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特開2024-142996二次電池管理装置、二次電池管理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142996
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】二次電池管理装置、二次電池管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20241003BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241003BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20241003BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20241003BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/00 130
H02J3/14 130
H02J13/00 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055437
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】植嶋 美喜
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AB05
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB03
5G064CB08
5G064CB12
5G064DA05
5G066AA02
5G066AE01
5G066AE05
5G066AE09
5G066HA15
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G066KA12
5G066KB03
5G066KB07
(57)【要約】
【課題】受電電力がピークとなる時刻が、予想時刻と相違した場合であっても、ピーク電力の抑制を図ることができる二次電池管理装置を提供する。
【解決手段】受電予測情報を作成する受電予測部21と、受電予測情報に基づいて、受電電力値が受電ピークに到達する予測時刻情報を算出するピーク予測部22と、受電予測情報と予測時刻情報とに基づいて二次電池11の放電計画を作成する計画作成部23と、放電計画を補正する補正部24とを備え、補正部24は、受電電力値が実際に受電ピークに到達するピーク時刻と予測ピーク時刻との差分である誤差値と、誤差値が生じる確率である誤差発生確率とを含む誤差分布情報に基づいて補正処理を行う、二次電池管理装置20。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家が商用電源から受電する電力の電力値である受電電力値の、任意の時刻における予測値である受電予測値を算出し、前記受電予測値の時間変化を示す受電予測情報を作成する処理を行う受電予測部と、
前記受電予測情報に基づいて、前記受電電力値が所定条件を満たす受電ピークに到達すると予測される予測ピーク時刻を含む予測時刻情報を算出する処理を行うピーク予測部と、
前記受電予測情報と、前記予測時刻情報と、に基づいて、前記需要家に電力を供給する二次電池の放電計画を作成する処理を行う計画作成部と、
前記放電計画を補正する補正処理を行う補正部と、
を備え、
前記補正部は、前記受電電力値が実際に前記受電ピークに到達する時刻であるピーク時刻と前記予測ピーク時刻との差分である誤差値と、前記誤差値が生じる確率である誤差発生確率とを含む誤差分布情報に基づいて前記補正処理を行う、
二次電池管理装置。
【請求項2】
前記受電電力値の実際の時間変化を示す実績情報と、前記実績情報に対応する前記受電予測情報に基づいて、前記誤差分布情報を算出する処理を行う誤差算出部を更に備える、
請求項1に記載の二次電池管理装置。
【請求項3】
前記誤差分布情報は、複数の前記誤差値と、それぞれの前記誤差発生確率とが紐づけられた情報であり、
前記放電計画は、所定の電力が放電される時刻として設定された放電時刻と、前記放電時刻において前記二次電池から放電される電力の電力値として設定された放電予定値とが関連付けられた情報であり、
前記補正部は、前記放電計画の所定時刻に設定されている前記放電予定値の少なくとも一部を、前記誤差分布情報に基づいて算出された配分情報に従って、前記所定時刻から前記誤差値に対応する時間だけ離れた時刻に配分して前記補正処理を行うものであり、
前記配分情報は、前記誤差値と、それぞれの前記誤差発生確率に対応して設定された配分割合とが紐づけられた情報である、
請求項2に記載の二次電池管理装置。
【請求項4】
前記配分情報は、予め設定された条件に従って定められた時間幅に基づいて前記誤差分布情報から抽出された情報に基づいて算出される、
請求項3に記載の二次電池管理装置。
【請求項5】
前記補正部は、
前記補正処理による補正後の前記放電計画において、補正後の前記放電予定値である補正放電予定値が、所定の閾値以上となる時刻がある場合には、前記時刻における前記補正放電予定値と、前記所定の閾値との差分の電力を、前記所定の閾値を超えない前記補正放電予定値が設定されている他の時刻に、前記所定の閾値と前記他の時刻における前記補正放電予定値との差分に基づいて決定された順番に従って割り当てる再割当処理を行う、
請求項3又は請求項4に記載の二次電池管理装置。
【請求項6】
電子計算機器を用いて需要家に電力を供給する二次電池の管理を行う二次電池管理方法であって、
前記需要家が商用電源から受電する電力の電力値である受電電力値の、任意の時刻における予測値である受電予測値を算出し、前記受電予測値の時間変化を示す受電予測情報を作成する処理を行う受電予測ステップと、
前記受電予測情報に基づいて、前記受電予測値が所定条件を満たす受電ピークに到達すると予測される予測ピーク時刻を含む予測時刻情報を算出する処理を行うピーク予測ステップと、
前記受電予測情報と、前記予測時刻情報と、に基づいて、前記二次電池の放電計画を作成する処理を行う計画作成ステップと、
前記放電計画を補正する補正処理を行う計画補正ステップと、
を含み、
前記計画補正ステップは、前記受電電力値が実際に前記受電ピークに到達するピーク時刻と前記予測ピーク時刻との差分である誤差値と、前記誤差値が生じる確率である誤差発生確率とを含む誤差分布情報に基づいて前記補正処理を行う、
二次電池管理方法。
【請求項7】
電子計算機器に、
需要家が商用電源から受電する電力の電力値である受電電力値の、任意の時刻における予測値である受電予測値を算出し、前記受電予測値の時間変化を示す受電予測情報を作成する処理を行う受電予測機能と、
前記受電予測情報に基づいて、前記受電予測値が所定条件を満たす受電ピークに到達すると予測される予測ピーク時刻を含む予測時刻情報を算出する処理を行うピーク予測機能と、
前記受電予測情報と、前記予測時刻情報と、に基づいて、前記需要家に電力を供給する二次電池の放電計画を作成する処理を行う計画作成機能と、
前記放電計画を補正する補正処理を行う計画補正機能と、
を実現させるプログラムであって、
前記計画補正機能は、前記受電電力値が実際に前記受電ピークに到達するピーク時刻と前記予測ピーク時刻との差分である誤差値と、前記誤差値の生じる確率である誤差発生確率とを含む誤差分布情報に基づいて前記補正処理を行う、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源設備において用いられる二次電池管理装置、二次電池管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
