(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014299
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】フォイル軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 27/02 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
F16C27/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117018
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】篠田 史也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文博
【テーマコード(参考)】
3J012
【Fターム(参考)】
3J012AB07
3J012BB01
3J012EB08
3J012EB10
3J012EB11
3J012FB01
(57)【要約】
【課題】回転軸をラジアル方向に安定的に支持することができるとともに、回転軸の振動を減衰させやすくしつつも、軸受ハウジングの摩耗を抑制できるフォイル軸受を提供すること。
【解決手段】フォイル軸受10は、軸受ハウジング20と、トップフォイル30と、バンプフォイル40と、を備えている。バンプフォイル40は、第1部位50と、第2部位60と、少なくとも第1部位50と第2部位60との間に設けられており、トップフォイル30と接触可能である第3部位70と、を有している。第3部位70は、トップフォイル30における径方向外側方向への変位によってトップフォイルから第2部位60に入力される荷重Gが所定値以下である場合には、トップフォイル30と非接触であり、荷重Gが所定値を上回る場合には、第2部位60の弾性変形に伴いトップフォイル30と接触する。第1部位50は、内周面20aと面接触している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸をラジアル方向に支持するフォイル軸受であって、
前記回転軸が挿通される筒状の軸受ハウジングと、
前記回転軸と前記軸受ハウジングとの間に配置される薄板状のトップフォイルと、
前記軸受ハウジングを形成する材料よりも硬度が高い材料により形成されており、且つ前記軸受ハウジングと前記トップフォイルとの間において前記トップフォイルを弾性的に支持する薄板状のバンプフォイルと、を備え、
前記バンプフォイルは、
前記軸受ハウジングの内周面と接触している第1部位と、
前記トップフォイルと接触しているとともに前記トップフォイルにおける前記軸受ハウジングの径方向外側方向への変位に伴い弾性変形する第2部位と、
少なくとも前記第1部位と前記第2部位との間に設けられており、且つ前記トップフォイルと接触可能である第3部位と、を有し、
前記第3部位は、前記トップフォイルにおける前記軸受ハウジングの径方向外側方向への変位によって前記トップフォイルから前記第2部位に入力される荷重が所定値以下である場合には、前記トップフォイルと非接触であり、前記荷重が前記所定値を上回る場合には、前記第2部位の弾性変形に伴い前記トップフォイルと接触し、
前記第1部位は、前記内周面と面接触していることを特徴とするフォイル軸受。
【請求項2】
前記バンプフォイルは、少なくとも前記第1部位と前記第2部位との間に設けられており、且つ前記内周面と接触可能な第4部位を有し、
前記第4部位は、前記荷重が所定値以下である場合には、前記内周面と非接触であり、前記荷重が前記所定値を上回る場合には、前記第2部位の弾性変形に伴い前記内周面と接触する、請求項1に記載のフォイル軸受。
【請求項3】
前記荷重が前記所定値を上回る場合、前記第4部位は、前記内周面と面接触している、請求項2に記載のフォイル軸受。
【請求項4】
前記バンプフォイルの板厚は、均一であり、
前記バンプフォイルは、前記第1部位と前記第2部位との間に設けられた前記第3部位の一部を切り欠くことにより形成された切り欠き部を有している、請求項2又は請求項3に記載のフォイル軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸をラジアル方向に支持するフォイル軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
回転軸をラジアル方向に支持するフォイル軸受は、軸受ハウジングと、トップフォイルと、バンプフォイルと、を備えている。ラジアル方向とは、回転軸の径方向である。軸受ハウジングは、筒状である。軸受ハウジングには、回転軸が挿通される。トップフォイルは、薄板状である。トップフォイルは、回転軸と軸受ハウジングとの間に配置されている。バンプフォイルは、薄板状である。バンプフォイルは、軸受ハウジングとトップフォイルとの間においてトップフォイルを弾性的に支持する。このようなフォイル軸受は、回転軸の回転数が所定の回転数に到達したとき、回転軸とトップフォイルとの間に流体膜が形成される。当該流体膜の動圧によって、回転軸がトップフォイルに対して浮上する。これによって、フォイル軸受は、回転軸をラジアル方向に支持する。
【0003】
詳細には、バンプフォイルは、軸受ハウジングの内周面と接触している第1部位と、トップフォイルと接触している第2部位と、を有している。ここで、トップフォイルは、回転軸とトップフォイルとの間に形成される流体膜の動圧により、軸受ハウジングの径方向外側方向へ変位する。すると、第2部位には、トップフォイルにおける軸受ハウジングの径方向外側方向への変位によってトップフォイルから荷重が入力される。これにより、第2部位が弾性変形することで、バンプフォイルがトップフォイルを弾性的に支持する。
【0004】
ところで、例えば、バンプフォイルが剛性の高い材質により形成されていると、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値以下である場合に、第2部位が弾性変形し難くなってしまう。すると、トップフォイルが軸受ハウジングの径方向外側方向へ変位しても、バンプフォイルによってトップフォイルを弾性的に支持し難くなってしまう。その結果、回転軸をラジアル方向に安定的に支持することができなくなってしまう。
【0005】
