(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142975
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/86 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65G47/86 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055404
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 純一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 英治
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼本 雄太
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA33
3F072GA05
3F072GB06
3F072GB07
3F072GB10
3F072GD01
3F072GE02
3F072GE09
3F072JA09
3F072KB01
3F072KB15
3F072KB19
3F072KC01
3F072KC07
3F072KE11
3F072KE18
(57)【要約】
【課題】物品を高速搬送させても、所望の排出位置において正確に物品を排出することができる物品検査装置を提供すること。
【解決手段】錠剤Wを搬送する搬送部3と、錠剤Wの検査を行う検査部4と、検査部4よりも錠剤Wの搬送方向下流に設けられたNGエアノズル72と、検査部4の搬送方向下流に設けられたOKエアノズル77と、NGエアノズル72の搬送方向下流に設けられた全排出エアノズル74と、NGエアノズル72の搬送方向上流であって検査部4の搬送方向下流に配置されたNG検知センサ46と、全排出エアノズル74の搬送方向上流であってNGエアノズル72の搬送方向下流に配置された全排出検知センサ40と、NG検知センサ46と全排出検知センサ40との検知結果に基づき、NGエアノズル72及び全排出エアノズル74による錠剤Wの排出タイミングを制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の物品(W)を検査位置(P2)に搬送する搬送部(3)と、
前記検査位置において前記物品の検査を行う検査部(4)と、
前記検査部よりも前記物品の搬送方向下流に設けられ、前記検査部の検査結果に応じて前記物品をNG品回収部(71)に排出するNG排出部(72)と、
前記検査部よりも前記物品の搬送方向下流に設けられ、前記検査部の検査結果に応じて前記物品をOK品回収部(76)に排出するOK排出部(77)と、
前記NG排出部よりも前記物品の搬送方向下流に設けられ、前記物品を全排出回収部(73)に排出する全排出部(74)と、
前記NG排出部よりも前記物品の搬送方向上流であって前記検査部よりも前記物品の搬送方向下流に配置された第1の物品検知センサ(46)と、
前記全排出部よりも前記物品の搬送方向上流であって前記NG排出部よりも前記物品の搬送方向下流に配置された第2の物品検知センサ(40)と、
前記第1の物品検知センサと前記第2の物品検知センサとの検知結果に基づき、前記NG排出部及び前記全排出部による前記物品の排出タイミングを制御する制御部(100)と、を備える物品検査装置。
【請求項2】
前記OK排出部は、前記全排出部よりも前記物品の搬送方向下流に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記全排出部よりも前記物品の搬送方向下流に配置された第3の物品検知センサ(41)と、
前記第3の物品検知センサよりも前記物品の搬送方向下流に設けられ、前記物品の搬送経路を常時遮断するとともに、前記検査部によりOK品と判定された物品が前記搬送経路を通過するときのみ前記搬送経路を開放するゲート(75)と、を更に備え、
前記制御部は、前記第3の物品検知センサの検知結果に基づき、前記ゲートによる開放タイミングを制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記OK排出部よりも前記物品の搬送方向上流であって前記ゲートよりも前記物品の搬送方向下流に配置された第4の物品検知センサ(45)を更に備え、
前記制御部は、前記第1の物品検知センサ、前記第2の物品検知センサ、前記第3の物品検知センサ及び前記第4の物品検知センサのいずれかにおいて、物品検知の異常が複数回連続で発生、又は一定時間内に複数回発生した場合に、前記排出タイミング及び前記開放タイミングの少なくとも一方の変更を促す通知、又は前記NG排出部、前記全排出部及び前記ゲートの少なくともいずれかが故障である旨の通知を行うことを特徴とする請求項3に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記OK排出部よりも前記物品の搬送方向上流であって前記ゲートよりも前記物品の搬送方向下流に配置された第4の物品検知センサ(45)を更に備え、
前記制御部は、調整用の物品サンプルを搬送させたときの前記第1の物品検知センサ、前記第2の物品検知センサ、前記第3の物品検知センサ及び前記第4の物品検知センサによる当該物品サンプルの検知状況に基づき、前記排出タイミング及び前記開放タイミングの少なくとも一方を自動で調整することを特徴とする請求項3に記載の物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転板を回転させて物品を検査位置に向けて整列して単品搬送する回転式の搬送装置を備えた物品検査装置において、不良品が排出されたかを確認するための選別確認センサをNG排出部の下流に設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回転式の搬送装置を備える物品検査装置においては、単位時間当たりの検査数を増やすために回転板を高速で回転させて物品を高速搬送させることが望まれている。しかし、物品の搬送速度が速くなるほど、所望の排出位置において正確に物品を排出することが困難となる。物品が所望の排出位置で排出できないと、搬送装置を停止する必要が生じる可能性がある。
【0005】
このため、回転式の搬送装置を備える物品検査装置にあっては、物品を高速搬送させても、所望の排出位置において正確に物品を排出できることが望まれている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の物品検査装置では、選別確認センサによって不良品が排出されたかを確認することはできても、物品を高速搬送させた場合に所望の排出位置において正確に物品を排出する点については考慮されておらず、未だ改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、物品を高速搬送させても、所望の排出位置において正確に物品を排出することができる物品検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る物品検査装置は、検査対象の物品を検査位置に搬送する搬送部と、前記検査位置において前記物品の検査を行う検査部と、前記検査部よりも前記物品の搬送方向下流に設けられ、前記検査部の検査結果に応じて前記物品をNG品回収部に排出するNG排出部と、前記検査部よりも前記物品の搬送方向下流に設けられ、前記検査部の検査結果に応じて前記物品をOK品回収部に排出するOK排出部と、前記NG排出部よりも前記物品の搬送方向下流に設けられ、前記物品を全排出回収部に排出する全排出部と、前記NG排出部よりも前記物品の搬送方向上流であって前記検査部よりも前記物品の搬送方向下流に配置された第1の物品検知センサと、前記全排出部よりも前記物品の搬送方向上流であって前記NG排出部よりも前記物品の搬送方向下流に配置された第2の物品検知センサと、前記第1の物品検知センサと前記第2の物品検知センサとの検知結果に基づき、前記NG排出部及び前記全排出部による前記物品の排出タイミングを制御する制御部と、を備える。
【0009】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、制御部が、NG排出部よりも搬送方向上流であって検査部よりも搬送方向下流に配置された第1の物品検知センサと、全排出部よりも搬送方向上流であってNG排出部よりも搬送方向下流に配置された第2の物品検知センサと、の検知結果に基づきNG排出部及び全排出部による物品の排出タイミングを制御する。このため、物品の搬送状況を細かく把握することができ、搬送される物品の高速搬送化に伴いNG排出部及び全排出部の動作タイミングが厳格になっても、正確な排出タイミングでNG排出部及び全排出部を動作させることができる。この結果、物品を高速搬送させても、所望の排出位置において正確に物品を排出することができる。
【0010】
本発明に係る物品検査装置において、前記OK排出部は、前記全排出部よりも前記物品の搬送方向下流に設けられていることが好ましい。
【0011】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、OK排出部が全排出部よりも搬送方向下流に設けられているので、OK排出部に搬送される前にNG排出部及び全排出部によってOK品以外の物品を排除することができる。このため、OK品回収部にOK品以外の物品が混入してしまうことを防止できる。
【0012】
本発明に係る物品検査装置は、前記全排出部よりも前記物品の搬送方向下流に配置された第3の物品検知センサと、前記第3の物品検知センサよりも前記物品の搬送方向下流に設けられ、前記物品の搬送経路を常時遮断するとともに、前記検査部によりOK品と判定された物品が前記搬送経路を通過するときのみ前記搬送経路を開放するゲートと、を更に備え、前記制御部は、前記第3の物品検知センサの検知結果に基づき、前記ゲートによる開放タイミングを制御することが好ましい。
【0013】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、第3の物品検知センサの検知結果に基づき、OK品の物品が搬送経路を通過するときのみ搬送経路を開放するゲートによる開放タイミングを制御するので、OK品の物品のみをゲートの搬送方向下流に通過させることができる。このため、OK品回収部にOK品以外の物品が混入してしまうことを防止できる。
【0014】
本発明に係る物品検査装置は、前記OK排出部よりも前記物品の搬送方向上流であって前記ゲートよりも前記物品の搬送方向下流に配置された第4の物品検知センサを更に備え、前記制御部は、前記第1の物品検知センサ、前記第2の物品検知センサ、前記第3の物品検知センサ及び前記第4の物品検知センサのいずれかにおいて、物品検知の異常が複数回連続で発生、又は一定時間内に複数回発生した場合に、前記排出タイミング及び前記開放タイミングの少なくとも一方の変更を促す通知、又は前記NG排出部、前記全排出部及び前記ゲートの少なくともいずれかが故障である旨の通知を行うことが好ましい。
