(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142995
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】インクリボンカセット及びプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 17/32 20060101AFI20241003BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41J17/32 A
B41J2/325 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055435
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】三本 匡雄
【テーマコード(参考)】
2C065
2C068
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065AB03
2C065DA16
2C068AA01
2C068AA06
2C068EE51
2C068EE81
2C068FF01
2C068FF12
2C068FF17
(57)【要約】
【課題】インクリボンが弛むことを防止でき、且つ、リボンロールの着脱が容易なインクリボンカセット及びプリンタを提供する。
【解決手段】カセットにおいて、回転体は、前後方向の第1位置と第2位置とに変位可能である。支持部材は、回転体の前後方向の位置に応じて径方向に変位可能である。回転体が第1位置にある場合、支持部の一部が仮想円柱の側面の外側に配置される。回転体が第2位置にある場合、支持部の全体が仮想円柱の側面の内側に配置される。スピンドルプレート8は軸4に固定されたブレーキシュー6に対して前後方向に変位可能に設けられる。スピンドルプレート8は、貫通孔の内壁80Dがブレーキシュー6の外側面60Cに当接する当接位置と、内壁80Dが外側面60Cから離隔する離隔位置とに変位可能である。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンが巻回されたリボンロールを収容可能なインクリボンカセットであって、
板と、
前記リボンロールを着脱可能に支持するスピンドルとを備え、
前記スピンドルは、
前記板から第1方向に延びる軸と、
前記軸の周囲に配置され、前記軸の中心を通る軸線を中心として回転可能であり且つ前記軸線の方向に変位可能であり、前記リボンロールに挿通される回転体と、
前記回転体に設けられ、前記回転体の前記軸線の方向の位置に応じて前記軸を中心とした径方向に変位可能な支持部材であって、
前記回転体の前記軸線の方向の位置が第1位置にある場合、少なくとも一部が前記回転体の外表面よりも前記径方向の外側に位置して前記リボンロールを支持し、
前記回転体の前記軸線の方向の位置が、前記第1位置と異なる第2位置にある場合に全体が前記回転体の前記外表面よりも前記径方向の内側に位置して前記リボンロールの支持を解放する支持部材と、
前記軸に配置されるブレーキシューと、
前記軸線の方向に貫通する孔を有し、前記回転体に配置されるスピンドルプレートであって、
前記軸線の方向において、前記孔の内壁と前記ブレーキシューとが当接する当接位置と、前記孔の内壁と前記ブレーキシューとが互いに離隔する離隔位置とに変位可能なスピンドルプレートと
を有することを特徴とするインクリボンカセット。
【請求項2】
前記孔の前記内壁は、前記第1方向に向かって開口径が大きくなるテーパ形状に形成され、
前記ブレーキシューの外側面は、前記第1方向に向かって径が大きくなるテーパ形状に形成され、
前記スピンドルプレートは、
前記孔の前記内壁と、前記ブレーキシューの前記外側面とが当接する前記当接位置と、
前記当接位置よりも前記第1方向と反対の第2方向に位置し、前記孔の前記内壁と、前記ブレーキシューの前記外側面とが離隔する前記離隔位置とに変位可能である
を特徴とする請求項1に記載のインクリボンカセット。
【請求項3】
前記ブレーキシューの前記外側面におけるテーパの傾斜は、前記孔の前記内壁におけるテーパの傾斜よりも大きく、
前記ブレーキシューは、前記外側面のうち前記第1方向の側の端部が前記孔の前記内壁と当接すること
を特徴とする請求項2に記載のインクリボンカセット。
【請求項4】
前記回転体は、
前記軸線の方向に貫通する筒孔と、
前記外表面から前記筒孔の内壁に向けて延び、且つ前記第1方向に延びるガイド溝とを有し、
前記スピンドルプレートは、
前記筒孔に収容される基部と、
前記基部から、前記径方向に延び、前記ガイド溝に嵌合する嵌合部とを有すること
を特徴とする請求項1に記載のインクリボンカセット。
【請求項5】
前記インクリボンカセットがプリンタに装着される場合に、前記スピンドルプレートが前記プリンタにより前記第1方向と反対の第2方向に押圧されることで、前記ブレーキシューとの当接が解除されることを特徴とする請求項4に記載のインクリボンカセット。
【請求項6】
前記スピンドルプレートを前記第1方向に付勢する付勢部を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクリボンカセット。
【請求項7】
前記軸は、
所定の直径を有する第1軸部と、
前記第1軸部の前記第1方向の側の端部に設けられ、前記第1軸部よりも直径が小さい第2軸部とを備え、
前記支持部材は、前記回転体が前記第1位置にある場合に前記第1軸部に接触し、前記回転体が前記第2位置にある場合に前記第2軸部に接触する接触部を備えること
を特徴とする請求項1に記載のインクリボンカセット。
【請求項8】
前記第2位置にある前記回転体を前記第1位置に向けて付勢する第2付勢部を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクリボンカセット。
【請求項9】
前記支持部材は、前記径方向に弾性変形可能な板バネであることを特徴とする請求項7に記載のインクリボンカセット。
【請求項10】
前記支持部材は、
前記第1方向に延び、前記径方向の外側に向けて凸となる弧状に湾曲する支持部と、
前記支持部の前記第1方向の端部から前記径方向の内側に向けて延びる屈折部とを備え、
前記支持部は、前記軸線の方向における前記支持部の中心と前記屈折部との間に位置し、前記軸線の方向および前記径の方向に直交する方向に凹む凹み部分を備えること
を特徴とする請求項9に記載のインクリボンカセット。
【請求項11】
前記インクリボンカセットがプリンタに装着される場合に、前記第2位置にある前記回転体が前記プリンタに押圧されることで前記第1位置に変位することを特徴とする請求項1に記載のインクリボンカセット。
【請求項12】
請求項1~11の何れかに記載のインクリボンカセットと、
前記スピンドルプレートと係合し、前記インクリボンカセットを装着可能な装着部と、
前記装着部に装着された前記インクリボンカセットの前記回転体を回転させることが可能な駆動部と、
前記インクリボンを加熱することで印刷媒体への印刷が可能なサーマルヘッドとを備えること
を特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンカセット及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のホイスト用駆動装置は、電動モータと、遊星トランスミッションと、ブレーキとを有する。遊星トランスミッションの外スリーブに、エレベータのロープ用のプーリが取り付けられる。電動モータの軸と遊星トランスミッションの軸とは共通である。ブレーキは円錐クラッチを備える。円錐クラッチは、2つのテーパ状部材を含む。第1のテーパ状部材は軸に取り付けられる。円錐クラッチは、第1のテーパ状部材に第2のテーパ状部材をはめ込み固定することで、ブレーキをかける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリンタに装着するインクリボンカセットにおいて、インクリボンが巻回されたリボンロールからインクリボンを搬送経路に繰り出す作業がユーザにより行われる場合がある。この作業中において、リボンロールを支持するスピンドルに対してリボンロールが空転してインクリボンが搬送経路において弛むという問題点がある。又、使用済のインクリボンを交換する場合において、リボンロールがスピンドルから容易に外れることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、インクリボンが弛むことを防止でき、且つ、リボンロールの着脱が容易なインクリボンカセット及びプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るインクリボンカセットは、インクリボンが巻回されたリボンロールを収容可能なインクリボンカセットであって、板と、前記リボンロールを着脱可能に支持するスピンドルとを備え、前記スピンドルは、前記板から第1方向に延びる軸と、前記軸の周囲に配置され、前記軸の中心を通る軸線を中心として回転可能であり且つ前記軸線の方向に変位可能であり、前記リボンロールに挿通される回転体と、前記回転体に設けられ、前記回転体の前記軸線の方向の位置に応じて前記軸を中心とした径方向に変位可能な支持部材であって、前記回転体の前記軸線の方向の位置が第1位置にある場合、少なくとも一部が前記回転体の外表面よりも前記径方向の外側に位置して前記リボンロールを支持し、前記回転体の前記軸線の方向の位置が、前記第1位置と異なる第2位置にある場合に全体が前記回転体の前記外表面よりも前記径方向の内側に位置して前記リボンロールの支持を解放する支持部材と、前記軸に配置されるブレーキシューと、前記軸線の方向に貫通する孔を有し、前記回転体に配置されるスピンドルプレートであって、前記軸線の方向において、前記孔の内壁と前記ブレーキシューとが当接する当接位置と、前記孔の内壁と前記ブレーキシューとが互いに離隔する離隔位置とに変位可能なことで、前記軸の前記軸線周りの回転を抑制するスピンドルプレートとを有することを特徴とする。