需要家が商用電源から受電する受電電力のピークであるピーク電力を抑制する、ピークカットと呼ばれる電源設備の制御方法が一般的に用いられている。この制御方法では、需要家の負荷設備等で消費される電力が最大となる時刻に、電源設備の二次電池から負荷設備等に電力を供給する制御が行われ、受電電力のピークが抑制される。
【0003】
具体的には、電源設備の管理装置が、二次電池に蓄電されている電力が所定の時間帯に負荷設備等に供給されるように、二次電池や二次電池に接続されている電力変換装置などの制御を行う。この二次電池の管理を行う二次電池管理装置としては、ピークカットを行う機能に加え、電力供給コストの低減を目的とした制御を行う機能を有するものも知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-161843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のピークカットでは、受電電力の実績値などの様々な情報に基づいて、需要家の受電電力がピークとなる予想時刻を算出し、その予想時刻の時間帯に二次電池から電力が供給されるように電源設備の制御が行われていた。一方、需要家の負荷設備等で消費される電力は、様々な要因によって変動するため、実際に受電電力がピークとなる時刻が、事前に算出された予想時刻からずれてしまう場合があった。即ち、実際に受電電力がピークとなる時刻とは異なる時間帯に二次電池からの電力の供給が行われてしまい、受電電力のピークを抑制することができない場合があった。
【0006】
本開示は、実際に受電電力がピークとなる時刻が、予め算出された予想時刻と相違した場合であっても、ピーク電力の抑制を図ることができる、二次電池管理装置、二次電池管理方法、およびプログラムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第一局面における二次電池管理装置は、需要家が商用電源から受電する電力の電力値である受電電力値の、任意の時刻における予測値である受電予測値を算出し、前記受電予測値の時間変化を示す受電予測情報を作成する処理を行う受電予測部と、前記受電予測情報に基づいて、前記受電電力値が所定条件を満たす受電ピークに到達すると予測される予測ピーク時刻を含む予測時刻情報を算出する処理を行うピーク予測部と、前記受電予測情報と、前記予測時刻情報と、に基づいて、前記需要家に電力を供給する二次電池の放電計画を作成する処理を行う計画作成部と、前記放電計画を補正する補正処理を行う補正部とを備え、前記補正部は、前記受電電力値が実際に前記受電ピークに到達する時刻であるピーク時刻と前記予測ピーク時刻との差分である誤差値と、前記誤差値が生じる確率である誤差発生確率とを含む誤差分布情報に基づいて前記補正処理を行う。
【0008】
このように構成された二次電池管理装置によれば、補正部が、誤差分布情報に基づいて
、計画作成部によって作成された放電計画を補正する。この誤差分布情報は、予測ピーク時刻と実際のピーク時刻との差分である誤差値と、当該誤差値が生じる確率である誤差発生確率とを含む情報である。即ち、放電計画は、予測ピーク時刻に関する誤差値と、その誤差値が発生する誤差発生確率とが含まれる誤差分布情報に基づいて補正される。このため、実際の受電電力のピークとなる時刻が、予め算出された予想時刻と相違した場合であっても、ピーク電力の抑制を図ることができる。
【0009】
上記においては、前記受電電力値の実際の時間変化を示す実績情報と、前記実績情報に対応する前記受電予測情報に基づいて、前記誤差分布情報を算出する処理を行う誤差算出部を更に備えることが好ましい。
【0010】
このように構成された二次電池管理装置では、誤差分布情報が、需要家における実際の受電電力値の時間変化に関する実績情報と、その実績情報に対応する受電予測情報に基づいて算出される。即ち、放電計画の補正処理に用いられる誤差分布情報が、需要家における過去の実績に関する情報に基づいて算出される。
【0011】
このため、放電計画が、実績を反映した情報に基づいて、適切に正確に補正されるようになり、実際の受電電力のピークとなる時刻が、予想された時刻と相違した場合であっても、ピーク電力の抑制を図ることができる。
【0012】
上記においては、前記誤差分布情報は、複数の前記誤差値と、それぞれの前記誤差発生確率とが紐づけられた情報であり、前記放電計画は、所定の電力が放電される時刻として設定された放電時刻と、前記放電時刻において前記二次電池から放電される電力の電力値として設定された放電予定値とが関連付けられた情報であり、前記補正部は、前記放電計画の所定時刻に設定されている前記放電予定値の少なくとも一部を、前記誤差分布情報に基づいて算出された配分情報に従って、前記所定時刻から前記誤差値に対応する時間だけ離れた時刻に配分して前記補正処理を行うものであり、前記配分情報は、前記誤差値と、それぞれの前記誤差発生確率に対応して設定された配分割合と、が紐づけられた情報であることが好ましい。
【0013】
このように構成された二次電池管理装置では、誤差分布情報に基づいて算出された配分情報に基づいて、放電計画の補正処理が行われる。即ち、補正部は、所定時刻に設定されている放電予定値の少なくとも一部が、それぞれの誤差値ごとに、その誤差発生確率に対応して設定されている配分割合で、所定時刻から誤差値に対応する時間だけ離れた時刻に配分されるように処理を行う。
【0014】
即ち、放電計画の所定の時刻に設定された放電予定の電力が、誤差値の発生確率に従った割合で、その誤差値に対応する時刻にそれぞれ分配されるため、実際のピーク時刻が、予想時刻と相違した場合であっても、ピーク電力の抑制を図ることができる。
【0015】
上記において、前記配分情報は、予め設定された条件に従って定められた時間幅に基づいて前記誤差分布情報から抽出された情報に基づいて算出されることが好ましい。
【0016】
このように構成された二次電池管理装置では、予め設定された条件に従って定められた時間の間隔である時間幅に含まれる誤差分布情報に基づいて、配分情報が算出される。この予め設定された条件としては、例えば実際に配分情報を算出する際に用いられる情報が誤差分布情報の全体に占める割合などの情報があげられる。この場合には、例えば需要家の管理者等によって事前に設定された割合に基づいて、当該割合を少なくとも満たす情報をその間に含む時間幅が定められる。そして、その時間幅に基づいて誤差分布情報から情報が抽出されて、配分情報が算出される。このため、例えば、誤差発生確率の低い大きな
誤差値を除外した情報に基づいて配分情報を算出するなど、予め設定された条件に従った配分情報の算出を行うことができる。
【0017】
上記において、前記補正部は、前記補正処理による補正後の前記放電計画において、補正後の前記放電予定値である補正放電予定値が、所定の閾値以上となる時刻がある場合には、前記時刻における前記補正放電予定値と、前記所定の閾値との差分の電力を、前記所定の閾値を超えない前記補正放電予定値が設定されている他の時刻に、前記所定の閾値と前記他の時刻における前記補正放電予定値との差分に基づいて決定された順番に従って割り当てる再割当処理を行うことが好ましい。
【0018】
このように構成された二次電池管理装置では、補正後の補正放電予定値が、所定の閾値以上となる時刻がある場合には、その差分の電力を、その補正放電予定値が所定の閾値に達していない他の時刻に割り当てる再割処理が行われる。この差分の電力の割当は、所定の閾値と、当該他の時刻における補正放電予定値との差分に基づく順番で行われる。この所定の閾値としては、二次電池に接続された電力変換装置の定格など、二次電池が需要家に供給可能な電力の上限値などが例示される。このため、二次電池に蓄電されている電力を効率的に利用して、ピーク電力の抑制を図ることができる。