【0015】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、各センサのいずれかにおいて物品検知の異常が複数回連続で発生、又は一定時間内に複数回発生した場合に、排出タイミング及び開放タイミングの少なくとも一方の変更を促す通知、又はNG排出部、全排出部及びゲートの少なくともいずれかが故障である旨の通知を行うので、ユーザに適切な対応を促すことができる。
【0016】
本発明に係る物品検査装置は、前記OK排出部よりも前記物品の搬送方向上流であって前記ゲートよりも前記物品の搬送方向下流に配置された第4の物品検知センサを更に備え、前記制御部は、調整用の物品サンプルを搬送させたときの前記第1の物品検知センサ、前記第2の物品検知センサ、前記第3の物品検知センサ及び前記第4の物品検知センサによる当該物品サンプルの検知状況に基づき、前記排出タイミング及び前記開放タイミングの少なくとも一方を自動で調整することが好ましい。
【0017】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、調整用の物品サンプルを搬送させたときの第1の物品検知センサ、第2の物品検知センサ、第3の物品検知センサ及び第4の物品検知センサによる当該物品サンプルの検知状況に基づき、排出タイミング及び開放タイミングの少なくとも一方を自動で調整するので、ユーザによる調整の手間を省くことができ、利便性が高まる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、物品を高速搬送させても、所望の排出位置において正確に物品を排出することができる物品検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の概略平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の供給部及び搬送部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の供給部及び搬送部を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の1列規制ガイドを示す拡大平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の供給部及び搬送部を
図2とは別方向から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の1列規制ガイドを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置のリターン機構の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置のリターン機構の変形例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置のガイド部及び検査部の概略構成図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置のガイド部の断面図であって、(a)は
図9における(a)-(a)矢視断面図、(b)は
図9における(b)-(b)矢視断面図、(c)は
図9における(c)-(c)矢視断面図をそれぞれ示している。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置における錠剤の良否判定から排出までの遷移を示すタイムチャートの一例である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置におけるビューア表示画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置における調整パラメータを説明するタイムチャートの一例である。
【
図15】
図15は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置における調整パラメータを説明するタイムチャートの一例であって、
図14と別パターンの検知タイミング補正時間を設定した例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置における第1の排出パターンに対応したビューア表示画面を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置における第2の排出パターンに対応したビューア表示画面を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置における第3の排出パターンに対応したビューア表示画面を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置のビューア表示画面の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る物品検査装置について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る物品検査装置1は、検査対象の物品を整列して単品搬送させながら所定の検査位置で光を照射し、この光の照射に伴って物品を透過した光の分光特性に基づいて物品の品質を検査する。
【0022】
検査対象である物品は、光の照射領域が検査対象の物品に光を照射する照射口の径に比較的近い小径の物品であり、非包装で単品搬送が可能な外径φ:数mm~数十mmの物品、一口サイズの物品の他、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された所定形状の物品や成形品、特に搬送過程で形が変化しない物品を含む。
【0023】
該当する物品としては、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ドロップ剤などの製剤、飴、チョコレートなどがある。以下、検査対象の物品として、平面視で円形とされ、その直径に比して高さ(厚さ)の小さい側面視が略円柱状であって厚さ方向の両端面が曲面形状の錠剤Wを例にとって説明する。本実施形態の錠剤Wは、物品を構成する。なお、検査対象の物品としては、平面視で円形に限らず、楕円形状や多角形状等、種々の形状の物品を適用可能である。
【0024】
物品検査装置1は、供給部2と、搬送部3と、検査部4と、ガイド部5と、を含んで構成されている。
【0025】
(供給部)
図2に示すように、供給部2は、回転する深皿状の供給容器20と、供給容器20の内方に回転自在に設けられ、供給容器20と別の駆動源で回転する円形の回転円板21と、を有する無振動タイプの回転式パーツフィーダとして構成されている。回転円板21の回転方向は、供給容器20の回転方向A(
図1参照)と同一である。供給部2は、図示しない基台を介して本体フレーム(不図示)に支持されている。
【0026】
供給容器20は、上面が開放され、上面から下方に向かって断面積が漸次小さくなる円形形状に形成されており、上面の開口端部に、錠剤Wの供給経路となる環状供給部22が形成されている。環状供給部22は、回転しながら錠剤Wを吸着位置P1に搬送するものである。
【0027】
回転円板21は、供給容器20の回転中心軸と異なる回転中心軸で回転するよう構成されており、供給容器20の内部に傾斜して配置されている。具体的には、回転円板21は、傾斜方向の上端部が供給容器20の上端すなわち環状供給部22に対峙し、傾斜方向の下端部が上端部とは180°反対側の位置において供給容器20の下方に位置するように、供給容器20の内部に配置されている。回転円板21は、回転することによって供給容器20内の錠剤Wを環状供給部22に供給するものである。
【0028】
図1に示すように、供給容器20には、錠剤投入部6から錠剤Wが供給されるようになっている。錠剤投入部6は、例えば、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された成形品の錠剤Wが投入される図示しないホッパ等の容器と、容器内に蓄積された錠剤Wを供給容器20に供給する供給シュート61と、を含んで構成されている。
【0029】
錠剤投入部6は、ホッパ等の容器を有さず、検査工程の前工程から直接、搬送された錠剤Wを供給シュート61から供給容器20に供給する構成であってもよい。
【0030】
供給部2において、錠剤投入部6から供給容器20に錠剤Wを投入しつつ、供給容器20と回転円板21とを同方向に同速度でそれぞれ回転させると回転円板21の最も低い部分(傾斜方向の下端部側)に落下した錠剤Wは、回転円板21の回転に伴い、回転円板21の最も高い部分(傾斜方向の上端部側)まで移動し、環状供給部22に載る。なお、供給容器20と回転円板21の回転速度は、同一速度でなくてもよい。
【0031】
環状供給部22に載った錠剤Wは、供給容器20の回転に伴って周方向に整列しながら移動し、吸着位置P1に送られる。吸着位置P1は、供給部2から搬送部3に錠剤Wを受け渡す位置である。吸着位置P1に送られた錠剤Wは、搬送部3において回転する搬送ディスク30に吸着される。
【0032】
環状供給部22には、リターンガイド24と、1列規制ガイド25と、が設けられている。本実施形態において、リターンガイド24と1列規制ガイド25とは別体で構成されているが、一体に構成されていてもよい。
【0033】
リターンガイド24及び1列規制ガイド25は、図示しない基台に回転不能に固定されている。このため、供給容器20が回転する一方で、リターンガイド24及び1列規制ガイド25は回転しないように構成されている。
【0034】
図2及び
図3に示すように、リターンガイド24は、環状供給部22の径方向の外方に設けられ、かつ環状供給部22の周方向において回転円板21の傾斜方向の上端部と対向する側に配置されている。さらに、リターンガイド24は、環状供給部22の周方向に沿って環状供給部22を囲むようにして1/4周程度、連続して設けられている。リターンガイド24の周方向の長さは、本実施形態に示した長さに限定されるものではなく、供給部2の仕様等に応じて適宜最適な長さに設定される。
【0035】
リターンガイド24は、環状供給部22に沿って弧状に形成された内周壁24aを有する。リターンガイド24は、回転円板21上を上端部に向かって上昇してくる錠剤Wが供給容器20の外部に飛び出さないように内周壁24aによって規制するガイドである。
【0036】
1列規制ガイド25は、供給部2から吸着位置P1に供給される錠剤Wをガイドするものであって、環状供給部22の径方向の外方に設けられ、かつ環状供給部22の周方向にリターンガイド24と隣接して配置されている。さらに、1列規制ガイド25は、吸着位置P1から環状供給部22の周方向に環状供給部22を囲むようにして半周程度、連続して設けられている。1列規制ガイド25の周方向の長さは、本実施形態に示した長さに限定されるものではなく、供給部2の仕様等に応じて適宜最適な長さに設定される。
【0037】