一方で、例えば、バンプフォイルが剛性の低い材質により形成されていると、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値を上回る場合に、第2部位が過剰に変形してしまう虞がある。その結果、バンプフォイルが過剰に変形してしまうことになるため、回転軸をラジアル方向に安定的に支持することができなくなってしまう。
【0006】
そこで、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値以下である場合には、トップフォイルと非接触である第3部位をさらに有するバンプフォイルが、例えば特許文献1に開示されている。このようなバンプフォイルにおいて、第3部位は、当該荷重が所定値を上回る場合には、第2部位の弾性変形に伴いトップフォイルと接触するように構成されている。これによれば、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値以下である場合であっても、第3部位がトップフォイルと非接触であることによりバンプフォイルの弾性変形量が確保される。このため、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値以下である場合であっても、バンプフォイルによってトップフォイルを弾性的に支持できる。一方で、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値を上回る場合には、第3部位がトップフォイルと接触することによりバンプフォイルの剛性が向上する。このため、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値を上回る場合であっても、バンプフォイルが過剰に変形しない。したがって、第3部位を有するバンプフォイルにより回転軸をラジアル方向に安定的に支持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、第1部位が軸受ハウジングの内周面の曲率半径よりも小さい曲率半径で湾曲している場合、当該第1部位がばね構造となる。このため、振動している回転軸の変位をバンプフォイルで支持した際に、第1部位が弾性変形すると、回転軸の振動が減衰しにくくなる虞がある。
【0009】
また、バンプフォイルが軸受ハウジングを形成する材料よりも硬度が高い材料により形成されている場合、バンプフォイルにおける第1部位と軸受ハウジングの内周面との接触面積が少ないと、軸受ハウジングの摩耗が促進される虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するフォイル軸受は、回転軸をラジアル方向に支持するフォイル軸受であって、前記回転軸が挿通される筒状の軸受ハウジングと、前記回転軸と前記軸受ハウジングとの間に配置される薄板状のトップフォイルと、前記軸受ハウジングを形成する材料よりも硬度が高い材料により形成されており、且つ前記軸受ハウジングと前記トップフォイルとの間において前記トップフォイルを弾性的に支持する薄板状のバンプフォイルと、を備え、前記バンプフォイルは、前記軸受ハウジングの内周面と接触している第1部位と、前記トップフォイルと接触しているとともに前記トップフォイルにおける前記軸受ハウジングの径方向外側方向への変位に伴い弾性変形する第2部位と、少なくとも前記第1部位と前記第2部位との間に設けられており、且つ前記トップフォイルと接触可能である第3部位と、を有し、前記第3部位は、前記トップフォイルにおける前記軸受ハウジングの径方向外側方向への変位によって前記トップフォイルから前記第2部位に入力される荷重が所定値以下である場合には、前記トップフォイルと非接触であり、前記荷重が前記所定値を上回る場合には、前記第2部位の弾性変形に伴い前記トップフォイルと接触し、前記第1部位は、前記内周面と面接触している。
【0011】
回転軸の回転数が所定の回転数に到達したとき、回転軸とトップフォイルとの間に流体膜が形成される。そして、回転軸は流体膜によりラジアル方向に支持される。トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値以下である場合、バンプフォイルの第3部位がトップフォイルと非接触であるため、バンプフォイルの弾性変形量を確保できる。このため、バンプフォイルによってトップフォイルを弾性的に支持できる。トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値を上回る場合、バンプフォイルの第3部位がトップフォイルと接触するため、バンプフォイルの剛性が向上する。このため、バンプフォイルが過剰に変形しない。よって、回転軸をラジアル方向に安定的に支持することができる。
【0012】
バンプフォイルの第1部位が軸受ハウジングの内周面と面接触している。このため、振動している回転軸をバンプフォイルにより支持した際に、第1部位が変形しにくい。第1部位がばね構造である場合と比較すると、回転軸の変位を軸受ハウジングで受け止めやすくなるため、回転軸の振動を減衰させやすい。
【0013】
さらに、第1部位が軸受ハウジングの内周面と面接触しているため、第1部位と軸受ハウジングとの接触面積を確保しやすくなる。よって、バンプフォイルが、軸受ハウジングを形成する材料よりも硬度が高い材料により形成されていても、バンプフォイルによる軸受ハウジングの摩耗が抑制される。以上により、回転軸をラジアル方向に安定的に支持することができるとともに、回転軸の振動を減衰させやすくしつつも、軸受ハウジングの摩耗を抑制できる。
【0014】
上記のフォイル軸受において、前記バンプフォイルは、少なくとも前記第1部位と前記第2部位との間に設けられており、且つ前記内周面と接触可能な第4部位を有し、前記第4部位は、前記荷重が所定値以下である場合には、前記内周面と非接触であり、前記荷重が前記所定値を上回る場合には、前記第2部位の弾性変形に伴い前記内周面と接触するとよい。
【0015】
上記構成によれば、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値を上回る場合、第2部位及び第3部位がトップフォイルと接触するとともに、第1部位及び第4部位が軸受ハウジングの内周面と接触する。このため、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値を上回る場合にバンプフォイルの剛性が更に向上する。よって、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値を上回る場合、バンプフォイルの過剰な変形がより抑制される。よって、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値を上回る場合であっても回転軸をラジアル方向により安定的に支持することができる。