【0019】
本開示の第二局面における二次電池管理方法は、電子計算機器を用いて需要家に電力を供給する二次電池の管理を行う二次電池管理方法であって、前記需要家が商用電源から受電する電力の電力値である受電電力値の、任意の時刻における予測値である受電予測値を算出し、前記受電予測値の時間変化を示す受電予測情報を作成する処理を行う受電予測ステップと、前記受電予測情報に基づいて、前記受電予測値が所定条件を満たす受電ピークに到達すると予測される予測ピーク時刻を含む予測時刻情報を算出する処理を行うピーク予測ステップと、前記受電予測情報と、前記予測時刻情報と、に基づいて、前記二次電池の放電計画を作成する処理を行う計画作成ステップと、前記放電計画を補正する補正処理を行う計画補正ステップとを含み、前記計画補正ステップは、前記受電電力値が実際に前記受電ピークに到達するピーク時刻と前記予測ピーク時刻との差分である誤差値と、前記誤差値が生じる確率である誤差発生確率とを含む誤差分布情報に基づいて前記補正処理を行う。
【0020】
本開示の第三局面におけるプログラムは、電子計算機器に、需要家が商用電源から受電する電力の電力値である受電電力値の、任意の時刻における予測値である受電予測値を算出し、前記受電予測値の時間変化を示す受電予測情報を作成する処理を行う受電予測機能と、前記受電予測情報に基づいて、前記受電予測値が所定条件を満たす受電ピークに到達すると予測される予測ピーク時刻を含む予測時刻情報を算出する処理を行うピーク予測機能と、前記受電予測情報と、前記予測時刻情報と、に基づいて、前記需要家に電力を供給する二次電池の放電計画を作成する処理を行う計画作成機能と、前記放電計画を補正する補正処理を行う計画補正機能とを実現させるプログラムであって、前記計画補正機能は、前記受電電力値が実際に前記受電ピークに到達するピーク時刻と前記予測ピーク時刻との差分である誤差値と、前記誤差値の生じる確率である誤差発生確率とを含む誤差分布情報に基づいて前記補正処理を行う。
【発明の効果】
【0021】
本開示の二次電池管理装置、二次電池管理方法、およびプログラムによれば、受電電力がピークとなる実際の時刻が、予め算出された予想時刻と相違した場合であっても、ピーク電力の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示に係る二次電池管理装置が用いられる電源設備を説明するブロック図である。
図2】本開示に係る二次電池管理装置の構成を説明するブロック図である。
図3】ピークカットの概要を説明する図である。
図4】事前に算出された受電予測値の変化の一例と、実際の受電電力値の変化の一例を説明する図である。
図5】誤差分布情報を説明する図である。
図6図6(a)は、当初の放電計画の一例を示す図である。図6(b)は、配分情報の一例を示す図である。図6(c)は、補正後の放電計画の一例を示す図である。
図7図7(a)は、当初の放電計画の一例を示す図である。図7(b)は、補正後の放電計画の一例を示す図である。
図8】受電予測情報と放電計画の一例を説明する図である。
図9】誤差分布情報の一例を説明する図である。
図10】誤差分布情報から、配分情報を算出するために必要となる情報を抽出する処理の一例を説明する図である。
図11図11(a)は、誤差分布情報から抽出した情報の一例を示す図である。図11(b)は、修正処理後の抽出した情報(配分情報)の一例を示す図である。
図12図12(a)は、当初の放電計画の一例を示す表である。図12(b)は、配分情報の一例を示す表である。図12(c)は、補正後の放電計画の一例を示す表である。
図13図13(a)は、当初の放電計画の一例を説明する図である。図13(b)は、補正後の放電計画の一例を説明する図である。
図14】二次電池管理装置による処理を説明するフロー図である。
図15図15(a)は、補正後の放電計画の一例を説明する図である。図15(b)は、再割当処理後の放電計画の一例を説明する図である。
図16】本開示の他の実施形態に係る二次電池管理装置による処理を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1の実施形態〕
以下、本開示の第1の実施形態に係る装置ついて図1から図13を参照しながら説明をおこなう。
【0024】
1-1 構成の説明
本実施形態において、電力管理システム1は、需要家の負荷設備30への電力の供給と、その管理を行うものである。図1に示されているように、電力管理システム1は、電源設備10と、二次電池管理装置20と、データサーバ40から主に構成されている。
【0025】
電源設備10は、商用電源50から電力の供給を受けるとともに、負荷設備30に電力を供給する。負荷設備30は、需要家の施設などに配置されている電力を消費する機器や装置である。負荷設備30としては、例えば空調装置や照明機器などが例示されるが、それらに限定される訳ではない。
【0026】
電源設備10は、二次電池11と、電力変換装置12と、制御装置13とを少なくとも有している。二次電池11は、充電と放電を繰り返すことが可能な蓄電池を有している。二次電池11は、電力変換装置12を介して供給される商用電源50からの電力によって充電される。また、二次電池11は、蓄電されている電力を放電して、電力変換装置12を介して負荷設備30に電力を供給する。
【0027】
電力変換装置12は、商用電源50から供給される交流電力を、直流電力に変換する機能と、二次電池11から供給される直流電力を、交流電力に変換する機能を有する双方向
型の電力変換装置である。電力変換装置12は、商用電源50から供給される交流電力を、二次電池11の充電に適した大きさの直流電力に変換する。また、電力変換装置12は、二次電池11から供給される直流電力を、負荷設備30に適した大きさの交流電力に変換する。
【0028】
制御装置13は、電源設備10の制御を主に行う部分である。制御装置13は、少なくとも、二次電池11と、電力変換装置12の制御を行う。制御装置13は、二次電池11の蓄電量や蓄電率(SOC)などの、二次電池11に関する情報を逐次取得して、二次電池管理装置20が処理可能な情報として出力する機能も有している。
【0029】
制御装置13は、負荷設備30が多くの電力を消費する時間帯に、二次電池11から負荷設備30に電力が供給されるように、二次電池11や電力変換装置12などの制御を行う。また、制御装置13は、負荷設備30が多くの電力を消費しない時間帯に、商用電源50からの電力を用いて二次電池11が充電されるように、二次電池11や電力変換装置12などの制御を行う。例えば、制御装置13は、昼間の時間帯において、二次電池11に蓄電されている電力が、負荷設備30に供給されるように、二次電池11や電力変換装置12などの制御を行う。また、制御装置13は、例えば夜間の時間帯において、商用電源50からの電力によって二次電池11が充電されるように、二次電池11や電力変換装置12などの制御を行う。
【0030】
電力管理システム1は、負荷設備30に電力を供給する期間と、二次電池11を充電する期間を所定の期間で繰り返す。この電力管理システム1の稼働の1回の繰り返しの期間を「稼働サイクル」とも記載する。以降において、電源設備10の稼働サイクルは、1日(24時間)であるものとして説明を行う。
【0031】
データサーバ40は、詳細は後述する二次電池管理装置20が行う処理に用いる情報の収集を行ったり、収集した情報などを記憶したりする。データサーバ40は、インターネットなどの外部の通信回線に接続されている。データサーバ40は、収集した情報や、記憶している情報を、二次電池管理装置20に出力する機能を有している。
【0032】
