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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142997
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】インクリボンカセット及びプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/32 20060101AFI20241003BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41J17/32 A
B41J2/325 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055440
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】近藤 敬
【テーマコード(参考)】
2C065
2C068
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065AB03
2C065GA01
2C065HA02
2C068AA01
2C068EE51
2C068FF01
2C068FF12
2C068FF17
2C068HH06
(57)【要約】
【課題】ユーザがインクリボンを搬送経路に沿って配置させる操作を行う場合において、インクリボンが蛇行することを抑制できるインクリボンカセット及びプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタ1のカセット1Bにおいて、ガイド軸32Fは、インクリボン2に当接して、搬送経路に沿ってインクリボン2を案内する。ガイド軸32Fのシャフト4は、第1軸部41を有する。第1軸部41により、シャフト4が変位位置にある場合のガイド軸32Fの上下方向への変位可能量は、シャフト4が規制位置にある場合のガイド軸32Fの上下方向への変位可能量よりも大きい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板と、
前記板から第1方向に延び、インクリボンが巻回された第1リボンロールを支持する供給軸と、
前記板から前記第1方向に延び、前記供給軸に支持された前記第1リボンロールから繰り出された前記インクリボンが巻き取られた第2リボンロールを支持する巻取軸と、
前記板から前記第1方向に延び、前記第1方向、及び、前記第1方向と交差する第2方向に変位可能に支持され、前記第1リボンロールから前記第2リボンロールまでの間を延びる前記インクリボンと当接して前記インクリボンの搬送を案内するガイド軸と、
前記ガイド軸に設けられ、前記ガイド軸の前記第2方向における変位が可能な変位可能量を調整する調整部と、
を備え、
前記調整部は、
前記第1方向において第1位置に配置された前記ガイド軸の前記第2方向における前記変位可能量よりも、前記第1方向において前記第1位置と異なる第2位置に配置された前記ガイド軸の前記第2方向における前記変位可能量が小さくなるように、前記変位可能量を調整すること
を特徴とするインクリボンカセット。
【請求項2】
前記第1位置に配置された前記ガイド軸の前記第1方向の先端部と前記板との間の前記第1方向の間隔は、前記第2位置に配置された前記先端部と前記板との間の前記第1方向の間隔よりも短く、
前記ガイド軸を、前記第1位置から前記第2位置に向けて付勢する付勢部を有すること
を特徴とする請求項1に記載のインクリボンカセット。
【請求項3】
前記調整部は、前記ガイド軸の基端部に設けられ、前記ガイド軸を中心とする径方向に突出し且つ前記第1方向に並んで設けられる第1突起及び第2突起を有し、
前記板は、前記調整部を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記ガイド軸が前記第2位置に配置された場合に前記第1突起及び前記第2突起を保持し、前記ガイド軸が前記第1位置に配置された場合に前記第2突起を保持すること
を特徴とする請求項2に記載のインクリボンカセット。
【請求項4】
前記ガイド軸の前記先端部と前記第1突起との間の前記第1方向の間隔は、前記ガイド軸の前記先端部と前記第2突起との間の前記第1方向の間隔よりも大きく、
前記第1突起の頂点に向けて延びる側面のうち前記第2突起に近接する側面の傾斜角は、前記第2突起の頂点に向けて延びる側面のうち前記第1突起に近接する側面の傾斜角よりも小さいこと
を特徴とする請求項3に記載のインクリボンカセット。
【請求項5】
前記ガイド軸は、
前記調整部を含み、前記第1方向に変位可能なシャフトと、
前記シャフトの周囲に配置され、外側面が前記インクリボンと当接するローラと、
前記シャフト及び前記ローラと係合し、前記ローラを前記第1方向と反対方向に常時付勢する第2付勢部とを有すること
を特徴とする請求項2に記載のインクリボンカセット。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載のインクリボンカセットと、
前記インクリボンカセットを装着可能なカートリッジベースとを備え、
前記カートリッジベースは、
前記インクリボンカセットを装着した場合に、前記供給軸を回転可能に支持する供給軸受部と、
前記インクリボンカセットを装着した場合に、前記巻取軸を回転可能に支持する巻取軸受部と、
前記ガイド軸の先端部を支持するガイド受部と、
前記供給軸から繰り出された前記インクリボンを加熱して、前記インクリボンから印刷媒体にインクを転写するサーマルヘッドとを備えること
を特徴とするプリンタ。
【請求項7】
前記ガイド受部は、前記ガイド軸の前記先端部と当接可能な壁部を有し、
前記カートリッジベースが前記インクリボンカセットを装着した場合に、前記壁部は、前記ガイド軸が前記第1位置に移動するように前記先端部を前記第1方向と反対方向に押圧することを特徴とする請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記壁部は、
前記第1方向に対して傾斜する壁傾斜面を含み、
前記カートリッジベースが前記インクリボンカセットを装着した場合に、前記壁傾斜面により前記先端部を前記反対方向及び前記第2方向に押圧し、
前記カートリッジベースは、前記壁傾斜面により前記第2方向に押圧された前記先端部と当接可能に設けられ、前記ガイド軸にかかる前記第2方向の荷重を計測する荷重計測部を有すること