【0007】
第一態様のインクリボンカセットは、スピンドルの回転体にリボンロールを挿通し、回転体を第2位置から第1位置に変位させることで、支持部材によりリボンロールを支持できる。インクリボンカセットは、この状態でスピンドルプレートを当接位置に配置させて、ブレーキシューと当接させることでインクリボンが弛むことなく、リボンロールからインクリボンを繰り出せる。インクリボンカセットは、回転体を第1位置から第2位置に変位させることで、支持部材によるリボンロールの支持を解除できる。よって、インクリボンカセットは、インクリボンが弛むことを防止でき、且つ、リボンロールを容易に着脱できる。
【0008】
インクリボンカセットにおいて、前記孔の前記内壁は、前記第1方向に向かって開口径が大きくなるテーパ形状に形成され、前記ブレーキシューの外側面は、前記第1方向に向かって径が大きくなるテーパ形状に形成され、前記スピンドルプレートは、前記孔の前記内壁と、前記ブレーキシューの前記外側面とが当接する前記当接位置と、前記当接位置よりも前記第1方向と反対の第2方向に位置し、前記孔の前記内壁と、前記ブレーキシューの前記外側面とが離隔する前記離隔位置とに変位可能であってもよい。インクリボンカセットは、簡単な構成で、インクリボンが弛むことを防止できる。
【0009】
インクリボンカセットにおいて、前記ブレーキシューの前記外側面におけるテーパの傾斜は、前記孔の前記内壁におけるテーパの傾斜よりも大きく、前記ブレーキシューは、前記外側面のうち前記第1方向の側の端部が前記孔の前記内壁と当接してもよい。インクリボンカセットは、ブレーキシューとスピンドルプレートとの間に寸法交差があった場合にもインクリボンが弛むことを防止できる。
【0010】
インクリボンカセットにおいて、前記回転体は、前記軸線の方向に貫通する筒孔と、前記外表面から前記筒孔の内壁に向けて延び、且つ前記第1方向に延びるガイド溝とを有し、前記スピンドルプレートは、前記筒孔に収容される基部と、前記基部から、前記径方向に延び、前記ガイド溝に嵌合する嵌合部とを有してもよい。スピンドルプレートにおいて当接部の外側に設けられる嵌合部が、回転体の外周壁に形成されるガイド溝と勘合する。これにより、回転体とスピンドルプレートとの間に寸法交差があった場合にも回転体とスピンドルプレートとの間で生じるがたつきは小さくなる。よって、インクリボンカセットは、インクリボンを滑らかに繰り出すことができる。
【0011】
インクリボンカセットにおいて、前記インクリボンカセットがプリンタに装着される場合に、前記スピンドルプレートが前記プリンタにより前記第1方向と反対の第2方向に押圧されることで、前記ブレーキシューとの当接が解除されてもよい。インクリボンカセットは、プリンタに装着されることで、容易にブレーキシューによるブレーキを解除できる。
【0012】
インクリボンカセットは、前記スピンドルプレートを前記第1方向に付勢する付勢部を備えてもよい。インクリボンカセットにおいて、付勢部により第1方向に付勢されたスピンドルプレートは、ブレーキシューと当接する。故に、インクリボンカセットは、インクリボンが弛むことを常時防止できる。
【0013】
インクリボンカセットにおいて、前記軸は、所定の直径を有する第1軸部と、前記第1軸部の前記第1方向の側の端部に設けられ、前記第1軸部よりも直径が小さい第2軸部とを備え、前記支持部材は、前記回転体が前記第1位置にある場合に前記第1軸部に接触し、前記回転体が前記第2位置にある場合に前記第2軸部に接触する接触部を備えてもよい。回転体が第1位置にある場合に支持部材は、当接部が径方向の外側から第1軸部に当接し、インクリボンを支持する。そして、回転体が第1位置から第2位置に変位する場合に支持部材は、当接部が軸の第1軸部側から第2軸部側に移動し、インクリボンの支持が解除される。故に、インクリボンカセットは、簡単な構成でインクリボンの支持、及び支持の解除を行うことができる。
【0014】
インクリボンカセットは、前記第2位置にある前記回転体を前記第1位置に向けて付勢する第2付勢部を備えてもよい。インクリボンカセットにおいて、第2付勢部により付勢された回転体が第1位置に移動し、支持部材がインクリボンを支持できる支持状態になる。故に、インクリボンカセットは、インクリボンの支持が解除されたままプリンタによる印刷が行われることを抑制できる。
【0015】
インクリボンカセットにおいて、前記支持部材は、前記径方向に弾性変形可能な板バネであってもよい。回転体を第2位置から第1位置に変位させ、ユーザが回転体にインクリボンを挿入することで、インクリボンが支持される。故に、ユーザは、より簡単な操作でインクリボンをインクリボンカセットに支持できる。
【0016】
インクリボンカセットにおいて、前記支持部材は、前記第1方向に延び、前記径方向の外側に向けて凸となる弧状に湾曲する支持部と、前記支持部の前記第1方向の端部から前記径方向の内側に向けて延びる屈折部とを備え、前記支持部は、前記軸線の方向における前記支持部の中心と前記屈折部との間に位置し、前記軸線の方向および前記径の方向に直交する方向に凹む凹み部分を備えてもよい。回転体が第1位置にある場合に支持部材は、孤の立ち上がり部分において、凹み部がリボンロールのスプールの内壁と接触する。これにより、仮にスプールの内壁が長時間の使用によって削られた場合でも、リボンロールは支持部材から板に近接する方向の力を受ける。よって、インクリボンカセットは、リボンロールが板から離隔する方向に変位することが抑制される。
【0017】
インクリボンカセットにおいて、前記インクリボンカセットがプリンタに装着される場合に、前記第2位置にある前記回転体が前記プリンタに押圧されることで前記第1位置に変位してもよい。インクリボンカセットは、インクリボンの支持が解除された状態でプリンタによる印刷が行われることを抑制できる。
【0018】
本発明の第二態様に係るプリンタは、請求項1~11の何れかに記載のインクリボンカセットと、前記スピンドルプレートと係合し、前記インクリボンカセットを装着可能な装着部と、前記装着部に装着された前記インクリボンカセットの前記回転体を回転させることが可能な駆動部と、前記インクリボンを加熱することで印刷媒体への印刷が可能なサーマルヘッドとを備えることを特徴とする。第二態様のプリンタは、第一態様のインクリボンカセットと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図10】インクリボンカセット1Bがカートリッジベース1Aに装着された場合におけるシャフト32Aの断面図である。
【
図11】インクリボンカセット1Bがカートリッジベース1Aに装着された場合におけるシャフト32Aの別の断面図である。
【
図12】インクリボンカセット1Bがカートリッジベース1Aから取り外された場合におけるシャフト32Aの断面図である。
【
図13】インクリボンカセット1Bがカートリッジベース1Aから取り外された場合におけるシャフト32Aの別の断面図である。
【
図14】シャフト32Aからリボンロール20が取り外される様子を示す説明図である。
【
図15】スピンドルプレート8の内壁80Dとブレーキシュー6の外側面60Cとが当接した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<プリンタ1>
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すプリンタ1は、熱転写型の印刷装置である。以下、図の説明の理解を助けるため、プリンタ1の上側、下側、左側、右側、前側、及び後側は、夫々、
図1の上側、下側、左斜め上側、右斜め下側、左斜め下側、及び右斜め上側に夫々対応する。
【0021】
プリンタ1は、非図示の外部機器によって搬送される印刷媒体に対して印刷を実行する。外部機器の具体例として、包材を搬送する包装機が挙げられる。この場合、例えばプリンタ1は、包装機によって印刷媒体が搬送される搬送ラインの一部に組み込まれて使用される。
【0022】
プリンタ1は、カートリッジベース1A及びインクリボンカセット1Bを有する。カートリッジベース1A(以下、ベース1Aと言い換える。)は、インクリボンカセット1B(以下、カセット1Bと言い換える。)を着脱可能に装着する。プリンタ1は、ベース1Aに装着されたカセット1Bからインクリボン2(
図3参照)を繰り出し、サーマルヘッド26(
図2参照)によりインクリボン2を加熱することで印刷する。
【0023】
<ベース1Aの構成>
図1に示すように、ベース1Aは略直方体状である。カセット1Bは、ベース1Aに対して前側から装着される。ベース1Aは、筐体11を有する。筐体11は、前筐体12、後筐体13を有する。後筐体13は、ベースプレート21に対して後側に設けられる(
図2参照)。
【0024】
図1、
図2に示すように、後筐体13は、前方に開口した箱である。ベースプレート21は、後筐体13の開口に前側から嵌る。後筐体13は、ベースプレート21の後側に設けられたモータ31A、31D(
図2参照)を覆う。前筐体12は、前後方向及び、下方に開口した正面視略C字状の箱である。前筐体12は、後筐体13の前端に接続される。なお、
図2では前筐体12が取り外された状態を図示している。
【0025】
図2に示すように、ベースプレート21は正面視で略矩形状の板である。ベースプレート21の前面には、カセット1Bが装着されるための装着部22A~22F、及びサーマルヘッド26が設けられる。
【0026】
