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  • 特開-キャパシタおよび電極活物質 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142981
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】キャパシタおよび電極活物質
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/32 20130101AFI20241003BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20241003BHJP
【FI】
H01G11/32
C01B32/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055414
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】信森 千穂
(72)【発明者】
【氏名】島崎 幸博
【テーマコード(参考)】
4G146
5E078
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AA15
4G146AB01
4G146AC04A
4G146AC04B
4G146AC27A
4G146AC27B
4G146AD11
4G146AD23
4G146BA15
4G146BC03
4G146BC23
4G146CB19
4G146CB35
5E078AB02
5E078AB06
5E078BA18
5E078BA44
5E078BA66
5E078BA71
5E078DA03
5E078DA05
5E078FA02
5E078FA12
5E078HA05
5E078HA12
(57)【要約】
【課題】初期容量と信頼性を両立し得るキャパシタを提供する。
【解決手段】第1電極と、第2電極と、電解液と、を含み、第1電極および第2電極の少なくとも一方は、窒素含有炭素材料を含む電極であり、窒素含有炭素材料が、6員環を含み、6員環は、1つ以上のカルボニル炭素および/または2つ以上の窒素原子を含む、キャパシタ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、第2電極と、電解液と、を含み、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、窒素含有炭素材料を含む電極であり、
前記窒素含有炭素材料が、6員環を含み、
前記6員環は、1つ以上のカルボニル炭素および/または2つ以上の窒素原子を含む、キャパシタ。
【請求項2】
前記6員環は、イソシアヌル環、トリアジン環および1,3,5-トリオン環からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項3】
第1電極と、第2電極と、電解液と、を含み、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、窒素含有炭素材料を含む電極であり、
前記窒素含有炭素材料の微分細孔容積分布Aが、1.0nm以上2.0nm未満の範囲に第1ピークを有する、キャパシタ。
【請求項4】
前記窒素含有炭素材料の微分細孔容積分布Aが、0.5nm以上1.0nm未満の範囲に第2ピークを有する、請求項3に記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記窒素含有炭素材料の微分細孔容積分布Aが、2.0nm以上3.0nm未満の範囲に第3ピークを有する、請求項3に記載のキャパシタ。
【請求項6】
前記窒素含有炭素材料の微分細孔容積分布Aが、3.0nm以上6.0nm未満の範囲に第4ピークを有する、請求項3に記載のキャパシタ。
【請求項7】
前記窒素含有炭素材料の微分細孔容積分布Aが、6.0nm以上20nm未満の範囲にブロードな第5ピークを有する、請求項3に記載のキャパシタ。
【請求項8】
前記窒素含有炭素材料が、6員環を含み、
前記6員環は、1つ以上のカルボニル炭素および/または2つ以上の窒素原子を含む、請求項3に記載のキャパシタ。
【請求項9】
前記窒素含有炭素材料を含む電極の微分細孔容積分布Bが、0.1μm以上3μm以下の範囲にブロードなピークを有する、請求項1または3に記載のキャパシタ。
【請求項10】
前記窒素含有炭素材料における窒素含有率Cが、2質量%以上である、請求項1または3に記載のキャパシタ。
【請求項11】
前記窒素含有炭素材料における酸素含有率COXが、6質量%以上である、請求項10に記載のキャパシタ。
【請求項12】
前記窒素含有率Cに対する、前記酸素含有率COXの比:COX/Cが、0.25以上3.5以下である、請求項11に記載のキャパシタ。
【請求項13】
前記電解液は、非水溶媒および前記非水溶媒に溶解する有機塩を含む、請求項1または3に記載のキャパシタ。