データサーバ40は、二次電池管理装置20が、受電予測情報を作成する処理や、放電計画の作成する処理を行う際に必要となる情報を収集する。受電予測情報を作成する処理を行う際に必要となる情報としては、過去に電源設備10が商用電源50から受電した電力の時間変化に関する情報(以降において「実績情報」とも記載する)が例示される。また、負荷設備30の実際の消費電力に関する情報などが例示される。あるいは、受電予測情報を作成する期間における気象予想に関する情報や、負荷設備30の消費電力に関連性を有するその他の情報が例示される。データサーバ40は、二次電池管理装置20からの要求に応じて、要求された情報を収集する処理を行ってもよい。
【0033】
二次電池管理装置20は、商用電源50から負荷設備30に供給される受電電力のピーク電力を抑制するために、電源設備10に対して制御を行うための装置である。
【0034】
この二次電池管理装置20が行う制御は、一般にピークカットとも呼ばれる制御方法である。ピークカットでは、例えば図3に示されているように、受電電力値が閾値を上回る時間帯において、二次電池11に蓄電されている電力を放電し、負荷設備30に供給する制御が行われる。図3の12時から16時の時間帯における棒グラフのうち、網掛けのされていない白色の領域が、ピークカットが行われない場合の受電電力を示しており、網掛けのされた部分が、ピークカットが行われた後の受電電力を示している。
【0035】
このようにすることで、受電電力値が突出した値となる時間帯が生じることのないよう
に、二次電池11に蓄電されている電力を適宜放電する制御が行われる。このような制御によって、電力を効率的に利用することができるとともに、電気料金が抑制されることが期待できる。
【0036】
本実施形態において二次電池管理装置20は、このピークカットを行うために、二次電池11の制御を行う。より具体的に説明を行うと、二次電池管理装置20は、制御装置13を介して、二次電池11や電力変換装置12などを制御して、二次電池11による負荷設備30への電力の供給を制御する。
【0037】
二次電池管理装置20は、図2に示されているように、受電予測部21と、ピーク予測部22と、計画作成部23と、補正部24と、誤差算出部25と、記憶部26と、制御部27を主に有している。二次電池管理装置20は、公知のサーバ装置やPCなどの電子計算機器に、専用のソフトウェアがインストールされたものである。即ち、専用のソフトウェアとハードウェアが協働して、各部の機能が実現されている。二次電池管理装置20は、その各部が専用のハードウェアから構成され、それぞれの機能が実現されるように構成されたものであってもよい。
【0038】
二次電池管理装置20は、予め設定された時間間隔で、二次電池11や電力変換装置12などの制御などを行う。換言すれば、二次電池管理装置20は、予め設定された時間間隔を、時間の単位として、二次電池11や電力変換装置12などの制御を行う。例えば、二次電池管理装置20は、30分を、制御を行う際の時間の最小単位として、二次電池11や電力変換装置12などの制御などを行う。以降において、この予め設定された時間間隔の時間の長さを「L」として説明を行う。また、時間の長さLを有する二次電池管理装置20による制御の時間の最小単位を、「時間のコマ」、あるいは「コマ」とも記載する。
【0039】
この時間のコマの長さLは、電力管理システム1の稼働サイクルの期間を、均等に分割した長さであることが好ましい。例えば、時間のコマの長さLは、1日(24時間)を48等分した一つの時間の長さ(30分)であったり、24時間を24等分した時間の長さ(1時間)であったりすることが好ましい。以降において、時間のコマの長さLを30分として説明を行う。時間のコマの長さLは、30分よりも長い時間であっても、短い時間であってもよい。例えば時間のコマの長さLは、二次電池管理装置20が行う処理に差し支えがなければ、1分などの時間の長さであってもよい。
【0040】
以降の説明において、所定の時間のコマは、そのコマが始まる時刻によって特定される。例を挙げて説明すれば、所定の時間のコマが、12時00分から始まり12時30分で終わる場合には、当該コマを、「12時00分のコマ」(12時00分の時間のコマ)、あるいは「12時00分から始まるコマ」(12時00分から始まる時間のコマ)と記載する。あるいは、「12時00分の時間帯」、又は「12時00分から始まる時間帯」とも記載する。あるいは、時間のコマは、基準となる時刻のコマから数えたコマの数によっても特定される。例を挙げて説明すれば、所定の時刻から始まるコマが、基準となる時刻のコマから数えて23番目である場合には、23番目のコマ(23番目の時間のコマ)、あるいは、23番目の時間帯と記載する。以降において、午前0時(0:00)のコマが、基準となる時刻のコマに設定されているものとして説明を行う。
【0041】
受電予測部21は、任意の時点における電源設備10が商用電源50から受電する電力の大きさを示す電力値の予想値の時間変化を算出する部分である。以降において、電源設備10が商用電源50から受電する電力の電力値を「受電電力値」と、受電電力値の予想値を「受電予測値」とも記載する。受電予測部21は、データサーバ40から取得した情報に基づいて、今後、電源設備10が商用電源50から受電する電力値の時間変化を予想
する処理を行う部分である。
【0042】
受電予測部21は、データサーバ40から取得した情報に基づいて、受電予測値を一定の時間間隔毎に算出して、その時間変化を算出する。例えば受電予測部21は、過去に電源設備10が商用電源50から受電した電力の実績情報や、負荷設備30による消費電力の実績に関する情報などに基づいて、受電予測値の時間変化を算出する。受電予測部21は、気象予想に関する情報や、負荷設備30において消費される電力量に関連するその他の情報を更に用いて、受電予測値の時間変化を算出する処理を行ってもよい。
【0043】
以降において、受電予測部21が算出する、受電電力値の予想される時間変化を少なくとも含む情報を「受電予測情報」とも記載する。受電予測部21が算出した受電予測情報は、記憶部26に記憶される。
【0044】
ピーク予測部22は、受電予測部21が算出した受電予測情報に基づいて、受電予測値が受電ピークに到達すると予想される時刻を算出する部分である。以降において受電予測値が受電ピークと到達すると予想される時刻を「予測ピーク時刻」とも記載する。
【0045】
受電ピークとは、受電電力値が、予め定められた所定条件を満たす状態となることをいう。この受電ピークに関する条件とは、様々な条件が例示される。例えば、受電電力値が、所定の期間内(例えば稼働サイクルの期間内)において最も大きな値となる状態が例示される。あるいは、受電電力値が、所定の期間内において、事前に設定された閾値以上の値となる状態などが例示される。あるいは、受電電力値が、事前に設定された閾値以上となる期間において、その値が最も大きな値となる状態などが例示される。
【0046】
以降において、受電ピークは、稼働サイクルの期間内において、受電電力値が、最も大きな値となる状態として説明を行う。また、ピーク予測部22は、稼働サイクル(24時間)において、受電予測値が受電ピークとなる時刻を予測ピーク時刻として算出するとともに、その次に受電予測値が大きな値となる時刻も算出する処理を行うものとして以降の説明を行う。
【0047】
ピーク予測部22は、予測ピーク時刻が含まれる時間帯を選定する処理も行う。例えば、算出された予想ピーク時刻が、12時03分である場合に、ピーク予測部22は、予想ピーク時刻が含まれる時間帯として、12時00分の時間帯を選定する処理を行う。また、ピーク予測部22は、複数の受電ピークが算出される場合において、受電ピークの受電予測値の大きさに従って順位付けを行う処理も行う。なお、予測ピーク時刻が含まれる時間帯を選定する処理や順位付けを行う処理は、ピーク予測部22以外の他の部分によって行われてもよい。以降の説明において、ピーク予測部22が算出する少なくとも予測ピーク時刻を含む情報を「予測時刻情報」とも記載する。ピーク予測部22が算出した予測時刻情報は、記憶部26に記憶される。予測時刻情報には、受電ピークにおける受電予測値の大きさの順位などの情報が含まれていてもよい。