1列規制ガイド25は、環状供給部22に沿って弧状に形成された内周壁25aを有する。1列規制ガイド25は、環状供給部22の径方向(周方向に直交する水平方向)の幅を、錠剤Wが径方向に2つ並ばないような幅に規制している。例えば、1列規制ガイド25は、環状供給部22の径方向の幅が錠剤Wの径方向の幅と同程度の幅となるように設けられている。これにより、環状供給部22に乗った錠剤Wが1列に整列するようになっている。また、内周壁25aは、吸着位置P1側の先端25cが吸着位置P1の直前に位置するように設けられている。つまり、内周壁25aは、吸着位置P1の直前まで延在している。これにより、吸着位置P1まで距離がある段階で搬送ディスク30に吸着してしまうことを防止でき、吸着位置P1の手前で早期に吸着されることによる錠剤Wの姿勢が悪化してしまうといった事態を防止することができる。
【0038】
図4から
図6に示すように、1列規制ガイド25は、吸着位置P1側の内周壁25aの上部には、環状供給部22との間に上下方向に所定の高さH0(
図6(b)参照)を確保しつつ、吸着位置P1に向かうに従い徐々に内周壁25aよりも径方向の内方にせり出す、せり出し部25bが形成されている。
【0039】
せり出し部25bは、例えば、吸着位置P1に向かうに従い徐々に回転円板21の回転中心に近づくようにカーブした形状に形成されている。なお、せり出し部25bは、吸着位置P1に向かうに従い徐々に内周壁25aよりも径方向の内方にせり出す形状であれば、いずれの形状であってもよく、例えば直線状に形成されていてもよい。
【0040】
せり出し部25bの環状供給部22からの高さH0は、円柱状の軸線が鉛直方向と平行となる姿勢の錠剤Wの厚さに僅かなマージンを加えた程度の寸法に設定されている。これにより、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、回転円板21から環状供給部22に載った錠剤Wのうち、厚さ方向が水平となるように起立した錠剤Wや、厚さ方向が水平面に垂直な状態の錠剤Wに少なくとも一部が重なった錠剤Wなど、適正な状態で環状供給部22に載っていない錠剤Wが1列規制ガイド25によって排除される。本実施形態では、厚さ方向が水平面に垂直な状態で環状供給部22に載った錠剤Wを、適正な状態で環状供給部22に載った錠剤Wと定義する。
図6(a)及び
図6(b)は、弧状の1列規制ガイド25を直線状に展開した概略図である。
【0041】
具体的には、回転円板21から環状供給部22に載った錠剤Wが1列規制ガイド25に沿って吸着位置P1側に向かって進むにつれて、適正な状態で環状供給部22に載った錠剤Wはせり出し部25bと環状供給部22との間を遠心力によって内周壁25aに沿って吸着位置P1側に移動する一方、適正な状態で環状供給部22に載っていない錠剤Wは、せり出し部25bによって径方向の内方に押し出される。押し出された錠剤Wは、供給容器20内に戻される。1列規制ガイド25は、錠剤Wを径方向の内方に押し出すように機能するため、錠剤の噛み込みや詰まりを生じさせないようになっている。なお、1列規制ガイド25は、錠剤Wが内周壁25aに沿って移動するため、内周壁25aでの摩擦が少ないほうが望ましい。そこで、1列規制ガイド25は、例えば、摩擦係数の低い素材から構成されていたり、摩擦係数が低くなるような加工が施されていたりしてもよい。
【0042】
このように、1列規制ガイド25は、供給部2から吸着位置P1に供給される錠剤Wを一列に規制するとともに、吸着位置P1に供給される錠剤Wの高さを所定の高さH0に規制する。なお、1列規制ガイド25は、検査対象の高さ(厚み)に応じて、図示しない調節機構によって高さ方向の位置を調節可能に構成されている。すなわち、1列規制ガイド25は、検査対象の高さ(厚み)に応じて、せり出し部25bの環状供給部22からの高さH0を変更可能に構成されている。
【0043】
図5に示すように、吸着位置P1の上方には、リターン機構27が設けられている。リターン機構27は、ブラケットなどを介して図示しない基台に支持されている。
【0044】
リターン機構27は、吸着位置P1において吸着不良の錠剤Wを供給容器20内に戻すための機構であって、本実施形態ではエアブロー装置によって構成されている。吸着不良としては、例えば、1つの吸着穴32に複数の錠剤Wが吸着してしまっている場合、吸着穴32との間に大きな隙間を生じさせて錠剤Wが吸着してしまっている場合や、吸着穴32に吸着された錠剤W間に他の錠剤Wが挟まってしまっている場合等がある。
【0045】
図5及び
図7に示すように、リターン機構27は、吸着位置P1側に向けて開口した複数のエア吹き出し穴27aからエアを吹き出すことで、吸着不良の錠剤Wを供給容器20内に戻すようになっている。リターン機構27のエアの圧力は、吸着不良の錠剤Wを吹き飛ばすことができ、かつ、正常に吸着した錠剤Wが搬送ディスク30の吸着穴32から外れてしまうことのない圧力に設定される。より好ましくは、吸着不良の錠剤Wを吹き飛ばすことができ、かつ、正常に吸着した錠剤Wが吸着穴32から外れることも大きく姿勢を崩すこともない圧力に設定される。「正常に吸着」とは、円柱状の軸線が鉛直方向と平行となる姿勢の錠剤Wの円柱部分の周面が吸着穴32を覆うように吸着している状態をいう。また、リターン機構27は、図示しない可変機構によって、錠剤Wに対するエアの吹き出し角度や、錠剤Wとの距離を変更できるようになっている。
【0046】
図8に示すように、リターン機構27は、吸着位置P1の近傍において搬送ディスク30の上方に配置されたエアノズル28と、搬送ディスク30の内部に形成されたエア通路29と、によって構成されてもよい。
【0047】
エアノズル28は、上方からエア通路29の入口に向けてエアを供給する。エア通路29は、入口が搬送ディスク30の上方に設けられ、出口が搬送ディスク30の周方向に並ぶ吸着穴32間に設けられている。これにより、
図8に示すリターン機構27は、エアノズル28から吹き出されたエアがエア通路29を通って搬送ディスク30の径方向の外方に向けて吹き出されることによって、吸着不良の錠剤Wを吹き飛ばすことができる。
【0048】
このように構成された供給部2が支持される図示しない基台は、本体フレーム(不図示)に移動自在に支持されている。このため、供給部2は、搬送部3に対する位置を調整可能に構成されている。例えば、供給部2は、基台を介して、上下に移動可能、かつ搬送部3に対して近接及び離間する方向に移動可能に構成されている。これにより、供給部2と搬送部3との位置関係を調整することで、錠剤Wを吸着穴32の中心に効率良く吸着させることができる。
【0049】
(搬送部)
図1に示すように、搬送部3は、図示しない本体フレームに回転可能かつ水平に支持された円板状の搬送ディスク30を備えている。搬送ディスク30は、駆動モータ30M(
図11参照)によって回転駆動するようになっている。搬送ディスク30は、錠剤Wを吸引保持して回転しながら検査位置P2に搬送するものであって、外周縁30aの全周に亘って吸着穴32が所定間隔で複数形成されている。
【0050】
搬送ディスク30の吸着穴32には、図示しない真空ポンプ等の吸引装置が接続されており、吸引装置が発生する負圧によって錠剤Wが吸着されるようになっている。これにより、搬送ディスク30は、錠剤Wを吸着穴32に吸着させながら回転搬送することができる。
【0051】
錠剤Wは、吸着位置P1において、厚さ方向が水平面に垂直な姿勢、つまり円柱状の軸線が鉛直方向と平行となる姿勢で搬送ディスク30に吸着保持され、その姿勢を維持したまま搬送ディスク30の回転とともに検査位置P2に向けて周方向に搬送される。
【0052】
このとき、錠剤Wは、吸着位置P1において円柱状の軸線が鉛直方向と平行となる姿勢で搬送ディスク30に吸着保持されるのが理想であるが、搬送ディスク30への吸着時に姿勢が変化し、円柱状の軸線が鉛直方向と平行となる姿勢とならないおそれがある。
【0053】
本実施形態では、こうした搬送ディスク30への吸着時の錠剤Wの姿勢変化を軽減するために、吸着位置P1から搬送方向下流に向けて所定の長さだけ延在する姿勢ガイド31が設けられている。
【0054】
図5に示すように、姿勢ガイド31は、搬送ディスク30の外周縁30aに沿うように弧状に形成され、搬送ディスク30によって搬送される錠剤Wの搬送経路の下方に配置されている。姿勢ガイド31は、搬送ディスク30の下方側から錠剤Wの下面に接触して錠剤Wの姿勢変化を軽減するようになっている。
【0055】
なお、本実施形態では、姿勢ガイド31を設けた例について説明するが、この姿勢ガイド31は設けられていなくてもよい。
【0056】
ここで、搬送部3における搬送方向とは、吸着位置P1において吸着された錠剤Wが進む方向、すなわち搬送ディスク30に吸着された錠剤Wが回転する方向のことを意味する。したがって、搬送方向下流とは、搬送ディスク30に吸着された錠剤Wが進む方向において下流側のことをいい、搬送方向上流とは、搬送ディスク30に吸着された錠剤Wが進む方向において上流側のことをいう。
【0057】
また、本実施形態では、吸着位置P1において吸着された錠剤Wが進む経路を搬送経路という。
【0058】
図1に示すように、搬送ディスク30の周囲には、錠剤Wの搬送経路に沿って搬送方向上流側から順に、吸着位置P1、検査位置P2、NG排出位置P3、全排出位置P4、OK排出位置P5が配置されている。検査位置P2には、後述する検査部4が配置されている。
【0059】
NG排出位置P3には、NG排出位置P3において排出された錠剤Wを回収するNG品回収部としてのNG回収ボックス71と、NG排出位置P3において錠剤WをNG回収ボックス71に排出するためのエアを吹き出すNG排出部としてのNGエアノズル72と、が配置されている。
【0060】
NGエアノズル72は、検査部4よりも錠剤Wの搬送方向下流に設けられ、検査部4の検査結果に応じて、エアを吹き出すことによって錠剤WをNG回収ボックス71に排出する。
【0061】
全排出位置P4には、全排出位置P4において排出された錠剤Wを回収する全排出回収部としての全排出回収ボックス73と、全排出位置P4において錠剤Wを全排出回収ボックス73に排出するためのエアを吹き出す全排出部としての全排出エアノズル74と、が配置されている。
【0062】
全排出エアノズル74は、NGエアノズル72よりも錠剤Wの搬送方向下流に設けられ、エアを吹き出すことによって全排出する錠剤Wを全排出回収ボックス73に排出する。
【0063】
全排出回収ボックス73は、物品検査装置1の運転開始時や、非常停止後の復帰動作後や、NG排出を失敗した錠剤Wなど、正常な検査ができなかった、または、排出を失敗した錠剤Wなどを回収するものである。
【0064】
全排出回収ボックス73の搬送方向上流側には、第2の物品検知センサとしての全排出検知センサ40が配置されている。全排出エアノズル74は、全排出検知センサ40によって錠剤Wが検知されると、その検知された錠剤Wが全排出位置P4に到達したタイミングで当該錠剤Wに対してエアを吹き出す。
【0065】
錠剤Wが全排出位置P4に到達したタイミングは、例えばロータリエンコーダを用いて検出される搬送ディスク30の回転角と、全排出検知センサ40の検知タイミングと、に基づき計ることができる。
【0066】
また、全排出エアノズル74の搬送方向下流側には、全排出されるべき錠剤Wが全排出回収ボックス73に排出されたか否かを監視するための第3の物品検知センサとしての排除失敗検知センサ41が配置されている。
【0067】