【請求項14】
前記電解液における含水率が、50質量ppm以下である、請求項1または3に記載のキャパシタ。
【請求項15】
前記非水溶媒の80質量%以上が、非プロトン性溶媒である、請求項1または3に記載のキャパシタ。
【請求項16】
窒素含有炭素材料を含み、
前記窒素含有炭素材料が、6員環を含み、
前記6員環は、1つ以上のカルボニル炭素および/または2つ以上の窒素原子を含む、電極活物質。
【請求項17】
前記6員環は、イソシアヌル環、トリアジン環および1,3,5-トリオン環からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項16に記載の電極活物質。
【請求項18】
窒素含有炭素材料を含み、
前記窒素含有炭素材料の微分細孔容積分布Aが、1.0nm以上2.0nm未満の範囲に第1ピークを有する、電極活物質。
【請求項19】
前記窒素含有炭素材料が、6員環を含み、
前記6員環は、1つ以上のカルボニル炭素および/または2つ以上の窒素原子を含む、請求項18に記載の電極活物質。
【請求項20】
前記窒素含有炭素材料における窒素含有率Cが、2質量%以上である、請求項16または18に記載の電極活物質。
【請求項21】
前記窒素含有炭素材料における酸素含有率COXが、6質量%以上である、請求項20に記載の電極活物質。
【請求項22】
前記窒素含有率Cに対する、前記酸素含有率COXの比:COX/Cが、0.25以上3.5以下である、請求項21に記載の電極活物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャパシタおよび電極活物質に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、「不活性雰囲気中、温度600~1200℃で、メラミン樹脂発泡体を炭素化した窒素含有量2.5~30wt%の窒素含有炭素フォームからなる電極用材料」を提案している。
【0003】
特許文献2は、「窒素含有量が0.5~30質量%であり、比表面積が200~3000m/gである窒素含有炭素多孔質材料」を提案している。窒素含有炭素多孔質材料は「メラミンとクエン酸マグネシウムを混合し、不活性雰囲気下で700℃以上に加熱したのち冷却し酸洗浄して得られる」と記載されている。
【0004】
特許文献3は、「有機共有結合構造体の細孔にゲスト物質を内包させるステップと、前記ゲスト物質を内包する前記有機共有結合構造体を加熱して炭素化するステップと、を備える炭素材料の製造方法」を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-269505号公報
【特許文献2】国際公開第2011/065484号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2020/175616号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~3は、窒素を含む電極材料を提案している。窒素を含む電極材料は高容量を発現し得る。しかし、そのような容量の一部は、通常、ファラデー反応を伴う疑似容量である。水溶液電解質を用いる電気二重層キャパシタで良好な信頼性が得られる材料であっても、有機電解液電気二重層キャパシタにおいては、初期容量と信頼性との間にトレードオフの関係性が認められる。有機電解液電気二重層キャパシタは、例えば3V以上の高電圧まで充電されるため、疑似容量の活性種が劣化しやすいためと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、第1電極と、第2電極と、電解液と、を含み、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、窒素含有炭素材料を含む電極であり、前記窒素含有炭素材料が、6員環を含み、前記6員環は、1つ以上のカルボニル炭素および/または2つ以上の窒素原子を含む、キャパシタに関する。
【0008】
本発明の別の側面は、第1電極と、第2電極と、電解液と、を含み、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、窒素含有炭素材料を含む電極であり、前記窒素含有炭素材料の微分細孔容積分布Aが、1.0nm以上2.0nm未満の範囲に第1ピークを有する、キャパシタに関する。
【0009】
本発明の更に別の側面は、素含有炭素材料を含み、前記窒素含有炭素材料が、6員環を含み、前記6員環は、1つ以上のカルボニル炭素および/または2つ以上の窒素原子を含む、電極活物質に関する。
【0010】
本発明の更に別の側面は、窒素含有炭素材料を含み、前記窒素含有炭素材料の微分細孔容積分布Aが、1.0nm以上2.0nm未満の範囲に第1ピークを有する、電極活物質に関する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、初期容量と信頼性を両立し得るキャパシタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る有機電解液電気二重層キャパシタの一部切り欠き斜視図である。
