド片54のガイド面54aは、平面状に形成されており、水平方向の幅が第2の下ガイド片53の水平方向の幅よりも小さく形成されている。
【0120】
本実施形態において、ガイド面54aは、錠剤Wの円柱状の軸線よりも搬送ディスク30の径方向外方側に配置されている。このように、ガイド面54aは、錠剤Wの円柱状の軸線よりも搬送ディスク30の吸着穴32から離れた位置で錠剤Wに接触可能に構成されているので、錠剤Wの回転を最小限に抑えることができる。
【0121】
例えば、錠剤Wの吸着穴32から最も離れた側(
図10中、右側)が上方に移動するように、吸着穴32に吸着されている錠剤Wが傾こうとする場合、すなわち
図10中、反時計周りに回転しようとする場合、ガイド面54aによって当該回転が抑えられる。
【0122】
図10(c)に示すように、第3のガイド13のガイド面13aは、平面状に形成されており、水平方向の幅が第2の下ガイド片53の水平方向の幅よりも小さく形成されている。
【0123】
本実施形態において、ガイド面13aは、水平方向の幅の中心が錠剤Wの円柱状の軸線上に一致するように配置されている。これにより、ガイド面13aは、第3のガイド13の搬送方向上流側において錠剤Wの下面の中央付近に接触することができる。
【0124】
本実施形態において、第1のガイド11と第2のガイド12と第3のガイド13とは、それぞれ別体で構成されている。なお、第1のガイド11と第2のガイド12と第3のガイド13とが一体に形成されていてもよいし、搬送方向に隣り合う2つのガイド同士が一体に形成されていてもよい。また、第1の上ガイド片51と第2の上ガイド片54とが一体に形成され、第1の下ガイド片52と第2の下ガイド片53と第3のガイド13とが一体に形成される構成であってもよい。
【0125】
(電気的構成)
次に、
図11を参照して、本実施形態に係る物品検査装置1の電気的構成について説明する。
【0126】
図11に示すように、本実施形態に係る物品検査装置1は、物品検査装置1の統括的な制御を行う制御部100を備えている。
【0127】
制御部100は、少なくとも、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0128】
制御部100には、上述した錠剤検知センサ44、NG検知センサ46、全排出検知センサ40、排除失敗検知センサ41及びOK検知センサ45等の各種センサ類が接続されている。
【0129】
制御部100には、上述した検査部4、リターン機構27、NGエアノズル72、全排出エアノズル74、NG混入防止ゲート75、OKエアノズル77、駆動モータ30M及び調整機構50に加えて、表示部120等の各種機器が接続されている。
【0130】
制御部100は、検査部4の良否判定の結果を測定データとして錠剤Wごとに記憶する記憶部101を有している。制御部100は、錠剤Wを個別に識別可能な識別情報、例えば管理番号を前述の各測定データに連番で付与した上で、各測定データを記憶部101に記憶する。この測定データが記憶されたタイミングで、各錠剤Wの管理が開始される。
【0131】
本実施形態では、制御部100は、前述の各錠剤Wの管理として、検査部4の判定結果に加えて、錠剤Wがどこで排出されたかを示す排出結果などの情報を各測定データに紐づけて記憶部101に記憶するようになっている。
【0132】
また、記憶部101に記憶された各測定データは、後述する表示部120での操作に応じて読み出し可能に構成されている。これにより、各錠剤Wの測定データを管理番号によって追跡可能になっている。
【0133】
また、記憶部101には、検査対象ごとに、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13の取付位置が記憶されるようになっている。制御部100は、例えば、検査対象ごとにユーザによって指定された前述の各ガイド片及び第3のガイド13の最適な取付位置を記憶部101に記憶する。なお、記憶部101には、検査対象ごとに最適な取付位置として定められた前述の各ガイド片及び第3のガイド13の取付位置が予め記憶されていてもよい。
【0134】