装着部22Aは、ベースプレート21の上下方向の中心よりも上側、且つ、左右方向の中心よりも右側に設けられる。装着部22Dは、ベースプレート21の上下方向の中心よりも上側、且つ、左右方向の中心よりも左側に設けられる。装着部22A、22Dは、それぞれ正面視で円形状であり、左右方向に並ぶ。装着部22Aの前面に、後方に凹んだ一対の穴220Aが形成される。装着部22Dの前面に、後方に凹んだ一対の穴220Dが形成される。装着部22A、22Dには、それぞれ、モータ31A、31Dの回転軸が後側から接続する。装着部22A、22Dは、モータ31A、31Dの駆動により前後方向に延びる軸周りに回転する。
【0027】
装着部22Fは、ベースプレート21の右上端部に設けられる。装着部22Fには、ベースプレート21から後方に凹んだ穴223を有する。穴223は、正面視で矩形状である。装着部22Bは、ベースプレート21の右下端部に設けられる。装着部22Bは、ベースプレート21から前方に延びる棒状である。
【0028】
装着部22Cは、ベースプレート21の左下端部に設けられる。装着部22Cは、案内部221、ガイド部222を有する。案内部221は、ベースプレート21から前方に延びる棒状である。ガイド部222は、案内部221と同軸に延びる円筒状であり、案内部221の周囲に配置される。装着部22Eは、ベースプレート21の上端部且つ左右方向の中心に設けられる。装着部22Eは、ベースプレート21から前方に延びる円筒状であり、後面から後方に凹んだ穴224が形成される。
【0029】
サーマルヘッド26は、ベースプレート21の下部の前側に設けられる。サーマルヘッド26は、前後方向に直線状に並んだ複数の加熱素子を有する。サーマルヘッド26は、前筐体12の下側の開口から露出する。サーマルヘッド26は、ベースプレート21の下部の前側に設けられる移動機構27により左右方向及び上下方向に変位可能である。
【0030】
<カセット1B>
図3に示すように、カセット1Bは、板9B、把手9A、及びシャフト32A~32Fを有する。板9Bは、正面視で矩形状の板である。把手9Aは、板9Bの前面の左右方向の中心部に設けられる(
図1参照)。シャフト32A~32Fは、夫々、板9Bの後面から後方に延びる。
【0031】
シャフト32Aは、板9Bの上下方向の中心よりも上側、且つ、左右方向の中心よりも右側に設けられる。シャフト32Dは、板9Bの上下方向の中心よりも上側、且つ、左右方向の中心よりも左側に設けられる。シャフト32A、32Dは左右方向に並ぶ。詳細な説明は後述するが、カセット1Bがベース1Aに装着された状態で、シャフト32Aは装着部22Aに装着され、シャフト32Dは装着部22Aに装着される。
【0032】
シャフト32Dには、インクリボン2の一端が接続された円筒状のスプール(図示略)が装着される。シャフト32Dに装着されたスプールには、未使用のインクリボン2がロール状に巻回される。
【0033】
シャフト32Aには、インクリボン2の他端が接続された円筒状のスプール20A(
図10参照)が装着される。スプール20Aには、対向する底面の中心を貫通する貫通孔20Bが設けられる。スプール20Aには、使用済みのインクリボン2がロール状に巻回される。以下、ロール状に巻回された状態のインクリボン2を、リボンロール20という。
【0034】
2つのスプール間に亙って延びるインクリボン2は、シャフト32F、32B、32C間に張り渡される。シャフト32Fは、板9Bの後面の右上部に設けられる。シャフト32Fは、軸33F及び回転体34Fを有する。軸33Fは、板9Bの後面から後方に延びる。回転体34Fは、軸33Fと同軸に延びる円筒状であり、軸33Fの周囲に配置される。回転体34Fは、軸33Fの周りに回転可能に支持される。軸33Fの先端部(後端部)は、回転体34Fの先端部(後端部)よりも後方に位置する。カセット1Bがベース1Aに装着された状態で、軸33Fの先端部は装着部22Fの穴223(
図2参照)に嵌る。
【0035】
シャフト32Bは、板9Bの後面の右下部に設けられる。シャフト32Bは、軸33B及び回転体34Bを有する。軸33Bは、板9Bの後面から後方に延びる。軸33Bの前面には、後方に凹んだ穴35Bが形成される。回転体34Bは、軸33Bと同軸に延びる円筒状であり、軸33Bの周囲に配置される。回転体34Fは、軸33Bの周りに回転可能に支持される。カセット1Bがベース1Aに装着された状態で、軸33Bの穴35Bには、装着部22B(
図2参照)が挿通される。
【0036】
シャフト32Cは、板9Bの後面の左下部に設けられる。シャフト32Cは、軸33C及び回転体34Cを有する。軸33Cは、板9Bの後面から後方に延びる。軸33Cの前面には、後方に凹んだ穴35Cが形成される。穴35Cの底面には、後方に凹んだ穴36Cが形成される。回転体34Cは、軸33Cと同軸に延びる円筒状であり、軸33Cの周囲に配置される。回転体34Cは、軸33Cの周りに回転可能に支持される。カセット1Bがベース1Aに装着された状態で、軸33Cの穴35Cには装着部22C(
図2参照)のガイド部222が嵌り、穴36Cには案内部221が挿通される。
【0037】
シャフト32Eは、板9Bの後面における上端部且つ左右方向の中心に設けられる。シャフト32Eは、板9Bの後面から後方に延びる。カセット1Bがベース1Aに装着された状態で、シャフト32Eは、装着部22E(
図2参照)の穴224に挿通される。
【0038】
シャフト32Dに装着されたスプールから延びるインクリボン2は、シャフト32Cに向けて左下方に延びる。インクリボン2は、シャフト32Cの回転体34Cに当接して方向を変え、シャフト32Bに向けて右方に延びる。インクリボン2は、シャフト32Bの回転体34Bに当接して方向を変え、シャフト32Fに向けて上方に延びる。インクリボン2は、シャフト32Fの回転体34Fに当接して方向を変え、シャフト32Aに装着されたスプール20Aに向けて左下方に延びる。
【0039】
装着部22A、22Dに装着されたシャフト32A、32Dは、モータ31A、31Dの駆動により回転する。これにより、インクリボン2は、シャフト32Dに装着されたスプールのリボンロール20からインクリボン2が繰り出され、シャフト32Aに装着されたスプール20Aに巻き取られる。インクリボン2の搬送に応じ、回転体34C、34B、34Fは、夫々、軸33C、33B、33Fの周りに回転する。
【0040】
<シャフト32A、32D>
シャフト32A、32Dは同一構成である。以下、シャフト32Aを例に挙げて具体的に説明し、シャフト32Dの説明は省略する。
図5に示すように、シャフト32Aは、軸4、ナット7A、平ワッシャ7B、7E、7F、波ワッシャ7C、7D、回転体5、スピンドルプレート8、ブレーキシュー6、ボルト3等を有する。
【0041】
<軸4>
軸4は、板9Bの後面から後方に延びる(
図10参照)。軸4は、挿入部41、軸壁部42、前部突出部43、中央突出部44、及び後部突出部45を有する。挿入部41、軸壁部42、前部突出部43、中央突出部44、及び後部突出部45は、前後方向に延びる略円柱状であり、且つ前後方向に延びる回転中心を有する。軸4の回転中心を、回転中心4Xと定義する。
【0042】
挿入部41は、板9Bを前後方向に貫通する貫通孔9C(
図10参照)に後側から挿通される。挿入部41には、ねじ溝が形成される。挿入部41の前部は、板9Bの前面から前方に突出する。
【0043】
挿入部41には、前側から順に平ワッシャ7B、波ワッシャ7C、7D、平ワッシャ7E、7Fが挿通される。この状態で、挿入部41の前部はナット7Aと螺合し、軸4は板9Bに固定される。以下、平ワッシャ7B、波ワッシャ7C、7D、平ワッシャ7E、7Fを総称して、ワッシャ7Gという。ワッシャ7Gの説明は、後述する。
【0044】
軸壁部42は、挿入部41の後端に設けられる。軸壁部42の径は、挿入部41の径及び貫通孔9Cの径よりも大きい。軸壁部42の前面は、板9Bの後面に後側から当接する。板9Bは、ワッシャ7Gを介して、軸壁部42の前面とナット7Aの後面との間で挟持される。これにより、軸4は板9Bに対して前後方向に変位することが規制される。
【0045】
前部突出部43は、軸壁部42の後端に設けられる。前部突出部43の径は、軸壁部42の径よりも小さい。前部突出部43は、ベアリング4Cを挿通する。ベアリング4Cは、内輪46及び外輪47を有するボールベアリングである。前部突出部43の径は、内輪46の内径と略同じである。
【0046】
中央突出部44は、前部突出部43の後端に設けられる。中央突出部44の径は、前部突出部43の径よりも小さい。中央突出部44の側面の後端部には、径方向の内側に凹んだ溝が形成される。中央突出部44は、後側からベアリング4D、止め輪4Fを順に挿通する。ベアリング4Dは、内輪48及び外輪49を有するボールベアリングである。中央突出部44の径は、内輪48の内径と略同じである。ベアリング4Dの前面は、平ワッシャ7K、7Jを介して前部突出部43の後面に当接する。
【0047】
止め輪4Fは、中央突出部44の溝に嵌合されて、固定される。止め輪4Fの径は、ベアリング4Dの内輪48の径よりも大きい。止め輪4Fの前面は、平ワッシャ7Lを介してベアリング4Dの後面に当接する。ベアリング4Dは、平ワッシャ7K、7J、7Lを介して前部突出部43と止め輪4Fとの間で挟持される。これにより、ベアリング4Dは軸4に対して前後方向に変位することが規制される。以下、ベアリング4Dが挿通された中央突出部44を、軸受部4Eという。
【0048】
後部突出部45は、中央突出部44の後端に設けられる。後部突出部45の径は、中央突出部44の径と略同じであり、軸受部4Eの径よりも小さい。後部突出部45の後面には、前側に向けて凹んだ溝45Aが形成される。溝45Aは、後部突出部45の回転中心4Xを通り、後面の径方向の全域に亘って形成される。溝45Aには、後述するブレーキシュー6が嵌る。図示しないが、溝45Aの底面にはねじ穴45Bが形成される。ねじ穴45Bの回転中心は回転中心4Xである。
【0049】
<ワッシャ7G>