を特徴とする請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記荷重計測部は、前記カートリッジベースにおける前記第1方向から視て前記インクリボンの前記第1リボンロールから前記第2リボンロールまでの搬送経路によって囲まれる領域の内側に設けられることを特徴とする請求項8に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記カートリッジベースは、前記荷重計測部により計測された荷重の大きさに基づき、前記ガイド軸が前記インクリボンに当接しているか否かを判断する判断部を備えることを特徴とする請求項8に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンカセット及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の印刷装置は、ガイド部材、バネ部材、及び規制部を備える。ガイド部材は、インクリボンと当接し、搬送経路に沿って搬送されるインクリボンをガイドする。バネ部材は、インクリボンにテンションが付与されるようにガイド部材を変位させる。規制部は、ガイド部材の変位を順番に規制する。これにより、印刷装置はインクリボンの種類に応じた大きさのテンションをインクリボンに付与できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-171830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記印刷装置では、ユーザがリボンロールからインクリボンを引き出して搬送経路に沿って配置させる場合に、ガイド部材が変位する場合がある。この場合、インクリボンが蛇行する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、ユーザがインクリボンを搬送経路に沿って配置させる操作を行う場合において、インクリボンが蛇行することを抑制できるインクリボンカセット及びプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るインクリボンカセットは、板と、前記板から第1方向に延び、インクリボンが巻回された第1リボンロールを支持する供給軸と、前記板から前記第1方向に延び、前記供給軸に支持された前記第1リボンロールから繰り出された前記インクリボンが巻き取られた第2リボンロールを支持する巻取軸と、前記板から前記第1方向に延び、前記第1方向、及び、前記第1方向と交差する第2方向に変位可能に支持され、前記第1リボンロールから前記第2リボンロールまでの間を延びる前記インクリボンと当接して前記インクリボンの搬送を案内するガイド軸と、前記ガイド軸に設けられ、前記ガイド軸の前記第2方向における変位が可能な変位可能量を調整する調整部と、を備え、前記調整部は、前記第1方向において第1位置に配置された前記ガイド軸の前記第2方向における前記変位可能量よりも、前記第1方向において前記第1位置と異なる第2位置に配置された前記ガイド軸の前記第2方向における前記変位可能量が小さくなるように、前記変位可能量を調整することを特徴とする。
【0007】
第一態様のインクリボンカセットにおいて、ガイド軸は、調整部により第2位置に配置された場合の変位可能量が第1位置に配置された場合の変位可能量よりも小さくなる。これにより、インクリボンカセットは、ユーザがインクリボンを搬送経路に沿って配置させる操作を行う場合において、インクリボンが蛇行することを抑制できる。
【0008】
第一態様のインクリボンカセットにおいて、前記第1位置に配置された前記ガイド軸の前記第1方向の先端部と前記板との間の前記第1方向の間隔は、前記第2位置に配置された前記先端部と前記板との間の前記第1方向の間隔よりも短く、前記ガイド軸を、前記第1位置から前記第2位置に向けて付勢する付勢部を有してもよい。インクリボンカセットにおいて、ガイド軸は第2位置に位置するように付勢部により常時付勢されるので、ユーザがインクリボンを搬送経路に沿って配置させる操作を行う場合において、インクリボンが蛇行することを容易に抑制できる。
【0009】
第一態様のインクリボンカセットにおいて、前記調整部は、前記ガイド軸の基端部に設けられ、前記ガイド軸を中心とする径方向に突出し且つ前記第1方向に並んで設けられる第1突起及び第2突起を有し、前記板は、前記調整部を保持する保持部を備え、前記保持部は、前記ガイド軸が前記第2位置に配置された場合に前記第1突起及び前記第2突起を保持し、前記ガイド軸が前記第1位置に配置された場合に前記第2突起を保持してもよい。インクリボンカセットにおいて、ガイド軸の第2方向への変位は、第2位置に配置された場合に第1突起及び第2突起により制限され、第1位置に配置された場合に第2突起により制限される。これにより、インクリボンカセットは、ユーザがインクリボンを搬送経路に沿って配置させる操作を行う場合において、インクリボンが蛇行することを、簡単な構成で抑制できる。
【0010】
第一態様のインクリボンカセットにおいて、前記ガイド軸の前記先端部と前記第1突起との間の前記第1方向の間隔は、前記ガイド軸の前記先端部と前記第2突起との間の前記第1方向の間隔よりも大きく、前記第1突起の頂点に向けて延びる側面のうち前記第2突起に近接する側面の傾斜角は、前記第2突起の頂点に向けて延びる側面のうち前記第1突起に近接する側面の傾斜角よりも小さくてもよい。インクリボンカセットにおいて、第1突起に突起傾斜面が形成されるので、ガイド軸は、第1位置から第2位置に容易に変位できる。
【0011】
第一態様のインクリボンカセットにおいて、前記ガイド軸は、前記調整部を含み、前記第1方向に変位可能なシャフトと、前記シャフトの周囲に配置され、外側面が前記インクリボンと当接するローラと、前記シャフト及び前記ローラと係合し、前記ローラを前記第1方向と反対方向に常時付勢する第2付勢部とを有してもよい。インクリボンカセットにおいて、インクリボンと当接するローラと軸線方向に変位するシャフトとは別部材であり、ローラは第2付勢部により前記板に向けて常時付勢される。これにより、シャフトが軸線方向に変位した場合であってもローラが軸線方向に変位することがなく、インクリボンカセットはインクリボンの搬送方向に対する蛇行を抑制できる。
【0012】
本発明の第二態様に係るプリンタは、請求項1~5の何れかに記載のインクリボンカセットと、前記インクリボンカセットを装着可能なカートリッジベースとを備え、前記カートリッジベースは、前記インクリボンカセットを装着した場合に、前記供給軸を回転可能に支持する供給軸受部と、前記インクリボンカセットを装着した場合に、前記巻取軸を回転可能に支持する巻取軸受部と、前記ガイド軸の先端部を支持するガイド受部と、前記供給軸から繰り出された前記インクリボンを加熱して、前記インクリボンから印刷媒体にインクを転写するサーマルヘッドとを備えることを特徴とする。第二態様のプリンタは、第一態様のインクリボンカセットと同様の効果を奏する。