表示部120は、例えばタッチパネル式の表示器によって構成されている。表示部120は、各錠剤Wの管理に係るビューア表示画面の他、各種情報などを表示する表示機能を有するとともに、ユーザからの操作を受け付ける入力部としての機能を有する。ユーザの操作としては、例えば各種設定操作、運転操作、選択操作などがある。
【0135】
表示部120における各種設定操作としては、例えば、検査対象の形状や寸法等を入力する入力操作や、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13の取付位置を設定する設定操作等がある。
【0136】
したがって、表示部120は、ユーザが検査対象の形状や寸法等を入力する入力部としての機能を有している。入力可能な検査対象の情報としては、形状や寸法に限られない。さらに、表示部120は、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13の取付位置を設定する設定操作を受け付け可能に構成されている。
【0137】
また、表示部120には、ユーザによって入力された検査対象の形状や寸法等に適した、第1のガイド11、第2のガイド12、第3のガイド13の指示が表示されるようになっている。これにより、検査対象に応じた最適な形状、寸法のガイドがユーザに報知される。
【0138】
また、表示部120には、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13の取付位置の推奨値が表示されるようになっている。
【0139】
制御部100は、NG検知センサ46の検知結果に基づき、NGエアノズル72による錠剤Wの排出タイミングを制御するようになっている。すなわち、制御部100は、検査部4でNG品と判定された錠剤WがNG検知センサ46に検知されたことを契機に、当該錠剤WがNG排出位置P3に到達したタイミングでエアを吹き出すようにNGエアノズル72を制御する。
【0140】
制御部100は、全排出検知センサ40の検知結果に基づき、全排出エアノズル74による錠剤Wの排出タイミングを制御するようになっている。すなわち、制御部100は、例えばNG排出を失敗した錠剤Wなどの全排出すべき錠剤Wが全排出検知センサ40に検知されたことを契機に、当該錠剤Wが全排出位置P4に到達したタイミングでエアを吹き出すように全排出エアノズル74を制御する。
【0141】
制御部100は、排除失敗検知センサ41の検知結果に基づき、NG混入防止ゲート75による搬送経路の開放タイミングを制御するようになっている。すなわち、制御部100は、OK品の錠剤Wが排除失敗検知センサ41に検知されたことを契機に、当該錠剤WがNG混入防止ゲート75を通過するタイミングで、NG混入防止ゲート75が搬送経路の開放する位置に移動するようにNG混入防止ゲート75を制御する。
【0142】
制御部100は、OK検知センサ45の検知結果に基づき、OKエアノズル77による錠剤Wの排出タイミングを制御するようになっている。すなわち、制御部100は、検査部4でOK品と判定された錠剤WがOK検知センサ45に検知されたことを契機に、当該錠剤WがOK排出位置P5に到達したタイミングでエアを吹き出すようにOKエアノズル77を制御する。
【0143】
また、制御部100は、搬送ディスク30の駆動モータ30Mの駆動トルクが所定値以上となった場合に、駆動モータ30Mの駆動を停止するよう駆動モータ30Mを制御するようになっている。この他、制御部100は、例えば各エアノズルのエア圧に異常を検知した場合や、各排出機器及び通過機器の取付に異常を検知した場合には、駆動モータ30Mを停止するように制御してもよい。
【0144】
上述の所定値は、第1のガイド11又は第2のガイド12に錠剤Wが挟まったり、搬送ディスク30と第1のガイド11又は第2のガイド12との間に錠剤Wが挟まったりしたと判断できる、駆動モータ30Mの駆動トルクの下限値であり、例えば予め実験的に求めて制御部100のROMに記憶されている。なお、上述の所定値は、例えばユーザからの入力に基づく等、外部からの信号に基づき設定されてもよい。
【0145】
また、制御部100は、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13について、記憶部101に記憶された検査対象ごとの取付位置となるよう調整機構50の調整動作を制御可能に構成されている。