ワッシャ7Gは、板9Bの前面とナット7Aの後面との間で挟持される。この状態で、平ワッシャ7Bは、波ワッシャ7Cの付勢力により、ナット7Aの後面に押し付けられる。平ワッシャ7E、7Fは、波ワッシャ7Dの付勢力により、板9Bの前面に押し付けられる。
【0050】
軸4が回転中心4Xの周りに回転する場合、ナット7Aに付勢して軸4と一体に回転しようとする波ワッシャ7Cと、板9Bの前面に付勢する波ワッシャ7Dとの間で摩擦力が生じる。これにより、軸4は、板9Bに対して回転しすぎないよう適度な力を受け、回転中心4Xの周りの回転が抑制されることとなる。
【0051】
<第1回転体52>
図5に示す回転体5は、軸4の周りに設けられ、リボンロール20が挿通される部材である。回転体5は、第1回転体52及び第2回転体53を有する。
図6に示すように、第1回転体52は、円筒部52T、52U、フランジ52V、弓形部52A、52B、及び角柱部52Wを有する。
【0052】
円筒部52T、52U、及びフランジ52Vは、前後方向に延びる軸を有する円筒形状である。円筒部52Tは、第1回転体52の前部を構成する。フランジ52Vは、円筒部52Tの後端に設けられる。円筒部52Uは、フランジ52Vの後端に設けられる。円筒部52T、52U、及びフランジ52Vの軸は、互いに共通である。
【0053】
円筒部52Tの径は、円筒部52Uの径と略同じである。フランジ52Vの径は、円筒部52T、52Uの径よりも大きい。スプール20Aの貫通孔20Bの径は、円筒部52T、円筒部52Uの径と略同じであり、フランジ52Vの径よりも小さい。
【0054】
円筒部52T、52U及びフランジ52Vには、円筒部52Tの前面から後方に凹んだ穴521が形成される(
図10参照)。穴521には、ベアリング4Cが埋設される。穴521の径は、ベアリング4Cの外輪47の径と略同じである。穴521の中心は、円筒部52T、52U、及びフランジ52Vの軸と共通である。
【0055】
弓形部52A、52Bは、円筒部52Uの後端に設けられる。弓形部52A、52Bは、正面視で弓形状の前後方向に延びる柱である。弓形部52A、52Bの後面(底面)の円弧の径は、円筒部52Uの径と同じである。
【0056】
弓形部52Aと弓形部52Bとは、正面視で、底面の円弧が円筒部52Uの底面と重なり、且つ円筒部52Uの軸を中心に対称に配置される。即ち、弓形部52A、52Bは、正面視で、円筒部52Uの径方向の外側に向けて凸となる。弓形部52Aの底面の弦と、と弓形部52Bの底面の弦とは、正面視で平行であり、且つベアリング4Dの外輪49の外径の大きさの距離だけ離隔している。円筒部52U、弓形部52A、52Bの外表面は、第1回転体52に外接する仮想の円柱(以下、仮想円柱Cと定義する。)と接する。
【0057】
弓形部52Aの後面には、前方に凹んだ穴52J、ねじ穴52Gが形成される。弓形部52Bには、前方に凹んだ穴52K、ねじ穴52Hが形成される。穴52K、ねじ穴52G、穴52J、ねじ穴52Hは仮想円柱Cの周方向に並ぶ。穴52Jと穴52Kとは、仮想円柱Cの軸を中心に対称に配置される。ねじ穴52Gとねじ穴52Hとは、仮想円柱Cの軸を中心に対称に配置される。
【0058】
穴52J、52Kには、コイルバネ51A、51Bが挿入される。コイルバネ51A、51Bは、前後方向に伸縮可能な圧縮コイルバネである。コイルバネ51A、51Bの前端は、穴52J、52Kの底面に当接する。コイルバネ51A、51Bの後部は、穴52J、52Kから後方に突出する。
【0059】
角柱部52Wは、円筒部52Tの後端から前後方向に延びる角柱状である。角柱部52Wは、弓形部52Aと弓形部52Bとの間に挟まれる。前後方向において、角柱部52Wの長さは、弓形部52A、52Bの長さよりも短い。弓形部52A、52Bの弦の延伸方向と平行な方向(
図6の左右方向。以下、「弦方向」という。)において、角柱部52Wの長さは、弓形部52A、52Bの弦の長さよりも短い。即ち、角柱部52Wは、正面視で仮想円柱Cの内側にある。角柱部52Wの軸は仮想円柱Cの軸と共通する。
【0060】
角柱部52Wの後面には、前方に凹んだ穴522が形成される。穴522は正面視で矩形状である。穴522の底面52R(
図10参照)には、角柱部52Wを貫通する貫通孔525(
図10参照)が形成される。貫通孔525は、穴521と穴522とを連通する。穴522の中心は、円筒部52U(仮想円柱C)の軸と共通である。軸4は、前側から穴521、貫通孔525、穴522を挿通する。
【0061】
角柱部52Wの壁52E、52F(
図10参照)は、正面視で円筒部52Uの軸を中心に対称の構成である。以下、壁52Eを例に挙げて具体的に説明し、壁52Fの説明は簡略化する。
【0062】
壁52Eには、壁面52L、52Mが形成される。壁面52L、52Mは、前後方向に延びる。壁面52Lは、壁面52Mの前側、且つ壁面52Mよりも仮想円柱Cの外側に配置される。壁面52Lには、弦方向に延びるねじ穴523Aが形成される。壁面52Mには、弦方向と平行に延びる突起524Aが形成される。壁面52Mには、後述する支持部材70Aが配置される。以下、壁52Eの後端部を端部52Cという。
【0063】
図10に示すように、壁52Fには、壁面52N、52Pが形成される。壁面52N、52Pは、夫々壁面52L、52Mに対応する構成である。壁面52Nには、ねじ穴523Aに対応するねじ穴523Bが形成される。壁面52Pには、突起524Aに対応する突起524Bが形成される。壁面52Pには、後述する支持部材70Aが配置される。以下、壁52Fの後端部を端部52Dという。
【0064】
<支持部材70A、70B>
図6に示すように、支持部材70A、70Bは、金属製で弾性を有する板バネである。支持部材70A、70Bは同一構成である。以下、支持部材70Aを例に挙げて具体的に説明し、支持部材70Bの説明は簡略化する。
【0065】
支持部材70Aは、支持部710A、屈折部720A、当接部73A、誘導部74Aを有する。支持部710Aは、仮想円柱Cの径方向の外側に凸となる弧状に湾曲しながら前後方向に延びる。支持部710Aの前端は、壁面52Lに当接する。支持部710Aの後端は、前後方向において、端部52Cと第1回転体52の後端との間に位置する。
【0066】
支持部710Aには、貫通孔713A、凹み711A、712A、及び貫通孔721Aの一部分が形成される。貫通孔713Aは、前後方向において、支持部710Aの中心よりも前側に形成される。貫通孔713Aは、支持部710Aを厚み方向(
図6の左右方向)に貫通する。支持部710Aの厚み方向は、仮想円柱Cの径方向と平行する。貫通孔713Aは、第1回転体52の突起524Aに嵌り、支持部710Aを第1回転体52に対して位置決めする。
【0067】
凹み711A、712Aは、前後方向において、支持部710Aの中心よりも後側に形成される。凹み711A、712Aは、支持部710Aの縁が幅方向(
図6の上下方向)に凹む部分である。支持部710Aの幅方向は、前後方向及び仮想円柱Cの径方向に直交する。凹み711A、712Aの位置における支持部710Aの幅は、支持部710Aの他の部分の幅よりも小さくなる。
【0068】
屈折部720Aは、支持部710Aの後端から仮想円柱Cの径方向の内側に向けて延びる。屈折部720Aの径方向の内側の端部は、端部52Cよりも径方向の内側に配置される。屈折部720Aには、貫通孔721Aの他の部分が形成される。貫通孔721Aは、屈折部720Aの延伸方向(
図6の左右方向)において、屈折部720Aの中心から支持部710Aとの接続部(
図6の左端部)まで延びる。貫通孔721Aは、前後方向において、支持部710Aの後端から凹み711A、712Aの後端の間の位置まで延びる。即ち、貫通孔721Aは、支持部710Aと屈折部720Aとに亘って形成される。
【0069】
当接部73Aは、屈折部72Aの径方向の内側の端部から前側に向けて延びる。誘導部74Aは、当接部73Aの前端から前方、且つ第1回転体52の径方向の外側に向けて延びる。誘導部74Aの前端は、端部52Cの後端よりも前側に配置される(
図10~
図14参照)。故に、支持部材70Aは、径方向の変位により第1回転体52から脱落することはない。
【0070】
支持部材70Aは、貫通孔713Aが突起524Aに嵌った状態で、ねじ75Aが平ワッシャ76Aを介してねじ穴523Aに螺合する。平ワッシャ76Aが仮想円柱Cの径方向の外側から支持部710Aの前端部に当接し、支持部材70Aは第1回転体52に取り付けられる。
【0071】
支持部材70Bは、仮想円柱Cの軸に対して対称に配置される。支持部材70Bは、支持部710B、屈折部720B、当接部73B、誘導部74Bを有する。支持部710Bは支持部710Aに対応し、屈折部720Bは屈折部720Aに対応し、当接部73Bは当接部73Aに対応し、誘導部74Bは誘導部74Aに対応する。
【0072】
支持部710Bには、貫通孔713B、凹み711B、712Bが形成される。貫通孔713Bは貫通孔713Aに対応し、凹み711B、712Bは凹み711A、712Aに対応する。支持部710B及び屈折部720Bには、貫通孔721Bが形成される。貫通孔721Bは貫通孔721Aに対応する。支持部710Bの前端は、壁面52Pに当接する。
【0073】
支持部材70Bは、貫通孔713Aが突起524B(
図10参照)に嵌った状態で、ねじ75Bが平ワッシャ76Bを介してねじ穴523B(
図10参照)に螺合する。平ワッシャ76Bが仮想円柱Cの径方向の外側から支持部710Bの前端部に当接し、支持部材70Bは第1回転体52に取り付けられる。
【0074】
第1回転体52に取り付けられた支持部材70A、70Bは、支持部710A、710Bの前端部を中心に、仮想円柱Cの径方向に揺動可能である。支持部材70A、70Bが仮想円柱Cの径方向において最も外側に位置するとき、支持部710A、710Bの一部分は、仮想円柱Cの側面の外側に配置される。仮想円柱Cの側面の外側に配置された支持部710A、710Bの一部分は、回転体5に挿通されたリボンロール20の貫通孔20Bの壁面に当接する。これにより、支持部材70A、70Bは、リボンロール20を支持する。以下、支持部710A、710Bの一部分が仮想円柱Cの側面の外側に配置された状態を、支持状態という。