【0013】
第二態様のプリンタにおいて、前記ガイド受部は、前記ガイド軸の前記先端部と当接可能な壁部を有し、前記カートリッジベースが前記インクリボンカセットを装着した場合に、前記壁部は、前記ガイド軸が前記第1位置に移動するように前記先端部を前記第1方向と反対方向に押圧してもよい。プリンタにおいて、インクリボンカセットがカートリッジベースに装着されることで、ガイド軸を第1位置に変位できる。これにより、プリンタは、印刷が行われる場合にインクリボンに適切なテンションを付与し且つインクリボンが搬送経路に引き回される場合におけるインクリボンの搬送方向に対する蛇行の抑制を容易に実現できる。
【0014】
第二態様のプリンタにおいて、前記壁部は、前記第1方向に対して傾斜する壁傾斜面を含み、前記カートリッジベースが前記インクリボンカセットを装着した場合に、前記壁傾斜面により前記先端部を前記反対方向及び前記第2方向に押圧し、前記カートリッジベースは、前記壁傾斜面により前記第2方向に押圧された前記先端部と当接可能に設けられ、前記ガイド軸にかかる前記第2方向の荷重を計測する荷重計測部を有してもよい。プリンタにおいて、壁部はガイド軸の先端部を軸線方向及び直交方向に押圧する。これにより、プリンタは、ガイド軸を第1位置に変位させることに加え、荷重計測部によりガイド軸にかかる直交方向の荷重を計測できる。
【0015】
第二態様のプリンタにおいて、前記荷重計測部は、前記カートリッジベースにおける前記第1方向から視て前記インクリボンの前記第1リボンロールから前記第2リボンロールまでの搬送経路によって囲まれる領域の内側に設けられてもよい。これにより、プリンタは、装置全体を大型化することなくガイド軸にかかる直交方向の荷重を計測できる。
【0016】
第二態様のプリンタにおいて、前記カートリッジベースは、前記荷重計測部により計測された荷重の大きさに基づき、前記ガイド軸が前記インクリボンに当接しているか否かを判断する判断部を備えてもよい。これにより、プリンタは、インクリボンが弛んだ状態で搬送されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】プリンタ1の斜視図である。
図2】カートリッジベース1Aの斜視図である。
図3】カートリッジベース1Aの正面図である。
図4】インクリボンカセット1Bの斜視図である。
図5】インクリボンカセット1Bの断面図である。
図6】プリンタ1の断面図である。
図7】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図8】印刷処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<プリンタ1>
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すプリンタ1は、熱転写型の印刷装置である。以下、図の説明の理解を助けるため、プリンタ1の上側、下側、左側、右側、前側、及び後側は、夫々、図1の上側、下側、左斜め上側、右斜め下側、左斜め下側、及び右斜め上側に夫々対応する。
【0019】
プリンタ1は、非図示の外部機器によって搬送される印刷媒体に対して印刷を実行する。外部機器の具体例として、包材を搬送する包装機が挙げられる。この場合、例えばプリンタ1は、包装機によって印刷媒体が搬送される搬送ラインの一部に組み込まれて使用される。
【0020】
プリンタ1は、カートリッジベース1A及びインクリボンカセット1Bを有する。カートリッジベース1A(以下、ベース1Aと言い換える。)は、インクリボンカセット1B(以下、カセット1Bと言い換える。)を着脱可能に装着する。プリンタ1は、ベース1Aに装着されたカセット1Bからインクリボン2(図4参照)を繰り出し、サーマルヘッド26(図2参照)によりインクリボン2を加熱することで印刷する。
【0021】
<ベース1A>
図1に示すように、ベース1Aは略直方体状である。カセット1Bは、ベース1Aに対して前側から装着される。ベース1Aは、筐体11を有する。筐体11は、前筐体12、後筐体13を有する。後筐体13は、ベースプレート21に対して後側に設けられる(図2参照)。
【0022】
図1図2に示すように、後筐体13は、前方に開口した箱である。ベースプレート21は、後筐体13の開口に前側から嵌る。後筐体13は、ベースプレート21の後側に設けられたモータ31A、31D(図2参照)を覆う。前筐体12は、前後方向及び、下方に開口した正面視略C字状の箱である。前筐体12は、後筐体13の前端に接続される。
【0023】
図2図3に示すように、ベースプレート21は正面視で略矩形状の板である。ベースプレート21の前面には、カセット1Bが装着されるための装着部22A~22F、及びサーマルヘッド26が設けられる。
【0024】
装着部22Aは、ベースプレート21の上下方向の中心よりも上側、且つ、左右方向の中心よりも右側に設けられる。装着部22Dは、ベースプレート21の上下方向の中心よりも上側、且つ、左右方向の中心よりも左側に設けられる。装着部22A、22Dは、それぞれ正面視で円形状であり、左右方向に並ぶ。装着部22Aの前面に、後方に凹んだ一対の穴220Aが形成される。装着部22Dの前面に、後方に凹んだ一対の穴220Dが形成される。装着部22A、22Dには、それぞれ、モータ31A、31Dの回転軸が後側から接続する。装着部22A、22Dは、モータ31A、31Dの駆動により前後方向に延びる軸周りに回転する。
【0025】
装着部22Bは、ベースプレート21の右下端部に設けられる。装着部22Bは、ベースプレート21から前方に延びる棒状である。装着部22Cは、ベースプレート21の左下端部に設けられる。装着部22Cは、案内部221、ガイド部222を有する。案内部221は、ベースプレート21から前方に延びる棒状である。ガイド部222は、案内部221と同軸に延びる円筒状であり、案内部221の周囲に配置される。装着部22Eは、ベースプレート21の上端部且つ左右方向の中心に設けられる。装着部22Eは、ベースプレート21から前方に延びる円筒状であり、後面から後方に凹んだ穴224が形成される。
【0026】
<装着部22F>
図2図6に示すように、装着部22Fは、ベースプレート21の右上端部に設けられる。装着部22Fには、穴81、貫通孔82が形成される。
【0027】