さらに、排除失敗検知センサ41の搬送方向下流側には、ゲートとしてのNG混入防止ゲート75が配置されている。NG混入防止ゲート75は、例えばエアシリンダ等のアクチュエータを駆動源とし、オフ状態では錠剤Wの搬送経路を遮断するよう搬送経路上に位置しており、搬送経路を常時遮断している。NG混入防止ゲート75は、検査部4によりOK品と判定された錠剤Wが搬送経路を通過するときのみ、オン状態に制御され搬送経路を開放する。このように、NG混入防止ゲート75は、OK品の錠剤Wのみを通過させるよう機能している。したがって、NG混入防止ゲート75にOK品以外の錠剤Wが搬送されてきた場合には、当該錠剤Wは、オフ状態のNG混入防止ゲート75によって強制的に搬送系外に排出される。NG混入防止ゲート75によって排出された錠剤Wは、搬送系外の全排出回収ボックス73に回収される。これにより、NG品の錠剤Wが誤ってOK品の錠剤WとしてOK回収ボックス76に回収されて次工程に進んでしまうことが防止される。
【0068】
OK排出位置P5には、OK排出位置P5において排出された錠剤Wを回収するOK品回収部としてのOK回収ボックス76と、OK排出位置P5において錠剤WをOK回収ボックス76に排出するためのエアを吹き出すOK排出部としてのOKエアノズル77と、が配置されている。
【0069】
OKエアノズル77は、検査部4よりも錠剤Wの搬送方向下流、詳細には全排出エアノズル74よりも錠剤Wの搬送方向下流に設けられ、検査部4の検査結果に応じて、エアを吹き出すことによって錠剤WをOK回収ボックス76に排出する。なお、OKエアノズル77は、錠剤Wを排出するタイミングでエアを吹き出すように間欠的に駆動されるのではなく、常時エアを吹き出すように連続的に駆動されてもよい。この場合、駆動系の早期摩耗を抑制することができる。また、本実施形態では、OKエアノズル77を用いた例について説明したが、これに限らず、OKエアノズル77に代えて例えばNG混入防止ゲート75のようなゲートを用いてもよい。
【0070】
搬送ディスク30は、検査対象の錠剤Wを、吸着位置P1から検査位置P2を経て、NG排出位置P3、全排出位置P4又はOK排出位置P5のいずれかに搬送し、これらNG排出位置P3、全排出位置P4又はOK排出位置P5のいずれかにおいてNG回収ボックス71、全排出回収ボックス73又はOK回収ボックス76に排出するものである。
【0071】
OK排出位置P5の搬送方向下流側には、OK排出ミス回収ボックス78が配置されている。OK排出ミス回収ボックス78には、OK排出位置P5においてOK回収ボックス76に排出し損ねた錠剤Wが回収される。
【0072】
(検査部)
検査部4は、検査位置P2において、搬送ディスク30を支持する本体フレームに取付けられている。検査部4は、検査位置P2にて、錠剤Wに対して光Lを照射することにより錠剤Wを検査するもので、具体的には錠剤Wの品質の良否判定を行う。
【0073】
検査部4の搬送方向上流には、錠剤検知センサ44が配置されている。検査部4は、錠剤検知センサ44によって錠剤Wが検知されると、その検知された錠剤Wが検査位置P2に到達したタイミングで当該錠剤Wに対して光Lを照射する。錠剤Wが検査位置P2に到達したタイミングは、搬送ディスク30の回転角と、錠剤検知センサ44の検知タイミングと、に基づき計ることができる。
【0074】
図9に示すように、検査部4は、搬送ディスク30によって搬送されてきた錠剤Wの分光特性を、光照射部42と光検出部43とから構成された光学センサによって非接触な状態で測定可能に構成されている。検査部4は、測定した分光特性に基づき、錠剤Wの品質、規格範囲内か否か等の良否(OK品又はNG品)判定を行うようになっている。本実施形態では、規格範囲内の錠剤Wを「OK品」とし、規格範囲外の錠剤Wを「NG品」とする。
【0075】
検査部4の良否判定により「OK品」と判定された錠剤Wは、OK排出位置P5に到達したタイミングでOK回収ボックス76に排出される。OK排出位置P5の搬送方向上流には、OK排出位置P5に向けて搬送されてくる錠剤Wを検出する第4の物品検知センサとしてのOK検知センサ45が配置されている。OKエアノズル77は、OK検知センサ45の検知タイミングと搬送ディスク30の回転角とに基づき、錠剤WがOK排出位置P5に到達したタイミングでエアを吹き出す。
【0076】
検査部4の良否判定により「NG品」と判定された錠剤Wは、NG排出位置P3に到達したタイミングでNG回収ボックス71に排出される。NG排出位置P3の搬送方向上流であって検査位置P2よりも搬送方向下流には、NG排出位置P3に向けて搬送されてくる錠剤Wを検出する第1の物品検知センサとしてのNG検知センサ46が配置されている。NGエアノズル72は、NG検知センサ46の検知タイミングと搬送ディスク30の回転角とに基づき、錠剤WがNG排出位置P3に到達したタイミングでエアを吹き出す。
【0077】
ここで、例えば検査部4において検査される錠剤Wの姿勢や位置が最適な検査時の姿勢や位置に維持されていなかったり、錠剤ごとにばらついたりすると、検査部4における検査の精度が低下してしまう。
【0078】
本実施形態では、検査部4における検査の精度を向上させるために、検査部4に搬送される各錠剤Wの姿勢や位置を安定させ、各錠剤Wを常に同じ位置、同じ姿勢で、望ましくは後述する正規の吸着位置及び正規の姿勢で、検査部4に搬送するガイド部5を設けた。
【0079】
(ガイド部)
図1に示すように、ガイド部5は、錠剤Wの搬送経路に沿って吸着位置P1と検査位置P2との間に設けられており、検査位置P2に搬送される錠剤Wをガイドするものである。
【0080】
ガイド部5は、第1のガイド11と、第2のガイド12と、第3のガイド13を、を含んで構成されている。これら第1のガイド11、第2のガイド12及び第3のガイド13は、図示しない本体フレームに回転不能に支持されている。
【0081】
本実施形態では、錠剤Wの搬送経路に沿って搬送方向上流側から第1のガイド11、第2のガイド12、第3のガイド13の順に配置されている。第1のガイド11、第2のガイド12及び第3のガイド13は、いずれも平面視で錠剤Wの搬送経路に沿うように弧状に形成されている。
【0082】
図5に示すように、第1のガイド11は、錠剤Wに上方から接する第1の上ガイド片51と、錠剤Wの搬送経路を挟んで第1の上ガイド片51と対向するように配置された第1の下ガイド片52と、を有している。
【0083】
図9に示すように、第1の上ガイド片51の搬送経路側には、錠剤Wに接するガイド面51aが形成されている。第1の下ガイド片52の搬送経路側には、ガイド面52aが形成されている。
図9は、円板状の搬送ディスク30と、弧状の第1のガイド11、第2のガイド12及び第3のガイド13とを直線状に展開した概略図である。
【0084】
第1のガイド11において、搬送方向上流側の端部を第1のガイド11の入口11Aとし、搬送方向下流側の端部を第1のガイド11の出口11Bとする。第2のガイド12において、搬送方向上流側の端部を第2のガイド12の入口12Aとし、搬送方向下流側の端部を第2のガイド12の出口12Bとする。
【0085】
ガイド面51aとガイド面52aとは、錠剤Wの搬送方向上流側から搬送方向下流側に向けて互いの間隔が狭くなるよう、それぞれ傾斜している。
【0086】
換言すれば、ガイド面51aとガイド面52aとは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かうに従い徐々に搬送経路に近接するように傾斜している。さらに、ガイド面51aとガイド面52aとは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって緩やかにカーブした形状をなしている。このため、ガイド面51aとガイド面52aとは、搬送方向下流側に向かうに従い傾斜が緩くなるように形成されている。
【0087】
したがって、第1のガイド11は、入口11Aが上下方向に幅広で、出口11Bが入口11Aよりも上下方向に幅狭となるよう構成されている。第2のガイド12も、入口12Aが上下方向に幅広で、出口12Bが入口12Aよりも上下方向に幅狭となるよう構成されている。
【0088】
本実施形態では、第1のガイド11の入口11Aの上下方向の幅H1と第2のガイド12の入口12Aの上下方向の幅H3とは、同一幅に設定されている。
【0089】
また、第1のガイド11の出口11Bの上下方向の幅H2と第2のガイド12の出口12Bの上下方向の幅H4とは、同一幅に設定されている。幅H2及び幅H4は、錠剤Wの厚さ、つまり円柱状の軸線方向における錠剤Wの長さよりも、僅かに大きく設定されている。
【0090】
なお、各ガイドの入口及び出口の上下方向の幅は、上ガイド片と下ガイド片との位置を調整することで変更可能であり、検査対象の種類や寸法等に応じて適宜変更可能である。
【0091】
本実施形態では、第1のガイド11の出口11Bが第2のガイド12の出口12Bよりも下方に位置している。具体的には、第1のガイド11の出口11Bは、出口11Bの上下方向の中心が各吸着穴32の中心を結ぶ中心線Oよりも下方に位置するように配置されている。つまり、出口11Bは、中心線Oに対して下方に偏った位置に配置されている。
【0092】
このように第1のガイド11の出口11Bが配置されているため、錠剤Wは、第1のガイド11によってガイドされる際、第1の上ガイド片51のガイド面51aに接しつつ搬送方向下流側に移動する。
【0093】
これにより、第1のガイド11によってガイドされる錠剤Wは、第1の上ガイド片51によって搬送方向下流側に向かうに従い徐々に押し下げられ、出口11Bの通過時に、上下方向の中心が中心線Oよりも下方にずれた位置となるまで押し下げられることになる。
【0094】
第1の下ガイド片52は、第1の上ガイド片51によって押し下げられる錠剤Wが下方に行き過ぎてしまうことを防止したり、出口11Bにおいて錠剤Wが中心線Oに対して斜めになる等、大きく姿勢が崩れてしまうことを防止したりする。
【0095】
図5に示すように、第2のガイド12は、錠剤Wに下方から接する第2の下ガイド片53と、錠剤Wの搬送経路を挟んで第2の下ガイド片53と対向するように配置された第2の上ガイド片54と、を有している。
【0096】
図9に示すように、第2の下ガイド片53の搬送経路側には、錠剤Wに接するガイド面53aが形成されている。第2の上ガイド片54の搬送経路側には、ガイド面54aが形成されている。
【0097】
ガイド面53aとガイド面54aとは、錠剤Wの搬送方向上流側から搬送方向下流側に向けて互いの間隔が狭くなるよう、それぞれ傾斜している。
【0098】
換言すれば、ガイド面53aとガイド面54aとは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かうに従い徐々に搬送経路に近接するように傾斜している。さらに、ガイド面53aとガイド面54aとは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって緩やかにカーブした形状をなしている。このため、ガイド面53aとガイド面54aとは、搬送方向下流側に向かうに従い傾斜が緩くなるように形成されている。
【0099】
本実施形態では、第2のガイド12の出口12Bが第1のガイド11の出口11Bよりも上方であって、かつ、出口12Bの上下方向の中心が中心線Oよりも上方に位置するように配置されている。すなわち、出口12Bは、錠剤Wの厚さと出口12Bの上下方向の幅H4との差分の1/2だけ上下方向の中心が中心線Oよりも上方に位置するように配置されている。