【0016】
上記のフォイル軸受において、前記荷重が前記所定値を上回る場合、前記第4部位は、前記内周面と面接触しているとよい。
上記構成によれば、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値を上回った場合に第1部位だけでなく第4部位も軸受ハウジングの内周面と面接触する。よって、バンプフォイルと軸受ハウジングの内周面との接触面積が確保される。よって、バンプフォイルによる軸受ハウジングの摩耗をより抑制できる。
【0017】
上記のフォイル軸受において、前記バンプフォイルの板厚は、均一であり、前記バンプフォイルは、前記第1部位と前記第2部位との間に設けられた前記第3部位の一部を切り欠くことにより形成された切り欠き部を有しているとよい。
【0018】
上記構成によれば、第1部位と第2部位との間に設けられた第3部位の剛性が、第1部位と第2部位との間に設けられた第4部位の剛性よりも小さくなる。これにより、第1部位と第2部位との間に設けられた第3部位が、第1部位と第2部位との間に設けられた第4部位よりも弾性変形しやすい。よって、トップフォイルから第2部位に入力される荷重が所定値を上回るとき、第1部位と第2部位との間に設けられた第4部位の変形が抑えられる。したがって、第4部位と軸受ハウジングとの接触面積の減少を抑制できるため、軸受ハウジングの摩耗抑制効果を好適に得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、回転軸をラジアル方向に安定的に支持することができるとともに、回転軸の振動を減衰させやすくしつつも、軸受ハウジングの摩耗を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】フォイル軸受が搭載された遠心圧縮機を示す概略構成図である。
【
図4】荷重が所定値を上回る場合のフォイル軸受の断面図である。
【
図5】荷重とバンプフォイルの弾性変形量との関係を示すグラフである。
【
図6】フォイル軸受の変更例におけるバンプフォイルの斜視図である。
【
図7】フォイル軸受の変更例におけるバンプフォイルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、フォイル軸受を具体化した実施形態を
図1~
図5にしたがって説明する。なお、本実施形態のフォイル軸受は、遠心圧縮機に搭載されている。
<遠心圧縮機>
図1に示すように、遠心圧縮機100は、2つのフォイル軸受10と、ハウジング101と、電動モータ102と、回転軸103と、インペラ104と、を備えている。電動モータ102、回転軸103、及びインペラ104は、ハウジング101に収容されている。電動モータ102は、ハウジング101に形成されたモータ室101aに収容されている。インペラ104は、ハウジング101に形成されたインペラ室101bに収容されている。回転軸103は、モータ室101aからインペラ室101bに至るまで延びている。回転軸103には、電動モータ102が取り付けられている。回転軸103の端部には、インペラ104が取り付けられている。電動モータ102が駆動することにより回転軸103が回転する。回転軸103が回転すると、インペラ104が回転する。インペラ104が回転すると、ハウジング101の外部からインペラ室101bに流体が引き込まれる。インペラ室101b内に引き込まれた流体は、インペラ104の回転に伴い圧縮される。圧縮された流体は、ハウジング101の外部に吐出される。
【0022】
2つのフォイル軸受10は、回転軸103をラジアル方向Rdに支持している。ラジアル方向Rdは、回転軸103の径方向である。2つのフォイル軸受10は、回転軸103の軸方向において電動モータ102を挟む位置に設けられている。2つのフォイル軸受10は、ハウジング101に固定されている。
【0023】
<フォイル軸受>
図2に示すように、フォイル軸受10は、筒状の軸受ハウジング20と、薄板状のトップフォイル30と、3つの薄板状のバンプフォイル40と、を備えている。なお、
図2に示すフォイル軸受10は、回転軸103が回転していないときの状況を記載している。
【0024】
<軸受ハウジング>
軸受ハウジング20には、回転軸103が挿通される。以下の説明では、軸受ハウジング20の軸方向を単に「軸方向A」、軸受ハウジング20の周方向を単に「周方向B」、軸受ハウジング20の径方向を単に「径方向C」と記載する。
【0025】
軸受ハウジング20は、内周面20aを有している。内周面20aは、周方向Bに湾曲した円筒面である。軸受ハウジング20の内周面20aには、保持溝20bが形成されている。保持溝20bは、内周面20aに3つ設けられている。3つの保持溝20bは、周方向Bにおいて所定の間隔を空けて配置されている。保持溝20bは、軸方向Aに延びている。なお、軸受ハウジング20を形成する材料は、例えばアルミニウムである。
【0026】
<トップフォイル>
トップフォイル30は、軸受ハウジング20の内側に配置されている。トップフォイル30は、回転軸103と軸受ハウジング20との間に配置される。トップフォイル30は、可撓性を有する長尺状の金属板材を筒状に湾曲させることにより形成されている。トップフォイル30は、略円筒状である。トップフォイル30の軸方向は、軸方向Aと一致している。トップフォイル30の周方向は、周方向Bと一致している。トップフォイル30の径方向は、径方向Cと一致している。トップフォイル30は、長縁が周方向Bに延びるように、且つ短縁が軸方向Aに延びるように筒状に湾曲させることで形成されている。トップフォイル30を形成する金属板材は、例えば、ステンレス鋼やインコネル(登録商標)型のニッケル合金により形成されている。すなわち、トップフォイル30は、軸受ハウジング20を形成する材料よりも硬度が高い材料により形成されている。
【0027】
トップフォイル30は、固定端部31と、自由端部32と、を有している。固定端部31は、トップフォイル30を形成する金属板材の長辺方向に位置する一方の端部をトップフォイル30の径方向外側へ折り曲げることにより形成されている。固定端部31は、3つの保持溝20bのうちの1つに挿入されている。固定端部31は、例えば溶接等により保持溝20bに固定されている。自由端部32は、トップフォイル30を形成する金属板材の長辺方向に位置する他方の端部である。自由端部32は、固定端部31の基端に対して周方向Bで離れた状態で対向している。したがって、トップフォイル30は、一部が切り欠かれた非環状である。