【0146】
例えば、ユーザが表示部120を介して検査対象の物品を入力すると、調整機構50によって、当該検査対象の物品の形状や寸法に応じた最適な取付位置に、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13が自動的に調整される。
【0147】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る物品検査装置は、供給部2から吸着位置P1に供給される錠剤Wを一列に規制するとともに吸着位置P1に供給される錠剤Wの高さを所定の高さH0に規制する1列規制ガイド25を備えるので、吸着位置P1に錠剤Wを1つずつ供給できるとともに、吸着位置P1に達する前に所定の高さH0よりも低い姿勢以外の錠剤Wを排除することができる。この結果、錠剤Wの搬送ディスク30への吸着効率を向上させることができる。
【0148】
また、本実施形態に係る物品検査装置は、1列規制ガイド25の内周壁25aが環状供給部22に沿って吸着位置P1の直前まで延在するように弧状に形成されているので、吸着位置P1まで距離がある段階で錠剤Wが早期に搬送ディスク30に吸着してしまうことを防止でき、安定した姿勢で錠剤Wを搬送ディスク30に吸着させることができる。さらに、本実施形態に係る物品検査装置は、1列規制ガイド25の内周壁25aの上部に、環状供給部22との間に所定の高さH0を確保しつつ、吸着位置P1に向かうに従い徐々に径方向の内方にせり出すせり出し部25bが形成されているので、所定の高さH0よりも低い姿勢以外の錠剤Wを回転円板21に戻すことができる。これにより、錠剤Wの噛み込みや詰まりを生じさないようにすることができる。
【0149】
また、本実施形態に係る物品検査装置は、吸着位置P1において吸着された錠剤Wの姿勢変化を軽減するよう錠剤Wを下方からガイドする姿勢ガイド31をさらに備えるので、吸着穴32への吸着時に錠剤Wの姿勢が大きく変化してしまうことを防止できる。
【0150】
また、本実施形態に係る物品検査装置は、環状供給部22に沿って弧状に形成された内周壁24aを有するリターンガイド24が環状供給部22の径方向の外方に設けられているので、回転円板21から環状供給部22に供給される錠剤Wの環状供給部22の外方への飛び出しを内周壁24aによって阻止することができる。
【0151】
また、本実施形態に係る物品検査装置は、吸着位置P1において吸着不良の錠剤Wを供給部に戻すリターン機構27を備えるので、吸着不良の錠剤Wを排除でき、搬送部3において錠剤Wの安定した搬送を実現できる。
【0152】
また、本実施形態に係る物品検査装置は、リターン機構27が吸着位置P1側に向けてエアを吹き出すエアブロー装置によって構成されているので、簡易な機構で確実に吸着不良の錠剤Wを排除することができる。
【0153】
なお、本実施形態において、NG排出位置P3の直前には、搬送されてくる錠剤Wを下方に押し下げるガイドが設けられていてもよい。この場合、錠剤Wの吸着位置が吸着穴32の中心から下方にずれるため、吸着穴32に対する錠剤Wの吸着力が低下し、NGエアノズル72のエアの圧力を高めなくとも確実に錠剤Wの吸着を解除することができる。
【0154】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0155】
1 物品検査装置
2 供給部
3 搬送部
4 検査部
5 ガイド部
6 錠剤投入部
11 第1のガイド
12 第2のガイド
13 第3のガイド
13a、51a、52a、53a、54a ガイド面
20 供給容器
21 回転円板(回転供給部)
22 環状供給部
24 リターンガイド
24a 内周壁(第2の内周壁)
25 1列規制ガイド(規制ガイド部)
25a 内周壁(第1の内周壁)
25b せり出し部
27 リターン機構(リターン部)
30 搬送ディスク
30a 外周縁
31 姿勢ガイド
32 吸着穴
51 第1の上ガイド片
52 第1の下ガイド片
53 第2の下ガイド片
54 第2の上ガイド片
P1 吸着位置(受け渡し位置)
P2 検査位置
P3 NG排出位置
P4 全排出位置
P5 OK排出位置
W 錠剤(物品)