穴81は、ベースプレート21の後面から後方に凹み、且つ下方に開口して形成される。穴81の底面81Aには、壁部83が設けられる。壁部83は、台状であり、後下方に傾斜した前面83Aを有する。
【0028】
貫通孔82は、正面視で穴81の下側に並んで設けられ、ベースプレート21を前後方向に貫通する。貫通孔82は、下方に開口する穴81と連通する。貫通孔82には、保持部84が挿通される。保持部84は、上方に開口する箱状である。保持部84は、ロードセル7を収容する。
【0029】
ロードセル7は、基部7A、検出部7Bを有する。基部7A、検出部7Bは、前後方向に延びる箱状である。基部7Aは、保持部84の内側の後部に設けられる。基部7Aには、信号線(図示略)が接続される。検出部7Bは、基部7Aの前側に設けられる。検出部7Bは、穴81の内側で上方に露出する。検出部7Bの内側には、圧電素子(図示略)が設けられる。圧電素子は、検出部7Bの上面にかかる荷重を検出する。ロードセル7は、圧電素子が検出した荷重に応じた電気信号をCPU71(図7参照)に出力する。
【0030】
穴81及びロードセル7の検出部7Bの上面により形成される穴を、穴80と定義する。穴80は、正面視で矩形状であり、後述するガイド軸32Fが挿通される。図3に示すように、穴80の上下方向の長さは、後述する当接部52の上下方向の長さよりも僅かに大きい。穴80の左右方向の長さは、当接部52の左右方向の長さと略同じである。
【0031】
サーマルヘッド26は、ベースプレート21の下部の前側に設けられる。サーマルヘッド26は、前後方向に直線状に並んだ複数の加熱素子を有する。サーマルヘッド26は、前筐体12の下側の開口から露出する。サーマルヘッド26は、ベースプレート21の下部の前側に設けられる移動機構27により左右方向及び上下方向に変位可能である。
【0032】
<カセット1B>
図4図5に示すように、カセット1Bは、板9B、把手9A、及びスピンドル32A、32D、及びガイド軸32B、32C、32F、軸32Eを有する。板9Bは、正面視で矩形状の板である。把手9Aは、板9Bの前面の左右方向の中心部に設けられる(図1参照)。スピンドル32A、32D、ガイド軸32B、32C、32F、及び軸32Eは、夫々、板9Bの後面から後方に延びる。
【0033】
スピンドル32Aは、板9Bの上下方向の中心よりも上側、且つ、左右方向の中心よりも右側に設けられる。スピンドル32Dは、板9Bの上下方向の中心よりも上側、且つ、左右方向の中心よりも左側に設けられる。スピンドル32A、32Dは左右方向に並ぶ。
【0034】
スピンドル32Dは、一対のピン8D、支持部材70Dを有する。カセット1Bがベース1Aに装着された場合に、一対のピン8Dは装着部22Dに装着される。スピンドル32Dは、モータ31Aの駆動により前後方向に延びる軸周りに回転する。
【0035】
スピンドル32Dには、インクリボン2の一端が接続された円筒状のスプールが装着される。スピンドル32Dに装着されたスプールには、未使用のインクリボン2がロール状に巻回される。ロール状に巻回された未使用のインクリボン2を、リボンロール20Dという。支持部材70Dは、リボンロール20Dを支持する。
【0036】
スピンドル32Aは、一対のピン8A、支持部材70Aを有する。カセット1Bがベース1Aに装着された場合に、一対のピン8Aは装着部22Aに装着される。スピンドル32Aは、モータ31Aの駆動により前後方向に延びる軸周りに回転する。
【0037】
スピンドル32Aには、インクリボン2の他端が接続された円筒状のスプールが装着される。スピンドル32Aに装着されたスプールには、使用済みのインクリボン2がロール状に巻回される。ロール状に巻回された使用済みのインクリボン2を、リボンロール20Aという。支持部材70Aは、リボンロール20Dを支持する。
【0038】
ガイド軸32Bは、板9Bの後面の右下部に設けられる。ガイド軸32Bは、シャフト33B及び回転体34Bを有する。シャフト33Bは、板9Bの後面から後方に延びる。シャフト33Bの前面には、後方に凹んだ穴35Bが形成される。回転体34Bは、シャフト33Bと同軸に延びる円筒状であり、シャフト33Bの周囲に配置される。
【0039】
ガイド軸32Cは、板9Bの後面の左下部に設けられる。ガイド軸32Cは、シャフト33C及び回転体34Cを有する。シャフト33Cは、板9Bの後面から後方に延びる。シャフト33Cの前面には、後方に凹んだ穴35Cが形成される。穴35Cの底面には、後方に凹んだ穴36Cが形成される。回転体34Cは、シャフト33Cと同軸に延びる円筒状であり、シャフト33Cの周囲に配置される。回転体34Cは、シャフト33Cの周りに回転可能に支持される。
【0040】
軸32Eは、板9Bの後面における上端部且つ左右方向の中心に設けられる。軸32Eは、板9Bの後面から後方に延びる。
【0041】
<ガイド軸32F>
図4図5に示すように、ガイド軸32Fは、板9Bの右上部の保持部90に設けられる。保持部90は、板9Bの後面の右上部から後方に凹んだ正面視矩形の穴9Cに設けられる。保持部90は、筒部91、93、固定部92を有する。
【0042】
筒部91は、穴9Cの底面9Dの後側に設けられる。正面視矩形の角柱状である。筒部91には、前後方向に貫通する正面視円形状の貫通孔91Aが形成される。固定部92は、筒部91の後側に設けられる。固定部92は、正面視矩形状で穴9Cに嵌る箱部92Aと、箱部92Aの下面から下方に突出し、板9Bの後面に固定される突出部92Bとを有する。突出部92Bは、板9Bの後面に固定される。箱部92Aの後面には、正面視円形状に凹んだ穴92Cが形成される。穴92Cの底面には、箱部92Aの前面に向かって貫通する正面視円形状の貫通孔92Dが形成される。貫通孔92Dの径は、穴92Cの径よりも小さい。
【0043】
筒部93は、穴92Cの内側に設けられる。筒部93には、前後方向に貫通する正面視円形状の貫通孔93Aが形成される。筒部93の外径は、貫通孔91Aよりも大きく、且つ穴92Cと略同じである。筒部93の内径(即ち貫通孔93Aの径)は、貫通孔91Aよりも小さく、且つ貫通孔92Eよりも大きい。
【0044】
ガイド軸32Fの説明に戻る。ガイド軸32Fは、シャフト4、回転体51を有する。シャフト4は、板9Bから後方に延びる。シャフト4は、第1軸部41、第2軸部42、第3軸部43、当接部52を有する。第1軸部41は、保持部90の貫通孔93Aの内側に配置される。
【0045】
第1軸部41は、基部41A、突起部41B、41Cを有する。基部41Aは、正面視円形状の板である。基部41Aの径は、貫通孔93Aの径よりも小さい。基部41Aの前面は、穴9Cの底面9Dから後方に離隔して配置される。
【0046】