図2】窒素含有炭素材料の微分細孔容積分布を示す図である。
図3】窒素含有炭素材料を含むキャパシタ用電極のLog微分細孔容積分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。この明細書において、「数値A~数値B」という記載は、数値Aおよび数値Bを含み、「数値A以上で数値B以下」と読み替えることが可能である。以下の説明において、特定の物性や条件などに関する数値の下限と上限とを例示した場合、下限が上限以上とならない限り、例示した下限のいずれかと例示した上限のいずれかを任意に組み合わせることができる。複数の材料が例示される場合、その中から1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
本開示に係るキャパシタ(以下、「キャパシタ(NC)」とも称する。)は、第1電極と、第2電極と、電解液を含む。「キャパシタ」は「コンデンサ」と読み替えてもよい。キャパシタは、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスを意味する。
【0015】
第1電極および第2電極の少なくとも一方は、電極活物質(以下、単に「活物質」とも称する。)として、本開示に係る窒素含有炭素材料(以下、「炭素材料(NC)」とも称する。)を含む電極である。炭素材料(NC)は、既述または後述の特徴を有する6員環(以下、「6員環(NC)とも称する。」)を含むか、もしくは、既述または後述の特徴を有する微分細孔容積分布を有する。
【0016】
6員環(NC)は、1つ以上のカルボニル炭素および/または2つ以上の窒素原子を含む。6員環(NC)は、2つの窒素原子に結合する炭素原子を含んでもよい。6員環(NC)は、6員環を構成する6つの原子が全て関与する共役系を構成し得る。6員環(NC)は、1つ以上のカルボニル炭素と2つ以上の窒素原子を両方含んでもよい。カルボニル炭素と窒素原子を両方含む6員環は、カルボニル炭素を2つ、または3つ含み、かつ窒素原子を2つ、または3つ含む6員環であってもよい。6員環は、1,3,5-トリオン環を有してもよく、トリアジン環を有してもよく、1,3,5-トリオン環とトリアジン環の両方の構造(例えばイソシアヌル環)を有してもよい。6員環は、イソシアヌル環、トリアジン環および1,3,5-トリオン環からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
6員環(NC)は、炭素材料(NC)の原料に由来する構造である。一方、炭素材料(NC)は、原料を高温で炭化させて製造される。そのため、6員環(NC)の構造が明確に検出できない場合がある。そのような場合でも、炭素材料(NC)もしくは炭素材料(NC)を用いて作製された電極の微分細孔容積分布を測定することで、炭素材料(NC)もしくはその原料を同定することができる。
【0018】
炭素材料(NC)を含む電極を、以下、電極(E)とも称する。電極(E)は、活性層と、活性層を担持する集電体とを含んでもよい。集電体に特に限定はなく、電気化学デバイスの電極に用いられる公知の集電体を用いてもよい。
【0019】
<炭素材料(NC)>
炭素材料(NC)は、イオンをドープおよび脱ドープすることで容量を発現する活物質として機能する。イオンの炭素材料(NC)へのドープとは、炭素材料(NC)へのイオンの吸着、炭素材料(NC)によるイオンの吸蔵、炭素材料(NC)とイオンとの化学的相互作用などを含む概念である。また、イオンの炭素材料(NC)からの脱ドープとは、炭素材料(NC)からのイオンの脱着、炭素材料(NC)からのイオンの放出、炭素材料(NC)とイオンとの化学的相互作用の解除などを含む概念である。
【0020】
ここでは、イオンの炭素材料(NC)へのドープとは、主に炭素材料(NC)へのイオンの吸着をいい、イオンの炭素材料(NC)からの脱ドープとは、主に炭素材料(NC)からのイオンの脱着をいう。炭素材料(NC)にイオンが吸着すると電気二重層が形成され、容量を発現する。すなわち、電極(E)は、分極性電極である。ただし、電極(E)は、ファラデー反応が容量に寄与する電極であってもよい。
【0021】
炭素材料(NC)は、有機電解液を含む電気二重層キャパシタの活物質として適している。炭素材料(NC)を含み、かつ有機電解液を含む電気二重層キャパシタ(以下、「EDLC(NC)」とも称する。)は、優れた初期容量を発現し得る。EDLC(NC)は、低い低温抵抗を有し得る。EDLC(NC)は信頼性に優れる。
【0022】