【0028】
<バンプフォイル>
3つのバンプフォイル40は、軸受ハウジング20とトップフォイル30との間に配置される。各バンプフォイル40は、トップフォイル30よりも径方向Cの外側に配置されている。各バンプフォイル40は、周方向Bにおいて所定の間隔を空けて配置されている。各バンプフォイル40の板厚は、トップフォイル30の板厚よりも薄い。各バンプフォイル40の板厚は、均一である。
【0029】
各バンプフォイル40は、可撓性を有する長尺状の金属板材を略円弧状に湾曲させることにより形成されている。各バンプフォイル40の短辺方向は、軸方向Aに一致している。バンプフォイル40を形成する金属板材は、例えば、ステンレス鋼やインコネル型のニッケル合金により形成されている。各バンプフォイル40は、軸受ハウジング20を形成する材料よりも硬度が高い材料により形成されている。
【0030】
各バンプフォイル40は、固定端部41と、自由端部42と、を有している。固定端部41は、バンプフォイル40を形成する金属板材の長辺方向に位置する一方の端部である。各バンプフォイル40の固定端部41は、各保持溝20bに挿入されている。1つの固定端部41は、トップフォイル30の固定端部31とともに1つの保持溝20bに挿入されている。トップフォイル30の固定端部31とともに保持溝20bに挿入された固定端部41は、例えば溶接等により固定端部31とともに保持溝20bに固定されている。残り2つの固定端部41は、残り2つの保持溝20bの各々に例えば溶接等により固定されている。自由端部42は、バンプフォイル40を形成する金属板材の長辺方向に位置する他方の端部である。周方向Bで隣り合うバンプフォイル40の一方の自由端部42は、周方向Bで隣り合うバンプフォイル40の他方の固定端部41と所定の間隔を空けて配置されている。なお、固定端部31,41の保持溝20bへの固定手段は適宜変更してもよい。
【0031】
各バンプフォイル40は、2つの第1部位50と、2つの第2部位60と、第1延設部71と、第2延設部72と、第3延設部73と、第1端板部81と、第2端板部82と、を有している。
【0032】
2つの第1部位50は、各バンプフォイル40の一部をバンプフォイル40の厚さ方向に湾曲させることにより形成されている。2つの第1部位50は、バンプフォイル40の長辺方向に間隔を空けて設けられている。2つの第1部位50は、周方向Bにおいて所定の間隔を空けて設けられている。2つの第1部位50は、軸受ハウジング20の内周面20aに沿って延びている。2つの第1部位50は、軸受ハウジング20の内周面20aの曲率半径Rで湾曲している。2つの第1部位50は、軸受ハウジング20の内周面20aと面接触している。各バンプフォイル40が軸受ハウジング20の内側に設けられた状態において、第1部位50は、軸受ハウジング20の内周面20aの曲率半径Rで湾曲している。
【0033】
2つの第2部位60は、各バンプフォイル40の一部を厚さ方向に屈曲させることにより形成されている。2つの第2部位60は、バンプフォイル40の長辺方向において第1部位50と交互に配置されている。2つの第2部位60は、周方向Bにおいて所定の間隔を空けて設けられている。2つの第2部位60は、トップフォイル30に向けて膨らむように屈曲している。2つの第2部位60は、トップフォイル30と接触している。第2部位60とトップフォイル30との接触面積は、第1部位50と軸受ハウジング20との接触面積よりも小さい。
【0034】
図3には、バンプフォイル40が軸受ハウジング20の内側に配置されていない場合のバンプフォイル40を示している。この場合、第1部位50は、軸受ハウジング20の内周面20aの曲率半径Rよりも大きい曲率半径R1で湾曲している。そして、
図2に示すように、各バンプフォイル40が軸受ハウジング20の内側に配置された場合、バンプフォイル40が軸受ハウジング20とトップフォイル30との間に挟み込まれる。これにより、第1部位50は、軸受ハウジング20の内周面20aに沿って延びるように弾性変形する。なお、第1部位50の曲率半径R1は、曲率半径Rと同じであってもよい。この場合、各バンプフォイル40が軸受ハウジング20の内側に配置された場合、第1部位50は弾性変形することなく軸受ハウジング20の内周面20aに沿って延びる。
【0035】
第1延設部71は、第1部位50に連続している。第1延設部71と第1部位50との境界は、軸受ハウジング20に向けて膨らむように屈曲している。第1延設部71と第1部位50とのなす角度は、鈍角である。第1延設部71は、第1部位50からトップフォイル30に向けて延びている。第1延設部71は、トップフォイル30に至るまで延びていない。
【0036】
第2延設部72は、第2部位60に連続している。第2延設部72は、第2部位60から軸受ハウジング20に向けて延びている。第2延設部72は、軸受ハウジング20に至るまで延びていない。
【0037】
第3延設部73は、第1延設部71と第2延設部72との間に延びている。第3延設部73は、第1延設部71と連続している。第1延設部71と第3延設部73とのなす角度は、鈍角である。第1延設部71と第3延設部73との境界には、トップフォイル30に向けて膨らむように屈曲した第1屈曲部711が形成されている。第3延設部73は、第1延設部71とともに第1屈曲部711を形成している。第1屈曲部711は、第1部位50と第2部位60との間に設けられている。第1屈曲部711は、第1延設部71と第3延設部73とが近づいたり離れたりするときに弾性力を発生させるばね構造である。回転軸103が回転していない場合、第1屈曲部711は、トップフォイル30と非接触である。
【0038】
第3延設部73は、第2延設部72と連続している。第2延設部72と第3延設部73とのなす角度は、鈍角である。第2延設部72と第3延設部73との境界には、軸受ハウジング20に向けて膨らむように屈曲した第2屈曲部712が形成されている。第3延設部73は、第2延設部72とともに第2屈曲部712を形成している。第2屈曲部712は、第2延設部72と第3延設部73とが近づいたり離れたりするときに弾性力を発生させるばね構造である。第3延設部73及び第2屈曲部712は、第1部位50と第2部位60との間に設けられている。回転軸103が回転していない場合、第2屈曲部712は、軸受ハウジング20と非接触である。よって、バンプフォイル40は、軸受ハウジング20とトップフォイル30との間において第2部位60、第1屈曲部711、及び第2屈曲部712の各々の弾性力によりトップフォイル30を弾性的に支持する。