【0075】
支持部材70A、70Bが仮想円柱Cの径方向において最も内側に位置するとき、支持部710A、710Bの全体は、仮想円柱Cの側面の内側に配置される。仮想円柱Cの側面の内側に配置された支持部710A、710Bは、回転体5に挿通されたリボンロール20の貫通孔20Bの壁面から離隔する。これにより、支持部材70A、70Bは、リボンロール20の支持を解除する。以下、支持部710A、710Bが仮想円柱Cの側面の内側に配置された状態を、離隔状態という。
【0076】
<第2回転体53>
図4、
図7に示すように、第2回転体53は、第1回転体52の後端に設けられる。第2回転体53は、前後方向に延びる略円筒状である。第2回転体53の径は、第1回転体52の径と略同じである。
【0077】
第2回転体53には、筒孔530、貫通孔540(
図10参照)、ガイド溝531、532、貫通孔535、536(
図11参照)、内溝533、534が形成される。筒孔530は、第2回転体53の後面53Aから前方に凹んで形成される。筒孔530の内側には、後述するスピンドルプレート8及びブレーキシュー6が内側に配置される。
【0078】
貫通孔540は、第2回転体53の前面53Bと筒孔530の底面53E(
図10参照)とを貫通する。筒孔530、貫通孔540は、正面視で円形状である。筒孔530、貫通孔540の中心は、第2回転体53の軸と共通である。筒孔530、貫通孔540には、軸4が挿通される。
【0079】
ガイド溝531、532は、第2回転体53の外表面53Cから筒孔530の内壁53Dに向けて延び、且つ後面53Aから筒孔530の底面53Eまで延びる。ガイド溝531、532は、第2回転体53の軸を中心に対称に配置される。貫通孔535、536は、筒孔530の底面53Eにおけるガイド溝531、532に対応する位置から第2回転体53の前面53Bに向けて前方に延びる。貫通孔535、536の径は、コイルバネ51A、51Bの径と略同じである。
【0080】
内溝533、534は、筒孔530の内壁53Dから第2回転体53の径方向の外側に向けて凹み、且つ後面53Aから筒孔530の底面53Eまで延びる。内溝533、534は、第2回転体53の軸を中心に対称に配置される。ガイド溝531、532、内溝533、534は仮想円柱Cの周方向に並ぶ。
【0081】
図示しないが、筒孔530の底面53Eにおける内溝533、534に対応する位置から第2回転体53の前面53Bに向けて貫通する貫通孔が形成される。ボルト54A、54Bが、第2回転体53の後側から内溝533、534、貫通孔を通過し、第1回転体52のねじ穴52G、52Hに螺合する。これにより、第1回転体52及び第2回転体53は一体となる。この状態で、コイルバネ51A、51Bは、貫通孔535、536を挿通する。
【0082】
軸4が挿通される第1回転体52の穴521、貫通孔525、穴522、及び第2回転体53の貫通孔540、筒孔530は、軸線が共通である。一体となった回転体5は、軸4周りに回転可能である。軸4が挿通された状態で回転体5が回転する場合の回転中心を、回転中心5X(
図5参照)という。回転中心4Xは回転中心5Xと一致する。
【0083】
<スピンドルプレート8>
図4、
図8に示すように、スピンドルプレート8は、金属製であり、基部80、嵌合部83A、83B、突起8A、8B、84A、84Bを有する。
【0084】
基部80は、前後方向に延びる略円筒状である。基部80の外径は、筒孔530の径と略同じである。基部80の軸は、回転体5の軸と共通である。基部80には、前面80Aと後面80Bとを前後方向に貫通する貫通孔80Cが形成される。後面80Bに形成される貫通孔80Cの径は、前面80Aに形成される貫通孔80Cの径よりも大きい。即ち、貫通孔80Cの内壁80Dは後方に向かって開口径が大きくなるテーパ形状に形成される。基部80は、第2回転体53の筒孔530の内側に配置される。
【0085】
嵌合部83A、83Bは、基部80の径方向の外側に配置される、前後方向に延びる略角柱状である。嵌合部83Aと嵌合部83Bとは、基部80の軸を中心に対称に配置される。前後方向において、嵌合部83A、83Bの前端の位置は、基部80の前面80Aの位置と同じである。嵌合部83A、83Bの後端の位置は、基部80の後面80Bよりも後方にある。スピンドルプレート8の中心から嵌合部83A、83Bの外側面までの外径は、第2回転体53の径と略同じである。嵌合部83A、83Bは、第2回転体53のガイド溝531、532に嵌る。
【0086】
突起8Aは、円柱部82A、係合部81Aを有する。円柱部82Aは、基部80の後面80B及び嵌合部83Aの後面から後方に突出する。係合部81Aは、円柱部82Aの後端に設けられる。係合部81Aは、後方に向かって径が小さくなるテーパ形状に形成される。
【0087】
突起8Bは、突起8Aと同一の構成である。突起8Bは、円柱部82B、係合部81Bを有する。円柱部82Bは円柱部82Aに対応する構成であり、係合部81Bは係合部81Aに対応する構成である。円柱部82Bは、基部80の後面80B及び嵌合部83Bの後面から後方に突出する。突起8Aと突起8Bとは、基部80の軸を中心に対称に配置される。
【0088】
突起84Aは、嵌合部83Aの前面85Aから前方に突出する略円柱状である。突起84Aの軸は突起8Aの軸と共通である。突起84Bは、嵌合部83Bの前面85Bから前方に突出する略円柱状である。突起84Bの軸は突起8Bの軸と共通である。基部80が第2回転体53の筒孔530の内側に配置された場合に、突起84A、84Bの位置は、正面視で貫通孔535、536の位置に対応する。
【0089】
基部80が筒孔530の内側に配置され、嵌合部83A、83Bがガイド溝531、532に嵌った状態で、突起84A、84Bは、貫通孔535、536を挿通したコイルバネ51A、51Bの後端部と係合する。これにより、スピンドルプレート8は、回転体5に保持される。スピンドルプレート8は、ガイド溝531、532に案内されて前後方向に変位可能である。スピンドルプレート8は、コイルバネ51A、51Bにより常時後方に付勢される。貫通孔80Cには軸4が挿通される。
【0090】
<ブレーキシュー6>
図4、
図9に示すように、ブレーキシュー6は、硬質ゴム製であり、基部60、突起63を有する。基部60は、前後方向に延びる軸を有し、円錐の頂点側を軸に直交する平面で切断した略円錐状である。基部60の外側面60Cは、後方に向かって径が大きくなるテーパ形状に形成される。外側面60Cのテーパの傾斜は、スピンドルプレート8における内壁80Dのテーパの傾斜よりも大きい。
【0091】
基部60の後面60Aの径は、スピンドルプレート8の前面80Aに形成される貫通孔80Cの径よりも大きい。基部60の前面60Bの径は、スピンドルプレート8の後面80Bに形成される貫通孔80Cの径よりも大きい。基部60の前後方向の長さは、スピンドルプレート8の貫通孔80Cの前後方向の長さよりも小さい。故に、基部60は、貫通孔80Cと嵌合可能である。
【0092】
後面60Aには、前方に凹んだ穴61が形成される。基部60には、穴61の底面64と前面60Bとを貫通する貫通孔62が形成される。基部60、穴61、貫通孔62の軸は共通である。
【0093】
突起63は、前面60Bから前方に突出する。突起63は、貫通孔62を間にして直線状に並んで設けられる。
【0094】
突起63は、軸4の溝45A(
図5参照)に嵌合する。この状態で、ボルト3は、ブレーキシュー6の後側から穴61、貫通孔62を挿通する。ボルト3は、溝45Aの底面に形成されるねじ穴45B(
図10参照)に螺合する。ボルト3の頭部は穴61の底面64に当接する。これにより、ブレーキシュー6は、軸4に固定される。ブレーキシュー6の回転中心は、軸4の回転中心4Xと一致する。
【0095】
<回転体5の取り付け>
図10に示すように、回転体5は、ナット7A、ワッシャ7Gにより板9Bに軸支された状態の軸4に取り付けられる。第1回転体52と第2回転体53とは、ボルト54A、54Bにより一体となっている。軸4の中央突出部44には、ベアリング4D、止め輪4Fが挿通されている。
【0096】
回転体5は、軸4の後側から挿通される。回転体5に嵌合されたベアリング4Cは、軸4の前部突出部43を受ける。ベアリング4Cの前端が軸4の軸壁部42の後面に接触した状態で、軸4の後部突出部45の後端は、第2回転体53の筒孔530の底面53Eよりも後側に配置される。以下、
図10~
図13に示すベアリング4Cの前面が軸壁部42の後面に接触する回転体5の位置を、第1位置という。
【0097】
基部80が筒孔530の内側に配置され、嵌合部83A、83Bがガイド溝531、532に嵌るように、スピンドルプレート8を第2回転体53に配置する。嵌合部83A、83Bがガイド溝531、532に嵌った状態で、第2回転体53の外表面53Cと、嵌合部83A、83Bの外側面とが連続する。
【0098】
突起84A、84Bは、コイルバネ51A、51Bの後端部と係合する。この状態で、ブレーキシュー6の突起63が、軸4の溝45Aに嵌合する。ボルト3は、穴61、貫通孔62を挿通し、ねじ穴45Bに螺合する。これにより、回転体5が軸4に取り付けられる。
【0099】
回転体5において、第1回転体52がベアリング4Cを介して軸4と係合し、第2回転体53が、ブレーキシュー6、スピンドルプレート8を介して4と係合する。回転体5は、ベアリング4Cが軸4の前部突出部43を摺動し、第2回転体53がスピンドルプレート8を摺動することで、前後方向に変位可能である。
図14に示す、第1位置よりも板9Bから後方に離隔した回転体5の位置を、第2位置という。