6員環(NC)は、構造安定性に優れている。優れた構造安定性は、EDLC(NC)の信頼性の向上に寄与していると考えられる。6員環(NC)に含まれる窒素原子は、EDLC(NC)の優れた初期容量の発現もしくは低温抵抗の低減に寄与していると考えられる。そのような寄与には、6員環(NC)を構成する2つの窒素原子に結合した炭素原子の存在が関連していると推測される。炭素材料(NC)は、ファラデー反応を伴う疑似容量を発現しやすいだけでなく、そのような疑似容量の可逆性が高いものと考えられる。
【0023】
6員環(NC)は、例えば、イソシアヌル環を含むことが好ましい。イソシアヌル環は、構造安定性に優れている。イソシアヌル環は、2つの窒素原子に結合したカルボニル炭素原子を3つ含む。イソシアヌル環は、水分またはプロトン性溶媒が少ない環境下で特に安定である。
【0024】
6員環(NC)は、例えば、トリアジン環を含むことが好ましい。トリアジン環は、構造安定性に優れている。トリアジン環は、2つの窒素原子に結合した炭素原子を3つ含む。トリアジン環は、水分またはプロトン性溶媒が少ない環境下で特に安定である。
【0025】
6員環(NC)は、芳香環が置換基として直接結合していてもよい。置換基の芳香環は、6員環(NC)の1,3,5位にそれぞれ結合していてもよい。置換基の芳香環はフェニル基であってもよい。そのようなフェニル基は更に置換基を有してもよい。フェニル基に結合する置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などのC1~C6アルキル基、C1~C6アルケニル基などであってもよい。
【0026】
炭素材料(NC)は、更に、1,3,5-トリオン環(以下、「トリオン環」とも称する。)を含んでもよい。トリオン環の二重結合酸素は、EDLC(NC)の優れた初期容量の発現もしくは低温抵抗の低減に寄与していると考えられる。トリオン環は、構造安定性に優れており、水分またはプロトン性溶媒が少ない環境下で特に安定である。
【0027】
イソシアヌル環は、2つの窒素原子に結合した炭素原子を3つ含むとともにトリオン環でもあるため、イソシアヌル環を含む炭素材料(NC)は、活物質として有望である。
【0028】
炭素材料(NC)における窒素含有率Cは、例えば、2質量%以上が好ましく、4質量%以上20質量%以下がより好ましい。この場合、2つ以上の窒素原子を含む6員環の含有量が十分に高いため、高容量が期待できる。炭素材料(NC)の構造安定性も十分に高められる。
【0029】
炭素材料(NC)における酸素含有率COXは、例えば、6質量%以上が好ましく、8質量%以上18質量%以下がより好ましい。この場合、トリオン環の含有量が十分に高いため、高容量が期待できる。炭素材料(NC)の構造安定性も十分に高められる。
【0030】
窒素含有率Cに対する、酸素含有率COXの比:COX/Cは、0.25以上3.5以下が好ましい。この場合、炭素材料(NC)は、窒素原子と酸素原子をバランス良く含んでいる。
【0031】
炭素材料(NC)の微分細孔容積分布は、1.0nm以上2.0nm未満の範囲に第1ピークを有していてもよい。また、炭素材料(NC)の微分細孔容積分布は、0.5nm以上1.0nm未満の範囲に第2ピークを有していてもよい。このような小さな細孔の存在は、電極内部でのイオンの移動に有利である。
【0032】
炭素材料(NC)の微分細孔容積分布は、2.0nm以上3.0nm未満の範囲に第3ピークを有していてもよい。さらに、炭素材料(NC)の微分細孔容積分布は、3.0nm以上6.0nm未満の範囲に第4ピークを有していてもよい。さらに、炭素材料(NC)の微分細孔容積分布は、6.0nm以上20nm未満の範囲にブロードな第5ピークを有していてもよい。第1ピークおよび第2ピークに加え、第3ピーク、第4ピークおよび第5ピークが存在することで、細孔容積分布が階層的になり、イオンの移動に更に有利な環境が形成される。
【0033】
ただし、第1ピークの頻度は、第2ピークの頻度よりも大きいことが望ましく、少なくとも第2ピークの頻度の2倍以上もしくは3倍以上であることが望ましい。同様に、第1ピークの頻度は、第3ピークの頻度よりも大きいことが望ましく、少なくとも第3ピークの頻度の2倍以上もしくは3倍以上であることが望ましい。
【0034】
炭素材料(NC)の微分細孔容積分布において、20nm以下の範囲の全細孔容積は、0.6cm/g~1.4cm/gであることが好ましい。この場合、イオンの移動に更に有利な環境が形成される。
【0035】
キャパシタ(NC)の信頼性は、例えば、60℃程度の高温で、所定電圧をキャパシタに定常的に印加するフロート充電試験により評価できる。フロート充電を所定時間かけて継続的に行ったときのキャパシタの初期に対する容量維持率と抵抗増加率により、キャパシタの信頼性を判断できる。容量維持率が高いほど、また、抵抗増加率が小さいほど、信頼性が高い。
【0036】
キャパシタ(NC)の信頼性の向上には、炭素材料(NC)の細孔容積分布が関連していると考えられる。例えば、炭素材料(NC)の微分細孔容積分布における細孔径20nm以下のメソ孔の存在は、イオンの拡散性の向上に寄与していると考えられる。炭素材料(NC)が、ミクロ孔、メソ孔およびマクロ孔をバランスよく階層的に具備する場合、イオンの拡散性が顕著に高められる。