【0039】
第2屈曲部712は、第1屈曲部711よりも軸受ハウジング20の内周面20aに近い位置に配置されている。第1屈曲部711は、第2屈曲部712よりもトップフォイル30に近い位置に配置されている。つまり、回転軸103が回転していない場合、第3延設部73は、周方向Bにおいて第1屈曲部711から第2屈曲部712に向かうにつれて徐々に軸受ハウジング20の内周面20aに近づくように延びている。
【0040】
図2及び
図3に示すように、回転軸103が回転していない場合、第3延設部73は、軸受ハウジング20に向けて膨らむように湾曲している。第3延設部73は、軸受ハウジング20の内周面20aの曲率半径Rよりも大きい曲率半径R2で湾曲している。なお、回転軸103が回転していない場合、第3延設部73の曲率半径R2は、曲率半径Rと同じであってもよい。要するに、回転軸103が回転していない場合、第3延設部73は、曲率半径R以上の曲率半径R2で湾曲していればよい。
【0041】
第1端板部81は、各バンプフォイル40の固定端部41の基端と第1部位50との間に設けられている。第1端板部81は、各バンプフォイル40の固定端部41の基端に連続している。第1端板部81は、第1部位50に連続している。第1端板部81は、第1板部81aと、第2板部81bと、第3板部81cと、を有している。第1板部81aは、各バンプフォイル40の固定端部41の基端から軸受ハウジング20とトップフォイル30との間に向けて延びている。第2板部81bは、各バンプフォイル40の一部を厚さ方向に屈曲させることにより形成されている。第2板部81bは、トップフォイル30に向けて膨らむように屈曲している。回転軸103が回転していない場合、第2板部81bは、トップフォイル30と非接触である。第3板部81cは、第2板部81bと第1部位50とに連続している。第3板部81cは、第2板部81bから軸受ハウジング20に向けて延びている。
【0042】
第2端板部82は、各バンプフォイル40の自由端部42と第2部位60との間に設けられている。第2端板部82は、各バンプフォイル40の自由端部42に連続している。第2端板部82は、第2部位60と連続している。第2端板部82は、軸受ハウジング20に向けて膨らむように湾曲している湾曲部位82aを有している。湾曲部位82aは、軸受ハウジング20の内周面20aの曲率半径Rと同じ曲率半径で湾曲している。回転軸103が回転していない場合、第2端板部82は、軸受ハウジング20と非接触である。
【0043】
<トップフォイルの変形及びバンプフォイルの変形>
図2に示すように、遠心圧縮機100が駆動し始めると、回転軸103が矢印Dの方向に回転する。回転軸103の回転数が所定の回転数に到達したとき、回転軸103とトップフォイル30との間に流体膜が形成される。この流体膜の動圧によって、回転軸103がトップフォイル30に対して浮上する。この流体膜により回転軸103がトップフォイル30と非接触である状態でラジアル方向Rdに支持される。
【0044】
回転軸103が回転して流体膜が形成されると、流体膜によりトップフォイル30が軸受ハウジング20の径方向外側方向に向けて膨らむように弾性変形する。径方向外側方向とは、径方向Cのうち軸受ハウジング20の軸線から内周面20aに向かう方向である。すると、トップフォイル30における軸受ハウジング20の径方向外側方向への変位によってトップフォイル30から第2部位60に荷重Gが入力される。
【0045】
回転軸103の回転数が所定の回数数から上昇していくと、荷重Gも上昇していく。荷重Gが上昇していくことにより、トップフォイル30がバンプフォイル40の第2部位60を軸受ハウジング20に向けて押圧することにより第2屈曲部712が軸受ハウジング20の内周面20aに徐々に近づく。荷重Gが上昇していくことにより、トップフォイル30が第1端板部81の第2板部81b及び第1屈曲部711に近づく。荷重Gが上昇していくことにより、バンプフォイル40の第2端板部82が軸受ハウジング20の内周面20aに近づく。
【0046】
荷重Gが所定値Gth以下である場合には、第2屈曲部712及び第3延設部73は軸受ハウジング20の内周面20aと非接触である。荷重Gが所定値Gth以下である場合、第2端板部82の湾曲部位82aは、軸受ハウジング20の内周面20aと非接触である。荷重Gが所定値Gth以下である場合、第1端板部81の第2板部81b及び第1屈曲部711はトップフォイル30と非接触である。
【0047】
図4に示すように、荷重Gが所定値Gthを上回る場合、第2屈曲部712及び第3延設部73は軸受ハウジング20の内周面20aと接触する。荷重Gが所定値Gthを上回る場合、第2端板部82の湾曲部位82aが軸受ハウジング20の内周面20aと面接触する。荷重Gが所定値Gthを上回る場合、第1端板部81の第2板部81b及び第1屈曲部711はトップフォイル30と接触する。
【0048】
荷重Gが所定値Gthを上回ると、第2部位60は、周方向Bに広がるように弾性変形する。第2部位60は、トップフォイル30における軸受ハウジング20の径方向外側方向への変位に伴い弾性変形する。第2部位60が周方向Bに広がるように弾性変形すると、第2部位60の弾性力が第2延設部72を介して第3延設部73に伝わる。このとき、第1屈曲部711はトップフォイル30と接触しているため、第1屈曲部711にも荷重Gが作用している。第3延設部73には、第2延設部72側から第2部位60の弾性力が作用しており、且つ第1延設部71側から荷重Gが作用しているため、第3延設部73が厚さ方向に屈曲するように弾性変形する。これにより、第3延設部73における屈曲した箇所と第1延設部71との間に位置する部位は、第1延設部71に近接する。すなわち、第1屈曲部711が周方向Bに圧縮される。
【0049】
また、第3延設部73における屈曲した箇所と第2延設部72との間に位置する部位が、荷重Gにより軸受ハウジング20の内周面20aに押し付けられる。このため、第3延設部73の一部が軸受ハウジング20の内周面20aに沿って延びるように弾性変形する。よって、荷重Gが所定値Gthを上回る場合、第3延設部73の一部は、軸受ハウジング20の内周面20aに沿って当該内周面20aと接触する。
【0050】