【0048】
計画作成部23は、受電予測情報と予測時刻情報に基づいて、二次電池11の放電計画(図4における棒グラフ参照。)を作成する処理を行う部分である。放電計画には、二次電池11から電力の供給が開始される時間帯(時間のコマ)に関する情報と、その間に二次電池11から供給される電力量に関する情報と、が少なくとも含まれる。以降において、放電計画にて設定された二次電池11から供給される電力量を「放電予定値」とも記載する。この放電計画における二次電池11から電力の供給が開始される時間帯(時間のコマ)が、放電時刻の一例である。
【0049】
計画作成部23は、予め設定された条件に従って、所定の期間における二次電池11の
放電計画を作成する処理を行う。計画作成部23は、例えば1回の稼働サイクルにおける放電計画を作成する処理を行う。あるいは、計画作成部23は、一日のうちの、負荷設備30が実際に稼働する時間帯における計画を作成する処理を行ってもよい。
【0050】
計画作成部23は、原則として、次の稼働サイクルの二次電池11の充電開始時刻までに、二次電池11に蓄電されている全ての電力が負荷設備30に供給されて、蓄電量が0となるように、放電計画を作成する処理を行う。
【0051】
計画作成部23は、受電予測部21が算出した受電予測情報と、ピーク予測部22が算出した予想時刻情報と、二次電池11に蓄電されている蓄電量に関する情報に基づいて、放電計画を作成する処理を行う。
【0052】
例えば計画作成部23は、予測ピーク時刻が含まれる時間帯(時間のコマ)に、二次電池11から負荷設備30に電力が供給されて、受電電力値が所定の条件を満たす値となるように、放電計画を作成する。以降において、予想ピーク時刻が含まれる時間帯を、「予想ピーク時刻の時間帯」、あるいは「予想ピーク時刻の時間のコマ」、または「予想ピーク時刻のコマ」とも記載する。
【0053】
予め設定された条件とは、予測ピーク時刻の時間帯における受電電力値が、所定の閾値以下となることが例示される。あるいは、予測ピーク時刻の時間帯における電力値が、過去の一定期間における受電電力値の最大値を下回ることが例示される。あるいは、選択された他の時刻における受電予測値を下回ることなどが例示される。本実施形態において、計画作成部23は、予測ピーク時刻の時間帯における受電電力値が、予め設定された閾値以下となるように放電計画を作成するものとして以降の説明を行う。
【0054】
計画作成部23は、予測ピーク時刻の時間帯に、負荷設備30への電力供給が行われた後に、二次電池11に十分な電力が蓄電されていると判断される場合には、異なる時間帯に、二次電池11から電力の供給が行われる計画を立案する処理を行ってもよい。例えば、受電予測値が、予測ピーク時刻における予想値の次に大きな値となる時間のコマに、二次電池11から電力の供給が行われる計画を立案する処理を行ってもよい。更に、それらの電力の供給が行われた後に、十分な電力が二次電池11に引き続き蓄電されていると判断される場合には、更に異なる時間のコマに、二次電池11から電力が供給される計画を立案してもよい。計画作成部23が立案した放電計画は、記憶部26に記憶される。計画作成部23が立案した放電計画は、他の記憶部に記憶されてもよい。
【0055】
誤差算出部25は、予想ピーク時刻の誤差と、その誤差が発生する確率に関する情報を算出する部分である。負荷設備30にて消費される電力の大きさや、その時間変化は、様々な要因によって変化するため、実際の受電電力値の時間変化が、受電予測情報とは異なる場合があり得る。即ち、図4に例として示されているように、実際に受電電力値が受電ピークに到達する時刻(以降において「ピーク時刻」又は「実際ピーク時刻」とも記載する。)が、予想ピーク時刻とは異なる場合がありうる。図4において、実線の円で囲まれた部分が、予想された受電ピークであり、破線の円で囲まれた部分が、実際の受電ピークである。
【0056】
誤差算出部25は、記憶部26などから、過去の複数の稼働サイクルにおける情報を取得して、予想ピーク時刻の誤差と、その誤差値が発生する確率に関する情報を算出する。具体的には、誤差算出部25は、過去に算出された複数の予想ピーク時刻と、対応する期間における対応するピーク時刻(実際ピーク時刻)との差分に関する情報をそれぞれ算出する。以降において、予想ピーク時刻と、対応する実際ピーク時刻との時間の差分を「予想ピーク時刻の予測誤差」、あるいは単に「予測誤差」とも記載する。
【0057】
更に誤差算出部25は、取得した情報に基づいて、予測誤差の大きさ毎に、その予測誤差が発生する確率を算出する。そして誤差算出部25は、一回の稼働サイクルにおいて、発生し得る予測誤差と、それぞれの予測誤差が発生する確率とが紐づけられた情報を作成する。即ち誤差算出部25は、一回の稼働サイクルにおける予測誤差の誤差分布に関する情報を作成する。誤差算出部25は、作成した予測誤差の誤差分布に関する情報を記憶部26に記憶させる。
【0058】
以降において、所定の予測誤差が発生する確率を、「誤差確率」あるいは「誤差確率密度」とも記載する。また、予測誤差と、それぞれの予測誤差の誤差確率が紐づけられた情報を「誤差分布情報」とも記載する。誤差算出部25は、ピーク予測部22や計画作成部23が時間の単位として用いる「時間のコマ」を、同様に時間の単位として用いて、誤差分布情報を作成する。誤差算出部25は、所定の予測誤差に対応する時間のコマごとにその誤差確率を算出して、誤差分布情報を作成する。予測誤差が、誤差値の一例である。誤差確率あるいは誤差確率密度が、誤差発生確率の一例である。
【0059】
誤差算出部25は、過去の予想ピーク時刻に関する情報と、対応する実績情報に基づいて、誤差分布が用いられる技術分野にて知られている公知の方法を用いて、予測誤差と誤差確率の関係を示す誤差関数を算出する処理を行ってもよい。例えば図5にて曲線状のグラフで示されているような、誤差関数を算出する処理を行ってもよい。誤差算出部25は、算出された誤差関数を誤差分布情報として、記憶部26に記憶させる。
【0060】
図5において、横軸は、予測誤差の大きさを示している。図5における横軸の中心付近における、「0」は、実際ピーク時刻が、予想ピーク時刻と同じ時刻であることを示している。また、図5において、横軸の「0」から左右のいずれかに離れると、予測誤差の絶対値(差分の大きさ)が大きくなる。図5において縦軸は、誤差密度であり、所定の大きさの予測誤差の生じやすさを示している。
【0061】
誤差分布情報において、予測誤差の生じやすさは確率密度を用いて示される。このため、それぞれの予測誤差の誤差確率の総和は、「1」になる。図5を例に説明をすると、図5における棒グラフの面積の総和は「1」となる。また、図5において曲線状のグラフで示されている誤差分布関数の積分値は、「1」となる。
【0062】
補正部24は、誤差分布情報に基づいて、計画作成部23が作成した放電計画を補正する処理を行う部分である。上述のように、ピーク予測部22が算出する予測ピーク時刻は、予測誤差を有している可能性がある。補正部24は、予測ピーク時刻の時間帯(時間のコマ)から、予測誤差の時間だけ離れた時間帯(遷移した時間のコマ)に、放電計画において二次電池11から負荷設備30に供給が予定されている電力量を分配する処理を行う。
【0063】