【0037】
また、キャパシタ(NC)の信頼性は、炭素材料(NC)を含む電極の微分細孔容積分布におけるマクロ孔の容積分布にも影響される。例えば、0.1μm以上3μm以下の範囲のマクロ孔がイオン拡散性に大きく影響すると考えられる。炭素材料(NC)を含む電極のLog微分細孔容積分布は、0.1μm以上3μm以下の範囲にブロードなピークを有し得る。これにより、炭素材料(NC)の微分細孔容積分布のミクロ孔およびメソ孔とあわせ、細孔の分布が階層的になり、イオンの移動にさらに有利な環境が形成される。
【0038】
炭素材料(NC)の微分細孔容積分布は、例えば、窒素ガスを用いるガス吸着法により測定される吸着等温線を、BJH(Barrett Joyner Hallenda)法もしくはDFT(Density Functional Theory)法により解析することで求められる。全細孔容積は、BJH法により解析して得られる細孔容積分布における細孔容積の積算値である。
【0039】
炭素材料(NC)を含む電極がキャパシタから取り出した試料の場合は、揮発性の高い溶媒(例えばジメチルカーボネート)に試料を浸漬させ、0.1MPa未満の減圧下で洗浄し、0.1MPa未満の減圧下で2時間以上乾燥させる。乾燥は、例えば常温下で行えばよい。
【0040】
炭素材料(NC)の細孔容積分布は、例えば、日本ベル株式会社で入手可能なBELSORP 28SA装置を用いて測定することができる。メソ孔の解析理論として毛管凝縮理論(kelvinの式)に基づき計算されるDollimore Heal法(DH法)を用いることができる。また、ミクロ孔の細孔容積分布は、MP法(R.SH.MICHAILet al.,J.Coll.Inter.Sci.,26(1968)45)を用いて解析することができる。MP法では、細孔がスリット形状を有すると仮定し、そのスリット幅を持つ細孔容積の総和を、スリット幅の関数として求めることができる。また、細孔容積分布はDFT法を用いて算出してもよい。DFT法は、分子動力学シミュレーション法とも呼ばれる方法のひとつで、吸着現象を分子レベルの統計的かつ熱力学的理論から解析する方法である。装置としては、アントンパール社製のautosorb-iQ装置を使用することができる。
【0041】
電極のLog微分細孔容積分布は、例えば、JIS R1655:2003に準拠した「ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔径分布試験方法」に準拠して、水銀ポロシメータを用いて測定すればよい。水銀ポロシメータでは、低圧状態の中で電極の試料内の細孔へ水銀を流入させて大きな径の細孔を計測した後、高圧状態において水銀を細孔のより深い箇所へ浸透させていく。低圧状態は真空ポンプで50μmHg程度まで減圧する。試料に水銀を流入させる方法として、一例として、試料を収容するとともに水銀の流入孔を有するセルを用いる。試料は一例として、本実施例と同様に形成された集電体と活性層(電極層)を有する電極の活性層(電極層)を有する部分を20mm×50mmのサイズで切り抜いて準備する。高圧状態では約230MPaまで加圧して試料へ水銀の圧入を行う。
【0042】
炭素材料(NC)は、例えば、ポリイソシアネートを原料に用いて調製もしくは製造することができる。ポリイソシアネートは芳香環を有することが好ましい。中でもトルエンジイソシアネートは、以下に示す三量化反応:
【0043】
【化1】
【0044】
により、イソシアヌル環を有する架橋体を形成する。芳香環を有するポリイソシアネートの架橋体のイソシアヌル環は、置換基として、窒素原子に結合した芳香環を有する。このような架橋体は、構造安定性に優れた炭素材料(NC)の原料として好適である。
【0045】
ポリイソシアネートもしくはトルエンジイソシアネートに多価アルコールを添加することで、熱分解性に優れた(炭化しやすい)架橋体を生成させることができる。炭化しやすい架橋体を不活性雰囲気下で加熱する場合、低コストで、所望の炭素材料(NC)を得ることができる。
【0046】
多価アルコールとしては、イソシアヌル環同士に空間を形成しやすい構造が望ましく、例えば、グリセリン、トリグリセリン、ポリアルキレングリコール、アルカンジオール(HO-(CH-OH)などが好ましい。アルカンジオール(HO-(CH-OH)の炭素数(n)は、例えば2~10であってもよい。イソシアネート基とアルコール性水酸基は、反応してウレタン結合を形成する。ウレタン結合を介して、架橋体の内部に柔軟な連結基を形成することができる。例えば、アルカンジオールを用いる場合、連結基は-(CH-の構造を有する。
【0047】