第2板部81b及び第1屈曲部711は、荷重Gが所定値Gth以下である場合には、トップフォイル30と非接触であり、荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、第2部位60の弾性変形に伴いトップフォイル30と接触する第3部位70である。バンプフォイル40は、少なくとも第1部位50と第2部位60との間に設けられており、且つトップフォイル30と接触可能な第3部位70を有している。
【0051】
第2屈曲部712、第3延設部73、及び湾曲部位82aは、荷重Gが所定値Gth以下である場合には、内周面20aと非接触であり、荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、第2部位60の弾性変形に伴い内周面20aと接触する第4部位80である。バンプフォイル40は、少なくとも第1部位50と第2部位60との間に設けられており、且つ内周面20aと接触可能な第4部位80を有している。また、第3延設部73の一部が内周面20aと面接触している。このため、荷重Gが所定値Gthを上回る場合、第4部位80は、内周面20aと面接触している。
【0052】
<荷重とバンプフォイルの弾性変形量との関係>
図2及び
図5に示すように、荷重Gが所定値Gth以下である場合には、第3部位70は、トップフォイル30と非接触である。このため、荷重Gが所定値Gth以下である場合には、バンプフォイル40の弾性変形量を確保できる。このため、荷重Gが所定値Gth以下である場合には、荷重Gの上昇に伴うバンプフォイル40の弾性変形量は、比較的多くなるといえる。
【0053】
図4及び
図5に示すように、荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、第3部位70がトップフォイル30と接触し、且つ第4部位80が内周面20aと接触する。このため、バンプフォイル40の剛性が向上する。このため、荷重Gが所定値Gthを上回る場合、バンプフォイル40の弾性変形量は、荷重Gが所定値Gth以下である場合のバンプフォイル40の弾性変形量よりも少なくなる。このため、荷重Gが所定値Gthを上回る場合、荷重Gの上昇に伴うバンプフォイル40の弾性変形量は、比較的少なくなるといえる。
【0054】
図5に示すように、本実施形態のバンプフォイル40は、荷重Gが所定値Gth以下である場合に剛性を比較的低く抑えつつ、荷重Gが所定値Gthを上回る場合に剛性を比較的高くするばね特性を有している。
【0055】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
回転軸103の回転数が所定の回転数に到達したとき、回転軸103とトップフォイル30との間に流体膜が形成される。そして、回転軸103は流体膜によりラジアル方向Rdに支持される。トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gth以下である場合、バンプフォイル40の第3部位70がトップフォイル30と非接触であるため、バンプフォイル40の弾性変形量を確保できる。このため、バンプフォイル40によってトップフォイル30を弾性的に支持できる。トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合、バンプフォイル40の第3部位70がトップフォイル30と接触するため、バンプフォイル40の剛性が向上する。このため、バンプフォイル40が過剰に変形しない。よって、回転軸103をラジアル方向Rdに安定的に支持することができる。
【0056】
バンプフォイル40の第1部位50が軸受ハウジング20の内周面20aと面接触している。このため、振動している回転軸103をバンプフォイル40により支持した際に、第1部位50が変形しにくい。第1部位50がばね構造である場合と比較すると、回転軸103の変位を軸受ハウジング20で受け止めやすくなるため、回転軸103の振動を減衰させやすい。さらに、第1部位50が軸受ハウジング20の内周面20aと面接触しているため、第1部位50と軸受ハウジング20との接触面積を確保しやすくなる。よって、バンプフォイル40が、軸受ハウジング20を形成する材料よりも硬度が高い材料により形成されていても、バンプフォイル40による軸受ハウジング20の摩耗が抑制される。
【0057】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)バンプフォイル40の第1部位50が軸受ハウジング20の内周面20aと面接触することにより、回転軸103の振動を軸受ハウジング20で受け止めつつ、バンプフォイル40と軸受ハウジング20との接触面積を確保できる。以上により、回転軸103をラジアル方向Rdに安定的に支持することができるとともに、回転軸103の振動を減衰させやすくしつつも、軸受ハウジング20の摩耗を抑制できる。ひいては、フォイル軸受10の長寿命化を実現することができる。
【0058】
(2)トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合、第2部位60及び第3部位70がトップフォイル30と接触するとともに、第1部位50及び第4部位80が軸受ハウジング20の内周面20aと接触する。このため、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合にバンプフォイル40の剛性が更に向上する。よって、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合、バンプフォイル40の過剰な変形がより抑制される。よって、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合であっても回転軸103をラジアル方向Rdにより安定的に支持することができる。
【0059】
(3)トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回った場合に第1部位50だけでなく第4部位80も軸受ハウジング20の内周面20aと面接触する。よって、バンプフォイル40と軸受ハウジング20の内周面20aとの接触面積が確保される。よって、バンプフォイル40による軸受ハウジング20の摩耗をより抑制できる。
【0060】
(4)回転軸103の振動を減衰させやすくなるため、回転軸103が振動することにより軸受ハウジング20が共振することを抑制できる。
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0061】
○