以降において、補正部24による補正処理が行われる前の、計画作成部23が作成した放電計画を「当初の放電計画」あるいは「当初の計画」とも記載する。また、当初の計画において、予測ピーク時刻の時間帯に二次電池11から負荷設備30に供給されることが予定されている電力を、「予定放電量」とも記載する。
【0064】
補正部24は、その予測誤差が発生する確率に対応した割合で、予測ピーク時刻の時間帯から予測誤差だけずれた時間帯に、その予測誤差が発生する確率に対応した割合で、当初の予定放電量を配分する処理を行う。補正部24は、その総量を変更することなく、予定放電量を配分する処理を行う。
【0065】
具体的に説明を行うと、補正部24は、誤差分布情報に基づいて、電力を配分する処理に用いられる配分情報を作成する。補正部24は、予め使用者によって設定された条件によって定まる時間幅に従って、誤差分布情報から抽出した情報に基づいて、配分情報を作成する。補正部24は、配分情報に従って各時間帯に配分された放電量の総和が、当初の予定放電量と同じになるように、配分情報を作成する。
【0066】
配分情報は、予測誤差に関する情報と、予測誤差における配分割合が紐づけられた情報である(図6(b)参照。)。即ち、予測誤差に対応する時間のコマと、それぞれの時間のコマにおいて予定放電量が配分される割合が紐づけられた情報である。
【0067】
図6(b)の横軸は、予測誤差に対応する時間のコマが示されており、横軸の「0コマ」の部分は、予測ピーク時刻の時間帯を示している。また、「-1コマ」は、予測ピーク時刻の時間帯よりも1つのコマ分だけ早い時刻の時間帯(時間のコマ)を示しており、「1コマ」は、予測ピーク時刻の時間帯よりも1つのコマ分だけ遅い時刻の時間帯(時間のコマ)を示している。
【0068】
補正部24は、作成された配分情報に基づいて、当初の計画における予定放電量(図6(a)参照。)を、予測ピーク時刻から誤差だけ離れた(遷移した)時間帯に配分されるように放電計画を補正する処理を行う(図6(c)参照。)。補正部24による、配分情報を作成する処理の詳細、および配分情報を用いた補正処理の詳細は後述する。
【0069】
補正部24は、当初の放電計画において、異なる複数の時間帯(時間のコマ)に、二次電池11からの電力の供給が予定されている場合には、その電力の供給が予定されている時間帯(時間のコマ)毎に補正する処理を行う。また補正部24は、補正処理の結果、同じ時間帯に、異なる時間帯に設定されていた予定放電量から電力が、それぞれ配分される場合には、配分された電力をそれぞれ加算して、当該時間帯の予定放電量とする処理を行う。例えば、当初の放電計画において、近接する異なる時間帯に、それぞれ予定放電量が設定されており(図7(a)参照。)、補正処理によって、予定放電量が設定された2つ時間帯の間の時間帯に、その両側の予定放電量から電力が、それぞれ配分される場合などが挙げられる。このような場合に、補正部24は、それぞれの時間帯から配分された電力量を足し合わせて、当該時間帯の予定放電量とする処理を行う(図7(b)参照。)。
【0070】
記憶部26は、過去に受電予測部21が算出した受電予測情報や、ピーク予測部22が過去に算出した予測ピーク時刻や、実績情報が記憶される部分である。記憶部26は、二次電池管理装置20による処理に用いられる、閾値やパラメータなどの情報を記憶してもよい。記憶部26は、ハードディスクやSSDなどの記憶媒体である。記憶部26は、二次電池管理装置20に外付けされていたり、あるいはネットワークなどの通信手段を介して二次電池管理装置20と通信可能に接続されていたりしてもよい。
【0071】
制御部27は、補正後の計画に従って、二次電池11の制御を行う信号を出力する部分である。即ち、制御部27は、補正部24から、あるいは記憶部26から補正後の放電計画を受信して、二次電池11の制御を行う信号を制御装置13に出力する部分である。
【0072】
1-2 作動の説明
続いて、主に二次電池管理装置20にて行われる作動について、主に図14を参照しながら、実際の使用に従って説明を行う。
【0073】
使用者の操作によって、二次電池管理装置20は処理を開始する。二次電池管理装置20は、特定の時刻になったことに伴い、自動的にその処理を開始してもよい。なお、二次電池管理装置20が、処理を開始する時点において、二次電池11は100%まで充電さ
れた状態となっている。
【0074】
はじめに、受電予測部21が、実績情報などの情報を取得して、受電予測部21が算出する受電電力値の予想される時間変化を算出し、受電予測情報(図8参照。)を作成する処理を行う(S100)(受電予測ステップ)。
【0075】
続いて、ピーク予測部22が、予測時刻情報を算出する処理を行う(S110)(ピーク予測ステップ)。具体的には、ピーク予測部22は、受電予測部21が作成した受電予測情報に基づいて、稼働サイクル(24時間)の期間において、受電予測値が最も大きな値となる予測ピーク時刻を算出する。更に、ピーク予測部22は、その予測ピーク時刻が含まれる時間のコマを求める処理を行う。またピーク予測部22は、受電予測値が、次に大きな値となる時刻がある場合には、その時刻についても同様の処理を行う。
【0076】
図8を参照して具体的に説明を行うと、ピーク予測部22は、受電予測値が最も大きな値となる予測ピーク時刻として時刻AAを算出するとともに、当該予測ピーク時刻を含む時間帯(時間のコマ)を選定する処理を行う。同様にピーク予測部22は、受電予測値が、時刻AAにおける値の次に大きな値となる時刻BBを算出すると共に、時刻BBを含む時間帯(時間のコマ)を選定する処理を行う。
【0077】
続いて、計画作成部23が、受電予測情報と予測時刻情報に基づいて、二次電池11の放電計画を作成する処理を行う(S120)(計画作成ステップ)。計画作成部23は、予測ピーク時刻における受電電力値が、予め設定された閾値以下となるのに必要な電力が、時刻AAを含む時間帯(以降において、「時刻AAの時間帯」とも記載する。)に、二次電池11から負荷設備30に供給されるように放電計画を作成する。更に計画作成部23は、時刻AAの時間帯に供給される電力量を差し引いた二次電池11の電力が、時刻BBを含む時間帯(以降において、「時刻BBの時間帯」とも記載する。)に負荷設備30に供給されるように放電計画を作成する(図8の棒グラフ参照。)。
【0078】
続いて誤差算出部25が、誤差分布情報を算出する処理を行う(S130)。誤差算出部25は、記憶部26やデータサーバ40から取得した情報に基づいて、図9に例示されているような誤差分布情報を算出する。図9において、横軸は、予測誤差が時間のコマを用いて表されている。また、図9において縦軸は、誤差確率である。
【0079】
続いて、補正部24が、誤差分布情報に基づいて配分情報を算出する処理を行う(S140)。はじめに補正部24は、誤差分布情報から、配分情報の算出に用いられる情報を抽出する処理を行う。補正部24は、誤差分布情報から、予め使用者によって設定された条件によって定まる時間幅に含まれる情報を抽出する処理を行う。
【0080】
この予め使用者によって設定された条件とは、例えば、下式にて示されるカバー率Cが挙げられる。下式において、「Dp」は予測誤差に対応するコマにおける誤差確率(誤差確率密度)であり、「p」は、所定のコマを特定するための数である。また、「a」は、特定の時間のコマ(pのコマ)の前後に連続するコマの数(時間のコマ数)である。
【数1】
【0081】
以降において、予測誤差が「0」の時間のコマから、予測誤差の値が負の値となる側に数えて「a」番目の時間のコマを、「-aコマ」とも記載する。また、予測誤差が「0」の時間のコマから、予測誤差の値が正の値となる側に数えて「a」番目の時間のコマを、「+aコマ」とも記載する。
【0082】