【0100】
このように第2のガイド12の出口12Bが配置されているため、錠剤Wは、第2のガイド12によってガイドされる際、第2の下ガイド片53のガイド面53aに接しつつ搬送方向下流側に移動する。
【0101】
これにより、第2のガイド12によってガイドされる錠剤Wは、第2の下ガイド片53によって搬送方向下流側に向かうに従い徐々に押し上げられ、出口12Bの通過時に、錠剤Wの上下方向の中心が中心線Oに一致する正規の吸着位置となるまで押し上げられることになる。
【0102】
正規の吸着位置においては、吸着穴32との間に隙間なく、または姿勢が大きく崩れる程の隙間を生じさせることなく、錠剤Wが吸着穴32に吸着される。このため、正規の吸着位置で錠剤Wが吸着している場合には、錠剤Wの姿勢が安定しやすいうえに、その位置も維持しやすい。
【0103】
さらに、錠剤Wは、第2のガイド12を通過した時点において正規の姿勢に制御される。正規の姿勢とは、錠剤Wの円柱状の軸線が鉛直方向と平行となるときの錠剤Wの姿勢をいう。より確実に正規の姿勢を実現できるように、例えば、第2の下ガイド片53の搬送方向下流側のガイド面53aを水平に形成してもよい。
【0104】
第2の上ガイド片54は、第2の下ガイド片53によって押し上げられる錠剤Wが上方に行き過ぎてしまうことを防止したり、出口12Bにおいて錠剤Wが中心線Oに対して斜めになる等、大きく姿勢が崩れてしまうことを防止したりする。
【0105】
本実施形態では、錠剤Wの上下方向の中心が中心線Oに一致する位置を正規の吸着位置としたため、出口11B及び出口12Bの配置を上述のように設定したが、正規の吸着位置が本実施形態と異なる場合には、これに合わせて出口11B及び出口12Bの配置も変更になる。この場合、出口11Bの通過時に錠剤Wを正規の吸着位置より下方となるように押し下げ、かつ、この押し下げられた錠剤Wを出口12Bの通過時に正規の吸着位置まで押し上げることができるような出口11B及び出口12Bの配置であればよい。
【0106】
なお、上述のガイド面51a、ガイド面52a、ガイド面53a及びガイド面54aのカーブは、例えば、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かうに従い曲率が小さくなる湾曲形状をなしている。また、上述のガイド面51a、ガイド面52a、ガイド面53a及びガイド面54aは、完全なカーブ面でなく、角度の異なる複数の平面を連続的に形成してカーブ面相当を実現する形状であってもよい。
【0107】
図5に示すように、第3のガイド13は、第1のガイド11及び第2のガイド12よりも検査位置P2側であって錠剤Wの搬送経路の下方に配置された単一のガイド片からなる。
【0108】
図9に示すように、第3のガイド13の搬送経路側には、錠剤Wの搬送方向上流側において下方から錠剤Wに接するガイド面13aが形成されている。当該ガイド面13aは、錠剤Wの搬送方向下流側に向かうに従い徐々に錠剤Wから離隔するように傾斜している。
【0109】
第3のガイド13は、ガイド面13aの搬送方向上流側の端部の高さが第2の下ガイド片53のガイド面53aの搬送方向下流側の端部の高さと一致するように、配置されている。これにより、第2のガイド12の出口12Bを通過した錠剤Wが、正規の吸着位置及び正規の姿勢を維持したまま第3のガイド13に移動する。
【0110】
第3のガイド13に移動した錠剤Wは、搬送方向下流に向かうに従いガイド面13aから徐々に離隔していくので、正規の吸着位置及び正規の姿勢が維持されやすい。第3のガイド13を通過した錠剤Wは、正規の吸着位置及び正規の姿勢を維持した状態で、検査部4に搬送される。
【0111】
ここで、仮に第3のガイド13が設けられていないとした場合、第2のガイド12の出口12Bを通過した錠剤Wは下方からの支えを突然失うことになる。このとき、錠剤Wが搬送ディスク30の吸着穴32に対して例えば搬送方向下流側に偏った隙間を生じさせた状態で吸着していた場合には、錠剤Wが第2のガイド12の支えを突然失うと、偏った隙間を解消しようとして錠剤Wが進行方向に回転してしまう。
【0112】
本実施形態では、上述したように、錠剤Wが第2のガイド12の出口12Bの通過後に突然、支えを失うことなく、第3のガイド13によってガイドされるので、進行方向に錠剤Wが回転してしまうことが抑制される。さらに、その後も、第3のガイド13によって錠剤Wの支えが徐々に解除されてゆくので、突然、支えが失われることがない。
【0113】
上述した第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13は、それぞれの取付位置が調整機構50(
図11参照)によって調整可能に構成されている。調整機構50は、例えば、モータ等を駆動源とする、ラックアンドピニオン機構やボールねじ等の直動機構によって構成されている。なお、前述の各ガイド片及びガイドは、その取付位置を手動で調整可能な構成であってもよい。
【0114】
次に、
図10を参照して、第1のガイド11、第2のガイド12及び第3のガイド13の各ガイド面の断面について、説明する。
図10(a)は第1のガイド11の断面、
図10(b)は第2のガイド12の断面、
図10(c)は第3のガイド13の断面をそれぞれ示している。
【0115】
図10(a)に示すように、第1の上ガイド片51のガイド面51aは、錠剤Wの搬送経路に直交する断面の形状が、第1の上ガイド片51の内方に窪んだV溝を有するV溝状に形成されている。このため、ガイド面51aは、錠剤Wに対して1点又は2点以上で接触しつつ、錠剤Wをガイドすることが可能となる。また、錠剤Wが本実施形態のように曲面を有する場合には、V溝状のガイド面51aが曲面に沿うようにして接触する。
【0116】
本実施形態においては、ガイド面51aのV溝の最深部であるV溝の頂点が錠剤Wの円柱状の軸線上に一致するように、ガイド面51aが配置されていることが好ましい。
【0117】
第1の下ガイド片52のガイド面52aは、錠剤Wの搬送経路に直交する断面の形状が、第1の下ガイド片52の内方に窪んだV溝状に形成されている。このため、ガイド面52aは、錠剤Wに対して1点又は2点以上で接触することが可能となる。また、錠剤Wが本実施形態のように曲面を有する場合には、V溝状のガイド面52aが曲面に沿うようにして接触することが可能である。
【0118】
本実施形態においては、ガイド面52aのV溝の頂点が錠剤Wの円柱状の軸線上に一致するように、ガイド面52aが配置されていることが好ましい。
【0119】
図10(b)に示すように、第2の下ガイド片53のガイド面53aは、錠剤Wの搬送経路に直交する断面の形状が、第2の下ガイド片53の内方に窪んだV溝状に形成されている。このため、ガイド面53aは、錠剤Wに対して1点又は2点以上で接触しつつ、錠剤Wをガイドすることが可能となる。また、錠剤Wが本実施形態のように曲面を有する場合には、V溝状のガイド面53aが曲面に沿うようにして接触する。
【0120】
本実施形態においては、ガイド面53aのV溝の頂点が錠剤Wの円柱状の軸線上に一致するように、ガイド面53aが配置されていることが好ましい。
【0121】
第2の上ガイド片54のガイド面54aは、平面状に形成されており、水平方向の幅が第2の下ガイド片53の水平方向の幅よりも小さく形成されている。
【0122】
本実施形態において、ガイド面54aは、錠剤Wの円柱状の軸線よりも搬送ディスク30の径方向外方側に配置されている。このように、ガイド面54aは、錠剤Wの円柱状の軸線よりも搬送ディスク30の吸着穴32から離れた位置で錠剤Wに接触可能に構成されているので、錠剤Wの回転を最小限に抑えることができる。
【0123】
例えば、錠剤Wの吸着穴32から最も離れた側(
図10中、右側)が上方に移動するように、吸着穴32に吸着されている錠剤Wが傾こうとする場合、すなわち
図10中、反時計周りに回転しようとする場合、ガイド面54aによって当該回転が抑えられる。
【0124】
図10(c)に示すように、第3のガイド13のガイド面13aは、平面状に形成されており、水平方向の幅が第2の下ガイド片53の水平方向の幅よりも小さく形成されている。
【0125】
本実施形態において、ガイド面13aは、水平方向の幅の中心が錠剤Wの円柱状の軸線上に一致するように配置されている。これにより、ガイド面13aは、第3のガイド13の搬送方向上流側において錠剤Wの下面の中央付近に接触することができる。
【0126】
本実施形態において、第1のガイド11と第2のガイド12と第3のガイド13とは、それぞれ別体で構成されている。なお、第1のガイド11と第2のガイド12と第3のガイド13とが一体に形成されていてもよいし、搬送方向に隣り合う2つのガイド同士が一体に形成されていてもよい。また、第1の上ガイド片51と第2の上ガイド片54とが一体に形成され、第1の下ガイド片52と第2の下ガイド片53と第3のガイド13とが一体に形成される構成であってもよい。
【0127】
また、本実施形態において、NG排出位置P3の直前には、搬送されてくる錠剤Wを下方に押し下げるガイドが設けられていてもよい。この場合、錠剤Wの吸着位置が吸着穴32の中心から下方にずれるため、吸着穴32に対する錠剤Wの吸着力が低下し、NGエアノズル72のエアの圧力を高めなくとも確実に錠剤Wの吸着を解除することができる。
【0128】
(電気的構成)
次に、
図11を参照して、本実施形態に係る物品検査装置1の電気的構成について説明する。
【0129】
図11に示すように、本実施形態に係る物品検査装置1は、物品検査装置1の統括的な制御を行う制御部100を備えている。
【0130】
制御部100は、少なくとも、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0131】
制御部100には、上述した錠剤検知センサ44、NG検知センサ46、全排出検知センサ40、排除失敗検知センサ41及びOK検知センサ45等の各種センサ類が接続されている。
【0132】
制御部100には、上述した検査部4、リターン機構27、NGエアノズル72、全排出エアノズル74、NG混入防止ゲート75、OKエアノズル77、駆動モータ30M及び調整機構50に加えて、表示部120等の各種機器が接続されている。
【0133】
制御部100は、検査部4の良否判定の結果を測定データとして錠剤Wごとに記憶する記憶部101を有している。制御部100は、錠剤Wを個別に識別可能な識別情報、例えば管理番号を前述の各測定データに連番で付与した上で、各測定データを記憶部101に記憶する。この測定データが記憶されたタイミングで、各錠剤Wの管理が開始される。
【0134】
本実施形態では、制御部100は、前述の各錠剤Wの管理として、検査部4の判定結果に加えて、錠剤Wがどこで排出されたかを示す排出結果などの情報を各測定データに紐づけて記憶部101に記憶するようになっている。
【0135】
また、記憶部101に記憶された各測定データは、後述する表示部120での操作に応じて読み出し可能に構成されている。これにより、各錠剤Wの測定データを管理番号によって追跡可能になっている。
【0136】