突起部41Bは、基部41Aの後側に設けられる。突起部41Bは、前後方向に延びる円柱と後方に向かって径が小さくなる略円錐台とが後方から順に並んだ形状である。以下、突起部41Bの円柱部分を円柱部411といい、突起部41Bの略円錐台部分を円錐台部412という。円柱部411の径は、貫通孔93Aの径と略同じである。即ち、貫通孔93Aの内側に配置された円柱部411の側面は、貫通孔93Aの内壁93Bに当接する。
【0047】
突起部41Cは、突起部41Bの後側に設けられる。突起部41Cは、後方に向かって径が大きくなる略円錐台と前後方向に延びる円柱とが後方から順に並んだ形状である。以下、突起部41Cの略円錐台部分を円錐台部413といい、突起部41Cの円柱部分を円柱部414という。円錐台部413の側面416の傾斜角は、円錐台部412の側面415の傾斜角よりも大きい。円柱部414の径は、円柱部411の径、及び貫通孔93Aの径と略同じである。即ち、貫通孔93Aの内側に配置された円柱部411、414の側面は、貫通孔93Aの内壁93Bに当接する。
【0048】
第1軸部41には、基部41Aの前面から突起部41B、41Cに亘って後方に凹んだ穴41Dが形成される。穴41Dには、コイルバネ61が挿入される。コイルバネ61は、前後方向に伸縮可能な圧縮コイルバネである。コイルバネ61の後端は、穴41Dの底面に当接する。コイルバネ61の前端は、穴41Dから前方に突出し、穴9Cの底面9Dに当接する。コイルバネ61は、第1軸部41を後方に常時付勢する。
【0049】
第2軸部42は、第1軸部41の後端から後方に延びる。第2軸部42は、正面視円形状である。第2軸部42の径は、保持部90の貫通孔92Eと略同じである。第2軸部42は、貫通孔92Eから後方に突出する。第2軸部42は、後述する回転体51及びベアリング62、63を挿通する。
【0050】
第3軸部43は、第2軸部42の後端から後方に延びる。第3軸部43は、正面視円形状である。第1軸部41、第2軸部42、及び第3軸部43の軸線は共通である。第3軸部43の前面には、ねじ穴43Aが形成される。
【0051】
当接部52は、第3軸部43に設けられる。当接部52は、筒部52A及び突起部52Bを有する。筒部53Aは、前後方向に延びる円筒状である。突起部52Bは、筒部52Aの後側に設けられる。突起部52Bは、前後方向に延びる略円柱状で、後方に向かって径が大きくなった後、径が小さくなる。
【0052】
当接部52には、穴52C、52D、貫通孔52Eが形成される。穴52Cは、筒部52Aの前面から後方に凹んで形成される。穴52Cの径は、第2軸部42の径よりも僅かに大きい。穴52Dは、突起部52Bの後面から前方に凹んで形成される。穴52Dの径は、第3軸部43の径よりも僅かに大きい。貫通孔52Eは、穴52C、52Dを連通する。貫通孔52Eの径は、第3軸部43の径と略同じである。貫通孔52Eの前後方向の長さは、第3軸部43の前後方向の長さと略同じである。
【0053】
当接部52は、穴52Cの底面が第2軸部42の後端に当接するように配置される。この状態で、貫通孔52Eは、略隙間なく第3軸部43の周囲を覆う。当接部52の穴52Dには、前側からねじ53が挿入される。ねじ53は、ねじ穴43Aに螺合される。ねじ53の頭部は、穴52Dの底面と第3軸部43の後面とに当接する。ねじ53の頭部と第2軸部42の後面とで挟持されて、当接部52が第3軸部43に取り付けられ、一体のシャフト4が形成される。
【0054】
回転体51は、第2軸部42の周囲に設けられる。回転体51は、前後方向に延びる円筒状である。回転体51には、穴51A、51B、貫通孔51Cが形成される。穴51Aは、回転体51の前面から後方に凹んで形成される。穴51Bは、回転体51の後面から前方に凹んで形成される。貫通孔51Cは、穴51A、51Bを連通する。貫通孔51Cの径は、穴51A、51Bの径より小さく、第2軸部42の径と略同じである。穴51Aにはベアリング62が埋設される。穴51Aの底面はベアリング62の後端に当接する。穴51Bにはベアリング63が埋設される。穴51Bの底面はベアリング62の前端に当接する。
【0055】
ベアリング62は、第2軸部42の後端部且つ箱部92Aの後側に配置される。ベアリング62は、箱部92Aの後端と当接する。ベアリング63は、第2軸部42の前端部に配置される。ベアリング62、63は、第2軸部42を受ける。ベアリング62、63により、回転体51は、前後方向に延びる軸周りにスムーズに回転可能である。
【0056】
当接部52の穴52Cの内壁と第2軸部42の側面との間に形成される隙間には、コイルバネ64が配置される。コイルバネ64は、前後方向に伸縮可能な圧縮コイルバネである。コイルバネ64の後端は穴52Cの底面に当接し、コイルバネ64の前端はベアリング63の後端に当接する。コイルバネ64は、ベアリング63を介して回転体51を前方に常時付勢する。
【0057】
シャフト4は、コイルバネ61により常時後方に付勢される。第1軸部41の円柱部414の後面は、穴92Cの底面に当接する。この状態で、図5に示すように、円柱部411の側面及び円柱部414の側面は、貫通孔93Aの内壁93Bに当接する。前後方向に互いに異なる位置に配置された突起部41B(円柱部411)及び突起部41C(円柱部414)が貫通孔93Aの内壁93Bに当接して上下方向への変位を規制するので、ガイド軸32Fは上下方向への変位が可能な変位可能量が非常に小さい。図5に示す円柱部414の後面は、穴92Cの底面に当接する場合のシャフト4の位置を、規制位置という。ここで、ガイド軸32Fの上下方向の変位とは、ガイド軸32F全体が上下方向に平行移動する場合も、ガイド軸32Fの一部を支点として上下方向に回転移動する場合も何れであってもよい。
【0058】
<インクリボン2の搬送経路>
図4に示すように、スピンドル32Dに装着されたリボンロール20Dから延びるインクリボン2は、ガイド軸32Cに向けて左下方に延びる。インクリボン2は、ガイド軸32Cの回転体34Cに当接して方向を変え、ガイド軸32Bに向けて右方に延びる。インクリボン2は、ガイド軸32Bの回転体34Bに当接して方向を変え、ガイド軸32Fに向けて上方に延びる。インクリボン2は、ガイド軸32Fの回転体51に当接して方向を変え、スピンドル32Aに装着されたリボンロール20Aに向けて左下方に延びる。換言すると、ガイド軸32F、32B、32Cは、インクリボン2に当接して、搬送経路に沿ってインクリボン2を案内する。
【0059】
装着部22A、22Dに装着されたスピンドル32A、32Dは、モータ31A、31Dの駆動により回転する。これにより、リボンロール20Dからインクリボン2が繰り出され、リボンロール20Aに巻き取られる。インクリボン2の搬送に応じ、回転体51、34B、34Cは、夫々、シャフト4、33B、33Cの周りに回転する。