ポリイソシアネートへの多価アルコールの添加量は、適宜選択すればよいが、ポリイソシアネート100質量部に対して、多価アルコールは、例えば、100質量部~1000質量部、200質量部~700質量部もしくは250質量部~500質量部が目安である。ポリイソシアネートは高価であるため、多価アルコールの割合を多くすることがコスト面では望ましい。
【0048】
架橋体を炭化させる不活性雰囲気は、非酸化性雰囲気であればよく、減圧雰囲気(例えば0.1MPa以下(好ましくは10Pa以下))、還元雰囲気(例えば0.01MPa以下の水素雰囲気)、不活性ガス雰囲気(例えばN、Ar、Ne、Heなどの流通雰囲気)などであってもよい。
【0049】
不活性性雰囲気での架橋体の加熱温度は、800℃以下でもよく、750℃以下でもよい。加熱温度が800℃を超えると、炭素材料(NC)の窒素含有率Cが低くなったり、カルボニル炭素および/または2つ以上の窒素原子を含む6員環が減少したりする傾向がある。
【0050】
加熱時間は、加熱条件によって適宜選択されるが、例えば、0.5~5時間程度であってもよい。
【0051】
<有機電解液>
有機電解液は、非水溶媒および非水溶媒に溶解する有機塩を含む。非水溶媒とは、水以外の溶媒を意味し、有機溶媒が包含される。有機塩とは、アニオンおよびカチオンの少なくとも一方が有機物を含む塩である。有機電解液における有機塩の濃度は、例えば、0.5~2.0mol/Lであればよい。有機系電解液は、水系電解液に比べて、電位窓(耐圧)が広く、高耐圧化が可能であり、キャパシタのエネルギー密度および出力密度の向上に大きく寄与する。
【0052】
非水溶媒としては、高沸点溶媒が好ましい。例えば、γ-ブチロラクトンなどのラクトン類、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、スルホランなどの環状スルホン類、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類、酢酸メチルなどのエステル類、1,4-ジオキサンなどのエーテル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、ホルムアルデヒドなどを用いることができる。中でも、炭素材料(NC)の構造安定性を高める観点から、非プロトン性溶媒が好ましく、非水溶媒の80質量%以上が、非プロトン性溶媒であってもよい。
【0053】
カチオンが有機物を含む有機塩としては、例えば、4級アンモニウム塩のようなオニウム塩が挙げられる。アニオン(もしくは両イオン)が有機物を含む有機塩としては、例えば、カルボン酸とオニウム塩との塩(カルボン酸オニウム塩)が挙げられる。カルボン酸オニウム塩の具体例として、マレイン酸トリメチルアミン、ボロジサリチル酸トリエチルアミン、フタル酸エチルジメチルアミン、フタル酸モノ1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム、フタル酸モノ1,3-ジメチル-2-エチルイミダゾリニウムなどが挙げられる。このような有機塩は、有機電解液の極性を高め、炭素材料(NC)への濡れ性の向上に寄与するとともに、有機塩に含まれる窒素原子に由来するレドックス反応により疑似容量を高める作用を有すると考えられる。また、炭素材料(NC)と有機電解液との界面でキャリア濃度を増加させ、空間電荷容量を向上させる作用、炭素六角網面内での電荷の偏りを誘引する作用なども有し得る。
【0054】
アニオンは、耐電圧特性を向上させる観点から、フッ素原子を含むことが好ましく、例えばBF および/またはPF が用いられる。好ましい有機塩として、具体的には、エチルトリメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートのようなテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0055】
有機電解液は、微量の水分を含み得る。ただし、炭素材料(NC)の構造安定性を高める観点から、有機電解液における含水率は、50質量ppm以下であることが好ましい。
【0056】
<電極(E)>
電極(E)には、結着剤、導電助剤などの任意成分を含ませてもよい。結着剤は、炭素材料(NC)の粒子同士の結合や、炭素材料(NC)の粒子と集電体との結合を補助する役割を有する。
【0057】
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)等のフッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアセテート等の水溶性樹脂等を用い得る。
【0058】
電極(E)の製造方法としては、例えば、炭素材料(NC)を任意成分(結着剤、導電助剤など)とともに水等の分散媒に分散させてスラリーを調製する。得られたスラリーを集電体に塗布し、塗膜を乾燥させることで、集電体に担持された活性層(電極層)が形成され、電極(E)が得られる。その後、活性層を圧延してもよい。
【0059】