また、記憶部101には、検査対象ごとに、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13の取付位置が記憶されるようになっている。制御部100は、例えば、検査対象ごとにユーザによって指定された前述の各ガイド片及び第3のガイド13の最適な取付位置を記憶部101に記憶する。なお、記憶部101には、検査対象ごとに最適な取付位置として定められた前述の各ガイド片及び第3のガイド13の取付位置が予め記憶されていてもよい。
【0137】
表示部120は、例えばタッチパネル式の表示器によって構成されている。表示部120は、後述するビューア表示画面の他、各種情報などを表示する表示機能を有するとともに、ユーザからの操作を受け付ける入力部としての機能を有する。ユーザの操作としては、例えば各種設定操作、運転操作、選択操作などがある。
【0138】
表示部120における各種設定操作としては、例えば、検査対象の形状や寸法等を入力する入力操作や、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13の取付位置を設定する設定操作等がある。
【0139】
したがって、表示部120は、ユーザが検査対象の形状や寸法等を入力する入力部としての機能を有している。入力可能な検査対象の情報としては、形状や寸法に限られない。さらに、表示部120は、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13の取付位置を設定する設定操作を受け付け可能に構成されている。
【0140】
また、表示部120には、ユーザによって入力された検査対象の形状や寸法等に適した、第1のガイド11、第2のガイド12、第3のガイド13の指示が表示されるようになっている。これにより、検査対象に応じた最適な形状、寸法のガイドがユーザに報知される。
【0141】
また、表示部120には、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13の取付位置の推奨値が表示されるようになっている。
【0142】
制御部100は、NG検知センサ46の検知結果に基づき、NGエアノズル72による錠剤Wの排出タイミングを制御するようになっている。すなわち、制御部100は、検査部4でNG品と判定された錠剤WがNG検知センサ46に検知されたことを契機に、当該錠剤WがNG排出位置P3に到達したタイミングでエアを吹き出すようにNGエアノズル72を制御する。
【0143】
制御部100は、全排出検知センサ40の検知結果に基づき、全排出エアノズル74による錠剤Wの排出タイミングを制御するようになっている。すなわち、制御部100は、例えばNG排出を失敗した錠剤Wなどの全排出すべき錠剤Wが全排出検知センサ40に検知されたことを契機に、当該錠剤Wが全排出位置P4に到達したタイミングでエアを吹き出すように全排出エアノズル74を制御する。
【0144】
制御部100は、排除失敗検知センサ41の検知結果に基づき、NG混入防止ゲート75による搬送経路の開放タイミングを制御するようになっている。すなわち、制御部100は、OK品の錠剤Wが排除失敗検知センサ41に検知されたことを契機に、当該錠剤WがNG混入防止ゲート75を通過するタイミングで、NG混入防止ゲート75が搬送経路の開放する位置に移動するようにNG混入防止ゲート75を制御する。
【0145】
制御部100は、OK検知センサ45の検知結果に基づき、OKエアノズル77による錠剤Wの排出タイミングを制御するようになっている。すなわち、制御部100は、検査部4でOK品と判定された錠剤WがOK検知センサ45に検知されたことを契機に、当該錠剤WがOK排出位置P5に到達したタイミングでエアを吹き出すようにOKエアノズル77を制御する。
【0146】
制御部100は、NG検知センサ46、全排出検知センサ40、排除失敗検知センサ41及びOK検知センサ45のいずれかにおいて、物品検知の異常が複数回連続で発生した場合に、前述の排出タイミング及び開放タイミングの少なくとも一方の変更を促す通知を行う。当該通知は、例えば表示部120を介して行われる。
【0147】
「物品検知の異常」としては、NG検知センサ46、全排出検知センサ40及び排除失敗検知センサ41にあっては異常なタイミング、例えば後述する物品監視信号の出力中でないタイミングで錠剤Wを検知したり、OK検知センサ45にあっては例えば後述する物品監視信号の出力中に錠剤Wを検知できなかったりした場合などが挙げられる。
【0148】
また、制御部100は、NG検知センサ46、全排出検知センサ40、排除失敗検知センサ41及びOK検知センサ45のいずれかにおいて、物品検知の異常が一定時間内に複数回発生した場合に、前述の排出タイミング及び開放タイミングの少なくとも一方の変更を促す通知を行うようにしてもよい。
【0149】
さらに、制御部100は、NG検知センサ46、全排出検知センサ40、排除失敗検知センサ41及びOK検知センサ45のいずれかにおいて、物品検知の異常が複数回連続で発生した場合、又は物品検知の異常が一定時間内に複数回発生した場合に、NGエアノズル72、全排出エアノズル74及びNG混入防止ゲート75の少なくともいずれかが故障である旨の通知を行うようにしてもよい。この場合、当該通知は、例えば表示部120を介して行われる。
【0150】
なお、制御部100は、上述の各種タイミングの変更を促す通知と故障の旨の通知との両方を実行可能な構成としてもよく、この場合、各種タイミングの変更を促す通知を行う場合と、故障の旨の通知を行う場合とで、これら通知を行う契機としての物品検知の異常の発生回数を異ならせることが好ましい。例えば、物品検知の異常が2回連続で発生した場合、又は一定時間内に2回発生した場合に、各種タイミングの変更を促す通知を行い、物品検知の異常が3回連続で発生した場合、又は一定時間内に3回発生した場合に、故障の旨の通知を行うといったように、各種タイミングの変更を促す通知を行う場合よりも、故障の旨の通知を行う場合の方が通知を行う契機としての物品検知の異常の発生回数を多く設定する。
【0151】
また、制御部100は、搬送ディスク30の駆動モータ30Mの駆動トルクが所定値以上となった場合に、駆動モータ30Mの駆動を停止するよう駆動モータ30Mを制御するようになっている。この他、制御部100は、例えば各エアノズルのエア圧に異常を検知した場合や、各排出機器及び通過機器の取付に異常を検知した場合には、駆動モータ30Mを停止するように制御してもよい。
【0152】
上述の所定値は、第1のガイド11又は第2のガイド12に錠剤Wが挟まったり、搬送ディスク30と第1のガイド11又は第2のガイド12との間に錠剤Wが挟まったりしたと判断できる、駆動モータ30Mの駆動トルクの下限値であり、例えば予め実験的に求めて制御部100のROMに記憶されている。なお、上述の所定値は、例えばユーザからの入力に基づく等、外部からの信号に基づき設定されてもよい。
【0153】
また、制御部100は、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13について、記憶部101に記憶された検査対象ごとの取付位置となるよう調整機構50の調整動作を制御可能に構成されている。
【0154】
例えば、ユーザが表示部120を介して検査対象の物品を入力すると、調整機構50によって、当該検査対象の物品の形状や寸法に応じた最適な取付位置に、第1の上ガイド片51、第1の下ガイド片52、第2の下ガイド片53、第2の上ガイド片54及び第3のガイド13が自動的に調整される。
【0155】
(タイムチャート)
次に、
図12を参照して、各錠剤Wの良否判定から排出までの遷移について説明する。
【0156】
図12は、複数の錠剤Wにそれぞれワーク符号として「a」から「t」を付して、それら錠剤aからtについて、良否判定から排出されるまでを時系列で示したタイムチャートである。
図12においては、錠剤aからtの順に錠剤が搬送されていることを示している。
【0157】
図12において、搬送ピッチは、順次検査される錠剤Wの搬送間隔を時間間隔で表示したものであり、判定タイミングは、検査部4における良否判定を行うタイミングを示したものである。判定結果は、各判定タイミングで行われた良否判定の結果を示している。また、各センサや各エアノズル及びNG混入防止ゲート75のオン表示に付随して表示されている「a」から「t」は、錠剤aからtに対応している。
【0158】
図12に示すように、錠剤aは、検査部4の良否判定でNG品と判定された後、NG検知センサ46で検知され、その後、NGエアノズル72が動作してNG回収ボックス71に排出される。すなわち、錠剤aは、NGエアノズル72によるNG排出を失敗することなく、正常にNGエアノズル72によってNG回収ボックス71に排出された例である。
【0159】
錠剤bは、検査部4の良否判定でOK品と判定されたため、NG検知センサ46で検知されるものの、NGエアノズル72が動作せずに全排出検知センサ40に検知される。その後、錠剤bは、全排出エアノズル74も動作することなく、排除失敗検知センサ41で検知される。続いて、錠剤bは、NG混入防止ゲート75が動作することで開放された搬送経路を通過し、OK検知センサ45で検知された後、OKエアノズル77が動作してOK回収ボックス76に排出される。すなわち、錠剤bは、搬送途中でOK回収ボックス76以外の排出先に排出されることなく、正常にOKエアノズル77によってOK回収ボックス76に排出された例である。
【0160】
錠剤dは、検査部4の良否判定でNG品と判定された後、NG検知センサ46に検知される。その後、錠剤dは、NGエアノズル72が動作したが、排出されることなく、全排出検知センサ40に検知された後、全排出エアノズル74が動作して全排出回収ボックス73に排出される。すなわち、錠剤dは、NGエアノズル72によるNG排出を失敗したため、NG回収ボックス71に排出されることなく、全排出エアノズル74によって全排出回収ボックス73に排出された例である。
【0161】
錠剤eは、検査部4の良否判定でNG品と判定された後、NG検知センサ46に検知される。その後、錠剤eは、NGエアノズル72が動作したが、排出されることなく、全排出検知センサ40に検知される。続いて、錠剤eは、全排出エアノズル74が動作したが、排出されることなく、排除失敗検知センサ41に検知された後、オフ状態すなわち搬送経路を遮断中のNG混入防止ゲート75によって全排出回収ボックス73に排出される。すなわち、錠剤eは、NGエアノズル72によるNG排出を失敗し、かつ全排出エアノズル74による排出も失敗したため、NG混入防止ゲート75によって全排出回収ボックス73に排出された例である。
【0162】
錠剤fは、検査部4の良否判定でOK品と判定されたため、NG検知センサ46で検知されるものの、NGエアノズル72が動作せずに全排出検知センサ40に検知される。その後、錠剤fは、全排出エアノズル74も動作することなく、排除失敗検知センサ41で検知される。続いて、錠剤fは、錠剤fを通過させるタイミングでNG混入防止ゲート75が動作しなかったため、NG混入防止ゲート75を通過できずにNG混入防止ゲート75によって全排出回収ボックス73に排出されてしまった例である。つまり、錠剤fは、OK品と判定されていたにも関わらず、全排出回収ボックス73に排出されてしまった例である。