【0100】
図10に示すように、回転体5が第1位置に位置する場合、ベアリング4Dは、前後方向において第1回転体52の後端の近傍に位置する。この場合、支持部材70A、70Bの当接部73A、73Bは、ベアリング4Dの外輪49に外側から当接する。この状態で、支持部710A、710Bの一部が仮想円柱Cの側面の外側に配置され、支持部材70A、70Bは支持状態となる。即ち、回転体5が第1位置に位置する場合、回転体5に挿通されたリボンロール20は、支持部材70A、70Bにより支持される。ベアリング4Dは、軸4の中央突出部44を受ける。ベアリング4C、4Dにより、回転体5は軸4に対してスムーズに回転できる。
【0101】
<カセット1Bがベース1Aに装着された状態でのシャフト32A>
図10、
図11に示すように、カセット1Bは、回転体5が第1位置に位置する状態で、ベース1Aに装着される。シャフト32A、32Dにリボンロール20が挿通され、支持されているものとする。以下、シャフト32Aと同一構成であるシャフト32Dの説明は省略する。
【0102】
スピンドルプレート8の突起8A、8Bは、装着部22Aの一対の穴220Aに嵌合する(
図11参照)。スピンドルプレート8は、装着部22Aから前方に押圧されて、コイルバネ51A、51Bの付勢力に反してブレーキシュー6及び第2回転体53に対して前方に変位する。
【0103】
スピンドルプレート8の内壁80Dとブレーキシュー6の外側面60Cとは離隔し、スピンドルプレート8とブレーキシュー6との間で摩擦力は生じない(
図11参照)。即ち、装着部22Aを介して伝達されるモータ31Aの駆動により、スピンドルプレート8と係合する回転体5は回転中心5Xの周りにスムーズに回転する。
図11に示す、外側面60Cの後端部がブレーキシュー6の内壁80Dから離隔したスピンドルプレート8の位置を、離隔位置という。
【0104】
<カセット1Bがベース1Aに取り外された状態でのシャフト32A>
図12、
図13に示すように、カセット1Bは、ベース1Aから前方に引き抜かれて取り外される。この状態で、回転体5は第1位置にあり、支持部材70A、70Bは支持状態である。リボンロール20は、支持部材70A、70Bにより回転体5に支持される。
【0105】
スピンドルプレート8は、装着部22Aによる押圧から解放され、コイルバネ51A、51Bの付勢力により後方に変位する。スピンドルプレート8の内壁80Dと、ブレーキシュー6の外側面60Cとが当接し、摩擦力が生じる。より詳細に、外側面60Cのテーパの傾斜が内壁80Dのテーパの傾斜よりも大きいので、外側面60Cの後端部が内壁80Dと当接する(
図15参照)。スピンドルプレート8とブレーキシュー6との間で生じる摩擦力により、スピンドルプレート8及びスピンドルプレート8と係合する回転体5は、回転中心5Xの周りに回転しにくくなる。
図13に示す、外側面60Cの後端部がブレーキシュー6の内壁80Dに当接するスピンドルプレート8の位置を、当接位置という。
【0106】
<リボンロール20を取り外す場合のシャフト32A>
図14に示すように、リボンロール20をシャフト32Aから取り外す場合、ユーザはリボンロール20を支持した状態の回転体5を軸4に沿って板9Bに対して離隔する方向(後方)に変位する。以下、リボンロール20を取り外す場合に回転体5が変位する方向を、変位方向5Zと定義する。
【0107】
支持部材70A、70Bが回転体5と共に軸4に沿って後方に変位し、当接部73A、73Bはベアリング4Dの外輪49の外表面、即ち軸受部4Eの外表面を摺動する。スピンドルプレート8は、コイルバネ51A、51Bの付勢力によりブレーキシュー6に押し当てられるので、後方への変位が規制される。回転体5は、軸4、ブレーキシュー6、及びスピンドルプレート8に対して後方に変位する。
【0108】
回転体5が更に板9Bから離隔すると、当接部73A、73Bが軸受部4Eから離れる。当接部73A、73Bの前側の誘導部74A、74Bが、支持部材70A、70Bの付勢力により軸受部4Eの外表面に径方向の外側から当接する。回転体5の後方への変位に伴い、誘導部74A、74Bは軸受部4Eの外表面に当接しながら、摺動する。故に、回転体5の変位方向5Zへの変位と連動して、支持部710A、710Bの後端は、径方向の内側に向けて変位する。支持部710A、710Bがリボンロール20の貫通孔20Bの壁面から離隔する。
【0109】
回転体5が更に板9Bから離隔して第2位置(
図14参照)まで変位すると、誘導部74A、74Bは、軸受部4Eから後方に離れる。支持部材70A、70Bは、自身の付勢力により更に径方向の内側に向けて変位する。支持部710A、710Bの後端部が径方向の外側から端部52C、52Dに接触することで、支持部材70A、70Bの径方向の内側に向けての変位が停止する。当接部73A、73Bが後部突出部45に近接した位置に配置される。この状態で、誘導部74A、74Bの前端は、軸受部4Eよりも径方向の外側の位置に配置される。支持部710A、710Bの全体が仮想円柱Cの側面の内側にあり、支持部材70A、70Bは離隔状態となる。
【0110】
ユーザは、支持部材70A、70Bによる支持が解除された状態のリボンロール20を板9Bから離隔する方向に変位する。支持部材70A、70Bにより支持されていないので、リボンロール20は回転体5から容易に取り外される。リボンロール20を取り外す方向を、変位方向2Zと定義する。回転体5の変位方向5Zとリボンロール20の変位方向2Zとは一致する。
【0111】
<リボンロール20を取り付ける場合のシャフト32A>
カセット1Bはベース1Aに装着されておらず、シャフト32A、32Dにリボンロール20が挿通されていないものとする(
図14参照)。リボンロール20をシャフト32Aに取り付ける場合、ユーザはリボンロール20を支持していない状態の回転体5を変位方向5Zと反対方向に変位する。回転体5は、第2位置から第1位置に向けて前方に変位する。スピンドルプレート8は、コイルバネ51A、51Bの付勢力によりブレーキシュー6に押し当てられたままである。
【0112】
第1位置から第2位置に変位した場合とは逆に、第2位置から第1位置に前方に変位する回転体5において、誘導部74A、74Bが軸受部4Eの外表面に径方向の外側から当接し、軸受部4Eの外表面を摺動する。回転体5の前方への変位と連動して、誘導部74A、74Bが軸受部4Eにより径方向の外側に押し広げられ、支持部710A、710Bは径方向の外側に向けて変位する。回転体5が更に板9Bに近接し、第1位置(
図12参照)まで変位すると、当接部73A、73Bが軸受部4Eの外側に当接し、支持部材70A、70Bは支持状態となる。
【0113】
この状態で、ユーザは、シャフト32Aの後側からリボンロール20を回転体5に挿通する。支持部材70A、70Bが支持状態であるので、リボンロール20の貫通孔20Bの内壁に当接する。支持部材70A、70Bは、回転体5の径方向に弾性変形可能な板バネであるので、ユーザがリボンロール20を更に前方に押し付けると、リボンロール20は支持部材70A、70Bを摺動しながら前方に変位する。リボンロール20は、フランジ51Vの後面に接触する。リボンロール20は支持部材70A、70Bが支持され、回転体5に取り付けられる。
【0114】
回転体5が第1位置にあり、支持部材70A、70Bがリボンロール20を支持する場合、凹み711A、712A、711B、712Bの少なくとも一部は、孤状に突出する支持部710A、710Bよりも前側に位置する。支持部710A、710Bの前端から後方に向けて傾斜する部分(即ち、孤の立ち上がり部分)において、凹み711A、712A、711B、712Bが貫通孔20Bの壁面に接触する。仮に長時間の使用によって、貫通孔20Bの壁面が削れる場合、支持部710A、710Bの孤の立ち上がり部分において凹み711A、712A、711B、712Bが貫通孔20Bの壁面を削る。これにより、貫通孔20Bの壁面は、支持部材70A、70Bから前方への力を受ける。
【0115】
支持部材70A、70Bがリボンロール20を支持する場合に、支持部材70A、70Bには、リボンロール20による荷重がかかる。また、支持部材70Aの凹み711A、712Aの周辺部分、支持部材70Bの凹み711B、712Bの周辺は、貫通孔20Bの壁面に接触するので、応力集中が生じやすい。支持部材70A、70Bには、貫通孔721A、721Bが形成されるので、リボンロール20による荷重が低減され、応力集中が生じにくくなる。
【0116】
<インクリボン2を引き回す場合のシャフト32A>
回転体5にリボンロール20が取り付けられた後(
図12、
図13参照)、ユーザは、シャフト32Dに取り付けられたリボンロール20からインクリボン2を繰り出し、回転体34C、34B、34Fを経由して、シャフト32Aに装着されたスプール20Aに接続する(
図4参照)。
【0117】
軸4は、ワッシャ7Gの波ワッシャ7Cと波ワッシャ7Dとの間で生じる摩擦力により回転中心4Xの周りの回転が抑制される。回転体5は、係合するスピンドルプレート8とブレーキシュー6との間で生じる摩擦力により回転中心5Xの周りの回転が抑制される(
図13参照)。即ち、回転体5も板9Bに対して回転しすぎないよう適度な力を受ける。この回転体5が受ける力が、ユーザによるインクリボン2を引き回す場合に、インクリボン2に適度なバックテンションをかける。故に、ユーザによるインクリボン2の引き回し作業が容易となる。
【0118】
<カセット1Bをベース1Aに取り付ける場合のシャフト32A>
カセット1Bは、ベース1Aに前方から取り付けられる。
図10、
図11に示すように、スピンドルプレート8の突起8A、8Bが装着部22Aの装着部22Aの一対の穴220Aに嵌合する(