【0060】
<カセット1Bの着脱>
図2図6に示すように、カセット1Bは、シャフト4が規制位置に位置する状態で、前側からベース1Aに装着される。カセット1Bがベース1Aに装着された状態で、ロードセル7は、正面視でインクリボン2の搬送経路によって囲まれた領域Cの内側に配置される(図3参照)。
【0061】
スピンドル32Aの一対のピン8Aが装着部22Aの一対の穴220Aに装着され、スピンドル32Dの一対のピン8Dが装着部22Dの一対の穴220Dに装着される。軸32Eは、穴224に挿通されることで、装着部22Eに装着される。ガイド軸32Bは、穴35Bが装着部22Bに挿通されることで、装着部22Bに装着される。ガイド軸32Cは、穴35Cにガイド部222が嵌り、穴36Cに案内部221が挿通されることで、装着部22Cに装着される。
【0062】
ガイド軸32Fは、当接部52が穴80に挿入することで、装着部22Fに装着される。図6に示すように、穴80に挿入された当接部52の後端は、壁部83の前面83Aに押し当てられる。当接部52は、後下方に傾斜する前面83Aにより、前下方への反作用を受ける。前面83Aからの反作用の下方の成分により、当接部52はロードセル7の検出部7Bの上面を押圧する。ロードセル7は、当接部52により検出部7Bの上面にかかる荷重に応じた電気信号をCPU71(図7参照)に出力する。
【0063】
図6に示すように、前面83Aからの反作用の前方の成分により、当接部52は前方に変位する。シャフト4は、コイルバネ61の付勢力に反して規制位置(図5参照)から後方に変位する。円柱部414の後面は穴92Cの底面から後方に離隔し、基部41Aの前面が穴9Cの底面9Dに近接する。
【0064】
突起部41B、41Cは、貫通孔93Aの内壁93Bを後方に摺動する。カセット1Bがベース1Aに装着された状態で、突起部41Bの円柱部411は、貫通孔93Aの前方に配置され、内壁93Bと離隔する。突起部41Bの円柱部414の側面は、内壁93Bに当接する。図6に示すカセット1Bがベース1Aに装着された状態でのシャフト4の位置を、変位位置という。
【0065】
前後方向において、シャフト4が変位位置に配置された場合における板9Bの後面と当接部52の後端との間隔は、シャフト4が変位位置に配置された場合における板9Bの後面と当接部52の後端との間隔よりも小さくなる。シャフト4が規制位置にある場合に、突起部41B及び突起部41Cが内壁93Bと当接し、シャフト4が変位位置にある場合に、突起部41Cが内壁93Bに当接して、ガイド軸32Fの上下方向への変位を規制する。故に、シャフト4が変位位置にある場合のガイド軸32Fの上下方向への変位可能量は、シャフト4が規制位置にある場合のガイド軸32Fの上下方向への変位可能量よりも大きい。
【0066】
プリンタ1が印刷する場合に、ガイド軸32Fは、上下方向に変位することで、搬送されるインクリボン2に適切なテンションを付与する。インクリボン2のテンションによりガイド軸32Fが上下方向に変位した場合、当接部52がロードセル7の検出部7Bを押圧する力が変動する。プリンタ1は、検出部7Bが検出する荷重の大きさによりインクリボン2に付与されるテンションの大きさを把握する。
【0067】
カセット1Bがベース1Aから後方に引き抜かれることで、ベース1Aから取り外される。シャフト4は、壁部83の前面83Aから後方に離隔し、前面83Aからの反作用がなくなる。変位位置にあるシャフト4は、コイルバネ61に付勢されて前方に変位する。円柱部414の後面が穴92Cの底面と当接し、シャフト4は規制位置に配置される。
【0068】
カセット1Bがベース1Aから取り外された状態で、ユーザはリボンロール20Dから搬送経路に沿ってインクリボン2を引き回す。この場合に、ガイド軸32Fは、上下方向への変位可能量が非常に小さいので、インクリボン2が弛むことを抑制できる。
【0069】
なお、ロードセル7において、カセット1Bがベース1Aから取り外された場合に、シャフト4の当接部52による押圧が解除されるので、検出部7Bの上面にかかる荷重は、カセット1Bが装着された場合と比較して非常に小さくなる。
【0070】
回転体51において、カセット1Bがベース1Aに装着される場合に、回転体51はコイルバネ64により前方に付勢される。しかし、穴51Aの底面がベアリング62の後端に当接し、ベアリング62の前端が箱部92Aの後端と当接しているので、回転体51は前方に変位しない。また、カセット1Bがベース1Aから取り外される場合に、回転体51はコイルバネ64により前方に付勢されるので、後方に変位しない。
【0071】
<プリンタ1の電気的構成>
図7を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1のベース1Aは、CPU71を備える。CPU71はプリンタ1を制御し、プロセッサとして機能する。CPU71は、フラッシュメモリ72、ROM73、RAM74、通信部6、ロードセル7、サーマルヘッド26、及びモータ31A、31Dと電気的に接続する。
【0072】
フラッシュメモリ72はCPU71によって実行されるプログラムを記憶する。ROM73は各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータを記憶する。RAM74は印刷データ等、種々の一時データを記憶する。通信部6は、外部装置と通信を実行するためのコントローラである。外部装置は、例えばPC、タブレットPC、及びスマートフォン等の公知の情報処理装置である。
【0073】
<印刷処理>
図8を参照し、印刷処理を説明する。印刷処理は、通信部6を介して印刷開始指示が入力された場合に実行される。CPU71は印刷開始指示が入力されると、フラッシュメモリ72からプログラムを読み出して印刷処理を実行する。
【0074】
印刷処理が開始されると、CPU71は、ロードセル7から検出部7Bの上面にかかる荷重を取得する(S1)。CPU71は、S1で取得した荷重が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S2)。閾値はROM73に記憶されている。CPU71は、S1で取得した荷重が閾値以上でないと判定した場合(S2:NO)、インクリボン2が弛んでいるとして、処理をS1に戻す。
【0075】
CPU71は、S1で取得した荷重が閾値以上であると判定した場合(S2:YES)、インクリボン2の搬送を開始する(S3)。CPU71は、S3の処理において、モータ31A、31Dの駆動を開始する。CPU71は、サーマルヘッド26の複数の加熱素子を加熱することで、印刷を開始する(S4)。