【0163】
錠剤fは、本来であれば、NG混入防止ゲート75に妨げられることなく、排除失敗検知センサ41に検知された後は、図中破線で示すようにOK検知センサ45で検知された後、OKエアノズル77が動作してOK回収ボックス76に排出される予定の錠剤であった。このような場合、例えば、NG混入防止ゲート75の動作タイミングを調整することで、NG混入防止ゲート75を通過させることができる。
【0164】
(ビューア表示画面)
次に、
図13を参照して、表示部120に表示可能なビューア表示画面200について説明する。
【0165】
ビューア表示画面200は、表示部120に表示される、例えばメニュー画面のビューア選択アイコンをユーザが選択することにより当該メニュー画面から切り替わるようになっている。ビューア表示画面200の表示手順は、前述の手順に限らない。
【0166】
ビューア表示画面200には、信号一覧領域201と、信号オンオフ状態表示領域202と、表示信号選択領域203と、搬送物品リスト表示領域204と、詳細情報表示領域205と、が設けられている。
【0167】
信号一覧領域201は、排出機器としてのNGエアノズル72及び全排出エアノズル74と、通過機器としてのNG混入防止ゲート75と、の各動作に関係する信号を、NGエアノズル72(図中、「NG」と表示)と全排出エアノズル74(図中、「全排出」と表示)とNG混入防止ゲート75(図中、「ゲート」と表示)とに区分けして一覧で表示する領域である。
【0168】
すなわち、信号一覧領域201には、NGエアノズル72及び全排出エアノズル74にあっては、物品監視信号、物品検知信号、排出待機制御信号、排出機器制御信号がそれぞれ一覧表示され、NG混入防止ゲート75にあっては、物品監視信号、物品検知信号、通過待機制御信号、通過機器制御信号が一覧表示されており、これら各信号のオンオフ状態が信号オンオフ状態表示領域202に表示されている。NGエアノズル72及び全排出エアノズル74は、所定の排出部を構成する。
【0169】
信号オンオフ状態表示領域202においては、各信号のオンオフ状態がグラフ表示されるようになっている。具体的には、各信号のオン状態が、図中、ハッチング表示や塗りつぶし表示のようにオフ状態と明確に区別可能なように表示される。
【0170】
また、各信号のオンオフ状態は、時系列に配置されており、検査部4の検査結果(良否判定の結果)が制御部100に入力されたタイミングを時刻0として、オン時刻からオフ時刻までがグラフ表示されている。このため、各信号のオンオフ状態は、オン状態の時間の長さに応じてグラフ表示の長さが異なるように表示される。例えば、
図13の「NG」と表示した領域においては、物品監視信号よりも物品検知信号の方がオン状態の時間が長いことになる。
【0171】
「物品監視信号」とは、錠剤Wが排出機器又は通過機器に対応するセンサを通過すると予想される時間(以下、「監視時間」という)の間、出力される、すなわちオン状態とされる信号のことである。排出機器又は通過機器に対応するセンサとは、NGエアノズル72であればNG検知センサ46、全排出エアノズル74であれば全排出検知センサ40、NG混入防止ゲート75であれば排除失敗検知センサ41が該当する。NG検知センサ46及び全排出検知センサ40は、所定の物品検知センサを構成する。
【0172】
「物品検知信号」とは、排出機器又は通過機器に対応するセンサが錠剤Wを検知している場合に出力される、つまり検知している間、オン状態となる信号のことである。
【0173】
「排出待機制御信号」とは、排出機器に対応するセンサで検知された錠剤Wが当該センサに対応する排出機器で排出される錠剤である場合に開始される排出待機制御の実行時に出力される、すなわち排出待機制御が実行されている間、オン状態となる信号のことである。例えば、NG検知センサ46で検知された錠剤WがNGエアノズル72によって排出される錠剤、つまりNG品の錠剤Wである場合に、排出待機制御信号が出力されるとともに排出待機制御が実行される。
【0174】
「通過待機制御信号」とは、通過機器に対応するセンサで検知された錠剤Wが当該センサに対応する通過機器を通過する錠剤である場合に開始される通過待機制御の実行時に出力される、すなわち通過待機制御が実行されている間、オン状態となる信号のことである。例えば、排除失敗検知センサ41で検知された錠剤WがNG混入防止ゲート75を通過する錠剤、つまりOK品の錠剤Wである場合に、通過待機制御信号が出力されるとともに通過待機制御が実行される。
【0175】
「排出機器制御信号」とは、排出待機制御の実行開始から所定時間(以下、「排出待機時間」という)経過後に開始される排出機器制御の実行時に出力される、すなわち排出機器制御が実行されている間、オン状態となる信号のことである。つまり、排出機器制御信号は、排出機器を動作させるための信号である。例えば、NGエアノズル72の排出待機制御の実行開始から排出待機時間が経過すると、NGエアノズル72に対して排出機器制御信号が出力され、当該排出機器制御信号の入力を受けてNGエアノズル72が作動、すなわちエアを吹き出す動作を行う。
【0176】
「通過機器制御信号」とは、通過待機制御の実行開始から所定時間(以下、「通過待機時間」という)経過後に開始される通過機器制御の実行時に出力される、すなわち通過機器制御が実行されている間、オン状態となる信号のことである。つまり、通過機器制御信号は、通過機器を動作させるための信号である。例えば、NG混入防止ゲート75の通過待機制御の実行開始から通過待機時間が経過すると、NG混入防止ゲート75に対して通過機器制御信号が出力され、当該通過機器制御信号の入力を受けてNG混入防止ゲート75が作動、すなわち搬送経路を開放する動作を行う。
【0177】
表示信号選択領域203は、一覧表示された信号のうち、いずれかの信号を選択した際に当該選択された信号の情報を表示する領域である。
図13の例では、NGエアノズル72に関係する信号のうちの物品検知信号が選択されている。ユーザは、表示信号選択領域203において調整したい信号を選択することで、後述する調整パラメータの調整画面を読み出すことができるようになっている。
【0178】
搬送物品リスト表示領域204には、搬送され検査部4による良否判定を終えた錠剤Wの識別情報である管理番号がリスト表示される。
図13の例では、管理番号「11111111」から「44444444」が表示されている。
【0179】
ここで、制御部100の記憶部101には、各排出機器に対応する物品監視信号、物品検知信号、排出待機制御信号、排出機器制御信号のオンオフ状態の履歴(以下、「信号履歴」という)及び通過機器に対応する物品監視信号、物品検知信号、通過待機制御信号、通過機器制御信号の信号履歴が錠剤Wごと、つまり管理番号ごとに記憶されている。
【0180】
したがって、ユーザは、搬送物品リスト表示領域204に表示された管理番号のいずれかを選択することで、記憶部101に記憶された複数の錠剤Wの信号履歴のうち、選択された管理番号で特定される錠剤Wの信号履歴を信号オンオフ状態表示領域202に表示させることができる。このように、ユーザが信号履歴の選択可能を行う表示部120は、選択部を構成する。
【0181】
詳細情報表示領域205には、搬送物品リスト表示領域204に表示された管理番号のリスト表示から選択された管理番号に対応する錠剤Wの詳細情報が表示される。例えば、
図13の例では、管理番号「11111111」の錠剤Wの詳細情報として、良否判定の結果がNGであったこと、排出がNGエアノズル72によって行われたこと、管理時間が「0-280」msecであること、が表示されている。
【0182】
ユーザは、例えば錠剤Wが正常に排出されない事態が発生した場合に、ビューア表示画面200を開いて各錠剤Wの信号履歴を確認することで、錠剤Wが正常に排出されない原因を容易に特定することができる。ユーザは、錠剤Wが正常に排出されない原因を特定したら、設定用の調整パラメータを調整することで例えば各信号の出力タイミングを変更して当該原因を解消することが可能である。
【0183】
(調整パラメータ)
次に、
図14を参照して、上述の設定用の調整パラメータについて説明する。
【0184】
図14に示すように、時刻t0は、錠剤Wが検査位置P2において検査部4によって検査され、その検査結果(良否判定の結果)が制御部100に入力されるタイミングである。本実施形態では、制御部100は、この時刻t0のタイミングを時刻0として後述する各種時間のカウントを行う。
【0185】
続いて、時刻t1において錠剤Wが排出機器に対応するセンサに検知されると、物品検知信号がオン状態になる。その後、時刻t2において物品監視信号がオン状態になるとともに排出待機制御信号がオン状態になる。
【0186】
次いで、時刻t3において物品監視信号がオフ状態になった後、時刻t4において物品検知信号がオフ状態になる。その後、時刻t5において排出待機制御信号がオフ状態となるとともに排出機器制御信号がオン状態になり、排出機器の動作が行われる。
【0187】
その後、排出機器の動作が行われている間の時刻t6において、錠剤Wが排出位置に達する。次いで、時刻t7において排出機器制御信号がオフ状態となる。
【0188】
ここで、制御部100による、物品監視信号、排出待機制御信号及び排出機器制御信号のオンオフタイミングの設定方法について説明する。
【0189】
まず、制御部100は、上述したように時刻0(
図14の例では、時刻t0)を決定したうえで、錠剤Wが排出位置に達する時刻(
図14の例では、時刻t6)を基準に錠剤Wが排出機器に対応するセンサを通過すると予測される時刻(
図14の例では、時刻t2)を設定する。本実施形態では、錠剤Wが排出機器に対応するセンサを通過すると予測される時刻と、錠剤Wが排出位置に達する時刻との時間差を「検知タイミング補正時間」という。
【0190】
制御部100は、検知タイミング補正時間に基づき物品監視信号がオン状態となるタイミングを設定する。つまり、制御部100は、錠剤Wが排出位置に達する時刻から検知タイミング補正時間だけ遡った時刻を、物品監視信号がオン状態となる時刻に設定する。
【0191】
検知タイミング補正時間は、ユーザによってその長短を変更可能な調整パラメータであり、表示部120の表示信号選択領域203において調整したい信号を選択することによって読み出した設定画面を介してユーザにより設定変更されるようになっている。このような設定変更(調整)を受け付ける表示部120は、入力部を構成する。
【0192】
したがって、ユーザは、検知タイミング補正時間の長短を調整することで、物品監視信号がオン状態となるタイミングを変更することができる。
【0193】
なお、本実施形態では、上述のように排出位置を基準として検知タイミング補正時間を定めたが、これに限らず、例えば、
図15に示すように錠剤検知位置を基準に検知タイミング補正時間を定めてもよい。つまり、
図15に示す例では、錠剤Wが錠剤検知位置に達する時刻(
図15の例では、時刻t1)を基準に錠剤Wが排出機器に対応するセンサを通過すると予測される時刻(
図15の例では、時刻t2)を設定する。
【0194】
制御部100は、物品監視信号及び物品検知信号のいずれもがオン状態となったとき(