上記のような条件が設定されている場合において、補正部24は、カバー率Cが、少なくとも使用者が予め設定した値以上となるように、時間のコマ数「a」を選定する。本実施形態において補正部24は、カバー率Cが、少なくとも使用者が予め設定した値以上であって、その使用者が予め設定した値に近い値となるように、時間のコマ数「a」を選定する。
【0083】
そして補正部24は、予測誤差が「0」の時間のコマを中心として、「-aコマ」と「+aコマ」の間に含まれる情報を、配分情報の算出に用いられる情報として抽出する処理を行う。
【0084】
以降において、使用者が予め設定した数値として、60%が設定されているものとして、図9,10を参照して、具体的に説明を行う。上記の数式における分母は、それぞれのコマにおける予測誤差が発生する確率の総和である。即ち、上記の数式における分母は、図9に示されている棒グラフの値の総和となる。上述のように、誤差分布情報は、確率密度であり、その値の総和は、「1」であため、上記の分母は「1」である。このため補正部24は、「-aコマ」と「+aコマ」の間のコマの、それぞれの測定誤差の発生確率の総和が、60%以上であって60%に近い値となるように、「a」の数を選定する。図10を参照すると、「a」として「6」を設定した場合のカバー率Cが62%となるため、補正部24は、予測誤差が「0」の時間のコマを中心として「-6コマ」から「+6コマ」の間の情報を抽出する。
【0085】
更に補正部24は、抽出した情報を、補正処理に適した値に修正する処理を行う。具体的には、抽出した情報における各コマ間の誤差確率の比率を維持しつつ、その誤差確率の総和が100%となるように処理を行う。
【0086】
図11(a)、図11(b)を参照して、補正部24が行う修正処理について具体的に説明を行う。図11(a)は、補正部24が、誤差分布情報から抽出した情報の一例であり、各コマの誤差確率の総和は62%である。補正部24は、誤差確率の総和が100%となるように、各コマの誤差確率の値を、それぞれ一定の数値で乗算する処理を行う(図11(b)参照。)。このような処理を行うことで、配分情報を用いて放電計画の補正を
行う際に、予定放電量の総量を変更することなく、電力を配分することができるようになる。即ち、当初の放電計画において二次電池11から供給することが予定されていた電力の総量を変更することなく、放電計画を補正することができるようになる。このため、例えば補正後の放電計画において、遅い時間帯において放電が計画されているにもかかわらず、二次電池11に蓄電されている電力が不足して電力の供給が行えなかったり、あるいは放電計画の終了時に、二次電池11に電力が残存してしまっていたりといった状態が発生することが防がれる。
【0087】
補正部24は、算出した配分情報に基づいて、放電計画を補正する処理を行う(S150)(計画補正ステップ)。補正部24は、放電計画において二次電池11から負荷設備30への電力の供給が予定されている時間帯の当初の放電予定値を、配分情報に基づいて隣接する時間帯に分配する処理を行う。更に、補正部24は、同じ時間帯に、他の時間帯からの電力がそれぞれ分配される場合には、分配された電力を足し合わせて当初の計画を補正する処理を行う。
【0088】
補正部24によって、当初の計画が補正された後の、各時間帯(時間のコマ)の予定放電量は、下式によって示される。
【数2】
【0089】
上式において、Pは、基準時刻のコマ(0:00のコマ)から数えたコマの数を示している。Xpは、当初の計画における、P番目のコマ(P番目の時間帯)において予定されている二次電池11から負荷設備30に供給される電力量を示している。Y(i=-a,-a+1,・・・,-1,0,+1・・・,+a-1,+a)は、配分情報を示している。Xp’は、補正部24による補正処理が行われた後の、P番目のコマ(P番目の時間帯)にておいて予定される二次電池11から負荷設備30に供給される補正後の電力量を示している。
【0090】
図12及び図13に記載の例を参照して、具体的に説明を行う。当初の計画において、図12(a)に示されているように、P-1番目のコマに、80[kW]、P番目のコマに100[kW]、P+1番目のコマに80[kW]の予定放電量が割り当てられた放電計画が作成されている(図13(a)参照。)。また、誤差分布情報に基づいて、図12(b)に示されているようは配分情報が、算出されている。この配分情報では、予測ピーク時刻(0のコマ)に50%、予想ピーク時刻から1コマ分前に遷移したコマ(-1のコマ)に25%、予想ピーク時刻から1コマ分後に遷移したコマ(+1のコマ)に25%が設定されている。
【0091】
補正部24によって、上記の式に従って補正処理が行われると、放電計画におけるコマ毎に、配分情報に基づく演算が行われて、更に演算の結果がそれぞれ加算され、当初の計画は補正される。補正後の放電計画が、図12(c)及び図13(b)に示されている。
【0092】
補正部24は、補正処理が完了すると、補正後の放電計画を、記憶部26に記憶させる
。補正部24は、制御部27に直接、補正後の放電計画を出力する処理を行ってもよい。制御部27は、補正後の放電計画に従って、二次電池11を制御する信号を制御装置13に出力する。制御装置13は、受信した補正後の放電計画に従って、所定の時間帯(時間のコマ)に、所定の電力量の電力が、二次電池11から電力変換装置12を介して負荷設備30に供給されるように制御を行う。
【0093】
1-3 効果の説明
上記のように構成された二次電池管理装置20によれば、補正部24が、誤差分布情報に基づいて、計画作成部23が作成した放電計画を補正する。このため、実際ピーク時刻が、予測ピーク時刻と異なる場合であっても、ピーク電力の抑制を図ることができる。
【0094】
また誤差算出部25が、過去の複数の稼働サイクルに基づく実績情報と、その実績情報に対応する受電予測情報に基づいて誤差分布情報を算出する処理を行う。即ち、誤差算出部25が、過去の実績情報から得られる実際ピーク時刻に関する情報と、その実績情報に対応する過去に予測ピーク時刻に関する情報に基づいて算出される。即ち、過去の実績に基づいて算出された誤差分布情報に基づいて、当初の放電計画が補正される。
【0095】
このため、放電計画が、実績を反映した情報に基づいて、適切に正確に補正されるようになり、実際の受電電力のピークとなる時刻が、予想された時刻と相違した場合であっても、より確実にピーク電力の抑制を図ることができる。
【0096】
また補正部24は、補正処理において、誤差分布情報に基づいて配分情報を算出する。この配分情報は、予測誤差と、その予測誤差の誤差確率に対応した配分割合が紐づけられた情報である。そして補正部24は、この配分情報に従って、当初の計画の所定の時間帯に設定されている予定放電量を配分する処理を行う。即ち、当初の計画の所定の時間帯に割り当てられている予定放電量を、予測誤差の大きさに対応した時間のコマだけずれた時間帯に、その予測誤差の誤差確率に応じた配分割合で、割り当てる処理を行う。
【0097】
即ち、予測時刻情報が含む誤差と、その誤差が発生する可能性を考慮した割合で、放電計画の所定の時間帯に設定されている予定放電量が、予測誤差だけ離れた時間帯に割り当てられる。このため、実際ピーク時刻が、予測ピーク時刻と相違した場合であっても、より確実に、更に効果的にピーク電力の抑制を図ることができる。
【0098】
更に補正部24は、予め設定された条件に従って定められた時間幅に含まれる情報を誤差分布情報から抽出して、配分情報を作成する。このため、例えば、誤差確率が小さく、その値が大きな予測誤差を除外して、配分情報を作成することができる。即ち、例えば例外的に発生したと考えられるような大きな値の予測誤差や、補正処理に大きな影響を与えないと想定されるような予想誤差などを除外して配分情報を作成することができる。このため、より適切に放電計画の補正処理を行うことができる。また、一定の範囲の情報に基づいて配分情報を作成するため、誤差分布情報の全てを用いて配分情報を算出する場合と比較して、簡易な処理とすることができる。即ち、補正部24による処理の負荷を軽減することができる。