【0076】
CPU71は、通信部6を介して印刷終了指示が入力されたか否かを判定する(S5)。CPU71は、印刷終了指示が入力されていないと判定した場合(S5:NO)、処理をS5に戻し、S4で開始した印刷を継続する。CPU71は、印刷終了指示が入力されたと判定した場合(S5:YES)、サーマルヘッド26による印刷を終了する(S6)。CPU71は、モータ31A、31Dの駆動を停止し、インクリボン2の搬送を終了する(S7)。CPU71は、印刷処理を終了する。
【0077】
<本実施形態の主たる作用、効果>
以上説明したように、プリンタ1のカセット1Bにおいて、ガイド軸32Fは、インクリボン2に当接して、搬送経路に沿ってインクリボン2を案内する。ガイド軸32Fのシャフト4は、第1軸部41を有する。第1軸部41により、シャフト4が変位位置にある場合のガイド軸32Fの上下方向への変位可能量は、シャフト4が規制位置にある場合のガイド軸32Fの上下方向への変位可能量よりも大きい。これにより、カセット1B、及びカセット1Bをベース1Aに装着したプリンタ1は、ユーザがリボンロール20Dからインクリボン2を引き回し搬送経路に沿って配置させる場合に、シャフト4を規制位置に配置させることで、ガイド軸32Fの上下方向への変位可能量を小さくし、インクリボン2が弛むことを抑制できる。そしてカセット1B、及びカセット1Bをベース1Aに装着したプリンタ1は、ベース1Aに装着されて印刷が行われる場合に、シャフト4を変位位置に配置させることで、ガイド軸32Fの上下方向への変位可能量を規制位置に配置された場合よりも大きくし、インクリボン2に適度なテンションを付与できる。
【0078】
前後方向において、シャフト4が規制位置に配置された場合における板9Bの後面と当接部52の後端との間隔は、シャフト4が変位位置に配置された場合における板9Bの後面と当接部52の後端との間隔よりも小さくなる。シャフト4は、コイルバネ61により規制位置に配置されるように常時後方に付勢される。これにより、カセット1Bは、容易にシャフト4を規制位置に配置できる。よって、カセット1B、及びカセット1Bをベース1Aに装着したプリンタ1は、ユーザがインクリボン2を搬送経路に引き回す場合に、インクリボン2が弛むことを容易に抑制できる。
【0079】
板9Bには、保持部90が設けられる。第1軸部41は、突起部41B、41Cを有する。保持部90の筒部93は、突起部41B、41Cを貫通孔93Aの内壁93Bに当接して、シャフト4を保持する。シャフト4が規制位置にある場合に、突起部41B及び突起部41Cが内壁93Bと当接し、シャフト4が変位位置にある場合に、突起部41Cが内壁93Bに当接して、ガイド軸32Fの上下方向への変位を規制する。よって、カセット1B、及びカセット1Bをベース1Aに装着したプリンタ1は、簡単な構成で、ユーザがインクリボン2を搬送経路に引き回す場合に、インクリボン2が弛むことを抑制できる。
【0080】
突起部41Cは、突起部41Bの後側に設けられる。突起部41Bの側面415の傾斜角は、突起部41Cの側面416の傾斜角よりも小さい。シャフト4が変位位置に配置された場合に、突起部41Bの円柱部411は貫通孔93Aの前方に配置される。シャフト4は規制位置に配置された場合に、突起部41Bの円柱部411は貫通孔93Aの前方に配置される。シャフト4が変位位置から規制位置に変位するとき、側面415が内壁93Bの前端に当接する場合がある。カセット1Bにおいて、側面415の傾斜角が側面416の傾斜角よりも小さいので、側面415が内壁93Bの前端に当接した場合にも滑らかに摺動し、シャフト4を変位位置から規制位置に配置することができる。
【0081】
ガイド軸32Fは、シャフト4、回転体51、及びコイルバネ64を有する。シャフト4は、第1軸部41、第2軸部42、第3軸部43、当接部52を有する。回転体51は、第2軸部42の周囲に設けられる。コイルバネ64は、当接部52、及びベアリング63を介して回転体51に係合する。コイルバネ64は、前後方向に伸縮可能な圧縮コイルバネである。コイルバネ64は、ベアリング63を介して回転体51を前方に常時付勢する。ガイド軸32Fにおいて、回転体51は、前後方向に変位するシャフト4とは別部材である。シャフト4が変位位置から規制位置に後方に変位する場合にも、回転体51はコイルバネ64により前方に付勢されるので、後方に変位しない。このように、シャフト4が前後方向に変位する場合にも、回転体51が前後方向に変位しないので、カセット1Bはインクリボン2の搬送方向に対する蛇行を抑制できる。
【0082】
プリンタ1において、装着部22Fは、穴80の内側に壁部83を配置する。カセット1Bがベース1Aに装着された場合に、ガイド軸32Fは、シャフト4の当接部52が穴80に挿入することで、装着部22Fに装着される。穴80に挿入された当接部52の後端は、壁部83の前面83Aに押し当てられる。当接部52が前面83Aから反作用を受けることで、シャフト4は規制位置から変位位置まで前方に変位する。プリンタ1は、カセット1Bがベース1Aに装着されることで、シャフト4を変位位置に配置できる。これにより、プリンタ1は、シャフト4を変位位置に配置させて、ガイド軸32Fの上下方向への変位可能量を規制位置に配置された場合よりも大きくし、印刷が行う場合においてインクリボン2に適度なテンションを付与できる。
【0083】
壁部83は、後下方に傾斜した前面83Aを有する。穴80に挿入された当接部52は、前面83Aにより、前方及び下方への反作用を受ける。前面83Aからの反作用の下方の成分により、当接部52はロードセル7の検出部7Bの上面を押圧する。ロードセル7は、当接部52により検出部7Bの上面にかかる荷重に応じた電気信号を出力する。プリンタ1において、壁部83は、当接部52を前方だけでなく下方にも押圧する。これにより、プリンタ1は、カセット1Bがベース1Aに装着された場合に、当接部52を前方に変位させることに加え、穴80の下側に配置されたロードセル7によりガイド軸32Fにかかるインクリボン2の直交方向の荷重を計測できる。
【0084】
ロードセル7は、カセット1Bがベース1Aに装着された状態で、背面視でインクリボン2の搬送経路の内側の領域Cの内側に配置される。これにより、プリンタ1は、ロードセル7が背面視で領域Cの外側に配置される場合と比較して、装置全体を大型化することを抑制できる。
【0085】
プリンタ1のベース1Aは、CPU71を備える。CPU71は印刷処理を実行する。