図14の例では、時刻t2)、記憶部101に記憶された管理番号で特定される錠剤Wの測定データを参照し、当該錠剤Wの判定結果が排出機器で排出される対象の錠剤と一致した場合、排出待機制御信号をオン状態にする。
【0195】
例えば、NG検知センサ46の物品監視信号がオン状態のときにNG検知センサ46で検知された錠剤WがNG品であった場合、当該NG品の錠剤WはNGエアノズル72で排出される対象と一致するので、排出待機制御信号がオン状態となる。
【0196】
これに対し、NG検知センサ46の物品監視信号がオン状態のときにNG検知センサ46で検知された錠剤WがOK品であった場合、当該OK品の錠剤WはNGエアノズル72で排出される対象と一致しないので、排出待機制御信号はオン状態とはならない。
【0197】
制御部100は、排出待機制御信号をオン状態とした後、排出待機時間(
図14の例では、時刻t2から時刻t5)経過後に排出待機制御信号をオフ状態にするとともに排出機器制御信号をオン状態にする。排出機器制御信号がオン状態の間は、排出機器が動作している。本実施形態では、排出機器制御信号がオン状態の継続時間(
図14の例では、時刻t5から時刻t7)を「排出動作時間」という。
【0198】
前述した排出待機時間及び排出動作時間は、ユーザによってその長短を変更可能な調整パラメータであり、表示部120の表示信号選択領域203において調整したい信号を選択することによって読み出した設定画面を介してユーザにより設定変更されるようになっている。
【0199】
したがって、ユーザは、排出待機時間及び排出動作時間の長短を調整することで、排出機器制御信号のオンオフタイミングを変更することができる。なお、排出機器制御信号は、排出動作時間が満了することでオフ状態となる。
【0200】
このように、本実施形態では、物品監視信号、排出機器制御信号及び排出待機制御信号のオンオフタイミングの調整パラメータとして、検知タイミング補正時間、排出待機時間及び排出動作時間が設定されている。
【0201】
また、通過機器すなわちNG混入防止ゲート75にあっては、
図14中の「排出待機制御信号」を「通過待機制御信号」、「排出機器制御信号」を「通過機器制御信号」、「排出位置」を「通過位置」、「排出待機時間」を「通過待機時間」、「排出動作時間」を「通過動作時間」にそれぞれ読み替えて適用する。
【0202】
(調整例)
次に、
図16から
図18の第1から第3の排出パターンを参照して、各パターンにおける、物品監視信号、排出機器制御信号及び排出待機制御信号の調整例について説明する。
【0203】
図16に示す第1の排出パターンは、NG品の錠剤Wを排出する際の排出パターンであって、NGエアノズル72のエアの吹き出し時間が短いためにNGエアノズル72でNG品の錠剤Wを排出できずに、全排出エアノズル74で当該NG品の錠剤Wを排出したパターンである。
【0204】
この場合、ユーザは、NGエアノズル72に関係する排出機器制御信号を選択して、排出待機時間を短く、排出動作時間を長くするように調整することで、排出機器制御信号のオン状態への切替タイミングを早くし、かつオフ状態への切替タイミングを遅くする。これにより、錠剤Wの排出タイミングはそのままにNGエアノズル72のエアの吹き出し時間を長くすることができる。
【0205】
図17に示す第2の排出パターンは、錠剤Wを全排出する際の排出パターンであって、全排出エアノズル74のエアの吹き出し時間が短いために全排出エアノズル74で錠剤Wを排出できずに、NG混入防止ゲート75で当該錠剤Wを排出したパターンである。
【0206】
この場合、ユーザは、全排出エアノズル74に関係する排出機器制御信号を選択して、排出待機時間を短く、排出動作時間を長くするように調整することで、排出機器制御信号のオン状態への切替タイミングを早くし、かつオフ状態への切替タイミングを遅くする。これにより、錠剤Wの排出タイミングはそのままに全排出エアノズル74のエアの吹き出し時間を長くすることができる。
【0207】
図18に示す第3の排出パターンは、NG品の錠剤Wを排出する際の排出パターンであって、物品監視信号のオン状態のタイミングと物品検知信号のオン状態のタイミングとが一致していない、すなわち物品監視時間のタイミングとNG検知センサ46による錠剤Wの検知タイミングとが一致していないためにNGエアノズル72でNG品の錠剤Wを排出できずに、全排出エアノズル74で当該NG品の錠剤Wを排出したパターンである。
【0208】
この場合、ユーザは、NGエアノズル72に関係する物品監視信号を選択して、検知タイミング補正時間を短くするように調整することで、物品監視信号のオン状態のタイミングを図中、破線で示すタイミングまで遅くする。これにより、物品監視信号のオン状態のタイミングと物品検知信号のオン状態のタイミングとを一致させることができる。
【0209】
こうした調整パラメータの調整の一例としては、例えば、調整用の物品サンプルとしての検査品サンプルを搬送させて当該検査品サンプルの搬送状況や排出状況等を見てユーザが行う例が挙げられる。
【0210】
また、本実施形態に係る物品検査装置1は、各排出機器や通過機器での排出タイミングや開放タイミングが適正でないことを検出した場合には、調整パラメータの推奨の調整値を表示部120に表示させる機能を有していてもよい。
【0211】
さらに、本実施形態に係る物品検査装置1は、調整用の検査品サンプルを搬送させたときの各センサでの当該検査品サンプルの検知状況に応じて、調整パラメータを推奨の調整値に自動で調整し、当該調整値に設定する機能を有していてもよい。この場合、調整用の検査品サンプルを搬送させることで、各排出機器や通過機器での排出タイミングや開放タイミングが自動的に調整される。
【0212】
なお、本実施形態では、上述の通り排出機器に関する各信号の調整例について説明したが、通過機器に関する各信号についても同様に、検知タイミング補正時間、通過待機時間及び通過動作時間を調整パラメータとして調整可能である。
【0213】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る物品検査装置は、NGエアノズル72よりも搬送方向上流であって検査部4よりも搬送方向下流に配置されたNG検知センサ46と、全排出エアノズル74よりも搬送方向上流であってNGエアノズル72よりも搬送方向下流に配置された全排出検知センサ40と、の検知結果に基づきNGエアノズル72及び全排出エアノズル74による錠剤Wの排出タイミングを制御する。このため、錠剤Wの搬送状況を細かく把握することができ、回転しながら搬送される錠剤Wの高速搬送化に伴いNGエアノズル72及び全排出エアノズル74の動作タイミングが厳格になっても、正確な排出タイミングでNGエアノズル72及び全排出エアノズル74を動作させることができる。この結果、錠剤Wを高速搬送させても、所望の排出位置において正確に錠剤Wを排出することができる。
【0214】
また、本実施形態に係る物品検査装置は、OKエアノズル77が全排出エアノズル74よりも搬送方向下流に設けられているので、OKエアノズル77に搬送される前にNGエアノズル72及び全排出エアノズル74によってOK品以外の錠剤Wを排除することができる。このため、OK回収ボックス76にOK品以外の錠剤Wが混入してしまうことを防止できる。
【0215】
また、本実施形態に係る物品検査装置は、排除失敗検知センサ41の検知結果に基づき、OK品の錠剤Wが搬送経路を通過するときのみ搬送経路を開放するNG混入防止ゲート75による開放タイミングを制御するので、OK品の錠剤WのみをNG混入防止ゲート75の搬送方向下流に通過させることができる。このため、OK回収ボックス76にOK品以外の錠剤Wが混入してしまうことを防止できる。また、OK品の錠剤Wが搬送経路を通過するとき以外は、NG混入防止ゲート75が搬送経路を遮断しているので、仮にNGエアノズル72及び全排出エアノズル74でNG品の錠剤Wを排出し損ねてもNG混入防止ゲート75によって確実にNG品の錠剤Wを排出することができる。
【0216】
また、本実施形態に係る物品検査装置は、NG検知センサ46、全排出検知センサ40、排除失敗検知センサ41及びOK検知センサ45のいずれかにおいて物品検知の異常が複数回連続で発生、又は一定時間内に複数回発生した場合に、排出タイミング及び開放タイミングの少なくとも一方の変更を促す通知、又はNGエアノズル72、全排出エアノズル74及びNG混入防止ゲート75の少なくともいずれかが故障である旨の通知を行うので、ユーザに適切な対応を促すことができる。
【0217】
また、本実施形態に係る物品検査装置は、調整用の検査品サンプルを搬送させたときのNG検知センサ46、全排出検知センサ40、排除失敗検知センサ41及びOK検知センサ45による当該検査品サンプルの検知状況に基づき、排出タイミング及び開放タイミングの少なくとも一方を自動で調整するので、ユーザによる調整の手間を省くことができ、利便性が高まる。
【0218】
(変形例)
なお、本実施形態に係る物品検査装置において、検査部4の検査結果(良否判定の結果)が制御部100に入力されたタイミングを時刻0として、
図19に示すように、物品監視信号、物品検知信号、排出待機制御信号及び排出機器制御信号のそれぞれのオン時刻とオフ時刻とを各信号に対応して表示してもよい。通過待機制御信号及び通過機器制御信号についても同様に、それぞれのオン時刻とオフ時刻とを各信号に対応して表示してもよい。
【0219】
この場合、検査部4の検査結果が制御部100に入力されたタイミングを時刻0として、各信号のそれぞれのオン時刻とオフ時刻とを表示部120に表示するので、ユーザに各信号のオンオフ状態の詳細なタイミングを認識させることができる。これにより、例えば、ユーザは、各信号のオン時刻とオフ時刻を参考に排出タイミングの細かな調整を行うことができる。
【0220】
また、
図13に示したビューア表示画面200の各表示項目は、並び替え、配置変更を変更可能に構成されていてもよいし、ユーザによって選択された表示項目のみを表示する構成であってもよい。
【0221】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0222】
1 物品検査装置
2 供給部
3 搬送部
4 検査部
5 ガイド部
6 錠剤投入部
30 搬送ディスク
32 吸着穴
40 全排出検知センサ(第2の物品検知センサ、所定の物品検知センサ)
41 排除失敗検知センサ(第3の物品検知センサ)
45 OK検知センサ(第4の物品検知センサ)
46 NG検知センサ(第1の物品検知センサ、所定の物品検知センサ)
71 NG回収ボックス(NG品回収部)
72 NGエアノズル(NG排出部、所定の排出部)
73 全排出回収ボックス(全排出回収部)
74 全排出エアノズル(全排出部、所定の排出部)
75 NG混入防止ゲート(ゲート)
76 OK回収ボックス(OK品回収部)
77 OKエアノズル(OK排出部)
100 制御部
101 記憶部
120 表示部(入力部、選択部)
200 ビューア表示画面
201 信号一覧領域
202 信号オンオフ状態表示領域
203 表示信号選択領域
204 搬送物品リスト表示領域
205 詳細情報表示領域
P1 吸着位置
P2 検査位置
P3 NG排出位置
P4 全排出位置
P5 OK排出位置
W 錠剤(物品)