図11参照)。スピンドルプレート8は、装着部22Aからの反作用により前方に押圧される。スピンドルプレート8はガイド溝531、532に案内されて前方に変位し、内壁80Dとブレーキシュー6の外側面60Cとが離隔する。スピンドルプレート8とブレーキシュー6との間で摩擦力が生じなくなり、回転体5は軸4から独立して回転可能となる。よって、回転体5は、モータ31Aの駆動により回転中心5Xの周りにスムーズに回転できる。
【0119】
また、回転体5が第2位置にある場合、コイルバネ51A、51Bは、スピンドルプレート8を介して伝達される装着部22による押圧で圧縮される。コイルバネ51A、51Bの前端と当接する第1回転体52は、コイルバネ51A、51Bの付勢力により前方に付勢される。これにより、回転体5は第2位置から第1位置に変位する。
【0120】
<本実施形態の主たる作用、効果>
以上説明したように、プリンタ1のカセット1Bにおいて、回転体5は、第1位置と第2位置とに前後方向に変位可能である。支持部材70A、70Bは、回転体5の前後方向の位置に応じて径方向に変位可能である。回転体5が第1位置にある場合、当接部73A、73Bがベアリング4Dの外輪49に外側から当接し、支持部710A、710Bの一部が仮想円柱Cの側面の外側に配置される。仮想円柱Cの側面の外側に配置された支持部710A、710Bがリボンロール20の貫通孔20Bの内壁に当接し、支持部材70A、70Bはリボンロール20を支持する。回転体5が第2位置にある場合、当接部73A、73Bが外輪49から離隔し、支持部710A、710Bの全体が仮想円柱Cの側面の内側に配置される。支持部材70A、70Bは、リボンロール20の支持を解除する。スピンドルプレート8は軸4に固定されたブレーキシュー6に対して前後方向に変位可能に設けられる。スピンドルプレート8は、貫通孔80Cの内壁80Dとブレーキシュー6の外側面60Cとが当接する当接位置(
図13参照)と、内壁80Dと外側面60Cとが離隔する離隔位置(
図11参照)とに変位可能である。スピンドルプレート8が当接位置にある場合、内壁80Dと外側面60Cとの間で摩擦力が生じ、回転体5は回転中心5Xの周りに回転しにくくなる。
【0121】
このように、プリンタ1のカセット1Bは、回転体5を第1位置に変位させることで、リボンロール20を支持できる。この状態で、スピンドルプレート8を当接位置に配置させ、内壁80Dと外側面60Cとが当接させることで、回転体5は回転中心5Xの周りに回転しにくくなり、インクリボン2には適度なバックテンションがかかる。故に、ユーザは、インクリボン2が弛むことなく、リボンロール20からインクリボン2を繰り出せる。そして、インクリボン2の使用後においては、プリンタ1のカセット1Bは、回転体5を第2位置に変位させることで、リボンロール20の支持を解除できる。プリンタ1のカセット1Bは、インクリボン2が弛むことを防止でき、且つ、リボンロール20をシャフト32A、32Dに容易に着脱できる。
【0122】
カセット1Bにおいて、貫通孔80Cの内壁80Dは、後方に向かって開口径が大きくなるテーパ形状に形成される。基部60の外側面60Cは、後方に向かって径が大きくなるテーパ形状に形成される。スピンドルプレート8が後方に変位して当接位置にある場合、内壁80Dと外側面60Cとが当接する(
図13参照)。スピンドルプレート8が前方に変位して離隔位置にある場合、内壁80Dと外側面60Cとが離隔する(
図11参照)。このように、カセット1Bは、内壁80D及び外側面60Cがテーパ形状であるので、スピンドルプレート8を前後方向に変位させることで、容易に内壁80D及び外側面60Cを切離できる。よって、カセット1Bは、簡単な構成でインクリボン2が弛むことを防止できる。
【0123】
カセット1Bにおいて、外側面60Cのテーパの傾斜が内壁80Dのテーパの傾斜よりも大きい。故に、スピンドルプレート8が後方に変位した場合、外側面60Cの後端部が内壁80Dと当接する。これにより、ブレーキシュー6とスピンドルプレート8との間に寸法交差があった場合にも、カセット1Bはインクリボン2が弛むことを防止できる。
【0124】
カセット1Bにおいて、回転体5の第2回転体53には、筒孔530と、ガイド溝531、532が形成される。筒孔530は、第2回転体53の後面53Aから前方に凹んで形成される。ガイド溝531、532は、第2回転体53の外表面53Cから筒孔530の内壁53Dに向けて延びる。スピンドルプレート8の基部80は、筒孔530の内側に配置される。スピンドルプレート8の嵌合部83A、83Bは、基部80の径方向の外側に配置され、ガイド溝531、532に嵌る。回転体5とスピンドルプレート8との間に寸法交差があると、がたつきが生じる場合がある。この場合においても、回転中心5Xから距離を取った基部80の外側に配置される嵌合部83A、83Bがガイド溝531、532に嵌るので、回転体5とスピンドルプレート8との間で生じるがたつきに起因する回転角の影響は小さくなる。よって、カセット1Bは、インクリボン2を滑らかに繰り出すことができる。
【0125】
カセット1Bは、前方からベース1Aに取り付けられる。スピンドルプレート8は、装着部22Aからの反作用により前方に押圧されて前方に変位する。この場合、スピンドルプレート8の内壁80Dとブレーキシュー6の外側面60Cとが離隔する。このように、カセット1Bがベース1Aに取り付けられることで、スピンドルプレート8とブレーキシュー6との間で摩擦力が生じなくなる。カセット1Bは、ブレーキシュー6によるブレーキを容易に解除して、回転体5を回転できる。
【0126】
カセット1Bは、コイルバネ51A、51Bを有する。コイルバネ51A、51Bは、突起84A、84Bと係合し、スピンドルプレート8を後方に付勢する。これにより、スピンドルプレート8はコイルバネ51A、51Bの付勢力により後方に変位し、スピンドルプレート8の内壁80Dとブレーキシュー6の外側面60Cとが当接する。故に、ベース1Aから取り外されたカセット1Bは、インクリボン2が弛むことを常時防止できる。
【0127】
軸4は、軸受部4E、後部突出部45を有する。後部突出部45は、軸受部4Eの後端に設けられる。後部突出部45の径は軸受部4Eの径よりも小さい。支持部材70A、70Bは、当接部73A、73Bを有する。支持部材70A、70Bが支持状態の場合、当接部73A、73Bは軸受部4Eの外表面に当接する。支持部材70A、70Bが離隔状態の場合、当接部73A、73Bは軸受部4Eの外表面を摺動し、後部突出部45側に移動することで、径方向の内側に移動する。このように、回転体5が第1位置にある場合、支持部材70A、70Bは支持状態であり、当接部73A、73Bが径方向の外側から軸受部4Eに当接する。そして、回転体5が第1位置から第2位置に変位する場合に、当接部73A、73Bが軸受部4Eの外表面を摺動し、後部突出部45側に移動する。これにより、当接部73A、73Bが径方向の内側に移動し、支持部材70A、70Bが離隔状態に切り替わる。故に、カセット1Bは、簡単な構成でインクリボン2の支持、及び支持の解除を行うことができる。
【0128】
カセット1Bは、コイルバネ51A、51Bを有する。コイルバネ51A、51Bの前端は回転体5に係合し、コイルバネ51A、51Bの後端はスピンドルプレート8に係合する。カセット1Bがベース1Aに装着される場合において、コイルバネ51A、51Bは、スピンドルプレート8を介して伝達される装着部22による押圧で圧縮されて、第2位置にある回転体5を第1位置に変位するように付勢する。仮に、回転体5が第1位置に位置しない状態でベース1Aに装着された場合、支持部材70A、70Bにより支持されていないリボンロール20は回転体5に対して回転可能となる。この場合、モータ31Aの回転に対してリボンロール20の回転が同期しなくなり、プリンタ1は精度良く印刷できない可能性がある。カセット1Bでは、回転体5がコイルバネ51A、51Bにより付勢されて第2位置から第1位置に変位し、支持部材70A、70Bは支持状態になる。故に、カセット1Bを装着したプリンタ1は、精度よく印刷できる。
【0129】
カセット1Bにおいて、支持部材70A、70Bは、金属製で弾性を有する板バネである。これにより、回転体5を第2位置から第1位置に配置させ、ユーザがリボンロール20を後側から回転体5に挿入することで、リボンロール20が支持される。故に、ユーザは、より簡単な操作でインクリボン2をカセット1Bに支持できる。
【0130】
カセット1Bにおいて、支持部材70A(70B)の支持部710A(710B)は、仮想円柱Cの径方向の外側に凸となる弧状に湾曲しながら前後方向に延びる。支持部710A(710B)には、凹み711A、712A(711B、712B)が形成される。凹み711A、712A(711B、712B)は、前後方向において、支持部710A(710B)の中心よりも後側において、縁が幅方向に凹んで形成される。回転体5が第1位置にある場合、支持部710A(710B)の前端から後方に向けて傾斜する部分(即ち、孤の立ち上がり部分)において、凹み711A、712A(711B、712B)が貫通孔20Bの壁面に接触する。仮に長時間の使用によって、貫通孔20Bの壁面が削れる場合、支持部710A、710Bの孤の立ち上がり部分において凹み711A、712A(711B、712B)が貫通孔20Bの壁面を削る。これにより、貫通孔20Bの壁面は、支持部材70A(70B)から前方への力を受ける。従って、仮に長時間の使用によって貫通孔20Bの壁面が削れる場合であっても、カセット1Bはリボンロール20が後方に変位することを防止できる。
【0131】