集電体には、金属箔、金属多孔体などを用い得る。集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス、白金等を用い得る。これらの金属を主成分とする合金を用いてもよい。金属箔は、プレーン箔でもよいが、エッチング等により粗面化を施した箔、プラズマ処理を施した箔等であってもよい。金属多孔体は、例えば三次元網目構造を有する。
【0060】
<キャパシタ>
次に、電極(E)を備えるキャパシタの一例について説明する。図1は、有機電解液を具備する電気二重層キャパシタ(EDLC(NC))の一部切り欠き斜視図である。
【0061】
図示例のEDLC(NC)10は、捲回型のキャパシタ素子1を具備する。キャパシタ素子1は、それぞれシート状の電極(E)である第1電極2と第2電極3とをセパレータ4を介して捲回して構成されている。第1電極2および第2電極3は、それぞれ金属製の第1集電体、第2集電体と、その表面に担持された炭素材料(NC)を含む第1活性層、第2活性層を有し、イオンを吸着および脱着することで容量を発現する。第1、第2集電体には、例えば、アルミニウム箔が用いられる。集電体の表面は、エッチングなどの手法によって粗面化してもよい。セパレータ4には、例えば、セルロースを主成分とする不織布が用いられる。第1電極2および第2電極3には、それぞれ引出部材としてリード線5a、5bが接続されている。キャパシタ素子1は、有機電解液(図示なし)とともに円筒型の外装ケース6に収容されている。外装ケース6の材質は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮などの金属であればよい。外装ケース6の開口は、封口部材7によって封止されている。リード線5a、5bは、封口部材7を貫通するように外部に導出されている。封口部材7には、例えば、ブチルゴムなどのゴム材が用いられる。
【0062】
上記実施形態では、捲回型キャパシタについて説明したが、本発明の適用範囲は上記に限定されず、他構造のキャパシタ、例えば、積層型あるいはコイン型のキャパシタにも適用し得る。
【0063】
以下、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0064】
《実施例1》
定格電圧2.8Vの捲回型の電気二重層キャパシタを作製した。以下に、電気二重層キャパシタの具体的な製造方法について説明する。
【0065】
(1)炭素材料(NC)の合成
2,4-トルエンジイソシアネート50質量部にアルカンジオールとしてプロパンジオールを50質量部添加し、室温で24時間放置して硬化させ、架橋体を得た。架橋体を窒素雰囲気下で、700℃で0.5時間加熱して、炭素材料(NC1)を合成した。
【0066】
炭素材料(NC1)をFT-IRとXPSを組み合わせ構造解析したところ、C-O結合、C-O-C結合、 C=O結合、C=N結合、C-N結合などの存在が確認でき、イソシアヌル環を主成分として含むことが推認された。
【0067】
炭素材料(NC1)をXPS分析したところ、窒素含有率Cは12.1質量%、酸素含有率COXは4.3質量%、窒素含有率Cに対する酸素含有率COXの比:COX/Cは0.35であった。また、JIS M8813:2004に準拠して求めた窒素含有率Cは15.9質量%、酸素含有率COXは6.3質量%、COX/Cは0.4であった。分析装置には、酸素・窒素・水素分析装置(株式会社堀場製作所製のEGMA-830型)を用いた。
【0068】
炭素材料(NC1)の微分細孔容積分布を既述の方法で測定した結果を図2に示す。図2では、1.0nm以上2nm未満の範囲に第1ピーク、0.5nm以上1.0nm未満の範囲に第2ピーク、2.0nm以上3.0nm未満の範囲に第3ピーク、3.0nm以上6.0nm未満の範囲に第4ピークおよび6.0nm以上20nm未満の範囲にブロードな第5ピークを観測できる。既述の20nm以下の範囲の全細孔容積は、0.95cm/gであった。
【0069】
(2)電極(E)の作製
活物質である炭素材料(NC1)100質量部と、結着剤であるCMC10質量部とを、適量の水に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを厚み30μmのAl箔からなる集電体に塗布し、塗膜を110℃で真空乾燥し、圧延して、活性層を形成し、電極(E)を得た。
【0070】
電極(E)のLog微分細孔容積分布を既述の方法で測定した結果を図3に示す。図3では、0.1μm以上3μm以下の範囲にブロードなピークが見られる。
【0071】
(3)有機電解液の調製
有機塩であるトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを、非水溶媒であるプロピレンカーボネートに1.0mol/L濃度で溶解させて有機電解液を調製した。
【0072】
(4)EDLC(NC)の調製