印刷処理において、CPU71は、ロードセル7が検出した荷重が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S2)。これにより、プリンタ1は、搬送経路においてインクリボン2が弛んだ状態で搬送されることを抑制できる。
【0086】
<変形例>
本発明は上記実施形態から種々変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限り夫々組み合わせ可能である。例えばプリンタ1は、ベース1Aに対してカセット1Bが着脱不可能に構成されてもよい。
【0087】
ガイド軸32Fの構成は、適宜変更してもよい。ガイド軸32Fは、例えば回転体51を有さなくてもよい。この場合、インクリボン2はシャフト4に当接して、搬送経路に案内される。ガイド軸32Fは、回転体51を前方に付勢するコイルバネ64を有さなくてもよい。ガイド軸32Fは、コイルバネ64の代わりに引張コイルバネ、ソレノイド等により回転体51を前方に付勢してもよい。回転体51は、シャフト4と共に前後方向に変位してもよい。
【0088】
シャフト4の構成は、適宜変更してもよい。上記実施形態において、第1軸部41は、シャフト4における基端側(前端側)に設けられたが、これに限らず、例えば第2軸部42の後端に設けられてもよい。シャフト4は、コイルバネ61の代わりに引張コイルバネ、ソレノイド等により後方に付勢されてもよい。シャフト4は、前方に付勢されてもよい。
【0089】
第1軸部41の構成は、適宜変更してもよい。上記実施形態では、変位位置が規制位置の前側の位置であり、シャフト4が規制位置に配置された場合に、突起部41B、41Cが内壁93Bに当接し、シャフト4が変位位置に配置された場合に、突起部41Cが内壁93Bに当接した。これに対し、変位位置が規制位置の後側の位置であり、シャフト4が規制位置に配置された場合に、突起部41B、41Cが内壁93Bに当接し、シャフト4が変位位置に配置された場合に、突起部41Bが内壁93Bに当接してもよい。
【0090】
第1軸部41において、突起部41Bは突起部41Cの後側に設けられてもよい。側面415の傾斜角は、側面416の傾斜角と同じでもよいし、側面416の傾斜角よりも大きくてもよい。第1軸部41は、突起部41B、41Cの何れか一方を有さなくてもよい。第1軸部41は、突起部41B、41C以外に内壁93Bに当接する突起を有してもよい。
【0091】
装着部22Fの構成は、適宜変更してもよい。装着部22Fは、穴80に代わり正面視U字状の係合部を有し、係合部が当接部52の筒部52Aの外表面と係合することで、ガイド軸32Fを装着してもよい。装着部22Fは、壁部83を有さなくてもよい。装着部22Fは、ロードセル7を有さなくてもよい。
【0092】
壁部83の構成は適宜変更してもよい。壁部83の前面83Aは、上下方向に対して傾斜しなくてもよい。前面83Aは、例えば前下方向に対して傾斜してもよい。前面83Aは、曲面で形成されてもよい。壁部83は、穴80の外側に配置されてもよい。
【0093】
上記実施形態において、ロードセル7は圧電素子により当接部52による荷重を検出したが、当接部52に当接して荷重を検出する構成であればよい。ロードセル7は、例えば検出部7Bの歪みを検出する歪みゲージにより荷重を検出してもよい。ロードセル7は、例えば強磁性体における磁歪に基づき荷重を検出してもよい。ロードセル7は、背面視で領域Cの外側に配置されてもよい。ロードセル7は、カセット1Bに設けられてもよい。
【0094】
印刷処理において、CPU71は、当接部52による荷重に基づきインクリボン2の搬送、印刷の実行の可否を判定しなくてもよい。CPU71は、当接部52による荷重と異なる荷重に基づきインクリボン2の搬送、印刷の実行の可否を判定してもよい。CPU71は、スピンドル32A、32Dによる荷重に基づきインクリボン2の搬送、印刷の実行の可否を判定してもよい。
【0095】
CPU71の代わりに、例えばマイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。印刷処理は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。
【0096】
フラッシュメモリ72、ROM73等の非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。印刷処理を実行するための制御プログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、フラッシュメモリ72等に記憶されてもよい。この場合、制御プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【0097】
<その他>
後方は、本発明の「第1方向」の一例である。リボンロール20Dは、本発明の「第1リボンロール」の一例である。スピンドル32Dは、本発明の「供給軸」の一例である。リボンロール20Aは、本発明の「第2リボンロール」の一例である。スピンドル32Aは、本発明の「巻取軸」の一例である。下方は、本発明の「第2方向」の一例である。ガイド軸32Fは、本発明の「ガイド軸」の一例である。第1軸部41は、本発明の「調整部」の一例である。変位位置は、本発明の「第1位置」の一例である。規制位置は、本発明の「第2位置」の一例である。当接部52は、本発明の「先端部」の一例である。コイルバネ61は、本発明の「付勢部」の一例である。突起部41Bは、本発明の「第1突起」の一例である。突起部41Cは、本発明の「第2突起」の一例である。側面415は、本発明の「前記第1突起の頂点に向けて延びる側面のうち前記第2突起に近接する側面」の一例である。側面416は、本発明の「前記第2突起の頂点に向けて延びる側面のうち前記第1突起に近接する側面」の一例である。シャフト4は、本発明の「シャフト」の一例である。回転体51は、本発明の「ローラ」の一例である。コイルバネ64は、本発明の「第2付勢部」の一例である。装着部22Aは、本発明の「供給軸受部」の一例である。装着部22Dは、本発明の「巻取軸受部」の一例である。装着部22Fは、本発明の「ガイド受部」の一例である。前面83Aは、本発明の「壁傾斜面」の一例である。ロードセル7は、本発明の「荷重計測部」の一例である。S2の処理は、本発明の「判断部」の一例である。
【符号の説明】
【0098】
1 プリンタ
1A ベース
1B カセット
4 シャフト
7 ロードセル
22F 装着部
32A、32D スピンドル
32F ガイド軸
41 第1軸部
41B、41C 突起部
51 回転体
52 当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8