図6に示すように、バンプフォイル40は、第1切り欠き部74と、第2切り欠き部75と、を有していてもよい。第1切り欠き部74は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1屈曲部711の両側の一部を切り欠くことにより形成されている。本変更例では、第3延設部73における第1切り欠き部74に隣り合う一部も切り欠いている。このため、第1切り欠き部74は、バンプフォイル40の長辺方向において、第3延設部73における第1屈曲部711を形成する一部分にまで設けられている。第1切り欠き部74は、第1部位50と第2部位60との間に設けられた第3部位70の一部を切り欠くことにより形成された切り欠き部である。
【0062】
第1切り欠き部74を形成することにより、バンプフォイル40の短辺方向において、第1屈曲部711は、第3延設部73のうち最も長い箇所よりも短い。第1切り欠き部74により第3延設部73を切り欠く量は、荷重Gが所定値Gthを上回る場合に第3延設部73の一部と軸受ハウジング20の内周面20aとが面接触することにより接触面積を十分に確保できる量とする。
【0063】
第2切り欠き部75は、バンプフォイル40の短辺方向において、第2部位60の両側の一部を切り欠くことにより形成されている。第2切り欠き部75を形成することにより、バンプフォイル40の短辺方向において、第2部位60は、第3延設部73のうち最も長い箇所よりも短い。
【0064】
バンプフォイル40は、第3切り欠き部76と、第4切り欠き部77と、を有していてもよい。第3切り欠き部76は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1端板部81の両側の一部を切り欠くことにより形成されている。第3切り欠き部76は、第1端板部81の第2板部81bの一部を切り欠いている。第3切り欠き部76を形成することにより、バンプフォイル40の短辺方向において、第1端板部81は、第1部位50よりも短い。
【0065】
第4切り欠き部77は、バンプフォイル40の短辺方向において、第2端板部82の両側の一部及び自由端部42の両側の一部を切り欠くことにより形成されている。第4切り欠き部77を形成することにより、バンプフォイル40の短辺方向において、第2端板部82は、第3延設部73のうち最も長い箇所よりも短い。バンプフォイル40の短辺方向において、自由端部42は、第2端板部82と同じ長さである。
【0066】
このように変更することにより、第1切り欠き部74により第1屈曲部711の剛性が、第3延設部73の剛性よりも小さくなる。これにより、第1屈曲部711が第3延設部73よりも弾性変形しやすい。よって、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回るとき、第3延設部73の変形が抑えられる。したがって、第1部位50と第2部位60との間に設けられた第4部位80と軸受ハウジング20との接触面積の減少を抑制できるため、軸受ハウジング20の摩耗抑制効果を好適に得ることができる。
【0067】
第2切り欠き部75により第2部位60がより弾性変形しやすくなる。このため、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、第3延設部73の一部が軸受ハウジング20の内周面20aと面接触した状態を維持しやすくなる。
【0068】
第3切り欠き部76により第1端板部81の第2板部81bがより弾性変形しやすくなる。このため、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、第1部位50が軸受ハウジング20の内周面20aと面接触した状態を維持しやすくなる。
【0069】
第4切り欠き部77により第2端板部82が弾性変形しやすくなるため、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、湾曲部位82aが軸受ハウジング20の内周面20aに向けて押し付けられやすくなる。
【0070】
○
図6に示す変更例において、第1切り欠き部74は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1屈曲部711の一方側だけ切り欠くことにより形成されていてもよい。要するに、第1切り欠き部74は、第1屈曲部711の一部を切り欠くことにより形成されていればよい。
【0071】
○
図6に示す変更例において、第2切り欠き部75は、バンプフォイル40の短辺方向において、第2部位60の一方側だけを切り欠くことにより形成されていてもよい。要するに、第2切り欠き部75は、第2部位60の一部を切り欠くことにより形成されていればよい。
【0072】
○
図6に示す変更例において、第3切り欠き部76は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1端板部81の第2板部81b及び第3板部81cの両側の一部を切り欠くことにより形成されていてもよい。第3切り欠き部76は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1端板部81の第2板部81b及び第3板部81cの一方側だけ切り欠くことにより形成されていてもよい。
【0073】
第3切り欠き部76は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1端板部81における第2板部81bの両側の一部のみを切り欠くことにより形成されていてもよい。第3切り欠き部76は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1端板部81における第2板部81bの一方側のみを切り欠くことにより形成されていてもよい。要するに、第3切り欠き部76は、少なくとも第1部位50と第2部位60との間に設けられていない第3部位70の一部を切り欠くことにより形成されていればよい。
【0074】
○
図6に示す変更例において、バンプフォイル40は、第1切り欠き部74を省略して、第2切り欠き部75、第3切り欠き部76、及び第4切り欠き部77の少なくとも1つを有していてもよい。バンプフォイル40は、第2切り欠き部75、第3切り欠き部76、及び第4切り欠き部77を省略して、第1切り欠き部74を有していてもよい。
【0075】
○