一対の電極(E)を準備し、それぞれにリード線を接続し、セルロース製不織布のセパレータを介して捲回してキャパシタ素子を構成し、有機電解液とともに所定の外装ケースに収容し、封口部材で封口して、実施例1のキャパシタA1を完成させた。その後、定格電圧2.5Vを印加しながら、60℃で6時間エージング処理を行った。
【0073】
《比較例1》
汎用アルカリ賦活活性炭(「活性炭(CE1)」)を活物質として用いたこと以外、実施例1と同様に、一対の電極を作製し、比較例1のキャパシタB1を作製した。
【0074】
活性炭(CE1)をFT-IRおよびXPSで分析したところ、窒素に関するピークは検出されなかった。
【0075】
活性炭(CE1)の窒素含有率Cは0.07質量%、酸素含有率COXは4.08質量%、窒素含有率Cに対する酸素含有率COXの比:COX/Cは58であった。
【0076】
活性炭(CE1)の微分細孔容積分布を既述の方法で測定した結果、0.5nm以上1.0nm未満の範囲にシャープなピークのみが観察された。また、活性炭(CE1)を用いて作製した電極のLog微分細孔容積分布には、電極(E)のLog微分細孔容積分布で見られたブロードなピークが見られず、0.5μm以上では急激に頻度が減少した。
【0077】
[評価]
<初期容量>
-30℃の環境下で、電圧が2.8Vになるまで100mA/gの電流で定電流充電を行った後、2.8Vの電圧を印加した状態を7分間保持した。その後、-30℃の環境下で、電圧が0Vになるまで100mA/gの電流で定電流放電を行った。
【0078】
上記の放電において、電圧が2.24Vから1.12Vに降下するまでに要する時間t(sec)を測定した。なお、2.24Vは、2.8V(満充電時の電圧)の80%に相当する電圧であり、1.12Vは、2.8Vの40%に相当する電圧である。測定された時間tを用いて、下記式(A)よりキャパシタのフロート充電試験前の初期容量C1(F)を求めた。
容量C1=Id×t/ΔV1 (A)
なお、式(A)中、Idは、100mA/gと活物質量(g)より算出される電流値であり、ΔV1は、2.24Vから1.12Vを差し引いた値である。
【0079】
<初期抵抗>
上記の放電で得られた放電曲線(縦軸:放電電圧、横軸:放電時間)を用い、当該放電曲線の放電開始から0.5秒~2秒経過時の範囲における一次の近似直線を求め、当該近似直線の切片の電圧VSを求めた。放電開始時(放電開始から0秒経過時)の電圧V0から電圧VSを差し引いた値(V0-VS)をΔV2として求めた。ΔV2(V)と、放電時の電流値Id(100mA/gと活物質量(g)より算出される電流値)とを用いて、下記式(B)よりキャパシタのフロート充電試験前の内部抵抗(DCR)R1(Ω)を求めた。
内部抵抗R1=ΔV/Id (B)
【0080】
<フロート充電試験>
60℃の環境下で、電圧が2.8Vになるまで100mA/gの電流で定電流充電を行った後、2.8Vの電圧を1000時間保持した。このように、2.8Vの電圧を印加した状態でキャパシタを保存した。その後、60℃の環境下で、電圧が0Vになるまで100mA/gの電流で定電流放電を行った。
【0081】
その後、フロート充電試験前の容量および内部抵抗の測定の場合と同様の方法により、-30℃の環境下で充放電を行い、キャパシタのフロート充電試験後の容量C2(F)および内部抵抗R2(Ω)を求めた。
【0082】
初期に対するキャパシタの容量維持率と抵抗増加率を測定した。容量維持率は、初期容量を100%としたときのフロート充電試験後の容量の相対値である。抵抗増加率とは、初期低温抵抗を100%としたときのフロート充電試験後の低温抵抗の相対値である。
【0083】
【表1】
【0084】
表1の結果は、炭素材料(NC)を活物質として用いることにより、初期容量と信頼性を両立し得るキャパシタが得られることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、初期容量と信頼性を両立し得るキャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)が得られる。
【符号の説明】
【0086】
1:キャパシタ素子、2:第1電極、3:第2電極、4:セパレータ、5a:第1リード線、5b:第2リード線、6:外装ケース、7:封口部材、10:キャパシタ
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
前記窒素含有炭素材料を含む電極のLog微分細孔容積分布Bが、0.1μm以上3μm以下の範囲にブロードなピークを有する、請求項1または3に記載のキャパシタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の更に別の側面は、窒素含有炭素材料を含み、前記窒素含有炭素材料が、6員環を含み、前記6員環は、1つ以上のカルボニル炭素および/または2つ以上の窒素原子を含む、電極活物質に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3