【0099】
〔第2の実施形態〕
次に、本開示の第2の実施形態に係る二次電池管理装置20Aについて説明を行う。本実施形態の二次電池管理装置20Aの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、放電計画の補正処理の後に行われる処理が、第1の実施形態と相違している。このため、以降の説明では、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態と異なる処理を中心に説明を行う。
【0100】
2-1 構成の説明
本実施形態における二次電池管理装置20Aの補正部24Aは、補正後の放電計画において、上限値(所定の閾値)を上回る予定放電量が設定されている時間帯がある場合に、当該時間帯の上限値を超える電力を、他の時間帯に再配分する機能を有している。ここで、上限値とは、電力変換装置12の定格値などによって定まる値であって、負荷設備30に対して電力を供給する際に、電力変換装置12などが受け入れ可能な二次電池11からの電力の最大値である。この上限値が、所定の閾値の一例である。
【0101】
この上限値を上回る電力が二次電池11から供給されても、例えば電力変換装置12の入力定格上回る電力は、交流電力に変換されずに浪費されてしまう。このため、補正部24Aは、補正後の放電計画において、この上限値を上回る分の電力を、予定放電量が上限値に達していない時間帯に、再割当をする処理を行う。
【0102】
補正部24Aは、この再割当の処理を行う際に、予定放電量と、上限値との差分が小さな順に、電力を割り当てる処理(以降において「再割当処理」とも記載する。)を行う。即ち、補正部24Aは、補正後の放電計画において、上限値に満たない予定放電量が設定されている時間帯を抽出し、更にそれぞれの時間帯における予定放電量と上限値の差分を比較して、その差分が小さな順番で順位付けを行う。そして、その順位に従って、他の時間帯の上限値を上回る分の電力を、順次、割り当てる処理を行う。
【0103】
2-2 作用の説明
続いて、図15(a)に例示されている補正後の放電計画を例に、補正部24Aによって行われる再割当処理の説明を行う。
【0104】
補正部24Aは、補正処理(S150)を行い、補正後の放電計画を作成したら、その補正後の放電予定値(以降において「補正放電予定値」とも記載する。)が設定されている時間帯において、上限値を上回る値が設定されている時間帯を検出する(S160)(検出ステップ)。
【0105】
図15(a)に示されている例では、9:30の時間帯から11:30の時間帯の間の各時間帯において、上限値である20[kW]を上回る補正放電予定値が設定されている。補正部24Aは、9:30の時間帯から11:30の時間帯を、上限値を上回る補正放電予定値が設定されている時間帯として検出するとともに、補正放電予定値の上限値を上回る電力量の総量を算出する処理を行う。以降において、上限値を上回る電力量の総量を、「余剰電力」とも記載する。
【0106】
続いて補正部24Aは、上限値に満たない補正放電予定値が設定されている時間帯を検出し、上限値と補正放電予定値との差分に基づいて、時間帯を順位付けする処理を行う(S170)(順位付けステップ)。補正部24Aは、上限値と補正放電予定値との差分が小さな順に、該当する時間帯を順位付けする。
【0107】
図15(a)に示されている例では、8:00の時間帯~9:00の時間帯、および12:00の時間帯~13:30の時間帯のそれぞれの時間帯において、上限値に満たない補正放電予定値が設定されている。このため、補正部24Aは、各時間帯を抽出した上で、それぞれの時間帯の補正放電予定値と上限値の差分に基づいて、順位付けの処理を行う。補正部24Aは、その差分の小さな順に、1番目:「8:30の時間帯」、2番目:「13:30の時間帯」、3番目:「12:00の時間帯」、4番目:「8:00の時間帯」、5番目:「9:00の時間帯」、6番目:「12:30の時間帯」と順位付けする。
【0108】
続いて補正部24Aは、余剰電力を、上記の順位付けに従って、割り当てる処理を行う
。はじめに補正部24Aは、1番目の時間帯である「8:30の時間帯」に余剰電力を割り当て、当該時間帯の予定放電量を上限値と同じ値とする処理を行う(S180)。補正部24Aは、余剰電力を「8:30の時間帯」に割り当てた後、余剰電力に余りがある場合には(S190にてNo)、その残りの電力を2番目の時間帯である「13:30の時間帯」に割り当てる処理を行う。補正部24Aは、余剰電力の値が0になるまで、上記の処理を繰り返す。
【0109】
補正部24Aは、余剰電力の値が0になったら、即ち、設定されている予定放電量の値が上限値を上回る時間帯がなくなったら(S190にてYes)(図15(b)参照。)、再割当処理を終了する。
【0110】
2-3 効果の説明
上記のように構成された二次電池管理装置20によれば、補正後の放電計画において、上限値以上となる補正放電予定値が設定されている時間帯がある場合には、補正部24が、その上限値を上回る余剰電力を、再配分する処理を行う。具体的には、補正部24が、余剰電力を、上限値に達していない補正放電予定値が設定されている時間帯に、再度割り当てる再割当処理を行う。このため、二次電池11に蓄電されている電力を無駄にすることなく、ピーク電力の抑制を図ることができる。
【0111】
この再割当処理は、上限値に達していない時間帯の補正放電予定値と、上限値との差分が小さな順に行われる。即ち、上限値により近い補正放電予定値が設定されている時間帯から順番に、余剰電力が割り当てられる。補正後の放電計画において、上限値に近い補正放電予定値が設定されている時間帯は、受電電力値が受電ピークとなる可能性が高い時間帯であると判断できる。このため、余剰電力を受電電力値が受電ピークとなる可能性が高いと判断される時間帯から優先的に割り当てることで、二次電池11に蓄電されている電力を効率的に利用して、ピーク電力の抑制を図ることができる。また、再割当処理によって、二次電池11から上限値で電力供給が行われる時間帯が増えるため、電力変換装置12の電力変換効率が向上して、二次電池11に蓄電されている電力を効率的に利用できることも期待できる。
【0112】
なお、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0113】
例えば上記の実施形態において、補正部24が、配分情報の算出に用いられる情報を誤差分布情報から抽出する処理を行う際に、カバー率Cを満たす、コマ数aを選定する例を記載したが、これに限定される訳ではない。例えば、補正部24が、予め使用者が設定した時間幅に含まれる情報を誤差分布情報から抽出する処理を行ってもよい。又は、補正部24が、予め使用者が設定したコマ数に含まれる情報を誤差分布情報から抽出する処理を行ってもよい。あるいは、補正部24が、予め使用者によって設定された誤差分布情報に関連する他の条件によって定まる時間幅に含まれる情報を抽出する処理を行ってもよい。
【0114】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…電力管理システム 10…電源設備 11…二次電池
12…電力変換装置 13…制御装置
20,20A…二次電池管理装置 21…受電予測部 22…ピーク予測部
23…計画作成部 24,24A…補正部 25…誤差算出部
26…記憶部 27…制御部 30…負荷設備 40…データサーバ
50…商用電源
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