図7に示すように、バンプフォイル40は、第1切り欠き部91と、第2切り欠き部92と、を有していてもよい。第1切り欠き部91は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1屈曲部711の中央の一部を切り欠くことにより形成されている。本変更例では、第3延設部73における第1切り欠き部91に隣り合う一部も切り欠いている。このため、第1切り欠き部91は、バンプフォイル40の長辺方向において、第3延設部73における第1屈曲部711を形成する一部分にまで設けられている。第1切り欠き部91は、第1部位50と第2部位60との間に設けられた第3部位70の一部を切り欠くことにより形成された切り欠き部である。第1切り欠き部91により第3延設部73を切り欠く量は、荷重Gが所定値Gthを上回る場合に第3延設部73の一部と軸受ハウジング20の内周面20aとが面接触することにより接触面積を十分に確保できる量とする。
【0076】
第2切り欠き部92は、バンプフォイル40の短辺方向において、第2部位60の中央の一部を切り欠くことにより形成されている。
バンプフォイル40は、第3切り欠き部93と、第4切り欠き部94と、を有していてもよい。第3切り欠き部93は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1端板部81の中央の一部を切り欠くことにより形成されている。第3切り欠き部93は、第1端板部81の第2板部81bの一部を切り欠いている。第4切り欠き部94は、バンプフォイル40の短辺方向において、第2端板部82の中央の一部及び自由端部42の中央の一部を切り欠くことにより形成されている。
【0077】
このように変更することにより、第1切り欠き部91により第1屈曲部711の剛性が、第3延設部73の剛性よりも小さくなる。これにより、第1屈曲部711が第3延設部73よりも弾性変形しやすい。よって、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回るとき、第3延設部73の変形が抑えられる。したがって、第1部位50と第2部位60との間に設けられた第4部位80と軸受ハウジング20との接触面積の減少を抑制できるため、軸受ハウジング20の摩耗抑制効果を好適に得ることができる。
【0078】
第2切り欠き部92により第2部位60がより弾性変形しやすくなる。このため、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、第3延設部73の一部が軸受ハウジング20の内周面20aと面接触した状態を維持しやすくなる。
【0079】
第3切り欠き部93により第1端板部81の第2板部81bがより弾性変形しやすくなる。このため、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、第1部位50が軸受ハウジング20の内周面20aと面接触した状態を維持しやすくなる。
【0080】
第4切り欠き部94により第2端板部82が弾性変形しやすくなるため、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、湾曲部位82aが軸受ハウジング20の内周面20aに向けて押し付けられやすくなる。
【0081】
○
図7に示す変更例において、第3切り欠き部93は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1端板部81の第2板部81b及び第3板部81cの中央の一部を切り欠くことにより形成されていてもよい。第3切り欠き部93は、バンプフォイル40の短辺方向において、第1端板部81における第2板部81bの中央の一部のみを切り欠くことにより形成されていてもよい。要するに、第3切り欠き部93は、少なくとも第1部位50と第2部位60との間に設けられていない第3部位70の一部を切り欠くことにより形成されていればよい。
【0082】
○
図7に示す変更例において、バンプフォイル40は、第1切り欠き部91を省略して、第2切り欠き部92、第3切り欠き部93、及び第4切り欠き部94の少なくとも1つを有していてもよい。バンプフォイル40は、第2切り欠き部92、第3切り欠き部93、及び第4切り欠き部94を省略して、第1切り欠き部91を有していてもよい。
【0083】
○ トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合、第3延設部73の一部が軸受ハウジング20の内周面20aと非接触であってもよい。この場合、第1屈曲部711がトップフォイル30に、第2屈曲部712が軸受ハウジング20の内周面20aと接触していればよい。要するに、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、第4部位80が軸受ハウジング20の内周面20aと接触していればよい。なお、第3延設部73は、平板状に変更してもよい。
【0084】
○ トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合、第2屈曲部712は、軸受ハウジング20の内周面20aと非接触であってもよい。つまり、トップフォイル30から第2部位60に入力される荷重Gが所定値Gthを上回る場合には、第4部位80が軸受ハウジング20の内周面20aと非接触であってもよい。
【0085】
○ 各バンプフォイル40において、第1部位50の数及び第2部位60の数は適宜変更してもよい。
○ 3つのバンプフォイル40が採用されたが、1つの略円筒状のバンプフォイル40を採用してもよい。この場合、軸受ハウジング20の保持溝20bは、1つのみでよい。なお、第1部位50の数及び第2部位60の数は、バンプフォイル40がトップフォイル30を適切に弾性的に支持できる程度の数に変更する。
【0086】
○ バンプフォイル40の第1端板部81は、第2板部81bを省略して、第1板部81aと第3板部81cとが連続していてもよい。
○ バンプフォイル40は、第2端板部82は、省略してもよい。
【0087】
○ フォイル軸受10は、遠心圧縮機100の回転軸103をラジアル方向Rdに支持するもの限らない。フォイル軸受10の適用先は、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0088】
10…フォイル軸受、20…軸受ハウジング、20a…内周面、30…トップフォイル、40…バンプフォイル、50…第1部位、60…第2部位、70…第3部位、80…第4部位、74,91…切り欠き部としての第1切り欠き部、103…回転軸、C…軸受ハウジングの径方向、Rd…ラジアル方向、G…荷重、Gth…所定値、R…軸受ハウジングの内周面の曲率半径。