カセット1Bがベース1Aに装着される場合において、回転体5は、スピンドルプレート8、コイルバネ51A、51Bを介して装着部22による後方に押圧される。これにより、第2位置にある回転体5は第1位置に変位される。仮に、回転体5が第1位置に位置しない状態でベース1Aに装着された場合、支持部材70A、70Bにより支持されていないリボンロール20は回転体5に対して回転可能となる。この場合、モータ31Aの回転に対してリボンロール20の回転が同期しなくなり、プリンタ1は精度良く印刷できない可能性がある。カセット1Bでは、回転体5がベース1Aの装着部22により後方に押圧されて第2位置から第1位置に変位し、支持部材70A、70Bは支持状態になる。故に、カセット1Bを装着したプリンタ1は、リボンロール20の支持が解除された状態でプリンタ1が印刷することを抑制でき、インクリボン2により精度よく印刷できる。
【0132】
<変形例>
本発明は上記実施形態から種々変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限り夫々組み合わせ可能である。
【0133】
回転体5の第1回転体52及び第2回転体53は一体となって前後方向に移動しなくてもよい。例えば、第1回転体52が板9Bに対して接離せず、第2回転体53のみが軸4に沿って移動する構成でもよい。この場合、支持部材は、例えば第1回転体52に設けられ、前後方向の長さが弓形部52A、52Bよりも長く構成されてもよい。この場合、第1回転体52と第2回転体53とが近接していると、支持部材は第2回転体53の前面53Bに当接し、一部が仮想円柱Cの側面の外側に拡がる。第2回転体53が板9Bから離隔する方向に移動すると、支持部材は前面53Bから離隔し、仮想円柱Cの側面の内側に移動する。
【0134】
ブレーキシュー6、スピンドルプレート8の構成は適宜変更されてもよい。ブレーキシュー6、スピンドルプレート8の材質は適宜変更されてもよい。
【0135】
ブレーキシュー6は、上記実施形態において軸4に固定されたが、例えば第2回転体53に固定されてもよい。ブレーキシュー6は、軸4の先端(後部突出部45の後端)ではなく、例えば中央突出部44と後部突出部45との間に設けられてもよい。
【0136】
スピンドルプレート8は、突起8A、8Bを有さなくてもよい。この場合、穴220A、220Dに嵌る突起が第2回転体53に形成されてもよい。スピンドルプレート8は、軸4、第2回転体53に対して前後方向に移動可能であるが、例えば軸4、第2回転体53に対して固定されてもよい。この場合、ブレーキシュー6が軸4、第2回転体53に対して前後方向に移動可能に構成されてもよい。
【0137】
スピンドルプレート8の内壁80Dの形状、ブレーキシュー6の外側面60Cの形状、は適宜変更されてもよい。例えば、スピンドルプレート8の内壁80D、ブレーキシュー6の外側面60Cは、前後方向に対して傾斜しなくてもよい。スピンドルプレート8の内壁80Dは前方に向かって開口径が大きくなるテーパ形状であり、ブレーキシュー6の外側面60Cは、前方に向かって径が大きくなるテーパ形状であってもよい。この場合、コイルバネ51A、51Bの代わりに引張コイルバネがスピンドルプレート8と係合してもよい。スピンドルプレート8の内壁80Dの形状、ブレーキシュー6の外側面60Cの形状は、前後方向に対して湾曲した曲面であってもよい。
【0138】
ブレーキシュー6の外側面60Cのテーパの傾斜は、スピンドルプレート8の内壁80Dのテーパの傾斜と同じでもよいし、小さくてもよい。
【0139】
スピンドルプレート8は、嵌合部83A、83Bを有さなくてもよい。この場合、第2回転体53には、ガイド溝531、532が形成されなくてもよい。スピンドルプレート8には、嵌合部83A、83Bに代わり、前後方向に延び且つ基部80の側面から径方向の内側に凹んだ溝が形成されてもよい。この場合、第2回転体53には、ガイド溝531、532に代わり、前後方向に延び且つ筒孔530の内壁53Dから径方向の内側に突出し、基部80の溝に嵌る嵌合部が形成されてもよい。スピンドルプレート8の中心から嵌合部83A、83Bの外側面までの外径は、第2回転体53の径よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0140】
上記実施形態において、カセット1Bがベース1Aに装着される場合に、スピンドルプレート8は装着部22A(22D)により前方に押圧されて、ブレーキシュー6との当接が解除されて互いに離隔する。これに対し、カセット1Bは、スピンドルプレート8を前方に押圧する押圧部材を有してもよい。この場合、スピンドルプレート8は、カセット1Bがベース1Aに装着されていない状態で、ブレーキシュー6との当接が解除される。
【0141】
回転体5は、コイルバネ51A、51Bを有さなくてもよい。回転体5は、コイルバネ51A、51Bに代わり、スピンドルプレート8を後方に付勢するシリンダ、ソレノイドを有してもよい。
【0142】
上記実施形態において、コイルバネ51A、51Bは、スピンドルプレート8をブレーキシュー6に向けて付勢し、カセット1Bがベース1Aに装着される場合に回転体5を第1位置に向けて付勢する。これに対し、カセット1Bは、スピンドルプレート8をブレーキシュー6に向けて付勢する第1付勢部と、カセット1Bがベース1Aに装着される場合に回転体5を第1位置に向けて付勢する第1付勢部と異なる第2付勢部とを有してもよい。
【0143】
支持部材70A、70Bの構成、数は適宜変更されてもよい。支持部材70A、70Bの少なくとも一方が塑性を有してもよい。支持部710A、710Bは、回転体5が第2位置にある場合にリボンロール20の貫通孔20Bの内壁から離隔していればよく、仮想円柱Cの側面の外側に位置していてもよい。
【0144】
支持部材70A、70Bは、回転体5の前後方向の位置に応じて径方向に変位可能であればよい。例えば、回転体5の壁52E、52Fは、前方に向かって径方向の内側に傾斜した斜面を有し、支持部材70A、70Bは、当接部73A、73Bが壁52E、52Fの斜面を摺動することで、径方向に変位してもよい。支持部材70A、70Bは、回転体5の前後方向の位置を計測するセンサと、支持部710A、710Bと接続し、センサの計測結果に応じて伸縮するソレノイドを有してもよい。
【0145】
支持部710A、710Bは、前後方向に延びず、例えば第1回転体52の周回方向に延びてもよい。支持部710A、710Bは、孤状に延びず、例えば山形に延びてもよい。当接部73A、73B、誘導部74A、74Bに軸受部4Eとの摺動による摩擦を軽減するためにローラが設けられてもよい。支持部材70A、70Bの他に、回転体5の移動と連動して径方向に移動しない支持部材が設けられてもよい。支持部材70A(70B)には、貫通孔713A、凹み711A、712A、及び貫通孔721Aが形成されなくてもよい。
【0146】
本発明は、他に種々の変更が可能である。ベース1A、カセット1Bの構成、数は適宜変更されてもよい。板9Bに対して軸4の延びる方向は、板9Bと直交する方向に限らない。軸4は、板9Bと直交する方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。軸4は板9Bに対して固定されてもよい。軸4は板9Bに対して、上下方向、左右方向、前後方向の少なくとも何れかの方向に移動可能であってもよい。
【0147】
回転体5は、略円筒状以外の形状を有していてもよい。回転体5は、軸4の周りの一部のみを覆うように設けられてもよい。回転体5は、第1回転体52及び第2回転体53と異なる回転体を有していてもよいし、第1回転体52又は第2回転体53の少なくとも何れかを有していなくてもよい。
【0148】
シャフト32A、32Dは、第2回転体53を後側に向けて付勢する付勢部材(例えば、圧縮コイルばね。)を有してもよい。この場合、ベース1Aからカセット1Bが取り外されると、ユーザが操作することなく、回転体5が第1位置から第2位置に配置され、支持部材70A、70Bによるリボンロール20の支持が解除される。
【0149】
シャフト32A、32Dは、第2回転体53を前側に向けて付勢する付勢部材(例えば、引張コイルばね。)を有してもよい。この場合、ユーザがシャフト32Aからリボンロール20を取り外して操作を終了すると、ユーザが操作することなく、回転体5が第2位置から第1位置に配置され、支持部材70A、70Bは支持状態となる。この場合、装着部22はスピンドルプレート8を介して回転体5を押圧しなくてもよい。
【0150】
シャフト32A、32Dは、ベアリング4C、4Dの少なくとも一方を有していなくてもよい。例えば、シャフト32A、32Dがベアリング4Dを有さない場合、支持状態の支持部材70A、70Bにおいて、当接部73A、73Bが中央突出部44に外側から当接しているように構成されればよい。
【0151】
ワッシャ7Gの構成、数は適宜変更されてもよい。例えば、シャフト32A、32Dは、平ワッシャ7B、7E、7Fの少なくとも何れかを有してなくてもよい。波ワッシャ7C、7Dの代わりに、ゴム等の他の弾性部材が用いられてもよい。
【0152】
<その他>
シャフト32A、32Dは、本発明の「スピンドル」の一例である。後方向は、本発明の「第1方向」の一例である。貫通孔80Cは、本発明の「孔」の一例である。内壁80Dは、本発明の「内壁」の一例である。外側面60Cは、本発明の「外表面」の一例である。筒孔530は、本発明の「筒孔」の一例である。前方向は、本発明の「第2方向」の一例である。コイルバネ51A、51Bは、本発明の「付勢部」「第2付勢部」の一例である。軸受部4Eは、本発明の「第1軸部」の一例である。後部突出部45は、本発明の「第2軸部」の一例である。当接部73A、73Bは、本発明の「接触部」の一例である。凹み711A、712A、711B、712Bは、本発明の「凹み部分」の一例である。モータ31A、31Dは、本発明の「駆動部」の一例である。
【符号の説明】
【0153】
1 プリンタ
1A カートリッジベース(ベース)
1B インクリボンカセット(カセット)
2 インクリボン
4 軸
4E 軸受部
5 回転体
6 ブレーキシュー
8 スピンドルプレート
9B 板
20 リボンロール
32A、32D シャフト
70A、70B 支持部材
60C 外側面
80C 貫通孔